説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】子機側のメモリ資源を有効に活用する。
【解決手段】 画像処理ユニットで複数の画像データを集約して新たな画像データを生成し、その画像データを画像メモリ等に記憶させ、記憶した画像を印刷する複数の画像形成装置が電気的に接続されて構成され、複数台の画像形成装置のうちの任意の一台が親機となり前記画像データを他の子機となる画像形成装置に転送し、親子が分担して印刷を行う画像形成システムにおいて、前記画像データをさらに集約して新たな画像データを集約生成し、それらを印刷するモードでは、集約生成した画像データを転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ又はこれらの複合機能を備えた画像形成装置、この画像形成装置を複数接続して使用して連結動作を行う画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年デジタル画像形成装置を複数台接続し、親機において読み込んだ画像データを連結システムに接続されている子機の画像形成装置に送信して、指定された部数のコピー動作を親機及び子機の画像形成装置に分担させることにより、コピー生産性おより利用効率の向上を図ることが、例えば特許文献1に提案されている。さらに子機においては画像データが送信されて印刷を分担する前に他の印刷ジョブが動作中でることや画像送信中あるいは分担印刷中に次ジョブが予約されることがある。
【0003】
また、コピーのみにかかわらず、プリンタ、ファクシミリ等の複数のアプリケーションが有効であるマルチファンクション機(以下MF機)ではメモリ共有資源を有効に使うための技術として、例えば特許文献2及び3ではメモリ共有資源を複数のアプリが使う場合は、調停のためのメモリコントローラを設けて実現することが提案されている。
【特許文献1】特開2000−69259号公報
【特許文献2】特開平10−74163号公報
【特許文献3】特開2001−13827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、子機では上記に述べたように印刷分担されるジョブの他にもプリンタ、ファクシミリ等の印刷ジョブが存在している可能性があり、調停して任意のアプリ印刷を停止することをせずにメモリ資源を有効に活用する為には、親機から子機に転送する画像は少なくし、できるだけ早く印刷を開始し、印刷分担する必要のなくなった画像データは随時解放していく必要がある。
【0005】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、解決すべき課題は、子機側のメモリ資源を有効に活用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、第1の手段は、複数の画像データを集約して新たな画像データを生成する手段と、画像データを記憶する記憶手段と、記憶した画像を印刷する印刷手段とを備えた画像形成装置において、他の画像形成装置に接続して使用する場合に、前記画像データをさらに集約して新たな画像データを自機で集約生成し、当該集約生成した画像データを印刷するモードでは、前記集約生成した画像データを他機に転送することを特徴とする。
【0007】
第2の手段は、第1の手段において、スタックモード時には自機に全ての集約画像データが生成された後、最終画像データから他機に前記画像データが転送されることを特徴とする。
【0008】
第3の手段は、第1または第2の手段において、前記自機から前記他機に転送された画像データの前記他機で設定された部数分の印刷が完了した時点で前記自機及び他機共に画像データを削除していくことを特徴とする。
【0009】
第4の手段は、第1ないし第3のいずれかの手段において、スタンプ印字モードと組み合わせた場合に、前記自機から前記他機へスタンプ印字データを付加した画像データを転送することを特徴とする。
【0010】
第5の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、合成モードと組み合わせた場合に、前記自機から前記他機へ合成データを付加した画像データを転送することを特徴とする。
【0011】
第6の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、網掛けモードと組み合わせた場合に、前記自機から前記他機へ網掛けデータを付加した画像データを転送することを特徴とする。
【0012】
第7の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段に係る画像形成装置が複数接続され、複数の画像形成装置の各々が分担して画像形成を行う画像形成システムを特徴とする。
【0013】
