説明

画像形成装置

【課題】定着装置とその定着装置から排出される定着直後の被記録材とから放出される熱がその熱の影響を受けやすい対象部品に伝わることを簡易な構成で確実に防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置(30)及び定着後搬送路(40)を搬送される定着直後の被記録材(S)から排出される熱が伝わって悪影響を受けやすい対象部品(29)を有し、その対象部品(29)と前記定着装置及び定着後搬送路との間を仕切るとともに一端部が画像形成装置の一部の外装材(12A)と接続するように設けられる熱遮断部材(5)を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ、複写機その他の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、レイアウト上、熱を放出する構成部品(例えば定着ユニット)と熱の悪影響を受けやすい構成部品(例えばクリーニング装置、潜像形成装置、廃トナー回収容器)とが近接した状態やその熱の悪影響を受けやすい構成部品が熱を放出する構成部材の上方側に配置された状態で設けられることがある。そして、このような状態となる画像形成装置では、熱を放出する構成部品からの熱が熱に弱い構成部材側に伝わって、例えば、回収した現像剤が溶けて凝集(ブロッキング)して取り扱い難くなったり、あるいは、温度の上昇により性能や耐久性の低下が発生する等のおそれがある。
【0003】
そこで、本出願人も、このような問題点などを解消するため、定着ユニットから排出された定着直後の転写材を画像形成装置本体の外側へ排出搬送する排出搬送路の少なくとも上方と画像形成部との間に、その定着直後の転写材から画像形成部へ向かう排熱が遮断せしめられる熱遮断手段を設けた画像形成装置に関する特許出願を行っている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−337522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、その出願に係る画像形成装置においては、熱遮断手段としての遮熱板を定着装置の下流側の搬出搬送路の上方にその搬送路と画像形成部とを仕切るように設けることにより、定着直後の転写材から画像形成部にむかう排熱が遮断されるようになるが、定着装置そのものから放出される排熱が遮断されず画像形成部に達してしまうおそれがある。
【0005】
また、その遮熱板を搬出搬送路の上方に遮熱効果が有効に得られるように隙間なく設けることが難しく(特に定着装置側は接触させた状態で設けると定着装置からの熱が遮熱板に直接伝わってしまうため、完全に接触させた状態で設けないようにすると隙間が発生しやすくなる)、その隙間からの熱の通り抜けを許してしまい、十分な遮熱効果が得られないおそれもある。その他、遮熱板の取り付け構造によっては、その遮熱板の着脱、保守点検等の作業性が悪くなり、その取扱い性に劣ったものになる。
【0006】
この発明は、上述したような事情等に鑑みてなされたものであり、定着装置とその定着装置から排出される定着直後の被記録材とから放出される熱がその熱の影響を受けやすい対象部品に伝わることを簡易な構成で確実に防止することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、被記録材に形成される画像を加熱して定着する定着装置と、この定着装置から排出される定着直後の被記録材を搬送する定着後搬送路と、前記定着装置及び定着後搬送路を搬送される定着直後の被記録材から排出される熱が伝わって悪影響を受けやすい対象部品と、この対象部品と前記定着装置及び定着後搬送路との間を仕切るとともに一端部が画像形成装置の一部の外装材と接続するように設けられる熱遮断部材とを有することを特徴とするものである。
【0008】
この構成の画像形成装置における前記熱遮断部材は、前記接続する一部の外装材と一体化されていることが好ましい。
【0009】
また、上記いずれかの構成の画像形成装置においては、前記一部の外装材のうち熱遮断部材が接続される部位とこの外装材の部位と連続して配置される他の外装材との間に開口部を設けていることが好ましい。
【0010】
また、上記いずれかの構成の画像形成装置においては、前記熱遮断部材のうち前記一部の外装材と接続する端部が、その端部以外の部位よりも上方側となる位置に配置されている
【0011】
