説明

画像形成装置

【課題】プリント速度を高速化した場合であっても、低周波数から高周波数にかけてのすべての周波数帯域で感光体ドラムの回転変動が低減されて、高画質の画像が出力される、画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラムを駆動する駆動モータ73のモータ回転軸75を中心にして駆動モータ本体76が回動できるように支持する支持部材74と、駆動モータ本体76の回動を規制するように駆動モータ本体76に連結された振動吸収部材83、84と、感光体ドラムの駆動軸の回転速度を検知する検知手段と、駆動モータ73のモータ回転軸75の回転速度を制御する制御手段と、を備える。そして、制御手段は、検知手段の検知結果に基いて駆動軸の回転変動が低減するようにモータ回転軸75の回転速度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、特に、感光体ドラムを具備した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、像担持体として感光体ドラムを用いたものが多く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
詳しくは、駆動モータによって回転駆動される感光体ドラムの表面上にレーザ走査によって潜像が形成され、その潜像が現像部で現像される(トナー像が形成される。)。感光体ドラム上に形成されたトナー像は、記録媒体(中間転写ベルトへの転写工程を介する場合もある。)に転写される。そして、トナー像が転写された記録媒体は定着部に達して、記録媒体上のトナー像が定着される。
【0003】
このような画像形成装置では、感光体ドラムの回転変動によって、副走査方向のバンディング等の画像ムラが生じることが知られている。すなわち、上述したレーザ走査は一定時間間隔でおこなわれるために、感光体ドラムに回転変動が生じると、感光体ドラム上の副走査方向の間隔(走査間隔)が変動する。そして、この潜像を形成するときの走査間隔の変動がそのままトナー像の濃度変動となって、画像ムラによる画像劣化が生じることになる。
【0004】
一方、特許文献1等には、画像ムラ等の発生を抑止することを目的として、感光体ドラムの駆動ギアを感光体ドラムの駆動軸に対して弾性体(又は粘弾性体)を介して連結する技術が開示されている。
また、特許文献2等には、感光体ドラムの回転ムラを抑止することを目的として、感光体ドラムの駆動軸を駆動する駆動モータを弾性部材を介して枠体に取り付ける技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3等には、感光体ドラムに生じるバンディングを解消することを目的として、感光体ドラム(駆動軸)の回転を検知する回転速度センサ(検知手段)による検知値を理想値に近づけるように駆動モータを補正制御する技術が開示されている。
さらに、特許文献4等には、感光体ドラムの回転変動を軽減することを目的として、感光体ドラムの駆動軸に粘弾性部材を介してフライホイールを設置する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−140842号公報
【特許文献2】特開2002−207330号公報
【特許文献3】特開2002−247872号公報
【特許文献4】特開2001−50249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の画像形成装置では、感光体ドラムを回転駆動する駆動系において、低い周波数から高い周波数にかけてのすべての周波数帯域で感光体ドラムの回転変動(回転ムラ)を軽減することができなかった。
【0008】
感光体ドラムに生じる回転変動の主たる周波数は、駆動モータ(モータ回転軸)の1回転成分、感光体ドラムの駆動ギアの1回転成分、モータギア及び駆動ギアのギア歯1枚成分(1歯成分)である。駆動モータの1回転成分は、駆動モータ自身の回転変動とモータギアの偏芯成分とであって、噛み合い誤差や歯溝の振れに起因する。駆動ギアの1回転成分は、ギアの偏芯成分であって、駆動ギア自体の噛み合い誤差や歯溝の振れに起因する。モータギア及び駆動ギアの1歯成分は、主に各ギアの単一ピッチ誤差に起因する。
変動周波数は、高い順から、モータギア及び駆動ギアのギア1歯成分、駆動モータの1回転成分、駆動ギアの1回転成分になる。駆動モータの1回転成分、駆動ギアの1回転成分は、周波数が低く画像(トナー像)上の周期が長いために、視覚的に目立ちにくい。しかし、モータギア及び駆動ギアのギア1歯成分は、プリント速度にもよるが、画像濃度変動のピッチが0.5〜2mm程度となって視覚的に最も目立ちやすくなる。
【0009】
ここで、上述した特許文献1、特許文献2等の技術は、感光体ドラムを駆動する駆動系の構成部品の一部を弾性部材を介して支持しているために、駆動系のバネ定数が下がって、感光体ドラムにおける高周波数の回転変動が低減される効果が期待できる。
