説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】周囲に誰もいない状況で省電力モードに移行した場合に、動作しないことによって不要な混乱を防ぐことを目的とする画像形成装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置が、画像データ記憶部が記憶する画像データに基づいて画像形成を実行する画像形成部を有する画像形成装置であって、検出した周囲光に基づいて光検出信号を出力する光検出部と、動作モードが省電力モードであるときに、画像形成指示を受け付けると、前記光検出部から入力された前記光検出信号に基づいて周囲の照度を判断し、周囲の照度が所定のしきい値未満である場合には、画像データを前記画像データ記憶部に蓄積し、その後に周囲の照度が所定のしきい値以上になると、前記画像データ記憶部に蓄積された前記画像データに基づいて前記画像形成部に画像形成させる制御部とを、具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、複合機、複写機及びプリンタには、地球環境に配慮して、画像形成処理が一定時間実行されないと、稼働電力を落とした状態の動作モード、すなわち省電力モードへ自動的に移行するものが存在し、このような省電力モードへ移行する複合機、複写機及びプリンタ等の画像形成装置が、家庭または会社の事務所等に普及している。そして、このような省電力モードへ移行する画像形成装置に関する発明が多数開示されており、例えば、下記特許文献1には、ネットワークにおける複数のカラープリンタのステータス情報をネットワーク上に接続されたネットワークサーバが受信することによって、スリープ状態(上記省電力モードに相当)やその他の要因によって濃度補正処理を必要とするカラープリンタプリンタに画像形成させるのを避けて、アクティブな状態、すなわち即座に印字できる状態のカラープリンタにジョブを送信してプリント出力させることによって短時間で画像形成することが出来るカラープリントシステムが開示されている。
そして、このような画像形成装置に複写機能及び/または印刷機能と共にファクシミリを送受信する為のファクシミリ機能とを併せ持つものも大変存在し、ファクシミリ機能が搭載された画像形成装置が、省電力モードに移行しているときに、ファクシミリを受信すると、その省電力モードから稼動モードへ復帰し、ファクシミリの受信結果を出力する。
【特許文献1】特開2003−103884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術では、省電力モードへ移行したとしても、ファクシミリを受信すると、省電力モードから稼動モードへ復帰して、ファクシミリの受信結果を出力している。しかしながら、会社の事務所に画像形成装置が設置されている場合に、画像形成装置を活用する社員全員が帰宅し、画像形成装置の周囲に社員がだれもいないような状況で、画像形成装置が省電力モードに移行し、そのような状況でファクシミリを受信し、省電力モードから稼動モードへ復帰してファクシミリの受信結果を出力させてしまうと、周囲に社員が誰もいないような状況で画像形成装置を動作させてしまうことになってしまう為、多量の電力によって動作する画像形成装置から出火した場合に、その出火による被害が拡大してしまう恐れがある。
【0004】
さらに、画像形成装置の周囲に社員がいない状況で、ファクシミリを次々に出力してしまうと、誰にも整理されないファクシミリの受信結果がたまってしまい、次の朝に会社に来たユーザがたまったファクシミリの受信結果を1件ずつ分けて整理しなければならず大きな負担になる。また、ファクシミリの受信結果が多量たまっていると個別の用件のファクシミリが他の用件のファクシミリに紛れてしまい実作業に混乱を招く恐れがある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、周囲に誰もいない状況で省電力モードに移行した場合に、動作しないことによって不要な混乱を防ぐことを目的とする画像形成装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、画像形成装置に係る第1の解決手段として、画像データ記憶部が記憶する画像データに基づいて画像形成を実行する画像形成部を有する画像形成装置であって、
検出した周囲光に基づいて光検出信号を出力する光検出部と、動作モードが省電力モードであるときに、画像形成指示を受け付けると、前記光検出部から入力された前記光検出信号に基づいて周囲の照度を判断し、周囲の照度が所定のしきい値未満である場合には、画像データを前記画像データ記憶部に蓄積し、その後に周囲の照度が所定のしきい値以上になると、前記画像データ記憶部に蓄積された前記画像データに基づいて前記画像形成部に画像形成させる制御部とを、具備するという手段を採用する。
