画像形成装置
【課題】転写ローラの脱落等を抑制する部材が画像形成装置に取り付けられた場合に、その取り忘れを防止可能とする画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】画像形成装置は、搬送終了後、本体10aにプロセスカートリッジ11a〜11dが装着され、その後、転写ユニット30が備えられたカバー部材25が本体10aに対して閉じられる。規制部材50が転写ユニット30に取り付けられたままの状態であると、カバー部材25が閉じられる際に、規制部材50とプロセスカートリッジ11aに設けられた把手27とが係合する。この結果、転写ユニット30の所定位置への配置が阻止される。また、カバー部材25の開放状態が維持される。規制部材50と把手27とを当接させる構成を採用することで、ユーザに対し、本体10aとカバー部材25との間に規制部材50があることを認識させることが可能となる。
【解決手段】画像形成装置は、搬送終了後、本体10aにプロセスカートリッジ11a〜11dが装着され、その後、転写ユニット30が備えられたカバー部材25が本体10aに対して閉じられる。規制部材50が転写ユニット30に取り付けられたままの状態であると、カバー部材25が閉じられる際に、規制部材50とプロセスカートリッジ11aに設けられた把手27とが係合する。この結果、転写ユニット30の所定位置への配置が阻止される。また、カバー部材25の開放状態が維持される。規制部材50と把手27とを当接させる構成を採用することで、ユーザに対し、本体10aとカバー部材25との間に規制部材50があることを認識させることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、トナー像が形成される感光体ドラムと、この感光体ドラムと対向した位置に配置された転写ユニットとを備えたものが知られている。そして、この転写ユニットには、感光体ドラムと対向した位置に配置され感光体ドラム上のトナー像の転写を行うための転写ローラが備えられるのが一般的となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、このような画像形成装置は、一般的に多数の部材を各種方法により組み付けることで構成される。このような組み付け方法の一例として、相互に組み付けられる部材の少なくとも一方に弾性変形可能な弾性変形部を設け、他方の部材がこの弾性変形部を乗り越えることで両部材が係合する所謂スナップフィットという手法がある。そして、この方法を採用することで、各種部材を簡易に取り付けることが可能となる。このスナップフィットという手法については、様々な箇所において用いることが可能であり、例えば、上記転写ローラを転写ユニットに対して組み付ける際にも用いることができる。
【0004】
ところで、近年、画像形成装置に対する小型化の要求が高まってきており、この小型化を実現するためには、各部材の寸法を小さくしていく必要がある。しかしながら、各部材の寸法を小さくしていくと、この各部材を支持する箇所についても小型化し、例えば強度が低下することによって部材の脱落等が生じるおそれがある。
例えば、上記のようにスナップフィットを用いて転写ローラを転写ユニットに組み付ける場合、各部の寸法を小さくしていくと、上記弾性変形部の高さも自ずと低くなってしまう。この結果、装置搬送中における揺れ等により、転写ローラが上記弾性変形部を乗り越え易くなるために脱落等が生じ、転写ローラが所定位置とは異なる位置に配置されてしまうおそれがある。このように転写ローラが所定位置以外に配置されてしまうと、転写不良などの画質劣化を生じるおそれがある。また、脱落等によって他の部材との干渉が生じ、転写ローラ自身や周辺の他の部材を破損してしまうおそれもある。
【0005】
【特許文献1】特開2005−172992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題に対して、搬送中等における転写ローラの脱落を抑制するため、転写ローラの移動を規制し転写ローラの脱落を抑制する部材を取り付ける手法も考えられる。しかしながら、かかる部材を取り付けた場合には、搬送中の揺れ等に対する対策としては効果的であるものの、装置を使用する際にはこの部材が画像形成の障害となるおそれがある。即ち、画像形成の際には、転写ローラは所定位置に配置されている必要があるが、脱落等を抑制する部材が存在するために転写ローラが所定位置に配置されず画像形成の障害となるおそれがある。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、転写ローラの脱落等を抑制する部材が画像形成装置に取り付けられた場合に、その取り忘れを防止可能とする画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明が適用される画像形成装置は、記録材上に画像形成を行うための画像形成装置であって、トナー像の転写を行うための転写ローラと転写ローラを保持する本体部とを備え、画像形成装置の本体の所定位置に配置される転写ユニットと、転写ユニットに装着され転写ユニットの本体部による転写ローラの保持状態を維持するように転写ローラの移動を規制し、画像形成が行われる際には取り外される規制部材と、規制部材が転写ユニットに装着されている場合に、所定位置への転写ユニットの配置を阻止する阻止手段と、を有する。
【0009】
ここで、阻止手段は、規制部材と、画像形成の一部を担う構成部材とから構成され、構成部材が画像形成装置の本体に装着され、転写ユニットが所定位置に配置される際に、構成部材と規制部材とが突き当たることで所定位置への転写ユニットの配置が阻止されることを特徴とすることができる。また、規制部材は、第一の面を備え、構成部材は、第二の面を備え、転写ユニットが所定位置に配置される際に、第一の面と第二の面とが突き当たることを特徴とすることができる。さらに、構成部材と突き当たる規制部材を受ける受け部を更に備えたことを特徴とすることができる。
【0010】
また、転写ユニットが取り付けられ、画像形成装置の本体に対して開閉可能に設けられた開閉部を更に備え、開閉部は、開閉部を画像形成装置の本体に支持する支持部を中心として揺動可能に設けられ、構成部材は、開閉部を閉じた際に規制部材が位置する領域に、かつ、支持部から離れる方向に複数設けられ、規制部材は、開閉部が閉じられる際に、複数の構成部材のうち支持部に最も近い構成部材に突き当たることを特徴とすることができる。さらに、規制部材の転写ユニットに対する変位を抑制する抑制手段を更に備えたことを特徴とすることができる。
【0011】
他の観点から捉えると、本発明が適用される画像形成装置は、記録材上に画像形成を行うための画像形成装置であって、トナー像の転写を行うための転写ローラと転写ローラを保持する本体部とを備えた転写ユニットと、本体部による転写ローラの保持状態を維持するように転写ローラの移動を規制する規制部材と、転写ユニットが取り付けられ画像形成装置の本体に対して開閉可能に設けられた開閉部と、を有し、画像形成の一部を担う構成部材が画像形成装置に装着された場合に、構成部材と規制部材とを係合させることで開閉部の移動を制限し開閉部を開放状態に維持することを特徴とすることができる。
【0012】
また、構成部材は、画像形成装置の本体に着脱可能に設けられ、転写ユニット側に転写されるトナー像を形成するためのプロセスカートリッジであることを特徴とすることができる。さらに、規制部材は、転写ローラの両端部に設けられ、構成部材は、転写ローラの両端部において規制部材に係合することを特徴とすることができる。また、規制部材と構成部材とが係合することで構成部材が規制部材により押圧される際、構成部材は構成部材が画像形成装置に装着される際の装着方向に押圧されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、転写ローラの脱落等を抑制する部材が画像形成装置に取り付けられた場合に、その取り忘れを防止可能とする画像形成装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置10は、本体10a内に画像形成の一部を担う構成部材としての4つの色のプロセスカートリッジ(画像形成ユニット、ドラムカートリッジ)11a,11b,11c,11dを縦方向に順に配列した所謂タンデム型である。また、プロセスカートリッジ11a〜11dの各々の対応した箇所に、用紙Pが略垂直下方から上方に搬送される搬送路12が配置されている。そして、最下段(最上流)のプロセスカートリッジ11aの更に下方(上流側)には、搬送路12を搬送されてトナー像が順に転写される用紙Pを収容するための給紙カセット13が配設されている。なお、給紙カセット13に収容される用紙Pの大きさに起因して給紙カセット13の一部が本体10aの奥側(リヤ側、イン側)に突出するように構成され、用紙Pが小さいサイズであれば、本体10aから突出しない。
【0015】
プロセスカートリッジ11a〜11dは、搬送路12の上流側から順にイエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用、ブラック(K)用のトナー像を形成するものである。このプロセスカートリッジ11a〜11dの各々は、感光体ドラム(像担持体)14と、感光体ドラム14の周囲に順次配設されている各種の電子写真用デバイスと、を一体的にカートリッジ化したものである。
このデバイスとしては、感光体ドラム14を予め帯電する帯電ローラと、この帯電ローラにより帯電された感光体ドラム14上に露光形成された静電潜像を対応する各トナーで現像する現像装置と、感光体ドラム14上の廃トナーを除去するクリーニング装置と、がある。
また、各プロセスカートリッジ11a〜11dは、転写ユニット30と干渉しない位置に、着脱される際にユーザにより把持される把手27をそれぞれ備えている。
【0016】
プロセスカートリッジ11a〜11dの搬送路12の反対側には、プロセスカートリッジ11a〜11dに共通の露光装置(ROS)15が配設されている。この露光装置15は、各色に対応した画像データに基づいて図示しない4つの半導体レーザを点灯駆動する。そして、この4つの半導体レーザからの光を図示しないポリゴンミラーで偏向走査し、図示しないfθレンズ及び複数枚の反射ミラーを介して感光体ドラム14上の露光ポイントに導くことで、感光体ドラム14上に光像を描くように構成されている。
プロセスカートリッジ11a〜11dの各々の感光体ドラム14に対応した箇所には、
転写ユニット30が設けられている。この転写ユニット30には、搬送路12に沿って循環移動する搬送ベルト16が配設され、また、転写ローラ19が保持されている。
この搬送ベルト16は、用紙Pを静電吸着し得るベルト素材にて構成され、一対からなる駆動ローラ17A及び従動ローラ17Bに掛け渡されている。また、搬送路12には、搬送ベルト16に用紙Pを静電吸着させるための吸着ローラ18が配設されている。
【0017】
転写ローラ19は、プロセスカートリッジ11a〜11dの各々の感光体ドラム14に対応した搬送ベルト16の裏面側に配設されている。この転写ローラ19は、感光体ドラム14と搬送ベルト16上の用紙Pとを密着させて感光体ドラム14に形成されたトナー像を用紙Pに転写するためのものである。
最上段(最下流)プロセスカートリッジ11dの更に上方(下流側)の搬送路12には、定着装置20が設けられている。本体10aの上部には、定着装置20によりトナー像が定着されて排出された用紙Pを収容するための排紙部21が本体10aと一体に設けられている。また、本体10aには、定着装置20によって片面が定着された用紙Pを表裏反転させて搬送路12に再度送り込むための反転用搬送路22が配置されている。
【0018】
図2は、手差しトレイ23を説明するための図である。
