説明

画像形成装置

【課題】 チリやニジミの発生を抑えることができ、エネルギー効率の向上やコスト削減することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 両面転写手段50を第1熱転写・定着ユニット47と第2熱転写・定着ユニット48とで構成する。第1中間転写ベルト21上のトナーは、第1熱転写・定着ユニット47の第1熱転写体47Aへ熱転写され、熱転写体47Aから記録体へ熱転写・定着される。第2中間転写ベルト31上のトナーは、第2熱転写・定着ユニット48の第2熱転写体48Aへ熱転写され、熱転写体48Aから記録体へ熱転写・定着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に係り、詳しくは、ワンパス方式で転写紙等の記録体の両面に画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録体の両面に画像を形成する方式としては、スイッチバック方式やワンパス方式などが知られている。スイッチバック方式は、記録体を転写手段と定着手段とに通してその一方の面に画像を記録した後、反転搬送路で記録体を反転させる。そして、転写手段および定着手段にスイッチバックさせて、もう一方の面にも画像を記録する方式である。これに対し、ワンパス方式は、記録体をスイッチバックさせることなくその両面に画像を記録する方式である。ワンパス方式の一例としては、両面転写手段によって画像を両面に転写した記録体を定着手段に通す方式が挙げられる。。ワンパス方式は、次の点でスイッチバック方式よりも優れている。即ち、スイッチバック用の複雑な機構を設けることによるコストアップ、スイッチバックによる画像形成時間の長時間化、定着手段による加熱でカールさせた記録体をスイッチバックさせることによるジャム、これらを何れも回避し得る点である。
【0003】
しかしながら、かかるワンパス方式においては、両面転写後の記録体を両面転写手段から定着手段に送る際に、画像を乱し易いという不具合があった。両面転写手段から離間した記録体が定着手段に受け渡される際に、両面転写手段と定着手段内部との間に配設されたガイド部材などに摺擦するのに伴って、その摺擦面の未定着トナー像が乱れてしまうのである。転写紙の片面だけにトナー像を転写する装置の場合には、ガイド部材やレイアウトなどの工夫によってトナー像の非転写面とガイド部材とを摺擦させるように設計することで、摺擦による未定着トナー像の乱れを回避することができる。しかし、両面転写の場合には、どうしてもトナー像の転写面をガイド部材との摺擦面にしてしまうため、画像を乱し易くなるのである。
【0004】
そこで、特許文献1において、周面に複数の突起を有する従動回転可能な拍車を両面転写手段と定着手段との間に設け、これによって両面転写手段から定着手段に向けて記録体をガイドさせるようにした画像形成装置が提案されている。特許文献1によれば、下側から突起を突き刺しながら記録体を支える上記拍車を記録体の移動に伴って従動回転させることで、拍車で支えている側の記録体面の画像を乱すことなく、記録体を両面転写手段から定着手段に案内することができるとしている。しかしながら、上記拍車の突起がたとえ鋭利なものであっても、それを突き刺してしまえば、未定着の画像は少なからず乱れることになる。
【0005】
特許文献2および3には、次のような画像形成装置が記載されている。第1画像形成ユニットと第2画像形成ユニットとを備えたワンパス式の画像形成装置であって、第1画像形成ユニットで形成された第1トナー像を第1像担持体ベルトたる第1中間転写ベルトに転写し、次に、第1中間転写ベルトの画像を第1熱転写体に転写する。そして、第1熱転写体に転写された第1トナー像が転写・定着ニップに到達する前に、搬送過程で第1トナーを加熱して軟化または溶融させておき、記録体の一方の面に第1トナー像を熱転写・定着する。同様にして、第2中間転写ベルト上の第2画像形成ユニットで形成された第2トナーを、第2熱転写体に転写し、搬送過程で軟化または溶融させて、記録媒体の他方の面に第2トナー像を熱転写・定着する。
【0006】
このように、記録体のそれぞれの面で転写と定着とを同時に行えば、両面に未定着トナー像の転写を受けた転写紙を、定着装置まで搬送する必要がない。このため、未定着トナーを担持する記録媒体を搬送することによる、画像の乱れを防ぐことができる。
【0007】
【特許文献1】特開平10−142869号公報
【特許文献2】特開平9−179373号公報
【特許文献3】特開平10−282868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2および3の画像形成装置においては、中間転写ベルトから熱転写体へのトナー像の転写は、静電転写で行わている。また、中間転写ベルトに熱が行かないように転写定着後の熱転写体を冷却する冷却手段を設けている。
【0009】
静電転写方式は、転写ニップ入り口や出口での放電や電界の影響によってチリやニジミが発生し画像が劣化するおそれがある。このため、特許文献2、3のように、中間転写ベルトから熱転写体へのトナー像の転写を、静電転写方式で行なうと、チリやニジミが発生し画像が劣化するおそれがある。また、転写定着後の熱転写体を冷却するため、搬送過程でトナーを加熱して軟化または溶融させるための熱量が多く必要になり、エネルギー効率が悪いという不具合があった。また、静電転写を行うためのバイアス印加手段を設ける必要があり、コスト高に繋がるおそれがあった。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、チリやニジミの発生を抑えることができ、エネルギー効率の向上やコスト削減することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、無端移動する表面に第1トナー像を担持する第1像担持体ベルトと、無端移動する表面に第2トナー像を担持する第2像担持体ベルトと、記録体の第1面に該第1トナー像を転写する第1転写手段および該記録体の第2面に該第2トナー像を転写する第2転写手段を有する両面転写手段とを備えた画像形成装置において、該第1転写手段および該第2転写手段のうち、少なくとも一方の転写手段は、像担持ベルト上のトナー像が転写される熱転写体と、該熱転写体を加熱する加熱手段と、該記録体を該熱転写体側へ加圧する加圧手段とで構成され、該熱転写体の熱で像担持ベルト上のトナー像を熱転写体に熱転写し、該熱転写体の熱で熱転写体上のトナー像を加熱して、加熱されたトナー像を記録体の一方の面に転写・定着させることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記熱転写体にトナー像が熱転写される像担持体ベルトを耐熱性・トナー離型性を有する材質で形成することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記熱転写体の表面を耐熱性・トナー離型性を有する材質で形成することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、上記熱転写体の表面の耐熱性を、該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルトの耐熱性よりも高くし、該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルトのトナー離型性を、該熱転写体のトナー離型性よりも高くしたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、上記熱転写体が、ローラ状またはベルト状であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、上記熱転写体を加熱する加熱手段は、該熱転写体に備えた磁性体と、該熱転写体との間に磁界を発生する磁界発生手段とで構成され、該磁界発生手段の発する磁界による電磁誘導で該熱転写体の磁性体を加熱することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記熱転写体は、磁性体からなる発熱層と、耐熱性・トナー離型性を有する表面層とを有しており、該表面層に磁性体を30[重量%]以上含有したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記熱転写体の表面層の体積抵抗を10[Ω・cm]としたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項6乃至8いずれかの画像形成装置において、上記トナー像の形成に用いられるトナーとして、磁性体が30[重量%]以上含有したトナーを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9いずれかの画像形成装置において、上記熱転写体の表面および該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルトの材質として、250[℃]の温度でも熱変形せず、水との接触角が90°以上の材質を用い、かつ、該熱転写体表面および該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルト表面の十点平均粗さRz(JISB0601−1994)が10[μm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10いずれかの画像形成装置において、上記熱転写体の表面および該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルトの材料として、少なくとも一種以上の耐熱樹脂からなり、該耐熱樹脂の主鎖部分がポリイミド構造、ポリベンゾイミダゾール構造、又はポリアミド構造を有し、該主鎖部分から垂下したポリシロキサン構造の側鎖部分を有する樹脂を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至10いずれかの画像形成装置において、上記熱転写体の表面および該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルトの材料として、主鎖部分がポリイミド構造、ポリベンゾイミダゾール構造、又はポリアミド構造を有する耐熱樹脂を用い、該耐熱樹脂の表面に一種類以上のフッ素系またはシリコーン系樹脂をコートしたことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至12いずれかの画像形成装置において、上記トナー像の形成に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とからなり、該トナーとして、該トナーの軟化点または融点が60〜140[℃]であって、軟化点または融点以上の温度での粘弾性率が10〜106[Pa]であり、結着樹脂量に対して1〜30[重量%]の着色剤が含有されているものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項13の画像形成装置において、上記結着樹脂として、樹脂とワックスとを相溶させたものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1乃至14いずれかの画像形成装置において、上記トナー像の形成に用いるトナーとして、重量平均粒径が3〜8[μm]で、且つ重量平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00〜1.40であるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項1乃至15いずれかの画像形成装置において、上記トナー像の形成に用いるトナーとして、形状係数SF−1が100〜180であり、形状係数SF−2が100〜180であるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項1乃至16いずれかの画像形成装置において、上記トナー像の形成に用いるトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とからなる母体粒子に添加剤を外添してなり、かつ、該添加剤として、その平均一次粒径が50〜500[nm]で、かつ、嵩密度が0.3[g/cm]以上であるものを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1乃至17の発明によれば、像担持体ベルトから熱転写体へのトナー像の転写を熱転写方式で行っている。これにより、静電転写方式のような転写ニップ入り口や出口での放電や電界の影響をなくすことができる。よって、像担持体ベルトから熱転写体へのトナー像の転写を静電転写方式にしたものに比べて、チリやニジミの発生がなくなり高品位な画像を得ることができる。また、像担持体ベルトから熱転写体への熱転写時にトナーがある程度加熱される。よって、従来の像担持体ベルトから熱転写体への転写を静電方式にしたもの比べて、熱転写体上のトナーを記録体に定着させるべく加熱するための熱量が少なくて済む。その結果、従来の像担持体ベルトから熱転写体への転写を静電方式にしたもの比べて、エネルギー効率が良くなり、省エネルギー化を図ることができる。さらに、熱転写体上のトナー像を記録体へ熱転写・定着するために加熱された熱転写体の熱で、像担持体ベルトから熱転写体へのトナー像の熱転写を行えるので、以下のような効果が得られる。すなわち、像担持体ベルトから熱転写体に転写するための転写手段を設ける必要がなく、コスト削減や省スペース化を実現することができるという効果である。
