画像形成装置
【課題】単純な構成にて転写中抜けなどの一次転写不良と上記のブレードめくれの両方を改善することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像情報に応じたトナー像が形成される感光体6と、感光体6に圧接し複数本のローラ2〜5に架設された無端状の中間転写ベルト1と、感光体6のトナー像を中間転写ベルト1に転写する一次転写ローラ11と、中間転写ベルト1に転写して保持されたトナー像を、記録媒体に一括転写する二次転写ローラ13と、二次転写後に中間転写ベルト1に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレード21を有し、感光体7と二次転写ローラ13の表面摩擦係数が、中間転写ベルト1の表面摩擦係数よりも低く設定する。
【解決手段】画像情報に応じたトナー像が形成される感光体6と、感光体6に圧接し複数本のローラ2〜5に架設された無端状の中間転写ベルト1と、感光体6のトナー像を中間転写ベルト1に転写する一次転写ローラ11と、中間転写ベルト1に転写して保持されたトナー像を、記録媒体に一括転写する二次転写ローラ13と、二次転写後に中間転写ベルト1に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレード21を有し、感光体7と二次転写ローラ13の表面摩擦係数が、中間転写ベルト1の表面摩擦係数よりも低く設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはその少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体に形成したトナー像を中間転写体に転写し、該中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に一括転写する中間転写方式の画像形成装置は既に公知である。この種の画像形成装置として、像担持体は画像情報に応じたトナー像を担持するもので、例えば感光体が用いられ、中間転写体には例えば複数本のローラに掛け渡された無端状の中間転写ベルトが用いられている。また、感光体のトナー像を中間転写ベルトに転写する一次転写手段としては一次転写に感光体と中間転写ベルトの間に形成する転写電界が用いられ、中間転写ベルトのトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段には中間転写ベルトと転写材との間に形成する転写電界が用いられる。一次転写手段は、感光体上に形成されたトナー像を忠実に、かつ安定して中間転写体に転写することが要求される。また、二次転写手段でも同様に、中間転写体に形成されたトナー像を忠実に、かつ安定して記録媒体に転写することが要求される。つまり、一次転写手段及び二次転写手段に求められる性能を実現するには、安定した転写を高い転写効率で行う必要がある。
【0003】
【特許文献1】特開平8−211755号公報
【特許文献2】特開平6−332324号公報
【特許文献3】特開2000−19858号公報
【特許文献4】特開昭57−17973号公報
【特許文献5】特開平7−271142号公報
【特許文献6】特開2001−75449号公報
【0004】
このような画像形成装置においては、一次転写時に画像の中央(特に線部や文字部中央)が抜けてしまう、いわゆる虫食い現象が発生することがある。この問題を解決するために、感光体に潤滑剤を塗布し、摩擦係数を下げてトナーとの間の付着力を弱めてやる方法や(特許文献1)、感光体の摩擦係数と中間転写ベルトの摩擦係数との関係を規定する方法(特許文献2,3)が提案されている。
【0005】
しかしながら、摩擦係数は転写性のみならず、転写しきれなかったトナーを除去するためのクリーニングブレードのブレードめくれとも密接な関係がある。このブレードめくれを解決する方法にも、クリーニングの対象に潤滑剤を供給する方法が効果的であり広く知られている(例えば、特許文献4,5,6)。そのため、上記の虫食いとクリーニングブレードのめくれの双方を解決するための潤滑剤塗布条件や摩擦係数条件が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、虫食い現象の発生を軽減し、さらにクリーニングブレードのめくれの問題も軽減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、画像情報に応じたトナー像が形成される像担持体と、該像担持体に当接される中間転写部材と、前記像担持体のトナー像を前記中間転写部材に転写する一次転写手段と、前記中間転写部材に圧接され、当該中間転写部材に転写して保持されたトナー像を、記録媒体に一括転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、前記像担持体と前記二次転写手段の表面摩擦係数が、前記中間転写部材の表面摩擦係数よりも低いことを特徴としている。
【0008】
なお、本発明は、前記像担持体、前記中間転写部材及び前記二次転写手段の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段をそれぞれ設け、これら潤滑剤供給手段は前記像担持体と前記二次転写手段に供給する潤滑剤の量が前記中間転写部材に供給する潤滑剤の量よりも多いと、効果的である。
【0009】
さらに、本発明は、前記潤滑剤供給手段が供給する潤滑剤の量を調整可能であると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記像担持体と前記二次転写手段に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を設け、前記中間転写部材に対しては前記像担持体及び前記二次転写手段に供給した潤滑剤を間接的に供給すると、効果的である。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記像担持体が前記中間転写部材より表面摩擦係数が小さい材質から作られているとともに、前記二次転写手段に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を設け、前記中間転写部材に対しては前記二次転写手段に供給した潤滑剤を間接的に供給すると、効果的である。
【0011】
さらにまた、本発明は、前記中間転写部材が前記像担持体に圧接し複数本のローラに架設された無端状の中間転写ベルト、前記二次転写手段が二次転写ローラであり、前記中間転写ベルトに残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有すると、効果的である。
【0012】
さらにまた、本発明は、画像間にブレード入力パターンとしてのトナー像を形成し、該入力パターンのトナー像を前記クリーニングブレードに浸入させると、効果的である。
【0013】
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンのトナー量が作像モードによって変更可能であると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンのトナー量は、前記像担持体あるいは前記二次転写ローラから前記中間転写ベルトへの潤滑剤塗布効率が落ちる作像モードのとき、多くなるように変更すると、効果的である。
【0014】
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンのトナー量の変更が、単位面積あたりの付着量を変えて行うと、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンのトナー量の変更が、パターン面積の大きさを変えて行うと、効果的である。
【0015】
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンの入力間隔が作像モードによって変更可能であると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンの入力間隔は、前記像担持体あるいは前記二次転写ローラから前記中間転写ベルトへの潤滑剤塗布効率が落ちる作像モードのとき、短くなるように変更すると、効果的である。
【0016】
さらにまた、本発明は、前記二次転写ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段が前記前記二次転写ローラに当接するブラシ部材を介して潤滑剤の供給を行うと、効果的である。
【0017】
さらにまた、本発明は、前記二次転写ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段が固形の潤滑剤を直接押し当てることで潤滑剤の供給を行うと、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記二次転写ローラが常時前記中間転写ベルトに接触していると、効果的である。
【0018】
さらにまた、本発明は、前記二次転写ローラに転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段を有し、画像間の転写バイアス値は画像転写時の転写バイアス値よりも低く設定すると、効果的である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1及び2の構成によれば、像担持体の表面摩擦係数が中間転写部材の表面摩擦係数よりも低いことにより、一次転写効率の低下や、虫食いを防止することができる。また、二次転写手段の表面摩擦係数が中間転写部材の表面摩擦係数よりも低いことにより、中間転写部材よりもブレードめくれが生じやすい二次転写手段のブレードめくれを防止する効果がある。また、クリーニング性能も向上する。加えて、中間転写部材と二次転写手段との間に回転速度差が生じる場合においても、紙との摩擦力が低くなることで、紙の進行を妨げづらくなり、画像の乱れを防止することができる。
【0020】
請求項3の構成によれば、像担持体、中間転写部材及び二次転写手段の表面摩擦係数の設定を容易に行うことができる。
請求項4及び5の構成によれば、像担持体、中間転写部材及び二次転写手段の表面摩擦係数の設定が容易で、中間転写部材に潤滑剤供給手段を設けないのでその分安価になる。
【0021】
請求項6の構成によれば、画像間に形成したトナー像を中間転写ベルトのクリーニングブレードに浸入させることで、ブレードとベルトとの間にトナーが介在することになり、ブレードめくれを防止する働きをする。結果として、中間転写ベルトの表面摩擦係数を下げて一次転写性を阻害することなしにブレードめくれをより確実に防止することができる。
【0022】
