説明

画像形成装置

【課題】 エミッションおよびイミュニティーノイズの課題を、GNDシールド等の特殊ケーブルを使用せずに解決することで、コストダウンとノイズ課題の解決を両立させる装置を提供する。
【解決手段】 フラットケーブルA列内において、N番目の極数に配置されるクリティカルな信号S302(高速信号やリセット信号等)の両端となるN−1、N+1番目の極数には、GNDを配列させる。またB列のケーブルにおいて、A列のクリティカル信号S302と重なり合う位置(対向する位置)、ここでは、B列内において、N番目の極数には、GNDを配列させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を接続するハーネス内の信号配置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、電気ユニット間で高速信号を伝送させる際に、電気ユニット間を接続するハーネスの内部に生ずるエミッションノイズが課題となる。また、画像形成装置内部もしくは外部からの外乱ノイズが、ハーネス内部の信号に混入して、誤動作を生じさせるイミュニティーノイズも度々課題となっている。特許文献1によれば、この課題を解決するの手段として、ハーネスの外周全面もしくは、一部をシールド部材によって遮へいすることにより、ハーネス内部の信号ノイズを遮断、あるいはハーネス内部への外乱ノイズの混入を遮断させる方法が記載されている。
【特許文献1】特開平05−242736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この方法ではシールド部材でハーネスを遮へいする為に、特殊なケーブルを用いる必要があるため特殊なケーブルの分のコストが余計に必要となるという欠点もある。その他の解決手段として、ケーブルを磁性体コア部材にて囲むことによりノイズを遮断させる手法もあるが、やはり磁性体コア部材のコストを要するという欠点もあり、かつ信号波形の品位にも悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
そこで、本発明は、簡易かつ安価な手法で、ハーネス内部を信号が伝送する際に生ずるエミッションノイズや外乱ノイズがハーネス内部の信号に誤動作を与えるイミュニティーノイズを好適に防止する技術を提供することを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば、電気ユニット間を接続し信号を伝送可能な、平面状で多極を有する第1のハーネスと、多極を有するとともに、第1のハーネスと平行して配置される第2のハーネスとを有する電子機器において、第1のハーネスのN番目のピンにはクリティカルな信号が配置され、前記クリティカルな信号と隣合うN−1番目のピンおよび、N+1番目のピンには安定した電位の信号が配置されるとともに、前記第1のハーネスのN番目のピンと、第2のハーネスにおける物理的に重なり合う関係となるピンには、安定した電位の信号を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡易かつ安価な手法で、ハーネス内部を信号が伝送する際に生ずるエミッションノイズや外乱ノイズがハーネス内部の信号に誤動作を与えるイミュニティーノイズを好適に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の一実施形態を示す。もちろん以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0008】
[第1の実施形態]
(1)画像形成装置の構成
図1は、実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。画像形成装置1は、複数の画像形成部を並列に配し、且つ中間転写方式を採用した電子写真プロセスを利用したカラー複写機である。画像形成装置1は、画像読取部1Rと、画像出力部1Pとを有する。画像読取部1Rは、原稿画像を光学的に読み取り、電気信号に変換して画像出力部1Pに送信する。画像出力部1Pは、4つの画像形成部10(10a,10b,10c,10d)と、給紙ユニット20と、中間転写ユニット30と、定着装置としての定着ユニット40と、を有する。さらに、クリーニングユニット50と、クリーニングブレード70と、フォトセンサ60と、制御手段としての制御ユニットであるシステムコントローラ101と負荷コントローラ80を有する。
