説明

画像形成装置及び電子機器

【課題】電子機器において、機器の動作状態に応じて点灯される操作ボタン周縁の輝度むらを抑制する。
【解決手段】操作ボタンは導光部材55とカバー部材56で構成され、カバー部材56は赤外線受光素子57とその周囲を遮光する遮光部56aを有する。導光部材55の円板部55aとカバー部材56との間に配設された反射板60によって、LED52、53からの光が導光部材55の発光部55b及び導光部55cの方向に反射される。円板部55aの内部を発光部55b及び導光部55cの方向に透過した光は、発光部55b及び導光部55cと空気との境界において繰り返し反射しながら、遮光部56aの影となる非照射領域Xに到達する。これにより、各LED52、53からの直接光が遮光部56aによって遮蔽される非照射領域にも光を十分に到達させることができ、遮光部56aの近傍に別途LEDを配設することなく、発光部55bの輝度むらを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信機能を有する画像形成装置等の電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器においては、電源スイッチ装置を操作するための操作ボタンの周縁部を電子機器の動作状態に応じて発光させることにより、使い勝手とデザイン性を高めた電源スイッチ装置が使用されている。特に近年の画像形成装置は赤外線によってデジタルカメラやパーソナルコンピュータ等と相互に通信可能な機能を備えており、操作ボタン内に赤外線の受光部を設けたことをデザイン上の特徴とした電子機器も登場し、人気を博しつつある。
【0003】
上述した電源スイッチ装置は、例えば、スイッチ部品、LED及び赤外線受光素子等が実装された回路基板と、LEDから出射された光を透過させる透明の導光部材と、導光部材の前面に被せられるカバー部材等によって構成されている。導光部材は、回路基板に対して垂直な方向に移動し、スイッチ部品を動作させる操作ボタンとしても機能する。LEDが発光すると、その光が導光部材の内部を透過する。導光部材の周縁の円筒部は、カバー部材の周端縁よりも外側に亘って形成されており、導光部材の内部を透過した光は、円筒部から画像形成装置の外部に出射し、これにより操作ボタンの周縁部分が発光する。また、カバー部材には、LEDから出射された光が赤外線受光素子に入射しないように、赤外線受光素子の周囲に円筒状の遮光部が形成される。
【0004】
ところが、LEDから出射された光は、カバー部材の遮光部によって部分的に遮蔽され、この遮光部を挟んでLEDとは反対側の領域(以下、非照射領域Xとする)には直接光が到達しない。そのため、上記円筒部分における非照射領域は、他の周縁部に対して光量が不足し、操作ボタンの周縁部分に輝度むらが生ずる。このような輝度むらをなくすためには、遮光部の近傍に別途LEDを配設する必要があり、画像形成装置のコストアップを招来すると共に、赤外線受光素子の配置にも影響を及し、デザイン上の自由度が低下する。
【0005】
一方、従来から、内側にLEDを設けることにより操作ボタンの全体又は一部を発光させる種々の技術が開示されている。例えば、特許文献1には、導光部の外側全周に沿って環状の反射部を、後端縁面の全周に散光面部をそれぞれ設けた発光装置が示されている。また、特許文献2には、釦部と光源からの光を釦部に誘導する光誘導部とを備えた押下釦が示されている。また特許文献3には、透過性部材からなる筒状筐体と、その内側に配置されたスイッチ素子と、照射方向が水平方向になるように配置された発光素子とを備えた照光式スイッチが示されている。また、特許文献4には、筒状の導光体内に挿入された操作体の下方外周に反射部を設けた照光装置が示されている。また特許文献5操作プランジャの外側に配置したキャップの外周を透明樹脂材からなるレンズの周枠部で囲み、光源からの光を周枠部の上端部に導くようにした押しボタンスイッチが示されている。
【特許文献1】特開2006−190598号公報
【特許文献2】特開2006−147498号公報
【特許文献3】特開2005−243322号公報
【特許文献4】特開2005−216798号公報
【特許文献5】特開2005−11672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記いずれの特許文献に示された技術を用いても、赤外線受光部を内蔵する電源スイッチに特有の上記課題を解決することができない。本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、赤外線受光部を内蔵し、電子機器の動作状態に応じてその周縁部が発光する電源スイッチ装置を備え、簡素かつ安価な構成でありながらも、輝度むらを抑制することができる画像形成装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、
