画像形成装置
【課題】感光体や中間転写体とそれらに接触する部材との接触部に溜まる液量を抑え、記録媒体へのキャリア液の多量な付着や、現像剤の垂れ等がなく、記録媒体が通過するタイミングの如何に関わらず、高画質な画像を提供する。
【解決手段】静電潜像が形成される像担持体1と、この像担持体1上の静電潜像を、液体現像剤9を用いて現像して可視像とする現像装置11と、前記像担持体1に形成されたトナー像を転写材21に転写させる転写装置20とを有する画像形成装置において、転写材21にトナー像を転写する転写位置以前に、液量規制部材を備え、タイミングを計り、像担持体1上に付着している現像剤を、転写部材20と接触する前に、転写前液量規制ブレード30等の液量規制手段によって除去することによって、接触部に溜まる液量を可及的に低減すること。
【解決手段】静電潜像が形成される像担持体1と、この像担持体1上の静電潜像を、液体現像剤9を用いて現像して可視像とする現像装置11と、前記像担持体1に形成されたトナー像を転写材21に転写させる転写装置20とを有する画像形成装置において、転写材21にトナー像を転写する転写位置以前に、液量規制部材を備え、タイミングを計り、像担持体1上に付着している現像剤を、転写部材20と接触する前に、転写前液量規制ブレード30等の液量規制手段によって除去することによって、接触部に溜まる液量を可及的に低減すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体現像剤を使用した画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。特に、詳しくは、感光体や中間転写体とそれらに接触する部材との接触部において、滞留しやすい現像剤の量を少なくすることを可能にするため、記録媒体に過剰の現像剤が付着することを防ぎ、液体現像剤の消耗を可及的に低減すると共に、高品質な画像を形成することができるものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体現像剤を用いた画像形成装置では、感光体や中間転写体に圧接する転写部材を用いて、記録媒体にトナー像を転写する際に、感光体から記録媒体への直接転写方法で、その接触部に現像剤が溜まる不具合が生じることがあった。また、中間転写体を用いた場合にも、感光体と中間転写体との接触部及び中間転写体と転写部材との接触部に現像剤が溜まる不具合が生じることがあった。
【0003】
これらの不具合は、二成分型の液体現像剤を用いた画像形成装置では、枚葉紙の場合の紙間や、作像を始めて最初の記録媒体が感光体や中間転写体に到達するまでの間等の非画像部においても、トナーはほとんど付着しないものの、キャリア液は付着し続けるために生じるものであった。
【0004】
従来の技術における上記不具合に対する手段としては、現像剤は液体であるため、瞬時に止めたり、供給したりすることが困難であって、作像時には前もって現像剤を供給し、枚葉紙の紙間等では給液を停止しないことなどが行われていた。
【0005】
また、微小な凹凸のある紙などに代表される記録媒体にトナー像を転写する場合には、記録媒体と感光体や中間転写体との間に空隙を生じることがある。そのような空隙が生じると、良好な転写を行なうことが困難となり、高画質な画像を得ることが出来ないという問題を生じていた。
【0006】
従来の技術における上記問題に対する手段としては、良好に転写が行なわれ、高画質な画像を得るために、記録媒体と感光体や中間転写体との間には、キャリア液が充満していることが望ましいとされ、上記のような空隙を作らないために、感光体や中間転写体と圧接する部材との間の圧力をより高める場合があったが、ここでの圧力が高いほど、せき止められる液が多くなるために、液の滞留は多くなる傾向があった。
【0007】
加えて、このように接触部に現像剤が溜まると、最初の記録媒体がその接触部に到達した場合に、記録媒体の先端部分に多量のキャリア液等が付着し、搬送不良の原因となり、画像を損なうことや、記録媒体へのキャリア液の吸収や記録媒体からのキャリア液の乾燥が困難となることが多く、溢れた液が垂れて、記録媒体や装置を濡らすこともあるために、問題の解決には至らなかった。
【0008】
以上の従来技術の一例として、端部のトナークリーニングに関するもの(特許第3138034号公報)、転写前クリーニングに関するものであって、転写時は感光体に押付側の、非転写時は感光体から除去側のバイアス印加するもの(特開平08−036339号公報)、回転速度制御方法及び画像形成装置に関するもの(特開2003−125591号公報)、両面画像形成装置で、余剰のキャリア液回収に関するもの(特開2002−116627号公報)、画像形成装置及び画像形成方法で、余剰のキャリア液吸液に関するもの(特開2006−106096号公報)が開示されている。
【特許文献1】特許第3138034号公報
【特許文献2】特開平08−036339号公報
【特許文献3】特開2003−125591号公報
【特許文献4】特開2002−116627号公報