図2に示すように、画像形成装置10の本体10aには、下端に設けた回動支点Jを中心に回動可能な手差しトレイ23が配設されている。すなわち、この手差しトレイ23は、手前側(フロント側、アウト側)に開閉可能に構成されている。この手差しトレイ23を開放する方向に回転させると、図示しない差し込み窓に所望の用紙Pをセットすることができる。このように、画像形成装置10は、給紙カセット13に収容されている用紙P以外の用紙Pを手差しトレイ23から給紙できるように構成されている。
ここで、トナー像を転写する用紙Pがセットされた状態にて、図示しない制御装置に対してユーザが指示することにより、給紙カセット13の用紙P及び手差しトレイ23の用紙Pのいずれか一方が所定のタイミングで送出される。そして、送出された用紙Pは、複数の搬送ローラ24を介して搬送路12に搬送され、搬送ベルト16を介してプロセスカートリッジ11a〜11dの各々の転写位置へと送り込まれる。
【0019】
図3は、カバー部材25を説明するための図である。
図3に示すように、画像形成装置10の本体10aには、本体10aに対して開閉可能に設けられた開閉部の一例としてのカバー部材25が配設されている。このカバー部材25は、下端に設けた回動支点J(支持部)を中心に回転(揺動)可能に配設されている。このカバー部材25は、閉じた状態では本体10aと共に外部カバーとして機能する。すなわち、カバー部材25は、給紙カセット13よりも上側でかつ画像形成装置10の手前側の側壁部を構成する。
カバー部材25には、搬送ベルト16と、駆動ローラ17Aと、従動ローラ17Bと、吸着ローラ18と、転写ローラ19等が備えられた転写ユニット30、及び反転用搬送路22が取り付けられている。したがって、カバー部材25を開けると、これらの部品が随伴して本体10a側から離間する。このため、カバー部材25を開けることでプロセスカートリッジ11a〜11dが露出し、また、搬送路12へのユーザによるアクセスが容易になる。
【0020】
ここで、プロセスカートリッジ11a〜11dの各々は、本体10aに対し略水平方向に着脱可能(自在)に装着されている。このため、本体10aのカバー部材25を開けることにより、プロセスカートリッジ11a〜11dの着脱操作を行うことが可能になる。なお、図示しないセット検出センサがプロセスカートリッジ11a〜11dの各々のセット状態を検出し、その検出結果を図示しない制御装置に出力する。
また、各プロセスカートリッジ11a〜11dの把手27は、カバー部材25が閉じた際に後述する規制部材50(図16参照)が位置する領域に配置されている。さらに、プロセスカートリッジ11a〜11dは、回転支点Jから離れる方向に並んで配置されている。
このように、カバー部材25を開けることで、プロセスカートリッジ11a〜11dを露出させて交換することができる。また、感光体ドラム14を露出した状態にして紙詰まりに対処(ジャムクリア)することができる。こうして画像形成装置10のメンテナンス性を向上させている。
【0021】
図4は、給紙カセット13の引き出し状態を説明するための図である。
給紙カセット13は、本体10aに設けられるカセット収容部26に収容されており、本体10aの手前側から引き出し可能となるように構成されている。より詳しくは、手差しトレイ23及びカバー部材25を閉じた状態でカセット収容部26に対して給紙カセット13の引き出しや挿入が可能である。
そして、給紙カセット13には、手差しトレイ23用の用紙Pがセットされる差し込み窓が設けられている。また、給紙カセット13には、手差しトレイ23の用紙Pを搬送するための複数の搬送ローラ24の一部が設けられている。このように、給紙カセット13には、差し込み窓にセットされた用紙Pが搬送路12へと送出される送出路が形成されている。
【0022】
次に、本画像形成装置の内部構成について説明する。
図5は、カバー部材25が開いた状態を示した斜視図である。なお、本図は、プロセスカートリッジ11a〜11d(図1参照)が装着されていない状態を示している。
カバー部材25を、回動支点Jを中心として開けると、転写ユニット30は本体10aから離間する。この結果、本画像形成装置10に大きく開口部10cが形成される。そして、本図の状態からカバー部材25を閉じると、転写ユニット30は本体10aの所定位置に配置される。
ここで、本体10aの内部について説明すると、本体10aの両側面内壁(一方は不図示)には、この側面内壁から本体10aの内方に向かって突出して設けられ各プロセスカートリッジ11a〜11d(図1参照)を両端部において支持する支持部10dが設けられている。さらに、本体10aの両側面内壁(一方は不図示)には、同じく側面内壁から本体10aの内方に向かって突出したストッパー部10eが複数設けられている。このストッパー部10eは、後述する規制部材50(図10参照)が転写ユニット30に取り付けられた場合に、この規制部材50と突き当たる(後述)。
【0023】
図6は、転写ユニット30を説明するための図である。
同図に示す転写ユニット30は、複数の転写ローラ19と、この転写ローラ19を保持する本体部31と、搬送ベルト16と、吸着ローラ18と、を備えている。また、転写ユニット30は、転写ローラ19と本体部31との間に後述する軸受け部材40(図7参照)を備えている。そして、この軸受け部材40により、各転写ローラ19は、本体部31に対して回転可能な構成となっている。
【0024】
次に、図6で示したA部について詳細に説明する。
図7は、転写ユニット30の本体部31における転写ローラ19の保持部35を示した説明図である。なお、本図においては、搬送ベルト16の図示を省略している。
同図に示すように、本体部31は、その両端部に、外壁部32と、この外壁部32と所定の間隙をおいて形成され外壁部32よりも内側に形成された内壁部33と、外壁部32と内壁部33との間に形成され後述する規制部材50(図10参照)の一部を収容する収容部34とを備えている。一方、転写ローラ19の端部には、本体部31との間に配置される軸受け部材40が設けられている。この軸受け部材40は、本体部31に設けられた保持部35により保持される。そして、軸受け部材40が保持部35により保持される結果、転写ローラ19は、本体部31に対して回転可能な構成となっている。
【0025】
次に、保持部35について説明する。
図8は、保持部35近傍について拡大して示した説明図である。なお、本図においては、転写ローラ19の図示を省略している。
同図に示すように、本体部31に設けられた保持部35には、軸受け部材40を収納する収納部39が設けられている。また、保持部35は、本体部31の底部37から搬送ベルト16(図6参照)方向に向かって突出して形成され互いに対向して配置された2本の突出片35aを備えている。また、保持部35は、各突出片35aの先端に位置し互いに他方の突出片35aに向かって突出して配置された規制突起35dを備えている。
さらに、保持部35は、内壁部33に2箇所形成され本体部31の内方に向かって突出して形成された凸部33aと、転写ローラ19(図7参照)の軸方向と略平行に配置され転写ローラ19を挟んで互いに対向して配置された仕切壁36を備えている。また、保持部35は、各々の仕切壁36に設けられ他方の仕切壁36に向かって突出するとともに内壁部33と略平行に配置された突出壁35bと、各々の突出壁35bの先端に設けられ内壁部33に向かって突出した凸部35hとを備えている。
【0026】
一方、軸受け部材40は、転写ローラ19を回転可能に支持するベース部45と、内壁部33と対向した面に形成され内壁部33との間に空隙70を形成する凹部43と、ベース部45の両側面に設けられ上記規制突起35dと突き当たることでベース部45の移動を規制する規制突起41とを備えている。また、軸受け部材40は、内壁部33と略平行に配置されるとともに上記突出壁35bに形成された凸部35hと内壁部33に形成された凸部33aとにより挟み込まれる突出片42と、ベース部45の搬送ベルト16(図6参照)側の表面に形成された頂部44とを備えている。
さらに、本実施形態における転写ユニット30は、軸受け部材40を搬送ベルト16(図6参照)に向かって押圧する弾性部材としての圧縮ばね71(図9参照)を、本体部31の底部37と、軸受け部材40との間に更に備えている。
本実施形態においては、突出片35aの規制突起35dと、軸受け部材40の規制突起41とが突き当たる構成となっており、転写ローラ19の搬送ベルト16(図6参照)方向への移動を規制することができる。
【0027】
さらに、軸受け部材40について詳細に説明する。
図9は、軸受け部材40の近傍における断面を示した説明図である。
同図に示すように、本実施形態においては、軸受け部材40を収納する収納部39が設けられている。そして、この収納部39に収納された軸受け部材40は、ベース部45の略中央部に転写ローラ19(図7参照)を回転可能に支持するための受け穴46を備えている。
さらに、軸受け部材40と本体部31の底部37との間には、上記のとおり軸受け部材40を搬送ベルト16(図6参照)に向かって押圧する圧縮ばね71を備えている。
また、軸受け部材40の側面に設けられた規制突起41は、規制突起35dが位置する側に規制面41aを有している。この規制面41aは、ベース部45の側面との間に形成されるくさび状領域のくさび角αが鋭角となるように構成されている。より具体的には、規制面41aは、ベース部45から離れるに従って底部37からも離れるように形成されている。
【0028】
一方、突出片35aの先端に設けられた規制突起35dは、底部37側に、収容部39に向かって傾斜して形成され軸受け部材40の規制突起41と突き当たる突き当て面としての規制面35kを有している。より具体的には、規制面35kは、突出片35aから離れるに従って底部37に接近するように形成されている。
本図に示した状態において、軸受け部材40が底部37から離れる方向に移動しようとすると、上記のとおり軸受け部材40の規制突起41が突出片35aの規制突起35dに突き当たる。本実施形態においては、規制突起41と規制突起35dに形成された規制面41aおよび規制面35kを上記のような角度で配置しているため、軸受け部材40の移動を効果的に規制することが可能となっている。
【0029】
ところで、近年、装置の小型化が益々望まれている。このため、本実施形態における装置についても、各種部材の肉厚、間隙等を小さくしこの要求を満足しようとしている。本実施形態においては、例えば、軸受け部材40や保持部35の各部寸法を小さいものとしている。また、軸受け部材40に設けられた規制突起41、および突出片35aの先端に形成された規制突起35dの突出量を極力抑えた構成を採用している。ところが、このように各部の寸法等を小さくしていくと、強度が低下する。また、規制突起41および規制突起35dの突出量を小さくした場合は、規制突起41と規制突起35dとの引っかかり量が小さくなる。このため、装置の搬送や落下などによって生じる揺れ、衝撃等により軸受け部材40、転写ローラ19が転写ユニット30から外れやすくなる(脱落しやすくなる)という不具合が生じる。そこで、本実施形態においては、軸受け部材40の外れ(脱落)を抑制することで転写ローラ19の外れを抑制している。
【0030】
図10は、転写ローラ19の外れを防止するための規制部材50を取り付けた状態を示した説明図である。
同図に示す転写ユニット30は、転写ローラ19(図6参照)の移動を規制し本体部31による転写ローラ19の保持状態を維持する規制部材50を備えている。
この規制部材50は、搬送ベルト16の移動方向に沿って、また、搬送ベルト16の移動方向と直交する方向における本体部31の両端部に着脱可能に設けられている。また、規制部材50は2つ設けられ、転写ローラ19(図6参照)の両端部において転写ローラ19の移動を規制している。
【0031】
さらに、詳細に規制部材50について説明する。
図11は、規制部材50の詳細を示した斜視図である。
