説明

画像形成装置用ロールブラシ

【課題】軽量化された画像形成装置用ロールブラシを提供することにある。
【解決手段】本発明の画像形成装置用ロールブラシ1は、樹脂シャフト2の外周面に導電性コーティング層3を備え、導電性コーティング層3の外周面に導電性を有するブラシ毛4を備えている。さらに、画像形成装置用ロールブラシ1は、外部電源から電力を給電するための給電部材5と、給電部材5からの電力をブラシ毛4に伝導する導電部材6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に用いられるロールブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、導電装置として、感光体等の被帯電体を帯電させるための帯電装置、被帯電体を除電するための除電装置、または感光体から不要なトナーを除くためのクリーニング装置(以下、帯電装置等と称する)が用いられている。これら帯電装置等には、導電性のブラシ毛を有する帯電ブラシ、除電ブラシ、クリーニングブラシ等のロールブラシが用いられる。導電性のブラシ毛を有するロールブラシは、注入された電荷をブラシ毛から放出する、または被帯電体からの電荷を受容することができる。さらに、上記ロールブラシは、静電力を発生させることも可能である。このように、上記ロールブラシは、各装置として求められる帯電等の機能を実現することができる。
【0003】
上記ロールブラシは、合成樹脂等からなる基布に導電性のブラシ毛を織り込むまたは植毛したブラシ体を、金属で構成されたシャフト等の基体に固定することにより製造されている。
【0004】
なお、特許文献1には、導電性樹脂シャフトの外周面に導電性のシュリンクチューブを被覆したシュリンクチューブ層が設けられた画像形成装置に用いられる導電性ローラが記載されている。また、特許文献2には、円筒パイプを導電性樹脂にした感光ドラム用基体が記載されている。
【特許文献1】特開2003−262998号公報(公開日平成15年9月19日)
【特許文献2】特開2005−172979号公報(公開日平成17年6月30日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成のロールブラシは、基体が金属で構成されているために、ロールブラシ全体の重量が重くなってしまい、駆動系などの周辺装置に大きな負荷がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽量化された画像形成装置用ロールブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置用ロールブラシは、上記課題を解決するために、樹脂シャフトの外周面に導電性層を備え、該導電性層の外周面に導電性を有するブラシ毛を備える画像形成装置用ロールブラシであって、外部電源から電力を給電するための第1給電部材と、上記第1給電部材からの電力を上記ブラシ毛に伝導する導電部材とを備えることを特徴としている。
【0008】
上記構成により、除電装置(除電ブラシ)やクリーニング装置(クリーニングブラシ)等の導電装置に用いられる導電性を有するブラシ毛を備えた画像形成装置用ロールブラシにおいて、シャフトが金属から構成されている場合と比較して、ロールブラシ全体の重量を減らすことができる。そのため、画像形成装置用ロールブラシを回転させるための駆動系等の周辺装置にかかる負担を削減することができ、画像形成装置を小型化することができる。
【0009】
さらに、外部電源からの電力を、給電部材および導電部材を介してブラシ毛に給電することができるために、上記ブラシ毛に給電された電力は、電荷として当該ブラシ毛から放出され、感光体等の被帯電体を帯電させることができる。そのため、上記構成の画像形成装置用ロールブラシを、給電を必要とする帯電装置(帯電ブラシ)、転写装置(転写ブラシ)等に用いることができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置用ロールブラシでは、上記ブラシ毛が静電植毛により上記樹脂シャフトに設けられるとき、上記導電性層は、上記樹脂シャフトの外周面に、導電性を有する接着剤をコーティングすることにより形成されていてもよい。
【0011】
上記構成により、導電性層として、樹脂シャフトの外周面に導電性を有する接着剤をコーティングすることにより、静電植毛によりブラシ毛を該樹脂シャフトの外周面に設けることが可能となる。静電植毛は、0.1mm〜3mmのブラシ毛を植毛するのに好適に用いられ、ブラシ毛の短い、小径の画像形成装置用ロールブラシを作成することができる。また、静電植毛は簡易な工程で安価に行うことができるために、安価な画像形成装置用ロールブラシを作成することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置用ロールブラシでは、上記ブラシ毛が基布にパイル織によって織り込まれており、該基布を上記樹脂シャフトの外周面に螺旋状に巻きつけることにより、該ブラシ毛が該樹脂シャフトに設けられるとき、上記導電性層は、上記基布の裏面に導電性を有する接着剤を塗布することにより形成されていてもよい。
【0013】
上記構成により、導電性層として、ブラシ毛をパイル織した基布の裏面に導電性を有する接着剤を塗布することにより、該ブラシ毛が該基布から抜けてしまうことを抑制することができ、かつ、該基布を樹脂シャフトの外周面に取り付けることが可能となる。ブラシ毛を基布にパイル織することにより、該ブラシ毛を樹脂シャフトの外周面に取り付ける方法は、2mm以上のブラシ毛を植毛するのに好適に用いられる。ブラシ毛を長くすることにより、像担持体に対する負荷が小さくなるために、該像担持体の磨耗が小さくなる。また、植毛密度も自由に制御することができるため、ブラシ毛の表面積を用途に応じて自由に変更することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置用ロールブラシでは、上記樹脂シャフトは、上記導電部と上記ブラシ毛との間であって、かつ、上記導電性層の上において、軸受けにより支持されており、該軸受けに支持された該樹脂シャフトの外周面の領域において、該樹脂シャフトの長手方向に沿って凹部が設けられており、上記凹部には、導電性材料が充填されていてもよい。
