説明

画像形成装置,画像処理方法および画像処理プログラム

【課題】印刷出力されたフォームデータの色調とバリアブルデータの色調とを一致させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1画像データと第2画像データとを重ね合わせて印刷する機能を備えた画像形成装置であって、前記第1画像データおよび前記第2画像データには、それぞれの色変換処理に用いるための第1カラープロファイルおよび第2カラープロファイルが設定されており、前記第1画像データの色変換処理に、前記第1カラープロファイルの代わりに前記第2カラープロファイルを用いるか否かのユーザによる指示を取得する手段と、前記指示に応じたカラープロファイルを用いて前記第1画像データの色変換処理を行い、前記第2カラープロファイルを用いて前記第2画像データの色変換処理を行う手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォームオーバレイ印刷機能を有する画像形成装置、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帳票罫線や頻繁に使用される定型フォーム等をフォームデータとして保持しておき、このフォームデータと、アプリケーションにより作成された文書データからなるバリアブルデータとを画像合成(オーバーレイ)して所望の印刷結果を得る機能(フォームオーバレイ印刷機能)が知られている。しかし、カラー原稿に対してフォームオーバレイ印刷機能を使用する場合、フォームデータとバリアブルデータの色変換処理に適用されるカラープロファイルが互いに異なっていると、フォームデータとバリアブルデータとが若干異なる色調で印刷されてしまうという問題点があった。
【0003】
一方、フォームデータとバリアブルデータとを合成印刷するフォームオーバレイ印刷装置であって、バリアブルデータのページ毎の印刷条件(印刷色等)を記憶し、その記憶された印刷条件に従って、ページ毎に印刷条件を自動的に変更してフォームオーバレイ印刷を行う印刷装置が提案されている(下記の特許文献1を参照)。この印刷装置によれば、バリアブルデータをホスト機器から印刷装置に1回送信するだけで、ページ毎にバリアブルデータの印刷色を自動的に変更しながらフォームオーバレイ印刷を行うことができる。しかし、この技術は、バリアブルデータの印刷色を、予め指定された印刷条件に応じて自動的に変更する技術にすぎず、色変換処理の相違によってフォームデータとバリアブルデータとの色調の差異が生じるという問題点を解消するものではない。
【特許文献1】特開平11−105367号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、印刷出力されたフォームデータの色調とバリアブルデータの色調とを一致させることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0006】
(1)第1画像データと第2画像データとを重ね合わせて印刷する機能を備えた画像形成装置であって、前記第1画像データおよび前記第2画像データには、それぞれの色変換処理に用いるための第1カラープロファイルおよび第2カラープロファイルが設定されており、前記第1画像データの色変換処理に、前記第1カラープロファイルの代わりに前記第2カラープロファイルを用いるか否かのユーザによる指示を取得する手段と、前記指示に応じたカラープロファイルを用いて前記第1画像データの色変換処理を行い、前記第2カラープロファイルを用いて前記第2画像データの色変換処理を行う手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【0007】
(2)前記第1画像データはフォームデータであり、前記第2画像データはバリアブルデータであることを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置。
【0008】
(3)第1画像データと第2画像データとを重ね合わせて印刷するための印刷方法であって、前記第1画像データおよび前記第2画像データには、それぞれの色変換処理に用いるための第1カラープロファイルおよび第2カラープロファイルが設定されており、前記第1画像データの色変換処理に、前記第1カラープロファイルの代わりに前記第2カラープロファイルを用いるか否かのユーザによる指示を取得するステップと、前記指示に応じたカラープロファイルを用いて前記第1画像データの色変換処理を行い、前記第2カラープロファイルを用いて前記第2画像データの色変換処理を行うステップと、を有することを特徴とする印刷方法。
【0009】
(4)前記第1画像データはフォームデータであり、前記第2画像データはバリアブルデータであることを特徴とする上記(3)に記載の印刷方法。
【0010】
(5)第1画像データと第2画像データとを重ね合わせて印刷する機能を備えた画像形成装置を制御するためのプログラムであって、前記第1画像データおよび前記第2画像データには、それぞれの色変換処理に用いるための第1カラープロファイルおよび第2カラープロファイルが設定されており、前記第1画像データの色変換処理に、前記第1カラープロファイルの代わりに前記第2カラープロファイルを用いるか否かのユーザによる指示を取得する手順と、前記指定に応じたカラープロファイルを用いて前記第1画像データの色変換処理を行い、前記第2カラープロファイルを用いて前記第2画像データの色変換処理を行う手順と、を前記画像形成装置に実行させるためのプログラム。
