説明

画像形成装置及び画像形成管理システム

【課題】画像形成装置の管理者が予め設定した使用禁止時間帯の範囲内となったときは画像形成部を処理不可能とし、使用禁止時間帯の範囲内であってユーザー認証により許可された使用者と判断されたときに、画像形成部を処理可能とする画像形成装置及び画像形成管理システムを提供する。
【解決手段】
画像形成装置10の制御部110には、現在時刻が使用禁止時間帯の範囲内であるか否かを判定する使用禁止時間帯判定処理部110aと、使用禁止時間帯の範囲外にユーザ認証を行うユーザ認証処理部110bを備えている。更に制御部110は、画像形成部170が処理可能であるか否かを判定する機能と、画像形成部170が処理中であるか否かを判定する機能と、画像形成部170が処理可能のときに画像形成部170を処理不可能にする機能、及び画像形成部170が処理可能でないときに処理可能する機能を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成管理システムに係わり、ジョブの画像形成処理を処理可能にするか処理可能としない(以下、処理不可能という)かを設定することができる画像形成装置及び画像形成管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスにおいては、プリンタやMFP(Multifunction Peripheral、多機能周辺装置、多機能プリンタ)、又は複合機等の画像形成装置が普及している。これらの画像形成装置は、文書から画像データが形成され、形成した画像データについて印刷出力やFAXやメールでの送信が可能となるので、文書のセキュリティを確保するために画像形成装置ごとに使用できる者が制限されていることがある。しかし、このように画像形成装置ごとに使用できる者が制限されている場合であっても、夜間等の業務時間外において画像形成装置で機密文書の画像データを形成し、形成した画像データの印刷出力やFAXやメールでの送信により機密文書が持ち出されてしまう恐れがあった。
【0003】
使用を許可された者だけが画像形成装置を使用できるようにするために、使用者が画像形成装置を使用するときにICカードを読み込ませたり、または使用者IDやパスワードを設定することにより使用者を識別し、その使用を許可された者だけに画像形成装置を使用させる方法がある。例えば、特許文献1を参照すると、通信ネットワークを介して受け取ったジョブを印刷出力する機能を備えた画像形成装置が、実行要求されたジョブが用紙出力禁止期間内であるか否かを判定し、且つ、コンソール起動ジョブ(ユーサが画像形成装置のところにいてコンソールパネルを操作して始めて実行されるジョブ)であるか否かを判定し、そのジョブが用紙出力禁止期間内であり且つコンソール起動ジョブでないと判定すると、そのジョブを用紙出力禁止期間以後の所定時刻を出力予定時刻とし、その予定時刻が到来した時点で印刷出力する。このように制御することで、用紙出力禁止期間内でコンソールジョブでない全てのジョブの印刷出力を禁止し、夜間等の業務時間外における画像形成装置の印刷出力のセキュリティを確保する技術が記載されている。(以下、従来技術1とする)。
【特許文献1】特開2006−229499公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術1では、実行要求されたジョブが、例えば、親展ボックス宛でないファクシミリ受信ジョブやリモート装置から送信された親展ボックス宛でないプリントジョブの場合、これらのジョブはコンソール起動ジョブではないので用紙出力禁止期間内においては全く印刷出力されないことになる。また、認証手段による認証が成功した場合に印刷出力可能であることが記載されているが、用紙出力禁止期間外のみの場合である。しかし、用紙出力禁止期間(例えば夜間)であっても、ファクシミリ受信ジョブがあった場合に特定の夜勤者がファクシミリ受信ジョブを緊急に確認することが必要な場合がある。また、特定の夜勤者が緊急にリモート装置からプリント出力することが必要な場合がある。このような場合、従来技術1の制御方法では、特定の夜勤者が緊急な処理をできないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記の課題を解消することができる画像形成装置及び画像形成管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、ジョブの画像形成処理を処理可能にするか否かを設定できる画像形成装置であって、使用禁止時間の範囲内か使用禁止時間の範囲外かを判定する使用禁止時間判定手段と、前記使用禁止時間の範囲内のときにユーザ認証を行うユーザ認証手段とを備え、前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されないとき、前記ジョブの画像形成処理を処理不可能にし、且つ前記ジョブを記憶装置に記憶し、前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されたとき、前記画像形成処理を処理可能にすることを特徴としている。
