説明

画像形成装置

【課題】像担持体に帯電部材が圧接して配置され、帯電部材により像担持体表面を所定の極性・電位に均一に帯電処理する接触帯電方式を用いた画像形成装置において、帯電部材の抵抗値上昇に伴う帯電能低下による異常画像の発生を防止すること。
【解決手段】前記帯電部材は、その抵抗値が該帯電部材への加圧力により変化するものであり、前記帯電部材に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記帯電部材の像担持体への加圧力を調整する加圧力調整手段と、を有することを特徴とする画像形成装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体表面に帯電部材を圧接させ、帯電部材により像担持体表面を所定の極性・電位に均一に帯電処理する接触帯電方式を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた複写機・プリンタ・ファクシミリ等の転写方式画像形成装置は、回転ドラム型を一般的とする像担持体である感光体、その感光体を所定の極性・電位に均一に帯電処理する帯電装置(この処理を帯電工程と呼ぶ)、帯電処理された感光体に静電潜像を形成する情報書き込み手段としての露光装置(この処理を露光工程と呼ぶ)、感光体上に形成された静電潜像を現像剤であるトナーにより顕像化する現像装置(この処理を現像工程と呼ぶ)、上記トナー画像を感光体面上から紙などの転写材に転写する転写装置(この処理を転写工程と呼ぶ)、転写工程後の感光体上に多少ながら残余するトナーを除去して感光体面を清掃するクリーニング装置(この処理をクリーニング工程と呼ぶ)、転写材上のトナー画像を定着させる定着装置(この処理を定着工程と呼ぶ)などから構成されている。感光体はこのような一連の電子写真プロセス(帯電工程・露光工程・現像工程・転写工程・クリーニング工程)を繰り返し、画像が転写材上に形成される。
【0003】
これまで、帯電装置としては、スコロトロン帯電器のようなコロナ放電現象を利用した非接触式の帯電方式(コロナ帯電方式)の帯電装置が主に用いられてきた。コロナ帯電方式の帯電装置は、像担持体などの被帯電体表面を所定の電位に均一に帯電処理する手段としては有効である。しかし、高圧電源を必要とするため、コストアップや装置大型化などの問題があった。また、コロナ放電によるオゾンの発生など環境に対する問題もあった。
【0004】
このようなコロナ帯電方式に対して、近年導電性の帯電部材(ローラ型,ブレード型)を感光体などの像担持体である感光体に直接接触あるいは近接させ、帯電部材に帯電電圧を印加する接触帯電方式が主流になりつつある。
【0005】
例えば、導電性ゴムの帯電ローラを像担持体である感光ドラムに圧接させ、感光ドラムの回転とともに帯電ローラを従動回転させる構成の接触帯電方式の帯電装置においては、帯電ローラの軸となる芯金に電圧を供給することにより、感光ドラムとの間の微小ギャップにて生じる放電現象を利用して、感光ドラム表面を一様に帯電することができる。
【0006】
接触帯電方式は、非接触帯電方式に比べて、被帯電体表面に所望の電位を得るのに必要とされる印加電圧の低電圧化が図れること、帯電過程で発生するオゾン量がごく微量であり、オゾン除去フィルターの必要性がなくなること、そのため装置の排気系の構成が簡略化されることなどの長所を有している。
【0007】
図2に接触帯電方式の帯電装置である帯電ローラを用いた画像形成装置の概略構成の従来例を示す。
【0008】
1は被帯電体であり像担持体としての感光ドラムである。この感光ドラムは矢印の方向に所定の速度(所謂プロセススピード)で回転駆動される。
【0009】
2はこの感光ドラム(像担持体)1に圧接して配置された帯電部材(帯電ローラ)である。この帯電ローラ2は、芯金(支持部材)2aの両端部をそれぞれ軸受け部材(不図示)により回転自在に保持されると共に、押圧ばね2eによって感光ドラム1に向かって所定の押圧力をもって圧接されている。これにより帯電ローラ2は、感光ドラム1に従動して回転する。感光ドラム1と帯電ローラ2との圧接部が帯電部(帯電ニップ)aである。
【0010】
帯電ローラ2の芯金2aには、電源S1より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加される。これにより回転する感光ドラム1表面は帯電ローラ2で所定の極性・電位に接触帯電処理される。
【0011】
ここで、図3は従来使用されている帯電ローラ2の層構成模型図の一例である。この帯電ローラは、芯金2aの外回りに、下層2bと、中間層2cと、表層2dとを芯金から順番に積層した3層構成のものである。下層2bは帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、例えばカーボン分散の発泡EPDMなどが用いられている。中間層2cは帯電ローラ2の抵抗値を調整するための抵抗調整層であり、例えばカーボン分散のNBR系ゴムなどが用いられている。表層2dは感光ドラム1上にピンホールなどの欠陥がある場合にもリークが発生することを防止するために設けられた保護層であり、例えば6−ナイロン樹脂を原料としてメタノール等と反応させて化学的に変性し、アルコールに溶けるようにした柔らかいナイロンであるトレジンに、表面の離型性を向上させるためのフッ素樹脂と、抵抗率を適正に調整するためのカーボンブラック、酸化錫等の導電剤を適量添加したものが用いられている。
【0012】
帯電ローラ2で帯電処理された感光ドラム1表面は、情報書き込み手段としての露光装置3によって目的の画像情報に応じて露光を受け、感光ドラム1表面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。感光ドラム1表面に形成された静電潜像は、現像装置4によりトナー画像として現像される。
【0013】
一方給紙機構(不図示)から転写材Pが1枚毎に給紙・搬送され、その転写材Pが所定のタイミングで転写装置5に導入されることで、転写材Pに対して感光ドラム1表面に形成された上記トナー画像が順次転写されていく。