【0011】
(6)前記第1画像データはフォームデータであり、前記第2画像データはバリアブルデータであることを特徴とする上記(5)に記載のプログラム。
【0012】
(7)上記(5)または(6)に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置によれば、ユーザはフォームオーバレイ印刷実行時に、フォームデータの色変換処理に、バリアブルデータの色変換処理のために指定されたカラープロファイルを適用するか否かを選択できるようになり、それによって、印刷出力されたフォームデータの色調とバリアブルデータの色調とを一致させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置が適用された印刷システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態にかかる印刷システムは、クライアント装置としてのPC1と、画像形成装置としてのプリンタ2とを備え、これらは通信ネットワーク3を介して相互に通信可能に接続されている。なお、通信ネットワーク3に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。また、PC1は、通信ネットワーク3を介することなく、プリンタ2と直接機器間で接続(ローカル接続)されていてもよい。
【0016】
ここで、プリンタ2は、互いにローカル接続されたプリンタコントローラ21とプリンタエンジン22とからなる。このローカル接続には、USB、IEEE1394等のシリアルインタフェース、SCSI、IEEE1284等のパラレルインタフェース、Bluetooth(ブルートゥース)、IEEE802.11、HomeRF、IrDA等の無線通信インタフェース等の各種ローカル接続インタフェースが用いられる。
【0017】
次に、上記各機器の構成について説明するが、上記各機器は後述する構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、後述する構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。また、各機器で同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるため初回のみその説明を行い、2回目以降はその説明を省略する。
【0018】
図2は、図1に示されるPC1の構成を示すブロック図である。
【0019】
PC1は、CPU11、ROM12、RAM13、ハードディスク14、ディスプレイ15、入力装置16およびネットワークインタフェース17を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス18を介して相互に接続されている。
【0020】
CPU11は、プログラムにしたがって、上記各部の制御や各種の演算処理を行う。ROM12は、各種プログラムや各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。ハードディスク14は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する。
【0021】
ここで、ハードディスク14には、文書ファイルを作成するためのアプリケーションと、文書ファイルをプリンタ2が解釈可能なページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたプリントデータ(以下、「PDLデータ」ともいう。)に変換するためのプリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、アプリケーションを使用して作成した文書の印刷指示の他、印刷出力条件等の設定を行う機能を有する。プリンタドライバには、これらの設定や指示を行うためのプログラムが含まれる。
【0022】
ディスプレイ15は、LCD、CRTディスプレイ等であり、各種の情報の表示に使用される。入力装置16は、マウス等のポインティングデバイスやキーボードを含み、各種情報の入力に使用される。
【0023】
ネットワークインタフェース17は、通信ネットワーク3を介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格が用いられる。
【0024】
図3は、図1に示されるプリンタ2におけるプリンタコントローラ部21の構成を示すブロック図である。
【0025】
プリンタコントローラ部21は、CPU211、ROM212、RAM213、ハードディスク214、RIP部215、エンジンインタフェース216、ネットワークインタフェース217、および色変換処理部218を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス219を介して相互に接続されている。
【0026】
RIP部215は、PC1から受信したPDLデータを翻訳し、ビットマップ形式に展開するためのラスタライズ処理(RIP:Raster Image Processing)を行う。ただし、RIPは、ROM212またはハードディスク214に格納されたプログラムを実行することによって行われてもよい。