同図に示す、規制部材50は、樹脂(具体的にはポリプロピレン(PP))により形成されている。この規制部材50は、図5で示したストッパー部10eが入り込む凹状に形成された接触部51aを備えた板状の本体部51を備えている。そして、この本体部51の長手方向には、軸受け部材40の移動を規制する複数(本実施形態においては4つ)の規制部(第1の規制部52〜第4の規制部55)と、本体部51の一方の端部に設けられ後述する連結部材61が取り付けられる取付部56とが設けられている。
第1の規制部52〜第4の規制部55は、図1等で示した4本の転写ローラ19の移動をそれぞれ規制する役割を果たす。本実施形態においては、このように、一つ(単一)の規制部材50により複数の転写ローラ19の移動を規制する構成を採用している。これにより部品点数を減少させることができコストの低下を図ることができる。また、装着および除去の際の作業性を向上させることが可能となる。
【0032】
次に、各規制部(第1の規制部52〜第4の規制部55)について詳細に説明する。
図12は、各規制部の詳細を示した斜視図である。図12(a)は、図11における第1の規制部52を示したものであり、図12(b)は、図11における第2の規制部53を示したものである。なお、第4の規制部55は第1の規制部52と、第3の規制部54は第2の規制部53と同様な構成であるため、第3の規制部54および第4の規制部55の説明は省略する。
まず、第1の規制部52から説明する。図12(a)に示す第1の規制部52は、本体部51と同一面上に形成され転写ローラ19(図6参照)側に向かって本体部51から延設されて形成された延設部52bを備えている。また、第1の規制部52は、この延設部52bの先端に設けられ延設部52bから本体部31の底部37(図8参照)に向かって突出した対向部52aを備えている。
【0033】
また、第1の規制部52は、対向部52aの一側面であって底部37に面した箇所に角度の浅いV字状の面をした底部52cと、この底部52cの略中央部からさらに底部37に向かって突出した挿入部52dとを備えている。さらに、第1の規制部52は、本体部51と延設部52bとの接合部52hから底部37に向かって突出した突出片52eを備えている。また、第1の規制部52は、この突出片52eの先端に位置し転写ローラ19(図6参照)側に向かって突出する爪形状の規制突起52fを2箇所(一方は不図示)備えている。そして、この規制突起52fと本体部31の内壁部33(図7参照)とにより、規制部材50と本体部31との係合部が形成される。また、第1の規制部52は、本体部51から底部37に向かって突出した箱状の箱状部52gを備えている。なお、この箱状部52gの一側面は突出片52eの一部を構成している。
【0034】
次に、第2の規制部53について説明する。基本的には、第1の規制部52と同じであるが、第2の規制部53には、第1の規制部52における突出片52eおよび規制突起52fに相当する部分が存在しない構成となっている。
即ち、第2の規制部53は、延設部53bと、対向部53aと、底部53cと、挿入部53dと、箱状部53gとを備えている。
本実施形態においては、上記のとおり第1の規制部52および第4の規制部55、即ち、複数存在する規制部のうち規制部材50の(両)端部側に位置する規制部に突出片52eおよび規制突起52fを設けている。この結果、第1の規制部52および第4の規制部55のおける規制荷重が高くなるようになっている。端部近傍は、他の部材と干渉可能性が高く、外れやすい傾向にある。本実施形態では、上記のように規制部材50の端部近傍に位置する規制部の規制荷重を他の規制部よりも大きくすることで、規制部材50の意図しない本体部31からの外れを抑制している。
【0035】
次に、規制部材50を本体部31に装着した状態について説明する。
図13は、規制部材50を本体部31に取り付けた状態における第1の規制部52近傍を詳細に示した説明図である。
同図に示すように、規制部材50の本体部51は、本体部31の外壁部32と内壁部33との間に形成された収容部34に位置している。そして、本体部51から延設して設けられた延設部52bが、内壁部33を跨ぐ形で配置されることで、延設部52bの先端に位置する対向部52aが軸受け部材40(図7参照)近傍に配置される。
本図のように配置された状態においては、規制部材50に荷重が作用しても第1の規制部52、第4の規制部55に設けた規制突起52f(図12参照)が内壁部33の下縁部に係合するため、搬送中の揺れ等によって規制部材50に転写ローラ19側から荷重が作用しても規制部材50は本体部31から容易に外れないようになっている。
【0036】
さらに、図5も参照して説明すると、この規制部材50は、カバー部材25が閉じた状態において、本体10aに形成されたストッパー部10eに突き当たり、このストッパー部10eにより移動が規制される構成となっている。より具体的には、カバー部材25が閉じた状態においては、規制部材50はストッパー部10eと本体部31とにより挟み込まれる構成となっている。この結果、搬送中の揺れ等による転写ローラ19の脱落をより確実に抑制することができる。
なお、本実施形態においては、画像形成装置についての例について説明してあるが、例えば、転写ユニット30単体に対して転写ユニット30の損傷等を防止する保護部材を設け、この保護部材と転写ユニット30とで規制部材50を挟み込み、規制部材50の移動を規制することもできる。
【0037】
また、本実施形態においては、規制部材50と本体10aとの相対的な位置決めを行う位置決め部がさらに備えられている。本実施形態においては、この位置決め部は、規制部材50に形成された接触部51a(図11参照)と、本体10aに形成されたストッパー部10e(図5参照)とから構成されている。規制部材50が本体10aと転写ユニット30とにより挟み込まれた状態において、規制部材50に形成された接触部51aに本体10aに形成されたストッパー部10eが嵌り込み、規制部材50と本体10aとの位置決めがなされる。この結果、規制部材50の長手方向における規制部材50の本体10aに対する位置ずれを抑制することが可能となり、軸受け部材40および転写ローラ19をより安定的に保持することが可能となる。
【0038】
さらに、この第1の規制部52について説明する。
図14は、図13の状態から搬送ベルト16の図示を省略した説明図である。また、本図においては、突出片35aおよび規制突起35dの図示も省略している。
同図に示すように、規制部材50が本体部31に装着された状態において、対向部52aは、内壁部33と突出壁35bとの間に形成された空間に位置する。また、対向部52aの底部52cが、軸受け部材40の頂部44と接する状態となる。このため、軸受け部材40および軸受け部材40に取り付けられた転写ローラ19の底部37(図8参照)から離れる方向への移動が規制される。このため、搬送中に生じる揺れや落下などによる転写ローラ19の本体部31からの外れ(脱落)を抑制することができる。
また、V字状に盛り上がって形成された軸受け部材40の頂部44と、V字状に凹んで形成された対向部52aの底部52cとが噛み合うため、搬送等により揺れ等が作用したとしても転写ローラ19を安定的に配置することが可能となる。
【0039】
さらには、規制部材50の挿入部52d(図12参照)が、空隙70(図8参照)に位置するため、転写ローラ19の用紙搬送方向への移動を規制可能となり、転写ローラ19をより安定的に配置可能となる。
なお、転写ローラ19の軸方向における規制部材50の移動は、対向部52a等と突出片52e(図12参照)との間に内壁部33(図7参照)が位置することで規制される。また、規制部材50の長手方向への移動は、軸受け部材40が突出壁35bに突き当たることで規制される。
以上の構成を採用することにより、搬送中における軸受け部材40および転写ローラ19の脱落を防止することが可能となることから、軸受け部材40周辺の小型化、省スペース化を積極的に行うことが可能となり、最終的に装置の小型化を促進することが可能となる。
【0040】
規制部材50は、搬送等の終了後、ユーザ等により転写ユニット30から取り除かれる。本実施形態においては、規制部材50を簡易に取り除くための構成を採用している。
図15は、規制部材50周辺の状態を示した説明図である。
本実施形態においては、表示部60と、この表示部60と規制部材50とを連結する紐状の連結部材61とが更に備えられている。なお、本図においては、転写ユニット30(図10参照)の図示は省略している。
表示部60は、ユーザ等に対し、本画像形成装置を使用する際に、規制部材50を取り外す必要がある旨や、規制部材50の取り外し方等を示す役割を果たす。
連結部材61は、表示部60と一方の規制部材50とを連結する第1の連結部材61aと、一方の(第1の)規制部材50と他方の(第2の)規制部材50との間に弛んで(テンションがかかっていない状態)配置され一方の規制部材50と他方の規制部材50とを連結する第2の連結部材61bとから構成されている。なお、連結部材61は、リング状に形成された取付部56(図11参照)に取り付けられている。
【0041】
ユーザ等が表示部60を引っ張ると、まず第1の連結部材61aに張力が加わり一方の規制部材50側に荷重が大きく作用する。この荷重によりまず一方の規制部材50における第1の規制部52(図11参照)が本体部31(図10参照)からの離間を開始する。その後は、第2の規制部53、第3の規制部54(図11参照)が、順に本体部31から離間する。第2の規制部53、第3の規制部54が離間すると、次第に第2の連結部材61b側にも張力が加わり始めるようになり、他方の規制部材50における第1の規制部52が本体部31から離間するようになる。そして、最終的には、両規制部材50は本体部31から取り除かれる。
【0042】
本実施形態の構成を採用すると、一方の規制部材50に対して荷重を集中的に加えることが可能となる。このため、取り外し初期における規制部材50を除去するための荷重を小さくすることが可能となる。特に本実施形態においては、上述のとおり規制部材50の長手方向の端部に位置する第1の規制部52には規制突起52fを設けている(図12参照)。このため、第1の規制部52においては、第2の規制部53、第3の規制部54に比べ本体部31から規制部材50を除去するために要する荷重も大きくなる。本実施形態のように、一方の規制部材50に対して集中的に荷重が作用する構成を採用すれば、このような態様の規制部材50であっても、容易に本体部31から取り除くことが可能となる。さらに、本実施形態においては、両規制部材50のそれぞれを別個に取り除くのではなく、連結部材61により一体に取り除くことが可能となっている。このため、ユーザ等にとっては、一回の動作で両規制部材50を取り除くことが可能となり、規制部材50の除去作業を簡易化することが可能となる。
【0043】
さらに、本実施形態において規制部材50は、上述のとおり樹脂により構成されている。このため、規制部材50を取り除く際に、例えば第1の規制部52における突出片52e(図12参照)を変形させることが可能となり、規制突起52fと内壁部33との係合を解除することができる。
また、本実施形態においては、カバー部材25が閉じられた図1のような状態において、ユーザ等に規制部材50の存在を知らせるため表示部60は装置外部に露出した状態で配置される。本実施形態においては、連結部材61を上述のとおり第1の連結部材61aと第2の連結部材61bとから構成し、表示部60と繋がった第1の連結部材61aを一方の規制部材50のみに連列する構成を採用している。表示部60を両規制部材50と同時に結ぶ形を採用すると、表示部60を装置外部に配置する場合に連結部材61の長さが長くなってしまう。本実施形態における構成を採用することで、表示部60を装置外部に配置する場合であっても連結部材61の長さを短くすることが可能となる。
【0044】