請求項7ないし10の構成によれば、ブレード入力パターンのトナー量を作像モードによって変更することにより、中間転写ベルト表面に潤滑剤が間接的に塗布される機会が少なくなるモードにおいては、トナー量を多くしてブレードへのトナー入力量を増やすことができる。それにより、ブレードのめくれを防止することができる。
【0023】
請求項11及び12の構成によれば、ブレード入力パターンの回数間隔を作像モードによって変更することにより、中間転写ベルト表面に潤滑剤が間接的に塗布される機会が少なくなるモードにおいては、回数間隔を短くしてブレードへのトナー入力量を増やすことができる。それにより、ブレードのめくれを防止することができる。
【0024】
請求項13の構成によれば、二次転写ローラに潤滑剤を塗布することで、請求項1の効果に加え、二次転写ローラの表面摩擦係数が下がり、二次転写ローラのブレードめくれを防止することができる。
【0025】
請求項14の構成によれば、請求項9の効果に加え、二次転写ローラに付着した紙粉をブラシによって除去することができるため、付着した紙粉がクリーニングブレードに浸入してクリーニング性を阻害することを防ぐことができる。
【0026】
請求項15の構成によれば固形の潤滑剤を直接押し当てて塗布することで、ブラシなどの塗布部材を用いなくて済み、コストを下げることができる。
請求項16の構成によれば、二次転写ローラが画像間でも中間転写ベルトに接触することで、二次転写ローラ表面に塗布された潤滑剤が中間転写ベルトに転移することができ、中間転写ベルトのブレードめくれをより確実に防止することができる。
【0027】
請求項17の構成によれば、画像間のバイアス値が所定の転写バイアス値よりも低く設定されていることで、二次転写ローラが画像間で中間転写ベルトに接触する機会を持つ場合でも、中間転写ベルトから二次転写ローラに転写されてしまうトナー像を少なくすることができ、より多くのトナーを中間転写ベルトのクリーニングブレードに浸入させることができるため、ブレードめくれをより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、カラー画像形成装置の一例を示す概略図である。ここに示した画像形成装置の画像形成部は、像担持体としての中間転写ベルト1が配置され、中間転写ベルト1はローラ2,3,4,5に巻き掛けられ、ローラ2,3の一方が駆動ローラとして時計方向に回転駆動することにより矢印A方向に走行駆動される。また、画像形成部は中間転写ベルト1の上部走行辺に対向して第1ないし第4の作像ユニット6a,6b,6c,6dが設けられている。第1ないし第4の作像ユニット6a,6b,6c,6dは、像担持体としてドラム状の感光体7a,7b,7c,7dを有し、その各感光体上にマゼンタトナー像、シアントナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成される。
【0029】
第1ないし第4の作像ユニット6a,6b,6c,6dは、その像担持体上にトナー像を形成する構成とその作用は実質的に全て同一であるため、図2に用いて第1の作像ユニット6aの感光体7aにトナー像を形成する構成だけを説明する。
【0030】
この感光体7は、図2における反時計方向に回転駆動され、このとき帯電ローラ8によって像担持体表面が所定の極性に均一に帯電される。次いでその帯電面に、図1に示すレーザ書き込みユニット9から出射する光変調されたレーザビームLが照射される。これによって感光体7上に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置10によって例えばマゼンタトナー像として可視像化される。
【0031】
このようにして形成されたマゼンタトナー像は、感光体7と中間転写ベルト1を挟んで配置された転写ローラ11にトナーと逆極性の電圧が印加され、これによって感光体7上のマゼンタトナー像が中間転写ベルト1上に転写される。中間転写ベルト1に転写されず、感光体7上に残された転写残トナーは、クリーニング装置12によって除去される。
【0032】
全く同様にして、第2乃至第4の作像ユニット6b,6c,6dの感光体7b,7c,7d上にシアントナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がマゼンタトナー像の転写された中間転写ベルト1上に順次重ね合されて転写される。このようにして中間転写ベルト1上に形成された4色のトナー像はベルト走行に伴って図1の右端の2次転写ローラ13が設けられた2次転写部へ移動する。
【0033】
一方、装置本体の下部には給紙部(図示せず)が設けられ、該給紙部から例えば転写紙より成る記録材Pが給送される。給紙された記録材Pは、図1に示すレジストローラ14に突き当てられた後、記録材に正しくトナー像が転写されるタイミングで中間転写ベルト1の2次転写部へ送り込まれる。そして、2次転写ローラ13に対し中間転写ベルト1上のトナーと逆極性の電圧が印加され、これによって中間転写ベルト1上に重ね転写されたトナー像が記録材P上に転写される。トナー像が転写された記録材Pは、搬送ベルト15を介して定着装置16へ搬送され、そこでトナー像が定着された後、不図示の排紙部等に排出される。
【0034】
また、2次転写後、記録材Pに転写されなかった転写残トナーはベルトクリーニング装置20によって除去される。ベルトクリーニング装置20は、中間転写ベルト1に摺接するクリーニングブレード21を備えている。なお、符号22はブレード21の中間転写ベルト1への確実な摺接を得るためのバックアップローラである。
【0035】
ところで、上記のような中間転写方式の画像形成装置では、一次転写部において、トナー像が局部的に抜けてしまう、いわゆる虫食い現象が発生する場合がある。この虫食いは、感光体7の表面摩擦係数が、中間転写ベルト1の表面摩擦係数よりも低い場合には発生しにくいことが本願発明者の実験結果から判った。
【0036】
一方、画像間には、トナー付着量制御や位置ズレ補正のためにパターンを作成する場合がある。これらのパターンは紙に転写されないため、二次転写ローラ22と接触し、パターンの全部または一部がローラ表面に転写されることとなり、除去するためにクリーニング手段を必要とする。クリーニング手段としてはクリーニングブレードが一般的であるが、ブレードめくれが発生してローラの回転を阻害または停止させる場合がある。
【0037】
そこで、本発明は相反する虫食い現象の防止とクリーニングブレード21のめくれ防止を両立するものであり、次に好ましい実施例について説明をする。
実施例1
【0038】
実施例1では、感光体7、中間転写ベルト1、二次転写ローラ13に潤滑剤供給手段としての潤滑剤塗布装置を設けている。
上記中間転写ベルト1は、その材料としてポリイミドを用いており、ポリアミック酸の溶液中にカーボンブラックを分散させ、その分散液を金属ドラムに流入して乾燥させた後、金属ドラムから剥離したフィルムを高温度下で伸長させてポリイミドフィルムを形成し、適当な大きさに切り出してポリイミド樹脂からなる無端状のベルトを作製するようにした。フィルム成形は一般的な方法に従って、カーボンブラックを分散したポリマー溶液を円筒金型に注入し、100〜200℃に加熱しつつ円筒金型を回転させて遠心成形によりフィルム状に成膜した。このようにして得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300〜450℃でポリイミド化反応を進行させ硬化させて中間転写ベルト1を得るようにした。このとき、カーボン量,焼成温度,硬化速度等を変更してベルトの抵抗を調整することができる。このように作られたベルトの表面摩擦係数は0.45であった。表面摩擦係数の測定には、新東科学製HEIDON TRIBOGEAR μs 94iを用いた。
【0039】
感光体7と中間転写ベルト1間の表面摩擦係数差が、虫食い、転写性(転写効率)に対してどの程度影響を及ぼすかを調査した。感光体7、中間転写ベルト1の表面摩擦係数は、潤滑剤供給量を調節することにより行った。供給量の調節は、対象物への固形潤滑剤の加圧力を変えることで行ったが、他にも、塗布機構の対象物への接触時間を変えたり、接触面積を変えるなどの方法がある。虫食いについて調査した結果を図3に示す。
【0040】
図3において、虫食いランクとは虫食いの発生レベルを1〜5の数値で評価したものである。1が最も悪く、5が最も良い。4以上を許容範囲内とした。感光体7の表面摩擦係数を0.25、0.3、0.4の三水準とし、中間転写ベルト1の表面摩擦係数を細かく調節して評価を行った。この結果から、感光体7の表面摩擦係数値はどの値であっても、感光体7の表面摩擦係数が中間転写ベルト1の表面摩擦係数よりも低い場合には、虫食いは許容範囲内に収まっていることがわかる。
【0041】
次に、転写効率への影響を調べた。その結果を図4に示す。
図4における転写効率とは、感光体7上のトナー量に対する、中間転写ベルト1へ転写されたトナー量の比であり、一次転写の効率を示すものである。この結果から、転写効率は感光体7、中間転写ベルト1間の表面摩擦係数差に大きく影響を受け、中間転写ベルト1と比較して、感光体7の表面摩擦係数が低いほど転写効率は高くなることがわかる。
【0042】
したがって、感光体7の表面摩擦係数を中間転写ベルト1の表面摩擦係数よりも低くすることにより、虫食いを防止し、良い転写効率を得ることができた。なお、この表面摩擦係数の関係は、中間転写ベルト1への潤滑剤供給量を、感光体7への潤滑剤供給量よりも少なくすることで達成した。
【0043】
また、中間転写ベルト1、二次転写ローラ13の表面摩擦係数とブレードめくれとの関係を調査した。
中間転写ベルトと二次転写ローラへの潤滑剤塗布量を調節することで、それぞれの表面摩擦係数を同じ値に調節し、連続通紙することで、ブレードめくれの発生しやすさを比較した。結果を図5に示す。
【0044】
図5において、○は10万枚通紙でブレードめくれが発生しなかったことを示し、枚数はブレードめくれが発生した場合で、発生したときの大体の枚数を示してある。この結果から、二次転写ローラに当接したブレードは、中間転写ベルトに当接したブレードよりもブレードめくれが発生しやすく、どちらのブレードも、当接する対象物の表面摩擦係数が高いほどブレードめくれが発生しやすいことがわかる。
【0045】
また、二次転写ローラのブレードの方が、中間転写ベルトのブレードよりも早くめくれが発生していることがわかる。このことより、二次転写ローラのブレードはベルトのブレードよりもめくれが発生しやすいことがわかる。
【0046】
したがって、二次転写ローラのブレードめくれ防止のためには、ローラの摩擦係数を少なくともベルトの摩擦係数以下にする必要がある。そのことは、中間転写ベルトの摩擦係数を、中間転写ベルトのブレードめくれが発生しない値に設定する場合には、二次転写ローラのブレードめくれ防止に対して非常に効果があることを示している。
【0047】