【0009】
更に、個々のユニットについて詳しく説明する。各画像形成部10a〜10dは同じ構成である。各画像形成部10a〜10dでは、第一の像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)11a,11b,11c,11dが、回転自在に軸支され、矢印方向に回転駆動される。各感光ドラム11a〜11dの外周面に対向して、その回転方向に一次帯電器12a〜12dと、光学系13a〜13dと、折り返しミラー16a〜16dと、現像装置14a〜14dと、クリーニング装置15a〜15dが、それぞれ配置されている。
【0010】
一次帯電器12a〜12dにおいて感光ドラム11a〜11dの表面に均一な帯電量の電荷を与える。次いで、光学系13a〜13dにより、画像読取部1Rからの記録画像読取信号に応じて変調した例えば、レーザビームなどの光線a〜dを折り返しミラー16a〜16dを介して感光ドラム11a〜11d上に露光することによって、静電潜像を形成する。
【0011】
更に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックといった4色の現像剤(以下、「トナー」という。)をそれぞれ収納した現像装置14a〜14dによって、上記静電潜像を顕像化する。顕像化された可視画像を一次転写領域Ta〜Tdにて中間転写ユニット30を構成する第二の像担持体としてのベルト状の中間転写体、即ち、中間転写ベルト31に転写する。中間転写ユニット30については、後で詳述する。
【0012】
画像転写領域Ta〜Tdの下流側では、クリーニング装置15a〜15dにより中間転写ベルト31に転写されずに感光ドラム11a〜11d上に残されたトナーを掻き落としてドラム表面の清掃を行う。以上に示した電子写真プロセスにより、各トナーによる画像形成が順次行われる。
【0013】
給紙ユニット20は、記録材としての転写材Pを収納するためのカセット21と、このカセットより転写材を一枚ずつ送り出すためのピックアップローラ22と、を有する。また、ピックアップローラ22から送り出された転写材Pを更に搬送するための給紙ローラ対23と、給紙ガイド24と、を有する。そして、各画像形成部10a〜10dの画像形成タイミングに合わせて転写材Pを二次転写領域Teへ送り出すためのレジストローラ25を有する。
【0014】
中間転写ユニット30について詳細に説明する。中間転写ベルト31は、中間転写ベルト駆動用の駆動ローラ32と、ばね(図示せず)の付勢によって中間転写ベルトに適度なテンションを与える従動ローラ33と、二次転写対向ローラ34とに緊張状態に張設巻回されている。又、駆動ローラ32と従動ローラ33の間に一次転写平面Aが形成される。中間転写ベルト31としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)などが用いられる。駆動ローラ32は、金属ローラの表面に数mm厚のゴム(ウレタン又はクロロプレン)をコーティングしてベルトとのスリップを防いでいる。駆動ローラ32は、パルスモータ(不図示)によって回転駆動される。
【0015】
各感光ドラム11a〜11dと中間転写ベルト31が対向する一次転写領域Ta〜Tdには、中間転写ベルト31の裏に一次転写用帯電器35a〜35dが配置されている。一方、二次転写対向ローラ34に対向して二次転写ローラ36が配置され、中間転写ベルト31とのニップ部によって二次転写領域Teを形成する。二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31に対して適度な圧力で加圧されている。
【0016】
また、中間転写ベルト31の二次転写領域Teの下流には、中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのクリーニングユニット50が配置される。クリーニングユニット50は、中間転写ベルト31上のトナーを除去するためのクリーニングブレード51と、廃トナーを収納する廃トナーボックス52とを備えている。
【0017】
また、中間転写ベルト31の二次転写領域Teとクリーニングユニット50との間には、クリーニングブレード70と、このクリーニングブレードを転写ベルト31から着脱するためのパルスモータ(不図示)が備えられている。このクリーニングブレード70も転写ベルト31上のトナーを除去するためのものである。
【0018】