第8の手段は、第7の手段において、前記自機が親機で、他機が子機として機能することを特徴とする。 後述の実施形態では、画像データを生成する手段は画像処理ユニット(IPU)49に、記憶手段は画像メモリ66及びハードディスク(HD)71に、印刷手段は書き込みユニット57、感光体15、定着ユニット17に、自機(親機)は参照番号200に、他機(子機)は参照番号210にそれぞれ対応する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、読み取った画像データをさらに集約して新たな画像データを集約生成し、それらを印刷するモードでは、集約生成した画像データを転送するので他機側で原稿画像データを保持する必要がなく、他機側のメモリ資源を有効に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は本発明の第1の実施形態に係る複写機の全体構成を概略的に示す図、図2はその操作部の概略構成を示す図、図3は図2の液晶タッチパネルの表示例を示す図、図4は複写機の制御部の概略構成を示すブロック図、図5は図4のIPUの構成を示すブロック図である。
【0017】
本実施形態における画像形成装置は、コピー、プリンタ及びファクシミリ機能を備えた複合機となっており、図1において、上部に設けられた自動原稿送り装置(以下、ADFと称する)1にある、原稿台2に原稿の画像面を上にして原稿束を置き、図2に示す操作部30上のプリントキー34が押下することにより原稿のコピーが行われる。すなわち、一番下の原稿から給送ローラ3、給送ベルト4によってコンタクトガラス6上の所定の位置に給送される。なお、図示していないが、一枚の原稿を給送完了により原稿枚数をカウントアップするカウント機能を有している。給送された原稿は、読み取りユニット50によってコンタクトガラス6上の原稿の画像データを読み取り後、読み取りが終了した原稿は、給送ベルト4および排送ローラ5によって排出される。さらに、原稿セット検知センサ7にて原稿台2に次の原稿が有ることを検知した場合、前原稿と同様にコンタクトガラス6上に給送される。給送ローラ3、給送ベルト4、排送ローラ5は図4に示す搬送モータ26によって駆動される。
【0018】
第1トレイ8、第2トレイ9、第3トレイ10に積載された転写紙は、各々第1給紙装置11、第2給紙装置12、第3給紙装置13によって給紙され、縦搬送ユニット14によって感光体15に当接する位置まで搬送される。読み取りユニット50にて読み込まれた画像データは、書き込みユニット57からのレーザによって感光体15に書き込まれ、現像ユニット27を通過することによってトナー像が形成される。そして、転写紙は感光体15の回転と等速で搬送ベルト16によって搬送されながら、感光体15上のトナー像が転写される。その後、定着ユニット17にて画像を定着させ、排紙ユニット18によって後処理装置のフィニッシャ100に排出される。
後処理装置のフィニッシャ100は、切り替え板101によって、本体の排紙ユニット18によって搬送された転写紙を、通常排紙ローラ102方向と、ステープル処理部方向へ導くことができる。切り替え板101を図1において上方向に切り替えることにより、搬送ローラ103を経由して通常排紙トレイ104側に排紙することができる。また、切り替え板101を図1において下方向に切り替えることで、搬送ローラ105、107を経由して、ステープル台108に搬送することができる。
【0019】
ステープル台108に積載された転写紙は、一枚排紙されるごとに紙揃え用のジョガー109によって、紙端面が揃えられ、一部のコピー完了と共にステープラ106によって綴じられる。ステープラ106で綴じられた転写紙群は自重によって、ステープル完了排紙トレイ110に収納される。
【0020】
一方、通常の排紙トレイ104は前後に移動可能な排紙トレイである。前後に移動可能な排紙トレイ104は、原稿毎、あるいは、画像メモリによってソーティングされたコピー部毎に、前後に移動し、簡易的に排出されてくるコピー紙を仕分けるものである。
【0021】
転写紙の両面に画像を作像する場合は、各給紙トレイ8〜10から給紙され、感光体15のトナー像が作像された転写紙を排紙トレイ104側に導かないで、両面入搬送路113から両面給紙ユニット111に搬送される。両面給紙ユニット111への切り替えは、排紙ユニット18内に設けられた経路切り替えのための分岐爪112を切り替えることにより行われる。転写紙は一旦両面給紙ユニット111にストックされた後、再び感光体15に作像されたトナー画像を転写するために、両面給紙ユニット111から再給紙され、経路切り替えのための分岐爪112を下側にセットし、排紙トレイ104に導く。この様に転写紙の両面に画像を作成する場合に両面給紙ユニット111は使用される。
【0022】
感光体15、搬送ベルト16、定着ユニット17、排紙ユニット18、現像ユニット27は、図4のメインモータ25によって駆動され、各給紙装置11〜13はメインモータ25の駆動を各々給紙クラッチ22〜24によって伝達駆動される。縦搬送ユニット14はメインモータ25の駆動を中間クラッチ21によって伝達駆動される。