【0014】
トナー画像の転写を受けた転写材Pは、定着装置6へと搬送され、定着装置6でトナー画像の定着処理を受ける。
【0015】
また転写材Pに対するトナー画像転写後の感光ドラム1表面はクリーニング装置21のクリーニング部材21bにより転写残トナーなどの残留付着汚染物が除去されて清浄面化され、次の作像工程へと移行する。
【0016】
ところで、上記の画像形成装置が具備する帯電ローラ2などの帯電部材を用いた接触帯電方式では、画像形成の回数が増加するに伴って、帯電部材を構成する導電性ゴムの劣化による抵抗値上昇や、接触帯電部材表面にトナーなどの汚染物が付着することによる抵抗値上昇が発生する。そして、帯電部材の抵抗値上昇は、感光ドラム1表面を均一に帯電する能力を低下させる虞がある。
【0017】
具体的には、帯電ローラ2の抵抗値が上昇することで、帯電ローラ2と感光ドラム1の間の微小ギャップで発生する放電量が低下し、感光ドラム1表面を均一に帯電できなくなるため、例えば白地部に帯電不良による微小な点々が発生するような異常画像になる場合がある。また帯電ローラ2表面が不均一に汚染され、かつ帯電ローラ2の抵抗値が所定以上の値まで上昇した時には、帯電ローラ2の汚染されていない部分と汚染された部分で感光ドラム1表面を帯電する能力が異なり、汚染された部分では感光ドラム1表面の電位を所定の値まで帯電することができないため、画像上他の部分と濃度が異なる画像ムラになる場合がある。
【0018】
ここで、前者の導電性ゴムの劣化による抵抗値上昇は、画像形成の回数が増加すること、つまり帯電ローラ2に電圧を印加し続けることにより、導電性ゴム内部に抵抗値を調整するために添加されているカーボンなどの抵抗調整剤の偏析が生じ、電気的なパスが減少してしまうことにより発生する。
【0019】
この問題の解決法としては、あらかじめ決定されている交換時期(帯電ローラ2の寿命)まで使用し劣化が進行している帯電ローラ2でも感光ドラム1表面を均一に帯電処理できるだけの電圧を、初期から印加する方法が用いられている(方法1)。
【0020】
また、あらかじめ画像形成回数または電圧印加時間と、導電性ゴムの抵抗値上昇の関係を調べておき、画像形成回数または電圧印加時間の増加に伴って、帯電ローラ2に印加する電圧値を調整する方法(帯電印加電圧の予測制御)などが用いられている(方法2)。
【0021】
更には、定期タイミング毎に帯電ローラ2から感光ドラム1に流れ込む電流量をサンプリングし、その結果に応じて帯電ローラ2に印加する電圧を調整する方法(帯電印加電圧の制御)などが用いられている(方法3、特許文献1参照)。
【0022】
一方、後者の帯電ローラ2表面に汚染物が付着することによる抵抗値上昇は、クリーニング装置21で除去しきれなかったトナーの微粉やトナーの外添剤が帯電ローラ表面に付着し、蓄積していくことによって発生する。
【0023】
この問題の解決法としては、帯電ローラ2に清掃部材を当接させる方法が用いられている。清掃部材としては、スポンジなどの柔らかくて捕集性の高いパット部材、ブラシ部材などが用いられる(方法4、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平4−138467号公報
【特許文献2】特開平3−126961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
前記の方法1では、初期では帯電ローラ2に必要以上の電圧を印加するため、印加電圧が高いために発生する問題、具体的には感光ドラム1の削れ量が加速される(感光ドラムの耐久性)などの問題が発生することがあった。
【0025】
前記の方法2では、画像形成回数または電圧印加時間以外の条件によってもその劣化の速度が大きく異なる場合があることが考慮されていない。すなわち、このような帯電ローラ2に印加する電圧を予測制御した場合、実際には抵抗値上昇がそれほど発生していないにもかかわらず、画像形成回数または電圧印加時間で印加電圧を変更するために、程度は良くなるものの上記のドラム削れなどの問題が発生することがあった。また、逆に実際の抵抗値上昇が激しい場合には、感光ドラム1上を均一に帯電処理できずに画像不良となる場合があった。
【0026】
前記の方法3では、画像形成回数に伴って帯電ローラ2に印加する電圧値を増加させていく必要があり、帯電ローラ2に流れ込む電流量は増加してしまう。このために前述の導電性ゴム内部に添加されているカーボンなどの抵抗調整剤の偏析が加速され、電気的なパスが減少することによる抵抗値上昇が加速されてしまう場合があった。
【0027】
一方、前記の方法4において、捕集性の高いパット部材を清掃部材として用いた場合、帯電ローラ2表面に付着した汚染物を除去する能力は初期的には優れているものの、清掃部材と帯電ローラ2の接触ニップに汚染物が蓄積するため、清掃部材の清掃能力はすぐに低下し、帯電ローラ2表面に付着した汚染物を完全に除去することができなくなる。
【0028】
また、方法4において、帯電ローラ2に付着した汚染物を帯電ローラ2の長手に渡って均一に散らす役割を果たすブラシ部材を清掃部材として用いた場合、帯電ローラ2表面に付着した汚染をある程度均一に散らすことはできるが、帯電ローラ2上の汚染物を完全に除去することはできないため、帯電ローラ2の抵抗値上昇を防止することはできない。
【0029】
以上のように、帯電部材の抵抗値が上昇した場合、帯電部材による像担持体表面の帯電処理能力が低下し、帯電不良による画像不良が問題となるが、それに対する有効な解決方法は見出されていない。
【0030】
そこで本発明は、像担持体に帯電部材が圧接して配置され、帯電部材により像担持体表面を所定の極性・電位に均一に帯電処理する接触帯電方式を用いた画像形成装置において、帯電部材の抵抗値上昇に伴う帯電能低下による異常画像の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は下記の構成を特徴とする画像形成装置である。
【0032】