しかし、駆動系のバネ定数が下がると、感光体ドラムにおける低周波数の回転変動が増加してしまうことになる。また、特許文献1等では、駆動ギアを感光体ドラムの駆動軸に回転可能に支持する必要があるために、軸受部のガタによる駆動ギアの倒れに起因して歯筋の傾きが発生して回転変動が増してしまう可能性があった。
同様に、特許文献3、特許文献4等の技術も、低周波数から高周波数にかけてのすべての周波数帯域で感光体ドラムの回転変動を軽減する効果は期待できない。
【0010】
このような問題を解決するために、摩擦駆動により根本的にギア1歯の変動が生じないトラクションドライブを用いる方策も考えられる。しかし、その場合、ギアを用いて駆動モータの回転駆動力を減速して伝達する方式に比べて相対的に伝達できるトルクが小さくなってしまうために、大きいトルクを伝達するためには相対的に駆動系が大型化してしまうことになる。
電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラムの特性上、露光工程から現像工程までに一定時間が必要となる。そのため、プリント速度が速い高速機になるほど、両工程間の時間を確保するために露光位置から現像位置までの距離を長くする必要がある。その結果、感光体ドラムの直径が大きくなり、感光体ドラムを駆動する駆動系の負荷トルクも大きくなってしまう。したがって、特に高速型の画像形成装置では、上述したトラクションドライブを用いることなく、伝達トルクが大きなギア駆動方式を用いることになる。
【0011】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、プリント速度を高速化した場合であっても、低周波数から高周波数にかけてのすべての周波数帯域で感光体ドラムの回転変動が低減されて、高画質の画像が出力される、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の請求項1記載の発明にかかる画像形成装置は、駆動ギアが設置された駆動軸を具備するとともに、トナー像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムの前記駆動軸に前記駆動ギアを介して回転駆動力を伝達する駆動モータと、前記駆動モータのモータ回転軸を中心にして駆動モータ本体が回動できるように支持する支持部材と、前記駆動モータ本体の回動を規制するように当該駆動モータ本体に連結された振動吸収部材と、前記感光体ドラムの前記駆動軸の回転速度を検知する検知手段と、前記駆動モータの前記モータ回転軸の回転速度を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記検知手段の検知結果に基いて前記駆動軸の回転変動が低減するように前記モータ回転軸の回転速度を制御するものである。
【0013】
また、請求項2記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記駆動モータは、前記モータ回転軸が前記駆動モータ本体の両側から突出するように形成され、前記支持部材は、前記モータ回転軸の両端を回動自在に支持するものである。
【0014】
また、請求項3記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記振動吸収部材を、ダンパ部材と弾性部材としたものである。
【0015】
また、請求項4記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記振動吸収部材を、電気的に伸縮するアクチュエータとしたものである。
【0016】
また、請求項5記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記感光体ドラムの前記駆動軸にフライホイールを設置したものである。
【0017】
また、請求項6記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項5に記載の発明において、前記フライホイールは、ダンパ部材及び弾性部材を介して前記駆動軸に支持されたものである。
【0018】
また、請求項7記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記駆動ギアは、前記モータ回転軸に設置されたモータギアに噛合して前記駆動モータによる前記回転駆動力が前記駆動軸に減速して伝達されるように構成されたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、回動可能に支持された駆動モータ本体の回動を規制するように振動吸収部材を設置して、感光体ドラムの駆動軸の回転速度の検知結果に基いてモータ回転軸の回転速度を制御している。これにより、プリント速度を高速化した場合であっても、低周波数から高周波数にかけてのすべての周波数帯域で感光体ドラムの回転変動が低減されて、高画質の画像が出力される、画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0021】
実施の形態1.