また、第1転写手段および第2転写手段の両方を熱転写体と、加熱手段と、加圧手段とを設け、記録体にそれぞれ熱転写・定着を行なう構成としても良い。また、記録体搬送方向下流側の転写手段を、熱転写体と、加熱手段と、加圧手段とで構成して、上流側の転写手段で転写した未定着トナー像を下流側の転写手段の熱転写体の熱と加圧手段の加圧とで定着させるような構成としても良い。前者の構成でも後者の構成でも、両面転写手段で記録体の両面にトナー像が定着される。よって、両面転写手段よりも搬送方向下流側に定着手段を設ける必要がなくなる。その結果、その表面に未定着トナー像を担持した記録体を両面転写手段から定着手段まで搬送することがないので、この際の未定着トナー像の乱れが発生しなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を画像形成装置である電子写真方式のカラー画像形成システム(以下、単に画像形成システムという)に適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成システムを示す概略構成図である。同図において、本画像形成システムは、プリンタ部100、操作・表示装置90、給紙装置40、自動画像読取装置200、紙補給装置300等を有している。
【0014】
プリンタ部100は、紙搬送路43Aを境にして、その上方に配設された第1転写ユニット20と、下方に配設された第2転写ユニット30とを有している。第1転写ユニット20は図中矢印方向に無端移動する第1像担持体ベルトとしての第1中間転写ベルト21を有している。また、第2転写ユニット30は図中矢印方向に無端移動する第2像担持体ベルトとしての第2中間転写ベルト31を有している。第1中間転写ベルト21の上部張架面の上方には、4個の第1トナー像形成手段である第1プロセスユニット80Y,M,C,Kが配置されている。一方、第2中間転写ベルト31の側部張架面の側方には、4個の第2トナー像形成手段である第2プロセスユニット81Y,M,C,Kが配置されている。これら第1、第2プロセスユニットの番号に付したY,M,C,Kという添字は、それぞれ取り扱われるトナーの色を示している。プロセスユニット内の各機器にも同様の添字を付している。
【0015】
各プロセスユニット(80Y,M,C,K、81Y,M,C,K)は、それぞれ像担持体たる感光体(1Y,M,C,K)を有している。第1プロセスユニット80Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,Kは等間隔に配設され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ第1中間転写ベルト21の上部張架面に接触する。以下、このように接触するベルト面を第1受像面という。
【0016】
一方、第2プロセスユニット81Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,Kも等間隔に配設され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ第2中間転写ベルト21の上部張架面に接触する。以下、このように接触するベルト面を第2受像面という言う。
【0017】
第1中間転写ベルト21は、複数のローラにより、鉛直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の姿勢であり、且つその第1受像面をほぼ水平に延在させる姿勢で張架されている。第1プロセスユニット80Y,M,C,Kは、このようなほぼ水平の第1受像面に接するように、互いにほぼ水平な状態で並列配設されている。
【0018】
一方、第2中間転写ベルト31は、複数のローラにより、図中左上から右下にかけての縦長に傾斜した状態で張架されている。第2プロセスユニット81Y,M,C,Kは、このように傾斜した第2受像面に接するように、第2中間転写ベルト31の図中右側方にて、図中左上から右下にかけての斜めの配列になるように並列配設されている。
【0019】
図2は、4つの第1プロセスユニット80Y,M,C,Kのうちの1つを示す拡大構成図である。4つの第1プロセスユニット80Y,M,C,Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点以外は、ほぼ同様の構成になっているので、同図では「80」に付すY,M,C,Kという添字を省略している。同図において、感光体1は、プリンタ部(100)の動作時に、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される。かかる感光体1の周囲には、帯電手段であるスコロトロンチャージャ3、露光装置4、現像装置5、クリーニング装置2、光除電装置Q等の作像部材や、電位センサS1、画像センサS2等が配設されている。
【0020】
ドラム状の感光体1は、例えば直径30〜120[mm]程度のアルミニウム円筒表面に光導電性物質である有機感光層(OPC)が被覆されたものである。アモルファスシリコン(a−Si)層を被覆したものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。
【0021】
クリーニング装置2は、クリーニングブラシ2a、クリーニングブレード2b、回収部材2c等を有し、後述の1次転写ニップを通過した後の感光体表面に残留する転写残トナーを除去、回収する。
【0022】
スコロトロンチャージャ3は、回転駆動される感光体1の表面を例えばマイナス極性に一様帯電せしめるものである。かかる一様帯電を行う帯電手段として、スコロトロンチャージャの代わりに、コロトロンチャージャを用いても良い。また、帯電バイアスが印加される帯電バイアス部材を感光体1の表面に接触させる方式のものでもよい。
【0023】
露光装置4は、各色のうちの1色に対応する画像データに基づいて生成した光で、一様帯電後の感光体1の表面を光走査して、感光体1の表面に静電潜像を形成する。図示の例では、露光装置4として、LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなるものを用いる。レーザ光源やポリゴンミラー等を用いて、形成すべき画像データに応じて変調したビーム光によるレーザスキャン方式のものでもよい。
【0024】
現像装置5は、トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤を用いて感光体1上の静電潜像を現像する二成分現像方式のものである。かかる二成分現像剤を2つの搬送スクリュウ5cによって攪拌しながら、図中奥行き方向に搬送する。これら2つの搬送スクリュウ5cの現像剤搬送方向は互いに逆方向である。例えば、図中左側の搬送スクリュウ5cの現像剤搬送方向が図中奥側から手前側であれば、図中右側の搬送スクリュウ5cの現像剤搬送方向は図中手前側から奥側である。前者の搬送スクリュウ5cによって現像装置5の図中奥行き方向端部まで搬送された二成分現像剤は、後者の搬送スクリュウ5cに受け渡される。そして、その端部から反対側の端部に向けて攪拌搬送される過程で、一部が後述の現像ロール5bに担持される。また、担持されなかったり、現像ロール5bから右側の搬送スクリュウ5cに戻されたりした二成分現像剤は、上記反対側の端部で左側の搬送スクリュウ5cに受け渡される。このようにして、二成分現像剤が現像装置5内で循環搬送される。なお、現像装置5として、磁性キャリアを含まずにトナーを主成分とする一成分現像剤による一成分現像方式のものを用いてもよい。
【0025】
現像ロール5aは、ステンレスやアルミニュウム等からなる非磁性円筒であって図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動せしめられるスリーブと、これに連れ回らないように内部固定されたマグネットローラとを有している。マグネットローラは、スリーブの内部にて、その周方向に分かれる複数の磁極を有している。図中右側の搬送スクリュウ5cによって搬送される二成分現像剤は、このマグネットローラの発する磁力によって引き寄せられて、回転駆動されるスリーブの表面で汲み上げられる。そして、スリーブ表面に連れ回って感光体1に対向する現像領域に搬送されるのに先立ち、ブレード5bとの対向位置である規制位置を通過する。
【0026】
ブレード5bは、所定の間隙を介してその先端をスリーブ表面に近接させるように配設されている。そして、スリーブ表面上の二成分現像剤がその直下である規制位置を通過する際に、二成分現像剤の厚みを所定の大きさに規制する。
【0027】
このようにして層厚が規制された二成分現像剤は、スリーブの回転に伴って感光体1との対向位置である現像領域に搬送される。マイナス極性に一様帯電せしめられた感光体1の表面に対する光走査によって電荷が減衰せしめられて形成された静電潜像は、現像領域にてスリーブ表面上の二成分現像剤に摺擦せしめられる。そして、潜像と同極性であるマイナス帯電性のトナーの付着によって、Y,M,C,Kの何れかの色に現像される。第1プロセスユニット80においては、いわゆる反転現像が行われるのである。これにより、感光体1上には、Y,M,C,Kの何れかの色のトナー像が形成される。
【0028】
トナーとしては、従来から公知の方法で得られる球形や不定形のトナーが用いられる。体積平均粒径が20[μm]以下、好ましくは10[μm]以下、4[μm]以上のものがよい。また、磁性キャリアも従来から公知の方法で得られるものが用いられる。体積平均粒径が25[μm]〜60[μm]程度のものがよい。
【0029】
上記現像領域でトナーを消費した二成分現像剤は、上記スリーブの回転に伴って現像装置5内に戻る。そして、上記マグネットローラの互いに同極で隣り合う磁極によって形成される反発磁界の影響を受けて、スリーブ表面から離脱して、図中右側の搬送スクリュウ5c上に戻された後、図中左側の搬送スクリュウ5cに受け渡される。
【0030】
図中左側の搬送スクリュウ5cの下方には、トナー濃度センサ5eが配設されており、左側の搬送スクリュウ5cによって搬送される二成分現像剤の透磁率を検知する。二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度と相関があるので、トナー濃度センサ5eは、トナー濃度を検知していることになる。
【0031】