【0027】
エンジンインタフェース216は、ローカル接続されたプリンタエンジン22と通信するためのインタフェースである。
【0028】
色変換処理部218は、指定されたカラープロファイルを利用して、PDLデータの色変換処理を行う。ただし、色変換処理は、ROM212またはハードディスク214に格納されたプログラムを実行することによって行われてもよい。なお、本実施形態におけるカラープロファイルの指定方法については後述する。
【0029】
図4は、図1に示されるプリンタ2のプリンタエンジン22の構成を示すブロック図である。プリンタエンジン22は、CPU221、ROM222、RAM223、操作パネル部224、印刷部225、およびコントローラインタフェース226を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス227を介して相互に接続されている。
【0030】
ROM222には、ビットマップ形式の画像データに展開されたラスタライズ画像を転写紙等の記録媒体に印刷するためのプログラムが格納されている。操作パネル部224は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。印刷部225は、電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、カラー画像の各種データを用紙などの記録材上に印刷する。コントローラインタフェース226は、ローカル接続されたプリンタコントローラ21と通信するためのインタフェースである。
【0031】
次に、本実施形態にかかる印刷システムを用いてフォームオーバレイ印刷を行うための手順について説明する。
【0032】
<フォームデータの登録>
ユーザは、PC1上の各種アプリケーションを用いてフォームデータを作成し、当該データをプリンタコントローラ21に予め登録しておく。フォームデータの登録方法について詳しく説明する。
【0033】
作成されたフォームデータは、PC1に内包されるプリンタドライバによってPDLデータに変換され、プリンタコントローラ21に送信される。ここで、送信されるPDLデータがフォームデータであることをプリンタコントローラ21が識別できるよう、当該データ内に、例えば「Form Storage=ON」のようなコマンドが付与される。このようなコマンドは、ユーザが、プリンタドライバにより提供されるUI(ユーザインタフェース)画面上でフォームデータ登録のための設定を行うことにより、PDLデータ中に付与される。
【0034】
図5に、かかる設定を行うためにPC1のディスプレイ15上に表示されるUI画面の一例を示す。図5のフォームメニュー画面4において、ユーザが「フォーム登録」のチェックボックス41をチェックすることで、プリンタドライバによってPDLデータ中にフォームデータ登録のための所定のコマンドが付与されることになる。
【0035】
プリンタコントローラ21は、当該コマンドを認識すると、送信されてきたPDLデータをフォームデータとしてハードディスク214内に格納する。一方、当該コマンドが認識されない場合、すなわち、図5のフォームメニュー画面4において「フォーム登録」のチェックボックス41がチェックされていない場合には、送信されたPDLデータは、通常の印刷ジョブとして処理される。
【0036】
また、ユーザが、フォームデータの色変換処理に適用するカラープロファイルを選択する場合、プリンタドライバ21がユーザ指定のカラープロファイルを識別できるように、PDLデータ内に、例えば「Profile=Japan Color」のようなコマンドが付与される。このようなコマンドは、ユーザが、プリンタドライバにより提供されるUI上でプロファイルの選択を行うことにより、PDLデータ中に付与される。図6に、ユーザがかかる選択を行うために、PC1のディスプレイ15上に表示されるUI画面の一例を示す。
【0037】
図6のカラーメニュー画面5において、ユーザが、「使用するプロファイル」のプルダウンメニュー51から所望のプロファイルを選択することにより、フォームデータの色変換処理に適用されるプロファイルの指定がなされ、プリンタドライバによってPDL中に所定のコマンドが付与されることになる。なお、ユーザが、図6のカラーメニュー画面5において、プロファイルの選択を行わない場合は、プリンタドライバにより推奨されるデフォルトプロファイルが自動的に選択され、このプロファイルに対応するコマンドが付与されることになる。
【0038】
なお、本実施形態において、プロファイルとは、RGB画像データをCMYK画像データに変換するために用いられるCMYKシュミレーションプロファイルを意味し、このようなプロファイルの代表例としては、日本で一般的な「Japan Color」や、米国で一般的な「SWOP(Specifications Web Offset Publications)」などがある。
【0039】
ただし、本発明において、プロファイルとはCMYKシュミレーションプロファイルのみに限定されず、RGB画像データの作成時に適用されたプロファイルであるRGBソースプロファイル、およびプリンタ等の出力機器がカラー画像を出力するときに適用される機器固有のプロファイルであるアウトプットプロファイルを含むものとする。
【0040】
<フォームオーバレイ印刷の実行>