記録紙を搬送する記録紙搬送機構と、この記録紙搬送機構によって搬送された記録紙に画像を形成する画像形成手段と、赤外線を介して外部機器と通信し、前記画像形成手段が形成する画像のデータの信号を受信する赤外線受光素子と、前記記録紙搬送機構及び画像形成手段に電力を供給する電源装置と、この電源装置を動作又は停止させるためにユーザによって操作される電源スイッチ装置とを備え、前記電源スイッチ装置の周縁部が装置の動作状態に応じて発光する画像形成装置において、
前記電源スイッチ装置は、前記電源装置の動作をオン/オフするためのスイッチ部品と、画像形成装置の動作状態に応じて発光する一対の青色LED及び一対の赤色LEDと、前記スイッチ部品、青色LED及び赤色LEDが実装される回路基板と、前記青色LED及び赤色LEDから出射された光を透過させる透明の導光部材と、この導光部材の前面に被せられる遮光性を有するカバー部材とを有し、
前記赤外線受光素子は、その周囲が前記カバー部材の一部によって遮光されており、
前記導光部材は、前記カバー部材を介してユーザに操作されて前記回路基板に対して垂直な方向に移動し、前記スイッチ部品をオン/オフ動作させ、
前記カバー部材は、前記導光部材の周縁部以外の部分を覆い、前記赤外線受光素子の周囲を遮光する円筒状の遮光部を有し、
前記カバー部材の遮光部には、赤外線を透過させるシール部材が装着され、
前記一対の青色LEDは、前記一対の赤色LEDよりも前記遮光部の側において前記スイッチ部品を挟んで前記回路基板に実装され、前記一対の赤色LEDは、前記スイッチ部品を挟んで前記回路基板に実装され、
前記導光部材は、ユーザによって押圧されて前記スイッチ部品と当接する円板部と、この円板部の周縁部分において、該円板部の軸方向の外向きに突出された円筒状の発光部と、内向きに突出された円筒状の導光部とを有し、
前記導光部材の円板部と前記カバー部材との間に、青色LED及び赤色LEDから出射され、該円板部を透過した光を反射させる反射板をさらに有し、
前記青色LED又は赤色LEDが発光したとき、その光の一部が前記反射板によって前記発光部及び導光部の側に反射され、これにより、前記青色LED又は赤色LEDから前記円板部の方向に照射された光を前記遮光部を挟んで青色LED又は赤色LEDとは反対側の前記発光部及び導光部に到達させて、画像形成装置の外部から見た前記発光部の輝度むらを抑制するものである。
【0008】
請求項2の発明は、
外部機器から送信された無線信号を受信する無線信号受信部と、各部に電力を供給する電源装置と、この電源装置を動作又は停止させるためにユーザによって操作される電源スイッチ装置とを備え、前記電源スイッチ装置の周縁部が装置の動作状態に応じて発光する電子機器において、
前記電源スイッチ装置は、前記電源装置の動作をオン/オフするためのスイッチ部品と、電子機器の動作状態に応じて発光する発光素子と、前記スイッチ部品、発光素子が実装される回路基板と、前記発光素子から出射された光を透過させる透明の導光部材と、この導光部材の前面に被せられる遮光性を有するカバー部材とを有し、
前記無線信号受信部は、その周囲が前記カバー部材の一部によって遮光されており、
前記導光部材は、前記カバー部材を介してユーザに操作されて前記回路基板に対して垂直な方向に移動し、前記スイッチ部品をオン/オフ動作させ、
前記カバー部材は、前記導光部材の周縁部以外の部分を覆い、前記無線信号受信部の周囲を遮光する遮光部を有し、
前記導光部材は、ユーザによって押圧されて前記スイッチ部品と当接する板状部と、この円板部の周縁部分において突出された筒状部とを有し、
前記発光素子から出射された光の一部を前記筒状部に反射させる反射板をさらに有するものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の電子機器において、
前記反射板は、前記導光部材の板状部と前記カバー部材との間に設けられているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、青色LED及び赤色LEDから出射された光の一部は、反射板によって発光部及び導光部の側に反射される。これにより、青色LED又は赤色LEDから円板部の方向に出射された光を遮光部を挟んで青色LED又は赤色LEDとは反対側の発光部及び導光部、すなわち遮光部の影になる領域に到達させることが可能となり、画像形成装置の外部から見た発光部の輝度むらを抑制できるようになる。また、反射板は導光部材の円板部とカバー部材との間に配設されているので、一旦円板部を透過した光を発光部及び導光部に反射させることができる。これにより、発光部及び導光部に到達する光を増加させることが可能となり、発光部の輝度むらをより一層抑制できるようになる。また、青色LEDと赤色LEDを有しているので、画像形成装置の動作状態に応じて、電源スイッチの周辺を各色に選択的に点灯又は点滅させることができる。例えば、画像形成装置がスタンバイ状態にあり、いつでもプリント可能なときには、電源スイッチの周辺を青色に、画像形成装置が記録紙を搬送している状態又は画像を形成している状態にあるときは、電源スイッチの周辺を赤色に点灯させることにより、プリントができないことをユーザに了知させることが可能になる。