図1〜図5にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、20Y、20M、20C、20BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、21は各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにそれぞれ収容された感光体ドラム(像担持体)、22は感光体ドラム21上を帯電する帯電部、23Y、23M、23C、23BKは感光体ドラム21上に形成される静電潜像を現像する現像装置(現像部)、24は感光体ドラム21上に形成されたトナー像を中間転写ベルト27に転写する転写バイアスローラ、25は感光体ドラム21上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
【0022】
また、27は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、28は中間転写ベルト27上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する第2転写バイアスローラ、29は中間転写ベルト27上の未転写トナーを回収する中間転写ベルトクリーニング部、30は4色カラーのトナー像が転写された記録媒体Pを搬送する搬送ベルト、32Y、32M、32C、32BKは各現像装置23Y、23M、23C、23BKの内部に各色のトナーを補給するトナー補給部、51は原稿Dを原稿読込部55に搬送する原稿搬送部、55は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部(スキャナ)、61は転写紙等の記録媒体Pが収納される給紙部、66は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着部、を示す。
【0023】
ここで、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ、感光体ドラム21、帯電部22、クリーニング部25が、一体化されたものである。各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにおける感光体ドラム21上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成がおこなわれる。
なお、本実施の形態1では、感光体ドラム21をプロセスカートリッジに搭載したが、プロセスカートリッジを構成しないで感光体ドラム21を単体のユニットとすることもできる。
【0024】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部51の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部55のコンタクトガラス53上に載置される。そして、原稿読込部55で、コンタクトガラス53上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
【0025】
詳しくは、原稿読込部55は、コンタクトガラス53上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部(不図示である。)で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0026】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21上に向けて発せられる。
【0027】
一方、4つの感光体ドラム21は、それぞれ、後述する駆動系により図1の時計方向に回転駆動される。そして、まず、感光体ドラム21の表面は、帯電部22との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム21上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム21表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応して射出される。レーザ光は、ポリゴンミラー3に入射して反射した後に、レンズ4、5を透過する。レンズ4、5を透過した後のレーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0028】
イエロー成分に対応したレーザ光は、ミラー6〜8で反射された後に、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ20Yの感光体ドラム21表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラー3により、感光体ドラム21の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部22にて帯電された後の感光体ドラム21上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0029】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、ミラー9〜11で反射された後に、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ20Mの感光体ドラム21表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、ミラー12〜14で反射された後に、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ20Cの感光体ドラム12表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、ミラー15で反射された後に、紙面左から4番目のプロセスカートリッジ20BKの感光体ドラム21表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0030】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム21表面は、それぞれ、現像装置23Y、23M、23C、23BKとの対向位置に達する。