また本発明の画像形成装置は、前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されたとき、前記使用禁止時間の範囲内に前記記憶装置に記憶したジョブの画像形成処理を処理可能にすることを特徴としている。
また本発明の画像形成装置の前記使用禁止時間判定手段が判定する前記使用禁止時間は、前記画像形成装置が設置されている部屋の施錠時間と開錠時間により設定される設定手段を備えたことを特徴としている。
また本発明の画像形成装置は、前記ユーザ認証手段が認証するユーザIDとパスワードを記憶する記憶手段を備えたことを特徴としている。
また本発明の画像形成装置の前記パスワードは、ハッシュ関数で変換されて記憶されていることを特徴としている。
本発明の画像形成管理システムは、ネットワークに接続されている画像形成装置がジョブの画像形成処理を処理可能にするか否かを設定できる画像形成管理システムであって、使用禁止時間の範囲内か使用禁止時間の範囲外かを判定する使用禁止時間判定手段と、前記使用禁止時間の範囲内のときにユーザ認証を行うユーザ認証手段とを備え、前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されないとき、前記ジョブの画像形成処理を処理不可能にし、且つ前記ジョブを記憶装置に記憶し、前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されたとき、前記画像形成処理を処理可能にすることを特徴としている。
また本発明の画像形成管理システムは、前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されたとき、前記使用禁止時間の範囲内に前記記憶装置に記憶したジョブの画像形成処理を処理可能にすることを特徴としている。
また本発明の画像形成管理システムの前記記憶手段は、ネットワークに接続された画像形成装置管理サーバに備えられたことを特徴としている。
また、本発明の画像形成管理システムの前記使用禁止時間判定手段が判定する前記使用禁止時間は、前記画像形成装置が設置されている部屋の施錠時間と開錠時間により設定される設定手段を備えたことを特徴としている。
また、本発明の画像形成管理システムは、前記ユーザ認証手段が認証するユーザIDとパスワードを記憶する記憶手段を備えたことを特徴としている。
また、本発明の画像形成管理システムの前記パスワードは、ハッシュ関数で変換されて記憶されていることを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置の画像形成管理方法は、ジョブの画像形成処理を処理可能にするか否かを設定できる画像形成装置の画像形成管理方法であって、使用禁止時間の範囲内か使用禁止時間の範囲外かを判定する使用禁止時間判定工程と、前記使用禁止時間の範囲内のときにユーザ認証を行うユーザ認証工程とを備え、前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証工程により認証されないとき、前記ジョブの画像形成処理を処理不可能にし、且つ前記ジョブを記憶装置に記憶し、前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証工程により認証されたとき、前記画像形成処理を処理可能にすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像形成装置及び画像形成管理システムは、画像形成装置の管理者が予め設定した使用禁止時間帯の範囲内となったときは画像形成装置の画像形成部を処理不可能にする。また、予め設定した使用禁止時間帯の範囲外となったとき、または使用禁止時間帯の範囲内であってユーザー認証により許可された使用者と判断されたときに、画像形成装置の画像形成部を処理可能にする。このようにすることで、画像形成装置で画像形成される文書のセキュリティーが確保できるとともに、使用が許可されている者は使用禁止時間帯の範囲内であっても、画像形成装置で文書を画像形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<実施の形態>
(画像形成管理システムの構成)
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の機能構成について説明する。
【0009】