定着ユニット46は、内部に定着ヒータ111(ハロゲンヒーターなどの熱源)を備えた定着ローラ41aと、そのローラに加圧される41b(このローラにも熱源を備える場合もある)とを有する。更に、上記ローラ対41a、41bのニップ部へ転写材Pを導くためのガイド43、定着ユニットの熱を内部に閉じ込めるための定着断熱カバー46、47、また、上記ローラ対41a、41bから排出されてきた転写材Pをさらに装置外部に導き出すための内排紙ローラ44、外排紙ローラ45、及び、転写材P積載する排紙トレイ48などを備えている。
【0019】
次に、上記カラー複写機の動作について説明する。制御ユニットは、詳細は後述するが、上記各ユニット内の機構の動作を制御するためのCPU、レジストレーション補正回路や、モータドライバ部などを有している。CPUにより画像形成動作開始信号が発せられると、選択された用紙サイズなどにより選択された給紙段から給紙動作を開始する。
【0020】
操作部101からのコピージョブ要求等によって、CPUから画像形成動作開始信号が発せられると、選択された用紙サイズなどにより選択された給紙段から給紙動作を開始する。
【0021】
例えば、上段の給紙段から給紙された場合について説明すると、図1にて、先ず、ピックアップローラ22により、カセット21から転写材Pが一枚ずつ送り出される。そして、給紙ローラ対23によって転写材Pが給紙ガイド24の間を案内されてレジストローラ25まで搬送される。その時レジストローラ25は停止されており、転写材Pの先端はニップ部に突き当たる。その後、画像形成部10a〜10dが画像の形成を開始するタイミングに合わせて、レジストローラ25は回転を始める。この回転時期は、転写材Pと画像形成部10a〜10dより中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー画像とが二次転写領域Teにおいて一致するようにそのタイミングが設定されている。
【0022】
一方、画像形成部10a〜10dでは、画像形成動作開始信号が発せられると、前述したプロセスにより中間転写ベルト31の回転方向において一番上流にある感光ドラム11d上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト31に一次転写する。すなわち、一次転写用帯電器35dに高電圧を印加することによって感光ドラム11d上のトナー画像を一次転写領域Tdにおいて中間転写ベルト31に一次転写する。一次転写されたトナー画像は次の一次転写領域Tcまで搬送される。そこでは各画像形成部間をトナー画像が搬送される時間だけ遅延して画像形成が行われており、前画像の上にレジストを合わせて、その次のトナー画像が転写される。以下も同様の工程が繰り返され、結局4色のトナー画像が中間転写ベルト31上において一次転写される。
【0023】
その後、転写材Pが二次転写領域Teに進入し、中間転写ベルト31に接触すると、転写材Pの通過タイミングに合わせて二次転写ローラ36に高電圧を印加する。これにより、前述したプロセスにより中間転写ベルト31上に形成された4色のトナー画像が転写材Pの表面に転写される。その後、転写材Pは搬送ガイド43によって定着ローラニップ部まで正確に案内される。そして、ローラ対41a、41bの熱及びニップの圧力によってトナー画像が転写材P表面に定着される。その後、内外排紙ローラ44、45により搬送され、転写材Pは機外に排出され、排紙トレイ48に積載される。
【0024】
(2)制御ユニットの構成
図2は、本実施形態に係る制御系のブロック図を示す。本画像形成装置は全て、システムコントローラ101によって統括的にコントロールされている。システムコントローラ101は、主に負荷コントローラ201を介して、本装置内の各負荷の駆動、センサ類の情報収集解析、そして操作部102、即ちユーザインターフェースとのデータの交換の役割を担っている。
【0025】
システムコントローラ101と負荷コントローラ201は、後述するIFケーブル301によって接続されている。システムコントローラ101の内部構成は、上述した役割を担うために、CPU101aを搭載しており、CPU101aは、同様にシステムコントローラ101に搭載したROM101bに格納されたプログラムによって、予め決められた画像形成シーケンスに纏わる様々なシーケンスを実行する。またその際、一次的または恒久的に保存することが必要な書き換え可能なデータを格納するために、RAM101cも搭載している。RAM101cには、例えば、高圧制御部105への高圧設定値、後述する各種データ、操作部102からの画像形成指令情報などを保存する。