そして、各現像装置23Y、23M、23C、23BKから感光体ドラム21上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム21上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21表面は、それぞれ、中間転写ベルト27との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト27の内周面に当接するように転写バイアスローラ24が設置されている。そして、転写バイアスローラ24の位置で、中間転写ベルト27上に、感光体ドラム21上に形成された各色の画像が、順次重ねて転写される(第1転写工程である。)。
【0031】
そして、第1転写工程後の感光体ドラム21表面は、それぞれ、クリーニング部25との対向位置に達する。そして、クリーニング部25で、感光体ドラム21上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム21表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0032】
他方、感光体ドラム21上の各色の画像が重ねて転写された中間転写ベルト27表面は、図中の矢印方向に走行して、第2転写バイアスローラ28の位置に達する。そして、第2転写バイアスローラ28の位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト27上のフルカラーの画像が2次転写される(第2転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト27表面は、中間転写ベルトクリーニング部29の位置に達する。そして、中間転写ベルト27上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部29に回収されて、中間転写ベルト27上の一連の転写プロセスが完了する。
【0033】
ここで、第2転写バイアスローラ28位置の記録媒体Pは、給紙部61から搬送ガイド63、レジストローラ64等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部61から、給紙ローラ62により給送された転写紙Pが、搬送ガイド63を通過した後に、レジストローラ64に導かれる。レジストローラ64に達した記録媒体Pは、中間転写ベルト27上のトナー像とタイミングを合わせて、第2転写バイアスローラ28の位置に向けて搬送される。
【0034】
その後、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト30により、定着部66に導かれる。定着部66では、加熱ローラ67と加圧ローラ68とのニップにて、カラー画像が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラ69によって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0035】
次に、図2にて、画像形成装置の作像部について詳述する。図2は作像部を示す断面図である。
なお、装置本体1に設置される4つの作像部は、作像プロセスに用いられるトナーTの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、プロセスカートリッジ及び現像装置及びトナー補給部における符号のアルファベット(Y、M、C、BK)を省略して図示する。
【0036】
図2に示すように、プロセスカートリッジ20には、感光体ドラム21と、帯電部22と、クリーニング部25と、が一体的に収納されている。
クリーニング部25には、感光体ドラム21に当接するクリーニングブレード25aが設置されている。クリーニングブレード25aは、ポリウレタンゴム等のゴム材料からなり、その先端部が感光体ドラム1に対して最適な角度及び圧力で当接している。なお、クリーニング部25のケーシング内には、クリーニング部25内に収容(回収)された未転写トナーを廃トナー容器(不図示である。)に向けて搬送する搬送スクリュ26aが設置されている。
【0037】
現像装置23は、主として、感光体ドラム21に対向する現像ローラ23aと、現像ローラ23aに対向する第1搬送スクリュ23bと、仕切部材23eを介して第1搬送スクリュ23bに対向する第2搬送スクリュ23cと、現像ローラ23aに対向するドクターブレード23dと、で構成される。
【0038】
また、現像装置23には、仕切部材23eで隔絶された第1現像剤収容部23gと第2現像剤収容部23hとが設けられている。第1現像剤収容部23gと第2現像剤収容部23hとは長手方向両端部(仕切部材23eが介在しない範囲である。)で連通して、現像剤の循環経路を形成している。第1現像剤収容部23gには、現像ローラ23a、第1搬送スクリュ23b、ドクターブレード23d、が配設されている。第2現像剤収容部23hには、第2搬送スクリュ23c、磁気センサ40、が配設されている。