図1に示すように画像形成装置10は、それぞれ各機能のまとまりである機能部位であるところの制御部110と、補助記憶部120、データ保存部130、操作パネル140、操作パネル処理部150、文書読取部160、画像形成部170、及びネットワーク通信部180等を備えている。制御部110と、補助記憶部120、データ保存部130、操作パネル処理部150、画像形成部170、及びネットワーク通信部180は、これら各部位を接続するバスなどにより接続される構成となっている。
【0010】
制御部110は、RAMやROM等の主記憶手段、及びMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の制御手段、及び現在時刻のカウント手段を備えている。また、制御部110は、各種I/Oや、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)等のインターフェース、バスコントローラ等を含む総合的な画像形成装置10のコントロールを行う部位である。制御部110には、現在時刻が使用禁止時間帯の範囲内であるか否かを判定する使用禁止時間帯判定処理部110aと、使用禁止時間帯の範囲外にユーザ認証を行うユーザ認証処理部110bを備えている。更に制御部110は、画像形成部170が処理可能であるか否かを判定する機能と、画像形成部170が処理中であるか否かを判定する機能と、画像形成部170が処理可能のときに処理不可能にする機能、及び画像形成部170が処理不可能のときに処理可能とする機能を備えている。
【0011】
補助記憶部120は、フラッシュメモリ等からなる補助記憶装置で、制御部110が実行する処理のプログラムやデータを記憶する部位である。補助記憶部120には、図2に示すユーザ認証データ登録テーブル120aと、図3に示す使用禁止時間帯設定テーブル120bが記憶されている。ユーザ認証データ登録テーブル120aと使用禁止時間帯設定テーブル120bの構成については、後述する。また、補助記憶部120には、現在時刻が使用禁止時間帯である否かを示す使用禁止判定フラグが記憶されている。
【0012】
データ保存部130は、データやプログラムを保存するハードディスクドライブで、文書読取部160から読み取った文書やネットワーク通信部180が受信した画像データを、保存する必要があるときに保存する画像データ保存エリア130aを備えている。
【0013】
操作パネル140は、操作メニューの表示、使用者の指による操作を受け付ける部位である。操作パネル140には、図4に示すユーザ認証画面を表示することができる。
【0014】
操作パネル処理部150は、制御部110からの要求により印刷可能な画像イメージや画像形成装置10が備えている機能の操作項目を操作パネル140に表示する処理、操作パネル140から使用者の操作データを入力する処理を行う部位である。
【0015】
文書読取部160は、画像形成装置10の原稿台にセットされた文書の読み取りを行う部位で、使用者が操作パネル140から読み取り要求を行うことにより、文書の読み取りを行うことができる部位である。
【0016】
画像形成部170は、使用者から読み取り要求があった文書を印刷可能な画像イメージやFAXやメールで送信可能なイメージのデータに変換を行う部位である。
【0017】
ネットワーク通信部180は、ネットワーク20に接続するための、着脱可能なLANインターフェースを備えている。LANインターフェースには、TCP/IP、AppleTalk、SMB等の各種ネットワークプロトコルのインテリジェントな送受信を行うネットワーク部を含んでいる。
【0018】
図2を参照して、ユーザ認証データ登録テーブル120aについて説明する。ユーザ認証データ登録テーブル120aは、図2に示すように昇順につけられたNo.と、No.に対応するユーザIDとパスワードが登録されているテーブルである。ユーザIDは、画像形成装置10の使用者を識別するためのユニークな名称である。パスワードは、本人であることを確認するためのもので、アルファベットや数字からなる文字列である。このパスワードは、ハッシュ関数によりハッシュ値に変換されるので、本人以外は知ることができない。これにより、画像形成装置の使用者が登録するパスワードにより、使用者が本人であるかをユーザ認証することができる。ユーザIDとパスワードは、画像形成装置10の管理者によって使用が許可された者が、操作パネル140から登録を行う。例えば、図2に示すユーザ認証データ登録テーブル120aのNo.1には、ユーザIDが「Usera」、パスワードはユーザが登録したパスワードをハッシュ関数で変換した「****a」が登録されている。
ユーザ認証データ登録テーブル120aに登録するユーザIDとパスワードを、画像形成装置10の通常のユーザ認証のために登録されているユーザIDとパスワードとは別の登録値とすることで、通常のユーザ認証と異なる使用禁止時間帯におけるユーザ認証とすることができる。
【0019】