【0007】
本発明では、画像形成装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記制御部は、周囲の照度が所定のしきい値以上かつ所定の時刻になると、前記画像データ記憶部に蓄積された画像データに基づいて前記画像形成部に画像形成させるという手段を採用する。
【0008】
本発明では、画像形成装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記光検出部は、光センサ内蔵液晶ディスプレイであるという手段を採用する。
【0009】
また、本発明では、画像形成システムに係る第1の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段を採用する画像形成装置でありかつ外部と通信する通信I/F部を具備する第1の画像形成装置と、前記第1の画像形成装置と通信する第2の画像形成装置とを具備し、前記第1の画像形成装置の前記制御部は、前記光検出信号に基づいて周囲の照度を判断し、前記第2の画像形成装置へ対して当該周囲の照度を通信I/F部に通知させ、前記第2の画像形成装置は、動作モードが省電力モードであるときに、画像形成指示を受け付けると、前記第1の画像形成装置から通知された周囲の照度が所定のしきい値未満である場合に、画像データを蓄積し、その後に前記第1の画像形成装置から通知された周囲の照度が所定のしきい値以上になると、蓄積された当該画像データに基づいて前記画像形成するという手段を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置が、画像データ記憶部が記憶する画像データに基づいて画像形成を実行する画像形成部を有する画像形成装置であって、検出した周囲光に基づいて光検出信号を出力する光検出部と、動作モードが省電力モードであるときに、画像形成指示を受け付けると、前記光検出部から入力された前記光検出信号に基づいて周囲の照度を判断し、周囲の照度が所定のしきい値未満である場合には、画像データを前記画像データ記憶部に蓄積し、その後に周囲の照度が所定のしきい値以上になると、前記画像データ記憶部に蓄積された前記画像データに基づいて前記画像形成部に画像形成させる制御部とを、具備する。
【0011】
すなわち、画像形成装置は、周囲の照度が所定のしきい値未満である場合に、すなわち照明が点灯しておらず室内に人がいない状況である場合に、画像形成指示を受け付けても画像形成を実行せずに画像データの記憶のみ実行し、周囲の照度が所定のしきい値以上になる、すなわち照明が点灯しており室内に人がいる状況になると、記憶している画像データに基づいて画像形成を実行する。このことにより、周囲に誰もいないような状況において画像形成装置の動作によって出火する可能性を低減させることが出来る為、出火による被害の拡大を未然に防ぐことが出来る。また、画像形成装置は、室内に人がいる状況になって画像形成を実行する為、人がいない画像形成結果がたまることがなく、たまった画像形成結果を1件ずつ分けて整理するという負担を軽減することが出来ると共に個別の用件の画像形成結果が他の用件の画像形成結果に紛れてしまうという問題が発生することを防ぐことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本発明の画像形成装置の一つである複写機能、印刷機能、ファクシミリ送信/受信機能を併せ持つ複合機及び当該複合機によって構成される画像形成システムに関する。
図1は、本実施形態に係る画像形成システムAのシステム構成図である。
この画像形成システムAは、図1に示すように、複合機B1,B2、プリンタC、ローカルエリアネットワークD及び公衆網Eから構成されている。なお、複合機B1,B2及びプリンタCは、同じ室内に設置されている。
【0013】
複合機B1,B2は、ローカルエリアネットワークDを介してお互いに接続すると共に、ローカルエリアネットワークDを介してプリンタC、公衆網E及びクライアントコンピュータ(図示略)に接続する。この複合機B1,B2は、複写指示に基づいて複写処理を実行し、ローカルエリアネットワークDを介してクライアントコンピュータから受け付けた印刷指示に基づいて印刷処理を実行し、さらにローカルエリアネットワークDを介して公衆網Eからファクシミリを受信すると、ファクシミリ画像データに基づいて受信結果の出力処理を実行する。
【0014】
プリンタCは、ローカルエリアネットワークDを介して複合機B1,B2、公衆網E及びクライアントコンピュータ(図示略)に接続し、ローカルエリアネットワークDを介してクライアントコンピュータから受け付けた印刷指示に基づいて印刷処理を実行し、さらにローカルエリアネットワークDを介して公衆網Eからファクシミリを受信すると、ファクシミリデータに基づいて受信結果の出力処理を実行する。