さらに、上記いずれかの構成の画像形成装置においては、前記定着装置と前記定着後搬送路とが一体化されているとともに、その一体化された定着装置及び定着後搬送路が画像形成装置の本体に対して着脱自在に取り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明の画像形成装置では、定着装置及び定着後搬送路を搬送される定着直後の被記録材から排出される熱が対象部品側に移動しても熱遮断部材によって遮断されるようになり、これにより、その熱が対象部品に伝わることが簡易かつ確実に防止される。従って、この画像形成装置によれば、その定着装置及び定着直後の被記録材から排出される熱が対象部品に伝わることによって悪影響を受けることを防止できるようになる。
【0013】
熱遮断部材を接続する一部の外装材と一体化させた場合は、その熱遮断部材と外装材との間に無用な隙間が発生することなく、良好な熱遮断効果を確保しやすくなる。また、外装板の画像形成装置の本体への取り付けにより、その熱遮断部材を所定の設置位置に設置(装着)させることが可能になる。
【0014】
一部の外装材のうち熱遮断部材が接続される部位とこの外装材の部位と連続して配置される他の外装材との間に開口部を設けた場合は、定着装置及び定着直後の被記録材から排出されて熱遮断部材で遮断された熱(空気)がその開口部を通して画像形成装置の外側に排出されるようになり、熱遮断部材そのものの熱遮断による温度の上昇が抑制されるとともに、熱遮断部材の熱遮断効果が促進されやすくなる。
【0015】
この開口部を設ける場合において、熱遮断部材のうち一部の外装材と接続する端部を、その端部以外の部位よりも上方側となる位置に配置したときには、熱遮断部材で遮断された熱が自然対流によりその部材を伝わって開口部側に誘導されやすくなり、最終的に画像形成装置の外側にも排出されやすくなる。
【0016】
定着装置と定着後搬送路とを一体化するとともに、その一体化された定着装置及び定着後搬送路を画像形成装置の本体に対して着脱自在に取り付けた場合は、その一体化された定着装置及び定着後搬送路を取り外せば、その定着装置及び定着後搬送路の画像形成装置における装着部位が開放された状態となるため、熱遮断部材の着脱、保守点検等の良好な作業性が確保されるようになる。熱遮断部材が外装材の一部と一体化されている場合には、その着脱、保守点検等の作業性が良好なものになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[実施の形態1]
図1は、実施形態1に係るプリンタを示すものである。この実施形態1に係るプリンタ1は、図1に示すように、その筐体10の内部に画像を記録シートSに形成する画像形成部11や定着装置30等が配置されている。
【0018】
画像形成部11は、中間転写方式を採用したものであり、筐体10の内部上方側に配置されている。この画像形成部11は、複数の色成分(本例ではマゼンタ:M,シアン:C,イエロー:Y,ブラック:K)からなる画像が形成される4つの作像ユニット20(具体的には20Y,20M,20C,20K)を並列に配置し、その各作像ユニット20(Y,M,C,K)の下方に各作像ユニット20で作像された各色成分の画像が転写される中間転写ベルト21を配置している。一方、この画像形成部11の中間転写ベルト21の下方には、そのベルト21から記録シートSに転写した画像を加熱してそのシート上に定着する加熱定着方式の定着装置30が配置されている。
【0019】
各作像ユニット20は、矢印で示す方向に回転する感光体ドラム22を有し、この感光体ドラム22の周囲に、感光体ドラム22を帯電する帯電装置23と、帯電された感光体ドラム22にプリンタ外部から入力される画像情報に基づく静電潜像を例えばレーザービーム等の露光により書き込む露光装置24と、感光体ドラム22上の静電潜像を対応する色成分の現像剤(トナー)により現像する現像装置25(Y,M,C,K)と、この現像で感光体ドラム22上に形成される各成分トナー像を中間転写ベルト21に一次転写させる一次転写装置26と、感光体ドラム22上に残留する残留トナーを清掃するクリーニング装置27等を設けたものである。
【0020】
また、中間転写ベルト21は、例えば3つの支持ロール21a〜21cに循環回転可能に掛け渡されたものであり、そのベルト外周面側にはベルト31に一次転写されたトナー像を記録シートSに転写させる二次転写ロール28や、そのベルト外周面に残留するトナーを除去するベルトクリーニング装置29が設けられている。ベルトクリーニング装置29は、中間転写ベルト21の外周面に当接するクリーニングブレード、このクリーニングブレードでかきとるトナー等を回収して収容する収容器と、この収容器に収容されるトナー等をトナー回収ボックスに搬送するトナー搬送部材等で構成されている。
【0021】
このような画像形成部11では、例えばフルカラー画像の画像形成動作の開始命令を受けると、各作像ユニット20において、感光体ドラム22が回転始動して帯電装置23により所定の電位に帯電され、その帯電した感光ドラム表面に露光装置24により所定の静電潜像が形成されるとともにその静電潜像が現像装置25で所定の色成分の現像剤により現像されてトナー像として顕像化される。