操作部30は、図2に示すように、液晶タッチパネル31、テンキー32、クリア/ストップキー33、プリントキー34、予熱キー35、リセットキー36、コピー機能を使用するかプリント機能を使用するかを設定する機能切替キー38、初期設定キー39等が設けられている。液晶タッチパネル31には、後述するモード設定のためのキーや画像形成装置の状態を示すメッセージなどが表示される。オペレータが液晶タッチパネル31に表示されたキーにタッチすることで、選択された機能を示すキーが黒く反転する。また、機能の詳細を指定しなければならない場合(例えば変倍であれば変倍値等)はキーにタッチすることで詳細機能の設定画面が表示される。このように、液晶タッチパネルは、ドット表示器を使用しているため、その時の最適な表示をグラフィカルに行うことが可能である。
【0023】
初期設定キー39を押すことで、機械の初期状態を任意にカスタマイズすることが可能である。機械が収納している用紙サイズを設定したり、コピー機能のリセットキーを押したときに設定される状態を任意に設定可能である。また、一定時間操作が無いときに優先して選択されるアプリケーション等も選択すること、国際エネルギースター計画に従った低電力への移行時間の設定や、オートオフ/スリープモードへの移行する時間を設定することが可能である。予熱キー35を押すと、機械は待機状態から、電力低減状態に移行し、定着温度を低下させたり、操作部の表示を消灯する。予熱状態、オフ状態/スリープ状態を解除し、待機状態に移行させるには、この予熱キー35を再度押下する。
【0024】
図3に示すように、液晶タッチパネル31には、「コピーできます」、「お待ちください」等のメッセージを表示するメッセージエリア81、セットした枚数を表示するコピー枚数表示部82、転写紙を自動的に選択する自動用紙選択キー83、コピーを一部ずつページ順にそろえる処理を指定するソートキー84、コピーをページ毎に仕分けする処理を指定するスタックキー85、ソート処理されたものを一部ずつ綴じる処理を指定するステープルキー86、倍率を等倍にセットする等倍キー87、拡大/縮小倍率をセットする変倍キー88、両面モードを設定する両面キー89、とじ代モード等を設定する編集キー90、表紙/合紙モードを設定する表紙/合紙キー91、給紙トレイ数に対応した給紙トレイ状態を示し、手動で給紙段を設定するためのキー92が給紙段分表示されている。メッセージエリア81内には、デジタル複写機のネットワークを介して多量のプリント動作を複数に分けてプリントアウトする連結モードキー40やシステムの現状を確認するためのシステムステータスキー41も表示される。
【0025】
図1に戻り、画像読み取り、および画像を記録媒体である感光体15上に潜像形成するまでの動作を説明する。潜像とは感光体面上に画像を光情報に変換して照射することにより生じる電位分布である。
【0026】
読み取りユニット50は、原稿を載置するコンタクトガラス6と光学走査系で構成されており、光学走査系には、露光ランプ51、第1ミラー52、レンズ53、CCDイメージセンサ54等々で構成されている。露光ランプ51及び第1ミラー52は図示しない第1キャリッジ上に固定され、第2ミラー55及び第3ミラー56は図示しない第2キャリッジ上に固定されている。原稿像を読み取るときには、光路長が変わらないように、第1キャリッジ第2キャリッジとが2対1の相対速度で機械的に走査される。この光学走査系は、図示しないスキャナ駆動モータにて駆動される。原稿画像は、CCDイメージセンサ54によって読み取られ、電気信号に変換されて処理される。レンズ53及びCCDイメージセンサ54を第1図において左右方向に移動させることにより、画像倍率が変わる。すなわち、指定された倍率に対応してレンズ53及びCCDイメージセンサ54の左右方向に位置が設定される。
【0027】
書き込みユニット57はレーザ出力ユニット58、結像レンズ59、ミラー60で構成され、レーザ出力ユニット58の内部には、レーザ光源であるレーザダイオード及びモータによって高速で定速回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)が備わっている。
【0028】
レーザ出力ユニット58より照射されるレーザ光は、定速回転するポリゴンミラーで偏光され、結像レンズ59を通り、ミラー60で折り返され、感光体面上に集光結像する。
【0029】
偏光されたレーザ光は感光体が回転する方向と直行する方向(主走査方向)に露光走査され、後述する画像処理部のセレクタ64より出力された画像信号のライン単位の記録を行う。感光体の回転速度と記録密度に対応した所定の周期で主走査を繰り返すことによって、感光体面上に画像(静電潜像)が形成される。
【0030】
上述のように、書き込みユニット57から出力されるレーザ光が、画像作像系の感光体15に照射される。図示しないが感光体15の一端近傍のレーザビームを照射される位置に、主走査同期信号を発生するビームセンサが配置されている。この主走査同期信号をもとに主走査方向の画像記録開始タイミングの制御、および後述する画像信号の入出力を行うための制御信号の生成を行う。