【0011】
請求項2の発明によれば、発光素子から出射された光の一部は、反射板によって筒状部の側に反射される。これにより、発光素子から板状部の方向に出射された光を遮光部を挟んで発光素子とは反対側の筒状部、すなわち遮光部の影になる領域に到達させることが可能となり、電子機器の外部から見た筒状部の輝度むらを抑制できるようになる。
【0012】
請求項3の発明によれば、反射板が導光部材の板状部とカバー部材との間に配設されているので、一旦円板部を透過した光を発光部及び導光部に反射させることができる。これにより、発光部及び導光部に到達する光を増加させることが可能となり、発光部の輝度むらをより一層抑制できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の実施形態による画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は画像形成装置の一実施形態である昇華型サーマルプリンタの外観を、図2は、同プリンタの構成を示している。昇華型サーマルプリンタ1は、筐体10と、筐体10の正面側に設けられ、記録紙2が載置される給紙カセット11と、給紙カセット11から記録紙2を1枚ずつピックアップし、筐体10の内部に引き込むピックアップローラ21及び筐体10の内部で記録紙2を所定の搬送方向Xに往復搬送させるフィードローラ22,23等を備えた記録紙搬送機構20と、記録紙搬送機構20に対向する所定の位置に設けられ、搬送方向Xに直交する方向(紙面に垂直な方向:以下Y方向(図2参照)とする)に微小発熱体が配列されたサーマルヘッド31、未使用のインクリボンロール32が装着される第1リール33、インクリボン35の使用済み部分が巻き取られる第2リール34などを含み、記録紙搬送機構20により搬送される記録紙2上に画像を形成する画像形成部(画像形成手段)30と、給紙カセット11の上面に設けられ、画像形成部30により画像が形成され、かつ記録紙搬送機構20により筐体10から排出された記録紙2が載置される排紙トレイ12と、赤外線を介して外部機器と通信し、赤外線を介して画像形成部30が形成する画像のデータの信号を受信する赤外線受光部57と、赤外線受光部57が受信した信号を記憶するメモリ14と、記録紙搬送機構20、画像形成部30及び赤外線受光部57に電力を供給する電源装置15と、電源装置15を動作又は停止させるためにユーザによって操作される電源スイッチ装置16などで構成されている。
【0014】
記録紙搬送機構20のピックアップローラ21及びフィードローラ22,23は、それぞれ搬送方向Xに直交するY方向を回転軸として回転し、記録紙2に当接して記録紙2を搬送方向に搬送する。ピックアップローラ21は、給紙カセット11から記録紙2をピックアップする。フィードローラ22,23は、画像形成部30により記録紙2上に画像を形成している間、筐体10の内部で、記録紙2を搬送方向に複数回往復搬送させる。記録紙搬送機構20は、さらに、サーマルヘッド31に対向する位置において、画像が形成されている記録紙の背面を支持するプラテンローラ25と、フィードローラ22,23の回転軸にとりつけられた被駆動歯車(図示せず)と、駆動力を発生させるモータ26と、モータ26の駆動力を被駆動歯車に伝達するための駆動歯車(図示せず)、フィードローラ22,23に対向する位置に設けられ、記録紙をフィードローラ22,23に押圧するプレスローラ27,28等を有している。なお、サーマルヘッド31及びモータ26は、昇華型サーマルプリンタ1のCPU40によって制御される。
【0015】
なお、搬送方向Xにおける2つのフィードローラ22と23の軸間距離が、この昇華型サーマルプリンタ1でプリント可能な記録紙2の搬送方向Xの最小サイズを決定する。一方、搬送方向Xに直交するY方向におけるサーマルヘッド31の微小発熱体の配列長さが、この昇華型サーマルプリンタ1でプリント可能な記録紙2の搬送方向Xに直交するY方向の最大サイズを決定する。一般的に、記録紙のサイズは、JISなどの規格で定められているので、その規格の中から、プリント可能な記録紙2の最大サイズ及び最小サイズが決定される。一方、ディジタルスチルカメラで撮影された画像を出力するための専用のプリンタとしては、例えば写真サイズのL版にのみ対応したものも製品化されている。