【0022】
続いて、各作像ユニット20で作像された各色成分のトナー像が一次転写装置26により中間転写ベルト21に順次一次転写されて重ね合わされた後、二次転写ロール28により記録シートSに二次転写される。この二次転写時に転写されずに中間転写ベルト21上に残留したトナーは、ベルトクリーニング装置29により除去回収される。なお、記録シートSは、筐体10の内部に設置されるか又はその外部に接続して設置される不図示の給紙部から所定のタイミングで供給されるようになっている。図1中の一点鎖線は、その記録シートSの主な搬送路を示している。
【0023】
定着装置30は、図1や図2に示すように、記録シートSの導入及び排出を行う部位が開口する筐体31と、この筐体31の内部に配置されて回転駆動する加熱ロール32とこの加熱ロール32に所定の圧力で圧接して回転する加圧ロール33とを備えている。図2中において符号34は定着対象の記録シートSをその導入時に案内する導入用ガイド板、35は定着後の記録シートSをその排出時に案内する排出用ガイド板である。筐体31は、断熱性を有する材料にて形成されており、この例では断熱性能を高めるために表面にセラミック材料からなるコーティング層や発泡体カバーを形成した材料(合成樹脂等)で形成されている。
【0024】
また、この定着装置30の記録シートSの排出側には、定着後の記録シートSを筐体10の外側に排出するように搬送するシート排出搬送路40が設置されている。このシート排出搬送路40は、排出搬送ロール(対)41と、この排出搬送ロール41に定着後の記録シートSを案内するガイド部材42等で構成されている。ガイド部材42は省略しても構わない。
【0025】
このような定着装置30では、トナー像が二次転写された記録シートSが所定の搬送路を経由して定着装置30の加熱ロール31と加圧ロール32の間(定着圧接部)に導入されて加熱加圧され、これによりそのトナー像を記録シートに定着させている。この定着が終了した後の記録シートSは、定着装置30から排出された後にシート搬出搬送路40を通して筐体10の外側に排出される。
【0026】
また、このプリンタ1においては、図1や図2等に示すように、定着装置30とシート排出搬送路40の上方に、その定着装置30及びシート搬出搬送路40とベルトクリーニング装置29との間を仕切るように連続した熱遮断板5が設置されている。
【0027】
上記熱遮断板5は、定着装置30の上方にほぼ水平の姿勢で保持される水平本体部50aと、この水平本体部50aの定着装置30のシート導入側(図2中の左側)の端部において斜め下方にむけて折れ曲がった下降傾斜面部50bと、水平本体部50aのシート排出側(図2中の右側)の端部において斜め上方にむけて折れ曲がった上昇傾斜面部50cとを有する基本の形態からなるものである。このうち上昇傾斜面部50cの端部は、筐体10の一部を構成する一部の外装(側面)カバー12Aの内面に密着した状態で接続されている。また、下降傾斜面部50bは、定着装置30に導入される記録シートSの搬送路の上方側近傍の位置に延びるように設置されている。図3の符号13は、筐体10を構成する支持フレームであり、この支持フレーム13に対して外装カバー12が取り付けられるようになっている。
【0028】
また、この熱遮断板5は、図3に示すように、記録シートSの搬送方向(矢印Eで示す方向)とほぼ直交する方向(例えば加熱ロール32等の軸方向に相当する)(矢印Mで示す方向)に対しても、定着装置30及び定着直後の記録シートSから放出される熱を収集することができる範囲にわたって存在するように設けられている。この例では、定着装置40の筐体31(及びシート排出搬送路40)の矢印M方向における幅(その幅の端部)を超える寸法からなる幅Wを有する熱遮断板5を使用している。また、熱遮断板5は、その収集(遮断)した熱が上記直交する方向Mの端部側から漏れて上方に移動しないようにするため、その端部側に下方に垂れ下がる垂下板を形成してもよい。図3に示すシート搬送路40は、排出ロール41であり、矢印M方向に連なったロール対として図示しているが、これは便宜上のものであり、排出ロール41は矢印M方向に複数に分割されたロール対で構成されたものであってもよい。
【0029】
さらに、この熱遮断板5は、図4に示すように、上記一部の外装カバー12Aと一体化されている。この場合、熱遮断板5と一部の外装カバー12Aとは別の材料で形成してその両者を接合一体化するか、又は、その両者を同じ材料を用いて一体的に形成することで得ることができる。熱遮断板5は、例えば、厚さが1〜3mm程度の金属板(ステンレス板、アルミニウム板など)で構成される。熱遮断板5は、単層構造のものに限らず、複層構造のものであってもよい。熱遮断板5と一部の外装カバー12Aを同じ材料を用いて一体的に形成する場合は、その材料として表面にセラミック材料のコーティング層を形成した合成樹脂製のカバー材料等を使用することができる。この一部の外装カバー12Aと一体化されている熱遮断板5は、その外部カバー12Aを筐体10の支持フレーム13に取り付けて固定する作業を行うことにより、筐体10の内部の前述したような所定の設置部位に装着されることになる。