【0026】
操作部102とは、ユーザにより設定された複写倍率、濃度設定値などの情報を得ることに加えて、画像形成装置の状態、例えば画像形成枚数や画像形成中か否かの情報、ジャムの発生やその箇所等をユーザに示すためのデータを表示する。
【0027】
本画像形成装置は、装置内部の各所に、モータ、クラッチ/ソレノイド等のDC負荷及び、フォトインターラプターやマイクロスイッチ等のセンサを配置している。つまり、モータの駆動や各DC負荷を適宜駆動させることで、転写材の搬送や各ユニットの駆動を行っており、その動作を監視しているものが、各種センサである。
【0028】
そこでシステムコントローラ101は、各種センサ類114からの信号をもとに、モータ制御部107により各モータ112をコントロールさせると同時に、DC負荷制御部108により、クラッチ/ソレノイド113を動作させて画像形成動作を円滑に進めている。
【0029】
また、高圧制御部105から各種高圧制御信号を高圧ユニット106に創出し、高圧ユニット106は各種帯電器である一次帯電器、転写帯電器、及び現像器内の現像ローラに適切な高圧を印可させている。更に定着ローラには、それぞれローラを加熱するためのヒータ111が内蔵されており、その各ヒータはACドライバ110によってON/OFF制御されている。またこの際、各定着ローラにはその温度を測定するためのサーミスタ104が設けられ、A/D103によって、各定着ローラの温度変化に応じたサーミスタ104の抵抗値変化を電圧値に変換した後、デジタル値としてシステムコントローラ101に入力される。この温度データをもとに前述のACドライバ110を制御することになる。
【0030】
(3)IFケーブルの構成
図3は、本実施形態に係るシステムコントローラ101と負荷コントローラ201を接続するフラットケーブルであるIFケーブル301についての構成図である。
【0031】
IFケーブル301は、1ピンからmピンまでの多極を有するA列とB列の2列のケーブルが平行するように構成された、フラットケーブルによって接続されている。またフラットケーブルと平行するように画像形成装置の金属板金303が配置されている。
【0032】
ここでフラットケーブルにて伝送される信号には、CLK等の高速信号(高周波の信号)のほか、電源投入時等にシステムコントローラ101と負荷コントローラ201を初期化するリセット信号などが含まれている。
【0033】
ここで高速信号をフラットケーブルにて伝送する場合に、このフラットケーブル自身がアンテナを構成し、画像形成装置の外部に不要放射ノイズ(エミッションノイズ)として放射してしまう現象が度々課題となる。また、フラットケーブルで伝送されているリセット信号に、画像形成装置内部もしくは外部からの外乱ノイズが混入し、予期しないタイミングでシステムコントローラ101ないし負荷コントローラ201にリセットがかかり、装置の緊急停止等を招くという現象も課題となる。
【0034】
この課題を解決する為に、従来、例えば図4に示すように、フラットケーブルの表層を(GND(グランド)と同電位となる部材にて)遮へいする構成のケーブルを用いる手法がある。しかしこのケーブルは一般的にコストが高く、画像形成装置のコストダウンの足枷となってしまう。
【0035】
そこで本発明においては、図5に示すようにフラットケーブル内の信号配列を工夫することで、上記課題を解決している。
【0036】
すなわち、フラットケーブルA列内において、N番目の極数に配置されるクリティカルな信号S302(高速信号やリセット信号等)の両端となるN−1、N+1番目の極数には、GNDを配列させる。またB列のケーブルにおいて、A列のクリティカル信号S302と重なり合う位置(対向する位置)、ここでは、B列内において、N番目の極数には、GNDを配列させる。好ましくは、図5にあるようにN−1、N、N+1番目の極数に、GNDを配列させる。尚、本発明では、B列のN番目にGNDを配列させているが、B列のN番目近傍の極であるN−1、N、N+1番目の極数をGNDを配列させてもよく、さらにN−2やN+2番目の極数についてもGNDを配列させたり、あるいはB列の全ての極をGNDとしても良い。
【0037】
以上のようにケーブル配列を工夫することにより、クリティカル信号S302は上及び左右方向ともGNDによって遮へいすることが出来る。これにより、例えば、図4に示すようなフラットケーブルの表層を(GND(グランド)と同電位となる部材にて)遮へいする構成の高価なケーブルを用いることなく、簡易かつ安価な手法で遮へいすることが出来る。