【特許文献5】特開2006−106096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の従来技術における問題を回避するためには、記録媒体が通過しない時は、感光体から中間転写体等をまた、中間転写体から転写部材等を離しておき、記録媒体通過時に接触させる方法があるが、この方法は部材同士の接触時に振動を伴い、書き込みに影響を与え、画像を乱すことが多い。
【0010】
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、感光体や中間転写体とそれらに接触する部材との接触部に溜まる液量を抑え、記録媒体がしばらく存在しなかった後に記録媒体が通過した場合も、記録媒体にキャリア液等が多量に付着することがなく、画像形成装置外に不要に現像剤を持ち出すことがなく、現像剤が垂れることがなく、多量なキャリア液によりトナー像が押し流されることがなく、記録媒体が通過するタイミングの如何に関わらず、高画質な画像を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段は、タイミングを計り、感光体や中間転写体上に付着している現像剤を、中間転写体や転写部材と接触する前に、液量規制機構稼働・非稼働切替機構によって除去することによって、接触部に溜まる液量を抑えるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明(請求項1乃至請求項9の発明)によれば、感光体や中間転写体上に付着している現像剤が、感光体や中間転写体とそれらに接触する部材との接触部に溜まる量を少なくすることができるので、記録媒体に多量の現像剤が付着することを防ぐことができ、したがって、異常に濡れた記録媒体の搬送不良を招くことがなく、画像形成装置から不必要に現像剤を持ち出すことがなく、現像剤が垂れることがなく、多量なキャリア液によりトナー像が押し流されることがなく、タイミングに関わらず高画質な画像を得ることができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施形態1]
発明を実施するための最良の形態に関し、第一の実施の形態について図面を使用して説明する。
ここで、第一の実施の形態は、液体現像剤を用いた画像形成装置に適用した場合の実施形態であって、使用する各部品の材質などは例示であり、本発明はそれらに限定されること無く使用することができるものである。
【0014】
図1には、感光体ドラム1の周りの、画像形成部の概略が示されている。この図1において、感光体ドラム1の上方に帯電装置2があり、この帯電装置2によって感光体ドラム1の表面を帯電させる。また、画像部以外の部分の電荷については、イレースランプ3の部分点灯によって消去される。そして、露光装置4によって、感光体ドラム1の表面に画像データが露光され、これによって、感光体ドラム1の上には、図示しない静電潜像が形成される。ここで露光装置4は、感光体ドラム1に対して間隔をもって設けられた第一現像ローラ5と第二現像ローラ6の二本の現像ローラとリバースローラ7を備えている。
【0015】
第一現像ローラ5及び第二現像ローラ6にはSUS製のものが好適に使用され、リバースローラ7はアルミ製で表面をハードアルマイト加工したものが好適に用いられる。前記第一現像ローラ5及び第二現像ローラ6は、感光体ドラム1に対して微小隙間(間隔)を介して配置されており、リバースローラ7の感光体ドラム1に対する微小隙間(間隔)は、前記第一現像ローラ5及び第二現像ローラ6の隙間よりも狭く設計されている。
【0016】
現像剤タンク8には、液体現像剤9が用意されており、ポンプ10によって、現像装置11とクリーニング装置12へと前記液体現像剤9が運ばれる設計となっている。前記現像装置11に運ばれた液体現像剤9は、第一現像ローラ5と第二現像ローラ6との二本の現像ローラに注がれる。前記第一現像ローラ5及び第二現像ローラ6の二本の現像ローラは、回転して感光体ドラム1の上の図示しない静電潜像に液体現像剤を供給する。回転ドラム1の上に供給された液体現像剤9中のトナー成分が、電子写真方式の電気泳動法によって、感光体ドラム1の表面の静電潜像上に付着し、図示しない現像剤像を形成する態様となっている。
【0017】
次に、リバースロー7は、当該リバースローラ7と感光体ドラム1との微小隙間(間隔)が、先に記載した第一現像ローラ5及び第二現像ローラ6と感光体ドラム1との微小隙間(間隔)よりも狭く設計されている。そのため、リバースローラ7は、感光体ドラム1の表面に付着した液体現像剤9から、当該液体現像剤9内の余剰なキャリア液や未現像トナーを取り除くことができるものである。
【0018】
その後、感光体ドラム1の上に形成された図示しない現像剤像は、転写ローラ20によって、紙や布などの記録媒体である転写材21に転写される。
ここで、前記転写材21に転写されずに残留した液体現像剤9は、クリーニング装置12内のフォームローラ22によって吸い取られ、さらに、フォームローラ22により吸い取られた液体現像剤9は絞りローラ23によって、フォームローラ22から絞り出されて、現像剤タンク8へ戻される仕組みとなっている。