ここで、潤滑剤塗布装置の具体的な構成について図2を用いて説明する。図2に示す潤滑剤塗布装置30は感光体7に潤滑剤を供給するものであるが、中間転写ベルト1及び二次転写ローラ13に付設する潤滑剤塗布装置にも適用できるものである。
【0048】
図2において、潤滑剤塗布装置30はクリーニング装置12内に設けられており、該装置は塗布ブラシ31及び潤滑剤ユニット32を備えている。潤滑剤ユニット32は、図6に示すように、固形の潤滑剤33とこの潤滑剤を塗布ブラシ31に押し付ける加圧手段としてのスプリング34とで構成され、スプリング34の加圧力を選ぶことにより潤滑剤33の塗布量を可変することができる。また、加圧手段としてはスプリング34の代わりに図7に示すような重り35を用いることができる。この場合も、重り35の重さを選ぶことにより潤滑剤33の塗布量を可変することができる。
【0049】
このように構成された潤滑剤塗布装置30は、感光体7、中間転写ベルト1及び二次転写ローラ13に対してそれぞれ設けることで、感光体7、中間転写ベルト1及び二次転写ローラ13の各表面摩擦係数を適宜設定することができ、感光体7及び二次転写ローラ13の各表面摩擦係数より中間転写ベルト1の表面摩擦係数を大きくすることが達成できる。
【0050】
上記実施例1では、感光体7、中間転写ベルト1及び二次転写ローラ13のそれぞれに潤滑剤塗布装置30を設けているが、潤滑剤塗布装置30は感光体7と二次転写ローラ13に対して設け、中間転写ベルトには潤滑剤塗布装置30を設けずに、中間転写ベルト1への潤滑剤は感光体7と二次転写ローラ13に塗布したものを間接的に塗布するように構成してもよい。この場合も、中間転写ベルト1は潤滑剤が間接的に塗布されるので、感光体7や二次転写ローラ13に比べて塗布量が少なく、感光体7及び二次転写ローラ13の各表面摩擦係数より中間転写ベルト1の表面摩擦係数を大きくすることが容易に得られる。
【0051】
さらに、感光体7及び二次転写ローラ13の各表面摩擦係数より中間転写ベルト1の表面摩擦係数を大きくするという摩擦係数の関係を満たすため、感光体7の表面摩擦係数低減を目的とした表層を感光体表面に設けてもよい。
【0052】
感光体7の表面層に使用される材料としては、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール、フェノール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ等の樹脂が挙げられる。
【0053】
これらの樹脂に摩擦係数を低下させる目的でフッ素樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の潤滑剤が添加される。
フッ素樹脂粒子の具体例としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル及びパーフルオロアルキルビニルエーテルなどの重合体、及びそれらの共重合体が用いられる。
【0054】
ポリオレフィン樹脂粒子の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンの単独重合体、異種オレフィンとの共重合体、またはそれらの熱変性物の粒子を表し、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリヘキセン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキセン共重合体などが挙げられる。
【0055】
シリコーン樹脂粒子の具体例としては、シロキサン結合が三次元で結合し、網目構造をとり、珪素原子にアルキル基、アリール基、アミノ置換アルキル基、ジアルキルシリコーンなど置換されたもので有機溶媒に不溶なもの、が挙げられる。
【0056】
このような表面層を設けた感光体7の表面摩擦係数は、一般的に0.1〜0.3程度になる。
中間転写ベルト1の表面摩擦係数は、表面の粗さによってばらつくが、一般的にその材質から0.35〜0.7程度となる。
【0057】
このような感光体と中間転写ベルトを用いたところ、感光体の表面摩擦係数が中間転写ベルトの表面摩擦係数よりも低いことにより、虫食いを防止し、良い転写効率を得ることができた。
【0058】
さらに、二次転写ローラ13には潤滑剤塗布装置30を設けることで、クリーニングブレード7のめくれを防止することができる。
実施例2
【0059】
図8において、条件1〜8は感光体7、中間転写ベルト1、二次転写ローラ13それぞれへの潤滑剤塗布条件を示し、塗布ありは○、塗布なしは―で表記した。すなわち、条件1〜3は中間転写ベルト1に潤滑剤を塗布するもので、さらに感光体7と二次転写ローラ13の両方に塗布するものが条件1で、二次転写ローラ13に塗布するものが条件2、感光体7に塗布するものが条件3となっている。また、条件4〜6は中間転写ベルト1に潤滑剤を塗布しないが、感光体7と二次転写ローラ13の両方に塗布するものが条件4で、二次転写ローラ13にのみ塗布するものが条件5、感光体7にのみ塗布するものが条件6となっている。さらにまた、中間転写ベルト1にのみ潤滑剤を塗布するものが条件7で、中間転写ベルト1、感光体7及び二次転写ローラ13の何れにも潤滑剤を塗布しないものが条件8で設定している。
【0060】
この条件1〜8におけるブレードめくれ、虫食い、転写性(転写効率)2について評価し、その結果を図8の問題点の欄に、○:問題なし、△:許容限界、×:許容不可の3ランクで表示する。
【0061】
評価結果から、条件1〜3及び条件7はブレードめくれの問題が無いが、虫食い及び一次転写性は許容不可であった。また、条件8は虫食い及び一次転写性の問題が無いが、ブレードめくれが許容不可であった。これらの条件に対し、条件4〜6はブレードめくれ、虫食い、転写性(転写効率)がすべて許容する範囲内に入っている。このことは、感光体7と二次転写ローラ13の少なくとも一方に潤滑剤を塗布することで、虫食いなどの一次転写不良とブレードめくれの両方を防止できることを示している。なお、条件4は条件5、6に比べて虫食い、転写性(転写効率)が若干劣っており、このことから感光体7と二次転写ローラ13の一方に潤滑剤を塗布することが最も好ましく、感光体7と二次転写ローラ13の両方に潤滑剤を塗布するのは次善と言える。
【0062】
このように、条件4〜6が好ましいのは、感光体7あるいは二次転写ローラ13から中間転写ベルト1表面に潤滑剤が転移し、間接的に塗布されることにより、一次転写性を阻害しない程度に表面摩擦係数を下げることができるためである。これを確かめるため、図8の各条件でのベルト表面摩擦係数を測定し、虫食いレベルとの関係を調べた。結果を図9に示す。
【0063】
図9において、虫食いランクとは虫食いの発生レベルを5段階で評価したものである。1が最も悪く、5が最も良い。ベルトへ潤滑剤塗布を行う条件である条件1〜3、7では、ベルト表面摩擦係数が他条件に比べて低く、虫食いも悪くなっている。感光体7と二次転写ローラ13の両方に塗布する条件4では、条件1〜3、7よりもベルト表面摩擦係数は高く、虫食いも良くなっている。感光体7と二次転写ローラ13のどちらか一方に塗布する条件5、6は、条件4よりもさらにベルト表面摩擦係数が高くなっており、虫食いもさらに良くなっている。潤滑剤塗布をどこにも行わない条件8では、条件4よりもさらにベルト表面摩擦係数が高くなっているが、ブレードめくれが発生した。このことから、感光体と二次転写ローラの少なくとも一方に潤滑剤を塗布することにより、中間転写ベルトに潤滑剤が間接的に塗布されて一次転写性を阻害しない程度に表面摩擦係数が下がり、虫食いなどの一次転写不良とブレードめくれの両方を防止できることが確かめられた。
【0064】
実施例3
上記実施例2の構成によれば、感光体7と二次転写ローラ13の少なくとも一方に潤滑剤を塗布することで、虫食いなどの一次転写不良とブレードめくれの両方を防止できることがわかったが、クリーニングブレード21へのトナー入力量が極端に少ない条件(白紙を連続で通紙するなど)では、ブレードめくれが発生することがある。
【0065】
そこで、実施例3は、画像間に1つの作像ユニット6でトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト1に転写され、ブレード入力パターンとして中間転写ベルト1のクリーニングブレード21に浸入させることができる制御機構をもつ構成とした。その他の構成は図1の構成と同じである。
【0066】
画像間に形成するトナー像は、ここではベタ画像とし、面積を回転方向3mm×軸方向全幅、回数間隔を10枚に一回とした。
ブレード入力パターンの効果を確かめるため、実施例1の構成と実施例2の構成で、白紙画像を1万枚通紙してブレードめくれを評価したところ、実施例1の構成では途中でブレードめくれが発生したが、実施例2の構成では発生しなかった。したがって、このようなブレード入力パターンを形成することにより、ブレードめくれをより確実に防止できることが確かめられた。
【0067】
また、潤滑剤が間接的に塗布される機会が少ないような作像モード(二次転写ローラがベルトに当接する時間が少ないなど)では、ブレードめくれはより発生しやすくなるため、上記ブレード入力パターンの画像濃度(単位面積あたりの付着量)、画像面積、回数間隔を作像モードにより変更できるようにし、上記のような潤滑剤が間接的に塗布される機会が少ないような作像モードではクリーニングブレード21へのトナー入力量をより多くすることもできる。
【0068】
なお、作像モードの違いとしては例えば白黒モードとフルカラーモードの違いである。フルカラーモードでは定着性を確保するために画像間をある程度空けているが、白黒モードでは通紙枚数をかせぐために画像間を狭くする。そのため、白黒モードでは連続通紙時に紙間が狭くなるので、二次転写ローラ13と中間転写ベルト1との接触時間が短くなり、特に二次転写ローラ13からの潤滑剤間接塗布が少なくなる。また、感光体7に潤滑塗布手段を設けた場合でも、感光体7からの間接塗布も画像部からは塗布されにくいので、白黒モードでは非画像部が少なくなることで塗布量は少なくなる。そこで、白黒モードとフルカラーモードにおいてブレードへのトナー入力量を変えるものである。
【0069】
さらに、作像モードの違いとして通紙枚数の違うモードがある。例えば100枚の画像形成を行うとき、異なる内容のものを100枚連続で作成する場合と、同じ内容のものを100枚連像で作成する場合とでは画像間の幅が異なる。したがって、このような作像モードにおいてもブレードへのトナー入力量を変えるものである。
【0070】
トナー入力量の変更は、上記したように、ブレード入力パターンの画像濃度、画像面積、回数間隔の変更であり、画像濃度とは単位面積あたりのトナー付着量を変えることであり、上記した白黒モードやリピート枚数が多いモードのときトナー付着量を増やす。ただし、画像濃度の変更は現像装置の能力によって限界がある。
【0071】