【0015】
ローカルエリアネットワークDは、LAN(Local Area Network)ケーブル及びLANハブ等によって構成され、複合機B1,B2、プリンタC、公衆網E及びクライアントコンピュータ(図示略)とを接続する。このローカルエリアネットワークDは、複合機B1,B2、プリンタC、公衆網E及びクライアントコンピュータの間の通信における伝送路である。
【0016】
上記構成の画像形成システムAにおける複合機B1,B2の機能構成について、図2を参照して、説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成システムAにおける複合機B1の機能ブロック図である。
複合機B1は、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、各種センサ群4、用紙搬送部5、画像読取部6、画像データ記憶部7、画像形成部8、通信I/F部9、操作表示部10を備えている。そして操作表示部10は、光センサ内蔵液晶ディスプレイ10aを有している。
【0017】
また、複合機B2は、CPU21、ROM22、RAM23、各種センサ群24、用紙搬送部25、画像読取部26、画像データ記憶部27、画像形成部28、通信I/F部29、操作表示部30を備えている。そして、複合機B2は、複合機B2と異なり、操作表示部30に、通常のタッチセンサによって構成されたタッチパネル30aを備えている。なお、光センサ内蔵液晶ディスプレイ10aとタッチパネル30aとの違い以外、複合機B1のCPU1〜操作表示部10と、複合機B2のCPU21〜操作表示部30とは、それぞれと同一の機能構成要素である為、複合機B2の各部の詳細について、説明を省略する。
【0018】
CPU1は、ROM2に記憶されている制御プログラム、画像データ記憶部7に記憶されている原稿画像データ、印刷画像データまたはファクシミリ画像データ、通信I/F部9を介してクライアントコンピュータ(図示略)または公衆網Eから入力される各種指示及び操作表示部10から入力される操作指示に基づいて複合機B1の全体動作を制御する。なお、このCPU1の制御処理の詳細については、以下に複合機B1の動作として説明する。
ROM2は、CPU1で実行される制御プログラム及びその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。
【0019】
RAM3は、CPU1が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリである。
各種センサ群4は、例えば用紙切れ検出センサや、用紙詰まり検出センサ、用紙位置検出センサ、温度センサ等の画像形成動作に必要な各種センサであり、それぞれのセンサで検出した各種の情報を検出信号としてCPU1に出力する。
【0020】
用紙搬送部5は、用紙トレイに収納されている印刷用紙を画像形成部8に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータや、画像形成処理後の印刷用紙を図示しない排紙トレイに搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータなどから構成されている。
【0021】
画像読取部6は、ADF(自動原稿送り装置)とCCD(Charge Coupled Device)センサ等を備え、ADFによって順次給紙される原稿の画像をCCDセンサに読み取らせ、原稿画像に基づく原稿画像データを出力する。なお、画像読取部6は、原稿画像データをCPU1に出力し、一方、CPU1は、原稿画像データを画像データ記憶部7に記憶させる。
画像データ記憶部7は、例えばフラッシュメモリであり、CPU1の指示の下、原稿画像データ、通信I/F部9がローカルエリアネットワークDを介してクライアントコンピュータから受信する印刷画像データ及び通信I/F部9がローカルエリアネットワークDを介して公衆網Eから受信するファクシミリ画像データを記憶する。
【0022】
画像形成部8は、CPU1の制御の下、画像データ記憶部7に記憶されている原稿画像データ、印刷画像データまたはファクシミリ画像データに基づいて、用紙搬送部5から搬送される印刷用紙にトナーによって形成される画像形成画像を転写し、定着ローラによって当該画像形成画像の定着処理を行う。
通信I/F部9は、ローカルエリアネットワークDを介して複合機B2、プリンタC、公衆網E及びクライアントコンピュータ(図示略)に接続し、この複合機B2、プリンタC、公衆網E及びクライアントコンピュータとの間で各種信号の送受信を行う。
【0023】