図示しない制御部は、このトナー濃度センサ5eからの出力信号に基づいて二成分現像剤のトナー濃度を所定の閾値未満であると判断すると、図示しない8つのトナー供給手段のうち、その二成分現像剤に対応するものを所定時間駆動する。これら8つのトナー供給手段は、それぞれ、第1プロセスユニット(80Y,M,C,K)の4つの現像装置、あるいは、第2プロセスユニット(81Y,M,C,K)の4つの現像装置の何れか1つに対応するものである。図示しないボトル収納部に着脱可能にセットされた4つのY,M,C,Kトナーボトルの何れかに接続されている。そして、接続されたトナーボトルから、対応する現像装置内における図中左側の搬送スクリュウ5c上に、所定色のトナーを供給する。これにより、現像によってトナーを消費した二成分現像剤のトナー濃度が回復する。かかる構成のトナー供給手段としては、従来から公知のモーノポンプによる吸引力で、トナーボトル内のトナーを吸引して現像装置内まで搬送する方式のものがよい。この方式によれば、トナーボトルの設置場所の制約が少ないため、プリンタ部(100)内部のスペース配分に有利である。またトナーが適時補給できるため、現像装置5に大きなトナー貯留スペースを設けなくてすみ、現像装置5の小型化を図ることができる。
【0032】
図3は、4つの第2プロセスユニット(81Y,M,C,K)のうちの1つを示す拡大構成図である。4つの第2プロセスユニット(81Y,M,C,K)も、それぞれ扱うトナーの色が異なる以外は、ほぼ同様の構成になっている。第2プロセスユニット81は、第1プロセスユニット(80)と構成部材が同じであるが、感光体1の回転方向が異なっている。しかし互いに、感光体1の回転軸1aを通るy軸に対し対象の形をしている。この形状は、感光体1の周囲に設ける部材の配置にも関係するが、重要な事項である。具体的には、プリンタ部100本体との結合部、たとえば駆動手段との結合部、電気的接続部、トナー供給部、トナー排出部の結合方法を配慮している。これにより、第1プロセスユニット(80Y,M,C,K)と、第2プロセスユニット(81Y,M,C,K)とに互換性をもたせることができる。従って第1プロセスユニットと第2プロセスユニット用に個別に現像装置、クリーニング装置、部品を製造する必要がなく、部品製造、部品の管理上での効率が高く、全体のコスト低減化を図ることができる。
【0033】
次に中間転写ベルトについて説明する。第1トナー像搬送ベルトとしての第一中間転写ベルト21は複数のローラ24、25、26(2個)、27により支持されて矢印方向に走行する。そして、第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける感光体1Y、1C、1M、1Kの下部に設けられている。この第1中間転写ベルト21は無端状で、各感光体の現像工程後の一部が接触するように張架、配置されている。また第1中間転写ベルト21の内周部には各感光体1Y、1C、1M、1Kに対向させて1次転写ローラ22が設けられている。
この第1中間転写ベルト21に関連する部材は、第1画像ユニット20として一体的に構成してあり、画像形成装置100に対し着脱が可能となっている。
【0034】
一方、第2トナー像搬送ベルトとしての、第2中間転写ベルト31は複数のローラ33、34、35、36(2個)、37、38により支持されて矢印方向に走行する。そして、第2の画像形成ユニット81Y〜81Kにおける感光体1Y、1C、1M、1Kに接触して、設けられている。この第2中間転写ベルト31は無端状で、各感光体の現像工程後の一部が接触するように張架、配置されている。第2中間転写ベルト31の内周部には各感光体1Y、1C、1M、1Kに対向させて1次転写ローラ32が設けられている。
第2中間転写ベルト31に関連する部材は、第2画像ユニット30として一体的に構成してあり、画像形成装置100に対し着脱が可能となっている。
【0035】
2つの中間転写ベルト(21,31)は、それぞれ例えば、基体の厚さが50〜600[μm]の樹脂フィルム或いはゴムを基体とするベルトである。そして、感光体1が担持するトナー像を、1次転写ローラ(22,32)に印加される1次転写バイアスによって静電的にベルト表面に転写を可能とする電気抵抗値を発揮する。かかる中間転写ベルトの一例として、ポリイミドにカーボンを分散し、その体積抵抗値は、10〜1012[Ωcm]程度に抵抗が調整されたものを挙げることができる。ベルトの走行を安定させるためのベルト寄り止めリブを、ベルト片側あるいは両側端部に設けられている。なお、中間転写ベルト(21、31)の詳細については、後述する。
【0036】
第1ベルトユニットの第1転写手段たる4つの1次転写ローラ22や、第2ベルトユニットの第2転写手段たる4つの1次転写ローラ32としては、例えば次のような構成のものを用いることができる。即ち、芯金たる金属ローラの表面に、導電性ゴム材料を被覆したもので、芯金部に、不図示の電源からバイアスが印加されるものである。本実施形態では、導電性ゴム材料として、ウレタンゴムにカーボンを分散したものを用い、体積抵抗を10Ωcm程度に調整している。
【0037】
プリンタ部100は、Kトナーだけによるモノクロ画像の出力も可能である。モノクロ画像を出力する場合には、第1ベルトユニットにおけるY,M,C用のプロセスユニット80Y,M,Cを使用しない。そして、プロセスユニット80Y,M,Cを稼動させないだけでなく、これらと中間転写ベルトとを非接触に保つための機構を備えている。ローラ26と1次転写ローラ22を支持する内部フレーム(不図示)を設けておき、ある点を中心に回動可能に支持している。そして、感光体から遠ざかる方向に回動させることにより、感光体1Kだけを第1中間転写ベルト21と接触させて、作像工程を実行することにより、ブラックトナーによるモノクロ画像を作成する。かかる構成では、感光体の寿命向上の点で有利である。なお、第2ベルトユニットも同様に、モノクロ画像出力時にプロセスユニット81Y,M,Cを第2中間転写ベルト31から待避させるようになっている。
【0038】
次に、両面転写手段50について説明する。両面転写手段50は、第1熱転写・定着ユニット47と第2熱転写・定着ユニット48とで構成している。第1熱転写・定着ユニット47は、第1中間転写ベルト21の外周で、支持ローラ27の近傍に設けてある。この第1熱転写・定着ユニット47は、第1中間転写ベルト上のトナーが転写される第1熱転写体47Aと、この第1熱転写体に対して所定圧力で当接する第1加圧ローラ47Bとを有している。第1熱転写体47Aと、加圧ローラ47Bとの間に記録媒体Pを通過させながら、第1熱転写体上のトナーが記録体Pに転写・定着される。
【0039】
第2熱転写・定着ユニット48は、第2中間転写ベルト31の外周で、支持ローラ34の近傍に設けてある。この第2熱転写・定着ユニット48は、第2中間転写ベルト上のトナーが転写される第2熱転写体48Aと、この第2熱転写体に対して所定圧力で当接する第2加圧ローラ48Bとを有している。第2熱転写体48Aと第2加圧ローラ48Bとの間に記録媒体Pを通過させながら、第2熱転写体上のトナーが記録体Pに転写・定着される。なお、両面転写手段50の詳細については、後述する。
【0040】
プリンタ部100の図中右側方には転写紙を供給可能に収納した給紙装置40が配備されている。複数段、例えば上段に大量の転写紙を収納した給紙装置(トレイ)40a、その下方に3段の給紙カセット40b,40c、40dがそれぞれ紙面に対し直角手前側(操作面側)に引出し可能に配設されている。これらの給紙トレイ40aや給紙カセット40b,40c、40d内にそれぞれ異なる種類の転写紙が収納されている。このうち、最上位置の転写紙は、対応する給紙・分離手段41A〜41Dにより選択的に給紙、分離され、確実に一枚だけが複数の搬送ローラ対42Bにより紙搬送路43Bや43Aに送られる。
【0041】
紙搬送路43Aには、第1および第2転写位置である2次転写位置へ転写紙を送り出す給送タイミングをとるため、一対のローラからなるレジストローラ対45が設けられている。さらに転写紙の搬送方向に対し直角方向の位置を正規の位置にするための横レジ補正機構44が、紙搬送路43Aに設けてある。横レジ補正機構44は、次のものがある。不図示の横方向の基準ガイドと斜行コロ対から構成され、転写紙の横方向端部を該基準ガイドに押付けるように転写紙をスライド搬送する。そして、転写紙を所定の位置に整合させる。この基準ガイドは転写紙のサイズにより、所定の位置に移動、配置される。なお、横レジ補正機構44は転写紙の搬送方向に対し転写紙の両方の横方向から、転写紙の両辺を短時間および複数回押し、転写紙を所定の位置に整合させる規制部材から構成されるジョガー方式でもよい。
【0042】
搬送ローラ対42Cを有する紙搬送路43Cには、その搬送方向上流に設置可能な別の給紙装置300から、転写紙が供給可能となっている。給紙トレイ40aの最上位の転写紙が給紙され、その後曲げられることなく、ほぼ水平に真直ぐ搬送されるように、給紙トレイ40aの上部給紙面が配備してある。そのため厚い転写紙、剛性の高い板紙でも確実に給紙できる。なお給紙トレイ40aには、多様な特性の転写紙が収納されても確実に給紙できるよう、バキューム機構からなるエアー給紙を採用すると好都合である。図示していないが、紙搬送路の要所には転写紙を検知するためのセンサが具備させていて、転写紙の存在を基準とする各種信号のトリガーとしている。
【0043】
転写定着が終了した記録媒体を冷却し、不安定なトナーの状態を早期に安定させるため、冷却機能を有した冷却ローラ対70を転写定着後の搬送路に備えている。この冷却ローラ対70としては、放熱部を有するヒートパイプ構造のローラが採用できる。冷却された転写紙は、排紙ローラ対71により、プリンタ部100の左側に設けた排紙スタック部75に排紙、スタックさせる。なお排紙スタック部75を通過させ、別の後処理装置に向けて転写紙を搬送させることもできる。別の後処理装置としては、穴あけ、断裁、折、綴じなど製本のための装置が接続できる。
【0044】
プリンタ部100の上面に設けられた操作・表示ユニット90には、キーボード等を設けてあり、画像形成のための条件などをインプットすることができる。また、ディスプレイ等からなる表示部に各種の情報を表示することもでき、操作者とプリンタ部100との情報交換を容易なものとする。
【0045】
プリンタ部100内部に設けられた制御部95には、各種電源や制御基板などが板金フレームに保護され収納されている。
【0046】
給紙装置40の上部には、周知の技術によって原稿を自動搬送しながらその原稿の画像を読み取る自動画像読取装置(ADF)200が設けられており、これによる読取情報が制御部95に送られる。送られた読取情報に基づいて、プリンタ部100が駆動制御されて、原稿と同じ画像が出力される仕組みである。また、プリンタ部100に対しては、図示しないパーソナルコンピュータ等からの画像情報を送って、その画像情報に対応する画像を出力させることもできる。更に、図示しない電話回線から送られてくる画像情報を送って、その画像情報に対応する画像を出力させることもできる。給紙装置40の図中右側方には、給紙装置40に転写紙を補給する紙補給装置300が配設されている。
【0047】
次にプリンタ部100において、転写紙の片面にフルカラー画像を形成する片面記録時の動作について説明する。
片面記録の方法は基本的に2種類あって、選択が可能となっている。2種類のうちの1つは、第1中間転写ベルト21に転写した4色の第1ナー像を転写紙の第1面に一括2次転写する方法である。また、もう1つの方法は、第2中間転写ベルト31に転写した4色の第2トナー像を転写紙の第2面に一括2次転写する方法である。画像データが複数の頁になるケースでは、排紙スタック部75上で頁が揃うように作像順序を制御するのが好都合である。そこで、最後の頁の画像データから順に記録して頁順を揃わせることができる、前者の方法について説明する。
【0048】
プリンタ部100を稼動させると、第1中間転写ベルト21と第1プロセスユニット80Y,M,C,Kにおける感光体1Y,M,C,Kが回転する。同時に第2中間転写ベルト31が無端移動するが、第2プロセスユニット81Y,M,C,Kにおける感光体1Y,M,C,Kは第2中間転写ベルト31と離間されるとともに不回転状態にされる。そして、第1プロセスユニット80Yによる画像形成が開始される。LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなる露光装置4の作動により、LEDから出射されたイエロー用の画像データ対応の光が、帯電装置3によって一様帯電された感光体1Yの表面に照射されて静電潜像が形成される。
