説明

画像形成装置

【課題】 ユーザーの使い方によって画像形成装置の省電力移行時間の設定を監視し、ユーザーの待ち時間を減らす。
【解決手段】 通常の電力供給に対し所定部分への電源供給を制御する省電力手段、時間を計測する計時手段、計時手段により画像データを記憶する記憶装置へのアクセス時間を計時する記憶装置アクセス計時手段、電源遮断する制御タイミングを変更する変更手段を備えた(各手段は、コントローラ制御ブロック8がその機能を有する)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力機能を備えたデジタル複写機、アナログ複写機等の画像形成装置に関し、特に、アプリケーションが動作している場合に省電力移行させるときのHDD管理処理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コピー機能やファックス機能、プリンタ機能などの複合機能を搭載したマルチファンクション型のデジタル画像形成装置が知られている。また近年、画像形成装置への高速CPUの導入や大容量の記録媒体などの搭載により、複雑な演算処理を行い、多くの印刷処理が行える印刷機能が付加されている。そのため消費電力もそれに伴い多くなる傾向がある。
このような画像形成装置では、省電力に対応するため低電力モードが用意されている。具体的には、一定時間ユーザーの操作が行われない場合に操作表示部の表示をオフにしたり、ポリゴンモータの回転を止めたり、定着ローラの温度を下げたり、機械本体のモータなどの駆動箇所を減らしたり、周辺機器動作を行わせないようにして省電力を実現させている。
また国際エナジースター計画に従った低電力の移行時間の設定や、オートオフ/スリープモードへの移行時間を設定できるように、ユーザーによるタイマー設定が行えるような構成となっている。また、電源の遮断も行いより省電力化を行う場合もある。
例えば、特許文献1には、オペレーターの操作を損なわせずに、オートシャットオフ機能、予熱機能における確実な省エネルギー効果を得ることを目的にして、ある時間帯におけるスタートキーの操作回数を計数し、その計数値に基づいて使用回数が多ければその時間帯におけるオートシャットオフまでの時間を長く設定し、使用回数が少なければ短く設定を行う技術が示されている。
【特許文献1】特開平9−269714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
省電力状態への移行条件には、省電力移行キーの押下、電源キーの押下、ユーザーが設定したタイマーのカウントのタイムアップなどがある。また、省電力状態からの復帰条件には、アプリケーションが動作する場合、電源キーが押下された場合などがある。
しかしながら、ユーザーが画像形成装置を使用する時間帯は決まっており、また日ごろHDDへのアクセスのみが多いのか、印刷を行うことが多いのか、その使用頻度によってユーザー毎の望む省電力状態が異なっており、単純に省電力移行キーの押下や電源キーの押下、さらにはタイマーのカウントのみでは最適な省電力移行が実施できないという問題点があった。
そこで本発明は、ユーザーの使い方によって画像形成装置の省電力移行時間の設定を監視し、ユーザーの待ち時間を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、通常の電力供給に対し所定部分への電源供給を制御する省電力手段、時間を計測する計時手段、計時手段により画像データを記憶する記憶装置へのアクセス時間を計時する記憶装置アクセス計時手段、電源遮断する制御タイミングを変更する変更手段を備えた画像形成装置を最も主要な特徴とする。
これにより記憶装置へのアクセス時間に基づいて電源遮断を行うことができ、ユーザーの使用状況に応じて最適な省電力移行を行うことができる。
請求項2記載の発明は、通常の電力供給に対し所定部分への電源供給を制御する省電力手段、時間を計測する計時手段、計時手段により転写紙への印刷時間を計時する印刷計時手段、省電力移行制御タイミングを変更する変更手段を備えた画像形成装置を最も主要な特徴とする。
これにより転写紙への印刷時間に基づいて電源遮断を行うことができ、ユーザーの使用状況に応じて最適な省電力移行を行うことができる。
請求項3記載の発明は、通常の電力供給に対し所定部分への電源供給を制御する省電力手段、時間を計測する計時手段、計時手段により画像データを記憶する記憶装置へのアクセス時間を計時する記憶装置アクセス計時手段、計時手段により転写紙への印刷時間を計時する印刷計時手段、電源遮断する制御タイミングを変更するとともに、省電力移行制御タイミングを変更する変更手段を備えた画像形成装置を最も主要な特徴とする。
これにより記憶装置へのアクセス時間及び/又は転写紙への印刷時間に基づいて電源遮断を行うことができ、ユーザーの使用状況に応じて最適な省電力移行を行うことができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る画像形成装置の請求項1、2、3記載の発明によれば、ユーザーが使用したい時に画像形成装置が省電力に移行させないようにして、ユーザーが画像形成装置を使用するときの待ち時間を縮めることができる効果がある。