ところで、本実施形態においては、規制部材50の取り外し忘れを防止するための構成を更に採用している。次にこの取り外し忘れ防止のための構成について説明する。
図16は、カバー部材25の本体10aに対する動作を説明した概略構成図である。
本実施形態における画像形成装置は、搬送終了後、本体10aにプロセスカートリッジ11a〜11dが装着され、その後、同図に示すように転写ユニット30が備えられたカバー部材25が本体10aに対して閉じられる。
本実施形態においては、規制部材50が転写ユニット30に取り付けられたままの状態(取り除かれていない状態)であると、カバー部材25が閉じられる際に、規制部材50とプロセスカートリッジ11aに設けられた把手27とが係合(突き当たる)する構成を採用している。この結果、転写ユニット30の所定位置への配置が阻止される。また、カバー部材25の移動が制限されカバー部材25を閉じることができず、カバー部材25の開放状態が維持される。
規制部材50が取り除かれていない状態では、規制部材50により軸受け部材40(図14参照)が押圧されたままとなる。この結果、軸受け部材40に取り付けられた転写ローラ19は感光体ドラム14(図1参照)から離れる方向の位置に配設されたままの状態となり、転写不良等を引き起こす可能性がある。
【0045】
上記のように、規制部材50と把手27とを当接させる構成を採用することで、本体10aとカバー部材25との間に障害物(本実施形態においては規制部材50)があることをユーザに認識させることが可能となる。この結果、規制部材50の除去をユーザに促すことができ、転写不良等の発生を抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態においては、複数設けられたプロセスカートリッジ(11a〜11d)のうち、回動支点Jに最も近いプロセスカートリッジ11aの把手27と、規制部材50とが突き当たる構成を採用している。
このように、回動支点Jに近い位置において突き当て部を配置することで、カバー部材25を閉じる際に、カバー部材25の移動速度が比較的小さい段階において、把手27と規制部材50との突き当てが生じることになる。このため、両部材の突き当て時に生じる衝撃を比較的小さいものとすることが可能となり、衝撃による各部材の破損等を抑制することができる。また、カバー部材25が閉じられる初期の段階においてユーザ等に対し規制部材50の取り外しを知らせることが可能となる。
【0046】
次に、把手27と規制部材50とが突き当たった状態を詳細に説明する。
図17は、第1のプロセスカートリッジ11aの把手27と規制部材50とが突き当たった状態を示したものである。
同図および図16に示すように、規制部材50は最も回動支点Jに近い第1のプロセスカートリッジ11aの把手27と突き当たる構成となっている。さらに、把手27は、転写ローラ19の両端部に設けられた規制部材50(図10参照)と突き当たる構成となっている。このため、規制部材50と把手27とが突き当たる際に衝撃が緩和され各部の破損等を抑制することが可能となる。さらに、突き当て時のカバー部材25等の挙動を安定化させることが可能となる。
【0047】
さらに、把手27と規制部材50とを突き当てた状態を別の角度から説明する。
図18は、図17における把手27と規制部材50近傍を示した断面図である。
同図に示す把手27は、平面状に形成され規制部材50が突き当たる第二の面としてのストッパー部70aを備えている。
一方、規制部材50は、平面上に形成されるとともに、本体部51における回動支点J(図16参照)に近い側の端部にストッパー部70aに突き当たる第一の面としての突き当て部51bと備えている。さらに、規制部材50は、本体部51を挟んで突き当て部51bの反対側に、荷重が作用した際に本体部31に押し当てられる押し当て部51cを備えている。
本実施形態においては、把手27と規制部材50とを突き当てると、ストッパー部70aと突き当て部51bとが互いに面接触をする構成を採用している。このように面接触とすることで、接触面積を確保することができ付き当て時に過度の集中荷重が作用しないようになり、把手27や規制部材50の破損を防止すること可能となる。また、突き当て部におけるスリップ等も抑制することが可能なり、安定した突き当てが可能となる。さらに、規制部材50が把手27に突き当たった際に転写ユニット30、カバー部材25(図16参照)のぐらつき等を抑制し転写ユニット30等の安定化を図ることが可能となる。
【0048】
さらに、本実施形態においては、プロセスカートリッジ11a(図16参照)の装着方向(図18の矢印A参照)に対して略直交する方向にストッパー部70aを配置している。さらに、規制部材50と把手27とが突き当たる際には、規制部材50の突き当て部51bもプロセスカートリッジ11aの装着方向に対して略直交する関係となる。
一方、プロセスカートリッジ11aが本体10aに装着される際は、装着方向における位置決めを行うため、本体10aにプロセスカートリッジ11aが突き当たる係合部(不図示)が形成されている。
ストッパー部70aおよび突き当て部51bをプロセスカートリッジ11aの装着方向と略直交する関係に配置することで、把手27に作用する規制部材50からの荷重を本体10aに配置された係合部(不図示)に対して効果的に伝えることが可能となる。即ち、規制部材50から作用する把手27への荷重の作用方向と係合部(不図示)による加重の支持方向とを一致させることが可能となる。この結果、プロセスカートリッジ11aのぐらつき等を抑制可能となり、規制部材50と把手27との突き当てをより安定化させることが可能となる。
【0049】
さらに、本実施形態においては、上記のとおり、規制部材50と把手27とが突き当たる際に、規制部材50の押し当て部51cが本体部31の受け部38に押し当てられる構成となっている。この構成により、規制部材50に把手27から加重が作用した場合、規制部材50の揺動等を抑制することが可能となり、規制部材50の安定化を図ることが可能となる。また、転写ユニット30のぐらつき等を抑制することが可能となる。また、把手27による規制部材50の破損等を抑制することが可能となる。
また、本実施形態においては、規制部材50の転写ユニット30に対する変位を抑制する抑制部を備えている。本実施形態においては、この抑制部は、挿入部52d(図12参照)と、軸受け部材40と、突出壁35b(図8参照)とから構成されている。挿入部52dが、軸受け部材40の凹部43(図8参照)により形成される空隙70に挿入され、また、軸受け部材40が突出壁35b(図8参照)と突き当たることで、規制部材50はその長手方向への移動が抑制される。このため、更に規制部材50を安定して配置可能となり、規制部材50と把手27の突き当て等を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】手差しトレイを説明するための図である。
【図3】カバー部材を説明するための図である。
【図4】給紙カセットの引き出し状態を説明するための図である。
【図5】カバー部材を開け、カバー部材が本体から離間した状態を示した斜視図である。
【図6】転写ユニットの正面図である。
【図7】本体部における転写ローラの保持部を示した説明図である。
【図8】保持部近傍について拡大して示した説明図である。
【図9】軸受け部材近傍の断面を示した説明図である。
【図10】転写ローラの外れを防止するための規制部材を取り付けた状態を示した説明図である。
【図11】規制部材の詳細を示した斜視図である。
【図12】各規制部の詳細を示した斜視図である。
【図13】規制部材を本体部に取り付けた状態における第1の規制部近傍を詳細に示した説明図である。
【図14】図13の状態から搬送ベルトの図示を省略した説明図である。
【図15】規制部材周辺の状態を示した説明図である。
【図16】カバー部材の本体に対する動作を説明した概略構成図である。
【図17】第1のプロセスカートリッジの把手と規制部材とが突き当たった状態を示したものである。
【図18】図17における把手と規制部材近傍を示した断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10…画像形成装置、10a…本体、11a,11b,11c,11d…プロセスカートリッジ、19…転写ローラ、25…カバー部材、30…転写ユニット、31…本体部、35b…突出壁、38…受け部、40…軸受け部材、50…規制部材、51b…突き当て部、52d…挿入部、70a…ストッパー部、J…回転支点
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、トナー像が形成される感光体ドラムと、この感光体ドラムと対向した位置に配置された転写ユニットとを備えたものが知られている。そして、この転写ユニットには、感光体ドラムと対向した位置に配置され感光体ドラム上のトナー像の転写を行うための転写ローラが備えられるのが一般的となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、このような画像形成装置は、一般的に多数の部材を各種方法により組み付けることで構成される。このような組み付け方法の一例として、相互に組み付けられる部材の少なくとも一方に弾性変形可能な弾性変形部を設け、他方の部材がこの弾性変形部を乗り越えることで両部材が係合する所謂スナップフィットという手法がある。そして、この方法を採用することで、各種部材を簡易に取り付けることが可能となる。このスナップフィットという手法については、様々な箇所において用いることが可能であり、例えば、上記転写ローラを転写ユニットに対して組み付ける際にも用いることができる。
【0004】
ところで、近年、画像形成装置に対する小型化の要求が高まってきており、この小型化を実現するためには、各部材の寸法を小さくしていく必要がある。しかしながら、各部材の寸法を小さくしていくと、この各部材を支持する箇所についても小型化し、例えば強度が低下することによって部材の脱落等が生じるおそれがある。
例えば、上記のようにスナップフィットを用いて転写ローラを転写ユニットに組み付ける場合、各部の寸法を小さくしていくと、上記弾性変形部の高さも自ずと低くなってしまう。この結果、装置搬送中における揺れ等により、転写ローラが上記弾性変形部を乗り越え易くなるために脱落等が生じ、転写ローラが所定位置とは異なる位置に配置されてしまうおそれがある。このように転写ローラが所定位置以外に配置されてしまうと、転写不良などの画質劣化を生じるおそれがある。また、脱落等によって他の部材との干渉が生じ、転写ローラ自身や周辺の他の部材を破損してしまうおそれもある。
【0005】
【特許文献1】特開2005−172992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題に対して、搬送中等における転写ローラの脱落を抑制するため、転写ローラの移動を規制し転写ローラの脱落を抑制する部材を取り付ける手法も考えられる。しかしながら、かかる部材を取り付けた場合には、搬送中の揺れ等に対する対策としては効果的であるものの、装置を使用する際にはこの部材が画像形成の障害となるおそれがある。即ち、画像形成の際には、転写ローラは所定位置に配置されている必要があるが、脱落等を抑制する部材が存在するために転写ローラが所定位置に配置されず画像形成の障害となるおそれがある。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、転写ローラの脱落等を抑制する部材が画像形成装置に取り付けられた場合に、その取り忘れを防止可能とする画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明が適用される画像形成装置は、記録材上に画像形成を行うための画像形成装置であって、トナー像の転写を行うための転写ローラと転写ローラを保持する本体部とを備え、画像形成装置の本体の所定位置に配置される転写ユニットと、転写ユニットに装着され転写ユニットの本体部による転写ローラの保持状態を維持するように転写ローラの移動を規制し、画像形成が行われる際には取り外される規制部材と、規制部材が転写ユニットに装着されている場合に、所定位置への転写ユニットの配置を阻止する阻止手段と、を有する。