【0015】
樹脂シャフトの外周面に、導電性を有する接着剤をコーティングすることにより形成された導電性層は、導電部材とブラシ毛との間に軸受けが設けられた画像形成装置用ロールブラシが回転すると、回転に伴って該軸受けが設けられている領域の該導電性層が磨耗してしまう。上記導電性層が磨耗してしまうと、上記導電部材とブラシ毛との間の導通が切断され、外部電源からの電力をブラシ毛に供給することができなくなる。
【0016】
そのため、本発明の構成にすることにより、上記樹脂シャフトの外周面の導電性層が磨耗してしまった場合であっても、該軸受けに支持された該樹脂シャフトの外周面の領域において、該樹脂シャフトの長手方向に沿って設けられた凹部に充填された導電性材料を介することにより、外部電源からの電力をブラシ毛に供給することができる。そして、上記ブラシ毛に給電された電力は、電荷として該ブラシ毛から放出され、感光体等の被帯電体を帯電させることができる。
【0017】
また、本発明の画像形成装置用ロールブラシでは、樹脂シャフトの外周面に導電性層を備え、該導電性層の外周面に導電性を有するブラシ毛を備える画像形成装置用ロールブラシにであって、上記樹脂シャフトは、導電性樹脂からなり、外部電源からの電力を上記樹脂シャフトに給電するための第2給電部材を備えることを特徴としている。
【0018】
上記構成により、除電装置(除電ブラシ)やクリーニング装置(クリーニングブラシ)等の導電装置に用いられる導電性を有するブラシ毛を備えた画像形成装置用ロールブラシにおいて、シャフトが金属から構成されている場合と比較して、ロールブラシ全体の重量を減らすことができる。そのため、画像形成装置用ロールブラシを回転させるための駆動系等の周辺装置にかかる負担を削減することができ、画像形成装置を小型化することができる。
【0019】
さらに、外部電源からの電力を給電部材に電力を供給することにより、該電力は導電性樹脂から構成された樹脂シャフトを伝導し、ブラシ毛に給電される。そのため、上記ブラシ毛に給電された電力は、電荷として当該ブラシ毛から放出され、感光体等の被帯電体を帯電させることができる。そのため、上記構成の画像形成装置用ロールブラシを、給電を必要とする帯電装置(帯電ブラシ)、転写装置(転写ブラシ)等に用いることができる。
【0020】
また、本発明の画像形成装置用ロールブラシでは、上記樹脂シャフトは、上記数式1において、該樹脂シャフトの最大撓みδが0.1mm以下となるように、E、w、Iが設定されていることが好ましい。
【0021】
画像形成装置用ロールブラシのシャフトとして、樹脂を用いた場合は、金属を用いた場合と比較して、シャフトの剛性が1/10〜1/500と低くなる。そのため、上記画像形成装置用ロールブラシを対象物に接触させて回転させた場合には、ブラシ毛に加わる分布荷重により樹脂シャフトが撓んでしまう可能性がある。そこで、上記構成にすることにより、樹脂シャフトを備えた画像形成装置用ロールブラシは、ブラシ毛を対象物に接触させて回転させた場合にでも、当該樹脂シャフトの撓みを0.1mm以下に抑制することができる。そのため、軽量で良質な画像形成装置用ロールブラシを得ることができる。
【0022】
また、本発明の画像形成装置用ロールブラシでは、上記樹脂シャフトの長手方向に垂直な断面の形状は、該断面の中心から外周方向に延びた同一のサイズを有した複数の長方形からなり、該長方形の外周側の端部を結んだ線が正多角形であってもよい。
【0023】
樹脂シャフトの長手方向に垂直な断面の形状が円形である場合は、該樹脂シャフトを成型後に冷却するときに、該樹脂シャフトの中心部分と外周部分とで冷却の度合が異なり、該樹脂シャフトにそりが生じてしまう。そのため、上記構成により、本発明の画像形成装置用ロールブラシの樹脂シャフトは、同一のサイズを有した複数の長方形から構成されているために、該樹脂シャフトを成型後に冷却するときに、全体が均一に冷却され、成型時に生じるそりを抑制することができる。
【0024】
また、本発明の画像形成装置用ロールブラシでは、上記樹脂シャフトの外周面と上記導電性層との間には、熱収縮チューブを該樹脂シャフトの外周面に対して加熱収縮させた熱収縮チューブ層が設けられていてもよい。
【0025】
上記構成により、樹脂シャフトの長手方向に垂直な断面の形状が円形をしていない場合であっても、熱収縮チューブを該樹脂シャフトの外周面に対して加熱収縮させた熱収縮チューブ層が設けられていることにより、該樹脂シャフトの長手方向に垂直な断面の形状を、上記長方形の外周側の端部を結んで形成された正多角形とすることができる。そのため、上記熱収縮チューブ層を上記樹脂シャフトの外周面とみなすことができ、該熱収縮チューブ層に対して静電植毛またはパイル織物によりブラシ毛を取り付けることができる。
【0026】
また、本発明の画像形成装置用ロールブラシでは、上記樹脂シャフトは、その一端または両端に歯車を備えていてもよい。
【0027】
上記構成により、歯車を駆動手段等により回転させることにより、本発明の画像形成装置用ロールブラシを回転させることが可能となる。
【0028】
また、本発明の画像形成装置用ロールブラシでは、上記樹脂シャフトは、生分解樹脂からなってもよい。
【0029】
上記構成により、樹脂シャフトを廃棄処分した場合には、当該樹脂シャフトは生分解樹脂からなるために、バクテリア等により分解される。すなわち、環境を考慮した樹脂シャフトを備えた画像形成装置用ロールブラシを得ることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の画像形成装置用ロールブラシは、以上のように、樹脂シャフトの外周面に導電性層を備え、該導電性層の外周面に導電性を有するブラシ毛を備える画像形成装置用ロールブラシであって、外部電源から電力を給電するための第1給電部材と、上記第1給電部材からの電力を上記ブラシ毛に伝導する導電部材とを備えることを特徴としている。
【0031】
上記構成により、除電装置(除電ブラシ)やクリーニング装置(クリーニングブラシ)等の導電装置に用いられる導電性を有するブラシ毛を備えた画像形成装置用ロールブラシにおいて、シャフトが金属から構成されている場合と比較して、ロールブラシ全体の重量を減らすことができる。そのため、画像形成装置用ロールブラシを回転させるための駆動系等の周辺装置にかかる負担を削減することができ、画像形成装置を小型化することができる。