さらに、感光体ドラム1上に残った液体現像剤9は、感光体ドラム1の表面をきれいに清掃するためのクリーニングブレード24によって掻き落され、掻き落とされた液体現像剤9もフォームローラ22により吸われて、クリーニング装置12を介して最終的には現像剤タンク8に回収される仕組みとなっている。
【0019】
ここで、図1に示される本発明の画像形成装置においては、液体現像剤9の循環及び回収のルートが、上記クリーニング装置12から現像剤タンク8へ回収される系統と、上記現像装置11から現像剤タンク8へと回収される系統を、結合させて使用する場合を示しているが、その装置上の設計は特に限定されること無く、例えば、クリーニング装置12と現像装置11との液循環を別個の装置配置として設計しても良いものである。
【0020】
次に、本発明に用いる液体現像剤9の例について説明する。なお、ここでの液体現像剤9は、トナー成分とキャリア液との混合剤によって構成される現像剤である。
【0021】
また、本発明に使用する着色材としては、特に限定されることは無いが、記録媒体である転写材21が紙である場合には、ジスアゾイエロー、キナクリドン、銅フタロシアニン又はカーボンブラックの顔料を使用することが望ましい。
【0022】
他方、記録媒体である転写材21が布である場合には、直接染料、酸性染料、塩基性染料(カチオン染料)、反応性染料が好適に用いられる。
前記直接染料に使用する例示としては、ダイレクトファストイエローR、ダイレクトファストイエローGC、ダイレクトファーストオレンジ、ダイレクトスカイブルー5B、ダイレクトスプラレッド3B、コプランチングリーンG、ダイレクトファストブラックDなどがある。
前記酸性染料に使用する例示としては、アシッドブリリアントスカーレト3R、アシッドバイオレット5B、アリザリンダイレクトブルーA2G、アシッドサイアニン6B、アシッドサイアニングリーンG、アシッドファーストブラックVLG等がある。
また、前記カチオン染料に使用する例示としては、カチオンイエロー3G、カチオンゴールデンイエローGL、カチオンオレンジR、カチオンブリリアントレッド4G、カチオンブルー5G等が挙げられる。
さらに、前記反応性染料に使用する例示としては、リアクティブオレンジ2R、リアクティブレッド3B、リアクティブブルー3G、リアクティブブリリアントブルーR、リアクティブブラックBなどがある。
これら染料は、その80重量%以上が分散状態でキャリア液中に存在するようになっているものが望ましい。
【0023】
前記染料を使用した場合は、布などの記録媒体の裏面への写り性、洗濯堅牢度に優れる。布等の材質により、染料を選択した方が染色性、洗濯堅牢度は良く、例えば、ポリエステル、アセテート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ビニロンなどの合成繊維からなる布等の場合は分散染料が、アクリルの場合は塩基性染料、コットン、麻等のセルロース系布等の場合は反応性染料、直接染料が、ナイロン、レーヨンなどの布は直接染料が、絹、羊毛などの布等は酸性染料が、それぞれ望ましい。
【0024】
市販の紛体染料は、染料純度50%程度で、食塩、芒硝が多量に入っている場合が多く、液の抵抗、帯電性に悪影響を与えるため、精製するか、初めから塩類含有量の少ない染料を用いた方が、良好である。本発明では純度80%以上であることが望ましい。
【0025】
この発明の液体現像剤に使用されるキャリア液としては、高抵抗で低誘電率のものが良く、イソパラフィン系炭化水素、シリコーン系オイル等が良好である。イソパラフィン系炭化水素は、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV(エクソン化学)などがあり、シリコーン系オイルとしては、KF96の1〜10000cst(信越化学工業株式会社)、SH200,SH344(東レ・ダウコーニング株式会社)、TSF451(GE東芝シリコーン)などがある。中でも沸点が130℃以上の飽和炭化水素は、臭気、安全性の点で良好である。これらの溶媒は、後工程の加熱、スチーミングの段階で蒸発させることができる。
【0026】
また、本発明に併用することが好ましい分散用樹脂としては、下記一般式(1)で表わされるビニルモノマーと、一般式(2)で表わされるビニルモノマー、及びその余の第3成分としてのビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンよりなる群から選ばれた少なくとも一種のモノマーよりなる共重合体、グラフト共重合体がある。
【0027】
【化1】
【化2】
(R1は、HまたはCH3を、R2はC1〜C4のアルキル基を、nは6〜20の整数を表わす。)
成分(A)と成分(B)の共重合割合は60〜95:40〜5、望ましくは70〜90:30〜10であり、また、前記第3成分は、成分(A)の0〜5%であることが好ましい。
【0028】