像担持体に帯電部材が圧接して配置され、前記帯電部材により前記像担持体表面を所定の極性・電位に均一に帯電処理する接触帯電方式を用いた画像形成装置において、前記帯電部材は、その抵抗値が該帯電部材への加圧力により変化するものであり、前記帯電部材に流れる電流値を測定する電流検出手段と、前記帯電部材の前記像担持体への加圧力を調整する加圧力調整手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、像担持体に帯電部材が圧接して配置され、帯電部材により像担持体表面を所定の極性・電位に均一に帯電処理する接触帯電方式を用いた画像形成装置において、帯電部材の抵抗値上昇による異常画像の発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(実施例1)
以下、実施例1の画像形成装置(画像記録装置)について説明する。
【0035】
図1は本発明の実施例1に従う画像形成装置の概略構成模型図である。本例の画像形成装置は、帯電部材としてローラ型の帯電ローラを用いた電子写真式のレーザビームプリンタである。
【0036】
(a)像担持体
図1における1は、像担持体としての感光ドラムである。この感光ドラム(像担持体)1は、その表面が負帯電性の有機光導電体(OPC)で形成されており、外径60mm、中心支軸を中心に100mm/secのプロセススピード(周速度)をもって矢示の反時計方向に回転駆動するものである。
【0037】
この感光ドラム1は、図3にその層構成模型図を示すように、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)1aの表面に、光の干渉を抑え、上層の接着性を向上させる下引き層1bと、電荷発生層1cと、電荷輸送層1dの3層を下から順に塗り重ねた構成をしている。
【0038】
電荷発生層は、アゾ顔料を適当な溶剤中でバインダー樹脂と共に分散した塗布液を、導電性支持体(導電性ドラム基体)上に公知の方法によって塗布することによって形成することができ、その膜厚は例えば5μm以下、好ましくは0.1〜1μmの薄膜層とすることが望ましい。この際用いられるバインダー樹脂は、広範な絶縁性樹脂あるいは有機光導電性ポリマ−から選択されるが、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタンなどが好ましく、その使用量は電荷発生層中の含有率で80質量%以下、好ましくは40質量%以下である。また使用する溶剤は前記の樹脂を溶解し、後述の電荷輸送層や下引き層を溶解しないものから選択することが好ましい。具体的には、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエ−テル類、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族類、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロルエチレンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類など挙げられる。
【0039】
電荷輸送層は電荷発生層の上または下に積層され、電界の存在下、電荷発生層から電荷キャリアを受取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて適当なバインダー樹脂と共に溶剤中に溶解し塗布することによって形成され、その膜厚は一般的には5〜40μmであるが15〜30μmが好ましい。電荷輸送物質は電子輸送性物質と正孔輸送性物質があり、電子輸送性物質としては、例えば2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル、テトラシアノキノジメタンなどの電子吸引性物質やこれら電子吸引性物質を高分子化したものなどが挙げられ、正孔輸送性物質としてはピレン、アントラセンなどの多環芳香族化合物、カルバゾール系、インド−ル系、イミダゾ−ル系、オキサゾ−ル系、チアゾ−ル系、オキサジアゾ−ル系、ピラゾ−ル系、ピラゾリン系、チアジアゾ−ル系、トリアゾ−ル系化合物などの複素環化合物、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾ−ルなどのヒドラゾン系化合物、α−フェニル−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベン、5−[4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン]−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテンなどのスチリル系化合物、ベンジジン系化合物、トリアリ−ルメタン系化合物、トリフェニルアミンあるいは、これらの化合物から成る基を主鎖または側鎖に有するポリマー(例えばポリ−N−ビニルカルバゾ−ル、ポリビニルアントラセンなど)が挙げられる。これらの有機電荷輸送物質の他にセレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン、硫化カドミウムなどの無機材料も用いることができる。また、これらの電荷輸送物質は1種または2種以上組合せて用いることができる。電荷輸送物質が成膜性を有していないときには適当なバインダーを用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリルースチレンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアミド、塩素化ゴムなどの絶縁性樹脂あるいはポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセンなどの有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。
【0040】