【0032】
さらに、外部電源からの電力を、給電部材および導電部材を介してブラシ毛に給電することができるために、上記ブラシ毛に給電された電力は、電荷として当該ブラシ毛から放出され、感光体等の被帯電体を帯電させることができる。そのため、上記構成の画像形成装置用ロールブラシを、給電を必要とする帯電装置(帯電ブラシ)、転写装置(転写ブラシ)等に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施形態について図1〜図13に基づいて説明すると以下の通りである。
【0034】
本発明の画像形成装置用ロールブラシは、シャフトの外周面に導電性を有するブラシ毛4を備え、当該シャフトが樹脂から構成されている。
【0035】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1について図1〜図8を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置用ロールブラシ1の概略構成を示した段面図である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1は、樹脂シャフト(シャフト)2と、導電性コーティング層3と、ブラシ毛4と、給電部材5と、導電部材6とを備えている。
【0037】
本実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1は、帯電ロールブラシ、現像ロールブラシ、トナー供給ロールブラシ、転写ロールブラシ、クリーニングロールブラシ等の画像形成装置に用いられるロールブラシとして好適に用いられる。
【0038】
樹脂シャフト2は、樹脂より構成されており、図示しない駆動手段により回転させられる円柱状の部材である。樹脂シャフト2を構成する樹脂としては、エンジニアリングプラスチックや汎用樹脂の中から適宜選択すればよい。例えば、エンジニアリングプラスチックとしては、ポリアセタール、ポリアミド樹脂(ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド12、ポリアミド4・6、ポリアミド6・10、ポリアミド6・12、ポリアミド11、ポリアミドMXD6)、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマーあるいはポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。また、汎用樹脂としては、ポリプロピレン、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。樹脂シャフト2は、上述したエンジニアリングプラスチックおよび汎用樹脂の中から、一種類を単体で用いて構成してもよく、二種類以上を組み合わせて構成してもよい。さらに、樹脂シャフト2は、剛性を高めるために、上述した樹脂にガラス等を包含させることが好ましい。
【0039】
なお、樹脂シャフト2を構成する樹脂としては、上述した例に限られず、生分解樹脂を用いてもよい。樹脂シャフト2を生分解樹脂で構成することにより、樹脂シャフト2を廃棄処分した場合には、バクテリア等により分解される。
【0040】
ここで、樹脂シャフト2は、図2(a)に示すように中実体であってもよいし、図2(b)および図2(c)に示すように中空体であってもよい。ただし、軽量化の観点からは樹脂シャフト2は中空体であることが好ましい。図2(a)は中実体の樹脂シャフト2を備えた画像形成装置用ロールブラシ1の断面図であり、図2(b)は中空体の樹脂シャフト2の一例を備えた画像形成装置用ロールブラシ1の断面図であり、図2(c)は中空体の樹脂シャフト2の他の一例を備えた画像形成装置用ロールブラシ1の断面図である。
【0041】
なお、樹脂シャフト2の長手方向に対して垂直な断面の形状は、本実施形態では円形であるが、本発明はこれに限られない。例えば、樹脂シャフト2の長手方向に対して垂直な断面の形状が、図3に示す十字型であってもよい。また、樹脂シャフト2の長手方向に対して垂直な断面の形状は、十字型にも限られず、該断面の中心から外周方向に延びた同一のサイズを有した複数の長方形からなり、該長方形の外周側の端部を結んだ線が正多角形となればよい。樹脂シャフト2の長手方向に垂直な断面の形状が円形である場合は、樹脂シャフト2を成型後に冷却するときに、樹脂シャフト2の中心部分と外周部分とで冷却の度合が異なり、樹脂シャフト2にそりが生じてしまう。そのため、上記構成により、本実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1の樹脂シャフト2は、同一のサイズを有した複数の長方形から構成されているために、樹脂シャフト2を成型後に冷却するときに、全体が均一に冷却され、成型時に生じるそりを抑制することができる。
【0042】
また、樹脂シャフト2は、その一端または両端に歯車を備えていることが好ましい。上記歯車を駆動手段等により回転させることにより、本実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1を回転させることが可能となる。その結果、例えば、感光体から不要なトナーを除くためにクリーニングを行うときは、画像形成装置用ロールブラシ1が回転することにより、感光体表面の不要なトナーを効率よく除去することができる。
【0043】
導電性コーティング層3は、導電性を有した接着剤を樹脂シャフト2の外周面にコーティングすることにより形成されており、静電植毛により植毛された導電性を有するブラシ毛4を保持するためのものである。上記静電植毛は、公知の静電植毛方法を利用して、導電性コーティング層3上にブラシ毛4を植毛する。その際、導電性コーティング層3へ向けてブラシ毛4を静電気で吸引して、導電性コーティング層3上に植毛する。そして、導電性コーティング層3を乾燥・硬化させることにより、ブラシ毛4を導電性コーティング層3に固定する。なお、ブラシ毛4の体積抵抗率は、1×10Ω・cm〜1×1010Ω・cmであることが好ましい。また、導電性コーティング層3の体積抵抗率は、1×10−1Ω・cm〜1×10Ω・cmであることが好ましい。