【0009】
ここで、阻止手段は、規制部材と、画像形成の一部を担う構成部材とから構成され、構成部材が画像形成装置の本体に装着され、転写ユニットが所定位置に配置される際に、構成部材と規制部材とが突き当たることで所定位置への転写ユニットの配置が阻止されることを特徴とすることができる。また、規制部材は、第一の面を備え、構成部材は、第二の面を備え、転写ユニットが所定位置に配置される際に、第一の面と第二の面とが突き当たることを特徴とすることができる。さらに、構成部材と突き当たる規制部材を受ける受け部を更に備えたことを特徴とすることができる。
【0010】
また、転写ユニットが取り付けられ、画像形成装置の本体に対して開閉可能に設けられた開閉部を更に備え、開閉部は、開閉部を画像形成装置の本体に支持する支持部を中心として揺動可能に設けられ、構成部材は、開閉部を閉じた際に規制部材が位置する領域に、かつ、支持部から離れる方向に複数設けられ、規制部材は、開閉部が閉じられる際に、複数の構成部材のうち支持部に最も近い構成部材に突き当たることを特徴とすることができる。さらに、規制部材の転写ユニットに対する変位を抑制する抑制手段を更に備えたことを特徴とすることができる。
【0011】
他の観点から捉えると、本発明が適用される画像形成装置は、記録材上に画像形成を行うための画像形成装置であって、トナー像の転写を行うための転写ローラと転写ローラを保持する本体部とを備えた転写ユニットと、本体部による転写ローラの保持状態を維持するように転写ローラの移動を規制する規制部材と、転写ユニットが取り付けられ画像形成装置の本体に対して開閉可能に設けられた開閉部と、を有し、画像形成の一部を担う構成部材が画像形成装置に装着された場合に、構成部材と規制部材とを係合させることで開閉部の移動を制限し開閉部を開放状態に維持することを特徴とすることができる。
【0012】
また、構成部材は、画像形成装置の本体に着脱可能に設けられ、転写ユニット側に転写されるトナー像を形成するためのプロセスカートリッジであることを特徴とすることができる。さらに、規制部材は、転写ローラの両端部に設けられ、構成部材は、転写ローラの両端部において規制部材に係合することを特徴とすることができる。また、規制部材と構成部材とが係合することで構成部材が規制部材により押圧される際、構成部材は構成部材が画像形成装置に装着される際の装着方向に押圧されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、転写ローラの脱落等を抑制する部材が画像形成装置に取り付けられた場合に、その取り忘れを防止可能とする画像形成装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置10は、本体10a内に画像形成の一部を担う構成部材としての4つの色のプロセスカートリッジ(画像形成ユニット、ドラムカートリッジ)11a,11b,11c,11dを縦方向に順に配列した所謂タンデム型である。また、プロセスカートリッジ11a〜11dの各々の対応した箇所に、用紙Pが略垂直下方から上方に搬送される搬送路12が配置されている。そして、最下段(最上流)のプロセスカートリッジ11aの更に下方(上流側)には、搬送路12を搬送されてトナー像が順に転写される用紙Pを収容するための給紙カセット13が配設されている。なお、給紙カセット13に収容される用紙Pの大きさに起因して給紙カセット13の一部が本体10aの奥側(リヤ側、イン側)に突出するように構成され、用紙Pが小さいサイズであれば、本体10aから突出しない。
【0015】
プロセスカートリッジ11a〜11dは、搬送路12の上流側から順にイエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用、ブラック(K)用のトナー像を形成するものである。このプロセスカートリッジ11a〜11dの各々は、感光体ドラム(像担持体)14と、感光体ドラム14の周囲に順次配設されている各種の電子写真用デバイスと、を一体的にカートリッジ化したものである。
このデバイスとしては、感光体ドラム14を予め帯電する帯電ローラと、この帯電ローラにより帯電された感光体ドラム14上に露光形成された静電潜像を対応する各トナーで現像する現像装置と、感光体ドラム14上の廃トナーを除去するクリーニング装置と、がある。
また、各プロセスカートリッジ11a〜11dは、転写ユニット30と干渉しない位置に、着脱される際にユーザにより把持される把手27をそれぞれ備えている。
【0016】
プロセスカートリッジ11a〜11dの搬送路12の反対側には、プロセスカートリッジ11a〜11dに共通の露光装置(ROS)15が配設されている。この露光装置15は、各色に対応した画像データに基づいて図示しない4つの半導体レーザを点灯駆動する。そして、この4つの半導体レーザからの光を図示しないポリゴンミラーで偏向走査し、図示しないfθレンズ及び複数枚の反射ミラーを介して感光体ドラム14上の露光ポイントに導くことで、感光体ドラム14上に光像を描くように構成されている。
プロセスカートリッジ11a〜11dの各々の感光体ドラム14に対応した箇所には、
転写ユニット30が設けられている。この転写ユニット30には、搬送路12に沿って循環移動する搬送ベルト16が配設され、また、転写ローラ19が保持されている。
この搬送ベルト16は、用紙Pを静電吸着し得るベルト素材にて構成され、一対からなる駆動ローラ17A及び従動ローラ17Bに掛け渡されている。また、搬送路12には、搬送ベルト16に用紙Pを静電吸着させるための吸着ローラ18が配設されている。
【0017】
転写ローラ19は、プロセスカートリッジ11a〜11dの各々の感光体ドラム14に対応した搬送ベルト16の裏面側に配設されている。この転写ローラ19は、感光体ドラム14と搬送ベルト16上の用紙Pとを密着させて感光体ドラム14に形成されたトナー像を用紙Pに転写するためのものである。
最上段(最下流)プロセスカートリッジ11dの更に上方(下流側)の搬送路12には、定着装置20が設けられている。本体10aの上部には、定着装置20によりトナー像が定着されて排出された用紙Pを収容するための排紙部21が本体10aと一体に設けられている。また、本体10aには、定着装置20によって片面が定着された用紙Pを表裏反転させて搬送路12に再度送り込むための反転用搬送路22が配置されている。
【0018】
図2は、手差しトレイ23を説明するための図である。
図2に示すように、画像形成装置10の本体10aには、下端に設けた回動支点Jを中心に回動可能な手差しトレイ23が配設されている。すなわち、この手差しトレイ23は、手前側(フロント側、アウト側)に開閉可能に構成されている。この手差しトレイ23を開放する方向に回転させると、図示しない差し込み窓に所望の用紙Pをセットすることができる。このように、画像形成装置10は、給紙カセット13に収容されている用紙P以外の用紙Pを手差しトレイ23から給紙できるように構成されている。
ここで、トナー像を転写する用紙Pがセットされた状態にて、図示しない制御装置に対してユーザが指示することにより、給紙カセット13の用紙P及び手差しトレイ23の用紙Pのいずれか一方が所定のタイミングで送出される。そして、送出された用紙Pは、複数の搬送ローラ24を介して搬送路12に搬送され、搬送ベルト16を介してプロセスカートリッジ11a〜11dの各々の転写位置へと送り込まれる。
【0019】
図3は、カバー部材25を説明するための図である。
図3に示すように、画像形成装置10の本体10aには、本体10aに対して開閉可能に設けられた開閉部の一例としてのカバー部材25が配設されている。このカバー部材25は、下端に設けた回動支点J(支持部)を中心に回転(揺動)可能に配設されている。このカバー部材25は、閉じた状態では本体10aと共に外部カバーとして機能する。すなわち、カバー部材25は、給紙カセット13よりも上側でかつ画像形成装置10の手前側の側壁部を構成する。
カバー部材25には、搬送ベルト16と、駆動ローラ17Aと、従動ローラ17Bと、吸着ローラ18と、転写ローラ19等が備えられた転写ユニット30、及び反転用搬送路22が取り付けられている。したがって、カバー部材25を開けると、これらの部品が随伴して本体10a側から離間する。このため、カバー部材25を開けることでプロセスカートリッジ11a〜11dが露出し、また、搬送路12へのユーザによるアクセスが容易になる。
【0020】
ここで、プロセスカートリッジ11a〜11dの各々は、本体10aに対し略水平方向に着脱可能(自在)に装着されている。このため、本体10aのカバー部材25を開けることにより、プロセスカートリッジ11a〜11dの着脱操作を行うことが可能になる。なお、図示しないセット検出センサがプロセスカートリッジ11a〜11dの各々のセット状態を検出し、その検出結果を図示しない制御装置に出力する。
また、各プロセスカートリッジ11a〜11dの把手27は、カバー部材25が閉じた際に後述する規制部材50(図16参照)が位置する領域に配置されている。さらに、プロセスカートリッジ11a〜11dは、回転支点Jから離れる方向に並んで配置されている。
このように、カバー部材25を開けることで、プロセスカートリッジ11a〜11dを露出させて交換することができる。また、感光体ドラム14を露出した状態にして紙詰まりに対処(ジャムクリア)することができる。こうして画像形成装置10のメンテナンス性を向上させている。
【0021】
図4は、給紙カセット13の引き出し状態を説明するための図である。
給紙カセット13は、本体10aに設けられるカセット収容部26に収容されており、本体10aの手前側から引き出し可能となるように構成されている。より詳しくは、手差しトレイ23及びカバー部材25を閉じた状態でカセット収容部26に対して給紙カセット13の引き出しや挿入が可能である。
そして、給紙カセット13には、手差しトレイ23用の用紙Pがセットされる差し込み窓が設けられている。また、給紙カセット13には、手差しトレイ23の用紙Pを搬送するための複数の搬送ローラ24の一部が設けられている。このように、給紙カセット13には、差し込み窓にセットされた用紙Pが搬送路12へと送出される送出路が形成されている。
【0022】
次に、本画像形成装置の内部構成について説明する。
図5は、カバー部材25が開いた状態を示した斜視図である。なお、本図は、プロセスカートリッジ11a〜11d(図1参照)が装着されていない状態を示している。
カバー部材25を、回動支点Jを中心として開けると、転写ユニット30は本体10aから離間する。この結果、本画像形成装置10に大きく開口部10cが形成される。そして、本図の状態からカバー部材25を閉じると、転写ユニット30は本体10aの所定位置に配置される。
ここで、本体10aの内部について説明すると、本体10aの両側面内壁(一方は不図示)には、この側面内壁から本体10aの内方に向かって突出して設けられ各プロセスカートリッジ11a〜11d(図1参照)を両端部において支持する支持部10dが設けられている。さらに、本体10aの両側面内壁(一方は不図示)には、同じく側面内壁から本体10aの内方に向かって突出したストッパー部10eが複数設けられている。このストッパー部10eは、後述する規制部材50(図10参照)が転写ユニット30に取り付けられた場合に、この規制部材50と突き当たる(後述)。
【0023】
図6は、転写ユニット30を説明するための図である。