電荷発生層及び電荷輸送層が形成される導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金や白金などが用いられる。またこうした金属あるいは合金を、真空蒸着法によって被膜形成したプラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂など)や導電性粒子(例えばカーボンブラック、銀粒子など)を適当なバインダー樹脂と共にプラスチックまたは金属基板上に被覆した支持体あるいは導電性粒子をプラスチックや紙に含浸した支持体などを用いることができる。
【0041】
導電性支持体と電荷発生層及び電荷輸送層との中間にバリヤー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることもできる。下引き層はカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロン、アルコキシメチル化ナイロンなど)、ポリウレタン、酸化アルミニウムなどによって形成できる。下引き層の膜厚は5μm以下、好ましくは0.1〜3μmが適当である。
【0042】
なお、本発明の画像形成装置は、上記の構成を有する感光ドラムを具備する形態に限らず、画像形成装置の像担持体として機能、すなわち高感度特性と繰返し使用における安定な電位特性を有するものであれば、他の構成を有する感光ドラム等の像担持体を具備する形態とすることもできる。
【0043】
(b)帯電手段
図1における2は、帯電手段が具備する帯電部材であり、本例では帯電ローラを使用している。この帯電ローラは感光ドラム1に圧接して配置され、前記像担持体表面を所定の極性・電位に均一に帯電処理する機能を有する。また、帯電部材に流れる電流を検出する電流検出手段と、帯電部材の前記像担持体への加圧力を調整する加圧力調整手段と、を有する帯電ローラ制御手段を有する。本実施例における帯電ローラ及び帯電ローラ制御手段の詳細については以下の通りである。
【0044】
(b−1)帯電ローラ
帯電ローラ2は、芯金(支持部材)2aの両端部をそれぞれ軸受け部材(不図示)により回転自由に保持されると共に、押圧ばね2eによって感光ドラム1に向かって片側45.0gf(0.441N)の荷重がかけられており、感光ドラム1の回転に従動して回転する。ここで帯電ローラ2の長手長さは300mmであり、帯電ローラ2の感光ドラム1への線圧は3.0gf/cm(2.94N/m)である。感光ドラム1と帯電ローラ2の圧接部が帯電部(帯電ニップ)aである。
【0045】
また、帯電ローラ2の芯金2aには、電源S1より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加され、帯電ローラと圧接して配置されている感光ドラム1の周面が所定の極性・電位に帯電処理される。本例において、帯電ローラ2に対する帯電バイアス電圧は直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、直流電圧;−500V,交流電圧;周波数f1kHz、ピーク間電圧Vpp1.5kV、正弦波とを重畳した振動電圧であり、感光ドラム1の周面は−500V(暗電位Vd)に一様に帯電処理される。
【0046】
帯電ローラ2の外径は16mmΦであり、図3の層構成模型図に示すように芯金(支持部材)2aの外回りに、下層2bと中間層2cと表層2dを積層してなる3層構造である。より具体的には、本例の帯電ローラ2の仕様は下記のとおりである。
【0047】
芯金2a;直径8mmのステンレス丸棒
下層2b;カーボン分散の発泡EPDM、比重0.5g/cm3、体積抵抗値102〜106Ωcm、層厚3.2mm、長さ320mm
中間層2c;シリコーンゴム/球状炭素/アルミナ粒子からなるポリマーナノコンポジット材料、体積抵抗値105〜107Ωcm、層厚750μm
表層2d;フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫、カーボンを分散、体積抵抗値107〜109Ωcm、表面粗さ(JIS規格 10点平均表面粗さRa)1.5μm、層厚10μm
なお、下層2bは帯電音を低減するための発泡スポンジ層、中間層2cは帯電ローラ2の抵抗値を調整するための抵抗調整層、表層2dは感光ドラム1上にピンホールなどの欠陥がある場合にもリークが発生することを防止するために設けられた保護層として機能するものである。
【0048】
ここで、本実施例で用いている帯電ローラ2の特徴としては、中間層2cにポリマーナノコンポジット材料を用いていることである。本発明の画像形成装置が具備する帯電部材は、その抵抗値が帯電部材への加圧力により変化するものであることが必要であり、本実施例では、帯電ローラ2の中間層2cを構成する材料として特定のポリマーナノコンポジット材料を用いている。
【0049】
一般にポリマーナノコンポジット材料とはポリマーをマトリックス材料として、ナノオーダーのセラミックスの超微粒子を分散させたものであり、比重を元のポリマーとほとんど変化させることなく、機械的特性や電気的特性の大幅な改善や、新たな特性を付加することを可能とする材料の総称である。
【0050】
前述したように、画像形成装置で行う画像形成回数の増加に伴って、帯電ローラ2中に抵抗値を調整するために添加されている抵抗調整剤の偏析による抵抗値上昇や、帯電ローラ2の表面にトナーなどの汚染物が付着することによる抵抗値上昇が発生する。このような帯電ローラ2の抵抗値上昇が発生した場合、感光ドラム1表面を所定の電位に均一に帯電処理することができなくなり、感光ドラム1表面の帯電不良を原因とする画像不良が発生してしまう。図7に、従来の帯電ローラ2を用いた場合に画像形成回数の増加に伴う帯電ローラ2抵抗値の変化の推移図を示す。図中に示すように、画像形成回数が22k回以上の時に帯電ローラ2の抵抗値は3×106Ω・cm以上になるのであるが、こうした場合例えば中間調の前面均一画像で帯電不良によるムラが発生する場合がある。このようなムラは特にカラープリンタなどでは許容することができない。
【0051】