また、画像面積の変更とはブレード入力パターンの通常面積が回転方向3mm×軸方向全幅のとき、トナー入力量を増やす場合は回転方向の幅を3mmより大きくする変更である。この変更は、現像能力による限界がなく、所望の入力量を得られやすい。
【0072】
最後に、回数間隔の変更とはブレード入力パターンを上記のように10回毎に入力するところを、トナー入力量を増やすモードでは例えば5回毎のように入力間隔を狭める変更である。この変更も現像能力による限界がなく、所望の入力量を得られやすい。
【0073】
かくして、画像間にトナー像を形成し、中間転写ベルトのクリーニングブレードに浸入させることにより、中間転写ベルトの表面摩擦係数を下げることなく、ブレードめくれを防止することができた。
【0074】
実施例4
実施例4は、二次転写ローラに潤滑剤を塗布する構成とした。その他の構成は図1の構成と同じである。
【0075】
上記ように、ブレード入力パターンを形成してクリーニングブレード21に入力させる場合、中間転写ベルト上に形成された入力パターンはクリーニングブレードに入力する前に二次転写ローラ13に接する。このため、二次転写ローラ13の表面に入力パターンのトナーが付着し、そのトナーが記録材Pの裏面に転移してこれを汚してしまう。そこで、二次転写ローラ13もクリーニング手段が必要となり、最も一般的な手段としてクリーニングブレード27がある。しかし、二次転写ローラは、記録媒体が巻き付くことがないように確実に分離させなくてはならないため、感光体や中間転写ベルトと比較して径が小さい場合が多い。そのため、ローラのクリーニング手段としてクリーニングブレード27がある場合、ブレードめくれの危険性が高い。そこで、二次転写ローラに潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置30を設けることで解決を行う。
【0076】
潤滑剤塗布装置30の構成としては、図10に示すような構成とした。潤滑剤33を潤滑剤塗布ブラシ31に加圧スプリング34によって圧接し、潤滑剤塗布ブラシ31によって削り取った潤滑剤を二次転写ローラ13に塗布させる構成である。この構成により、潤滑剤の効果で二次転写ローラ13の表面摩擦係数は下がり、クリーニングブレード21のめくれを防止することができる。
【0077】
また、二次転写ローラ13と中間転写ベルト1の間には、記録媒体としての紙が侵入してくるため、二次転写ローラ13に紙粉が付着する場合がある。この紙粉がクリーニングブレード27に浸入してクリーニング性を阻害する場合がある。この構成では、紙粉を潤滑剤塗布ブラシ31によって除去することができるため、ブレードめくれに加えて、紙粉によるクリーニング性の阻害も防ぐことができる。
【0078】
実施例5
実施例5は、二次転写ローラに潤滑剤を塗布する構成とした。その他の構成は図1の構成と同じである。
【0079】
潤滑剤を塗布する構成は、図11に示すような構成とした。潤滑剤33を加圧スプリング34によって二次転写ローラ13に圧接し、潤滑剤33を直接二次転写ローラ13に塗布させる構成である。この構成により、潤滑剤の効果で二次転写ローラ13の表面摩擦係数は下がり、クリーニングブレード27のめくれを防止することができる。
【0080】
実施例4と比較して、潤滑剤塗布ブラシが必要ないため、省スペース化、低コスト化の効果がある。
実施例6
【0081】
実施例4や5の構成では、上記のブレード入力パターンが二次転写ローラに転写される場合があるため、ベルトのクリーニングブレード21へのトナー入力量が形成時よりも少なくなってしまう。そのため、ブレードめくれの危険性は高くなる。上記入力量を増やすために、より多くのトナー像を形成する方法があるが、トナーを無駄に消費することになり、1枚あたりのコストは高くなってしまう。
【0082】
そこで、実施例6では、二次転写ローラに転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段を設け、画像間の転写バイアス値を画像転写時の転写バイアス値よりも低く設定することにより、二次転写ローラに転写されてしまうトナー量を減らした。このことにより、クリーニングブレード21へのトナー入力量が形成時よりも大きく変わることなく入力され、ベルトのブレードめくれをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の主要部の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す作像ユニットの断面図である。
【図3】中間転写ベルトと感光体の摩擦係数差と虫食いの関係を示すグラフである。
【図4】中間転写ベルトと感光体の摩擦係数差と転写効率の関係を示すグラフである。
【図5】中間転写ベルトと二次転写ローラの摩擦係数差とブレードのめくれ易さを示す表図である。
【図6】潤滑剤供給手段の一例を示す説明図である。
【図7】潤滑剤供給手段の他の例を示す説明図である。
【図8】潤滑剤塗布条件と、ブレードめくれ、虫食い、転写性(転写効率)との関係を示す表図である。
【図9】潤滑剤塗布条件を変えたときの、中間転写ベルト表面摩擦係数と虫食いとの関係を示す線図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の二次転写部を示す構成図である。
【図11】本発明に係る画像形成装置の二次転写部を示す他の構成図である。
【符号の説明】
【0084】
1 中間転写ベルト
6 感光体
13 二次転写ローラ
21 クリーニングブレード(中間転写ベルト用)
30 潤滑剤塗布装置
31 塗布ブラシ
33 潤滑剤
34 加圧スプリング
27 クリーニングブレード(二次転写ローラ用)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはその少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体に形成したトナー像を中間転写体に転写し、該中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に一括転写する中間転写方式の画像形成装置は既に公知である。この種の画像形成装置として、像担持体は画像情報に応じたトナー像を担持するもので、例えば感光体が用いられ、中間転写体には例えば複数本のローラに掛け渡された無端状の中間転写ベルトが用いられている。また、感光体のトナー像を中間転写ベルトに転写する一次転写手段としては一次転写に感光体と中間転写ベルトの間に形成する転写電界が用いられ、中間転写ベルトのトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段には中間転写ベルトと転写材との間に形成する転写電界が用いられる。一次転写手段は、感光体上に形成されたトナー像を忠実に、かつ安定して中間転写体に転写することが要求される。また、二次転写手段でも同様に、中間転写体に形成されたトナー像を忠実に、かつ安定して記録媒体に転写することが要求される。つまり、一次転写手段及び二次転写手段に求められる性能を実現するには、安定した転写を高い転写効率で行う必要がある。
【0003】
【特許文献1】特開平8−211755号公報
【特許文献2】特開平6−332324号公報
【特許文献3】特開2000−19858号公報
【特許文献4】特開昭57−17973号公報
【特許文献5】特開平7−271142号公報
【特許文献6】特開2001−75449号公報
【0004】
このような画像形成装置においては、一次転写時に画像の中央(特に線部や文字部中央)が抜けてしまう、いわゆる虫食い現象が発生することがある。この問題を解決するために、感光体に潤滑剤を塗布し、摩擦係数を下げてトナーとの間の付着力を弱めてやる方法や(特許文献1)、感光体の摩擦係数と中間転写ベルトの摩擦係数との関係を規定する方法(特許文献2,3)が提案されている。
【0005】
しかしながら、摩擦係数は転写性のみならず、転写しきれなかったトナーを除去するためのクリーニングブレードのブレードめくれとも密接な関係がある。このブレードめくれを解決する方法にも、クリーニングの対象に潤滑剤を供給する方法が効果的であり広く知られている(例えば、特許文献4,5,6)。そのため、上記の虫食いとクリーニングブレードのめくれの双方を解決するための潤滑剤塗布条件や摩擦係数条件が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、虫食い現象の発生を軽減し、さらにクリーニングブレードのめくれの問題も軽減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、画像情報に応じたトナー像が形成される像担持体と、該像担持体に当接される中間転写部材と、前記像担持体のトナー像を前記中間転写部材に転写する一次転写手段と、前記中間転写部材に圧接され、当該中間転写部材に転写して保持されたトナー像を、記録媒体に一括転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、前記像担持体と前記二次転写手段の表面摩擦係数が、前記中間転写部材の表面摩擦係数よりも低いことを特徴としている。
【0008】
なお、本発明は、前記像担持体、前記中間転写部材及び前記二次転写手段の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段をそれぞれ設け、これら潤滑剤供給手段は前記像担持体と前記二次転写手段に供給する潤滑剤の量が前記中間転写部材に供給する潤滑剤の量よりも多いと、効果的である。
【0009】
さらに、本発明は、前記潤滑剤供給手段が供給する潤滑剤の量を調整可能であると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記像担持体と前記二次転写手段に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を設け、前記中間転写部材に対しては前記像担持体及び前記二次転写手段に供給した潤滑剤を間接的に供給すると、効果的である。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記像担持体が前記中間転写部材より表面摩擦係数が小さい材質から作られているとともに、前記二次転写手段に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を設け、前記中間転写部材に対しては前記二次転写手段に供給した潤滑剤を間接的に供給すると、効果的である。
【0011】
さらにまた、本発明は、前記中間転写部材が前記像担持体に圧接し複数本のローラに架設された無端状の中間転写ベルト、前記二次転写手段が二次転写ローラであり、前記中間転写ベルトに残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有すると、効果的である。