図3を参照して使用禁止時間帯設定テーブル120bの構成について説明する。使用禁止時間帯設定テーブル120bは、図3に示すように昇順につけられたNo.とNo.に対応する使用禁止時間帯の開始時刻と終了時刻が設定されているテーブルである。使用禁止時間帯の開始時刻は画像形成装置10において使用禁止を開始させる時刻であり、また使用禁止時間帯の終了時刻は画像形成装置10において使用禁止を終了させる時刻となり、画像形成装置10の管理者によって操作パネル140から設定される。例えば、図3に示す使用禁止時間帯設定テーブル120bのNo.2には、開始時刻「2008−11−20 19:00:00」、終了時刻「2008−11−21 9:00:00」が設定されているので、2008年11月20日の19時から2008年11月21日の9時までが画像形成装置10の使用禁止時間帯となる。このような使用禁止時間帯設定テーブル120bは、権限を与えられた画像形成装置10の管理者によって、操作パネル140から設定される。
【0020】
図4を参照して、ユーザ認証画面について説明する。図4に示すようにユーザ認証画面は、使用禁止時間帯に画像形成装置10を使用するときに、使用禁止時間帯であっても使用が許可されている者であるかを確認するための画面である。使用者がユーザ認証画面からユーザ名とパスワードを入力し、図2に示すユーザ認証登録テーブルに登録されているユーザ名とパスワードから使用が許可されている者であると確認できれば、使用禁止時間帯であっても、画像形成装置10の画像形成部が処理可能となり使用が許可される。
【0021】
図5は、本発明の実施の形態である制御部110の使用禁止時間帯判定処理部110aが実行する使用禁止時間帯判定処理の流れを示すフローチャートである。図6は、本発明の実施の形態である制御部110のユーザ認証処理部110bが実行するユーザ認証処理の流れを示すフローチャートである。図5に示す使用禁止時間帯判定処理により画像形成装置10が画像形成の使用禁止時間帯の範囲内であるか範囲外であるかを判定し、使用禁止時間帯の範囲内であれば、図6に示すユーザ認証処理によりユーザ認証が行われる。
【0022】
図5の使用禁止時間帯判定処理フローチャートを参照して、使用禁止時間帯判定処理手順を説明する。画像形成装置10の電源を投入すると、制御部110は使用禁止時間帯判定処理部110aに通知し、この通知により使用禁止時間帯判定処理部110aは、使用禁止時間帯判定処理を開始する。使用禁止時間帯判定処理部110aは、画像形成装置10の電源が切断されるまで実行される。
【0023】
(ステップS10)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、使用禁止判定フラグ(usfg)を初期化するために、使用禁止中でないとする「0」をセットする。使用禁止判定フラグ(usfg)には、使用禁止時間帯と判定されたときには「1」がセットされ、使用禁止時間帯でないと判定されたときには「0」がセットされる。
【0024】
(ステップS11)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、制御部110から現在時刻を取り出す。
【0025】
(ステップS12)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、図3に示す使用禁止時間帯設定テーブル120bのNo.のインデックスである(I)に初期値「1」をセットする。
【0026】
(ステップS13)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、補助記憶部120から使用禁止時間帯設定テーブル120bのNo.(I)に対応する開始時刻と終了時刻を取り出す。
【0027】
(ステップS14)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、ステップS11で取り出した現在時刻が、ステップS13で取り出した開始時刻と終了時刻の範囲内であるかを判定する。現在時刻が開始時刻と終了時刻の範囲内である(ステップS14のYes)ときは、使用禁止時間帯判定処理部110aは、使用禁止判定フラグ(usfg)を使用禁止時間帯とするステップS18に進む。また、現在時刻が開始時刻と終了時刻の範囲外である(ステップS14のNo)ときは、使用禁止時間帯設定テーブル120bのNo.のインデックス(I)に「1」を加算するステップS15に進む。
【0028】
(ステップS15)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、使用禁止時間帯設定テーブル120bのNo.を示すインデックス(I)に「1」を加算する。
【0029】