【0030】
この他、一部の外装カバー12Aのうち熱遮熱板5が接続される部位12Abとこの部位12Abと連続して配置される他の外装カバー12Bとの間には、排熱用の開口部15が設けられている。この開口部15は、例えば、記録シートの搬送方向Eとほぼ直交する方向Mに対して一連の細長い孔として形成したり、あるいは、その直交する方向Mに間隔をあけて複数配置される孔として形成される。この開口部15には、必要により、その開口を塞ぐような状態で網目状のネットを取り付けてもよい。
【0031】
また、熱遮熱板5は、一部の外装カバー12Aと接続する側の端部の部位(上昇傾斜面部50c)がその端部以外の部位(水平本体部50aや下降傾斜面部50b)よりも上方側となる最も高位の位置に配置されている。この例では、その端部の部位50cが外装カバー12Aと接続される部位に近づくにつれて上昇する傾斜面として形成されている。
【0032】
さらに、このプリンタ1においては、定着装置30が筐体10を構成する水平支持フレーム14上において記録シートの搬送方向Eとほぼ直交する方向Mにスライド移動できるように取り付けられている。これにより、定着装置30は、引き出す方向にスライド移動させた場合は筐体10の外側に突出させた状態に保持することができるようになっている。図中の符号36は、そのスライド移動を実現するアキャライドレールである。
【0033】
このような構成からなる熱遮断板5等を設けたことにより、次のような作用効果が得られる。
【0034】
定着装置30の作動時には、その加熱ロール32が加熱されることにより、筐体31そのものを通したり或いは筐体31の記録シートの導入口又は排出口を通して熱が定着装置30(筐体31)の外部に放出される(図2中の点線矢印が排熱の状態を示す)。また、この定着装置30による定着が行われるときには、定着装置30から排出される定着直後の記録シートSがシート排出搬送路40を搬送される際に定着時の加熱により付与された熱を放出しながら排出搬送される(図2中の点線矢印が排熱の状態を示す)。
【0035】
しかし、この定着装置30及び定着直後の記録シートSからそれぞれ放出される熱は、ベルトクリーニング装置29や中間転写ベルト21が配置されている上方に移動するが、そのいずれも熱遮断板5により遮断される。この際、熱遮断板5の一端部が一部の外装カバー12Aと密着して接続された構造になっているため、不要な隙間が存在することなく、その隙間から遮断した熱が漏れてしまうおそれがない。このようにして、ベルトクリーニング装置29や中間転写ベルト21は、定着装置30及び定着直後の記録シートSからそれぞれ放出される熱による影響を受けることが防止される。
【0036】
従って、ベルトクリーニング装置29で除去回収したトナーが熱により凝集して搬送できなくなるという問題の発生を回避できる。また、中間転写ベルト21に残留するトナーが熱により凝集してクリーニング装置28で除去しにくくなることや、そのベルト自体も熱による影響を受けることが発生するおそれもなくなる。
【0037】
また、この熱遮断板5においては、その遮断した熱が開口部15から筐体10の外部に排出される(図2の開口部15に図示した点線矢印参照)。しかも、この熱遮断板5は、その開口部15の近傍の端部50cがそれ以外の部位よりも高位の位置に配置されているため、遮断された熱がその端部50c側に移動して開口部15から効率よく排出されるようになる。
【0038】
さらに、このプリンタにおいては、定着装置30を記録シートの搬送方向Eとほぼ直交する方向Mにスライド移動させて引き出して筐体10の外側に突出させた状態に保持することができる。これにより、図5に示すように、熱遮断板5の定着装置30の装着位置側にその定着装置30が存在しなくなった分の空間Jが形成されるようになり、この結果、熱遮断板5の取付け取り外しや保守点検の作業が行いやすくなる。
【0039】
<実施の形態1の変形例>
なお、この実施の形態1においては、開口部15を設けなくとも、熱遮断板5による熱遮断効果は得られる。また、開口部15は、図6に示すように、例えば一部の外装カバー12Aの熱遮断板5との接続する部位を筐体10の内部側に折り曲げた後に垂れ下がる方向に曲げた屈曲部12Axとして形成し、その屈曲部12Axと間隔をあけて他の外装カバー12Bを設置することにより得られる隙間を開口部15Aとして利用するように構成することも可能である。このような開口部15Aを形成した場合は、外観上の見栄えが良くなるほか、熱が排出される開口部15に対する安全性の面でも有利となる。