【0038】
また、上記でB列において、GNDとした以外の極数については、その極数からエミッションノイズの問題とならない信号の伝送に使用すれば、A列、B列ともに信号の伝送に使用しながら、フラットケーブル内の信号配列を工夫することで、エミッションノイズおよび、イミュニティーノイズの課題を解決することが出来る。
【0039】
また、B列の全ての極をGNDとしても、図4に示すようなフラットケーブルの表層を(GND(グランド)と同電位となる部材にて)遮へいする構成の高価なケーブルを用いることなく、簡易かつ安価な手法で遮へいすることが出来る。
【0040】
さらに、A列とB列のフラットケーブルのうち、金属板金303に近いほうに、クリティカルな信号S302(高速信号やリセット信号等)のあるA列のフラットケーブルを配置させるようにすることで、図6に示す如くクリティカル信号S302は上下、左右方向ともGNDによって遮へいされるので、S302からのエミッションノイズおよび、S302へのイミュニティーノイズの課題を解決することが出来る。
【0041】
上記の構成において、さらに金属板金303のGNDレベルを、フラットケーブル内のGNDレベルと同電位に近づける為に、またフラットケーブルにより接続される電気ユニットのGNDレベルと同電位に近づけることが望ましい。そこで、金属板金303を2つの電気ユニットの少なくともいずれか一方の電気ユニット、もしくは電気ユニットを固定する金属板金に対して、ビス勘合接続させることがより望ましい。本実施形態では、金属板金303は、システムコントローラ101および負荷コントローラ201両方に対してビスで勘合接続している。
【0042】
また、上記のようなN番目の極数に配置されるクリティカル信号S302を有するフラットケーブルA列を、N番目の極数に配置されるクリティカルな信号S302(高速信号やリセット信号等)の両端となるN−1、N+1番目の極数には、GNDを配列させる。またA列のケーブルの上下方向をケーブルにし(先の実施形態におけるB列のケーブルをA列の両側に配置する)、各々のケーブルでA列のクリティカル信号S302と重なり合う位置(対向する位置)において、N番目の極数には、GNDを配列させることでも同様の効果を得られる。好ましくは、N−1、N、N+1番目の極数に、GNDを配列させる。尚、本発明では、B列のN番目にGNDを配列させているが、B列のN番目近傍の極であるN−1、N、N+1番目の極数をGNDを配列させてもよく、さらにN−2やN+2番目の極数についてもGNDを配列させたり、あるいはB列の全ての極をGNDとしても良い。
【0043】
以上のようにケーブル配列を工夫することにより、クリティカル信号S302は上下及び左右方向ともGNDによって遮へいすることが出来る。これにより、例えば、図4に示すようなフラットケーブルの表層を(GND(グランド)と同電位となる部材にて)遮へいする構成の高価なケーブルを用いることなく、簡易かつ安価な手法で遮へいすることが出来る。
【0044】
図7には、本願発明の別の実施形態を示す図である。ここで、システムコントローラ101と負荷コントローラ201を接続するIFケーブル301の関係は図3で説明した関係と同様である。
【0045】
即ち、IFケーブル301は図3の如く、1ピンからmピンまでの多極を有するA列とB列の2列のケーブルが平行するように構成されたフラットケーブルによって接続されており、このフラットケーブルと平行するように画像形成装置の金属板金303が配置されている。このフラットケーブルA列内において、N番目の極数に配置されるクリティカルな信号S302(高速信号やリセット信号等)の両端となるN−1、N+1番目の極数には、GNDを配列させ、またB列のケーブルにおいて、A列のクリティカル信号S302と重なり合う位置に該当する極数には、GNDを配列させる。(本発明では、B列のN番目にGNDを配列させている。)
またさらに、A列とB列のフラットケーブルのうち、金属板金303に近いほうに、クリティカルな信号S302をもつA列のフラットケーブルを配置させるようにする。
【0046】