【0012】
さらにまた、本発明は、画像間にブレード入力パターンとしてのトナー像を形成し、該入力パターンのトナー像を前記クリーニングブレードに浸入させると、効果的である。
【0013】
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンのトナー量が作像モードによって変更可能であると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンのトナー量は、前記像担持体あるいは前記二次転写ローラから前記中間転写ベルトへの潤滑剤塗布効率が落ちる作像モードのとき、多くなるように変更すると、効果的である。
【0014】
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンのトナー量の変更が、単位面積あたりの付着量を変えて行うと、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンのトナー量の変更が、パターン面積の大きさを変えて行うと、効果的である。
【0015】
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンの入力間隔が作像モードによって変更可能であると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記ブレード入力パターンの入力間隔は、前記像担持体あるいは前記二次転写ローラから前記中間転写ベルトへの潤滑剤塗布効率が落ちる作像モードのとき、短くなるように変更すると、効果的である。
【0016】
さらにまた、本発明は、前記二次転写ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段が前記前記二次転写ローラに当接するブラシ部材を介して潤滑剤の供給を行うと、効果的である。
【0017】
さらにまた、本発明は、前記二次転写ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段が固形の潤滑剤を直接押し当てることで潤滑剤の供給を行うと、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記二次転写ローラが常時前記中間転写ベルトに接触していると、効果的である。
【0018】
さらにまた、本発明は、前記二次転写ローラに転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段を有し、画像間の転写バイアス値は画像転写時の転写バイアス値よりも低く設定すると、効果的である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1及び2の構成によれば、像担持体の表面摩擦係数が中間転写部材の表面摩擦係数よりも低いことにより、一次転写効率の低下や、虫食いを防止することができる。また、二次転写手段の表面摩擦係数が中間転写部材の表面摩擦係数よりも低いことにより、中間転写部材よりもブレードめくれが生じやすい二次転写手段のブレードめくれを防止する効果がある。また、クリーニング性能も向上する。加えて、中間転写部材と二次転写手段との間に回転速度差が生じる場合においても、紙との摩擦力が低くなることで、紙の進行を妨げづらくなり、画像の乱れを防止することができる。
【0020】
請求項3の構成によれば、像担持体、中間転写部材及び二次転写手段の表面摩擦係数の設定を容易に行うことができる。
請求項4及び5の構成によれば、像担持体、中間転写部材及び二次転写手段の表面摩擦係数の設定が容易で、中間転写部材に潤滑剤供給手段を設けないのでその分安価になる。
【0021】
請求項6の構成によれば、画像間に形成したトナー像を中間転写ベルトのクリーニングブレードに浸入させることで、ブレードとベルトとの間にトナーが介在することになり、ブレードめくれを防止する働きをする。結果として、中間転写ベルトの表面摩擦係数を下げて一次転写性を阻害することなしにブレードめくれをより確実に防止することができる。
【0022】
請求項7ないし10の構成によれば、ブレード入力パターンのトナー量を作像モードによって変更することにより、中間転写ベルト表面に潤滑剤が間接的に塗布される機会が少なくなるモードにおいては、トナー量を多くしてブレードへのトナー入力量を増やすことができる。それにより、ブレードのめくれを防止することができる。
【0023】
請求項11及び12の構成によれば、ブレード入力パターンの回数間隔を作像モードによって変更することにより、中間転写ベルト表面に潤滑剤が間接的に塗布される機会が少なくなるモードにおいては、回数間隔を短くしてブレードへのトナー入力量を増やすことができる。それにより、ブレードのめくれを防止することができる。
【0024】
請求項13の構成によれば、二次転写ローラに潤滑剤を塗布することで、請求項1の効果に加え、二次転写ローラの表面摩擦係数が下がり、二次転写ローラのブレードめくれを防止することができる。
【0025】
請求項14の構成によれば、請求項9の効果に加え、二次転写ローラに付着した紙粉をブラシによって除去することができるため、付着した紙粉がクリーニングブレードに浸入してクリーニング性を阻害することを防ぐことができる。
【0026】
請求項15の構成によれば固形の潤滑剤を直接押し当てて塗布することで、ブラシなどの塗布部材を用いなくて済み、コストを下げることができる。
請求項16の構成によれば、二次転写ローラが画像間でも中間転写ベルトに接触することで、二次転写ローラ表面に塗布された潤滑剤が中間転写ベルトに転移することができ、中間転写ベルトのブレードめくれをより確実に防止することができる。
【0027】
請求項17の構成によれば、画像間のバイアス値が所定の転写バイアス値よりも低く設定されていることで、二次転写ローラが画像間で中間転写ベルトに接触する機会を持つ場合でも、中間転写ベルトから二次転写ローラに転写されてしまうトナー像を少なくすることができ、より多くのトナーを中間転写ベルトのクリーニングブレードに浸入させることができるため、ブレードめくれをより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、カラー画像形成装置の一例を示す概略図である。ここに示した画像形成装置の画像形成部は、像担持体としての中間転写ベルト1が配置され、中間転写ベルト1はローラ2,3,4,5に巻き掛けられ、ローラ2,3の一方が駆動ローラとして時計方向に回転駆動することにより矢印A方向に走行駆動される。また、画像形成部は中間転写ベルト1の上部走行辺に対向して第1ないし第4の作像ユニット6a,6b,6c,6dが設けられている。第1ないし第4の作像ユニット6a,6b,6c,6dは、像担持体としてドラム状の感光体7a,7b,7c,7dを有し、その各感光体上にマゼンタトナー像、シアントナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成される。
【0029】
第1ないし第4の作像ユニット6a,6b,6c,6dは、その像担持体上にトナー像を形成する構成とその作用は実質的に全て同一であるため、図2に用いて第1の作像ユニット6aの感光体7aにトナー像を形成する構成だけを説明する。
【0030】
この感光体7は、図2における反時計方向に回転駆動され、このとき帯電ローラ8によって像担持体表面が所定の極性に均一に帯電される。次いでその帯電面に、図1に示すレーザ書き込みユニット9から出射する光変調されたレーザビームLが照射される。これによって感光体7上に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置10によって例えばマゼンタトナー像として可視像化される。
【0031】
このようにして形成されたマゼンタトナー像は、感光体7と中間転写ベルト1を挟んで配置された転写ローラ11にトナーと逆極性の電圧が印加され、これによって感光体7上のマゼンタトナー像が中間転写ベルト1上に転写される。中間転写ベルト1に転写されず、感光体7上に残された転写残トナーは、クリーニング装置12によって除去される。
【0032】
全く同様にして、第2乃至第4の作像ユニット6b,6c,6dの感光体7b,7c,7d上にシアントナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がマゼンタトナー像の転写された中間転写ベルト1上に順次重ね合されて転写される。このようにして中間転写ベルト1上に形成された4色のトナー像はベルト走行に伴って図1の右端の2次転写ローラ13が設けられた2次転写部へ移動する。
【0033】
一方、装置本体の下部には給紙部(図示せず)が設けられ、該給紙部から例えば転写紙より成る記録材Pが給送される。給紙された記録材Pは、図1に示すレジストローラ14に突き当てられた後、記録材に正しくトナー像が転写されるタイミングで中間転写ベルト1の2次転写部へ送り込まれる。そして、2次転写ローラ13に対し中間転写ベルト1上のトナーと逆極性の電圧が印加され、これによって中間転写ベルト1上に重ね転写されたトナー像が記録材P上に転写される。トナー像が転写された記録材Pは、搬送ベルト15を介して定着装置16へ搬送され、そこでトナー像が定着された後、不図示の排紙部等に排出される。
【0034】
また、2次転写後、記録材Pに転写されなかった転写残トナーはベルトクリーニング装置20によって除去される。ベルトクリーニング装置20は、中間転写ベルト1に摺接するクリーニングブレード21を備えている。なお、符号22はブレード21の中間転写ベルト1への確実な摺接を得るためのバックアップローラである。
【0035】
ところで、上記のような中間転写方式の画像形成装置では、一次転写部において、トナー像が局部的に抜けてしまう、いわゆる虫食い現象が発生する場合がある。この虫食いは、感光体7の表面摩擦係数が、中間転写ベルト1の表面摩擦係数よりも低い場合には発生しにくいことが本願発明者の実験結果から判った。
【0036】
一方、画像間には、トナー付着量制御や位置ズレ補正のためにパターンを作成する場合がある。これらのパターンは紙に転写されないため、二次転写ローラ22と接触し、パターンの全部または一部がローラ表面に転写されることとなり、除去するためにクリーニング手段を必要とする。クリーニング手段としてはクリーニングブレードが一般的であるが、ブレードめくれが発生してローラの回転を阻害または停止させる場合がある。
【0037】
そこで、本発明は相反する虫食い現象の防止とクリーニングブレード21のめくれ防止を両立するものであり、次に好ましい実施例について説明をする。
実施例1
【0038】
実施例1では、感光体7、中間転写ベルト1、二次転写ローラ13に潤滑剤供給手段としての潤滑剤塗布装置を設けている。