操作表示部10は、スタートキー、ストップキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)、光センサ内蔵液晶ディスプレイ10a、クリアキーやその他の各種操作キー、を備えており、それぞれのキーの操作指示をCPU1に出力すると共に、CPU1の制御の下、光センサ内蔵液晶ディスプレイ10aに種々の画面を表示する。そして、この光センサ液晶ディスプレイは、1画素ごとにフォトダイオードが形成された液晶ディスプレイであり、画面に触れた際の光の変化を検出してタッチパネルやスキャナーとして機能させることが出来る。さらに、光センサ液晶ディスプレイは、CPU1の制御の下、周囲の明るさを検出して、この検出結果に基づく周囲光検出信号をCPU1へ出力する。
【0024】
そして、上記構成の画像形成システムAにおけるプリンタCの機能構成について、図3を参照して、説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成システムAにおけるプリンタCの機能ブロック図である。
プリンタCは、CPU41、ROM42、RAM43、各種センサ群44、用紙搬送部45、画像データ記憶部46、画像形成部47、通信I/F部48、操作部49及び表示部50を備えている。
【0025】
CPU41は、ROM42に記憶されている制御プログラム、画像データ記憶部46に記憶されている印刷画像データまたはファクシミリ画像データ、通信I/F部48を介してクライアントコンピュータ(図示略)または公衆網Eから入力される各種指示及び操作部49から入力される操作指示に基づいてプリンタCの全体動作を制御する。なお、このCPU41の制御処理の詳細については、以下にプリンタCの動作として説明する。
ROM42は、CPU41で実行される制御プログラム及びその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。
【0026】
RAM43は、CPU41が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリである。
各種センサ群44は、例えば用紙切れ検出センサや、用紙詰まり検出センサ、用紙位置検出センサ、温度センサ等の画像形成動作に必要な各種センサであり、それぞれのセンサで検出した各種の情報を検出信号としてCPU41に出力する。
【0027】
用紙搬送部45は、用紙トレイに収納されている印刷用紙を画像形成部47に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータや、画像形成処理後の印刷用紙を図示しない排紙トレイに搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータなどから構成されている。
画像データ記憶部46は、例えばフラッシュメモリであり、CPU41の指示の下、通信I/F部48がローカルエリアネットワークDを介してクライアントコンピュータから受信する印刷画像データ及び通信I/F部48がローカルエリアネットワークDを介して公衆網Eから受信するファクシミリ画像データを記憶する。
【0028】
画像形成部47は、CPU1の制御の下、画像データ記憶部46に記憶されている印刷画像データまたはファクシミリ画像データに基づいて、用紙搬送部5から搬送される印刷用紙にトナーによって形成される画像形成画像を転写し、当該画像形成画像の定着処理を行う。
通信I/F部48は、ローカルエリアネットワークDを介して複合機B1,B2、公衆網E及びクライアントコンピュータ(図示略)に接続し、この複合機B1,B2及びクライアントコンピュータとの間で各種信号の送受信を行う。
【0029】
操作部49は、メニューキー、オンラインキー、電源キー、リセットキー、上下左右キーやその他の各種操作キーを備えており、それぞれのキーの操作指示をCPU41に出力する。
表示部50は、例えば液晶モニタであり、CPU41から入力される信号に基づいて画像や文字からなる種々の画面を表示する。
【0030】
次に、上記構成の画像形成システムAにおける複合機B1、複合機B2及びプリンタCの動作について、図4及び図5を参照して説明する。
まず、複合機B1のファクシミリの受信結果の出力動作について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る画像形成システムAの複合機B1のファクシミリ受信結果の出力動作を示すフローチャート図である。
【0031】
複合機B1では、所定時間にわたってユーザから操作表示部10が操作指示を受け付けていない、複写指示または印刷指示が入力されない場合に、CPU1が、最低限必要なCPU1、ROM2、RAM3、通信I/F部9及び操作表示部10以外の各部への電力の供給を減少または停止する、すなわち省電力モードへ移行させる。そして、複合機B2でも、複合機B1と同様に、所定時間にわたってユーザから操作指示、複写指示及び印刷指示が入力されない場合に、CPU21の指示に基づいて、省電力モードへ移行する。