(ステップS16)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、使用禁止時間帯設定テーブル120bに設定されている全ての開始時刻と終了時刻についてチェックしたかを判定する。全ての開始時刻と終了時刻についてチェックした(ステップS16のYes)ときは、使用禁止時間帯判定処理部110aは、使用禁止判定フラグ(usfg)を使用禁止時間帯の範囲外とするステップS17に進む。また、全ての開始時刻と終了時刻についてチェックしていない(ステップS16のNo)ときは、使用禁止時間帯設定テーブル120bから開始時刻と終了時刻を取り出すステップS13に戻る。
【0030】
(ステップS17)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、使用禁止判定フラグ(usfg)に使用禁止時間帯の範囲外とする「0」をセットし、使用禁止判定フラグ(usfg)を補助記憶部120に記憶する。
【0031】
(ステップS18)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、使用禁止判定フラグ(usfg)に使用禁止時間帯の範囲内とする「1」をセットし、使用禁止判定フラグ(usfg)を補助記憶部120に記憶する。
【0032】
(ステップS19)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、画像形成部170が処理可能でないかを判定する。画像形成部170が処理可能でない(ステップS19のYes)ときは、使用禁止時間帯判定処理部110aは使用禁止時間帯判定処理を一定時間待ち状態とするステップS22に進む。また、画像形成部170が処理可能である(ステップS19のNo)ときは、画像形成部170が処理中であるかを判定するステップS20に進む。
【0033】
(ステップS20)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、画像形成部170が処理中であるかを判定する。画像形成部170が処理中(ステップS20のYes)のときは、使用禁止時間帯判定処理部110aは使用禁止時間帯判定処理を一定時間待ち状態とするステップS22に進む。また、画像形成部170が処理中でない(ステップS20のNo)ときは、画像形成部170を処理不可能にするステップS21に進む。
【0034】
(ステップS21)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、画像形成部170を処理不可能とする要求を制御部110に通知する。制御部110は、この通知により画像形成部170を処理不可能に変更する。
【0035】
(ステップS22)
使用禁止時間帯判定処理部110aは、使用禁止時間帯判定処理を一定時間待ち状態とし、再び現在時刻を取り出すステップS11に戻る。
【0036】
図6のユーザ認証処理フローチャートを参照して、ユーザ認証処理手順を説明する。使用者が操作パネル140に接触すると、操作パネル処理部150は制御部110に通知し、制御部110はユーザ認証処理部110bに通知する。この通知によりユーザ認証処理部110bは、ユーザ認証処理を開始する。
【0037】
(ステップS101)
ユーザ認証処理部110bは、補助記憶部120に記憶されている使用禁止判定フラグ(usfg)を取り出す。
【0038】
(ステップS102)
ユーザ認証処理部110bは、使用禁止判定フラグ(usfg)から使用禁止時間帯の範囲内であるかを判定する。使用禁止時間帯の範囲内(usfg=1)である(ステップS102のYes)ときは、ユーザ認証処理部110bは、図4に示すユーザ認証画面を表示するステップS105に進む。また、使用禁止時間帯の範囲外(usfg=0)である(ステップS102のNo)ときは、ユーザ認証処理部110bは、画像形成部170が処理可能でないかを判定するステップS103に進む。
【0039】
(ステップS103)
ユーザ認証処理部110bは、画像形成部170が処理可能でないかを判定する。画像形成部170が処理可能でない(ステップS103のYes)ときは、画像形成部170を処理可能とするステップS104に進む。また、画像形成部170が処理可能である(ステップS103のNo)ときは、ユーザ認証処理を終了する。
【0040】
(ステップS104)
ユーザ認証処理部110bは、画像形成部170を処理可能とする要求を制御部110に通知する。制御部110は、この通知により画像形成部170を処理可能に変更し、ユーザ認証処理を終了する。
【0041】
(ステップS105)
ユーザ認証処理部110bは、ユーザ認証画面の表示要求を操作パネル処理部150に出力すると、操作パネル処理部150は操作パネル140にユーザ認証画面を表示し、入力待ちとする。
【0042】
(ステップS106)