また、ユーザーが使用したい時に画像形成装置が使用できる状態に復帰するまでの待ち時間を縮めることができる効果がある。
また、ユーザーの画像形成装置を使用する状態を把握して画像形成装置のウォーミングアップ時間を短縮させ、待ち時間を縮めることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。アプリケーションはマルチアプリケーションを考慮して複数存在するものとする(アプリケーション1、アプリケーション2)。記憶装置としてHDD3があり、そのHDD3はHDD制御ブロック4でコントロールされている構成とする。
また原稿を読み取るためのスキャナエンジン5、及び読み込んだ画像を印刷するためのプロッタエンジン6は両方ともエンジン制御ブロック7で制御される構成となっている。コントローラ制御ブロック8ではHDD3の電源状態管理、HDD制御ブロック4の制御、各エンジン5、6の電源状態管理、エンジン制御ブロック7の制御を行う。
アプリケーション1、2の動作状態やエンジン5、6の動作状態に従って、ユーザーに対して動作状況や画像形成装置の設定情報を表示するための操作表示部9と操作表示部9を制御している操作表示部制御ブロック10を備えている。操作表示部制御ブロック10はコントローラ制御ブロック8に制御される。コントローラ制御ブロック8がHDD3、エンジン5、6、操作表示部9に対して直接アクセスすることはなく、必ずドライバ11、12を介在させて制御を行っている。
通常の複写動作においては、まずアプリケーション1がコントローラ制御ブロック8に対して動作開始を通知する。このときユーザーはアプリケーション1の動作を行わせるために、操作表示部9から各種入力を行いアプリケーション1の動作設定を行う。動作設定後、その情報を元にコントローラ制御ブロック8がスキャナエンジン5に対して原稿読み取り開始を通知する。
スキャナエンジン5は原稿読み取り開始を受けて、読み取られた原稿をデジタルの画像情報に変換し、その画像情報をコントローラ制御ブロック8に送る。画像情報を受け取ったコントローラ制御ブロック8は画像の蓄積や一時保存が必要な場合にはHDD制御ブロック4を通してHDD3に画像の蓄積を行う。また画像の蓄積や一時保存を行わずに印刷を行う場合は、前記画像をプロッタエンジン6に送信し印刷を順次行っていく。
【0007】
図2は操作表示部のレイアウト図である。ユーザーは通常の印刷動作を行わせるときは、テンキー21で印刷部数などを設定する。また印刷モード選択キー22でユーザーの望む詳細な動作設定を行う。動作設定を行った後、スタートキー23を押下してアプリケーション動作を開始させる。この時の動作状況などは、パネル表示エリア24や、バナー表示エリア25において、使用しているアプリケーションやコントローラ制御ブロック8からの情報をユーザーに対して表示している。
またアプリケーションの切り替えは、アプリケーション切り替えキー26を押下して行う。各アプリケーションとアプリケーション切り替えキー26は1対1で対応がされている。省電力状態に移行したときは、その省電力の遷移状態によってユーザーに対して表示を行う。
省電力キー27のLEDは、画像形成装置が省電力状態へ移行する省電力遷移状態を表示する。また、省電力キー27には省電力状態へ移行させる移行キーの役割も持たせている。この省電力キー27以外にも、コントローラ制御ブロック8内でカウントしているタイマーがタイムアップした場合や、画像形成装置の電源キーの押下によっても省電力状態へ移行させている。
【0008】
図3は画像形成装置に搭載されているアプリケーション毎の省電力設定画面を示す図である。ユーザーが操作表示部9の設定画面を開くと、図3(1)の様に、各種設定可能な項目が機能別のタグごとに表示される。複数表示されるタグから、省電力に関するタグを選択し、さらに省電力優先切替(図面では“利用者優先”)に関する項目を選択すると、図3(2)に示す表示となる。
図3(2)では、ユーザーの使用頻度に応じた省電力遷移を行う設定を行うか、行わないかの選択が可能となる。また、図3(1)の画面では、利用者優先設定の他にユーザーが設定画面で設定した固定時間で省電力遷移させるモードである“設定優先”の選択ができる。またウィークリータイマーの設定を行う設定画面選択も可能である。
図4は省電力移行の第1の制御例を示すフロー図である。HDD3へのアクセス要求を伴うジョブが開始されない場合は(S1でNO)、HDDアクセス時間計測が行われずに(S2)、そのまま終了する。HDD3へのアクセス要求を伴うジョブが開始される場合は(S1でYES)、HDDアクセス時間計測が行われ(S3)、リアルタイムクロックで、どの時間帯にどれくらいのHDDアクセス時間があったかを1時間単位で計測していく。そして電源の遮断時間調整(S4)、電源の遮断時間変更(S5)を行う。
例えば、14時から15時までの間に15分のHDDアクセス時間があったとする。HDD3へのアクセス要求回数は3回であったとすると、HDD3へは1回あたり5分間アクセスしていることになる。1時間あたりでは、平均して15分間は電源遮断状態を保てることから、電源遮断移行時間が15分よりも長い場合は15分後に電力遮断するタイマー設定に変更を行う。