これらの着色剤、樹脂、キャリア液をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミルなどの分散機に投入して、分散、混練を行い、高固形分液体現像剤を調製し、これをキャリア液で希釈することにより、現像に用いる液体現像剤を得ることができる。
【0029】
布等としては、織物、編物、不織布、組み紐等を問わずあらゆる布組織を用いることができるが、特に織物が好ましい。
布等を構成する素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど種々のポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ビニロン、アクリル、ナイロン、アセテート、などの合成繊維や、レーヨンなどの再生繊維、コットン、麻等のセルロース系繊維、絹、羊毛などの動物繊維があり、またこれらの混紡、交織であってもよい。
【0030】
次いで、図2を参照図として、液体現像剤9が滞留する不具合の状態の説明、そして、その不具合を解決する本発明の特徴的箇所について説明する。
始めに、液体現像剤9を使用した作像の際に、感光体ドラム1の潜像相当部よりも作像シーケンス上の前の部分において、作像のための準備動作を行う。つまり、感光体ドラム1や現像ローラ5,6を回転させ、現像剤を現像ローラに供給し、現像ローラ5,6に現像バイアスを印加し、リバースローラ7を回転させる。
この準備動作により、感光体ドラム1の表面には、厚さが数μm〜数十μmの一様な液体現像剤9が膜状に形成される。このとき、感光体ドラム1は帯電され、現像バイアスも印加されているため、感光体ドラム1の表面に付着する液体現像剤9は、非画像部と同様の液体現像剤9であり、トナー粒子の成分は極少量ないし全く付着しないものであり、ほとんどがキャリア液の付着によるものである。
【0031】
一方、図2に示されるように、感光体ドラム1の表面であって、リバースローラ7の下流方向側に転写ローラ20が設けられている。
転写ローラ20は、紙や布などの記録媒体である転写材21の有無に合わせて接離することが可能な構造となっている。
ここで、当該転写が行われる際には、一定以上の圧力を必要とすることが多く、転写ローラ20を高圧で感光体に圧接させた場合には、その接離時に感光体ドラム1に振動が与えられ、精細な画像データを書き込みの際に感光体ドラム1が振動すると、画像データの位置がずれることとなり、画質が損なわれる不具合を生じため、本発明の実施の態様としては、転写ローラ20は接離しない方が望ましい。
また、転写ローラ20を感光体ドラム1に圧接したままの状態で、作像のための準備動作を行うと、感光体ドラム1の表面であって、リバースローラ7の下流方向側に形成された液体現像剤9の膜が、感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部をすり抜けることができなくなるために、感光体ドラム1と転写ローラ20との上流側(図2に示される液溜まりQの箇所)に液体現像剤9が溜まる状態を引き起こす。
【0032】
次に、図2に示される液溜まりQの箇所に液体現像剤9が溜まる状態から生じる技術的問題点についての例を挙げて説明する。
作像の動作が開始され、転写のために転写紙が感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部に搬送されると、図3に示されるように、液溜まりQに転写紙21aが突入し、転写紙21aの先端部分に多量の液体現像剤9が付着する。
上述のように、この場合の液体現像剤9は、トナー粒子成分が付着しないものの、主にキャリア液によって、転写紙21aは異常に濡れてしまい、その結果、通常の動作では装置外に持ち出されることのないキャリア液の量が、転写紙21aに付着して装置外に持ち出されるために、キャリア液が過剰に消費される。
【0033】
また、転写紙21aに付着したキャリア液を熱定着などの過程で揮発させる場合には、熱エネルギーが多く必要となるため好ましくない。加えて、揮発しないキャリア液を用いた場合は、転写紙21aに吸収しきれずに表面に残るため、出力された転写紙21aの形状的な品質を損なう恐れがある。
【0034】
さらに、前記先端が濡れた転写紙21aは、コシがなくなった状態になるために、搬送不良を引き起こし、装置外に排出されないこともある。加えて、先端に多量に付着したキャリア液により、それ以降に転写されたトナー像が転写紙21a上で押し流され、画質を損なわれる場合もある。加えて、作像が開始される前の作像準備動作が長時間の場合や、リバースローラ7の後における感光体ドラム1の上の液体現像剤9付着量が多い場合には、転写ローラ20前方での上記液溜まりQ部から液があふれ、あるいは落下し、転写ローラ20や装置を濡らす問題を引き起こすために好ましくない。
【0035】
転写材21の他の例においては、ウエブ状の転写紙や布の場合に、プリントジョブ当初のみの問題となり、濡れた先端を使用しないようにする方法も挙げられるが、無駄に先端を現像剤で濡らす分だけキャリア液が過剰に消費されると共に、コストの増大となることが懸念される。
【0036】