【0016】
インクリボン35は、上記サーマルヘッド31の微小発熱体の配列長さに対応した幅のリボン上に、例えば三原色(Y、M、C)の3種類のインク及びオーバーコート用のコーティング剤が、順番に昇華型サーマルプリンタ1でプリント可能な記録紙2の最大サイズに対応した矩形状に塗布されている(公知につき、図示せず)。実際には、マージンを見込んで、インクリボン35上の各矩形領域のサイズの方が記録紙2のサイズよりも若干大きくなるように設定されている。なお、インクリボン35上のインクの色数は上記3色に限定されず、B(ブラック)を加えた4色、あるいはさらに中間色を加えた5色以上であってもよい。
【0017】
画像形成部30により記録紙2上に画像を形成する場合、記録紙2の後端を搬送方向Xにおける所定の基準位置Pまで搬送し、記録紙2の先端とインクリボン35上に塗布された矩形状の各領域の位置を合わせる。そして、両者を同じ速度で同じ方向に搬送させながら、画像データを用いてサーマルヘッド31の各発熱体の発熱/非発熱を制御し、インクリボン35上のインクを記録紙2上に転写する。例えば、Y色の画像を記録紙2上に形成すると、インクリボン35はそのままの位置で停止したまま、記録紙搬送機構20を逆方向に駆動して、記録紙2の先端を上記基準位置に合わせる。そして、同様の手順で次のM色の画像を記録紙2上に形成する。全ての色について記録紙2上に画像を形成すると、最後に記録紙2の表面全体をオーバーコートし、画像形成が完了する。
【0018】
サーマルヘッド31は、搬送方向X及び搬送方向Xに直交するY方向のいずれにも直交するZ方向に上下動可能であり、画像形成部30により所定方向に搬送されている記録紙2上に画像を形成しているときは、インクリボン35を挟んで記録紙2にほぼ密着するように下降している。一方、記録紙2を逆方向に上記基準位置Pまで搬送させる時には、記録紙2の動きを妨げないように所定位置まで上昇している。
【0019】
図1に示すように、電源スイッチ装置16は、その操作ボタン部16aが昇華型サーマルプリンタ1の筐体10の前面に露出するように配設されている。電源スイッチ装置16は、その操作ボタン部16aの周縁(後述する発光部55b)が昇華型サーマルプリンタ1の動作状態に応じて発光し、ユーザの使い勝手を高める機能を有している。
【0020】
図3は、電源スイッチ装置16の構成を示している。電源スイッチ装置16は、電源装置15に供給される商用電源をオン/オフするスイッチ部品51と、昇華型サーマルプリンタ1の動作状態に応じて発光する一対の青色LED52(発光素子)及び一対の赤色LED53(発光素子)と、スイッチ部品51、青色LED52及び赤色LED53が実装される回路基板54と、青色LED52及び赤色LED53から出射された光を透過させる透明の導光部材55と、導光部材55の前面に被せられるカバー部材56と、カバー部材56に搭載される赤外線受光部57と、赤外線受光部57の外側に装着されるシールド部材58と、導光部材55とカバー部材56との間に配設される反射板60等を有している。導光部材55及びカバー部材56によって操作ボタン部16aが構成される。
【0021】
スイッチ部品51は、導光部材55の移動に伴い確実にオン/オフ動作し得るように、昇華型サーマルプリンタ1の正面から視て、導光部材55の略中心に配設されている。一対の青色LED52は、赤色LED53よりも遮光部56aの側においてスイッチ部品51を挟んで回路基板54に実装されている。一方、一対の赤色LED53も、スイッチ部品51を挟んで回路基板54に実装されている。
【0022】
導光部材55は、カバー部材56を介してユーザに操作されて回路基板54に対して垂直な方向に移動し、スイッチ部品51をオン/オフ動作させる。導光部材55は、ユーザによって押圧されてスイッチ部品51と当接する円板部55aと、この円板部55aの周縁部分において、昇華型サーマルプリンタ1の外側に突出された発光部(筒状部)55bと、内側に突出された導光部(筒状部)55cとを有している。円板部55aには、カバー部材56の遮光部56aを挿通させるための挿通穴55dが形成されている。
【0023】
カバー部材56は、LED52、53から出射された光が導光部材55の周縁部すなわち発光部55b以外の部分から漏れないように、導光部材55の正面側において発光部55b以外の部分を覆う。カバー部材56の下部には、赤外線受光部57を収容し、その周辺を遮光するための遮光部56aが回路基板54の側に陥没するように形成されている。赤外線受光部57はIrDA(Infrared Data Association)規格に準拠する赤外線出力装置から送出された赤外線を受光して電気信号に変換する。赤外線受光部57が受光する。上記赤外線出力装置を内蔵するIrDA対応機器としては、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータの他携帯電話等が挙げられる。