そこで本実施例では、シリコーンゴムをマトリックス材料とし、抵抗調整剤としての球状炭素と、セラミックス超微粒子であるアルミナ粒子を添加したポリマーナノコンポジット材料を用いた帯電ローラ2を使用した。このような、エラストマーからなるマトリックス材料中に、抵抗調整剤とセラミックス超微粒子とを配合したポリマーナノコンポジット材料は、加えられる圧力抵抗値の間に1次線形的な関係があり、加える圧力を制御することで所望の抵抗値に変化させることができるという特性を有する。このような構成のポリマーナノコンポジット材料は、一般に感圧センサーの分野で使用されており、圧力が加わることで抵抗値が変化し、その時の電流値をモニターすることで圧力を測定するものである。本発明ではこの原理を逆に利用したものである。つまり、このような構成のポリマーナノコンポジット材料を用いて中間層2cを構成した帯電ローラ2を用いることで、帯電ローラ2を感光ドラム1に押し当てる加圧力(押圧力)の制御によって帯電ローラ2の抵抗値を調整することが可能となる。
【0052】
上記のような特性を有するポリマーナノコンポジット材料を構成するマトリックス材料としては、シリコーンゴムのほかに、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム等のエラストマーが使用できる。抵抗調整剤としては、球状炭素のほかに、カーボンナノチューブ、金属繊維などが挙げられる。その個数平均粒径は10nm〜100nmのものが好ましい。セラミックス超微粒子としては、アルミナ(Al23)粒子のほかに、シリカ(SiO2),酸化亜鉛(ZnO),チタニア(TiO2)などが挙げられる。その個数平均粒径は10nm〜100nmのものが好ましい。以上のマトリックス材料、抵抗調整剤、セラミックス超微粒子を様々組み合わせ、また適切な比で配合することにより、本実施例で用いたポリマーナノコンポジット材料と同様の特性を得ることができる。ここで、抵抗調整剤及びセラミックス超微粒子の個数平均粒径の範囲として上記が好ましい理由は、粒径が小さすぎると凝集性が高くなりマトリックス材料中にうまく分散することができない(偏析しやすい)場合があるためであり、粒径が大きすぎるとマトリックス材料中の分散性(均一性)が悪くなる場合があるためである。
【0053】
またこのような構成のポリマーナノコンポジット材料を帯電ローラ2に用いるうえで、本実施例のように帯電ローラ2の中間層2cを構成する材料に用いるほかに、下層2bを構成する材料に用いても同様の特性を得ることができる。
【0054】
ここで、ポリマーナノコンポジット材料が加圧力により抵抗値が変化する原理を説明する。まず、図5に模式図を示すように、ポリマーナノコンポジット材料に小さい加圧力しか加わっていない場合には、マトリックス材料としてのエラストマー中の抵抗調整剤としての導電粒子はほぼ均一に分散しており、一部凝集している部分で導電パスが形成されるのみである(図5(a))。しかし大きい加圧力を加えた場合、導電粒子のマトリックス材料中に占める体積分率が増加し、導電粒子同士が接触する割合が増加するため、導電パスが加圧力の小さい時に比較して増加する(図5(b))。このような原理により、加圧力が小さい時にはポリマーナノコンポジット材料の抵抗値が大きくなり、加圧力を大きくしていくと共に抵抗値は小さくなる。ただし、この現象は、上記のようなセラミックス超微粒子を配合したポリマーナノコンポジット材料でなくとも、エラストマー中に導電粒子を加えるだけも原理的には同じであると考えられる。
【0055】
そこで、本実施例1において、上記のようなセラミックス超微粒子を配合したポリマーナノコンポジット材料を用いた理由について説明する。表1は帯電ローラ2の中間層2cを形成する材料と、その時の抵抗値の加圧力依存性の結果についてまとめたものである。図4はそれぞれの帯電ローラ2に加える加圧力を変化させた時に、どのように抵抗値が変化するかについての検討を行った結果をまとめたものである。
【0056】
【表1】

【0057】
まず、従来の帯電ローラのように中間層形成材料としてNBRを用いた帯電ローラ(1)は、加圧力を1.0gf/cmから10.0gf/cmまで変化させても抵抗値はほぼ一定であり、抵抗値の圧力依存性はほとんど見られなかった。また、中間層形成材料として、シリコーンゴムに球状炭素を添加したポリマーナノコンポジットを用いた帯電ローラ(2)〜(4)について検討してみると、球状炭素(個数平均粒径:約100nm)の添加量が5vol%の帯電ローラ(2)は、帯電ローラ(1)とほぼ同様の傾向であり、加圧力を1.0gf/cmから10.0gf/cmまで変化させても抵抗値はほぼ一定であり、抵抗値の圧力依存性はほとんど見られなかった。球状炭素の添加量が20vol%の帯電ローラ(3)は、加圧力によって抵抗値は大きく変化したものの、加圧力が1.0gf/cmから2.0gf/cmの範囲で急激に抵抗値が小さくなり、加圧力が2.0gf/cm以上で抵抗値はほぼ一定の値になってしった。球状炭素の添加量が30vol%の帯電ローラ(4)は、加圧力が1.0gf/cmから2.0gf/cmで非常に急激に抵抗値が小さくなり、それ以上の加圧力では帯電ローラとして使用できない範囲まで抵抗値が低下してしまった。すなわち、帯電ローラ(3)及び(4)では抵抗値の圧力依存性は見られるもの、抵抗値を調整するための加圧力範囲が狭く抵抗値の調整がしにくいと考えられる。また、1.0gf/cmから2.0gf/cmの加圧力では、帯電ローラとしての機能を十分に発揮しにくいと考えられる。そこで、球状炭素の添加量を20vol%とし、さらに1次粒径が数十nmのアルミナ粒子(個数平均粒径:約20nm)を球状炭素に対して5wt%添加した帯電ローラ(5)を作製した。この帯電ローラ(5)は、加圧力が1.0gf/cmから10.0gf/cmまでの範囲で抵抗値が徐々に減少し、広い範囲で抵抗値の加圧力依存性が見られることがわかった。
【0058】
以上のことから、シリコーンゴムをマトリックス材料として用いる場合、抵抗調整剤として球状炭素を15〜25vol%添加し、さらにセラミックス超微粒子としてアルミナ粒子を球状炭素に対して2〜10質量%添加したポリマーナノコンポジット材料とすることが好ましい。
【0059】