しかし、例えば15時から16時までの間に、HDDアクセス時間が20分、アクセス回数が20回あったとすると、1回あたりの平均は1分間のアクセス時間となり、前記の例に準え電源遮断時間が60分を基準として制御すると、ユーザーの実際の使われ方とは矛盾が生じてしまう。そのため、アクセス回数が一定回数以上であれば、1回あたりの平均アクセス時間ではなくHDDアクセス回数により電源遮断移行時間を設定するべきである。
この場合では、1時間あたり20回のアクセスがあることから、3分に1回はHDDアクセスがあることになり、この時間帯に電源遮断をすることは、画像形成装置使用者に対して起動時間分待たせることになるので電源遮断の移行時間が設定されていたとしても、電源遮断を行わないように電源遮断移行時間を無効化する変更を行う。
【0009】
図5は省電力移行の第2の制御例を示すフロー図である。印刷実行要求があるジョブが開始されない場合は(S11でNO)、印刷実行時間計測が行われずに(S12)、そのまま終了する。印刷実行要求があるジョブが開始される場合は(S11でYES)、印刷実行時間の計測が行われる(S13)。リアルタイムクロックで、どの時間帯にどれくらいの印刷実行時間があったかを1時間単位で計測していく。そして、定着温度制御(S14)、予熱、低電力移行時間調整(S15)、予熱、低電力移行時間変更(S16)が行われる。
例えば、14時から15時までの間に20分の印刷実行時間があったとする。印刷実行要求回数が5回であったとすれば、印刷は1回あたり4分間実行していることになる。1時間あたりでは、平均して10分間は省電力状態を保てることから、省電力移行時間が10分よりも長い場合は10分後に省電力移行するタイマー設定に変更を行う。
しかし、例えば15時から16時までの間に、印刷実行時間が20分、アクセス回数が20回あったとすると、1回あたりの平均は1分間の印刷実行時間となり、前記の例に準え印刷実行が60分を基準として制御すると、ユーザーの実際の使われ方とは矛盾が生じてしまう。そのため、印刷実行回数が一定回数以上であれば、1回あたりの平均印刷実行時間ではなく印刷実行回数により省電力移行時間を設定するべきである。
この例では、1時間あたり20回の印刷実行があることから、3分に1回は印刷実行していることになり、この時間帯に省電力移行をすることは、画像形成装置使用者に対して定着温度が一定温度に復帰するまでの時間分待たせることになるので、省電力移行時間が設定されていたとしても、省電力移行を行わないように省電力移行時間を無効化する変更を行う。
なお省電力移行の第1の制御例では記憶装置であるHDDへのアクセス時間を計時して省電力への移行制御タイミングを変更し、第2の制御例では印刷実行時間を計時して省電力への移行制御タイミングを変更しているが、HDDへのアクセス時間および印刷実行時間の両者に基づいて省電力移行制御タイミングを変更するようにしてもよい。
また、特許請求の範囲において、省電力手段、計時手段、記憶装置アクセス計時手段、印刷計時手段、変更手段はコントローラ制御ブロック8が司る機能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機能ブロック図。
【図2】操作表示部のレイアウト図。
【図3】画像形成装置に搭載されているアプリケーション毎の省電力設定画面を示す図。
【図4】省電力移行の第1の制御例を示すフロー図。
【図5】省電力移行の第2の制御例を示すフロー図。
【符号の説明】
【0011】
8 コントローラ制御ブロック(省電力手段、計時手段、アクセス計時手段、変更手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常の電力供給に対し所定部分への電源供給を制御する省電力手段、時間を計測する計時手段、計時手段により画像データを記憶する記憶装置へのアクセス時間を計時する記憶装置アクセス計時手段、電源遮断する制御タイミングを変更する変更手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
通常の電力供給に対し所定部分への電源供給を制御する省電力手段、時間を計測する計時手段、計時手段により転写紙への印刷時間を計時する印刷計時手段、省電力移行制御タイミングを変更する変更手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
通常の電力供給に対し所定部分への電源供給を制御する省電力手段、時間を計測する計時手段、計時手段により画像データを記憶する記憶装置へのアクセス時間を計時する記憶装置アクセス計時手段、計時手段により転写紙への印刷時間を計時する印刷計時手段、電源遮断する制御タイミングを変更するとともに、省電力移行制御タイミングを変更する変更手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−27141(P2006−27141A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210789(P2004−210789)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】