同図に示す転写ユニット30は、複数の転写ローラ19と、この転写ローラ19を保持する本体部31と、搬送ベルト16と、吸着ローラ18と、を備えている。また、転写ユニット30は、転写ローラ19と本体部31との間に後述する軸受け部材40(図7参照)を備えている。そして、この軸受け部材40により、各転写ローラ19は、本体部31に対して回転可能な構成となっている。
【0024】
次に、図6で示したA部について詳細に説明する。
図7は、転写ユニット30の本体部31における転写ローラ19の保持部35を示した説明図である。なお、本図においては、搬送ベルト16の図示を省略している。
同図に示すように、本体部31は、その両端部に、外壁部32と、この外壁部32と所定の間隙をおいて形成され外壁部32よりも内側に形成された内壁部33と、外壁部32と内壁部33との間に形成され後述する規制部材50(図10参照)の一部を収容する収容部34とを備えている。一方、転写ローラ19の端部には、本体部31との間に配置される軸受け部材40が設けられている。この軸受け部材40は、本体部31に設けられた保持部35により保持される。そして、軸受け部材40が保持部35により保持される結果、転写ローラ19は、本体部31に対して回転可能な構成となっている。
【0025】
次に、保持部35について説明する。
図8は、保持部35近傍について拡大して示した説明図である。なお、本図においては、転写ローラ19の図示を省略している。
同図に示すように、本体部31に設けられた保持部35には、軸受け部材40を収納する収納部39が設けられている。また、保持部35は、本体部31の底部37から搬送ベルト16(図6参照)方向に向かって突出して形成され互いに対向して配置された2本の突出片35aを備えている。また、保持部35は、各突出片35aの先端に位置し互いに他方の突出片35aに向かって突出して配置された規制突起35dを備えている。
さらに、保持部35は、内壁部33に2箇所形成され本体部31の内方に向かって突出して形成された凸部33aと、転写ローラ19(図7参照)の軸方向と略平行に配置され転写ローラ19を挟んで互いに対向して配置された仕切壁36を備えている。また、保持部35は、各々の仕切壁36に設けられ他方の仕切壁36に向かって突出するとともに内壁部33と略平行に配置された突出壁35bと、各々の突出壁35bの先端に設けられ内壁部33に向かって突出した凸部35hとを備えている。
【0026】
一方、軸受け部材40は、転写ローラ19を回転可能に支持するベース部45と、内壁部33と対向した面に形成され内壁部33との間に空隙70を形成する凹部43と、ベース部45の両側面に設けられ上記規制突起35dと突き当たることでベース部45の移動を規制する規制突起41とを備えている。また、軸受け部材40は、内壁部33と略平行に配置されるとともに上記突出壁35bに形成された凸部35hと内壁部33に形成された凸部33aとにより挟み込まれる突出片42と、ベース部45の搬送ベルト16(図6参照)側の表面に形成された頂部44とを備えている。
さらに、本実施形態における転写ユニット30は、軸受け部材40を搬送ベルト16(図6参照)に向かって押圧する弾性部材としての圧縮ばね71(図9参照)を、本体部31の底部37と、軸受け部材40との間に更に備えている。
本実施形態においては、突出片35aの規制突起35dと、軸受け部材40の規制突起41とが突き当たる構成となっており、転写ローラ19の搬送ベルト16(図6参照)方向への移動を規制することができる。
【0027】
さらに、軸受け部材40について詳細に説明する。
図9は、軸受け部材40の近傍における断面を示した説明図である。
同図に示すように、本実施形態においては、軸受け部材40を収納する収納部39が設けられている。そして、この収納部39に収納された軸受け部材40は、ベース部45の略中央部に転写ローラ19(図7参照)を回転可能に支持するための受け穴46を備えている。
さらに、軸受け部材40と本体部31の底部37との間には、上記のとおり軸受け部材40を搬送ベルト16(図6参照)に向かって押圧する圧縮ばね71を備えている。
また、軸受け部材40の側面に設けられた規制突起41は、規制突起35dが位置する側に規制面41aを有している。この規制面41aは、ベース部45の側面との間に形成されるくさび状領域のくさび角αが鋭角となるように構成されている。より具体的には、規制面41aは、ベース部45から離れるに従って底部37からも離れるように形成されている。
【0028】
一方、突出片35aの先端に設けられた規制突起35dは、底部37側に、収容部39に向かって傾斜して形成され軸受け部材40の規制突起41と突き当たる突き当て面としての規制面35kを有している。より具体的には、規制面35kは、突出片35aから離れるに従って底部37に接近するように形成されている。
本図に示した状態において、軸受け部材40が底部37から離れる方向に移動しようとすると、上記のとおり軸受け部材40の規制突起41が突出片35aの規制突起35dに突き当たる。本実施形態においては、規制突起41と規制突起35dに形成された規制面41aおよび規制面35kを上記のような角度で配置しているため、軸受け部材40の移動を効果的に規制することが可能となっている。
【0029】
ところで、近年、装置の小型化が益々望まれている。このため、本実施形態における装置についても、各種部材の肉厚、間隙等を小さくしこの要求を満足しようとしている。本実施形態においては、例えば、軸受け部材40や保持部35の各部寸法を小さいものとしている。また、軸受け部材40に設けられた規制突起41、および突出片35aの先端に形成された規制突起35dの突出量を極力抑えた構成を採用している。ところが、このように各部の寸法等を小さくしていくと、強度が低下する。また、規制突起41および規制突起35dの突出量を小さくした場合は、規制突起41と規制突起35dとの引っかかり量が小さくなる。このため、装置の搬送や落下などによって生じる揺れ、衝撃等により軸受け部材40、転写ローラ19が転写ユニット30から外れやすくなる(脱落しやすくなる)という不具合が生じる。そこで、本実施形態においては、軸受け部材40の外れ(脱落)を抑制することで転写ローラ19の外れを抑制している。
【0030】
図10は、転写ローラ19の外れを防止するための規制部材50を取り付けた状態を示した説明図である。
同図に示す転写ユニット30は、転写ローラ19(図6参照)の移動を規制し本体部31による転写ローラ19の保持状態を維持する規制部材50を備えている。
この規制部材50は、搬送ベルト16の移動方向に沿って、また、搬送ベルト16の移動方向と直交する方向における本体部31の両端部に着脱可能に設けられている。また、規制部材50は2つ設けられ、転写ローラ19(図6参照)の両端部において転写ローラ19の移動を規制している。
【0031】
さらに、詳細に規制部材50について説明する。
図11は、規制部材50の詳細を示した斜視図である。
同図に示す、規制部材50は、樹脂(具体的にはポリプロピレン(PP))により形成されている。この規制部材50は、図5で示したストッパー部10eが入り込む凹状に形成された接触部51aを備えた板状の本体部51を備えている。そして、この本体部51の長手方向には、軸受け部材40の移動を規制する複数(本実施形態においては4つ)の規制部(第1の規制部52〜第4の規制部55)と、本体部51の一方の端部に設けられ後述する連結部材61が取り付けられる取付部56とが設けられている。
第1の規制部52〜第4の規制部55は、図1等で示した4本の転写ローラ19の移動をそれぞれ規制する役割を果たす。本実施形態においては、このように、一つ(単一)の規制部材50により複数の転写ローラ19の移動を規制する構成を採用している。これにより部品点数を減少させることができコストの低下を図ることができる。また、装着および除去の際の作業性を向上させることが可能となる。
【0032】
次に、各規制部(第1の規制部52〜第4の規制部55)について詳細に説明する。
図12は、各規制部の詳細を示した斜視図である。図12(a)は、図11における第1の規制部52を示したものであり、図12(b)は、図11における第2の規制部53を示したものである。なお、第4の規制部55は第1の規制部52と、第3の規制部54は第2の規制部53と同様な構成であるため、第3の規制部54および第4の規制部55の説明は省略する。
まず、第1の規制部52から説明する。図12(a)に示す第1の規制部52は、本体部51と同一面上に形成され転写ローラ19(図6参照)側に向かって本体部51から延設されて形成された延設部52bを備えている。また、第1の規制部52は、この延設部52bの先端に設けられ延設部52bから本体部31の底部37(図8参照)に向かって突出した対向部52aを備えている。
【0033】
また、第1の規制部52は、対向部52aの一側面であって底部37に面した箇所に角度の浅いV字状の面をした底部52cと、この底部52cの略中央部からさらに底部37に向かって突出した挿入部52dとを備えている。さらに、第1の規制部52は、本体部51と延設部52bとの接合部52hから底部37に向かって突出した突出片52eを備えている。また、第1の規制部52は、この突出片52eの先端に位置し転写ローラ19(図6参照)側に向かって突出する爪形状の規制突起52fを2箇所(一方は不図示)備えている。そして、この規制突起52fと本体部31の内壁部33(図7参照)とにより、規制部材50と本体部31との係合部が形成される。また、第1の規制部52は、本体部51から底部37に向かって突出した箱状の箱状部52gを備えている。なお、この箱状部52gの一側面は突出片52eの一部を構成している。
【0034】
次に、第2の規制部53について説明する。基本的には、第1の規制部52と同じであるが、第2の規制部53には、第1の規制部52における突出片52eおよび規制突起52fに相当する部分が存在しない構成となっている。
即ち、第2の規制部53は、延設部53bと、対向部53aと、底部53cと、挿入部53dと、箱状部53gとを備えている。
本実施形態においては、上記のとおり第1の規制部52および第4の規制部55、即ち、複数存在する規制部のうち規制部材50の(両)端部側に位置する規制部に突出片52eおよび規制突起52fを設けている。この結果、第1の規制部52および第4の規制部55のおける規制荷重が高くなるようになっている。端部近傍は、他の部材と干渉可能性が高く、外れやすい傾向にある。本実施形態では、上記のように規制部材50の端部近傍に位置する規制部の規制荷重を他の規制部よりも大きくすることで、規制部材50の意図しない本体部31からの外れを抑制している。
【0035】
次に、規制部材50を本体部31に装着した状態について説明する。
図13は、規制部材50を本体部31に取り付けた状態における第1の規制部52近傍を詳細に示した説明図である。
同図に示すように、規制部材50の本体部51は、本体部31の外壁部32と内壁部33との間に形成された収容部34に位置している。そして、本体部51から延設して設けられた延設部52bが、内壁部33を跨ぐ形で配置されることで、延設部52bの先端に位置する対向部52aが軸受け部材40(図7参照)近傍に配置される。
本図のように配置された状態においては、規制部材50に荷重が作用しても第1の規制部52、第4の規制部55に設けた規制突起52f(図12参照)が内壁部33の下縁部に係合するため、搬送中の揺れ等によって規制部材50に転写ローラ19側から荷重が作用しても規制部材50は本体部31から容易に外れないようになっている。
【0036】
さらに、図5も参照して説明すると、この規制部材50は、カバー部材25が閉じた状態において、本体10aに形成されたストッパー部10eに突き当たり、このストッパー部10eにより移動が規制される構成となっている。より具体的には、カバー部材25が閉じた状態においては、規制部材50はストッパー部10eと本体部31とにより挟み込まれる構成となっている。この結果、搬送中の揺れ等による転写ローラ19の脱落をより確実に抑制することができる。