【0039】
現像ローラ23aは、内部に固設されてローラ周面に磁極を形成するマグネットと、非磁性材料からなりマグネットの周囲を回転するスリーブと、で構成される。マグネットによって現像ローラ23a(スリーブ)上に複数の磁極(主極、搬送極、汲み上げ極、剤切り極等である。)が形成される。
【0040】
現像ローラ23a(スリーブ)は、装置本体1に設置された駆動源に連結されていて、駆動源によって回転駆動される。また、図示は省略するが、現像ローラ23aと、第1搬送スクリュ23b及び第2搬送スクリュ23cとは、ギア列によって駆動連結されている。これにより、現像ローラ23aが駆動源によって回転駆動されるのにともない、それに従動して第1搬送スクリュ23b及び第2搬送スクリュ23cも回転駆動される。
現像装置23内には、トナーTとキャリアCとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
【0041】
以下、先に述べた作像プロセスをさらに詳しく説明する。
現像ローラ23aは、図2中の矢印方向に回転している。現像装置23内の現像剤Gは、間に仕切部材23eを介在するように配設された第1搬送スクリュ23b及び第2搬送スクリュ23cの矢印方向の回転によって、トナー補給部32からトナー補給口23fを介して補給されたトナーTとともに撹拌混合されながら長手方向に循環する。
【0042】
そして、摩擦帯電してキャリアCに吸着したトナーTは、キャリアCとともに現像ローラ23a上に担持される。現像ローラ23a上に担持された現像剤Gは、その後にドクターブレード23dの位置に達する。そして、現像ローラ23a上の現像剤Gは、ドクターブレード23dの位置で適量に調整された後に、感光体ドラム21との対向位置(現像領域である。)に達する。
【0043】
その後、現像領域において、現像剤G中のトナーTが、感光体ドラム21表面に形成された静電潜像に付着する。詳しくは、レーザ光Lが照射された画像部の潜像電位(露光電位)と、現像ローラ23aに印加された現像バイアスとの、電位差(現像ポテンシャル)によって形成される電界によって、トナーTが潜像に付着する。
【0044】
その後、現像工程にて感光体ドラム21に付着したトナーTは、そのほとんどが中間転写ベルト27上に転写される。そして、感光体ドラム21上に残存した未転写のトナーTが、クリーニングブレード25aによって機械的に掻き取られてクリーニング部25内に回収される。
他方、現像領域を通過した現像ローラ23a上の現像剤(トナー濃度が低下した状態になっている。)は、第1現像剤収容部23gの位置で現像ローラ23aから離脱される。現像ローラ23aから離脱された現像剤Gは、第1搬送スクリュ23bによって第2現像剤収容部23hに向けて搬送され、補給トナーと混合・撹拌される循環サイクルが繰り返される。
【0045】
ここで、現像装置23に設けられたトナー補給部32は、交換自在に構成されたトナー容器33と、トナー容器33を保持・回転駆動するとともに現像装置23内にフレッシュトナーTを補給するトナーホッパ部34と、で構成されている。また、トナー容器33内には、トナーT(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのいずれかである。)が収容されている。また、トナー容器33の内周面には、螺旋状の突起が形成されている。
【0046】
なお、トナー容器33内のトナーTは、現像装置23内のトナーTの消費にともない、トナー補給口23fから現像装置23内に適宜に補給されるものである。すなわち、現像装置23内を循環する現像剤のトナー濃度(TC)が所定範囲内になるように、トナー補給口23fから現像装置23内に適宜に新品トナー(補給トナー)が補給される。現像装置23内のトナーTの消費は、現像装置23の第2搬送スクリュ23cの下方に設置された磁気センサ40や、感光体ドラム21に対向するフォトセンサ45、によって検知される。
【0047】
以下、図3〜図5にて、本実施の形態1で特徴的な、感光体ドラム21を駆動する駆動系の構成・動作について説明する。
図3は、感光体ドラム21の駆動系を示す概略図である。図4は、図3の駆動系における駆動モータ73をA視方向からみた図である。図5(A)は感光体ドラム21の駆動軸21aに設置されたフライホイール77を示す側面図であって、図5(B)はそのフライホイール77を示す正面図である。
【0048】
図3に示すように、感光体ドラム21には、感光体ドラム21とともに回転する駆動軸21aが設置されている。駆動軸21aには、駆動モータ73の回転駆動力を駆動軸21aに伝達する駆動ギア70が設置されている。詳しくは、駆動ギア70は、駆動モータ73のモータ回転軸75に形成されたモータギア75aに噛合して、駆動モータ73による回転駆動力を減速して駆動軸21aに伝達する。これにより、感光体ドラム21は、所定方向に所定の回転速度で回転駆動されることになる。
【0049】
また、感光体ドラム21の駆動軸21aには、エンコーダホイール71が設置されている。エンコーダホイール71の表面には、放射状に暗部と明部とが交互に形成されている(又は、放射状に穴部が形成されている。)。そして、エンコーダホイール71を挟むように検知センサ72が設置されている。検知センサ72は、発光素子と受光素子とからなる光学センサであって、エンコーダホイール71上に形成された暗部及び明部(又は穴部)を光学的に検知する。このように、エンコーダホイール71及び検知センサ72は、回転軸21aの回転速度(又は回転変動)を検知する検知手段として機能する。
【0050】