【0049】
この静電潜像は、Y用の第1プロセスユニット81Yの現像装置によってYトナー像に現像され、Y用の1次転写ニップで第1中間転写ベルト21上に静電的に1次転写される。このような潜像形成、現像、1次転写動作が感光体1M,C,K側でもタイミングをとって順次同様に行われる。そして、第1中間転写ベルト21上のYトナー像に対して、M,C,K用の1次転写ニップでM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、第1中間転写ベルト21上に4色の第1トナー像が形成される。
【0050】
一方、給紙装置40は、内部の給紙トレイ40aあるいは給紙カセット40b,c,dから、画像データに対応する転写紙を給紙・分離手段41A,B,C,Dの何れか1つのよって送り出す。そして、搬送ローラ対42B,42Cによってプリンタ部100の紙搬送路43Cに向けて搬送する。そして、横レジ補正機構44に送られる。
【0051】
横レジ補正機構44は、記録体供給手段たる給紙装置40から両面転写手段(第1、第2熱転写・定着ユニット47、48)に向けて搬送されている途中の転写紙における搬送方向からの姿勢の傾きを補正する傾き補正手段である。レジストローラ対45よりも搬送方向上流側で、搬送方向に直交する紙面方向に並べられたガイド板対を、転写紙の搬送方向に直交する両端に突き当てることで、転写紙の姿勢の傾きを補正する。ガイド板対の2つのガイド板は、搬送方向に直交する紙面方向に移動可能になっており、給紙された転写紙の幅に合わせて移動することで、板間距離を転写紙の幅に合わせることができる。
【0052】
横レジ補正機構44によって姿勢の傾きを補正された転写紙は、レジストローラ対45のローラ間に至り、そこでタイミングが計られて2次転写ニップに送り出される。そして、第1熱転写・定着ユニット47にて、第1トナー像が熱および加圧作用を受けて記録媒体に転写・定着される。
【0053】
先の図2に示すように、各第1プロセスユニット80Y,M,C,Kでは、それぞれ、1次転写ニップを通過した後の感光体1Y,M,C,K上に残留する転写残トナーが、クリーニング装置(2)によってクリーニングされる。このクリーニング装置(2)は、クリーニングブラシ2aやクリーニングブレード2bによって第1中間転写ベルト21から転写残トナーを除去するものである。除去したトナー等の異物については、回収手段2cによって回収部87に送る。なおセンサS1、S2は、感光体表面の露光後の表面電位と、現像工程後の感光体表面に付着しているトナーの濃度が適切なものであるかを検知し、適宜作像条件の設定、制御のために不図示の制御手段に情報を出す。また、クリーニング後の感光体1の表面は除電装置Qによって残留電荷が除電されて初期化せしめられる。
【0054】
一方、第1熱転写・定着ユニット47を通過した転写紙は、冷却手段である冷却ローラ対70に受け渡される。そして、そこでトナーが完全に固着せしめられた後、排紙ローラ71によって排紙スタック部75に画像面が上向きとなって排紙される。
【0055】
排紙スタック部75で若い頁の転写紙が順次上に重ねられるように、作像順序がプログラムされているので、スタック部75で頁順が揃う。排紙スタック部75は、排紙される転写紙の増加に従って、下降するので、転写紙は整然と確実にスタックでき、頁順が乱れることがない。記録済みの転写紙を排紙スタック部75に直接スタックする代わりに、穴あけ加工処理を実施したり、ソータ、コレータや綴じ装置や折り装置など後処理装置に搬送することもできる。
【0056】
転写紙の片面に画像を形成させる他の方法では、第1プロセスユニット80Y,M,C,Kでの画像の形成をおこなわないようにするのと、頁揃えのために若い頁の画像データから順に像形成をさせる点が異なる。しかし、基本的には上述の片面記録の工程と同じなので、説明を省略する。
【0057】
次に記録体Pの両面に画像を形成する両面記録時の動作について説明する。プリンタ本体に開始信号が入力されると、片面記録の動作で説明した第1画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kで順次形成する各色ごとの画像を、第1中間転写ベルト21に順次1次転写させる。第1の画像として担持させる工程とほぼ平行して、第2画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kで順次形成する各色ごとの画像を第2中間転写ベルト31に順次1次転写させ、第2の画像として担持させる工程がおこなわれる。図1に示すように、第2画像形成ユニット同士のベルト搬送方向についての間隔は、第1画像形成ユニット同士の間隔よりも、詰めた状態で設置されている。これにより、第1の画像と第2の画像が、記録体の搬送方向先端で位置的に合致するためには、第1の画像の形成開始より遅れて第2の画像の形成が開始される。また記録体はレジストローラ対45で静止と再送がおこなわれるので、その時間も見込んで給紙され、横レジ補正機構44で整合される。レジストローラ対45は、タイミングをとって記録体を第1熱転写・定着ユニット47に搬送する。第1熱転写・定着ユニット47にて、熱および加圧作用を受けて記録体Pの片面(図では上面)に第1トナー像が転写・定着される。
このようにして片面に画像を有した記録体Pは、第1熱転写・定着ユニット47の搬送作用により、引き続き第2熱転写・定着ユニット47に送られる。そして、第2熱転写・定着ユニット48にて、熱および加圧作用を受けて第2トナー像が記録体Pの下面に転写・定着される。
【0058】
このようにして両面にフルカラートナー像が転写された記録体Pは、冷却手段である冷却ローラ対70に送られる。そして、そこでトナーが完全に固着せしめられた後、排紙ローラ71によって排紙スタック部75に排紙される。
【0059】
複数の頁の転写紙に両面記録する場合、若い頁の画像が下面となって排紙スタック部75にスタックされるように作像順序を制御する。これにより排紙スタック部75から取り出し、上下面を逆にしたとき記録物は上から順に1頁、その裏に2頁、2枚目が3頁、その裏が4頁となり頁順が揃う。このような作像順序の制御や、加熱転写装置47に入力する熱量を片面記録時より増やすなどの制御は、制御部95によって実行される。
【0060】
片面記録動作、両面記録動作に関して、フルカラー記録を実行させる例で説明したが、ブラックトナーだけによるモノクロ記録も可能である。メンテナンスや部品交換等の必要性が生じた場合には、不図示の外装カバー等を開放し、メンテナンスをおこなう。
【0061】
次に、両面転写手段50の詳細について説明する。図4は、両面転写手段50の概略構成図である。上述したように、両面転写手段50は、第1熱転写・定着ユニット47と第2熱転写・定着ユニット48とで構成されている。第1、第2熱転写・定着ユニット47、48は、それぞれ熱転写体47A、48Aと、加圧ローラ47B、48Bとを備えている。第1、第2熱転写体47A、48Aの表層の近傍には、磁界発生手段たるIHコイル47C、48Cが配置されており、熱転写体47A、48Aには、IHコイル47C、48Cが発生する磁界によって電磁誘導で発熱する磁性体を有している。本実施形態においては、熱転写体に担持されたトナー像を加熱する加熱手段は、磁界発生手段たるIHコイルと、熱転写体の磁性体とで構成される。また、図示してないが、第1熱転写体47A通過後の記録媒体が第1熱転写体47Aに巻き付かないために第1熱転写体47Aに当接する分離爪を設けている。また、同様に、第2熱転写体48A通過後の記録媒体が第2熱転写体48Aに巻き付かないために第2熱転写体48Aに当接する分離爪を設けている。
【0062】
第1中間転写ベルト上の第1トナー像は、第1熱転写体47Aに熱転写され、第1転写体47Aによって第1加圧ローラ47Bが当接する第1転写・定着ニップまで搬送される。この搬送過程で第1転写体47Aの第1トナー像が軟化または溶融する。そして、第1転写・定着ニップで記録媒体の上面に第1トナー像が転写・定着される。同様にして、第2中間転写ベルト上の第2トナー像は、第2熱転写体48Aに熱転写され、第2熱転写体48Aによって加圧ローラ48Bが当接する第2転写・定着ニップまで搬送される。この搬送過程で第2転写体48A上の第2トナー像が軟化または溶融する。そして、第2転写・定着ニップで記録媒体の上面に第2トナー像が転写・定着される。
【0063】
静電転写方式の場合は、転写ニップ入り口や出口での放電や電界の影響によってチリやニジミが発生し画像が劣化するおそれがある。一方、熱転写の場合は、転写ニップ入り口や出口での放電や電界の影響が全くないので、チリやニジミの発生がなく、高品位な画像が得られる。本実施形態では、中間転写ベルトから熱転写体への転写および熱転写体から記録媒体への転写とも、熱転写を行い、静電転写するのは、感光体1から中間転写ベルト21、31への転写のみとしている。これにより、画像の劣化が抑制され高品な画像を得ることができる。
【0064】
熱転写体47A、48Aは、芯金の金属ローラと、その外周面に被覆されたシリコーンゴムなどの耐熱ゴムからなる耐熱弾性層と、耐熱弾性層の外周面に形成された鉄、コバルト、ニッケル等の磁性体からなる薄膜の発熱層と、発熱層の外周面に形成された耐熱性・トナー離型性を有する表面層とからなっている。耐熱弾性層を有することで、記録媒体の厚み段差による振動を抑制でき、熱転写体47A、48A上のトナーが乱れるのを抑制することができる。表面層の体積抵抗は、10[Ωcm]以下として、低抵抗化することが好ましい。表面層を低抵抗にすることで、電磁誘導電流が流れやすくなり、熱転写体47A、48Aを効率良くに加熱することができる。また、表面層に磁性体を含有させることで、熱転写体47A、48Aの発熱効率を高めることができる。磁性体の含有量は、重量比で30[Wt%]以上含有することが好ましい。磁性体の含有量が30[Wt%]未満だと、十分な発熱性を得ることができない。
【0065】
上記IHコイル47C、48Cに電流を流して磁力を発生させ、この磁力により発熱層が誘導加熱されることによって、熱転写体47A、48Aが加熱される。IHコイル47C,48Cは、加圧ローラ47B,48Bが当接する転写・定着ニップよりも熱転写体47A、48Aの回転方向上流側に設けられている。これにより、熱転写体47A、48Aがトナーを担持して搬送する領域の温度を他の領域よりも高くすることができ、熱転写体上のトナーを確実に軟化または溶融することができる。また、トナーに磁性体を含有させておけば、トナーがIHコイル47C、48Cを通過するときに、トナー自体が発熱することができる。これにより、トナーを確実に軟化または溶融することができる。トナーへの磁性体の含有量は、30[wt%]以上が好ましい。30[wt%]未満だと、トナーの発熱効果がほとんど得られない。
【0066】
熱転写体47A、48Aは、トナー溶融させるため、100℃〜200℃の高温となっている。このため、熱転写体47A、48Aの表面層や、熱転写体47A、48Aの近傍を通過する中間転写ベルト21、31のガラス転移温度が200℃よりも低いと、熱転写体47A、48Aの熱で変形し、異常画像などが発生してしまう。従って、このような熱変形を起こさないため、中間転写ベルト21、31のベルト表面および熱転写体47A、48Aの表面層は、少なくとも250℃以上温度でも熱変形しないことが好ましい。また、熱転写体47A、48Aは、直接加熱される部材であるので、熱転写体47A,48Aの表面層は、中間転写ベルト21、31よりも高い耐熱性を有することが好ましい。
【0067】