【0024】
反射板60は、導光部材55の円板部55aとカバー部材56との間に配設され、青色LED52及び赤色LED53から出射され、円板部55aを透過した光を発光部55b及び導光部55cの側に反射させる。反射板60には、カバー部材56の遮光部56aに対応する位置に、遮光部56aを挿通させるための挿通孔60aが形成されている。
【0025】
青色LED52又は赤色LED53が発光すると、各LED52、53から放射状に出射された光は、導光部材55の導光部55cに入射し、導光部材55の内部を透過し空気との境界で反射した後、発光部55bから昇華型サーマルプリンタ1の筐体10の外部に出射する。これにより、ユーザは、操作ボタン部16aの周縁が発光したように視認することになる。このとき、導光部55cのうち、遮光部56aを挟んで各LED52、53とは反対側の非照射領域Xは、遮光部56aの影となり、各LED52、53からの直接光が入射しないことから、導光部55cの他の領域と比べると光量が不足する傾向にある。
【0026】
以下、本実施形態において、光量が不足しがちな非照射領域Xに、各LED52、53から出射された光を到達させるための構成について、図4を参照して説明する。青色LED52又は赤色LED53から昇華型サーマルプリンタ1の斜め前方に出射された光は、円板部55aの内部を透過した後、反射板60によって導光部材55の周縁部すなわち発光部55b及び導光部55cの方向に反射される。その後、発光部55b及び導光部55cと空気との境界において反射を繰り返しながら、発光部55b及び導光部55cの内部を透過しつつ、非照射領域Xに到達する。これにより、発光部55bから筐体10の外側に出射される光量は全体的に増加することになるが、特に不足しがちであった非照射領域Xから出射される光量が増加するため、ユーザの目には輝度むらが改善されたように見える。
【0027】
以上のように、本実施形態の昇華型サーマルプリンタ1によれば、青色LED52及び赤色LED53から出射された光の一部は、反射板60によって発光部55b及び導光部55cの側に反射される。これにより、青色LED52又は赤色LED53から円板部55aの方向に出射された光を、遮光部56aを挟んで青色LED52又は赤色LED53とは反対側の発光部55b及び導光部55c、すなわち遮光部56aの影になる非照射領域Xに到達させることが可能となり、昇華型サーマルプリンタ1の外部から見た発光部55bの輝度むらを抑制できるようになる。また、反射板60は導光部材55の円板部55aとカバー部材56との間に配設されているので、一旦円板部55aを透過した光を発光部55b及び導光部55cに反射させることができる。これにより、発光部55b及び導光部55cに到達する光を増加させることが可能となり、発光部55bの輝度むらをより一層抑制できるようになる。また、青色LED52と赤色LED53を有しているので、昇華型サーマルプリンタ1の動作状態に応じて、操作ボタン部16aの周縁を各色に選択的に点灯又は点滅させることができる。例えば、昇華型サーマルプリンタ1がスタンバイ状態にあり、いつでもプリント可能なときには、操作ボタン部16aの周辺を青色に、昇華型サーマルプリンタ1が記録紙を搬送している状態又は画像を形成している状態にあるときは、操作ボタン部16aの周辺を赤色に点灯させることにより、プリントができないことをユーザに了知させることが可能になる。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも青色LED52又は赤色LED53から出射された光の一部を導光部材55の周縁方向に反射させる反射板が設けられていればよい。また、本発明は種々の変形が可能であり、例えば、青色LED52及び赤色LED53の個数・配置及び反射板60の形状は、図3等に示した形態に限られない。また、電源スイッチ装置16は、インクジェットプリンタ等の画像形成装置の他、電子機器にも広く適用することができる。また、他の外部機器との通信は、IrDA規格に準拠してなされるものに限られることなく、他の無線LAN規格等に準拠するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態による昇華型サーマルプリンタの外観を示す斜視図。
【図2】同プリンタの構成を示す図。
【図3】同プリンタに搭載される電源スイッチ装置の構成を示す組立斜視図。
【図4】青色LED及び赤色LEDが発光したときの電源スイッチ装置を示す側断面図。
【符号の説明】
【0030】
1 昇華型サーマルプリンタ
16 電源スイッチ装置
51 スイッチ部品