前記感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部にキャリア液が溜まって、液溜まりQ部ができるという問題は、上述した作像動作の前の作像準備時のみに限らず、枚葉紙にプリントする場合においても、その紙間に発生するものである。すなわち、枚葉紙の場合、その先端を使用しないのは現実的ではなく、紙間では、上述した作像準備は数秒から数分行なわれる場合が多いため、それに比べると、感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部の上記液溜まりQの液量は比較的少ない。しかしながら、リバースローラ7後の液体現像剤9の量など、作像条件や、転写紙の液吸収性等の性質によっては、上述した画像の流れその他の不具合が問題となる場合もあるためである。
【0037】
そこで、作像準備時や紙間においては、感光体ドラム1の上に付着した液体現像剤9を除去する作業が必要になる。
例えば、図1に示されるように、本発明の画像形成装置は、感光体ドラム1の表面移動方向において、リバースローラ7の下流側、転写ローラ20の上流側に、転写前液量規制ブレード30が配置されている。
【0038】
前記転写前液量規制ブレード30は、図4に示されるように、弾性ブレードbと、当該ブレードを支持するホルダー形状の支持部材hと、ケース、ドレインなどから構成されている。
前記弾性ブレードbは、例えばゴムなどの弾性部材で構成された、いわば、弾性変形が可能なブレードであり、そのエッジ部が感光体ドラム1に当接するように配設されている(なお、弾性ブレードbについては、転写前液量規制ブレード30との呼称の違いを明確にするために、以下において「弾性ブレードb」と記載する)。
【0039】
前記弾性ブレードbは、感光体ドラム1に対して、近接や離間ができるように、図示しない駆動機構によって接離可能な構成となっている。そして、前記弾性ブレードbの役割としては、現像ローラ部を通過した後の感光体ドラム1の表面に付着している液体現像剤9を摺擦することにより掻き取るものである。
転写前液量規制ブレード30は、弾性ブレードbによって掻き取られた液体現像剤9が回収されるように、転写前液量規制ブレード30がそれぞれのケースに収容されている。加えて、掻き取られた液体現像剤9は、その自重によってケースに落下し、ケースのドレイン孔、配管を介して、感光体ドラムクリーニング液や現像剤と同様に、現像剤タンク8に回収され、トナー濃度等が再調整され、現像やクリーニングに繰り返し利用される態様となっている。
【0040】
上記の転写前液量規制ブレード30が収容されるケースの形態は、現像ユニットのケースと同じものを使用してもよく、また、転写前液量規制ブレード30は、例えば図1に示される現像装置11の一部またはユニット内に設置してもよい。これは、現像ローラ5,6やリバースローラ7と同じケースに収容して設置することで、回収された液体現像剤9は、現像装置からの回収液と一緒に回収されることができ、構造上の有利な箇所となり得るためである。
また、本発明の実施の態様では、上記の転写前液量規制ブレード30が収容されるケースの形態に限定されることは無く、現像装置、クリーニング装置(又はクリーニングユニット)への転写前感光体付着現像剤を、それぞれ分けて循環させても良い。これは分別による再利用の容易性や設計の自由度が向上するためである。
【0041】
本実施形態における、転写前液量規制ブレード30の構成の一例としては、図4に示されるように、弾性ブレードbが板状のものであって、材料の一例としては、バンドー化学社製のウレタン材(バンコラン)を使用し、厚さが2mm、硬度が70度、その突出し量が10mmであり、感光体ドラム1の外周面に対する当接角度θは80°〜85°±3°、線圧は14.7〜24.5mN/mmに調整されていることが好適である。
【0042】
また、転写前液量規制ブレード30が感光体ドラム1に当接するタイミングは、非作像領域で行われる。ここで、当該「非作像領域」の詳細を記載すると、文字画像などのトナー成分が付着する部分を画像部、トナーが付着しない地肌部を非画像部ということがあるが、この場合、例えば、紙1枚中にプリントされる部分を、上記画像部、非画像部も含め「作像領域」と呼び、例えば紙間や転写紙に転写されるよりも前の部分、後の部分を「非作像領域」と呼ぶ。
前記非作像領域は、作像シーケンスが動作し始め、作像領域が転写前液量規制ブレード30位置に到達する前の領域、通り過ぎた後の領域である。枚葉紙の場合では、転写紙と転写紙の間で、従来多くの現像剤が付着している領域である。
【0043】
転写前液量規制ブレード30は、非作像領域のうち、現像剤が付着した部分がその弾性ブレードbの当設位置に到達する前に、駆動機構(図示略)で駆動されて感光体ドラム1の表面に弾性ブレードbのエッジが当接するように移動する。これにより、感光体ドラム1の上の液体現像剤9が弾性ブレードbによって掻き取られて回収されることになる。
転写前液量規制ブレード30は、その弾性ブレードbの当接位置に、作像領域が到達する前に駆動し、感光体ドラム1から離間する方向に移動する。
【0044】