加圧力により抵抗値が変化する材料として用いるポリマーナノコンポジット材料は、抵抗値を調整するのに好適な組成を適宜選択することができる。例えば、マトリックス材料に対して抵抗調整剤を15〜25vol%添加し、さらにセラミックス超微粒子を抵抗調整剤に対して2〜10質量%添加したポリマーナノコンポジット材料から、目的とする特性が得られる組成を適宜選択することができる。
【0060】
なお、帯電部材の抵抗値は、5×105〜5×106Ω・cmの範囲で可変であることが好ましい。また、上記範囲の可変抵抗値を実現するための加圧力範囲としては、新しい帯電ローラの場合には1.0〜5.0gf/cm(0.98〜4.9N/m)、50k枚使用した帯電ローラの場合には3.5〜6.0gf/cm(3.43〜5.88N/m)であることが好ましい。
【0061】
本発明の画像形成装置は、上記の構成を有する帯電ローラを具備する形態に限らず、抵抗値が加圧力に応じて変化する特性を有するものであれば、他の構成の帯電ローラを具備する形態とすることもできる。
【0062】
(b−2)帯電ローラ制御手段
次に、帯電ローラ2制御手段について説明する。図1の2gは帯電ローラ2に流れる電流値を測定する電流検出手段である。また2fは帯電ローラ2の感光ドラム1に対する加圧力を調整する加圧力調整手段である。本発明の画像形成装置は、これらの電流検出手段と加圧力調整手段とを帯電ローラ制御手段として有し、これらによって帯電ローラの抵抗値を制御可能なものである。
【0063】
ここで、この帯電ローラ制御手段による帯電ローラ2の抵抗値の制御方法について説明する。制御方法のフローチャートを図9に示す。まず、(a)帯電ローラ2の加圧力を、制御実行前の加圧力を中心に3水準に変化させる。例えば、制御前の加圧力が3.0gf/cm(2.94N/m)の時には、2.75gf/cm(2.70N/m),3.0gf/cm(2.94N/m)、3.25gf/cm(3.19N/m)の3水準に変化させる。そして、(b)それぞれの加圧力の時に一定電圧(本実施例では−100V)を帯電ローラ2に印加し、帯電ローラに流れる電流量を電流検知手段2gで測定する。この時の電流量は帯電ローラ1周分について16点測定し平均化することが好ましい。次に、(c)帯電ローラ2の加圧力3点と、上記電流検知手段2gで測定した電流量から算出した抵抗値3点をプロットし、最小二乗法を用いて帯電ローラ2の加圧力と抵抗値の関係式を導出する(図8参照)。そして、(d)この関係式と、画像不良が発生すると懸念される抵抗値の画像不良上限閾値とを照合し、帯電ローラ2の最低加圧力を読み取る(図8参照)。ここで、画像不良が発生すると懸念される抵抗値の画像不良上限閾値は使用環境(絶対水分量)により変化させることが好ましい。本実施例では以下の5段階の水準とした。そして、(e)加圧力調整手段2fにより帯電ローラ2の加圧力を調整する。このときの加圧力は上記で読み取った最低加圧力以上であれば良いが、余裕を見て最低加圧力の値に1.1〜1.3を乗じた加圧力とすることが好ましい。
【0064】
ここで、相対湿度をΨ(%)とすれば、絶対湿度xは、
x=0.622×(Ψ×ps/100)/{P−(Ψ×ps/100)} (1)
で、また相対湿度Ψ(%)は水蒸気分圧により
Ψ=p/ps×100 (2)
但し、
p:湿り空気中の水蒸気分圧(mmHg)
ps:飽和湿り空気の水蒸気分圧(mmHg)
P:湿り空気の全圧力(mmHg)(760mmHgで一定とする)
で求められる。この絶対湿度は、湿り空気1m3中の水蒸気量(kg)を意味し、この値から上記絶対水分量を求めることができる。
【0065】
【表2】

【0066】
以上の制御は、画像形成装置の電源投入時、画像形成回数が所定回数になった時(本実施例では前回の制御が行われてからの画像形成回数が1000回後)、使用環境雰囲気の絶対水分量が変化した時のそれぞれのタイミングで実施されることが好ましい。
【0067】
図6は使用初期の帯電ローラ2と画像形成回数を50k回行った帯電ローラ2それぞれの帯電ローラ2の加圧力と抵抗値の関係である。画像形成回数を50k回行った帯電ローラ2では、帯電ローラの加圧力が低い場合には抵抗値が高すぎて画像不良を発生させる虞があることがわかる。本実施例の帯電ローラの加圧力は、初期には3.0gf/cm(2.94N/m)であり、50k回後の帯電ローラ2を制御なしで初期の加圧力で用いると画像不良になる虞があることがわかる。
【0068】
図7は制御を行った場合と行わなかった場合での、画像形成回数と画像形成装置中での帯電ローラ2の抵抗値の推移を示したものである(使用環境の絶対水分量は7.0g/m3であった)。帯電ローラ2の加圧力を初期から変更せずに3.0gf/cm(2.94N/m)で一定に使用した場合、約22kで画像不良が発生する抵抗値となった。一方制御を行った場合の抵抗値は画像不良を発生する閾値を超えることなく推移した。この時の加圧力の推移は、初期3.0gf/cmから50k後4.0gf/cmとなった。
【0069】
(c)情報書き込み手段
図1における3は、帯電処理された感光ドラム1の面に静電潜像を形成する情報書き込み手段としての露光装置であり、本例は半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。不図示の画像読み取り装置等のホスト処理からプリンタ側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力して、回転する感光ドラム1の一様帯電処理面を露光位置bにてレーザ走査露光L(イメージ露光)する。このレーザ走査露光Lにより感光ドラム1面のレーザ光で照射されたところの電位が低下することで、回転する感光ドラム1面には走査露光した画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
【0070】
本発明の画像形成装置は、上記の半導体レーザを用いたレーザビームスキャナを具備する形態に限らず、帯電処理された像担持体の面に静電潜像を形成可能なものであれば、他の露光装置等の情報書き込み手段を具備する形態とすることもできる。
【0071】
(d)現像手段
図1における4は、感光ドラム1上の静電潜像に現像剤(トナー)を供給し静電潜像を可視化する現像手段としての現像装置(現像器)であり、本例は二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置である。