このようにしてフォームデータがプリンタコントローラ21に登録されると、ユーザは、登録されたフォームデータと、バリアブルデータとしての文書データとを重ね合わせてフォームオーバレイ印刷を実行することができるようになる。以下に、フォームオーバレイ印刷の実行方法について詳しく説明する。
【0041】
文書データは、PC1の任意のアプリケーション上で作成され、プリンタドライバによってPDLデータに変換された後に、プリンタコントローラ21に送信される。ここで、送信されるPDLデータがフォームオーバレイ印刷のためのバリアブルデータであることをプリンタコントローラ21が認識できるように、当該データ中に、例えば「Form Overlay=ON」のようなコマンドが付与される。このようなコマンドは、例えば図5のフォームメニュー画面4において、ユーザが「フォームオーバレイ印刷の実行」のチェックボックス41をチェックすることにより、プリンタドライバによってPDLデータ中に付与される。
【0042】
さらに、ユーザは、「フォームリスト」のプルダウンメニュー42によってフォームオーバレイ印刷に用いるフォームの選択を、「プロファイル」のラジオボタン43によってフォームデータの色変換処理に用いるカラープロファイルの指定を、それぞれ行うことができる。これらについて以下で詳しく説明する。また、フォームデータ登録時と同様に、ユーザは、図6のカラーメニュー画面5のプルダウンメニュー51により、文書データの色変換処理に用いるカラープロファイルを選択できる。
【0043】
フォームオーバレイ印刷に用いるフォームの選択は、ユーザが「フォームリスト」のプルダウンメニュー42から所望のフォームを選択することによって行われる。なお、プルダウンメニュー42には、上述の手順でプリンタコントローラ21に登録されたフォームデータのファイル名が示される。
【0044】
また、フォームデータの色変換に用いるカラープロファイルの指定は、「フォームのプロファイルを使用」および「文書のプロファイルを使用」からなる「プロファイル」のラジオボタン43をユーザが操作することによって実行される。すなわち、「フォームのプロファイルを使用」のラジオボタン43が押された場合は、フォーム登録時に図6のプルダウンメニュー51によって選択されたカラープロファイルが、「文書のプロファイルを使用」のラジオボタン43が押された場合は、フォームオーバレイ印刷実行時に図6のプルダウンメニュー51によって選択されたカラープロファイルが、それぞれフォームデータの色変換処理に用いられることになる。
【0045】
また、文書データの色変換処理には、フォームオーバレイ印刷実行時に、図6のプルダウンメニュー51により選択されたカラープロファイルが用いられることになる。
【0046】
なお、本実施形態においては、ユーザが図5のラジオボタン43を操作することによって、フォームデータに適用されるカラープロファイルが指定されるが、本発明はこのような構成に限定されず、ユーザがラジオボタン43を操作することによって、文書データに適用されるカラープロファイルが指定されてもよい。
【0047】
続いて、本実施形態におけるPC1の動作の概要を説明する。図7は、本実施形態におけるPC1の処理の手順を示すフローチャートである。なお、図7のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、PC1のハードディスク14等の記憶部に制御プログラムとして記憶されており、動作開始の際にRAM13に読み出されてCPU11によって実行される。
【0048】
図7において、先ず、PC1は任意のアプリケーションにより、バリアブルデータとしての文書データを作成する(S101)。なお、フォームデータは上述の手順により、予めプリンタコントローラ21に登録されているものとする。
【0049】
次に、PC1は、図5の「フォームオーバレイ印刷の実行」のチェックボックス41によって、ユーザからのフォームオーバレイ印刷の指示を取得する(S102)。このとき、PC1は、フォームオーバレイ印刷実行時の各種設定に関する情報も併せて取得する。すなわち、図5の「フォームリスト」のプルダウンメニュー42によって、フォームオーバレイ印刷に用いられるフォームに関する情報を取得し、「プロファイル」のラジオボタン43によって、フォームデータの色変換処理に用いられるカラープロファイルに関する情報を取得する、さらに、図6のプルダウンメニュー51によって、文書データの色変換処理に用いられるカラープロファイルに関する情報を取得する。
【0050】
続いて、PC1は、プリンタドライバにおいて、文書データをPDLデータに変換するが、同時にS102において取得されたフォームオーバレイ印刷の指示および各種設定情報に対応するコマンドをPDLデータに付与する(S103)。
【0051】
PC1は、S103において生成されたPDLデータをプリンタコントローラ21に送信して処理を終了する(S104)。
【0052】
次に、本実施形態におけるプリンタコントローラ21の動作の概要を説明する。図8は、本実施形態におけるプリンタコントローラ21の処理の手順を示すフローチャートである。なお、図8のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリンタコントローラ21のROM211等の記憶部に制御プログラムとして記憶されており、動作開始の際にRAM213に読み出されてCPU211によって実行される。