なお、本実施形態においては、画像形成装置についての例について説明してあるが、例えば、転写ユニット30単体に対して転写ユニット30の損傷等を防止する保護部材を設け、この保護部材と転写ユニット30とで規制部材50を挟み込み、規制部材50の移動を規制することもできる。
【0037】
また、本実施形態においては、規制部材50と本体10aとの相対的な位置決めを行う位置決め部がさらに備えられている。本実施形態においては、この位置決め部は、規制部材50に形成された接触部51a(図11参照)と、本体10aに形成されたストッパー部10e(図5参照)とから構成されている。規制部材50が本体10aと転写ユニット30とにより挟み込まれた状態において、規制部材50に形成された接触部51aに本体10aに形成されたストッパー部10eが嵌り込み、規制部材50と本体10aとの位置決めがなされる。この結果、規制部材50の長手方向における規制部材50の本体10aに対する位置ずれを抑制することが可能となり、軸受け部材40および転写ローラ19をより安定的に保持することが可能となる。
【0038】
さらに、この第1の規制部52について説明する。
図14は、図13の状態から搬送ベルト16の図示を省略した説明図である。また、本図においては、突出片35aおよび規制突起35dの図示も省略している。
同図に示すように、規制部材50が本体部31に装着された状態において、対向部52aは、内壁部33と突出壁35bとの間に形成された空間に位置する。また、対向部52aの底部52cが、軸受け部材40の頂部44と接する状態となる。このため、軸受け部材40および軸受け部材40に取り付けられた転写ローラ19の底部37(図8参照)から離れる方向への移動が規制される。このため、搬送中に生じる揺れや落下などによる転写ローラ19の本体部31からの外れ(脱落)を抑制することができる。
また、V字状に盛り上がって形成された軸受け部材40の頂部44と、V字状に凹んで形成された対向部52aの底部52cとが噛み合うため、搬送等により揺れ等が作用したとしても転写ローラ19を安定的に配置することが可能となる。
【0039】
さらには、規制部材50の挿入部52d(図12参照)が、空隙70(図8参照)に位置するため、転写ローラ19の用紙搬送方向への移動を規制可能となり、転写ローラ19をより安定的に配置可能となる。
なお、転写ローラ19の軸方向における規制部材50の移動は、対向部52a等と突出片52e(図12参照)との間に内壁部33(図7参照)が位置することで規制される。また、規制部材50の長手方向への移動は、軸受け部材40が突出壁35bに突き当たることで規制される。
以上の構成を採用することにより、搬送中における軸受け部材40および転写ローラ19の脱落を防止することが可能となることから、軸受け部材40周辺の小型化、省スペース化を積極的に行うことが可能となり、最終的に装置の小型化を促進することが可能となる。
【0040】
規制部材50は、搬送等の終了後、ユーザ等により転写ユニット30から取り除かれる。本実施形態においては、規制部材50を簡易に取り除くための構成を採用している。
図15は、規制部材50周辺の状態を示した説明図である。
本実施形態においては、表示部60と、この表示部60と規制部材50とを連結する紐状の連結部材61とが更に備えられている。なお、本図においては、転写ユニット30(図10参照)の図示は省略している。
表示部60は、ユーザ等に対し、本画像形成装置を使用する際に、規制部材50を取り外す必要がある旨や、規制部材50の取り外し方等を示す役割を果たす。
連結部材61は、表示部60と一方の規制部材50とを連結する第1の連結部材61aと、一方の(第1の)規制部材50と他方の(第2の)規制部材50との間に弛んで(テンションがかかっていない状態)配置され一方の規制部材50と他方の規制部材50とを連結する第2の連結部材61bとから構成されている。なお、連結部材61は、リング状に形成された取付部56(図11参照)に取り付けられている。
【0041】
ユーザ等が表示部60を引っ張ると、まず第1の連結部材61aに張力が加わり一方の規制部材50側に荷重が大きく作用する。この荷重によりまず一方の規制部材50における第1の規制部52(図11参照)が本体部31(図10参照)からの離間を開始する。その後は、第2の規制部53、第3の規制部54(図11参照)が、順に本体部31から離間する。第2の規制部53、第3の規制部54が離間すると、次第に第2の連結部材61b側にも張力が加わり始めるようになり、他方の規制部材50における第1の規制部52が本体部31から離間するようになる。そして、最終的には、両規制部材50は本体部31から取り除かれる。
【0042】
本実施形態の構成を採用すると、一方の規制部材50に対して荷重を集中的に加えることが可能となる。このため、取り外し初期における規制部材50を除去するための荷重を小さくすることが可能となる。特に本実施形態においては、上述のとおり規制部材50の長手方向の端部に位置する第1の規制部52には規制突起52fを設けている(図12参照)。このため、第1の規制部52においては、第2の規制部53、第3の規制部54に比べ本体部31から規制部材50を除去するために要する荷重も大きくなる。本実施形態のように、一方の規制部材50に対して集中的に荷重が作用する構成を採用すれば、このような態様の規制部材50であっても、容易に本体部31から取り除くことが可能となる。さらに、本実施形態においては、両規制部材50のそれぞれを別個に取り除くのではなく、連結部材61により一体に取り除くことが可能となっている。このため、ユーザ等にとっては、一回の動作で両規制部材50を取り除くことが可能となり、規制部材50の除去作業を簡易化することが可能となる。
【0043】
さらに、本実施形態において規制部材50は、上述のとおり樹脂により構成されている。このため、規制部材50を取り除く際に、例えば第1の規制部52における突出片52e(図12参照)を変形させることが可能となり、規制突起52fと内壁部33との係合を解除することができる。
また、本実施形態においては、カバー部材25が閉じられた図1のような状態において、ユーザ等に規制部材50の存在を知らせるため表示部60は装置外部に露出した状態で配置される。本実施形態においては、連結部材61を上述のとおり第1の連結部材61aと第2の連結部材61bとから構成し、表示部60と繋がった第1の連結部材61aを一方の規制部材50のみに連列する構成を採用している。表示部60を両規制部材50と同時に結ぶ形を採用すると、表示部60を装置外部に配置する場合に連結部材61の長さが長くなってしまう。本実施形態における構成を採用することで、表示部60を装置外部に配置する場合であっても連結部材61の長さを短くすることが可能となる。
【0044】
ところで、本実施形態においては、規制部材50の取り外し忘れを防止するための構成を更に採用している。次にこの取り外し忘れ防止のための構成について説明する。
図16は、カバー部材25の本体10aに対する動作を説明した概略構成図である。
本実施形態における画像形成装置は、搬送終了後、本体10aにプロセスカートリッジ11a〜11dが装着され、その後、同図に示すように転写ユニット30が備えられたカバー部材25が本体10aに対して閉じられる。
本実施形態においては、規制部材50が転写ユニット30に取り付けられたままの状態(取り除かれていない状態)であると、カバー部材25が閉じられる際に、規制部材50とプロセスカートリッジ11aに設けられた把手27とが係合(突き当たる)する構成を採用している。この結果、転写ユニット30の所定位置への配置が阻止される。また、カバー部材25の移動が制限されカバー部材25を閉じることができず、カバー部材25の開放状態が維持される。
規制部材50が取り除かれていない状態では、規制部材50により軸受け部材40(図14参照)が押圧されたままとなる。この結果、軸受け部材40に取り付けられた転写ローラ19は感光体ドラム14(図1参照)から離れる方向の位置に配設されたままの状態となり、転写不良等を引き起こす可能性がある。
【0045】
上記のように、規制部材50と把手27とを当接させる構成を採用することで、本体10aとカバー部材25との間に障害物(本実施形態においては規制部材50)があることをユーザに認識させることが可能となる。この結果、規制部材50の除去をユーザに促すことができ、転写不良等の発生を抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態においては、複数設けられたプロセスカートリッジ(11a〜11d)のうち、回動支点Jに最も近いプロセスカートリッジ11aの把手27と、規制部材50とが突き当たる構成を採用している。
このように、回動支点Jに近い位置において突き当て部を配置することで、カバー部材25を閉じる際に、カバー部材25の移動速度が比較的小さい段階において、把手27と規制部材50との突き当てが生じることになる。このため、両部材の突き当て時に生じる衝撃を比較的小さいものとすることが可能となり、衝撃による各部材の破損等を抑制することができる。また、カバー部材25が閉じられる初期の段階においてユーザ等に対し規制部材50の取り外しを知らせることが可能となる。
【0046】
次に、把手27と規制部材50とが突き当たった状態を詳細に説明する。
図17は、第1のプロセスカートリッジ11aの把手27と規制部材50とが突き当たった状態を示したものである。
同図および図16に示すように、規制部材50は最も回動支点Jに近い第1のプロセスカートリッジ11aの把手27と突き当たる構成となっている。さらに、把手27は、転写ローラ19の両端部に設けられた規制部材50(図10参照)と突き当たる構成となっている。このため、規制部材50と把手27とが突き当たる際に衝撃が緩和され各部の破損等を抑制することが可能となる。さらに、突き当て時のカバー部材25等の挙動を安定化させることが可能となる。
【0047】
さらに、把手27と規制部材50とを突き当てた状態を別の角度から説明する。
図18は、図17における把手27と規制部材50近傍を示した断面図である。
同図に示す把手27は、平面状に形成され規制部材50が突き当たる第二の面としてのストッパー部70aを備えている。
一方、規制部材50は、平面上に形成されるとともに、本体部51における回動支点J(図16参照)に近い側の端部にストッパー部70aに突き当たる第一の面としての突き当て部51bと備えている。さらに、規制部材50は、本体部51を挟んで突き当て部51bの反対側に、荷重が作用した際に本体部31に押し当てられる押し当て部51cを備えている。
本実施形態においては、把手27と規制部材50とを突き当てると、ストッパー部70aと突き当て部51bとが互いに面接触をする構成を採用している。このように面接触とすることで、接触面積を確保することができ付き当て時に過度の集中荷重が作用しないようになり、把手27や規制部材50の破損を防止すること可能となる。また、突き当て部におけるスリップ等も抑制することが可能なり、安定した突き当てが可能となる。さらに、規制部材50が把手27に突き当たった際に転写ユニット30、カバー部材25(図16参照)のぐらつき等を抑制し転写ユニット30等の安定化を図ることが可能となる。
【0048】
さらに、本実施形態においては、プロセスカートリッジ11a(図16参照)の装着方向(図18の矢印A参照)に対して略直交する方向にストッパー部70aを配置している。さらに、規制部材50と把手27とが突き当たる際には、規制部材50の突き当て部51bもプロセスカートリッジ11aの装着方向に対して略直交する関係となる。
一方、プロセスカートリッジ11aが本体10aに装着される際は、装着方向における位置決めを行うため、本体10aにプロセスカートリッジ11aが突き当たる係合部(不図示)が形成されている。