【0032】
さらに、プリンタCでも、所定時間にわたってユーザから操作指示、印刷指示が入力されないと、CPU41の指示に基づいて、省電力モードへ移行する。すなわち、複合機B1、複合機B2及びプリンタCでは、各種指示が入力されていない間の時間を計時する省電力移行タイマが設けられ、この省電力タイマが規定された所定時間を計時してタイムアウトすると、最低限必要な機能以外の画像読取及び画像形成時に動作する機能への電力の供給を減少または停止する。
【0033】
まず、複合機B1のCPU1は、ローカルエリアネットワークDを介して通信I/F部9がファクシミリを受信したか否か判定し(ステップS1)、ステップS1において『NO』と判定した場合には、すなわち通信I/F部9がファクシミリを受信していないと判定した場合には、通信I/F部9がファクシミリを受信するまで待機し、ステップS1において『YES』と判定した場合には、すなわち通信I/F部9がファクシミリを受信したと判定した場合には、動作モードが省電力モードであるか否か判定する(ステップS2)。
【0034】
CPU1は、ステップS2において『NO』と判定した場合には、すなわち動作モードが省電力モードではない稼働モードである場合には、ファクシミリ画像データを画像データ記憶部7に記憶させ、当該ファクシミリ画像データに基づいて印刷用紙へ画像形成部8に画像形成させる(ステップS3)。そして、CPU1は、ステップS2において『YES』と判定した場合には、すなわち動作モードが省電力モードである場合には、光センサ内蔵液晶ディスプレイ10aから入力される周囲光検出信号に基づいて周囲の照度を判断し、周囲の照度が所定のしきい値以上であるか否か判定する(ステップS4)。
なお、上記しきい値は、事務所等の室内における、室内における照明の点灯と未点灯とを判断する為の基準であり、予め照明の点灯及び未点灯時の照度に基づいて決定される。
【0035】
CPU1は、ステップS4において『YES』と判定した場合には、すなわち周囲の照度が所定のしきい値以上である場合には、ファクシミリ画像データに基づく画像形成動作に関わる各種センサ群4、用紙搬送部5、画像データ記憶部7及び画像形成部8への電力の供給を再開し(ステップS5)、ステップS3においてファクシミリ画像データを画像データ記憶部7に記憶させ、当該ファクシミリ画像データに基づいて印刷用紙へ画像形成部8に画像形成させる。
CPU1は、ステップS4において『NO』と判定した場合には、すなわち周囲の照度が所定のしきい値未満である場合には、ファクシミリ画像データの記憶動作に関わる画像データ記憶部7への電力の供給を再開し(ステップS6)、ファクシミリ画像データを画像データ記憶部7に記憶させる(ステップS7)。
【0036】
CPU1は、ステップS7の後に、光センサ内蔵液晶ディスプレイ10aから入力される周囲光検出信号に基づいて周囲の照度を判断し、周囲の照度が所定のしきい値以上になったか否か判定し(ステップS8)、ステップS8において『NO』と判定した場合には、すなわち周囲の照度が所定のしきい値未満である場合には、周囲の照度が所定のしきい値以上になるまで待機し、ステップS8において『YES』と判定した場合には、すなわち周囲の照度が所定のしきい値以上である場合には、ファクシミリ画像データの画像形成動作に関わる各種センサ群4、用紙搬送部5、及び画像形成部8への電力の供給を再開し(ステップS9)、画像データ記憶部7が記憶するファクシミリ画像データに基づいて印刷用紙へ画像形成部8に画像形成させる(ステップS10)。
【0037】
次に、複合機B2及びプリンタCのファクシミリの受信結果の出力動作について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る複合機B2及びプリンタCのファクシミリの受信結果の出力動作を示すシーケンス図である。
CPU1は、所定時間間隔毎に光センサ内蔵液晶ディスプレイ10aから入力される周囲光検出信号に基づいて周囲の照度を判断し、周囲の照度が所定のしきい値以上であるか否か判定する。(ステップS21)。
【0038】
CPU1は、ステップS21において周囲の照度が所定のしきい値以上であると判定した場合には、ローカルエリアネットワークDを介して複合機B2及びプリンタCへ対して周囲の照度が所定のしきい値以上である旨を示す周囲照度通知を通信I/F部9に送信させ、ステップS1において周囲の照度が所定のしきい値未満であると判定した場合には、複合機B2及びプリンタCへ対して周囲の照度が所定のしきい値未満である旨を示す周囲照度通知を通信I/F部9に送信させる(ステップS22)。