また、当該ブレード30が駆動し、弾性ブレードbが感光体ドラム1に接触させるタイミングは、主に、液体現像剤9が付着した部分が当該弾性ブレードbの当接位置に達した後とする。
これは、乾燥した感光体ドラム1に転写前液量規制ブレード30の弾性ブレードbを当接させると、そのエッジの上記ドラム面に対する滑りが悪くて微小に引き込まれたり、振動を生じるなど、正常に動作しない場合があるからである。
【0045】
このように、転写前液量規制ブレード30を設け、動作させることにより作像シーケンス開始時に作像の準備動作をして液体現像剤9を感光体ドラム1に付着させても、図2に示すような、感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部に液溜まりQは形成されない。したがって、1つのジョブ中の最初の転写紙や布が通過する場合でも、その先端に多量の現像剤が付着して異常に濡れることはない。
また、作像準備動作が長時間の場合や、リバースローラ7の後での感光体ドラム1上の現像剤付着量が多い場合、液溜まりQから液があふれ、あるいは落下し、転写材21や転写ローラ20を濡らすことを防ぐことができる。
【0046】
〔実施例1〕
図5に示すものは、転写前感光体ドラム上1の液体現像剤9を規制する手段が、感光体ドラム1に対して非接触型のローラによる例である。
感光体ドラム1上に付着した液体現像剤9の液膜に接触するような間隔で、リバースローラ7が感光体ドラム1に対して設けられているが、上記転写前液量規制非接触ローラ50は、現像装置11内のリバースローラ7よりも狭い隙間c(図5参照)を介して感光体ドラム1に対して設置されている。転写前液量規制非接触ローラ50の材質については、現像装置11中のリバースローラ7と同様にハードアルマイトや、SUS等を使用することが可能である。
【0047】
図5の例では、転写前液量規制非接触ローラ50の回転方向が感光体ドラム1と同方向、つまり表面移動方向が逆方向(リバース)である。転写前液量規制非接触ローラ50による感光体ドラム1からの現像剤回収効率を高くするには、感光体ドラム1から回収した現像剤を、さらに転写前液量規制非接触ローラ50から回収するためのブレードを設ける。
【0048】
図1の実施形態における上記転写前液量規制ブレード30と同様に、非作像領域において、転写前液量規制非接触ローラ50を駆動装置により稼働させる。転写前液量規制非接触ローラ50の稼働・非稼働は、回転と停止の切換によることとしてもよいし、移動機構によって、非稼働時に転写前液量規制非接触ローラ50と感光体ドラム1との距離を離すようにしてもよい。また、転写前液量規制非接触ローラ50の回転方向が上記と反対方向でも、効率は落ちるものの、液量を規制する機能は奏するので、転写前液量規制非接触ローラの回転方向は感光体ドラムと反対方向でもよく、したがって同方向に限られるものではない。
【0049】
転写前液量規制非接触ローラ50では、液体現像剤9の液量を規制することはできるものの、上記の転写前液量規制ブレード30によるもののようにほぼ100%液除去することはできない。そのため、感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部における液溜まりQの液量は、上記ブレード30による場合に比してやや多くなるが、これ自体による規制効果は格別に顕著である。
【0050】
〔実施例2〕
図6に示すものは、転写前感光体ドラム上の現像剤を規制する手段として、転写前液量規制接触ローラ60を用いた例である。
この例では、転写前液量規制接触ローラ60は、感光体ドラム1に対して接触するように配置されており、転写前液量規制接触ローラ60の回転方向は、感光体ドラム1と同方向で、表面移動方向が逆方向(リバース)になっている。
したがって、この転写前液量規制接触ローラ60は、もし上記転写前液量規制非接触ローラ50と同じハードアルマイト製であれば、これで感光体ドラム1を傷つけてしまう。また、表面移動方向が感光体ドラムと逆方向であって、感光体ドラムの回転に対する抵抗になり、さらに、感光体ドラムから回収した液を転写前液量規制接触ローラ60から除去するブレード等を設ける必要がある。このため、上記転写前液量規制接触ローラ60については、弾性があり、表面エネルギーが低く、すべりの良い表面素材のものであるのが好ましい。このため、この例では、表面をフッ素コートした硬度50°のウレタンローラを用いている。図1における上記転写前液量規制ブレード30による場合と同様、非作像領域において、転写前液量規制接触ローラ60を稼働させる。また、この場合、接離及び回転を含む。転写前液量規制接触ローラ60は、図5における上記非接触ローラ50よりも、液の規制効果が高く、上記規制ブレード30のようにほぼ100%の液除去がなされる。
【0051】
また、転写前液量規制接触ローラ60の回転方向は感光体ドラム1に対してリバースである必要はなく、その表面移動方向が感光体ドラム1の表面移動方向と同方向のものでもよい。同方向の場合は、リバースであるものに比べると液量規制効率は落ちるものの、それ自体の液量規制の作用効果は格別顕著である。
【0052】