使用者がユーザ認証画面からユーザIDとパスワードを入力すると、操作パネル処理部150はユーザ認証処理部110bに通知する。ユーザ認証処理部110bは、ユーザIDとパスワードを操作パネル処理部150から入力する。
【0043】
(ステップS107)
ユーザ認証処理部110bは、図2に示すユーザ認証データ登録テーブル120aのNo.を示すインデックスである(J)に初期値「1」をセットする。
【0044】
(ステップS108)
ユーザ認証処理部110bは、補助記憶部120からユーザ認証データ登録テーブル120aのNo.(J)に対応するユーザIDとパスワードのハッシュ値を取り出す。
【0045】
(ステップS109)
ユーザ認証処理部110bは、ステップS106で入力したユーザIDと、ステップS108で取り出したインデックス(J)のユーザIDが同じであるか判定する。入力したユーザIDと、インデックス(J)のユーザIDが同じである(ステップS109のYes)ときは、ユーザ認証処理部110bは、パスワードをハッシュ値に変換するステップS113に進む。また、入力したユーザIDと、インデックス(J)のユーザIDが同じでない(ステップS109のNo)ときは、ユーザ認証データ登録テーブル120aに登録されている全てのユーザIDについてチェックしたかを判定するステップS110に進む。
【0046】
(ステップS110)
ユーザ認証処理部110bは、ユーザ認証データ登録テーブル120aに登録されている全てのユーザIDについてチェックしたかを判定する。全てのユーザIDについてチェックした(ステップS110のYes)ときは、ユーザ認証処理部110bは、使用を許可しない旨のメッセージを表示させるステップS112に進む。また、全てのユーザIDについてチェックしていない(ステップS110のNo)ときは、ユーザ認証処理部110bは、インデックス(J)に「1」を加算するステップS111に進む。
【0047】
(ステップS111)
ユーザ認証処理部110bは、ユーザ認証データ登録テーブル120aのNo.のインデックス(J)に「1」を加算し、ユーザ認証データ登録テーブル120aのNo.(J)に対応するユーザIDとパスワードのハッシュ値を取り出すステップS108に戻る。
【0048】
(ステップS112)
ユーザ認証処理部110bは、操作パネル処理部150に使用を許可しない旨のメッセージを出力すると、操作パネル処理部150は、操作パネル140に使用を許可しない旨のメッセージを表示する。
【0049】
(ステップS113)
ユーザ認証処理部110bは、ステップS106で入力したパスワードをハッシュ関数でハッシュ値に変換する。
【0050】
(ステップS114)
ユーザ認証処理部110bは、ステップS113で変換したパスワードのハッシュ値と、インデックス(J)のパスワードのハッシュ値が同じであるか判定する。入力したパスワードのハッシュ値と、インデックス(J)のパスワードのハッシュ値が同じである(ステップS114のYes)ときは、ユーザ認証処理部110bは、使用を許可する旨のメッセージを表示させるステップS115に進む。また、入力したパスワードのハッシュ値と、インデックス(J)のパスワードのハッシュ値が同じでない(ステップS114のNo)ときは、ユーザ認証処理部110bは、ユーザ認証データ登録テーブル120aに登録されている全てのユーザIDについてチェックしたかを判定するステップS110に進む。
【0051】
(ステップS115)
ユーザ認証処理部110bは、操作パネル処理部150に使用を許可する旨のメッセージを出力すると、操作パネル処理部150は、操作パネル140に使用を許可する旨のメッセージを表示する。
【0052】
(ステップS116)
ユーザ認証処理部110bは、画像形成部170を処理可能とする要求を制御部110に通知する。制御部110は、この通知により画像形成部170を処理可能に変更し、ユーザ認証処理を終了する。
【0053】
以上の使用禁止時間判定処理とユーザ認証処理により、画像形成装置10の管理者が予め設定した使用禁止時間帯の範囲内となったときは、画像形成部170を処理不可能とすることで、画像形成部170の処理要求があっても実行できないようにする。また、予め設定した使用禁止時間帯の範囲外となったとき、または使用禁止時間帯の範囲内であってユーザー認証により許可された使用者が使用するときに、画像形成部170を処理可能とすることで、画像形成部170の処理要求があったときは実行できるようにすることができる。
【0054】
本実施の形態は、画像形成装置10によって実現される実施の形態であるが、図7に示すように画像形成装置10とネットワークで接続されている画像形成装置管理サーバ30やパソコン40から、権限を与えられた画像形成装置10の管理者が使用禁止時間帯設定テーブル120bの設定を行うようにすることも可能である。
【0055】