【0031】
図4は複写機の制御部の概略構成を示すブロック図である。すなわち、メインコントローラを中心に、制御装置を図示したものである。メインコントローラ20は画像形成装置全体を制御する。メインコントローラ20には、オペレータに対する表示やオペレータからの機能設定入力制御を行う操作部30、スキャナの制御、原稿画像を画像メモリに書き込む制御、画像メモリからの作像を行う制御等を行う画像処理ユニット(以下、IPUと称する)49、ADF1等の分散制御装置が接続されている。各分散制御装置とメインコントローラ20は必要に応じて機械の状態、動作司令のやりとりを行っている。また紙搬送等に必要なメインモータ25、メインモータ25の動力を縦搬送ユニット14に伝達するための中間クラッチ21、メインモータ25の動力によって第1ないし第3給紙装置11〜13の給紙動作を行わせるための第1ないし第3クラッチ22〜24も接続されている。
【0032】
図5は複写機の画像処理部の構成を示すブロック図である。画像処理部は画像読み取り部と画像書き込み部とからなるもので、露光ランプ51から照射された光は原稿面を照射し、原稿面からの反射光を、CCDイメージセンサ54にて結像レンズ(図示せず)により結像、受光して光電変換し、A/Dコンバータ61にてデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された画像信号は、シェーディング補正62がなされた後、画像処理部63にてMTF補正、γ補正等がなされる。セレクタ64では、画像信号の送り先を、書き込みγ補正部71または、画像メモリコントローラ65への切り替えが行われる。書き込みγ補正部71を経由した画像信号は書き込みユニット57に送られる。画像メモリコントローラ65とセレクタ64間は、双方向に画像信号を入出力可能な構成となっている。第5図には特に明示していないが、画像処理部(IPU)には、読み取り部50から入力される画像データ以外にもI/Oポート67を介して外部から供給される画像データ、例えばパーソナルコンピュータ等のデータ処理装置から出力されるデータも処理できるよう、複数のデータの入出力の選択を行う機能を有している。
【0033】
画像メモリコントローラ65等への設定や、読み取り部50書き込み部57の制御を行うCPU68、及びそのプログラムやデータを格納するROM69、RAM70を備えている。更にCPU68は、画像メモリコントローラ65を介して、画像メモリ66のデータの書き込み、読み出しが行える。また画像メモリ66の内容を退避させたり、保存するためのHDD71を備えている。
【0034】
図6は図5のセレクタ64における1ページ分の画像信号を説明するためのタイミングチャートである。図6の/FGATEは、1ページの画像データの副走査方向の有効期間を表している。/LSYNCは、1ライン毎の主走査同期信号であり、この信号が立ち上がった後の所定クロックで、画像信号が有効となる。主走査方向の画像信号が有効であることを示す信号が、/LGATEである。これらの信号は、画素クロックVCLKに同期しており、VCLKの1周期に対し1画素のデータが送られてくる。IPU49は、画像入力、出力それぞれに対して別個の/FGATE、/LSYNC、/LGATE、VCLKの発生機構を有しており、様々な画像入出力の組み合わせが実現可能になる。
【0035】
また、作業分担するために他の複写機と画像データやコマンドの送受信を行う必要があるが、これは、この実施形態では画像データの送受信用にIEEE1394の連結インターフェースを、コマンドの送受信用にシリアル通信ラインを用いている。図4のメモリコントローラ20が連結インターフェースドライバ(以下、連結I/Fドライバと称する)48を介してそれを実現している。
【0036】
図7は2台の複写機の接続関係を説明するための図、図8は図7における2台の複写機のソフトウェアモジュールを示すブロック図である。親機の複写機200と子機の複写機210とは、連結I/Fドライバ48を介して接続されている。これら2台の複写機は同様な構造となっているが、親機200から制御可能な複写機であれば、親機200と子機210が同じ構造の複写機である必要はない。
【0037】
親機200と子機210内の各ソフトウェア制御モジュールの構成もほぼ同じになっている。すなわちそれぞれアプリケーション層230と、コントロールサービス層240と、ハンドラ層250とから構成されている。アプリケーション層230は操作パネルマネージャ231、コピーアプリケーション232、その他のアプリケーション233等を備ている。コントロールサービス層240はコントロールサービス241と連結I/Fドライバ48等を備えており、ハンドラ層250はパンドラ(リソース)マネージャ251、スキャナパンドラ252、画像メモリ(HDD)パンドラ253、プロッタパンドラ254等を備えている。なお、子機210のアプリケーション層230には子機共通アプリケーション234が備えられている。