【0039】
プリンタCのCPU41は、通信I/F部48が受信した周囲照度通知から周囲の照度を判断し、図4に示す複合機B1のファクシミリ受信結果の動作と同様に、ファクシミリを受信した際に、動作モードが省電力モードである場合に、周囲照度通知から周囲の照度が所定のしきい値未満であると判断すると、省電力状態である画像データ記憶部7への電力の供給を再開し、ファクシミリ画像データを画像データ記憶部46に記憶させ、その後に周囲照度通知から周囲の照度が所定のしきい値以上になったと判定すると、画像データ記憶部46が記憶するファクシミリ画像データに基づいて印刷用紙へ画像形成部47に画像形成させる(ステップS23)。
【0040】
また、複合機B2のCPU21も、プリンタCと同様に、通信I/F部29が受信した周囲照度通知から周囲の照度を判断し、ファクシミリを受信した際に、動作モードが省電力モードである場合に、周囲照度通知から周囲の照度が所定のしきい値未満であると判断すると、省電力状態である画像データ記憶部27への電力の供給を再開し、ファクシミリ画像データを画像データ記憶部27に記憶させ、その後に周囲照度通知から周囲の照度が所定のしきい値以上になったと判定すると、画像データ記憶部27が記憶するファクシミリ画像データに基づいて印刷用紙へ画像形成部28に画像形成させる(ステップS24)。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る画像形成システムAにおける複合機B1が、省電力モードである場合に、ファクシミリを受信すると、CPU1は、光センサ内蔵液晶ディスプレイ10aから入力される周囲光検出信号に基づいて周囲の照度を判断し、周囲の照度が所定のしきい値未満であると判定すると、ファクシミリ画像データの記憶動作に関わる画像データ記憶部7への電力の供給を再開し、ファクシミリ画像データを画像データ記憶部7に記憶させ、その後に周囲の照度が所定のしきい値以上になったと判定すると、ファクシミリ画像データの画像形成動作に関わる各種センサ群4、用紙搬送部5、及び画像形成部8への電力の供給を再開し、画像データ記憶部7が記憶するファクシミリ画像データに基づいて印刷用紙へ画像形成部8に画像形成させる。
【0042】
すなわち、複合機B1は、周囲の照度が所定のしきい値未満である場合に、すなわち照明が点灯しておらず室内に人がいない状況である場合に、ファクシミリを受信してもその受信結果の出力動作を実行せずにファクシミリ画像データの記憶のみ実行し、周囲の照度が所定のしきい値以上になる、すなわち照明が点灯しており室内に人がいる状況になると、記憶しているファクシミリ画像データに基づいて受信結果を出力する。このことにより、周囲に誰もいないような状況において複合機B1の動作によって出火する可能性を低減させることが出来る為、出火による被害の拡大を未然に防ぐことが出来る。また、複合機B1は、室内に人がいる状況になって受信結果を出力する為、人がいない間にファクシミリの受信結果がたまることがなく、たまったファクシミリの受信結果を1件ずつ分けて整理するという負担を軽減することが出来ると共に個別の用件のファクシミリが他の用件のファクシミリに紛れてしまうという問題が発生することを防ぐことが出来る。
【0043】
さらに、周囲の光を検出する検出する光検出機能を具備しない複合機B2及びプリンタCに対して、複合機B1が周囲の照度を通信によって通知することによって、複合機B2及びプリンタCも、複合機B1と同様に、周囲の照度が所定のしきい値未満である場合に、すなわち照明が点灯しておらず室内に人がいない状況である場合に、ファクシミリを受信してもその受信結果の出力動作を実行せずにファクシミリ画像データの記憶のみ実行し、周囲の照度が所定のしきい値以上になる、すなわち照明が点灯しており室内に人がいる状況になると、記憶しているファクシミリ画像データに基づいて受信結果を出力することが出来る。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、CPU1が、光センサ内蔵液晶ディスプレイ10aから入力される光検出信号から周囲の照度を判断し、周囲の照度が所定のしきい値未満から所定のしきい値以上になると、画像データ記憶部7に記憶するファクシミリ画像データに基づいて画像形成を画像形成部8に実行させたが、本発明はこれに限定されない。
室内の照度は、室内の照明以外にも、窓から照射される日光に影響される為、例えば、夏の日の出の時間が早い季節は、室内に人がおらず照明が点灯していないにも関わらず、CPU1は、室内の照明が点灯されたと勘違いして、ファクシミリの受信結果の出力を実行してしまう可能性がある。その為、CPU1は、周囲の照度と共に時刻によって、ファクシミリの受信結果の出力を実行するか否か判定するようにしてもよい。
【0045】