【0044】
導電性コーティング層3としては、例えば、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、合成ゴムおよび天然ゴム等を主成分とする接着剤に導電性フィラーを含有したものが用いられる。上記接着剤の内、アクリル樹脂を主成分とするものが特に好ましく用いられる。アクリル樹脂は、非反応性ポリアクリル酸エステル(非架橋型)、反応性ポリアクリル酸エステル(主としてメチロールメラミンを架橋剤として用いる。)および自己架橋型ポリアクリル酸エステルに分けられており、反応型、自己架橋型は耐水性、耐アルカリ性、耐溶剤性等に優れるため、多用されている。また、反応型アクリル樹脂の場合、物性を改良するために官能基としてカルボキシル基、アミド基、アミノ基、エポキシ基およびヒドロキシル基等の少なくとも1種を導入したものであってもよい。なお、これらは1種のみでも、あるいは2種以上併用してもよい。
【0045】
また、上記導電性フィラーとしては、導電性セラミック系フィラー、炭素系導電性フィラー等が挙げられる。上記導電性セラミック系フィラーにおけるセラミックとしては、酸化物系セラミック、ケイ化物系セラミックおよび炭化物系セラミック等が挙げられる。酸化物系セラミックとしては、酸化スズ、酸化チタン、インジウム等の原子価の異なる元素をドープした酸化スズ、チタン酸カリウムウィスカー等の電気絶縁性酸化物の表面に酸化スズをコートしてなる導電性チタン酸カリウムウィスカーなどが挙げられる。ケイ化物系セラミックとしては、ケイ化モリブデン等が挙げられ、また、炭化物系セラミックとしては、炭化タングステン等が挙げられる。炭素系導電性フィラーとしては、カーボンブラック、炭素短繊維、グラファイト粒子等が挙げられる。
【0046】
なお、本実施形態では、導電性コーティング層3は、静電植毛に用いるために樹脂シャフト2の外周面に設けられているが、本発明はこれに限られない。すなわち、ブラシ毛4がパイル織により織り込まれた基布を樹脂シャフト2の外周面に巻きつけることにより、ブラシ毛4を樹脂シャフト2に取り付ける場合には、樹脂シャフト2の外周面には導電性コーティング層3が設けられておらず、該基布の裏面に導電性を有する接着剤が塗布されていてもよい。上記基布の裏面に導電性を有する接着剤が塗布されていることにより、該基布からブラシ毛4が抜け落ちるのを防止するとともに、樹脂シャフト2の外周面に該基布の裏面を向けて巻きつけると、ブラシ毛4は樹脂シャフト2に取り付けられる。上記基布としては、合成繊維、天然繊維、半合成繊維および再生繊維などを織った織布、これらの繊維からなる不織布、または樹脂やゴムをシート状にしたもの等が挙げられる。
【0047】
なお、静電植毛によるブラシ毛4の取り付けは、長さが0.1mm〜3mmのブラシ毛4を取り付ける場合に好適に用いられ、ブラシ毛4の短い、小径の画像形成装置用ロールブラシを作成することができる。また、静電植毛は簡易な工程で安価に行うことができるために、安価な画像形成装置用ロールブラシを作成することができる。また、パイル織物によるブラシ毛4の取り付けは、長さが2mm以上のブラシ毛4を用いる場合に好適に用いられる。ブラシ毛4を長くすることにより、像担持体に対する負荷が小さくなるために、該像担持体の磨耗が小さくなる。また、植毛密度も自由に制御することができるため、ブラシ毛4の表面積を用途に応じて自由に変更することができる。
【0048】
また、図3に示すように、樹脂シャフト2の長手方向に対して垂直な断面の形状が、十字型である場合、樹脂シャフト2の外周面と導電性コーティング層3との間には、熱収縮チューブ層15が設けられる。これにより、樹脂シャフト2の長手方向に対して垂直な断面の形状が正四角形となる。また、樹脂シャフト2の長手方向に対して垂直な断面の形状が、十字型以外の形状であって、該断面の中心から外周方向に延びた同一のサイズを有した複数の長方形からなり、該長方形の外周側の端部を結んだ線が正多角形である場合、熱収縮チューブ層15が設けられることにより、樹脂シャフト2の長手方向に対して垂直な断面の形状が、正五角形、正六角形、正八角形…となる。
【0049】
熱収縮チューブ層15は、熱収縮チューブ内に樹脂シャフト2を通し、熱収縮チューブを加熱処理等により収縮させることによって、樹脂シャフト2の外周面に密着して形成される。これにより、樹脂シャフト2の長手方向に垂直な断面の形状が円形をしていない場合であっても、樹脂シャフト2の長手方向に垂直な断面の形状を、上記長方形の外周側の端部を結んで形成された正多角形とすることができる。そのため、熱収縮チューブ層15を樹脂シャフト2の外周面とみなすことができ、熱収縮チューブ層15に対して静電植毛またはパイル織物によりブラシ毛4を取り付けることができる。なお、樹脂シャフト2の長手方向に対して垂直な断面の形状が円形以外の形状である場合、画像形成装置用ロールブラシ1を作成した後、円形となるようにブラシ毛4の長さを調整する。
【0050】
導電性熱収縮チューブ層15を構成する材料としては、軟質ポレオレフィン、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステルまたはフッ素樹脂等を用いることが好ましい。なお、導電性熱収縮チューブ層15の材料は、上述した例に限られず、加熱処理等により収縮し、樹脂シャフト2の外周面に密着させることができればよく、画像形成装置用ロールブラシの用途、求められる特性または性能に応じて適宜選定すればよい。
【0051】
ブラシ毛4が導電性を有することにより、除電装置(除電ブラシ)、転写装置(転写ブラシ)等の導電装置に好適に用いることができる。また、ブラシ毛4に給電することにより、帯電装置(帯電ブラシ)としても好適に用いることができる。帯電ブラシ、除電ブラシの場合、対象物すなわち感光体ドラム等の被帯電体を、均一に、すなわち緻密でムラなく帯電・除電することができる。
【0052】
給電部材5は、外部電源からの電力を、導通部6および導電性コーティング層3を介して、ブラシ毛4に給電するためのものである。給電部材5は、樹脂シャフト2の端部に設けられており、外部電源からの給電線が接続されている。なお、給電部材5が設けられる位置は、樹脂シャフト2の端部に限られない。