上記中間転写ベルト1は、その材料としてポリイミドを用いており、ポリアミック酸の溶液中にカーボンブラックを分散させ、その分散液を金属ドラムに流入して乾燥させた後、金属ドラムから剥離したフィルムを高温度下で伸長させてポリイミドフィルムを形成し、適当な大きさに切り出してポリイミド樹脂からなる無端状のベルトを作製するようにした。フィルム成形は一般的な方法に従って、カーボンブラックを分散したポリマー溶液を円筒金型に注入し、100〜200℃に加熱しつつ円筒金型を回転させて遠心成形によりフィルム状に成膜した。このようにして得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300〜450℃でポリイミド化反応を進行させ硬化させて中間転写ベルト1を得るようにした。このとき、カーボン量,焼成温度,硬化速度等を変更してベルトの抵抗を調整することができる。このように作られたベルトの表面摩擦係数は0.45であった。表面摩擦係数の測定には、新東科学製HEIDON TRIBOGEAR μs 94iを用いた。
【0039】
感光体7と中間転写ベルト1間の表面摩擦係数差が、虫食い、転写性(転写効率)に対してどの程度影響を及ぼすかを調査した。感光体7、中間転写ベルト1の表面摩擦係数は、潤滑剤供給量を調節することにより行った。供給量の調節は、対象物への固形潤滑剤の加圧力を変えることで行ったが、他にも、塗布機構の対象物への接触時間を変えたり、接触面積を変えるなどの方法がある。虫食いについて調査した結果を図3に示す。
【0040】
図3において、虫食いランクとは虫食いの発生レベルを1〜5の数値で評価したものである。1が最も悪く、5が最も良い。4以上を許容範囲内とした。感光体7の表面摩擦係数を0.25、0.3、0.4の三水準とし、中間転写ベルト1の表面摩擦係数を細かく調節して評価を行った。この結果から、感光体7の表面摩擦係数値はどの値であっても、感光体7の表面摩擦係数が中間転写ベルト1の表面摩擦係数よりも低い場合には、虫食いは許容範囲内に収まっていることがわかる。
【0041】
次に、転写効率への影響を調べた。その結果を図4に示す。
図4における転写効率とは、感光体7上のトナー量に対する、中間転写ベルト1へ転写されたトナー量の比であり、一次転写の効率を示すものである。この結果から、転写効率は感光体7、中間転写ベルト1間の表面摩擦係数差に大きく影響を受け、中間転写ベルト1と比較して、感光体7の表面摩擦係数が低いほど転写効率は高くなることがわかる。
【0042】
したがって、感光体7の表面摩擦係数を中間転写ベルト1の表面摩擦係数よりも低くすることにより、虫食いを防止し、良い転写効率を得ることができた。なお、この表面摩擦係数の関係は、中間転写ベルト1への潤滑剤供給量を、感光体7への潤滑剤供給量よりも少なくすることで達成した。
【0043】
また、中間転写ベルト1、二次転写ローラ13の表面摩擦係数とブレードめくれとの関係を調査した。
中間転写ベルトと二次転写ローラへの潤滑剤塗布量を調節することで、それぞれの表面摩擦係数を同じ値に調節し、連続通紙することで、ブレードめくれの発生しやすさを比較した。結果を図5に示す。
【0044】
図5において、○は10万枚通紙でブレードめくれが発生しなかったことを示し、枚数はブレードめくれが発生した場合で、発生したときの大体の枚数を示してある。この結果から、二次転写ローラに当接したブレードは、中間転写ベルトに当接したブレードよりもブレードめくれが発生しやすく、どちらのブレードも、当接する対象物の表面摩擦係数が高いほどブレードめくれが発生しやすいことがわかる。
【0045】
また、二次転写ローラのブレードの方が、中間転写ベルトのブレードよりも早くめくれが発生していることがわかる。このことより、二次転写ローラのブレードはベルトのブレードよりもめくれが発生しやすいことがわかる。
【0046】
したがって、二次転写ローラのブレードめくれ防止のためには、ローラの摩擦係数を少なくともベルトの摩擦係数以下にする必要がある。そのことは、中間転写ベルトの摩擦係数を、中間転写ベルトのブレードめくれが発生しない値に設定する場合には、二次転写ローラのブレードめくれ防止に対して非常に効果があることを示している。
【0047】
ここで、潤滑剤塗布装置の具体的な構成について図2を用いて説明する。図2に示す潤滑剤塗布装置30は感光体7に潤滑剤を供給するものであるが、中間転写ベルト1及び二次転写ローラ13に付設する潤滑剤塗布装置にも適用できるものである。
【0048】
図2において、潤滑剤塗布装置30はクリーニング装置12内に設けられており、該装置は塗布ブラシ31及び潤滑剤ユニット32を備えている。潤滑剤ユニット32は、図6に示すように、固形の潤滑剤33とこの潤滑剤を塗布ブラシ31に押し付ける加圧手段としてのスプリング34とで構成され、スプリング34の加圧力を選ぶことにより潤滑剤33の塗布量を可変することができる。また、加圧手段としてはスプリング34の代わりに図7に示すような重り35を用いることができる。この場合も、重り35の重さを選ぶことにより潤滑剤33の塗布量を可変することができる。
【0049】
このように構成された潤滑剤塗布装置30は、感光体7、中間転写ベルト1及び二次転写ローラ13に対してそれぞれ設けることで、感光体7、中間転写ベルト1及び二次転写ローラ13の各表面摩擦係数を適宜設定することができ、感光体7及び二次転写ローラ13の各表面摩擦係数より中間転写ベルト1の表面摩擦係数を大きくすることが達成できる。
【0050】
上記実施例1では、感光体7、中間転写ベルト1及び二次転写ローラ13のそれぞれに潤滑剤塗布装置30を設けているが、潤滑剤塗布装置30は感光体7と二次転写ローラ13に対して設け、中間転写ベルトには潤滑剤塗布装置30を設けずに、中間転写ベルト1への潤滑剤は感光体7と二次転写ローラ13に塗布したものを間接的に塗布するように構成してもよい。この場合も、中間転写ベルト1は潤滑剤が間接的に塗布されるので、感光体7や二次転写ローラ13に比べて塗布量が少なく、感光体7及び二次転写ローラ13の各表面摩擦係数より中間転写ベルト1の表面摩擦係数を大きくすることが容易に得られる。
【0051】
さらに、感光体7及び二次転写ローラ13の各表面摩擦係数より中間転写ベルト1の表面摩擦係数を大きくするという摩擦係数の関係を満たすため、感光体7の表面摩擦係数低減を目的とした表層を感光体表面に設けてもよい。
【0052】
感光体7の表面層に使用される材料としては、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール、フェノール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ等の樹脂が挙げられる。
【0053】
これらの樹脂に摩擦係数を低下させる目的でフッ素樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の潤滑剤が添加される。
フッ素樹脂粒子の具体例としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル及びパーフルオロアルキルビニルエーテルなどの重合体、及びそれらの共重合体が用いられる。
【0054】
ポリオレフィン樹脂粒子の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンの単独重合体、異種オレフィンとの共重合体、またはそれらの熱変性物の粒子を表し、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリヘキセン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキセン共重合体などが挙げられる。
【0055】
シリコーン樹脂粒子の具体例としては、シロキサン結合が三次元で結合し、網目構造をとり、珪素原子にアルキル基、アリール基、アミノ置換アルキル基、ジアルキルシリコーンなど置換されたもので有機溶媒に不溶なもの、が挙げられる。
【0056】
このような表面層を設けた感光体7の表面摩擦係数は、一般的に0.1〜0.3程度になる。
中間転写ベルト1の表面摩擦係数は、表面の粗さによってばらつくが、一般的にその材質から0.35〜0.7程度となる。
【0057】
このような感光体と中間転写ベルトを用いたところ、感光体の表面摩擦係数が中間転写ベルトの表面摩擦係数よりも低いことにより、虫食いを防止し、良い転写効率を得ることができた。
【0058】
さらに、二次転写ローラ13には潤滑剤塗布装置30を設けることで、クリーニングブレード7のめくれを防止することができる。
実施例2
【0059】
図8において、条件1〜8は感光体7、中間転写ベルト1、二次転写ローラ13それぞれへの潤滑剤塗布条件を示し、塗布ありは○、塗布なしは―で表記した。すなわち、条件1〜3は中間転写ベルト1に潤滑剤を塗布するもので、さらに感光体7と二次転写ローラ13の両方に塗布するものが条件1で、二次転写ローラ13に塗布するものが条件2、感光体7に塗布するものが条件3となっている。また、条件4〜6は中間転写ベルト1に潤滑剤を塗布しないが、感光体7と二次転写ローラ13の両方に塗布するものが条件4で、二次転写ローラ13にのみ塗布するものが条件5、感光体7にのみ塗布するものが条件6となっている。さらにまた、中間転写ベルト1にのみ潤滑剤を塗布するものが条件7で、中間転写ベルト1、感光体7及び二次転写ローラ13の何れにも潤滑剤を塗布しないものが条件8で設定している。
【0060】
この条件1〜8におけるブレードめくれ、虫食い、転写性(転写効率)2について評価し、その結果を図8の問題点の欄に、○:問題なし、△:許容限界、×:許容不可の3ランクで表示する。
【0061】
評価結果から、条件1〜3及び条件7はブレードめくれの問題が無いが、虫食い及び一次転写性は許容不可であった。また、条件8は虫食い及び一次転写性の問題が無いが、ブレードめくれが許容不可であった。これらの条件に対し、条件4〜6はブレードめくれ、虫食い、転写性(転写効率)がすべて許容する範囲内に入っている。このことは、感光体7と二次転写ローラ13の少なくとも一方に潤滑剤を塗布することで、虫食いなどの一次転写不良とブレードめくれの両方を防止できることを示している。なお、条件4は条件5、6に比べて虫食い、転写性(転写効率)が若干劣っており、このことから感光体7と二次転写ローラ13の一方に潤滑剤を塗布することが最も好ましく、感光体7と二次転写ローラ13の両方に潤滑剤を塗布するのは次善と言える。
【0062】
このように、条件4〜6が好ましいのは、感光体7あるいは二次転写ローラ13から中間転写ベルト1表面に潤滑剤が転移し、間接的に塗布されることにより、一次転写性を阻害しない程度に表面摩擦係数を下げることができるためである。これを確かめるため、図8の各条件でのベルト表面摩擦係数を測定し、虫食いレベルとの関係を調べた。結果を図9に示す。
【0063】