そして、制御手段80、81は、検知センサ72(検知手段)の検知結果に基いて駆動軸21aの回転変動が低減するようにモータ回転軸75の回転速度を制御する。詳しくは、検知センサ72が検知した回転速度に基いて、回転制御部80が駆動軸21aの回転変動を低減するようにモータ制御部81を制御する。
【0051】
図3を参照して、駆動モータ73は、モータ回転軸75を中心にして駆動モータ本体76(モータボックス)が回動できるように軸受74(支持部材)によって支持されている。
詳しくは、駆動モータ73は、モータ回転軸75が駆動モータ本体76の両側から突出するように形成されている。そして、不図示の側板に設置された軸受74に、モータ回転軸75の両端が回転自在に支持されている。このような構成により、駆動モータ本体76は、支持部材(軸受74)に対して、回動可能に支持されることになる。
【0052】
ここで、駆動モータ本体76は振動吸収部材83、84に連結されていて、回動可能に支持された駆動モータ本体76の回動が規制される。詳しくは、図4を参照して、駆動モータ本体76には支持アーム79が固設されている。そして、支持アーム79(駆動モータ本体76)は、振動吸収部材として機能する弾性部材84及びダンパ部材83を介して、装置本体1側の支持部85(本体側支持部)に支持されている。
【0053】
このように、振動吸収部材として機能する弾性部材84及びダンパ部材83を介して駆動モータ本体76を支持することで、駆動モータ73の回転方向の振動が吸収された状態で、モータ回転軸75(モータギア75a)から駆動ギア70を介して駆動軸21aに回転駆動力が伝達されることになる。したがって、モータギア75a及び駆動ギア70のギア1歯の変動が吸収されて、感光体ドラム21の駆動軸21aにおけるギア歯1枚成分の回転変動が低減される。
【0054】
図3及び図5を参照して、感光体ドラム21の駆動軸21aには、フライホイール77が設置されている。詳しくは、フライホール77は、駆動軸21aに一体的に設置された回転支持板78上に弾性支持部材87を介して支持されている。ここで、弾性支持部材87は、弾性と振動減衰性とを有するゴム材料からなり、弾性部材及びダンパ部材として機能するものである。
【0055】
このように、フライホイール77を設置することで、駆動系全体の共振周波数が下がり高い周波数の回転変動が生じにくくなる。したがって、ギア1歯成分のような高周波数の回転変動が低減することになる。さらに、フライホイール77を弾性支持部材87を介して駆動軸21aに設置することで、微小な振動が熱に変換されて減少するために、駆動軸21aの回転変動がさらに低減することになる。
【0056】
以下、本実施の形態1における感光体ドラム21の駆動系を用いたときの効果をまとめる。
まず、本実施の形態1では、駆動モータ本体76を回動可能に支持して、その回動を振動吸収部材83、84を介して規制している。これにより、感光体ドラム21の駆動系としてのバネ定数が低下して、駆動ギア70及びモータギア75aのギア1歯成分が感光体ドラム21(駆動軸21a)に伝わらなくなる。また、ダンパ部材83を設置することで、特定の周波数での共振が防止されるとともに、振動が熱に変換されるために、広範囲の周波数にわたって振動が低減される。
なお、振動吸収部材としては、ゴム材料のように弾性と減衰性との双方を有して弾性部材及びダンパ部材として機能する部材を用いてもよい。
【0057】
また、本実施の形態1では、駆動モータ73のモータ回転軸75の両端を軸受74で支持しているため、駆動ギア70(駆動軸21a)とモータ回転軸75との平行度を高精度に設定することができる。これにより、駆動ギア70とモータギア75aとの噛み合い誤差による回転変動が低減される。
【0058】
なお、上述した構成により感光体ドラム21の駆動系としてのバネ定数が低下する反面、低周波数の回転変動が増加することになる。しかし、本実施の形態1では、駆動ギア70の1回転成分及び駆動モータ73の1回転成分の周波数も含めて、感光体ドラム21の駆動軸21aに設置されたエンコーダホイール71と検知センサ72とにより回転変動が検知されて、回転制御部80及びモータ制御部81でその回転変動を打ち消すように駆動モータ73を制御している。これにより、駆動系としてのバネ定数が低下したことにより増加する低周波成分の回転変動を減少させることができる。
【0059】
さらに、本実施の形態1では、駆動軸21aに弾性支持部材87を介してフライホイール77を設置しているために、駆動軸21aの回転慣性力が高まり、駆動軸21aの回転変動がさらに低減することになる。
【0060】
したがって、本実施の形態1の構成によれば、ギア70、75aの1歯成分の高周波数から、ギア70、75aの1回転成分の低周波数に至るまで、駆動系が有するすべての周波数帯域で回転変動を低減できることになる。しかも、本実施の形態1における感光体ドラム21の駆動系は伝達トルクが大きなギア駆動方式を用いているために、感光体ドラム21の直径が大きく負荷が高い場合であっても良好な駆動ができて、回転変動が少なくプリント速度の高速化が可能になる。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態1では、回動可能に支持された駆動モータ本体76の回動を規制するように振動吸収部材83、84を設置して、感光体ドラム21の駆動軸21aの回転速度の検知結果に基いてモータ回転軸75の回転速度を制御している。これにより、プリント速度を高速化した場合であっても、低周波数から高周波数にかけてのすべての周波数帯域で感光体ドラム21の回転変動が低減されて、画像ムラ等のない高画質の画像を出力することができる。
【0062】
実施の形態2.