熱転写のメカニズムは、軟化または溶融したトナーに所定の圧力を加えると、トナーは塑性変形して、被転写面および転写面の凹凸部に食い込む。そのとき、粗さが大きい方が、接触面積が大きく、より凹凸部に食い込むため、粗さが大きい方の面に軟化または溶融したトナーが付着しやすくなる(アンカー効果)。また、表面粗さが同じ場合は、トナー離型性の低い方に軟化または溶融したトナーが付着する。このため、良好な熱転写性を確保するためには、記録媒体の表面粗さよりも、中間転写ベルト表面および熱転写体の表面粗さを低く設定するか、記録媒体の表面よりも中間転写ベルト表面および熱転写体の表面の方を、トナーが付着し難いようにする必要がある。記録媒体が普通紙の場合、その表面粗さは、30〜50[μm]であり、少なくとそれより低い10[μm]以下に中間転写ベルト表面および熱転写体の表面粗さを設定する。
【0068】
また、トナー離型性の評価は、水との接触角度から間接的判定することができる。水との接触角は、純水を水平な表面に静かに1滴たらしたときの水滴接触部分と水滴とがなす角である。接触角が大きいほど、表面エネルギーが低く、他の物質との付着性が悪い。そして、中間転写ベルト表面および熱転写体の表面の水との接触角は、90°以上に設定することで、中間転写ベルト表面および熱転写体の表面エネルギーが小さく、トナーを付着させにくくなり、トナー離型性をよくすることができる。
【0069】
また、中間転写ベルト表面は、熱転写体の表面よりも表面を滑らかにしたり、トナーの離型性を高めたりして、中間転写ベルト表面のトナーが熱転写体に良好に熱転写できるようにするのが好ましい。
【0070】
中間転写ベルト21、31および熱転写体47A、48Aの表面層を構成する材質としては、耐熱性の主鎖部分と、この主鎖部分から垂下したトナー離型性を有するポリシロキサン構造の側鎖部分とを有する耐熱樹脂が好ましい。耐熱性の主鎖部分としては、ポリイミド構造、ポリベンゾイミダゾール構造またはポリアミド構造が挙げられる。また、ポリシロキサン構造の側鎖部分としては、ジメチルポリシロキサン構造、メチルフェニルポリシロキサン構造またはジフェニルポリシロキサン構造などが挙げられる。このような構造をもった樹脂としては、PIX(日立化成)、KJR(信越化学)、高温処理型BE(Beregston&Associates)などの耐熱性ポリイミドシリコーン樹脂が挙げられる。このような材料で構成することで、中間転写ベルト21、31および熱転写体47A、48Aの表面層を、耐熱性・トナー離型性を有するものとすることができる。
【0071】
また、中間転写ベルト21、31のベルト表面および熱転写体47A、48Aの表面層は、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾールまたはポリアミド等の耐熱性の樹脂とし、この樹脂の表面にフッ素系・シリコーン系樹脂等のトナー離型性の樹脂でコートしたものを用いることもできる。
【0072】
また、上記したように、熱転写体47A,48Aの表面層は、中間転写ベルト21、31よりも高い耐熱性を有し、中間転写ベルト21、31よりもトナー離型性が悪い方が好ましい。このため、中間転写ベルト21、31をポリイミドとし、この樹脂の表面にテフロン(登録商標)などでコートしたものとし、熱転写体47A、48Aの表面層をポリイミドよりも耐熱性の高いポリアミドで形成する。これにより、トナーの離型性が、中間転写ベルト→熱転写体→記録媒体という順に悪くなり、トナーを良好に熱転写することができる。また、表面粗さを中間転写ベルト→熱転写体→記録媒体という順に悪くすることで、トナーの離型性が、中間転写ベルト→熱転写体→記録媒体という順に悪くなり、トナーを良好に熱転写することができる。
【0073】
図4に示すように、熱転写体47A,48Aを加熱するIHコイル47C,48Cは、中間転写ベルト21、31と熱転写体47A,48Aとの熱転写位置よりも熱転写体回転方向下流側かつ熱転写・定着ニップよりも上流側に配置されている。このため、記録媒体や加圧ローラ47B、48Bに熱が奪われて、熱転写体47A、48Bが中間転写ベルト21、31と熱転写体47A、48Aとの熱転写位置にきたとき、熱転写体47A,48Aの熱量が十分でない場合がある。その結果、中間転写ベルト21、31から熱転写体47A、48Aへの熱転写が良好に行われない不具合が生じてしまう。このような場合は、図中点線で示すように、熱転写・定着ニップよりも熱転写体下流側かつ中間転写ベルト21、31と熱転写体47A、48Aとの熱転写位置よりも上流側にも第2IHコイル47D、48Dを設ける。これにより、熱転写・定着ニップで記録媒体や加圧ローラ47B、48Bに熱が奪われても、その下流側に設けた第2IHコイル47D、48Dで熱転写体47A,48Aが加熱される。その結果、熱転写体47A、48Aが中間転写ベルト21、31と熱転写体47A,48Aとの熱転写位置にきたときでも、十分な熱量を有しており、中間転写ベルト上トナーを軟化または溶融させて、良好に熱転写体47A,48Aへトナーを熱転写させることができる。また、上述したように、表面層に磁性体を含有することで、表面層自体が発熱して十分な熱量を有するため、中間転写ベルト上トナーを良好に軟化または溶融させて、熱転写体47A、48Aへトナーを良好に熱転写させることができる。
【0074】
本実施形態においては、中間転写ベルトのトナー像は、一旦、熱転写体に転写して、熱転写体を加熱することで、トナー像を軟化または溶融して記録体に熱転写・定着を行なっている。これにより、中間転写ベルトは、直接加熱させずに、トナー像を熱転写・定着させることができる。よって、中間転写ベルトの温度上昇が抑制され、中間転写ベルトの熱によってプロセスユニットに不具合が生じるのを抑制することができる。また、本実施形態においては、熱転写体に担持されたトナー像は、転写・定着ニップに搬送される過程で加熱されて軟化または溶融する。従来の定着装置のように定着ニップでトナー像を軟化または溶融して記録体に定着させる方式では、記録体に熱量が奪われるため、トナーを軟化または溶融させるための熱量が多くなってしまう。しかし、本実施形態においては、転写・定着ニップに搬送される前に熱転写体上でトナーのみを加熱して軟化または溶融させているので、従来の定着ニップで記録体とトナーとが同時に加熱されてしまうものに比べて、トナーを軟化または溶融するための熱量が少なくてすむ。その結果、消費電力を抑えることができ、省エネルギー化、装置内の温度上昇を抑制することができる。また、従来の定着ニップで記録体とトナーとが同時に加熱されるものに比べて、記録体に加わる熱量が少なくて済むので、排紙後の用紙の定着温度を低下させることができる。よって、高速印刷時でも定着後のトナーが別の記録体にくっついてしまうといった問題も抑制することができる。
【0075】
図4に示した両面転写手段50においては、記録媒体の上面に第1トナー像を転写・定着させた後、記録媒体の下面に第2トナー像を転写・定着させているが、これに限られない。例えば、図5、図6に示すように、第1トナー像と第2トナー像とを同時に記録媒体に転写・定着させても良い。
【0076】
図5に示す、両面転写手段50の第1の変形例は、第1の熱転写・定着ユニット47と第2熱転写・定着ユニット48とが記録媒体の搬送経路を挟んで対向して設けられている。第1の熱転写・定着ユニット47は、第1の熱転写体47Aと、第1のIHコイル47Cとからなっている。第2の熱転写・定着ユニット48は、第2の熱転写体48Aと、第2のIHコイル48Cとからなっている。そして、第1の熱転写体47Aと第2の熱転写体48Aとが当接して、熱転写・定着ニップを形成している。すなわち、この場合、第1の熱転写・定着ユニット47の加圧手段が第2の熱転写体48Aとなっており、第2の熱転写・定着ユニット48の加圧手段が第1の熱転写体47Aとなっている。
【0077】
第1中間転写ベルト上の第1トナー像は、第1熱転写体47Aに熱転写され、熱転写体47Aの熱により軟化または溶融しながら第1熱転写体47Aによって熱転写・定着ニップに搬送される。一方、第2中間転写ベルト上の第2トナー像は、第2熱転写体48Aに熱転写され、熱転写体48Aの熱により軟化または溶融しながら第2熱転写体48Aによって熱転写・定着ニップに搬送される。そして、第1トナー像、第2トナー像が同時に熱転写・定着ニップに搬送されて、第1熱転写体47Aと第2熱転写体48Aとの圧力により記録媒体の両面にトナー像が転写・定着される。
【0078】
図6に示す、両面転写手段50の第2の変形例は、図に示すように、熱転写体47Aと第2中間転写ベルト31とが記録媒体の搬送経路を挟んで対向して設けられており、第2中間転写ベルト31を介して張架ローラ34が熱転写体47Aを加圧して熱転写・定着ニップを形成している。上述同様、熱転写体47Aの近傍には、IHコイル47Cが設けられたおり、熱転写体47Aを加熱させている。この図6に示す第2変形例においても、第1中間転写ベルト上の第1トナー像は、熱転写体47Aに熱転写され、熱転写体47Aの熱により軟化または溶融しながら熱転写体47Aによって熱転写・定着ニップに搬送される。一方、第2中間転写ベルト上の第2トナー像は、そのまま熱転写・定着ニップに搬送される。第1トナー像は、ニップ圧により記録媒体の上面に転写・定着される。一方、第2中間転写ベルト上の第2トナー像は、熱転写体47Aの熱により軟化または溶融してニップ圧により記録媒体の下面に転写・定着される。なお、図6に示すように、熱転写体47Aと対向する第2中間転写ベルト31の張架ローラ34の内部にハロゲンヒータ49などの補助熱源を設けても良い。
【0079】
また、両面転写手段を図7に示すような構成としても良い。図7に示す、両面転写手段50の第3の変形例は、図に示すように、静電転写手段51と、熱転写ユニット48とで構成されており、静電転写手段51は、熱転写ユニット48よりも記録媒体搬送方向上流側に配置されている。第1中間転写ベルト上の第1トナー像は、静電転写手段たる転写ローラ51によって記録媒体に静電転写され、熱転写・定着ニップに搬送される。一方、第2中間転写ベルト上の第2トナー像は、熱転写体48Aに熱転写され、熱転写体48Aの熱により軟化または溶融しながら熱転写体48Aによって熱転写・定着ニップに搬送される。そして、第1トナー像が、熱転写体48Aの熱により軟化または溶融して記録媒体の上面に定着する。一方、第2トナー像は、ニップ圧により記録媒体の上面に転写・定着される。なお、図7に示すように、加圧ローラ48Bの内部にハロゲンヒータ48Dなどの補助熱源を設けても良い。
【0080】
なお、本実施形態においては、熱転写体をローラ状としているが、図8に示すように、ベルト状であっても良い。この場合、熱転写体は、耐熱性の樹脂フィルムを基体とし、その樹脂フィルムの表面に上述同様な発熱層を設け、発熱層の表面に上述と同様な表面層を設けたものとする。熱転写体をベルト状とすることで、レイアウトの自由度が大きくすることができ、また、転写・定着ニップ幅を大きく取ることができ、定着余裕度を上げることができる。
【0081】
また、本実施形態においては、IHコイルを用いて電磁誘導で熱転写体47A、48Aを加熱しているが、これに限らず、ハロゲンランプ等のヒータとし、輻射熱によって熱転写体を加熱しても良い。しかし、IHコイルを用いて電磁誘導で熱転写体47A、48Aを加熱することで、熱転写体のみを加熱することができ、輻射熱によって熱転写体を加熱するものに比べて、効率よく熱転写体47A,48Aを加熱することができる。このため、省エネルギー化の観点を考慮すると、IHコイルによる電磁誘導で熱転写体47Aを加熱する方が好ましい。
【0082】
次に、本実施形態に好適に用いられるトナーについて説明する。
本実施形態の画像形成装置は、トナー像の形成に用いるY,M,C,Kトナーとして、次の(a)〜(f)の条件を何れも具備するものを使用するように、ユーザーに対して指定している。
(a)軟化点又は融点が60〜140℃、軟化点又は融点以上の温度で10〜106〔pa〕の粘弾性率を有し、樹脂量に対し1[wt%]以上30[wt%]以下の着色剤量が混入されている。
(b)重量平均粒径が3〜8[μm]である。
(c)重量平均粒径D4を個数平均粒径D1で除算した値が1.00〜1.40である。
(d)形状係数SF−1が100〜180である。
(e)形状係数SF−2が100〜180である。
(f)平均粒径が50〜500[nm]で嵩密度が0.3[g/cm]以上の微粒子を、表面に保持している(外添している)。