ストッパー部70aおよび突き当て部51bをプロセスカートリッジ11aの装着方向と略直交する関係に配置することで、把手27に作用する規制部材50からの荷重を本体10aに配置された係合部(不図示)に対して効果的に伝えることが可能となる。即ち、規制部材50から作用する把手27への荷重の作用方向と係合部(不図示)による加重の支持方向とを一致させることが可能となる。この結果、プロセスカートリッジ11aのぐらつき等を抑制可能となり、規制部材50と把手27との突き当てをより安定化させることが可能となる。
【0049】
さらに、本実施形態においては、上記のとおり、規制部材50と把手27とが突き当たる際に、規制部材50の押し当て部51cが本体部31の受け部38に押し当てられる構成となっている。この構成により、規制部材50に把手27から加重が作用した場合、規制部材50の揺動等を抑制することが可能となり、規制部材50の安定化を図ることが可能となる。また、転写ユニット30のぐらつき等を抑制することが可能となる。また、把手27による規制部材50の破損等を抑制することが可能となる。
また、本実施形態においては、規制部材50の転写ユニット30に対する変位を抑制する抑制部を備えている。本実施形態においては、この抑制部は、挿入部52d(図12参照)と、軸受け部材40と、突出壁35b(図8参照)とから構成されている。挿入部52dが、軸受け部材40の凹部43(図8参照)により形成される空隙70に挿入され、また、軸受け部材40が突出壁35b(図8参照)と突き当たることで、規制部材50はその長手方向への移動が抑制される。このため、更に規制部材50を安定して配置可能となり、規制部材50と把手27の突き当て等を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】手差しトレイを説明するための図である。
【図3】カバー部材を説明するための図である。
【図4】給紙カセットの引き出し状態を説明するための図である。
【図5】カバー部材を開け、カバー部材が本体から離間した状態を示した斜視図である。
【図6】転写ユニットの正面図である。
【図7】本体部における転写ローラの保持部を示した説明図である。
【図8】保持部近傍について拡大して示した説明図である。
【図9】軸受け部材近傍の断面を示した説明図である。
【図10】転写ローラの外れを防止するための規制部材を取り付けた状態を示した説明図である。
【図11】規制部材の詳細を示した斜視図である。
【図12】各規制部の詳細を示した斜視図である。
【図13】規制部材を本体部に取り付けた状態における第1の規制部近傍を詳細に示した説明図である。
【図14】図13の状態から搬送ベルトの図示を省略した説明図である。
【図15】規制部材周辺の状態を示した説明図である。
【図16】カバー部材の本体に対する動作を説明した概略構成図である。
【図17】第1のプロセスカートリッジの把手と規制部材とが突き当たった状態を示したものである。
【図18】図17における把手と規制部材近傍を示した断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10…画像形成装置、10a…本体、11a,11b,11c,11d…プロセスカートリッジ、19…転写ローラ、25…カバー部材、30…転写ユニット、31…本体部、35b…突出壁、38…受け部、40…軸受け部材、50…規制部材、51b…突き当て部、52d…挿入部、70a…ストッパー部、J…回転支点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材上に画像形成を行うための画像形成装置であって、
トナー像の転写を行うための転写ローラと当該転写ローラを保持する本体部とを備え、前記画像形成装置の本体の所定位置に配置される転写ユニットと、
前記転写ユニットに装着され当該転写ユニットの前記本体部による前記転写ローラの保持状態を維持するように当該転写ローラの移動を規制し、画像形成が行われる際には取り外される規制部材と、
前記規制部材が前記転写ユニットに装着されている場合に、前記所定位置への当該転写ユニットの配置を阻止する阻止手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記阻止手段は、前記規制部材と、画像形成の一部を担う構成部材とから構成され、
前記構成部材が前記画像形成装置の前記本体に装着され、前記転写ユニットが前記所定位置に配置される際に、当該構成部材と前記規制部材とが突き当たることで当該所定位置への当該転写ユニットの配置が阻止されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部材は、第一の面を備え、前記構成部材は、第二の面を備え、前記転写ユニットが前記所定位置に配置される際に、当該第一の面と当該第二の面とが突き当たることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記構成部材と突き当たる規制部材を受ける受け部を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写ユニットが取り付けられ、前記画像形成装置の前記本体に対して開閉可能に設けられた開閉部を更に備え、
前記開閉部は、当該開閉部を前記画像形成装置の前記本体に支持する支持部を中心として揺動可能に設けられ、
前記構成部材は、前記開閉部を閉じた際に前記規制部材が位置する領域に、かつ、前記支持部から離れる方向に複数設けられ、
前記規制部材は、前記開閉部が閉じられる際に、前記複数の構成部材のうち前記支持部に最も近い構成部材に突き当たることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記規制部材の前記転写ユニットに対する変位を抑制する抑制手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
記録材上に画像形成を行うための画像形成装置であって、
トナー像の転写を行うための転写ローラと当該転写ローラを保持する本体部とを備えた転写ユニットと、
前記本体部による前記転写ローラの保持状態を維持するように当該転写ローラの移動を規制する規制部材と、
前記転写ユニットが取り付けられ前記画像形成装置の本体に対して開閉可能に設けられた開閉部と、を含み、
画像形成の一部を担う構成部材が前記画像形成装置に装着された場合に、当該構成部材と前記規制部材とを係合させることで前記開閉部の移動を制限し当該開閉部を開放状態に維持することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記構成部材は、前記画像形成装置の本体に着脱可能に設けられ、前記転写ユニット側に転写されるトナー像を形成するためのプロセスカートリッジであることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記規制部材は、前記転写ローラの両端部に設けられ、
前記構成部材は、前記転写ローラの両端部において前記規制部材に係合することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記規制部材と前記構成部材とが係合することで当該構成部材が当該規制部材により押圧される際、当該構成部材は当該構成部材が前記画像形成装置に装着される際の装着方向に押圧されることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項1】
記録材上に画像形成を行うための画像形成装置であって、
トナー像の転写を行うための転写ローラと当該転写ローラを保持する本体部とを備え、前記画像形成装置の本体の所定位置に配置される転写ユニットと、
前記転写ユニットに装着され当該転写ユニットの前記本体部による前記転写ローラの保持状態を維持するように当該転写ローラの移動を規制し、画像形成が行われる際には取り外される規制部材と、
前記規制部材が前記転写ユニットに装着されている場合に、前記所定位置への当該転写ユニットの配置を阻止する阻止手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記阻止手段は、前記規制部材と、画像形成の一部を担う構成部材とから構成され、
前記構成部材が前記画像形成装置の前記本体に装着され、前記転写ユニットが前記所定位置に配置される際に、当該構成部材と前記規制部材とが突き当たることで当該所定位置への当該転写ユニットの配置が阻止されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部材は、第一の面を備え、前記構成部材は、第二の面を備え、前記転写ユニットが前記所定位置に配置される際に、当該第一の面と当該第二の面とが突き当たることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記構成部材と突き当たる規制部材を受ける受け部を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写ユニットが取り付けられ、前記画像形成装置の前記本体に対して開閉可能に設けられた開閉部を更に備え、
前記開閉部は、当該開閉部を前記画像形成装置の前記本体に支持する支持部を中心として揺動可能に設けられ、
前記構成部材は、前記開閉部を閉じた際に前記規制部材が位置する領域に、かつ、前記支持部から離れる方向に複数設けられ、
前記規制部材は、前記開閉部が閉じられる際に、前記複数の構成部材のうち前記支持部に最も近い構成部材に突き当たることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記規制部材の前記転写ユニットに対する変位を抑制する抑制手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
記録材上に画像形成を行うための画像形成装置であって、
トナー像の転写を行うための転写ローラと当該転写ローラを保持する本体部とを備えた転写ユニットと、
前記本体部による前記転写ローラの保持状態を維持するように当該転写ローラの移動を規制する規制部材と、
前記転写ユニットが取り付けられ前記画像形成装置の本体に対して開閉可能に設けられた開閉部と、を含み、
画像形成の一部を担う構成部材が前記画像形成装置に装着された場合に、当該構成部材と前記規制部材とを係合させることで前記開閉部の移動を制限し当該開閉部を開放状態に維持することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記構成部材は、前記画像形成装置の本体に着脱可能に設けられ、前記転写ユニット側に転写されるトナー像を形成するためのプロセスカートリッジであることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記規制部材は、前記転写ローラの両端部に設けられ、
前記構成部材は、前記転写ローラの両端部において前記規制部材に係合することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記規制部材と前記構成部材とが係合することで当該構成部材が当該規制部材により押圧される際、当該構成部材は当該構成部材が前記画像形成装置に装着される際の装着方向に押圧されることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−298857(P2007−298857A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128221(P2006−128221)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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