【0040】
また、この実施の形態1においては、一部の外装カバー12に形成した開口部15に加えて又は代えて、例えば外装カバー12Bに排気口としての開口部を単数又は複数形成することができる。この場合は、定着装置30及び定着直後の記録シートSからそれぞれ放出される熱や熱遮断板5で遮断された熱が、その排気口としての開口部を通して筐体10の外部に排出されるようになり、排熱が促進される。
【0041】
さらに、この実施の形態1においては、シート排出搬送路40を構成する排出ロール41及びガイド部材42(並びに外装カバー12B)を定着装置40と共通フレーム等を介して一体化し、しかも、その一体化した定着装置40及びシート排出搬送路40を記録シートSの搬送方向Eとほぼ直交する方向Mにスライド移動して筐体10の外部に引き出すことができるように構成することができる。
【0042】
この場合は、定着装置30を記録シートの搬送方向Eとほぼ直交する方向Mにスライド移動させて引き出すと、シート排出搬送路40及び外装カバー12Bが一緒に引き出され、それを筐体10の外側に突出させた状態に保持することができる。これにより、図7に示すように、熱遮断板5の定着装置30の装着位置側にその定着装置30及びシート排出搬送路40(並びに外装カバー12B)が存在しなくなった分の空間J及び空間Kが形成されるようになり、この結果、熱遮断板5の取付け取り外しや保守点検の作業がより一層行いやすくなる。また、この場合は、その定着装置30シート排出搬送路40(並びに外装カバー12B)は、記録シートSの搬送方向Eと同じ方向に(図7における右側の方向に)移動させて引き出すか又は移動させて取り外すように構成することも可能である。
【0043】
この他、実施の形態1では、シート排出搬送路40として、定着装置30から排出された定着直後の記録シートSをそのままの状態で筐体10の外部に排出させるように搬送する構成のものを示したが、これ以外の構成の定着後搬送路であっても構わない。そのような定着後搬送路としては、例えば、定着装置30から排出された定着直後の記録シートSを筐体10の内部の空間(例えば下方側の空間)に送り出した後、その送り出したシートの後端部を排出ロール41に送り返して筐体10の外部に表裏面を反転させた状態で排出させるシート反転排出搬送路が挙げられる。また、両面プリント時に、定着装置30から排出された定着直後の記録シートSを筐体10の内部の空間(例えば下方側の空間)に送り出した後、その送り出したシートを画像形成部11側に再送する両面反転再送路が挙げられる。
【0044】
[実施の形態2]
図8は、実施形態2に係るプリンタの要部を示すものである。この実施の形態2に係るプリンタは、実施の形態1に係るプリンタ1とほぼ同じ構成のものであるが、熱による悪影響を受けやすい対象部品がベルトクリーニング装置29ではなく露光装置24である場合の構成を示している。実施の形態1におけるプリンタと共通する部分には同じ符号を付し、以下では必要な場合を除いてその説明を省略している。
【0045】
このプリンタでは、定着装置30とシート排出搬送路40の上方に露光装置24が配置されているため、その定着装置30とシート排出搬送路40の上方に、その定着装置30及びシート搬出搬送路40と露光装置24との間を仕切るように連続した熱遮断板5が設置されている。熱遮断板5そのものは、実施の形態1における熱遮断板(図2〜4)と基本的に同じ構成からなるものである。
【0046】
これに加えて、露光装置24そのものも熱を放出する放熱部位(例えば回転多面鏡を回転させる駆動モータなど)24aがある場合、その放熱部位24aから放出される熱を、収集して一部の外装カバー12Aから筐体10の外部に排出されるため、その露光装置24と一部の外装カバー12Aの間に仕切り板55を配置しているとともにその仕切り板55と熱遮断板5の間となる外装カバー12Aの部位に開口部16を設けている。しかも、この露光装置24と熱遮断板5の間には、熱遮断板5と露光装置24及び仕切り板55の間の空間に空気を送る送風ファン56を設置している。
【0047】
このプリンタでは、定着装置30及び定着直後の記録シートSからそれぞれ放出される熱は、実施の形態1の場合と同様に、熱遮断板5により遮断されて露光装置24側に達して熱の悪影響を与えることが防止される。また、露光装置24の放熱部位24aから放出される熱は、送風ファン56の送風で熱遮断板5と露光装置24及び仕切り板55の間の空間(N)で発生する気流に乗って最終的に開口部16から筐体10の外部に排出される。これにより、露光装置24は、定着装置30及び定着直後の記録シートSからそれぞれ放出される熱による影響を受けることが防止される。しかも、露光装置24そのものから放出される熱による影響を受けえることからも防止される。