上記(a)〜(f)の条件を何れも具備したトナーを用いることで、中間転写ベルトから熱転写体への熱転写および熱転写体から記録媒体への熱転写を良好に行うことができる。
【0083】
かかるトナーを使用させるようにユーザーに指定する方法としては、例えば、上記(a)〜(f)の条件を全て具備するトナーを、画像形成装置とともに梱包して出荷することが挙げられる。また例えば、かかるトナーの製品番号や商品名などを、画像形成装置本体やこの取扱説明書などに明記することによって行ってもよい。また例えば、ユーザーに対して書面や電子データ等をもって上記製品番号や商品名などを通知することによって行ってもよい。また例えば、かかるトナーを収容しているトナー収容手段であるトナーボトルを画像形成装置本体にセットした状態で出荷することによって行うこともできる。本画像形成装置では、これら全ての方法を採用しているが、少なくとも何れか1つの方法を採用すれば足りる。
【0084】
上記(a)の条件を具備するトナーを指定したのは次に説明する理由による。トナーの軟化点または融点が高いと、熱転写体47A、48Aを高温にしなければ、トナーが軟化または溶融しなくなる。熱転写体47A、48Aが高温になると、この熱転写体の熱により、熱転写体周りの部材が、変形したり、破損したりするおそれがある。また、熱転写体47A、48Aを加熱するための消費エネルギーが増えてしまうなどの不具合を生じてしまう。トナーの軟化点または融点を140℃以下とすることで、熱転写体47A、48Aのトナーを溶融させるための温度が高温になるのを抑制することができ、熱転写体周りの部材の熱変形や破損を抑制することができる。また、熱転写体47A、48Aを加熱するための消費エネルギーを少なくすることができ、省エネルギー性を向上することができる。また、トナーの軟化点または融点を60℃以上とすることで、トナーが常温で軟化または溶融してしまうことがない。
トナーの結着樹脂は、樹脂をワックスに溶融混合し、樹脂の融点以下で溶解しうるような構成としている。これにより、60〜140[℃]という低温でトナーが軟化または溶融させることができる。
【0085】
また、軟化または溶融点以上の粘弾性率が10[Pa]未満だと、熱転写体47A、48Aにオフセットしやすく、粘弾性率が106[Pa]を越えると、加圧によりトナーが変形しづらくなり記録媒体に転写・定着しづらくなる。
【0086】
また、着色剤量は樹脂量に対して1重量%以上30重量%以下が好ましい理由は以下による。本発明者の実験によれば着色剤含有量が樹脂に対して1重量%以上であることが粘度低下を起こさないために必要であった。また画像濃度を充分に得るためにも1重量%以上の着色剤の添加が必要であった。また30重量%を超えて混入させると逆に粘度が上がりすぎて低温定着時に紙に対する接着性が低下して、コールドオフセットを起こしやすくなった。このため着色剤量としては1重量%以上30重量%以下であることが画像濃度と定着性を両立するために良好な範囲であることがわかった。
【0087】
上記(b)の条件を具備するトナーを指定したのは次に説明する理由による。即ち、重量平均粒径が3[μm]よりも小さいトナーでは、二成分現像剤として用いた場合に現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させるからである。また、一成分現像剤として用いた場合には現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させ易くなる。
【0088】
解像度600dpi以上の微少ドットを再現する場合には、特に重量平均粒径3〜8[μm]という特性が有効になる。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。また、トナー像を形成したときのトナー間のミクロな空隙が小さくなりトナー画像中のトナー密度が上がる(いわゆるベタ埋まりがよくなる)ため、トナーへの熱伝導性が良くなり、熱転写時にトナーが容易に軟化または溶融する。これにより、トナーの熱転写性が良好となる。また、熱伝導性が良いため、少ない熱量でトナー像のトナーを軟化・溶融させることができ、省エネルギー化に繋がる。また、重量平均粒径が3[μm]未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。また、重量平均粒径(D4)が8[μm]を超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。
【0089】
上記(c)の条件を具備するトナーを指定したのは次に説明する理由による。即ち、重量平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00〜1.40の範囲にあると、様々なメリットが発生する。例えば、トナーの中から、静電潜像のパターンに適した粒径のトナー粒子が他のトナーに優先して現像に寄与するといった現象が進みやすいため、様々なパターンの画像を安定して形成することが可能になるというメリットがある。また、感光体等の像担持体に残留したトナーを回収してリサイクル使用する構成を装置に採用している場合、転写されにくい小サイズのトナー粒子が量的に多くリサイクルされる。このようなリサイクルにおいて上述の値の比較的大きいものを用いると、新たなトナー補給から次のトナー補給に至るまでのトナー粒径変動が大きいことにより、現像性能に悪影響を及ぼしてしまう。
【0090】
なお、トナーの重量平均粒径や個数平均粒径については、コールターカウンター法による測定装置、例えば、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)によって測定することができる。具体的には、まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。電解水溶液としては1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)を用いることができる。得られた溶液に更に測定試料を2〜20mg加える。そして、その溶液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、上述した測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナーの重量および個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径と、個数平均粒径とを求めることができる。なお、チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上40.30μm未満のトナー粒子を対象とする。
【0091】
トナーとして、上記(d)〜(e)の条件を具備するものを指定したのは、次に説明する理由による。即ち、形状係数SF−1や形状係数SF−2は、トナーの形状を表すパラメータの一つであり、粉体工学の分野では馴染みのパラメータである。ここで言う形状係数SF−1とは、トナー粒子等の球形物質における丸さの度合いを示す値である。図9に示すように、球形物質を2次元平面上に投影して得られる楕円状図形における最大径箇所の長さMXLNGの二乗を面積AREAで除算し、更に100π/4を乗じた値である。つまり、「形状係数SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)」という数式で表すことができる。なお、形状係数SF−1の値が100の球形物質は真球であり、SF−1の値が大きくなるほど、球形物質の形状は不定形となる。
【0092】
また、形状係数SF−2は、球形物質の表面における凹凸の度合いを示す数値である。図10に示すように、球形物質を2次元平面上に投影して得られる図形の周長PERIの二乗を面積AREAで除算し、更に100/4πを乗じて求められる値である。つまり、形状係数SF−2は、「形状係数SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π)」という数式で表すことができる。なお、形状係数SF−2の値が100である球形物質は、その表面に凹凸が全く存在しない。形状係数SF−2の値が大きくなるほど、球形物質の表面の凹凸は顕著となる。
【0093】
トナーの形状が真球に近づく(SF−1、SF−2ともに100に近づく)ほど、転写効率が高くなることが本発明者の検討により明らかになっている。これは、真球に近づくほど、トナー粒子とこれに接触するモノ(トナー粒子同士、像担持体など)との間の接触面積が小さくなって、トナー流動性が高まったり、モノに対する吸着力(鏡映力)が弱まって転写電界の影響を受け易くなったりするためと考えられる。また、中間転写ベルトとの吸着力も低減されるため、トナー離型性が向上し、熱転写体へ良好に熱転写され、オフセットを抑制することができる。本発明者の研究によれば、形状係数SF−1が180を超えるか、形状係数SF−2が180を超えるかすると、転写効率を急激に悪化させ始めることが明らかになった。それぞれを180以下にすることで、良好な転写率を維持することができる。また、真球に近づくほど、記録紙上に付着したトナー間のミクロな空隙が小さくなりトナー画像中のトナー密度が上がる(いわゆるベタ埋まりがよくなる)ため、トナーへの熱伝導性が良くなり、熱転写時にトナーが容易に軟化または溶融する。これにより、トナーの熱転写性が良好となる。また、熱伝導性が良いため、少ない熱量でトナー像のトナーを軟化・溶融させることができ、省エネルギー化に繋がる。
【0094】
上記(f)の条件を具備するトナーを指定したのは以下に説明する理由による。トナーの表面に適切な特性の微粒子が存在することで、トナー粒子とこれに接触するモノ(トナー粒子同士、像担持体など)の間に適度な空隙が形成される。また、微粒子は、トナー粒子、感光体、中間転写ベルト等との接触面積が非常に小さく、均等に接触する。このため、モノに対する吸着力(鏡映力)が弱まり、現像・転写効率が向上し、ドットの再現性が向上する。さらに、微粒子がコロの役割を果たすため、感光体を摩耗または損傷させることなく、クリーニングブレードと感光体との高ストレス(高荷重、高速度等)下でのクリーニングの際も、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定したトナー特性を維持することができる。さらに、微粒子がトナーの表面から適度に脱離し、クリーニングブレードの先端部に蓄積し、いわゆるダム効果によって、ブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。これらの特性は、トナー粒子の受けるシェアを低減させる作用を示すので、高速定着(低エネルギー定着)のためトナーに含有されている低レオロジー成分によるトナー自身のフィルミングの低減効果を発揮する。しかも、微粒子として、平均一次粒径が50〜500[nm]の範囲のものを用いると、十分にその優れたクリーニング性能を活かすことができる上、極めて小粒径であるため、トナーの粉体流動性を低下させることがない。さらに、詳細は明らかでないが、仮に微粒子がキャリアを汚染した場合においても現像剤劣化の度合が少ない。よって、経時的にトナーの流動性および帯電性の変化が少ないため、常に安定した画質の形成がなされる。
【0095】
微粒子の平均一次粒径(以下、平均粒径という)は、50〜500[nm]のものが用いられ、特に100〜400[nm]のものが好ましい。50[nm]未満であると、微粒子がトナー表面の凹凸の凹部分に埋没してコロの役割を低下する場合が生じる。一方、500[nm]よりも大きいと、微粒子がブレードと感光体表面の間に位置した場合、トナー自身の接触面積と同レベルのオーダーとなり、クリーニングされるべきトナー粒子を通過させる、即ちクリーニング不良を発生させやすくなる。また、嵩密度が0.3[mg/cm]未満では、流動性向上への寄与はあるものの、トナーおよび微粒子の飛散性および付着性が高くなるために、トナーとコロとしての効果や、クリーニング部で蓄積して、トナーのクリーニング不良を防止するいわゆるダム効果といった働きが低下してしまう。
【0096】