図9において、虫食いランクとは虫食いの発生レベルを5段階で評価したものである。1が最も悪く、5が最も良い。ベルトへ潤滑剤塗布を行う条件である条件1〜3、7では、ベルト表面摩擦係数が他条件に比べて低く、虫食いも悪くなっている。感光体7と二次転写ローラ13の両方に塗布する条件4では、条件1〜3、7よりもベルト表面摩擦係数は高く、虫食いも良くなっている。感光体7と二次転写ローラ13のどちらか一方に塗布する条件5、6は、条件4よりもさらにベルト表面摩擦係数が高くなっており、虫食いもさらに良くなっている。潤滑剤塗布をどこにも行わない条件8では、条件4よりもさらにベルト表面摩擦係数が高くなっているが、ブレードめくれが発生した。このことから、感光体と二次転写ローラの少なくとも一方に潤滑剤を塗布することにより、中間転写ベルトに潤滑剤が間接的に塗布されて一次転写性を阻害しない程度に表面摩擦係数が下がり、虫食いなどの一次転写不良とブレードめくれの両方を防止できることが確かめられた。
【0064】
実施例3
上記実施例2の構成によれば、感光体7と二次転写ローラ13の少なくとも一方に潤滑剤を塗布することで、虫食いなどの一次転写不良とブレードめくれの両方を防止できることがわかったが、クリーニングブレード21へのトナー入力量が極端に少ない条件(白紙を連続で通紙するなど)では、ブレードめくれが発生することがある。
【0065】
そこで、実施例3は、画像間に1つの作像ユニット6でトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト1に転写され、ブレード入力パターンとして中間転写ベルト1のクリーニングブレード21に浸入させることができる制御機構をもつ構成とした。その他の構成は図1の構成と同じである。
【0066】
画像間に形成するトナー像は、ここではベタ画像とし、面積を回転方向3mm×軸方向全幅、回数間隔を10枚に一回とした。
ブレード入力パターンの効果を確かめるため、実施例1の構成と実施例2の構成で、白紙画像を1万枚通紙してブレードめくれを評価したところ、実施例1の構成では途中でブレードめくれが発生したが、実施例2の構成では発生しなかった。したがって、このようなブレード入力パターンを形成することにより、ブレードめくれをより確実に防止できることが確かめられた。
【0067】
また、潤滑剤が間接的に塗布される機会が少ないような作像モード(二次転写ローラがベルトに当接する時間が少ないなど)では、ブレードめくれはより発生しやすくなるため、上記ブレード入力パターンの画像濃度(単位面積あたりの付着量)、画像面積、回数間隔を作像モードにより変更できるようにし、上記のような潤滑剤が間接的に塗布される機会が少ないような作像モードではクリーニングブレード21へのトナー入力量をより多くすることもできる。
【0068】
なお、作像モードの違いとしては例えば白黒モードとフルカラーモードの違いである。フルカラーモードでは定着性を確保するために画像間をある程度空けているが、白黒モードでは通紙枚数をかせぐために画像間を狭くする。そのため、白黒モードでは連続通紙時に紙間が狭くなるので、二次転写ローラ13と中間転写ベルト1との接触時間が短くなり、特に二次転写ローラ13からの潤滑剤間接塗布が少なくなる。また、感光体7に潤滑塗布手段を設けた場合でも、感光体7からの間接塗布も画像部からは塗布されにくいので、白黒モードでは非画像部が少なくなることで塗布量は少なくなる。そこで、白黒モードとフルカラーモードにおいてブレードへのトナー入力量を変えるものである。
【0069】
さらに、作像モードの違いとして通紙枚数の違うモードがある。例えば100枚の画像形成を行うとき、異なる内容のものを100枚連続で作成する場合と、同じ内容のものを100枚連像で作成する場合とでは画像間の幅が異なる。したがって、このような作像モードにおいてもブレードへのトナー入力量を変えるものである。
【0070】
トナー入力量の変更は、上記したように、ブレード入力パターンの画像濃度、画像面積、回数間隔の変更であり、画像濃度とは単位面積あたりのトナー付着量を変えることであり、上記した白黒モードやリピート枚数が多いモードのときトナー付着量を増やす。ただし、画像濃度の変更は現像装置の能力によって限界がある。
【0071】
また、画像面積の変更とはブレード入力パターンの通常面積が回転方向3mm×軸方向全幅のとき、トナー入力量を増やす場合は回転方向の幅を3mmより大きくする変更である。この変更は、現像能力による限界がなく、所望の入力量を得られやすい。
【0072】
最後に、回数間隔の変更とはブレード入力パターンを上記のように10回毎に入力するところを、トナー入力量を増やすモードでは例えば5回毎のように入力間隔を狭める変更である。この変更も現像能力による限界がなく、所望の入力量を得られやすい。
【0073】
かくして、画像間にトナー像を形成し、中間転写ベルトのクリーニングブレードに浸入させることにより、中間転写ベルトの表面摩擦係数を下げることなく、ブレードめくれを防止することができた。
【0074】
実施例4
実施例4は、二次転写ローラに潤滑剤を塗布する構成とした。その他の構成は図1の構成と同じである。
【0075】
上記ように、ブレード入力パターンを形成してクリーニングブレード21に入力させる場合、中間転写ベルト上に形成された入力パターンはクリーニングブレードに入力する前に二次転写ローラ13に接する。このため、二次転写ローラ13の表面に入力パターンのトナーが付着し、そのトナーが記録材Pの裏面に転移してこれを汚してしまう。そこで、二次転写ローラ13もクリーニング手段が必要となり、最も一般的な手段としてクリーニングブレード27がある。しかし、二次転写ローラは、記録媒体が巻き付くことがないように確実に分離させなくてはならないため、感光体や中間転写ベルトと比較して径が小さい場合が多い。そのため、ローラのクリーニング手段としてクリーニングブレード27がある場合、ブレードめくれの危険性が高い。そこで、二次転写ローラに潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置30を設けることで解決を行う。
【0076】
潤滑剤塗布装置30の構成としては、図10に示すような構成とした。潤滑剤33を潤滑剤塗布ブラシ31に加圧スプリング34によって圧接し、潤滑剤塗布ブラシ31によって削り取った潤滑剤を二次転写ローラ13に塗布させる構成である。この構成により、潤滑剤の効果で二次転写ローラ13の表面摩擦係数は下がり、クリーニングブレード21のめくれを防止することができる。
【0077】
また、二次転写ローラ13と中間転写ベルト1の間には、記録媒体としての紙が侵入してくるため、二次転写ローラ13に紙粉が付着する場合がある。この紙粉がクリーニングブレード27に浸入してクリーニング性を阻害する場合がある。この構成では、紙粉を潤滑剤塗布ブラシ31によって除去することができるため、ブレードめくれに加えて、紙粉によるクリーニング性の阻害も防ぐことができる。
【0078】
実施例5
実施例5は、二次転写ローラに潤滑剤を塗布する構成とした。その他の構成は図1の構成と同じである。
【0079】
潤滑剤を塗布する構成は、図11に示すような構成とした。潤滑剤33を加圧スプリング34によって二次転写ローラ13に圧接し、潤滑剤33を直接二次転写ローラ13に塗布させる構成である。この構成により、潤滑剤の効果で二次転写ローラ13の表面摩擦係数は下がり、クリーニングブレード27のめくれを防止することができる。
【0080】
実施例4と比較して、潤滑剤塗布ブラシが必要ないため、省スペース化、低コスト化の効果がある。
実施例6
【0081】
実施例4や5の構成では、上記のブレード入力パターンが二次転写ローラに転写される場合があるため、ベルトのクリーニングブレード21へのトナー入力量が形成時よりも少なくなってしまう。そのため、ブレードめくれの危険性は高くなる。上記入力量を増やすために、より多くのトナー像を形成する方法があるが、トナーを無駄に消費することになり、1枚あたりのコストは高くなってしまう。
【0082】
そこで、実施例6では、二次転写ローラに転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段を設け、画像間の転写バイアス値を画像転写時の転写バイアス値よりも低く設定することにより、二次転写ローラに転写されてしまうトナー量を減らした。このことにより、クリーニングブレード21へのトナー入力量が形成時よりも大きく変わることなく入力され、ベルトのブレードめくれをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の主要部の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す作像ユニットの断面図である。
【図3】中間転写ベルトと感光体の摩擦係数差と虫食いの関係を示すグラフである。
【図4】中間転写ベルトと感光体の摩擦係数差と転写効率の関係を示すグラフである。
【図5】中間転写ベルトと二次転写ローラの摩擦係数差とブレードのめくれ易さを示す表図である。
【図6】潤滑剤供給手段の一例を示す説明図である。
【図7】潤滑剤供給手段の他の例を示す説明図である。
【図8】潤滑剤塗布条件と、ブレードめくれ、虫食い、転写性(転写効率)との関係を示す表図である。
【図9】潤滑剤塗布条件を変えたときの、中間転写ベルト表面摩擦係数と虫食いとの関係を示す線図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の二次転写部を示す構成図である。
【図11】本発明に係る画像形成装置の二次転写部を示す他の構成図である。
【符号の説明】
【0084】
1 中間転写ベルト
6 感光体
13 二次転写ローラ
21 クリーニングブレード(中間転写ベルト用)
30 潤滑剤塗布装置
31 塗布ブラシ
33 潤滑剤
34 加圧スプリング
27 クリーニングブレード(二次転写ローラ用)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に応じたトナー像が形成される像担持体と、該像担持体に当接される中間転写部材と、前記像担持体のトナー像を前記中間転写部材に転写する一次転写手段と、前記中間転写部材に圧接され、当該中間転写部材に転写して保持されたトナー像を、記録媒体に一括転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、