【0038】
アプリケーション層230で設定されたジョブ情報は、例えばプリントキー34などをトリガーにコントロールサービス層240に受け渡される。コントロールサービス層240は、アプリケーション層230からのジョブ情報を解釈し、ハンドラ層250を動作させるためのプロセス情報をハンドラマネージャ251に要求する。ハンドラマネージャ251は、プロセス情報に従って個々のハンドラを動作させる。ハンドラとしては、読み取りユニット50を制御するスキャナハンドラ252、画像メモリ66への画像データの入出力を制御する画像メモリハンドラ253、書き込みユニット57と用紙搬送や後処理周辺機を制御するプロッタハンドラ254が有り、これらのソフトウェアモジュールが連携して、読み取りから画像メモリ66への蓄積と画像形成の処理が行われる。さらに本複写機には、他の複写機と連結するための、連結I/Fドライバ48を備え、この連結I/Fドライバ48を介して画像データとコマンド情報の受け渡しが可能になっている。
【0039】
単体コピージョブでは、画像の読み取りと蓄積、蓄積画像の印刷という手順で行われるが、連結コピージョブでは、前記手順に加え以下の制御が加わる。親機200側で発生した連結コピージョブは、親機200のコントロールサービス241内でジョブ情報が解釈された後、スキャナで読みとった画像を画像メモリ66に蓄積するプロセスと、その画像を子機210の画像メモリ6に転送するプロセスに分けてそれぞれ実行される。
【0040】
必要な画像の転送が完了すると、子機210のコントロールサービス241は、親機200のコントロールサービス241から受け取った情報に従って、予め転送されている画像データを参照する印刷プロセスを生成し、子機210のハンドラマネージャ251に印刷を要求する。そして子機210のコントロールサービス241は、親機200に対して自機で処理した印刷ジョブを逐次通知する。この情報に従って親機200のコントロールサービス241は、自機の印刷ジョブと子機側の印刷ジョブの経過を監視し、必要分の印刷を行う。
【0041】
図9は週刊誌モードの仕上がりの動作を説明する図である。週刊誌モードとは、液晶タッチパネル31から両面キー89を押下し、さらに週刊誌キーを押下すると、読み取りユニット50によって、(a)に示すように、ADF1の原稿台2に置かれた全ての原稿を読み取り、その後、(b)に示すように、最初の画像と最後の画像を集約して新たな画像を生成し、最後から2番目と最初から2番目の画像を集約しというように順番に出力する。そして最後に(c)に示すように折ると週刊誌のような仕上がりとなる。
【0042】
図10は親機200の連結動作を説明するためのフローチャート、図11は子機210の連結動作を説明するためのフローチャート、図12は連結ソート時の仕上がり状況を説明するための図、図13は連結スタック時の仕上がり状況を説明するための図である。ここでは2台の複写機がIEEE1394インターフェースを介して接続状態にあり親機200で原稿を読み取り、読み取った画像を上記インターフェースを使って子機210に転送して、親機200及び子機210で印刷を分担する場合を例に取っている。
【0043】
まず、親機200の連結動作は、図9に示すように、図3の連結モードキー40が押下されることにより上記インターフェースにより接続されている子機の複写機210が存在するかどうかをチェックし、存在する場合には連結モードキー40が白黒反転し、親機200以外の複写機と接続できたこととなる。また同時に図2のプリントキー34がグリーンとなり、コピースタート可能な状態となる(ステップS1001)。両面キー89から週刊誌キーを押下した上で、プリントキー34が押下されると、原稿を読み込むために圧板またはADF1に原稿が存在するかどうかチェックする(ステップS1002)。原稿が存在しない場合には「原稿サイズが分かりません」のメッセージを図3のメッセージエリア81に表示する。原稿が存在している場合には、原稿台にあった原稿を給送ローラ3、給送ベルト4によりコンタクトガラス6上に送り、読み取りユニット50によって原稿を読み込む(ステップS1003)。
【0044】