【0053】
図8において、先ず、プリンタコントローラ21は、PC1からPDLデータ、すなわち、S103においてPDLデータに変換されたバリアブルデータを受信する(S201)。そして、プリンタコントローラ21は、受信したPDLデータに付与された各種コマンドを解析する(S202)。ここでいうコマンドとは、図7のS103においてプリンタドライバにより付与されたものである。
【0054】
続いて、S202におけるコマンド解析結果に基づき、PDLデータ中に、フォームオーバレイ印刷の指定に対応するコマンド(例えば、「Form Overlay=ON」など)が付与されているか否かを判断する(S203)。
【0055】
当該コマンドが付与されている場合は(S203のYES)、S202におけるコマンド解析結果に基づき、フォームオーバレイ印刷に用いられるフォームデータが認識され、当該フォームデータが、ハードディスク214またはRAM213から読み出されて準備される(S204)。
【0056】
プリンタコントローラ21は、S204にて準備されたフォームデータの色変換処理を行い、さらにビットマップ化処理を行う(S205)。ここで、フォームデータの色変換処理には、図5のフォームメニュー画面4における「プロファイル」のラジオボタン43の選択結果に応じたカラープロファイルが適用される。
【0057】
すなわち、「フォームのプロファイルを使用」のラジオボタン43が選択された場合には、フォーム登録時にプルダウンメニュー51によって選択されたカラープロファイルがハードディスク214から読み出され、このカラープロファイルがフォームデータの色変換処理に適用されることになる。一方、「文書のプロファイルを使用」のラジオボタン43が選択された場合には、フォーム登録時に選択されたカラープロファイルの代わりに、フォームオーバレイ印刷実行時にプルダウンメニュー51により選択されたカラープロファイルがハードディスク214から読み出され、このカラープロファイルがフォームデータの色変換処理に適用されることになる。例えば、フォームオーバレイ印刷実行時に、フォームメニュー画面4において「文書のプロファイルを使用」のラジオボタン43が選択され、カラーメニュー画面5においてプルダウンメニュー51により「SWOP」が選択された場合は、フォーム登録時にどのカラープロファイルが選択されていようとも、SWOPがハードディスク214から読み出され、SWOPがフォームデータの色変換処理に適用されることになる。
【0058】
続いて、プリンタコントローラ21は、受信した文書データの色変換処理を行い、さらにビットマップ化処理を行う(S206)。ここで、文書データの色変換処理には、フォームオーバレイ印刷実行時に、図6のプルダウンメニュー51によって選択されたカラープロファイルが使用される。
【0059】
さらにプリンタコントローラ21は、S205およびS206においてそれぞれ生成されたビットマップ形式のフォームデータおよび文書データを重ね合わせる処理(フォームオーバレイ処理)を行い(S207)、このようにして合成されたビットマップデータをプリンタエンジンに送信して処理を終了する(S209)。
【0060】
なお、S203において、フォームオーバレイ印刷の指定に対応するコマンドが付与されていないと判断された場合は(S203のNO)、送信されたPDLデータの通常印刷が行われることになり、プリンタコントローラ21は、当該データに対して色変換処理およびビットマップ化処理を施し(S208)、生成されたビットマップデータをプリンタエンジン22に送信した後に処理を終了する(S209)。なお、S208における色変換処理には、印刷実行時に図6のプルダウンメニュー51により選択されたカラープロファイルが使用される。
【0061】
最後に本実施形態における、プリンタエンジン22の動作の概要を説明する。図9は、本実施形態におけるプリンタエンジン22の処理の手順を示すフローチャートである。
【0062】
なお、図9のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリンタエンジン22のROM221に制御プログラムとして記憶されており、動作開始の際にRAM223に読み出されてCPU221によって実行される。
【0063】
プリンタエンジン22は、S209においてプリンタコントローラ21によって送信されたビットマップデータを受信し(S301)、当該データの印刷を実行した後に処理を終了する(S302)。
【0064】
このように、本実施形態のプリンタ2によれば、ユーザはフォームオーバレイ印刷実行時に、フォームデータの色変換処理に、文書データの色変換処理のために指定されたカラープロファイルを適用するか否かを選択できるようになり、それによって、印刷出力されたフォームデータの色調とバリアブルデータの色調とを一致させることができるようになる。
【0065】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。例えば、上記実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像形成装置は、各種機能を備えた多機能周辺機器(MFP)等であってもよい。
【0066】