【0053】
導通部6は、給電部材5からの電力を導電性コーティング層3に伝導するためのものであり、導電性を有する材料から構成されており、樹脂シャフト2の外周面であって、給電部材5と導電性コーティング層3との間に設けられている。導電部材6は、ブラシ毛4が設けられている導電性コーティング層3の領域と重なるように設けられていることが好ましいが、離れていてもかまわない。
【0054】
なお、本実施形態では、給電部材5および導電部材6は別部材であるが、本発明はこれに限られない。つまり、図4に示すように、給電部材5および導電部材6が1つの部材で構成されていてもよい。
【0055】
なお、図5に示すように、導電部材6とブラシ毛4との間に滑り軸受け16が設けられている場合、画像形成装置用ロールブラシ1が回転すると、回転に伴って滑り軸受け16が設けられている領域の導電性コーティング層3が磨耗してしまう。導電性コーティング層3が磨耗してしまうと、導電部材6とブラシ毛4との間の導通が切断され、外部電源からの電力をブラシ毛4に供給することができなくなる。
【0056】
そのため、導電部材6とブラシ毛4との間に滑り軸受け16が設けられている場合、滑り軸受け16に支持された樹脂シャフト2の外周面の領域には、図6に示すように、樹脂シャフト2の長手方向に沿って凹部7が設けられていることが好ましい。図6では、樹脂シャフト2の長手方向に垂直な断面において、凹部7は、樹脂シャフト2の円の中心を通る直交する2本の直線上であって、かつ、樹脂シャフト2の円周上に4つ設けられているが、これに限られない。このように、樹脂シャフト2の外周面に凹部7を設けることにより、樹脂シャフト2の外周表面に導電性材料をコーティングするとき、凹部7に導電性材料が充填される。
【0057】
そのため、樹脂シャフト2の外周面の導電性コーティング層3が磨耗してしまった場合であっても、外部電源からの電力をブラシ毛4に供給することができる。そして、ブラシ毛4に給電された電力は、電荷としてブラシ毛4から放出され、感光体等の被帯電体を帯電させることができる。
【0058】
以上のように、本実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1は、樹脂シャフト2の外周面に導電性コーティング層3を備え、導電性コーティング層3の外周面に導電性を有するブラシ毛4を備える。さらに、画像形成装置用ロールブラシ1は、外部電源から電力を給電するための給電部材5と、給電部材5からの電力をブラシ毛4に伝導する導電部材とを備える。
【0059】
上記構成により、除電装置(除電ブラシ)やクリーニング装置(クリーニングブラシ)等の導電装置に用いられる導電性を有するブラシ毛4を備えた画像形成装置用ロールブラシにおいて、シャフトが金属から構成されている場合と比較して、ロールブラシ全体の重量を減らすことができる。そのため、画像形成装置用ロールブラシを回転させるための駆動系等の周辺装置にかかる負担を削減することができ、画像形成装置を小型化することができる。
【0060】
さらに、外部電源からの電力を、給電部材5および導電部材6を介してブラシ毛4に給電することができるために、ブラシ毛4に給電された電力は、電荷としてブラシ毛4から放出され、感光体等の被帯電体を帯電させることができる。そのため、上記構成の画像形成装置用ロールブラシ1を、給電を必要とする帯電装置(帯電ブラシ)、転写装置(転写ブラシ)等に用いることができる。
【0061】
このように、本実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1は、シャフトとして樹脂からなる樹脂シャフト2を用いているために、金属シャフトを用いた場合と比較してシャフトの剛性が1/10〜1/500と低くなっている。そのため、樹脂シャフト2を備えた画像形成装置用ロールブラシ1を対象物に接触させて回転させた場合には、ブラシ毛4に加わる分布荷重により樹脂シャフト2が撓んでしまう可能性がある。そこで、画像形成装置用ロールブラシ1を対象物に接触させ回転させた場合に、対象物との接触部分のブラシ毛4に加わる荷重を、ブラシ毛4のパイル径および密度を調節することにより、樹脂シャフト2が撓まない値にすることが好ましい。
【0062】
ここで、本実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1に好適なブラシ毛4のパイル径および密度にするために、ブラシ毛4に加わる荷重を測定する方法について図7を参照して説明する。図7は、ブラシ毛に加わる荷重を測定するための測定装置を示す側面図である。なお、ブラシ毛に加わる荷重の測定は、特開2005−301171号公報(平成17年10月27日公開)に記載されたブラシの評価方法に基づき測定している。この測定は、クリーニング用ロールブラシの良否を評価するために用いられる。
【0063】
画像形成装置用ロールブラシ1のブラシ毛4に加わる荷重を測定するために、下記表1に示すように、試験例1〜3の3つのクリーニング用ロールブラシを作成した。3つのクリーニング用ロールブラシは、PBTに50%ガラスファイバーを包含させた樹脂からなる直径6mmの樹脂シャフトの外周面に、長さ5mm以上の電気抵抗10MΩのブラシ毛を有したパイル織物を巻き付けている。その後、クリーニング用ロールブラシの外径が16mmとなるように、ブラシ毛の長さを調整している。そのため、クリーニング用ロールブラシ全体の直径は16mm、両端支持端距離0.22mとなっている。3つのクリーニング用ロールブラシは、下記に示すように、ブラシ毛の直径(パイル径)および密度が異なっている。
【0064】
【表1】

【0065】
試験例1は、パイル径が34.1μmで、ブラシ毛の密度が155Mf/mである。試験例2は、パイル径が30.5μmで、ブラシ毛の密度が185Mf/mである。試験例3は、パイル径が15.3μmで、ブラシ毛の密度が527Mf/mである。
【0066】