原稿を読み込むと、読み込んだ画像をさらにメモリ集約するモードであるかどうか判定をする(ステップS1004)。通常の片面→片面コピーのようなモードでは、メモリ集約をすることなく、読み込まれた原稿画像をそのまま印刷するため、ステップS1005に進む。メモリ集約するモードはステップS1013以降で後述する。ステップS1005では、原稿を読み込むことによって得られる画像に関する情報及び画像データを子機側へ送信する。画像情報(画像主副走査ドット数、転写紙サイズコード、解像度、画像方向、印刷面、画像フォーマットデータ等)は連結I/Fドライバ48を介して親機200から子機210へ送信される。なお、これらの画像に関する情報は子機210で印刷する際必要な情報である。画像主副走査ドット数は書き込みの範囲、転写紙サイズコードはトレイを自動選択、画像方向は印刷する際の出力回転角度、印刷面は片面/両面表面/両面裏面のどの面で印刷するのかに必要となる。また、実際に読み込まれた画像データは、画像情報と同じく連結I/Fドライバ48を介して親機200から子機210へ転送されるのと同時に親機200の画像メモリ66に書き込まれ、印刷時読み出される。また、複数部のソート印刷では一旦その画像は次の画像を画像メモリに書き込む為に、一旦HDD71に退避する。ここで親機200では読み取りの処理と印刷の処理が並行に行われる。読み取り処理ではステップS1003にて読み取り動作を行った原稿が最終原稿かどうかの判定をする(ステップS1006)。最終原稿でなければ再度ステップS1003に戻り読み取り動作を実行する。最終原稿であれば最終原稿であることを子機210に通知する(ステップS1007)。次に実際の画像転送が行われたどうかのチェックを行い(ステップS1008)、全原稿画像の転送が完了した時点で子機へ画像転送終了通知を送信する(ステップS1009)。
【0045】
一方、ソート時印刷処理ではその部の印刷を親機にて行ってもよいか、スタック時印刷処理ではその画像を親機にて行ってもよいかの判定を行う(ステップS1010)。その部を親機にて分担する場合には、実際に印刷を実行する(ステップS1011)。そして、ソート時には原稿分の印刷が1部完了した時点で、スタック時にはその画像が印刷完了した時点で、印刷結果成功を登録しておく(ステップS1012)。一方、ステップS1010にて親機200にて印刷分担するものがないと判定された場合には、ステップS1020に進む。ステップS1020では親機及び子機に割り当てた印刷が完了しているかどうかの判定を行い、完了している場合にはHDD71に退避しているか画像メモリ66上にある画像データを削除し(ステップS1021)、終了する(ステップS1022)。
【0046】
ここでステップS1004のメモリ集約動作であるかどうかに戻り、図9のような週刊誌モードが選択された場合には原稿画像からメモリ集約動作が行われ、新たな画像データが生成される。週刊誌モードでは最初の画像と最後の画像が同一のメモリ画像上に集約される為、最終原稿が確定するまで、読み取りは繰り返される(ステップS1013)。そして、本実施形態では原稿が8枚あるとすると、ステップS1006にて8枚目が最終原稿と判定され、図9のように1枚目の8枚目がメモリ集約され、次に2枚目と7枚目がメモリ集約され、次に3枚目と6枚目がメモリ集約され、最後に4枚目と5枚目がメモリ集約されて、印刷される画像が準備完了となる(ステップS1014)。印刷される画像が整うとメモリ集約モードでない場合と同様に印刷処理に進んで、親機印刷分の印刷を行う。
【0047】
ステップS1014においてメモリ集約画像の作成が終わると、スタンプ印字モードかどうか判定をし(ステップS1015)、スタンプ印字モードであれば親機200側に記憶されているスタンプデータを取り出し、それをステップS1014にて生成した画像に付加する(ステップS1016)。次にソートモードかスタックモードかの判定が行われる(ステップS1017)。ソートモードである場合には、図12のように親機200、子機210それぞれで原稿1枚目と原稿8枚目の集約画像から排紙され、最後に原稿4枚目と原稿5枚目の集約画像が排紙される。これを統合することにより単体で出力したソート出力と同じものが得られる。子機210側で原稿1枚目と原稿8枚目の画像が一番先頭から出力させるようにこれらの画像から転送を開始する(ステップS1019)。
【0048】
一方、スタックモードの場合は、図11のように親機では原稿1枚目と原稿8枚目の集約画像が部数分排紙され、次に原稿4枚目と原稿5枚目の集約画像が排紙されるが、子機側では原稿4枚目と原稿5枚目の集約画像から排紙さる。部数3ですでに親機で2部を割り当てられているため、そこで子機出力は終了となる。出力された親機の出力束と子機で出力された画像束を統合することにより単体で出力したスタック出力と同じものが得られる。ただし、統合する際、子機の出力束は表裏反対にして統合をする。そこで、子機210側で原稿4枚目と原稿5枚目の画像が一番先頭から出力させるようにこれらの画像から転送を開始する(ステップS1018)。ステップS1018及び1019からの画像はステップS1007に送られる。ここで生成された画像データにはスタンプデータが付加されているため、親機200側から子機210側に転送され、後述するようにステップS1029で子機210側で印刷される画像には、子機210側にはないスタンプ印字データを印刷することになる。
【0049】
このように、スタックモード時には親機200にて全ての集約画像データが生成された後、親機200から子機210に最終画像データから画像転送されるので、先頭画像から転送された場合のように、最終画像データの転送まで待つことなく、すぐに印刷動作に入り、結果的に連結システムとしての印刷出力完了時間を短縮することができ、かつ子機210側のメモリも早く開放することとなり、メモリ資源を有効に活用することができる。