(2)上記実施形態では、複合機B1が、光センサ内蔵液晶ディスプレイ10aから入力される周囲光検出信号に基づいて周囲の照度を判断したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、複合機B1が、光センサ内蔵液晶ディスプレイ10aの代わりに表示部として通常のタッチパネルを具備すると共にCCD(Charge-Coupled Devices)方式またはCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)方式の受光素子を内蔵する光検出部を具備し、CPU1は、この光検出部から入力される光検出信号に基づいて、周囲の照度を判断するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムAのシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成システムAにおける複合機B1の機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成システムAにおけるプリンタCの機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成システムAの複合機B1のファクシミリ受信結果の出力動作を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成システムAの複合機B2及びプリンタCのファクシミリの受信結果の出力動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0047】
A…画像形成システム、B1,B2…複合機、C…プリンタ、D…ローカルエリアネットワーク、E…公衆網、1,21…CPU、2,22…ROM、3,23…RAM、4,24…各種センサ群、5,25…用紙搬送部、6,26…画像読取部、7,27…画像データ記憶部、8,28…画像形成部、9,29…通信I/F部、10,30…操作表示部、10a…光センサ内蔵液晶ディスプレイ、30a…タッチパネル、41…CPU、42…ROM、43…RAM、44…各種センサ群、45…用紙搬送部、46…画像データ記憶部、47…画像形成部、48…通信I/F部、49…操作部、50…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データ記憶部が記憶する画像データに基づいて画像形成を実行する画像形成部を有する画像形成装置であって、
検出した周囲光に基づいて光検出信号を出力する光検出部と、
動作モードが省電力モードであるときに、画像形成指示を受け付けると、前記光検出部から入力された前記光検出信号に基づいて周囲の照度を判断し、周囲の照度が所定のしきい値未満である場合には、画像データを前記画像データ記憶部に蓄積し、その後に周囲の照度が所定のしきい値以上になると、前記画像データ記憶部に蓄積された前記画像データに基づいて前記画像形成部に画像形成させる制御部とを、
具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、周囲の照度が所定のしきい値以上かつ所定の時刻になると、前記画像データ記憶部に蓄積された画像データに基づいて前記画像形成部に画像形成させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記光検出部は、光センサ内蔵液晶ディスプレイであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置でありかつ外部と通信する通信I/F部を具備する第1の画像形成装置と、
前記第1の画像形成装置と通信する第2の画像形成装置とを具備し、
前記第1の画像形成装置の前記制御部は、前記光検出信号に基づいて周囲の照度を判断し、前記第2の画像形成装置へ対して当該周囲の照度を通信I/F部に通知させ、
前記第2の画像形成装置は、動作モードが省電力モードであるときに、画像形成指示を受け付けると、前記第1の画像形成装置から通知された周囲の照度が所定のしきい値未満である場合に、画像データを蓄積し、その後に前記第1の画像形成装置から通知された周囲の照度が所定のしきい値以上になると、蓄積された当該画像データに基づいて前記画像形成することを特徴とする画像形成システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−81474(P2010−81474A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249616(P2008−249616)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】