図6及び図7にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図6は、実施の形態2における感光体ドラムの駆動系を示す概略図であって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。図7は、図6の駆動系における駆動モータをA視方向からみた図であって、前記実施の形態1における図4に相当する図である。
本実施の形態2は、振動吸収部材として電気的に伸縮するアクチュエータ93を用いている点が、振動吸収部材として弾性部材84及びダンパ部材83を用いている前記実施の形態1のものとは相違する。
【0063】
図6及び図7を参照して、本実施の形態2における駆動系も、前記実施の形態1のものと同様に、駆動モータ73の駆動モータ本体76が支持部材(軸受74)に対して回動可能に支持されている。そして、本実施の形態2では、駆動モータ本体76は、振動吸収部材としてのアクチュエータ93に連結されていて、回動可能に支持された駆動モータ本体76の回動が規制される。
【0064】
詳しくは、駆動モータ本体76には支持アーム79が固設されている。そして、支持アーム79(駆動モータ本体76)は、振動吸収部材として機能するアクチュエータ93を介して、本体側支持部85に支持されている。
ここで、アクチュエータ93は、圧電素子やボイスコイル等であって、その長さが電気信号によって変化する。アクチュエータ93の長さの変化周波数及び変化量(伸縮量)は、アクチュエータ制御部90で制御される。
【0065】
このように構成された駆動系において、まず、感光体ドラム21の駆動軸21aに設置されたエンコーダホイール71と検知センサ72とにより駆動軸21aの回転変動が検知される。そして、駆動モータ73のみの制御で対応可能な駆動モータ73の1回転成分やギア70、75aの1回転成分が回転制御部80及びモータ制御部81で低減される。他方、駆動ギア70、モータギア75aのギア1歯成分のように高周波数の回転変動に対しては、検知手段71、72で検知した回転変動を打ち消すようにアクチュエータ93をアクチュエータ制御部90で制御することで対応する。すなわち、振動吸収部材としてのアクチュエータ93を伸縮させることで、感光体ドラム21の駆動軸21aの回転変動を低減する。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、回動可能に支持された駆動モータ本体76の回動を規制するようにアクチュエータ(振動吸収部材)93を設置して、感光体ドラム21の駆動軸21aの回転速度の検知結果に基いてモータ回転軸75の回転速度を制御している。これにより、プリント速度を高速化した場合であっても、低周波数から高周波数にかけてのすべての周波数帯域で感光体ドラム21の回転変動が低減されて、画像ムラ等のない高画質の画像を出力することができる。
【0067】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の画像形成装置における作像部を示す断面図である。
【図3】感光体ドラムの駆動系を示す概略図である。
【図4】図3の駆動系における駆動モータをA視方向からみた図である。
【図5】感光体ドラムの駆動軸に設置されたフライホイールを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態2における感光体ドラムの駆動系を示す概略図である。
【図7】図6の駆動系における駆動モータをA視方向からみた図である。
【符号の説明】
【0069】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
21 感光体ドラム、 21a 駆動軸、
70 駆動ギア、
71 エンコーダホイール(検知手段)、 72 検知センサ(検知手段)、
73 駆動モータ、 74 軸受、
75 モータ回転軸、 75a モータギア、
76 駆動モータ本体、
77 フライホイール、 78 回転支持板、
80 回転制御部(制御手段)、 81 モータ制御部(制御手段)、
83 ダンパ部材(振動吸収部材)、 84 弾性部材(振動吸収部材)、
87 弾性支持部材(ダンパ部材、弾性部材)、 90 アクチュエータ制御部、
93 アクチュエータ(振動吸収部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ギアが設置された駆動軸を具備するとともに、トナー像が形成される感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの前記駆動軸に前記駆動ギアを介して回転駆動力を伝達する駆動モータと、
前記駆動モータのモータ回転軸を中心にして駆動モータ本体が回動できるように支持する支持部材と、
前記駆動モータ本体の回動を規制するように当該駆動モータ本体に連結された振動吸収部材と、
前記感光体ドラムの前記駆動軸の回転速度を検知する検知手段と、
前記駆動モータの前記モータ回転軸の回転速度を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記検知手段の検知結果に基いて前記駆動軸の回転変動が低減するように前記モータ回転軸の回転速度を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動モータは、前記モータ回転軸が前記駆動モータ本体の両側から突出するように形成され、
前記支持部材は、前記モータ回転軸の両端を回動自在に支持することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記振動吸収部材は、ダンパ部材と弾性部材とであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記振動吸収部材は、電気的に伸縮するアクチュエータであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体ドラムの前記駆動軸にフライホイールを設置したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記フライホイールは、ダンパ部材及び弾性部材を介して前記駆動軸に支持されたことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記駆動ギアは、前記モータ回転軸に設置されたモータギアに噛合して前記駆動モータによる前記回転駆動力が前記駆動軸に減速して伝達されるように構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−240687(P2007−240687A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60547(P2006−60547)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】