上記微粒子としては、無機化合物、有機化合物を用いることができる。無機化合物としては、SiO2、TiO2、Al23、MgO、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe23、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2 、K2O(TiO2)n、Al23・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4、SrTiO3等を例示することができ、好ましくは、SiO2、TiO2、Al23があげられる。特に、好ましいのはSiO2である。これら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。
また,有機化合物の微粒子としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2 種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびそれらの併用が好ましい。ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0097】
微粒子の嵩密度は、「嵩密度(g/cm)=微粒子量(g/100ml)÷100」という数式で表すことができ、微粒子量は、下記の方法により測定した。100mlのメスシリンダーを用いて、微粒子を徐々に加え100mlにした。その際、振動は与えなかった。このメスシリンダーの微粒子を入れる前後の重量差により微粒子量を測定した。
【0098】
上記微粒子をトナー表面に外添加し付着させる方法としては、トナー母体粒子と微粒子を各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法や、液相中でトナー母体粒子と微粒子を界面活性剤などで均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法などがある。
【0099】
次に、実施例および比較例を用いて詳細に説明する。
【0100】
[実施例1]
実施例1の中間転写ベルトおよび熱転写体の表面層は、以下のようにして得られたものである。
【0101】
ポリイミド樹脂ワニス
(新日本理化製、リカコートPN−20) 9.0[wt%]
シリコングラフトポリイミド
=アクリル系ビニルシリコン/マレイミド共重合物
(綜研化学製、LBI−101−1) 1.0[wt%]
N,N−ジメチルアセトアミド(溶媒) 90.0[wt%]
【0102】
上記のように調整した液を中空型で遠心成型170℃にて8時間乾燥させた。その後、300℃にて2時間焼きつけ処理を施した。その結果、60μmのポリイミドとシリコン樹脂グラフトポリイミドの混合皮膜ベルトが形成された。
次にローラ芯金にテフロンゴムを200μmの厚みに調整し、更にこれに上記のシリコングラフトポリイミドをコート(溶液での噴霧コート)して180℃にて8時間乾燥後300℃にて2時間焼き付け処理をした。このようにして得られたベルトとローラを図4の両面転写手段にセットし、第1、第2の熱転写・定着ユニットの温度を185℃に設定して耐久性試験を行なった。
【0103】
その結果、目標の500000枚を越え、700000枚の通紙テストでもローラの巻き付きやオフセットなどの異常画像および剥離不良等の問題は発生せず、初期の画像と殆ど変わらないことがわかった。また、700000枚の通紙テスト後、ベルト表面の観察を行なったが殆ど磨耗しておらず、分離用のツメを当てておいた部分についても表面の艶も殆ど変化していなかった。なお700000枚を越えるとツメ部分に多少の磨耗が見られるようになり、ローラ表面の艶が多少変わっていた。画像上良く観察するとツメが当たっている部分に対応して多少艶に違いが観られたが問題になるレベルではなかった。
【0104】
[実施例2]
実施例2の中間転写ベルトおよび熱転写体の表面層は、以下のようにして得られたものである。
【0105】
ポリベンゾイミダゾール(クラリアント社製) 9.0[wt%]
シリコングラフトポリイミド
=アクリル系ビニルシリコン/マレイミド共重合物
(綜研化学製、LBI−101−1) 1.0[wt%]
N,N−ジメチルアセトアミド(溶媒) 90.0[wt%]
【0106】
上記のようにに調整した液を中空型で遠心成型170℃にて8時間乾燥させた。その後300℃で2時間焼きつけ処理を行なった。その結果、40μmのポリベンゾイミダゾールとシリコン樹脂グラフトポリイミドの混合皮膜が形成された。このようにして得られた無端ベルトと実施例1の熱転写ローラを図5に示す両面転写手段にセットし、転写定着ユニットの温度を185℃に設定して耐久性試験を行なった。また、ベルトとローラの表面粗さと離型性はベルト/ローラ表層のコート剤中に添加する磁性体量で調整しベルト(粗さ2〜3μm、接触角110度)、ローラ(粗さ5〜8μm、接触角95度)とした。
その結果、目標500000枚を越えて、800000枚の通紙テストでローラへの巻き付きやオフセットなどの異常画像の問題は発生せず、初期の画像と殆ど変わらないことがわかった。また、800000枚の通紙後ローラ表面の観察をしたが殆ど磨耗していなかった。
【0107】
[比較例1]
図5に示す両面転写手段の中間転写ベルトをポリイミドにPFAをコートしたベルトとし、中間転写体をテフロンゴムに同じくPFAをコートした熱転写体とし、転写定着ユニットの温度を185℃に設定して耐久性試験を行なった。その結果、100000枚程度でPFA層が磨耗してしまい、特にローラ表面に分離用のツメを当てていた部分は表層が削れテフロン面が露出し、その部分にトナーが付着してしまった。またツメ跡部分以外にも表層剥がれが見られた。また微量オフセットがたまってトナーの塊となったものが黒斑点として画像上に現れた。
【0108】
[実施例3]
トナーとして次の樹脂構成のものを試作した。
環化イソプレン 75wt%
カルナウバワックス 25wt%
母体樹脂に対して着色剤としてカーボンブラックを10重量部添加した。更に磁性体50wt%添加した。このトナーの軟化点は82℃であり、定着下限温度は86℃であった。また110℃での粘弾性率は1×104〔c poise〕であった。この弾性率の測定は磁性体を添加しない状態でパラレルプレートに試料をはさみ圧縮しながら回転歪みを与えて動的粘弾性率を測っている。
【0109】
更にトナーの体積平均が5μmでD4とD1の比が1.30、1次平均径70[nm]の添加剤を外添した。このトナーを用いて本発明の図7の両面手段を備えた画像形成装置を用いて画像形成を行った。プロセス線速500[mm/sec]で、転写定着温度は150[℃]にして、実施例1のベルト/ローラを装着して画像形成を行ったところ、転写・定着時のオフセットはなく、ベタ画像濃度は十分で、細線の解像性が高くチリが少ないすっきりした良好な画像になった。この状態で500000枚プリントを行ったが初期の画像品質が維持され、現像器内でのトナーブロッキング等の問題もなく、オフセット発生もない耐久性にすぐれたトナーであることがわかった。(カラー着色剤でも同様の結果を得ている。)
【0110】
(1)
以上、本実施形態の画像形成装置によれば、両面転写手段の記録体搬送方向下流側にある転写手段で、記録体に転写された未定着のトナー像を熱定着させる。よって、両面転写手段よりも搬送方向下流側に定着手段を設ける必要がなくなる。その結果、その表面に未定着トナー像を担持した記録体を両面転写手段から定着手段まで搬送することがないので、この際の未定着トナー像の乱れが発生しなくなる。
また、像担持体ベルトたる中間転写ベルトから熱転写体へのトナー像の転写を熱転写方式で行っている。これにより、静電転写方式のような転写ニップ入り口や出口での放電や電界の影響をなくすことができ、チリやニジミの発生がなくなり高品位な画像を得ることができる。また、中間転写ベルトから熱転写体への熱転写時にトナーがある程度加熱される。よって、中間転写ベルトから熱転写体への転写を静電方式にしたもの比べて、熱転写体上のトナーを記録体に定着させるべく加熱するための熱量が少なくて済む。その結果、エネルギー効率が良くなり、省エネルギー化を図ることができる。さらに、熱転写体上のトナー像を記録体へ転写・定着するために加熱された熱転写体の余剰熱で、中間転写ベルトから熱転写体へのトナー像の熱転写を行えば、以下のような効果が得られる。すなわち、中間転写ベルトから熱転写体に転写するための転写手段を設ける必要がなく、コスト削減や省スペース化を実現することができるという効果である。
(2)
また、熱転写体にトナー像を転写する側の像担持体ベルトを耐熱性・トナー離型性を有する材質で形成することで、熱転写体にトナー像を転写する側の像担持体ベルトが熱転写体の熱で変形するのを抑制することができる。また、熱転写体にトナー像を転写する側の像担持体ベルトは、トナー離型性を有するので、像担持体ベルト上のトナー像を熱転写体へ熱転写するときに、軟化または溶融したトナーが像担持体ベルトに付着するオフセットを抑制することができる。その結果、像担持ベルトから熱転写体へ良好な熱転写を行うことができる。
(3)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、上記熱転写体の表面を耐熱性・トナー離型性を有する材質で形成することで、熱転写体の熱の影響で熱転写体の表面が変形するのを抑制することができる。また、熱転写体の表面がトナー離型性を有するので、記録体への転写・定着時にオフセットが発生するのを抑制することができる。
(4)
また、熱転写体をローラ状またはベルト状とすることで、熱転写体の温度制御を容易に行うことができる。また、レイアウトの自由度、スペースの余裕度を向上させることができる。
(5)
また、上記熱転写体は、磁性体を含有し、かつ、熱転写体との間に磁界を発生する磁界発生手段たるIHコイルを設け、IHコイルの発する磁界による電磁誘導で熱転写体を加熱している。これにより、熱転写体の磁性体のみが加熱されるので、効率よく熱転写体を加熱することができる。また、熱転写体自身が発熱するので、ハロゲンランプのように加熱源の輻射熱で熱転写体を加熱するものに比べて、熱転写体の昇温スピードを早めることができる。その結果、装置立ち上がり時に熱転写体が所定の温度に昇温するまでの待ち時間を短くすることができる。
(6)
また、上記熱転写体の表面層に磁性体を含有したことで、表面層も発熱し熱転写体を効率よく発熱することができ、熱転写体の昇温スピードをさらに早めることができる。また、表面層が発熱するため、熱転写体の表面の温度が高くなるなる。その結果、中間転写ベルトから熱転写体への熱転写時に、中間転写ベルト上のトナーを良好に軟化・溶融させることができ、良好な転写性を得ることができる。なお、磁性体が30[重量%]未満だと、表面層の良好な発熱性を得ることができない。
(7)
また、上記熱転写体表面層の体積抵抗を10[Ω・cm]とすることで、発熱層に電磁誘導電流が流れ易くなり、良好に発熱層を発熱させることができる。これにより、発熱効率が向上し、省エネルギー性を向上させることができる。
(8)
また、磁性体を30[wt%]以上含有したトナーを用いることで、IHコイルの発する磁界による電磁誘導でトナー自身が発熱することができる。これにより、トナーが容易に軟化または溶融し、記録体への転写・定着性を向上させることができる。なお、磁性体が30[wt%]未満だと、トナーが良好に発熱しなかった。
(9)
また、上記熱転写体の表面および熱転写体にトナー像を転写する中間転写ベルトの材質として、250[℃]の温度でも熱変形しないものを用いた。これにより、トナーを軟化または溶融させるために必要な温度に熱転写体を加熱しても、中間転写ベルトおよび熱転写体表面が熱変形することがない。
また、上記熱転写体の表面および熱転写体にトナー像を転写する中間転写ベルトの材質として、水との接触角が90°以上の材質を用いている。水との接触角が90°以上であるので、表面エネルギーが低く、トナー等の物質が付着し難い。よって、トナーに対する離型性が良好で、オフセットを抑制でき、転写性を良好にすることができる。