【0072】
4aは現像容器、4bは非磁性の現像スリーブであり、この現像スリーブ4bはその外周面の一部を外部に露呈させて現像容器4a内に回転可能に配置してある。4cは非回転に固定して現像スリーブ4b内に挿設したマグネットローラ、4dは現像剤コーティングブレード、4eは現像容器4aに収容した二成分現像剤、4fは現像容器4a内の底部側に配設した現像剤攪拌部材、4gはトナーホッパーであり、補給用トナーを収容させてある。
【0073】
現像容器4a内の二成分現像剤4eはトナーと磁性キャリアの混合物であり、現像剤攪拌部材4fにより攪拌される。本例において磁性キャリアの抵抗値は約1013Ωcm、粒径は40μmである。トナーは磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。
【0074】
現像スリーブ4bは、感光ドラム1との最近接距離(S−Dgapと称する)を350μmに保持して感光ドラム1に近接対向配設してある。この感光ドラム1と現像スリーブ4aとの対向部が現像部cである。現像スリーブ4bは現像部cにおいて感光ドラム1の進行方向とは逆方向に進行するように回転駆動される。この現像スリーブ4bの外周面に該スリーブ内のマグネットローラ4cの磁力により現像容器4a内の二成分現像剤4eの一部が磁気ブラシ層として吸着保持され、該スリーブの回転に伴い回転搬送され、現像剤コーティングブレード4dにより所定の薄層に整層され、現像部cにおいて感光ドラム1の面に対して接触して感光ドラム面を適度に摺擦する。現像スリーブ4bには電源S4から所定の現像バイアスが印加される。本例において、現像スリーブ4bに対する現像バイアス電圧は直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、直流電圧;−350V,交流電圧;周波数f8.0kHz、ピーク間電圧1.8kV、矩形波とを重畳した振動電圧である。
【0075】
而して、回転する現像スリーブ4bの面に薄層としてコーティングされ、現像部cに搬送された現像剤中のトナー分が現像バイアスによる電界によって感光ドラム1面に静電潜像に対応して選択的に付着することで静電潜像がトナー画像として現像される。本例の場合は感光ドラム1面の露光明部にトナーが付着して静電潜像が反転現像される。
【0076】
現像部cを通過した現像スリーブ4b上の現像剤薄層は引き続く現像スリーブの回転に伴い現像容器4a内の現像剤溜り部に戻される。
【0077】
現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度を所定の略一定範囲内に維持させるために、現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度が不図示の例えば光学式トナー濃度センサーによって検知され、その検知情報に応じてトナーホッパー4gが駆動制御されて、トナーホッパー内のトナーが現像容器4a内の二成分現像剤4eに補給される。二成分現像剤4eに補給されたトナーは攪拌部材4fにより攪拌される。
【0078】
本発明の画像形成装置は、上記の二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置を具備する形態に限らず、像担持体の面に形成された静電潜像をトナー画像として現像可能なものであれば、他の方式の現像装置等の現像手段を具備する形態とすることもできる。
【0079】
(e)転写手段・定着手段
図1における5aは転写装置であり、本例は転写ローラである。この転写ローラ5aは感光ドラム1に所定の押圧力をもって圧接させてあり、その圧接ニップ部が転写部dである。この転写部dに不図示の給紙機構部から所定の制御タイミングにて転写材(被転写部材、記録材)Pが給送される。
【0080】
転写部dに給送された転写材Pは回転する感光ドラム1と転写ローラ5aの間に挟持されて搬送され、その間、転写ローラ5aに電源S3からトナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の転写バイアス(本例では+2kV)が印加されることで、転写部dを挟持搬送されていく転写材Pの面に感光ドラム1面側のトナー画像が順次に静電転写されていく。
【0081】
本発明の画像形成装置は、上記のような転写ローラを具備する形態に限らず、像担持体の面に形成されたトナー画像を転写材に転写可能なものであれば、他の転写手段を具備する形態とすることもできる。
【0082】
転写部dを通ってトナー画像の転写を受けた転写材Pは回転感光ドラム1面から順次に分離されて定着装置6(本例では熱ローラ定着装置)へ搬送されてトナー画像の定着処理を受けて画像形成物(プリント、コピー)として出力される。
【0083】
(f)クリーニング手段
図1における21はクリーニング装置であり、本例では、クリーニング容器21a、クリーニング部材21b、及び現像剤攪拌部材21cを具備する。転写材Pに対するトナー画像転写後の感光ドラム1表面に残存したトナー等の残留付着汚染物は、クリーニング装置21のクリーニング部材21bにより除去されて清浄面化され、次の作像工程へと移行する。除去された残留付着汚染物21dはクリーニング容器21aに溜まるようになっている。
【0084】
以上本実施例で示したように、感光ドラム1表面に帯電ローラ2を接触させて、感光ドラム1表面を帯電処理する画像形成装置において、帯電ローラ2の中間層2cにシリコーンゴムをマトリックス材料とし、その中に抵抗調整剤としての球状炭素とセラミックス超微粒子としてのアルミナナノ粒子を添加したポリマーナノコンポジット材料を用い、帯電ローラ2に流れる電流を検出する電流検出手段2gと、帯電ローラ2の加圧力を制御する加圧力調整手段2fを有し、加圧力を変化させて帯電ローラ2の抵抗値を調整する制御をリアルタイムに実施することにより、帯電ローラ2の抵抗値上昇による異常画像の発生を防止することが可能となり、長期にわたり安定した画像形成装置を提供することができた。