〔実施例3〕
図7に示すものは、転写前感光体ドラム上の現像剤を規制する手段を、循環ベルト70にした例である。
この例は、一対の回転輪(プーリ)70a,70bを上下に対置し、両回転輪70a,70bにベルト70cを巻かけ、ベルト70cを感光体ドラム1に当接させている。ベルト70cはウレタン製であり、上記転写前液量規制接触ローラ60と同様の性質を備えている。
ベルト70cが感光体ドラムに当接下状態で循環することで、感光体ドラム面の現像剤量を規制するものである。
このベルト70cによる例によれば、ローラによる場合に比して、規制部材が循環する範囲が上下に長いので、感光体ドラム1から回収した現像剤をベルトから回収するためのブレードの、設置場所の選択範囲が広く、したがって、これらのレイアウトの自由度が高いという利点がある。
【0053】
〔実施例4〕
図8に示すものは、転写前感光体ドラム上の現像剤を規制する手段を液吸引装置によるものにした例である。
この例は、感光体ドラム1上の液を吸引するのに、感光体ドラム1の下面に軸方向に長いスリット状吸引口80aを近接して設け、吸引口80aの反対側の他端を真空ポンプ80bに接続し、吸引口80aにおける負圧を、負圧センサで検知しつつバルブ等で制御し、吸引口80aにおける吸引力を適正な一定に維持する。図8の例では、吸引口80aは感光体ドラムに負荷をかけないよう非接触としているが、その吸引口80aのスリットの一側部を弾性部材で構成し、これを感光体ドラム1に当設させて現像剤を掻き取るようにし、上記弾性部材を感光体ドラム1に当接させ、あるいは離間させる操作機構を設けた構成にするのも良い。この場合は、他方の一側部は感光体ドラム上の現像剤が効率よくスリットの方に吸引されるように感光体ドラムと隙間をもって配置する。
【0054】
真空ポンプ80bとしては、ロータリポンプ、ダイヤフラムポンプ、チューブポンプ等があり、これらのポンプを用いればよい。また、感光体ドラム非作像領域に付着している現像剤量は微量なので、空気とともに現像剤を吸い込ませることになるので、このような条件に最も適したポンプが望ましい。
【0055】
〔実施例5〕
図9に示す例は、転写前感光体ドラム上の現像剤を規制する手段を、液吸収ローラによるものとした例である。
この例における転写前液吸収ローラ90は、液吸収ローラ90aと液絞りローラ90bとで構成されており、上記の液吸収ローラ90aはその表層部が、多孔質弾性体の材料で構成されているものであり、これを感光体ドラム1に対して圧接して現像剤を吸収して回収するものである。上記の多孔質弾性体の例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムの発泡体等があげられる。感光体ドラム上の静電潜像を乱さないためには、電気的に絶縁性のものが好ましい。
また、吸収した現像剤を絞りとれるようにするために、転写前液吸収ローラ90aの表面に、金属製やゴム製等の液絞りローラ90bを圧接させている。この場合は、液吸収ローラ90aと液絞りローラ90bとを反対方向に回転させ、かつ周速差を持たせ、現像剤絞りローラ表面に、現像剤除去のためのブレードを設けるとよい。
【0056】
液吸収ローラ90aの回転方向は、どちらも可能であるが、この実施例では感光体ドラムと逆方向、表面移動方向が同方向としている。上記転写前液量規制部材と同様に、非作像領域において、転写前液吸収ローラを稼働させる。なお、この場合も、液吸収ローラ90aが感光体ドラム1に常に当接していると、画像を乱すことがあるので、非稼働時には離間させることが望ましく、したがって、駆動装置により、転写前液吸収ローラ90を感光体ドラム1に対して接離できるように構成するのがよい。
この例は液吸収ローラ90aを使用しているので、ベルトやウエブ等の形状に比してコンパクトにでき、また、液吸収ローラ90aを多孔質弾性体の材料で形成しているので、現像剤を効率よく除去することができる。液吸収ローラ90aを多段に設けてもよい。こうすることで、一つのみ設けている場合に比して吸収できる現像剤の量が多くなる。
【0057】
〔実施例6〕
図10に示す例は、転写前感光体ドラム上の現像剤を規制する手段を、液吸収ウエブ100によるものとした例である。
このもののウエブ100wは、マルチフィラメントのポリエステル極細繊維や不織布等の、吸油性の良い材質で形成されたものである。ウエブ100wは供給軸100aにロール状に巻かれており、回転体(バックアップローラ)100bに巻きかけられ、他端が巻き取り軸100cに固定されている。巻き取り軸100cの回転でウエブ100wが巻き取り軸100cに巻き取られて、移動する。ウエブ100wは回転体(バックアップローラ)100bの位置でこれによって感光体ドラムに圧接されていて、感光体ドラム上の現像剤を吸収する。現像剤を吸収した部分が巻き取り軸の方にゆっくりと移動するから、その現像剤吸収能力は、安定的に維持される。供給軸100aのウエブが使い切られたら、これを廃棄し、新たなウエブに交換する。
【0058】