ブラシ毛に加わる荷重を測定する方法を具体的に説明すると、図7に示すように、測定装置8に設けられた一端が固定された棒状のアルミ部材9(横幅Wが2mm、長さLが55mm)の先端部に対して、上述した試験例1〜3のクリーニング用ロールブラシ10を回転させながら干渉させる。アルミ部材9の先端部にクリーニング用ロールブラシ10が干渉する量をクリーニング時の設定干渉量とする。そして、アルミ部材9を、クリーニング用ロールブラシ10の樹脂シャフト11に沿って、図中の矢印Xで示す方向に対して、複数箇所に移動させる。上記各箇所におけるアルミ部材9の撓みから、各箇所におけるアルミ部材9の単位幅当たりの荷重を測定する。
【0067】
試験例1〜3を用いてアルミ部材9の単位幅当たりの荷重を測定したところ、試験例1では4.32N/mであり、試験例2では3.30N/mであり、試験例3では0.63N/mであった。
【0068】
次に、試験例1〜3のクリーニング用ロールブラシを用いて行われるクリーニング性の評価について図8を参照して説明する。図8はクリーニング性の評価を行うためのクリーニング装置12の構成を示す断面図である。クリーニング性の評価を行うことにより、試験例1〜3のクリーニング用ロールブラシ10がクリーニングを十分に行えているかどうかを評価する。
【0069】
クリーニング性の評価は、クリーニング装置12を用いて、感光ドラム13の表面をクリーニング用ロールブラシ10が通過する前および通過した後において、感光ドラム13上に残留した像担持体残トナーTの割合によって行われる。すなわち、「感光ドラム13の表面をクリーニング用ロールブラシ10が通過した後の残トナー重量/感光ドラム13の表面をクリーニング用ロールブラシ10が通過する前の残トナー重量」をPWとし、このPWの値によりクリーニング用ロールブラシのクリーニング性が評価される。ここでは、PWが0.1以上である場合はクリーニング性を×とし、0.1未満の場合はクリーニング性を○とした。
【0070】
クリーニング装置12は、感光ドラム13の表面13Aに残留して搬送される負帯電および正帯電のトナーTをクリーニングするために、前段クリーニング用ロールブラシ10、後段クリーニング用ロールブラシ10’の2本のクリーニング用ロールブラシを備えている。なお、前段クリーニング用ロールブラシ10および後段クリーニング用ロールブラシ10’は、試験例1〜3のクリーニング用ロールブラシの内、同種類のものを用いている。
【0071】
前段クリーニング用ロールブラシ10は、円柱状であって、感光ドラム13に近接して、感光ドラム13の回転軸に対して平行に配置されている。前段クリーニング用ロールブラシ10の軸には、円柱状の樹脂シャフト11が用いられており、この樹脂シャフト11の両端以外の外周面には、導電性ブラシ毛14を備えた導電性ブラシ体が設けられている。導電性ブラシ毛14には、トナー像転写工程で印加される電圧の極性と同一極性であるプラス300Vの直流電圧が印加される。これにより、感光ドラム13の表面13Aと導電性ブラシ毛14との間に電界が形成され、表面13Aに残留している負帯電のトナーTが導電性ブラシ毛14に静電吸着されるようになっている。
【0072】
後段クリーニング用ロールブラシ10’は、円柱状であって、前段クリーニング用ロールブラシ10の上方で感光ドラム13に近接して、感光ドラム13の回転軸に対して平行に配置されている。後段クリーニング用ロールブラシ10’の軸には、円柱状の樹脂シャフト11’が用いられており、この樹脂シャフト11’の両端以外の外周面には、導電性ブラシ毛14’を備えた導電性ブラシ体が設けられている。導電性ブラシ毛14’には、前段クリーニング用ロールブラシ10の導電性ブラシ毛14に印加される電圧の極性と逆極性であるマイナス300Vの直流電圧が印加される。これにより、感光ドラム13の表面13Aと導電性ブラシ毛14’との間に電界が形成され、表面13Aに残留している正帯電のトナーTが導電性ブラシ毛14’に静電吸着されるようになっている。
【0073】
前段クリーニング用ロールブラシ10および後段クリーニング用ロールブラシ10’は、図示しないモータにより感光ドラム13の回転方向(矢印A方向)と同じ回転方向に100mm/secで回転しながら感光ドラム13の表面13Aに1mm食い込み、表面13Aに残留している負帯電のトナーTまたは正帯電のトナーTを掻き取ることができる。
【0074】
上述のように、試験例1〜3のクリーニング用ロールブラシ10のクリーニング性を評価した結果、試験例1ではクリーニング性が×であり、試験例2および3ではクリーニング性が○であることが分かった。これは、比較例1ではブラシ毛に加わる荷重が大きいために、樹脂シャフトがその荷重により撓んでしまい、樹脂シャフト中央部の感光ドラムへの食い込み量が少なくなり、樹脂シャフト中央部のクリーニングが悪くなるためである。また、試験例2および3では、ブラシ毛に加わる荷重が小さいために、樹脂シャフトが撓むことなく、樹脂シャフトの長手方向に略均一にクリーニングが行われる。
【0075】
ここで、比較例2におけるアルミ部材9の単位幅当たりの荷重の限界値が3.30N/mであることから、下記数式1に基づいて、比較例2における樹脂シャフトの最大撓みδの限界値を計算した。なお、ここでは、PBTに50%ガラスファイバーを包含させた樹脂の縦弾性係数は、15.7GPaである。
【0076】
【数1】

【0077】
なお、数式1において、δは樹脂シャフト2の最大撓み、wは単位幅あたりの荷重、lは両支持端間距離、Eは縦弾性係数、Iは断面二次モーメントを示している。
【0078】
上記計算の結果、δの値は0.101mmとなった。すなわち、樹脂シャフトの最大撓みが0.1mm以下の場合には、該樹脂シャフトを備えたクリーニング用ロールブラシはクリーニング性を損なうことがない。なお、試験例1における樹脂シャフトの最大撓みδの値は0.132mmであり、試験例3における樹脂シャフトの最大撓みδの値は0.019mmである。
【0079】
以上のことから、本実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1において、樹脂シャフト2を構成する樹脂の材料並びにブラシ毛4の密度および直径は、上記数式1のδの値が0.1mm以下となるように調節することが望ましい。なお、上記数式1のδの値が0.1mm以下となるように調節するものは、樹脂シャフト2を構成する樹脂の材料並びにブラシ毛4の密度および直径に限られない。すなわち、上記数式1において、δの値が0.1mm以下となるように、単位幅あたりの荷重w、縦弾性係数Eおよび断面2次モーメントIの値を調節すればよい。