以上のようにケーブル配列を工夫することにより、図7に示す第2の実施形態においても、図6に示す如くクリティカル信号S302は前後、左右方向ともGNDによって遮へいされるので、S302からのエミッションノイズおよび、S302へのイミュニティーノイズの課題が解決される。またさらに、金属板金303は、システムコントローラ101に対してビス勘合接続している。これにより、金属板金303のGNDレベルを、フラットケーブル内のGNDレベルと同電位に近づけることができる。尚、ここではGNDレベルとしたが、GNDレベルだけではなく、安定した電位の信号であれば、電源電圧やスイッチングしない信号であってもよい。スイッチング周期が低い信号であっても可能である。
【0047】
以上説明したように、ハーネスの信号配列を工夫する簡易的かつ安価な手法で、ハーネス内部を信号、特に高速(高周波)信号が伝送する際に生ずるエミッションノイズ、および外乱ノイズがハーネス内部の信号に誤動作を与えるイミュニティーノイズのいずれの課題も解決することが可能となる。
【0048】
また、上記実施形態では画像形成装置を例に説明したが、例えばスキャナなど他の電子機器に応用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図
【図2】実施形態に係る画像形成装置の制御系ブロック図
【図3】本発明の特徴であるケーブルの信号配列と金属体の関係を説明する図
【図4】表層をGND遮へいした構成のフラットケーブルの図
【図5】本発明の特徴であるケーブル内の信号配列の説明図
【図6】クリティカル信号が上下、左右方向ともGNDにより遮へいされる様子を示した図
【図7】本発明の別の実施形態を示す図
【符号の説明】
【0050】
1R 画像読取部
1P 画像出力部
10 画像形成部
11 感光体ドラム
12 一次帯電器
20 給紙ユニット
30 中間転写ユニット
40 定着ユニット
101 システムコントローラ
201 負荷コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ユニット間を接続し信号を伝送可能な、平面状で多極を有する第1のハーネスと、
多極を有するとともに、第1のハーネスと平行して配置される第2のハーネスとを有する電子機器において、
第1のハーネスのN番目のピンにはクリティカルな信号が配置され、前記クリティカルな信号と隣合うN−1番目のピンおよび、N+1番目のピンには安定した電位の信号が配置されるとともに、前記第1のハーネスのN番目のピンと、第2のハーネスにおける物理的に重なり合う関係となるピンには、安定した電位の信号を配置することを特徴とする。
【請求項2】
前記クリティカルな信号とは、高速信号であることを特徴とする請求項第1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記クリティカルな信号とは、前記電気ユニットを初期化させるリセット信号であることを特徴とする請求項第1に記載の電子機器。
【請求項4】
第2のハーネスには、クリティカルな信号が配置されないことを特徴とする請求項第1乃至第3に記載の電子機器。
【請求項5】
第2のハーネスには、安定した電位の信号のみが配置されることを特徴とする請求項第4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記安定した電位の信号とはGNDであることを特徴とする請求項第1乃至第5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記安定した電位の信号とは電源電圧であることを特徴とする請求項第1乃至第5に記載の電子機器。
【請求項8】
前記安定した電位の信号とはスイッチングしない、あるいはスイッチング周期が低い信号であることを特徴とする請求項第1乃至第5に記載の電子機器。
【請求項9】
前記金属体は、前記第1のハーネスおよび、第2のハーネスにより接続される複数の電気ユニットの少なくとも1つの電気ユニット、もしくは電気ユニットを固定する金属固定部材に対して、ビス勘合接続されることを特徴とする、請求項第1乃至第8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記電子機器は画像形成装置であることを特徴とする、請求項第1乃至第9に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−307724(P2007−307724A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136417(P2006−136417)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】