52 青色LED(発光素子)
53 赤色LED(発光素子)
54 回路基板
55 導光部材
55a 円板部(板状部)
55b 発光部(筒状部)
55c 導光部(筒状部)
55d 挿通穴
56 カバー部材
56a 遮光部
57 赤外線受光部
58 シールド部材
60 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を搬送する記録紙搬送機構と、この記録紙搬送機構によって搬送された記録紙に画像を形成する画像形成手段と、赤外線を介して外部機器と通信し、前記画像形成手段が形成する画像のデータの信号を受信する赤外線受光素子と、前記記録紙搬送機構及び画像形成手段に電力を供給する電源装置と、この電源装置を動作又は停止させるためにユーザによって操作される電源スイッチ装置とを備え、前記電源スイッチ装置の周縁部が装置の動作状態に応じて発光する画像形成装置において、
前記電源スイッチ装置は、前記電源装置の動作をオン/オフするためのスイッチ部品と、画像形成装置の動作状態に応じて発光する一対の青色LED及び一対の赤色LEDと、前記スイッチ部品、青色LED及び赤色LEDが実装される回路基板と、前記青色LED及び赤色LEDから出射された光を透過させる透明の導光部材と、この導光部材の前面に被せられる遮光性を有するカバー部材とを有し、
前記赤外線受光素子は、その周囲が前記カバー部材の一部によって遮光されており、
前記導光部材は、前記カバー部材を介してユーザに操作されて前記回路基板に対して垂直な方向に移動し、前記スイッチ部品をオン/オフ動作させ、
前記カバー部材は、前記導光部材の周縁部以外の部分を覆い、前記赤外線受光素子の周囲を遮光する円筒状の遮光部を有し、
前記カバー部材の遮光部には、赤外線を透過させるシール部材が装着され、
前記一対の青色LEDは、前記一対の赤色LEDよりも前記遮光部の側において前記スイッチ部品を挟んで前記回路基板に実装され、前記一対の赤色LEDは、前記スイッチ部品を挟んで前記回路基板に実装され、
前記導光部材は、ユーザによって押圧されて前記スイッチ部品と当接する円板部と、この円板部の周縁部分において、該円板部の軸方向の外向きに突出された円筒状の発光部と、内向きに突出された円筒状の導光部とを有し、
前記導光部材の円板部と前記カバー部材との間に、青色LED及び赤色LEDから出射され、該円板部を透過した光を反射させる反射板をさらに有し、
前記青色LED又は赤色LEDが発光したとき、その光の一部が前記反射板によって前記発光部及び導光部の側に反射され、これにより、前記青色LED又は赤色LEDから前記円板部の方向に照射された光を前記遮光部を挟んで青色LED又は赤色LEDとは反対側の前記発光部及び導光部に到達させて、画像形成装置の外部から見た前記発光部の輝度むらを抑制することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
外部機器から送信された無線信号を受信する無線信号受信部と、各部に電力を供給する電源装置と、この電源装置を動作又は停止させるためにユーザによって操作される電源スイッチ装置とを備え、前記電源スイッチ装置の周縁部が装置の動作状態に応じて発光する電子機器において、
前記電源スイッチ装置は、前記電源装置の動作をオン/オフするためのスイッチ部品と、電子機器の動作状態に応じて発光する発光素子と、前記スイッチ部品、発光素子が実装される回路基板と、前記発光素子から出射された光を透過させる透明の導光部材と、この導光部材の前面に被せられる遮光性を有するカバー部材とを有し、
前記無線信号受信部は、その周囲が前記カバー部材の一部によって遮光されており、
前記導光部材は、前記カバー部材を介してユーザに操作されて前記回路基板に対して垂直な方向に移動し、前記スイッチ部品をオン/オフ動作させ、
前記カバー部材は、前記導光部材の周縁部以外の部分を覆い、前記無線信号受信部の周囲を遮光する遮光部を有し、
前記導光部材は、ユーザによって押圧されて前記スイッチ部品と当接する板状部と、この円板部の周縁部分において突出された筒状部とを有し、
前記発光素子から出射された光の一部を前記筒状部に反射させる反射板をさらに有することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記反射板は、前記導光部材の板状部と前記カバー部材との間に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−108072(P2008−108072A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290388(P2006−290388)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】