【0080】
なお、本実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1の樹脂シャフト2を構成するために好適に用いられる樹脂としては、PBTに50%ガラスファイバーを包含させた樹脂以外に、下記表2に示している樹脂等も挙げられる。表2は、各樹脂の種類と、ガラスファイバーの含有量と、縦弾性係数との関係を示している。表2に示すように、PBTに45%のガラスファイバーを包含させている場合の縦弾性係数は、13.7GPaとなる。また、上述したように、PBTに50%のガラスファイバーを包含させている場合の縦弾性係数は、15.7GPaとなる。また、PAに20%のガラスファイバーおよび35%の無機質のフィラーを包含させている場合の縦弾性係数は、17.6GPaとなる。また、PAに50%のガラスファイバーを包含させている場合の縦弾性係数は、16.7GPaとなる。
【0081】
【表2】

【0082】
なお、上記表2の縦弾性係数は、それぞれPBT、PAを直径6mmで樹脂シャフトとして成型したものを、単位幅あたりの荷重が2N/m、支持端距離が22cmで、最大撓みを実測し、計算したものである。
【0083】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態の画像形成装置用ロールブラシ21について図9を参照して説明する。図9は、第2実施形態の画像形成装置用ロールブラシ21を示す断面図である。また、第1実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1における構成要素と、同等の機能を有する構成要素については同一の符号を付記している。
【0084】
画像形成装置用ロールブラシ21は、導電性樹脂シャフト22と、導電性コーティング層3と、ブラシ毛4と、給電部材5(第2給電部材)とを備えている。
【0085】
すなわち、画像形成装置用ロールブラシ21は、導電性樹脂シャフト22の構成以外は第1実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1と同一である。以下の説明において、第1実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1における構成要素と、同等の機能を有する構成要素については同一の符号を付記している。
【0086】
導電性樹脂シャフト22は、導電性の樹脂より構成されており、図示しない駆動手段により回転させられる円柱状の部材である。導電性樹脂シャフト22は、構成している樹脂が導電性であること以外は、第1実施形態の画像形成装置用ロールブラシ1における樹脂シャフト2の構成と同一であるので、具体的な説明は省略する。
【0087】
導電性樹脂シャフト22は、第1実施形態の樹脂シャフト2を構成する樹脂と同様の材料に導電剤を加えたものが用いられる。導電剤としては、上記樹脂中に均一に分散できるものであればよいが、例えば、カーボンブラック粉末、グラファイト粉末、カーボンファイバーや、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属粉末や、導電性ガラス粉末等が好適に用いられる。
【0088】
導電性樹脂シャフト22は、導電性を有しているために、導電性樹脂シャフト22の端部に設けられた給電部材5に、外部電源から電力を供給することにより、該電力は導電性樹脂シャフト22を伝導し、ブラシ毛4に給電される。そのため、ブラシ毛4に給電された電力は、電荷としてブラシ毛4から放出され、感光体等の被帯電体を帯電させることができる。
【0089】
導電性樹脂シャフト22は、導電率が低い場合は、導電性樹脂シャフト22を成型すると、導電性樹脂シャフト22の表面に絶縁層が設けられる場合がある。導電性樹脂シャフト22の表面に絶縁層が設けられていると、導電性樹脂シャフト22とブラシ毛4との導通が得られない。そのため、本実施形態の画像形成装置用ロールブラシ21は、図10に示すように、導電性樹脂シャフト22の表面に設けられた絶縁層の一部を剥離し、剥離部分に通電用金具27を設け、その上から導電性コーティング層3およびブラシ体4を設けている。その結果、通電用金具27を設けている部分において、導電性樹脂シャフト22とブラシ体4とを通電させることができる。そして、導電性樹脂シャフト22に外部電源から電力を供給することにより、ブラシ毛4に電荷が供給される。
【0090】
なお、給電部材5は、導電性樹脂シャフト22の導電率が低く、表面に絶縁層が設けられる場合には、図10に示すように導電性樹脂シャフト22において通電用金具27と離した位置に設けてもよいし、図11に示すように通電用金具27と一体化させるように設けてもよい。
【0091】
また、導電性樹脂シャフト22に電力を供給する方法としては、給電部材5から電力を供給する以外にも、導電性樹脂シャフト22に補助金具29が設けられており、補助金具29の上から画像形成装置用ロールブラシ21の回転を支持し、かつ、電力を供給することができるボールベアリング30が設けられている構成であってもかまわない。導電性樹脂シャフト22の導電率が低く、表面に絶縁層が設けられる場合には、補助金具29およびボールベアリング30は、図12に示すように導電性樹脂シャフト22において通電用金具27と離した位置に設けてもよいし、図13に示すように補助金具29と通電用金具27とが一体化しており、その上にボールベアリング30が設けられている構成であってもよい。
【0092】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、帯電ロールブラシ、現像ロールブラシ、トナー供給ロールブラシ、転写ロールブラシ、クリーニングロールブラシ等の画像形成装置に用いられるロールブラシに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置用ロールブラシの概略構成を示した断面図である。