本実施の形態は、図7に示す画像形成管理システムの構成のようにネットワークに接続されている画像形成装置管理サーバ30が複数の画像形成装置10を管理するときは、画像形成装置管理サーバ30の記憶装置に図8に示す複数画像形成装置の使用禁止時間帯設定テーブル120cを備えることで、複数の画像形成装置10においても実現することができる。複数画像形成装置の使用禁止時間帯設定テーブル120cは、図8に示すように画像形成装置名称とその画像形成装置名称ごとの昇順につけられたNo.と、No.に対応する使用禁止時間帯の開始時刻と終了時刻が設定されているテーブルである。画像形成装置名称は、複数の画像形成装置10に対してユニークに付けられた名称である。使用禁止時間帯の開始時刻は、画像形成装置10の使用禁止を開始させる時刻であり、また使用禁止時間帯の終了時刻は、画像形成装置10の使用禁止を終了させる時刻である。複数画像形成装置の使用禁止時間帯設定テーブル120cは、画像形成装置10の管理者によって画像形成装置管理サーバ30から設定される。例えば、図8に示す使用禁止時間帯設定テーブル120cの画像形成装置名称が「画像形成装置名称B」のNo.2には、開始時刻「2008−11−20 17:00:00」、終了時刻「2008−11−21 8:30:00」が設定されているので、画像形成装置名称Bの画像形成装置10は、2008年11月20日の17時から2008年11月21日の8時30分まで使用禁止時間帯の範囲となる。
【0056】
このような実施の形態によれば、画像形成装置10で画像形成される文書のセキュリティーが確保できるとともに、ユーザ認証データ登録テーブル120aに登録するユーザIDとパスワードを、画像形成装置10に通常設定されているユーザ認証のユーザIDとパスワードとは別のものを登録するようにすることで、使用禁止時間帯において画像形成装置10の使用を許可する使用者であるか否かを容易に判断することができる。
【0057】
(その他実施の形態)
その他実施の形態として、執務室の扉の施錠や開錠と連動させることで使用禁止時間帯の範囲内とするか範囲外とするかを判定することも可能である。例えば、建屋の執務室を管理するセキュリティシステムと連動させて、執務室の扉を施錠したときに執務室に設置されている画像形成装置の使用禁止時間帯の開始時刻となるようにし、また執務室の扉を開錠したときに使用禁止時間帯の終了時刻となるようにする。このように、執務室の扉の施錠や開錠と連動させて、画像形成装置の使用禁止時間帯の開始時刻と終了時刻が自動的に設定されるので、管理者による開始時刻と終了時刻の誤設定や設定忘れなどを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、画像形成装置における画像形成管理システムに好適であるが、画像形成装置以外に画像データを形成することができる電子機器の画像形成管理システムに応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るユーザ認証データ登録テーブルの構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る使用禁止時間帯テーブルの構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るユーザ認証画面の画面フォーマットである。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の使用禁止時間判定処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成装置のユーザ認証処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像形成管理システムの構成を示すシステム構成図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る複数画像形成装置の使用禁止時間帯テーブルの構成図である。
【符号の説明】
【0060】
10・・・・画像形成装置
20・・・・ネットワーク
30・・・・画像形成装置管理サーバ
40・・・・パソコン
110・・・制御部
110a・・使用禁止時間帯判定処理部
110b・・ユーザ認証処理部
120・・・補助記憶部
120a・・ユーザ認証データ登録テーブル
120b・・使用禁止時間帯設定テーブル
120c・・複数画像形成装置の使用禁止時間帯設定テーブル
130・・・データ保存部
130a・・画像データ保存エリア
140・・・操作パネル
150・・・操作パネル処理部
160・・・文書読取部
170・・・画像形成部
180・・・ネットワーク通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブの画像形成処理を処理可能にするか否かを設定できる画像形成装置であって、