本実施形態の印刷システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態にかかる画像形成装置が適用された印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1におけるPCの構成を示すブロック図である。
【図3】図1におけるプリンタコントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】図1におけるプリンタエンジンの構成を示すブロック図である。
【図5】プリンタドライバによって提供されるUI画面の一例を示す図である。
【図6】プリンタドライバによって提供されるUI画面の一例を示す図である。
【図7】PCの処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】プリンタエンジンの処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】プリンタコントローラの処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 PC、
11 CPU、
12 ROM、
13 RAM、
14 ハードディスク、
15 ディスプレイ、
16 入力装置、
17 ネットワークインタフェース、
18 バス、
2 プリンタ、
21 プリンタコントローラ、
211 CPU、
212 ROM、
213 RAM、
214 ハードディスク、
215 RIP部、
216 エンジンインタフェース、
217 ネットワークインタフェース、
218 色変換処理部、
219 バス、
22 プリンタエンジン、
221 CPU、
222 ROM、
223 RAM、
224 操作パネル部、
225 印刷部、
226 コントローラインタフェース、
227 バス、
3 通信ネットワーク、
4 フォームメニュー画面、
41 チェックボックス、
42 プルダウンメニュー、
43 ラジオボタン、
5 カラーメニュー画面、
51 プルダウンメニュー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像データと第2画像データとを重ね合わせて印刷する機能を備えた画像形成装置であって、
前記第1画像データおよび前記第2画像データには、それぞれの色変換処理に用いるための第1カラープロファイルおよび第2カラープロファイルが設定されており、
前記第1画像データの色変換処理に、前記第1カラープロファイルの代わりに前記第2カラープロファイルを用いるか否かのユーザによる指示を取得する手段と、
前記指示に応じたカラープロファイルを用いて前記第1画像データの色変換処理を行い、前記第2カラープロファイルを用いて前記第2画像データの色変換処理を行う手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1画像データはフォームデータであり、前記第2画像データはバリアブルデータであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
第1画像データと第2画像データとを重ね合わせて印刷するための印刷方法であって、
前記第1画像データおよび前記第2画像データには、それぞれの色変換処理に用いるための第1カラープロファイルおよび第2カラープロファイルが設定されており、
前記第1画像データの色変換処理に、前記第1カラープロファイルの代わりに前記第2カラープロファイルを用いるか否かのユーザによる指示を取得するステップと、
前記指示に応じたカラープロファイルを用いて前記第1画像データの色変換処理を行い、前記第2カラープロファイルを用いて前記第2画像データの色変換処理を行うステップと、を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項4】
前記第1画像データはフォームデータであり、前記第2画像データはバリアブルデータであることを特徴とする請求項3に記載の印刷方法。
【請求項5】
第1画像データと第2画像データとを重ね合わせて印刷する機能を備えた画像形成装置を制御するためのプログラムであって、
前記第1画像データおよび前記第2画像データには、それぞれの色変換処理に用いるための第1カラープロファイルおよび第2カラープロファイルが設定されており、
前記第1画像データの色変換処理に、前記第1カラープロファイルの代わりに前記第2カラープロファイルを用いるか否かのユーザによる指示を取得する手順と、
前記指定に応じたカラープロファイルを用いて前記第1画像データの色変換処理を行い、前記第2カラープロファイルを用いて前記第2画像データの色変換処理を行う手順と、を前記画像形成装置に実行させるためのプログラム。
【請求項6】
前記第1画像データはフォームデータであり、前記第2画像データはバリアブルデータであることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
請求項5または6に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−92312(P2008−92312A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271416(P2006−271416)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】