【0048】
また、この実施の形態2においては、図9に示すように、上記した仕切り板55や開口部16を設けることに代えて、熱遮断板5のうち外装カバー12Aと接続される側の端部(この例では上昇傾斜面部50a)に開口部52を形成してもよい。
【0049】
この場合は、露光装置24の放熱部位24aから放出される熱が、送風ファン55による送風により送られるとともにその送風の勢いによって熱遮断板5の上昇傾斜面50cにある開口部52から熱遮断板5の下面側の空間に流出し、最後に定着装置30及び定着直後の記録シートから放出される熱と共に開口部15を通して筐体10の外部に排出されるようになる。また、この場合は、送風ファン55による気流が熱遮断板5の上方側に発生しているため、定着装置30及び定着直後の記録シートから放出される熱が熱遮断板5の端部に設けた開口部16から露光装置24側にある空間側に入り込んでしまうというおそれはない。
【0050】
[他の実施の形態]
実施の形態1,2では、熱が伝わって悪影響を受けやすい対象部品として、クリーニング装置、露光装置等を例示したが、その対象部品としてはこれに限定されない。他の例としては、現像装置等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施の形態1に係るプリンタを示す概略説明図である。
【図2】図1の装置における熱遮断板とその周辺部の構成を示す概略断面図である。
【図3】図2の熱遮断板の設置状態を示す側面から見たときの説明図である。
【図4】熱遮断板の斜視図とQ−Q線に沿う概略断面図である。
【図5】定着装置を筐体の外側に引き出したときの熱遮断板の下方側に形成される空間の状態を示す説明図である。
【図6】熱遮断板と外装カバーの接続部付近に形成される開口部の他の構成例を示す要部拡大断面図である。
【図7】一体化された定着装置及びシート排出搬送路を筐体の外側に引き出したときの熱遮断板の下方側に形成される空間の状態を示す説明図である。
【図8】実施の形態2に係るプリンタの要部(露光装置と熱遮断板の間の構成など)を示す概略断面図である。
【図9】露光装置から放出される熱を排出する開口部の他の構成例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1…プリンタ(画像形成装置)、5…熱遮断板(熱遮断部材)、10…筐体(画像形成装置の本体)、12A…外装カバー(一部の外装材)、12B…外装カバー(他の外装材)、15…開口部、24…露光装置(対象部品)、28…ベルトクリーニング装置(対象部品)、30…定着装置、40…シート排出搬送路(定着後搬送路)、50a…上昇傾斜面部(熱遮断板のうち一部の外装材と接続する端部)、50a,50b…熱遮断板の部位(端部以外の部位)、S…記録シート(被記録材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材に形成される画像を加熱して定着する定着装置と、
この定着装置から排出される定着直後の被記録材を搬送する定着後搬送路と、
前記定着装置及び定着後搬送路を搬送される定着直後の被記録材から排出される熱が伝わって悪影響を受けやすい対象部品と、
この対象部品と前記定着装置及び定着後搬送路との間を仕切るとともに一端部が画像形成装置の一部の外装材と接続するように設けられる熱遮断部材と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記熱遮断部材は、前記接続する一部の外装材と一体化されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記一部の外装材のうち熱遮断部材が接続される部位とこの外装材の部位と連続して配置される他の外装材との間に開口部を設けている請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記熱遮断部材のうち前記一部の外装材と接続する端部が、その端部以外の部位よりも上方側となる位置に配置されている請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着装置と前記定着後搬送路とが一体化されているとともに、その一体化された定着装置及び定着後搬送路が画像形成装置の本体に対して着脱自在に取り付けられている請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−298629(P2007−298629A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125213(P2006−125213)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】