【図2】(a)は中実体の樹脂シャフトを備えた画像形成装置用ロールブラシの断面図であり、(b)は中空体の樹脂シャフトの一例を備えた画像形成装置用ロールブラシの断面図であり、(c)は中空体の樹脂シャフトの他の一例を備えた画像形成装置用ロールブラシの断面図である。
【図3】長手方向に垂直な断面が十字型である樹脂シャフトを備えた画像形成装置用ロールブラシの断面図である。
【図4】上記画像形成装置用ロールブラシにおいて、給電部材と導電部材が一体化した構成を示す断面図である。
【図5】上記画像形成装置用ロールブラシにおいて、導電部材とブラシ毛との間に滑り軸受けが設けられている構成を示す断面図である。
【図6】樹脂シャフトの外周面に長手方向に沿って設けられた複数の凹部を示す断面図である。
【図7】ブラシの単位幅当たりの荷重を測定するための測定装置を示す側面図である。
【図8】クリーニング用ブラシのクリーニング性の評価を行うためのクリーニング装置を示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置用ロールブラシの概略構成を示す断面図である。
【図10】上記画像形性装置用ロールブラシにおいて、導電性樹脂シャフトに通電用金具とは離れたい位置に給電用金具を設けたことを示す断面図である。
【図11】上記画像形性装置用ロールブラシにおいて、導電性樹脂シャフトに通電用金具と給電用金具とを一体化させて設けたことを示す断面図である。
【図12】上記画像形性装置用ロールブラシにおいて、導電性樹脂シャフトに通電用金具とは離れたい位置にボールベアリングを設けたことを示す断面図である。
【図13】上記画像形性装置用ロールブラシにおいて、導電性樹脂シャフトに通電用金具とボールベアリングとを一体化させて設けたことを示す断面図である。
【符号の説明】
【0095】
1、21 画像形成装置用ロールブラシ
2 樹脂シャフト
3 導電性コーティング層
4 ブラシ毛
5 給電部材(第1給電部材、第2給電部材)
6 導電部材
7 凹部
8 先端力測定器
9 アルミ部材(可撓部材)
10 クリーニング用ロールブラシ
12 クリーニング装置
13 感光ドラム
15 熱収縮チューブ層
16 滑り軸受け
22 導電性樹脂シャフト
27 通電用金具
28 給電用金具
29 補助金具
30 ボールベアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シャフトの外周面に導電性層を備え、該導電性層の外周面に導電性を有するブラシ毛を備える画像形成装置用ロールブラシにおいて、
外部電源から電力を給電するための第1給電部材と、
前記第1給電部材からの電力を前記ブラシ毛に伝導する導電部材とを備えることを特徴とする画像形成装置用ロールブラシ。
【請求項2】
前記ブラシ毛が静電植毛により前記樹脂シャフトに設けられるとき、
前記導電性層は、前記樹脂シャフトの外周面に、導電性を有する接着剤をコーティングすることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用ロールブラシ。
【請求項3】
前記ブラシ毛が基布にパイル織によって織り込まれており、該基布を前記樹脂シャフトの外周面に螺旋状に巻きつけることにより、該ブラシ毛が該樹脂シャフトに設けられるとき、
前記導電性層は、前記基布の裏面に導電性を有する接着剤を塗布することにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用ロールブラシ。
【請求項4】
前記樹脂シャフトは、前記導電部と前記ブラシ毛との間であって、かつ、前記導電性層の上において、軸受けにより支持されており、該軸受けに支持された該樹脂シャフトの外周面の領域において、該樹脂シャフトの長手方向に沿って凹部が設けられており、
前記凹部には、導電性材料が充填されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置用ロールブラシ。
【請求項5】
樹脂シャフトの外周面に導電性層を備え、該導電性層の外周面に導電性を有するブラシ毛を備える画像形成装置用ロールブラシにおいて、
前記樹脂シャフトは、導電性樹脂からなり、
外部電源からの電力を前記樹脂シャフトに給電するための第2給電部材を備えることを特徴とする画像形成装置用ロールブラシ。
【請求項6】
前記樹脂シャフトは、下記数式1において、該樹脂シャフトの最大撓みδが0.1mm以下となるように、E、wが設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置用ロールブラシ。(式中、δは樹脂シャフトの最大撓み、wは単位幅あたりの荷重、lは両支持端間距離、Eは縦弾性係数、Iは断面二次モーメントを示している。)
【数1】

【請求項7】
前記樹脂シャフトの長手方向に垂直な断面の形状は、該断面の中心から外周方向に延びた同一のサイズを有した複数の長方形からなり、該長方形の外周側の端部を結んだ線が正多角形となることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置用ロールブラシ。
【請求項8】
前記樹脂シャフトの外周面と前記導電性層との間には、熱収縮チューブを該樹脂シャフトの外周面に対して加熱収縮させた熱収縮チューブ層が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置用ロールブラシ。
【請求項9】
前記樹脂シャフトは、その一端または両端に歯車を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置用ロールブラシ。
【請求項10】
前記樹脂シャフトは、生分解樹脂からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置用ロールブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−20825(P2008−20825A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194423(P2006−194423)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(390026147)東英産業株式会社 (38)
【Fターム(参考)】