前記像担持体と前記二次転写手段の表面摩擦係数が、前記中間転写部材の表面摩擦係数よりも低いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体、前記中間転写部材及び前記二次転写手段の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段をそれぞれ設け、これら潤滑剤供給手段は前記像担持体と前記二次転写手段に供給する潤滑剤の量が前記中間転写部材に供給する潤滑剤の量よりも多いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤供給手段が供給する潤滑剤の量を調整可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体と前記二次転写手段に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を設け、前記中間転写部材に対しては前記像担持体及び前記二次転写手段に供給した潤滑剤を間接的に供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体が前記中間転写部材より表面摩擦係数が小さい材質から作られているとともに、前記二次転写手段に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を設け、前記中間転写部材に対しては前記二次転写手段に供給した潤滑剤を間接的に供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の画像形成装置において、前記中間転写部材が前記像担持体に圧接し複数本のローラに架設された無端状の中間転写ベルト、前記二次転写手段が二次転写ローラであり、前記中間転写ベルトに残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、画像間にブレード入力パターンとしてのトナー像を形成し、該入力パターンのトナー像を前記クリーニングブレードに浸入させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンのトナー量が作像モードによって変更可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7に記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンのトナー量は、前記像担持体あるいは前記二次転写ローラから前記中間転写ベルトへの潤滑剤塗布効率が落ちる作像モードのとき、多くなるように変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンのトナー量の変更が、単位面積あたりの付着量を変えて行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求8または9記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンのトナー量の変更が、パターン面積の大きさを変えて行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項7に記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンの入力間隔が作像モードによって変更可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンの入力間隔は、前記像担持体あるいは前記二次転写ローラから前記中間転写ベルトへの潤滑剤塗布効率が落ちる作像モードのとき、短くなるように変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項2ないし5の何れかに記載の画像形成装置において、前記二次転写ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段が前記前記二次転写ローラに当接するブラシ部材を介して潤滑剤の供給を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項2ないし5の何れかに記載の画像形成装置において、前記二次転写ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段が固形の潤滑剤を直接押し当てることで潤滑剤の供給を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項4または5に記載の画像形成装置において、前記二次転写ローラが常時前記中間転写ベルトに接触していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項16に記載の画像形成装置において、前記二次転写ローラに転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段を有し、画像間の転写バイアス値は画像転写時の転写バイアス値よりも低く設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
画像情報に応じたトナー像が形成される像担持体と、該像担持体に当接される中間転写部材と、前記像担持体のトナー像を前記中間転写部材に転写する一次転写手段と、前記中間転写部材に圧接され、当該中間転写部材に転写して保持されたトナー像を、記録媒体に一括転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、
前記像担持体と前記二次転写手段の表面摩擦係数が、前記中間転写部材の表面摩擦係数よりも低いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体、前記中間転写部材及び前記二次転写手段の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段をそれぞれ設け、これら潤滑剤供給手段は前記像担持体と前記二次転写手段に供給する潤滑剤の量が前記中間転写部材に供給する潤滑剤の量よりも多いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤供給手段が供給する潤滑剤の量を調整可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体と前記二次転写手段に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を設け、前記中間転写部材に対しては前記像担持体及び前記二次転写手段に供給した潤滑剤を間接的に供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体が前記中間転写部材より表面摩擦係数が小さい材質から作られているとともに、前記二次転写手段に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を設け、前記中間転写部材に対しては前記二次転写手段に供給した潤滑剤を間接的に供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の画像形成装置において、前記中間転写部材が前記像担持体に圧接し複数本のローラに架設された無端状の中間転写ベルト、前記二次転写手段が二次転写ローラであり、前記中間転写ベルトに残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、画像間にブレード入力パターンとしてのトナー像を形成し、該入力パターンのトナー像を前記クリーニングブレードに浸入させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンのトナー量が作像モードによって変更可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7に記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンのトナー量は、前記像担持体あるいは前記二次転写ローラから前記中間転写ベルトへの潤滑剤塗布効率が落ちる作像モードのとき、多くなるように変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンのトナー量の変更が、単位面積あたりの付着量を変えて行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求8または9記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンのトナー量の変更が、パターン面積の大きさを変えて行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項7に記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンの入力間隔が作像モードによって変更可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12記載の画像形成装置において、前記ブレード入力パターンの入力間隔は、前記像担持体あるいは前記二次転写ローラから前記中間転写ベルトへの潤滑剤塗布効率が落ちる作像モードのとき、短くなるように変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項2ないし5の何れかに記載の画像形成装置において、前記二次転写ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段が前記前記二次転写ローラに当接するブラシ部材を介して潤滑剤の供給を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項2ないし5の何れかに記載の画像形成装置において、前記二次転写ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段が固形の潤滑剤を直接押し当てることで潤滑剤の供給を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項4または5に記載の画像形成装置において、前記二次転写ローラが常時前記中間転写ベルトに接触していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項16に記載の画像形成装置において、前記二次転写ローラに転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段を有し、画像間の転写バイアス値は画像転写時の転写バイアス値よりも低く設定することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−3859(P2006−3859A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279274(P2004−279274)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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