使用禁止時間の範囲内か使用禁止時間の範囲外かを判定する使用禁止時間判定手段と、
前記使用禁止時間の範囲内のときにユーザ認証を行うユーザ認証手段とを備え、
前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されないとき、前記ジョブの画像形成処理を処理不可能にし、且つ前記ジョブを記憶装置に記憶し、
前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されたとき、前記画像形成処理を処理可能にすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されたとき、前記使用禁止時間の範囲内に前記記憶装置に記憶したジョブの画像形成処理を処理可能にすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記使用禁止時間判定手段が判定する前記使用禁止時間は、前記画像形成装置が設置されている部屋の施錠時間と開錠時間により設定される設定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ユーザ認証手段が認証するユーザIDとパスワードを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記パスワードは、ハッシュ関数で変換されて記憶されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ネットワークに接続されている画像形成装置がジョブの画像形成処理を処理可能にするか否かを設定できる画像形成管理システムであって、
使用禁止時間の範囲内か使用禁止時間の範囲外かを判定する使用禁止時間判定手段と、
前記使用禁止時間の範囲内のときにユーザ認証を行うユーザ認証手段とを備え、
前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されないとき、前記ジョブの画像形成処理を処理不可能にし、且つ前記ジョブを記憶装置に記憶し、
前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されたとき、
前記画像形成処理を処理可能にすることを特徴とする画像形成管理システム。
【請求項7】
前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証手段により認証されたとき、前記使用禁止時間の範囲内に前記記憶装置に記憶したジョブの画像形成処理を処理可能にすることを特徴とする請求項6に記載の画像形成管理システム。
【請求項8】
前記記憶手段は、ネットワークに接続された画像形成装置管理サーバに備えられたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成管理システム。
【請求項9】
前記使用禁止時間判定手段が判定する前記使用禁止時間は、前記画像形成装置が設置されている部屋の施錠時間と開錠時間により設定される設定手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の画像形成管理システム。
【請求項10】
前記ユーザ認証手段が認証するユーザIDとパスワードを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか一項に記載の画像形成管理システム。
【請求項11】
前記パスワードは、ハッシュ関数で変換されて記憶されていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成管理システム。
【請求項12】
ジョブの画像形成処理を処理可能にするか否かを設定できる画像形成装置の画像形成管理方法であって、
使用禁止時間の範囲内か使用禁止時間の範囲外かを判定する使用禁止時間判定工程と、
前記使用禁止時間の範囲内のときにユーザ認証を行うユーザ認証工程とを備え、
前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証工程により認証されないとき、前記ジョブの画像形成処理を処理不可能にし、且つ前記ジョブを記憶装置に記憶し、
前記使用禁止時間の範囲内で前記ユーザ認証工程により認証されたとき、前記画像形成処理を処理可能にすることを特徴とする画像形成装置の画像形成管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−136240(P2010−136240A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311887(P2008−311887)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】