【0050】
次に子機210の連結動作の流れについて図11を参照して説明する。子機210では親機200でプリントキー34が押下され、ステップS1001にて連結ジョブがスタートすると、親機200から子機210へ連結ジョブスタート要求がされ、子機210側の連結ジョブがスタートし(ステップS1023)、ステップS1024へ進む。ステップS1024では1ページ目の画像情報を要求し、1ページ目の画像情報応答がきているかをチェックし(ステップS1025)、画像情報を受信していればその画像が最終ページかどうか判定する(ステップS1026)。ステップS1025で待っているページ情報とはメモリ集約モードではない場合にはステップS1005、メモリ集約動作でソートモードの時にはステップS1019、メモリ集約動作でスタックモードの時にはステップS1018にて送信されたものである。ステップS1026の画像情報に情報なしのフラグがセットされていれば前ページで最終ページと判定し、実際の画像が転送されたかどうかの判定をするために、親機からの全画像転送終了の通知を待つ(ステップS1027)。これは親機200におけるステップS1008にあたる。逆に最終ページと判定されなかった場合にはN+1ページ目の画像情報を保存した上で(ステップS1031)、ステップS1024へ戻って、次のページの画像情報を要求する。
【0051】
ステップS1027において、親機200から全画像転送終了を受信すると、その部の印刷を子機210にて行ってもよいかの問い合わせを親機200に送信し(ステップS1028)、その返信がOKならば実際に印刷を実行する(ステップS1029)。そしてソートモードであれば最終ページまでの印刷が1部完了か、スタックモードではあればその画像が印刷完了すると印刷結果成功をステップS1030にて親機に送信する。親機200はステップS1020にて子機210に割り当てた印刷が完了したどうかの判定に前記結果を使用する。
【0052】
また、その返信がNGならば、子機210に割り当てられた印刷が完了しているかどうかを判定する(ステップS1032)。ここで子機210にて分担する印刷全てが完了していれば、親機200の印刷実行状態に関わらず、子機210のHDD71に退避している画像または画像メモリ66上の画像を削除し(ステップS1033)、終了する(ステップS1034)。ソートモード時は削除する画像は1ページ目から最終ページまでの画像を一度に削除することになり、スタック時は印刷完了した画像のみを削除することになる。このように子機210にて転送された集約画像を部数分の印刷が完了した時点で消去していくことによって、子機210側でのメモリ資源の有効活用に繋がる。
【0053】
なお、ステップS1014で原稿画像データからメモリ集約画像作成後、スタンプ印字モードかどうか判定をし(ステップS1015)、スタンプ印字モードであれば親機200側に記憶されているスタンプデータを取り出し、それをステップS1014にて生成した画像に付加している(ステップS1016)。ここで生成された画像データにはスタンプデータが付加されているため、ステップS1018またはステップS1019で親機200側から子機210側に転送され、ステップS1029で子機210側で印刷される画像には子機210側にはないスタンプ印字データを印刷することになる。このように、読み取った画像を集約した新たな画像データにさらに親機200で持っているスタンプデータ付加した画像データを子機210側に転送するため、子機210側にスタンプデータを保持する必要がなく、子機210側のメモリ資源を有効に活用することができる。
【0054】
また、ステップS1014で原稿画像データからメモリ集約画像作成後、合成モードかどうか判定をし、合成モードであれば親機側に記憶されている合成画像データを取り出し、それをステップS1014にて生成した画像に付加する。ここで生成された画像データにはスタンプデータが付加されているため、ステップS1018またはステップs1019で親機200側から子機210側に転送され、ステップS1029で子機210側で印刷される画像には子機210側にはない合成データを印刷することになる。このように、読み取った画像を集約した新たな画像データにさらに親機200で持っている合成画像データ付加した画像データを子機210側に転送するので、子機210側に合成画像データを保持する必要がなく、子機210側のメモリ資源を有効に活用することができる。
【0055】