また、熱転写体表面および熱転写体にトナー像を転写する側の中間転写ベルト表面の十点平均粗さ(Rz)を10[μm]以下とすることで、熱転写体および中間転写体表面の離型性を向上させることができ、被転写面にトナー像を良好に転写することができる。
(10)
また、熱転写体は、中間転写ベルトよりも高熱にさらされるため、中間転写ベルトよりも耐熱性の高い材質のものを用いることで、装置の耐熱性を高めることができる。また、熱転写時にトナーは、トナー離型性の悪い方へ転写するので、中間転写ベルトのトナー離型性を、熱転写体のトナー離型性よりも高くすることで、中間転写ベルトから熱転写体へのトナーの転写性を向上させることができる。
(11)
上記熱転写体の表面および熱転写体にトナー像を転写する中間転写ベルトの材料として、少なくとも一種以上の耐熱樹脂からなり、該耐熱樹脂の主鎖部分がポリイミド構造、ポリベンゾイミダゾール構造、又はポリアミド構造を有し、主鎖部分から垂下したポリシロキサン構造の側鎖部分を有する樹脂を用いている。これにより、熱転写体の表面および熱転写体にトナー像を転写する中間転写ベルトを耐熱性・トナー離型性を有するものにすることができる。
(12)
また、主鎖部分がポリイミド構造、ポリベンゾイミダゾール構造、又はポリアミド構造を有する耐熱樹脂の表面に一種類以上のフッ素系またはシリコーン系樹脂をコートしたものを上記熱転写体の表面および該熱転写体にトナー像を転写する側の像担持体ベルトの材料として用いてもよい。このような材料を用いることでも、熱転写体の表面および熱転写体にトナー像を転写する中間転写ベルトを耐熱性・トナー離型性を有するものにすることができる。
(13)
また、トナーの軟化点または融点が60〜140[℃]であるものを用いた。これにより、トナーが常温でも軟化または溶融することがなく、また、トナーを軟化または溶融させるための熱転写体の温度が高温になるのを抑制することができる。また、軟化点または融点以上の温度でのトナーの粘弾性率が10〜106[Pa]としているので、加圧によりトナーが良好に変形して、被転写体の凹凸に引っ掛かってトナーを良好に被転写面に転写することができる。また、結着樹脂量に対して1〜30[重量%]の着色剤が含有されているので、トナーが軟化または溶融したときに良好な粘弾性率を確保することができる。また、画像濃度を充分に得ることができる。
(14)
また、結着樹脂として、樹脂とワックスとを相溶させたものを用いることで、低温度でワックスのみが溶解し、トナーが軟化する。これにより、トナーの軟化点を下げることができ、トナーを軟化させるための熱転写体の温度が高温になるのを抑制することができる。
(15)
また、重量平均粒径が3〜8[μm]で、且つ重量平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00〜1.40であるトナーを用いたので、トナー像を形成したときのトナー間のミクロな空隙が小さくなりトナー画像中のトナー密度が上がるため、トナーへの熱伝導性が良くなり、熱転写時にトナーが容易に軟化または溶融することができる。これにより、トナーの熱転写性を良好にすることができる。また、熱伝導性が良いため、少ない熱量でトナー像のトナーを軟化・溶融させることができ、装置を省エネルギー化することができる。
(16)
また、形状係数SF−1が100〜180であり、形状係数SF−2が100〜180であるトナーを用いたので、トナーが真球に近くなりトナー像を形成したときのトナー間のミクロな空隙が小さくなりトナー密度が上がり、トナーへの熱伝導性が良くなる。その結果、熱転写時にトナーが容易に軟化または溶融することができ、トナーの熱転写性が良好となる。また、熱伝導性が良いため、少ない熱量でトナー像のトナーを軟化・溶融させることができ、省エネルギー化に繋がる。
(17)
また、トナーの添加剤として、その平均一次粒径が50〜500[nm]で、かつ、嵩密度が0.3[g/cm]以上であるもの用いたので、モノに対する吸着力(鏡映力)が弱まり、トナーの熱転写性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】画像形成装置の概略構成図。
【図2】同画像形成装置のプリンタ部における4つの第1プロセスユニットの1つを示す拡大構成図。
【図3】同画像形成装置のプリンタ部における4つの第2プロセスユニットの1つを示す拡大構成図。
【図4】同画像形成装置の両面転写手段の概略構成図
【図5】両面転写手段の第1の変形例を示す図。
【図6】両面転写手段の第2の変形例を示す図。
【図7】両面転写手段の第3の変形例を示す図。
【図8】熱転写体をベルト状とした例を示す図。
【図9】形状係数SF−1を説明するためにトナー形状を模式的に表した説明図。
【図10】形状係数SF−2を説明するためにトナー形状を模式的に表した説明図。
【符号の説明】
【0112】
1Y,M,C,K 感光体
5 現像装置
20 第1転写ユニット
21 第1中間転写ベルト
30 第2転写ユニット
31 第2中間転写ベルト
46 2次転写ローラ
47 第1熱転写・定着ユニット
48 第2熱転写・定着ユニット
50 両面転写手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端移動する表面に第1トナー像を担持する第1像担持体ベルトと、無端移動する表面に第2トナー像を担持する第2像担持体ベルトと、記録体の第1面に該第1トナー像を転写する第1転写手段および該記録体の第2面に該第2トナー像を転写する第2転写手段を有する両面転写手段とを備えた画像形成装置において、
該第1転写手段および該第2転写手段のうち、少なくとも一方の転写手段は、像担持ベルト上のトナー像が転写される熱転写体と、該熱転写体を加熱する加熱手段と、該記録体を該熱転写体側へ加圧する加圧手段とで構成され、該熱転写体の熱で像担持ベルト上のトナー像を熱転写体に熱転写し、該熱転写体の熱で熱転写体上のトナー像を加熱して、加熱されたトナー像を記録体の一方の面に転写・定着させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記熱転写体にトナー像が熱転写される像担持体ベルトを耐熱性・トナー離型性を有する材質で形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記熱転写体の表面を耐熱性・トナー離型性を有する材質で形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、
上記熱転写体の表面の耐熱性を、該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルトの耐熱性よりも高くし、該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルトのトナー離型性を、該熱転写体のトナー離型性よりも高くしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、
上記熱転写体が、ローラ状またはベルト状であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、
上記熱転写体を加熱する加熱手段は、該熱転写体に備えた磁性体と、該熱転写体との間に磁界を発生する磁界発生手段とで構成され、該磁界発生手段の発する磁界による電磁誘導で該熱転写体の磁性体を加熱することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記熱転写体は、磁性体からなる発熱層と、耐熱性・トナー離型性を有する表面層とを有しており、該表面層に磁性体を30[重量%]以上含有したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
上記熱転写体の表面層の体積抵抗を10[Ω・cm]としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6乃至8いずれかの画像形成装置において、
上記トナー像の形成に用いられるトナーとして、磁性体が30[重量%]以上含有したトナーを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれかの画像形成装置において、
上記熱転写体の表面および該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルトの材質として、250[℃]の温度でも熱変形せず、水との接触角が90°以上の材質を用い、かつ、該熱転写体表面および該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルト表面の十点平均粗さRz(JIS B 0601−1994)が10[μm]以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれかの画像形成装置において、
上記熱転写体の表面および該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルトの材料として、少なくとも一種以上の耐熱樹脂からなり、該耐熱樹脂の主鎖部分がポリイミド構造、ポリベンゾイミダゾール構造、又はポリアミド構造を有し、該主鎖部分から垂下したポリシロキサン構造の側鎖部分を有する樹脂を用いたことを特徴とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1乃至10いずれかの画像形成装置において、
上記熱転写体の表面および該熱転写体にトナー像を転写する像担持体ベルトの材料として、主鎖部分がポリイミド構造、ポリベンゾイミダゾール構造、又はポリアミド構造を有する耐熱樹脂を用い、該耐熱樹脂の表面に一種類以上のフッ素系またはシリコーン系樹脂をコートしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれかの画像形成装置において、
上記トナー像の形成に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とからなり、該トナーとして、該トナーの軟化点または融点が60〜140[℃]であって、軟化点または融点以上の温度での粘弾性率が10〜106[Pa]であり、結着樹脂量に対して1〜30[重量%]の着色剤が含有されているものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13の画像形成装置において、
上記結着樹脂として、樹脂とワックスとを相溶させたものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1乃至14いずれかの画像形成装置において、
上記トナー像の形成に用いるトナーとして、重量平均粒径が3〜8[μm]で、且つ重量平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00〜1.40であるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項1乃至15いずれかの画像形成装置において、
上記トナー像の形成に用いるトナーとして、形状係数SF−1が100〜180であり、形状係数SF−2が100〜180であるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項1乃至16いずれかの画像形成装置において、
上記トナー像の形成に用いるトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とからなる母体粒子に添加剤を外添してなり、かつ、該添加剤として、その平均一次粒径が50〜500[nm]で、かつ、嵩密度が0.3[g/cm]以上であるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−25302(P2007−25302A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207866(P2005−207866)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】