【0085】
(実施例2)
図10は、本発明に係る画像形成装置の第2実施例の概略構成である。
【0086】
本実施例の画像形成装置(プリンタ)の基本構成は、帯電部材2として帯電ブレードを用いた以外については実施例1のものと同様である。従って、実施例1と同一の機能、構成を有する要素には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0087】
帯電ブレード2は、支持部材2aに抵抗値が約106Ω・cmの導電性弾性部材2hを取り付けてなり、押圧ばね2eにより一定の押圧力(本実施例では3.0gf/cm(2.94N/m))で感光ドラム1に押し当てられている。この時に形成される帯電ブレード2の導電性弾性部材2hと感光ドラム1の接触部aで感光ドラム1表面の帯電処理が行われる。
【0088】
ここで導電性弾性部材2hには、シリコーンゴムをマトリックス材料とし、抵抗調整剤としての球状炭素と、セラミックス超微粒子であるアルミナ粒子を添加したポリマーナノコンポジット材料(実施例1の帯電ローラの中間層を構成する材料と同じ)を用いている。
【0089】
この帯電ブレード2の支持板金2aには、電源S1より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加される。本例において、帯電ローラ2に対する帯電バイアス電圧は直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、直流電圧;−500V,交流電圧;周波数f0.8kHz、ピーク間電圧Vpp1.5kV、正弦波とを重畳した振動電圧であり、感光ドラム1の周面は−500V(暗電位Vd)に一様に帯電処理される。
【0090】
そして、帯電ブレード2と電源S1の間には帯電ブレード2に流れる電流を測定する帯電ブレード電流検出手段2gと、その電流検出手段により検出された電流値より求められる抵抗値に応じて帯電ブレード2の感光ドラム1に対する加圧力を調整する加圧力調整手段2fを有し、実施例1で行ったものと同様の制御を行い、帯電ブレード2に加える加圧力を調整可能な構成としている。
【0091】
以上本実施例によれば、このような構成を採ることで、帯電部材として帯電ブレードを採用した場合においても、実施例1で示した効果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成模型図である。
【図2】従来の画像形成装置の概略構成模型図である。
【図3】感光ドラムと帯電ローラの層構成模型図である。
【図4】帯電ローラ(1)〜(5)の抵抗値の加圧力依存性を示す図である。
【図5】ポリマーナノコンポジット材料が加圧力により抵抗値が変化する原理を模式的に表した図であり、(a)は加圧力が小さい時の状態、(b)は加圧力が大きい時の状態を示す。
【図6】実施例1の画像形成装置が具備する帯電ローラの抵抗値の加圧力圧依存性(初期及び画像形成回数50k回後)を示す図である。
【図7】実施例1の画像形成装置中での帯電ローラの抵抗値推移を示した図である。
【図8】最小二乗法を用いて帯電ローラの加圧力と抵抗値の関係式を導出した図である。
【図9】実施型1で実施した制御方法のフローチャートである。
【図10】実施例2の画像形成装置の概略構成模型図である。
【符号の説明】
【0093】
1・・・感光ドラム(像担持体)
2・・・帯電部材
2g・・電流検出手段
2f・・加圧力調整手段
3・・・レーザビームスキャナ
4・・・現像装置
5・・・転写装置
6・・・定着装置
21・・・クリーニング装置
S1〜S5・・・電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に帯電部材が圧接して配置され、前記帯電部材により前記像担持体表面を所定の極性・電位に均一に帯電処理する接触帯電方式を用いた画像形成装置において、前記帯電部材は、その抵抗値が該帯電部材への加圧力により変化するものであり、前記帯電部材に流れる電流値を測定する電流検出手段と、前記帯電部材の前記像担持体への加圧力を調整する加圧力調整手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記帯電部材が、エラストマーからなるマトリックス材料中に、抵抗調整剤とセラミックス超微粒子とを配合したポリマーナノコンポジット材料を有することを特徴とした請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ナノコンポジット材料が、前記マトリックス材料としてシリコーンゴムと、前記抵抗調整剤として個数平均粒径が10nmから100nmの球状炭素と、前記セラミックス超微粒子として個数平均粒径が10nmから100nmのアルミナ粒子と、を含むことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電流検出手段により検出された電流値より求められる抵抗値に応じて、前記帯電部材の前記像担持体への加圧力を前記加圧力調整手段により制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御を、画像形成装置の電源投入時、制御後の画像形成回数が所定回数になった時、及び使用環境雰囲気の絶対水分量が変化した時、に実施することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電部材が、ローラ形状をした帯電ローラであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記帯電部材が、板状形状をした帯電ブレードであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−215083(P2006−215083A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25020(P2005−25020)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】