更に、ステップS1014で原稿画像データからメモリ集約画像作成後、網掛けモードかどうか判定をし、網掛けモードであれば親機側に記憶されている網掛けパターンデータを取り出し、それをステップS1014にて生成した画像に付加することもできる。これにより、ここで生成された画像データには網掛けパターンデータが付加されているため、ステップS1018またはステップS1019で親機200側から子機210側に転送され、ステップS1029で子機210側で印刷される画像には子機210側にはない網掛けパターンデータを印刷することができる。このように、子機210側に網かけパターンデータを保持する必要がなく、子機210側のメモリ資源を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る複写機の全体の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の操作部の概略構成を示す図である。
【図3】図2の液晶タッチパネルの表示例を示す図である。
【図4】複写機の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】複写機の画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図6】図5のセレクタにおける1ページ分の画像信号を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】2台の複写機の接続関係を説明するための図である。
【図8】図7に示す複写機のソフトウェアモジュールを示す図である。
【図9】週刊誌モードの仕上がりの動作を説明する図である。
【図10】親機の連結動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】子機の連結動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】連結ソート時の仕上がり状況を説明するための図である。
【図13】連結スタック時の仕上がり状況を説明するための図である。
【符号の説明】
【0057】
1 自動原稿送り装置(ADF)
15 感光体
17 定着ユニット
18 排紙ユニット
20 メインコントローラ
30 操作部
31 液晶タッチパネル
34 プリントキー
48 連結インターフェースドライバ(連結I/Fドライバ)
49 画像処理ユニット(IPU)
50 読み取りユニット
57 書き込みユニット
65 画像メモリコントローラ
66 画像メモリ
71 ハードディスク(HD)
72 CPU
73 エンジン
100 フィニッシャ
112 両面ユニット
200 親機
210 子機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像データを集約して新たな画像データを生成する手段と、画像データを記憶する記憶手段と、記憶した画像を印刷する印刷手段とを備えた画像形成装置において、
他の画像形成装置に接続して使用する場合に、前記画像データをさらに集約して新たな画像データを自機で集約生成し、当該集約生成した画像データを印刷するモードでは、前記集約生成した画像データを他機に転送することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
スタックモード時には自機に全ての集約画像データが生成された後、最終画像データから他機に前記画像データが転送されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記自機から前記他機に転送された画像データの前記他機で設定された部数分の印刷が完了した時点で前記自機及び他機共に画像データを削除していくことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
スタンプ印字モードと組み合わせた場合に、前記自機から前記他機へスタンプ印字データを付加した画像データを転送することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
合成モードと組み合わせた場合に、前記自機から前記他機へ合成データを付加した画像データを転送することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
網掛けモードと組み合わせた場合に、前記自機から前記他機へ網掛けデータを付加した画像データを転送することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置が複数接続され、複数の画像形成装置の各々が分担して画像形成を行うことを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
前記自機が親機で、他機が子機として機能することを特徴とする請求項7記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−324863(P2007−324863A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152015(P2006−152015)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】