なお、ウエブ100wの移動方向は、感光体ドラム1の表面の移動方向と同じ方向、反対方向のどちらも可能であるが、この例では感光体ドラム表面の移動方向と逆方向にしている。ウエブを用いて現像剤を吸収すると、常に新たなウエブ部分で現像剤を吸収することができる。
この例によれば、供給軸100aのウエブが完全に使い切られるまではウエブに転移した現像剤を当該ウエブから除去しなくても、現像剤の吸収能力は安定して保持されるから、ウエブから現像剤を搾り取る装置(クリーニング装置)を設ける必要はない。更に、ウエブ100wを感光体ドラム表面に対してその逆方向に移動させることにより、同方向に移動させる場合に比して感光体ドラム上の現像剤の吸収効率が高い。
【0059】
〔その他〕
上記のような各種転写前液量規制部材を組み合わせて設けてもよく、組み合わせて設けることによって、感光体ドラム上転写前部に付着した現像剤を、より効果的に回収できる。転写前液量規制リバースローラ、転写前液吸収ローラ、の後にブレードを設ける方法などがある。
【0060】
〔実施形態2〕
実施形態2は、中間転写体を用いた発明についての実施形態であり、図11に示されている。
実施形態1と同様に感光体ドラム1上に形成された現像剤像は、感光体ドラム1の回転に伴い、中間転写ローラ20Aと対向する位置に達する。他方、中間転写ローラ20Aは感光体ドラムに向けて押圧して一次転写ニップを形成している。中間転写ローラ20Aにトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加する電源等(図示略)を備えており、プリント時には中間転写ローラ20Aを矢印方向に回転させる。
一次転写ニップには、転写バイアスが印加され、中間転写ローラ20Aと感光体ドラム1の表面電位との電位差によって転写電界が形成される。感光体ドラム1の回転に伴って一次転写ニップに進入した現像剤像は、この転写電界やニップ圧の作用を受けて中間転写ローラ上に一次転写される。
【0061】
このようにして一次転写された現像剤像は、中間転写ローラ20Aと二次転写ローラ20とによって形成される二次転写ニップや転写電界によって、記録体搬送部材(図示略)によって搬送された転写紙21aに二次転写される。トナー像が転写された転写紙21aは、定着装置(図示略)によって定着される。現像剤像が定着された転写紙21aは、定着装置から排紙経路を経て機外へと排出される。一次転写ニップを通過した感光体ドラムの表面はドラムクリーニング装置12のクリーニングローラ22とクリーニングブレード24によって、残留している液体現像剤が掻き取って除去される。その後除電ランプ25により残留電荷が除電される。これによって感光体ドラム1の表面は初期化され、次の潜在画像形成に備えられる。
【0062】
中間転写ローラ20Aを介して転写する場合も、転写ローラを用いて感光体ドラムから直接記録媒体に転写する場合と同様に、中間転写ローラ20Aと転写ローラ20との間に非作像領域に付着した現像剤が溜まる。さらに、感光体ドラム1と中間転写ローラ20Aとの接触部でも同様な液溜まりが生じる。そこで、図11のように、非作像部では現像剤が中間転写ローラ20Aと転写ローラ20との接触部に浸入しないように、中間転写ローラ20Aの表面の一次転写部下流側でかつ二次転写部上流側に転写前液量規制ブレード30を設けている。
【0063】
図12に実施形態2における他の実施例を示している。この実施例は、上記と同様に中間転写ローラ20A表面の一次転写部下流側でかつ二次転写部上流側に加えて、感光体ドラム1表面の現像部下流側でかつ一次転写部上流側にも一次転写前液量規制ブレード30を設けており、二ヶ所で現像剤を回収するものであるから、現像剤の回収が一層効率的である。
【0064】
なお、中間転写ローラ20Aに対して設ける転写前液量規制部材(上記例では、転写前液量規制ブレード30がこれに当たる)、上記感光体ドラムに対して設ける転写前液量規制部材と同様、非接触リバースローラ、接触リバースローラ、吸収ローラ等(図5,6,9等参照)を用いることができ、感光体ドラム1のみ、または中間転写ローラ20Aのみに設けてもよく、中間転写体と感光体ドラムの両方に、二つ以上を組み合わせて設けても良い。
【0065】
布等の凹凸のある記録媒体などにトナー像を転写する場合、記録媒体と感光体や中間転写体との間に空隙ができる場合があり、そのような空隙があると、良好な転写が行なわれず、高画質な画像を得られない。良好に転写が行なわれ高画質な画像を得るためには、記録媒体と感光体や中間転写体との間はキャリア液が充満していることが望ましい。このような空隙を作らないために、感光体や中間転写体と圧接する部材との間の圧力をより高くする場合があるが、特に、その圧力が高いほど、せき止められる液が多くて液溜まりが大きくなる。このため、記録媒体として布を用いる場合、転写前液量規制部材の働きはより有用となる。
【0066】
〔実施形態の説明のまとめ〕
以上、実施形態1、実施形態2について説明した。
上記の実施形態1によれば、像担持体表面に転写前液量規制部材を設けることにより、像担持体と転写装置との間に現像剤が溜まる量を低減させることができ、記録媒体を異常に濡らさないようにすることができる。また通常では装置外に持ち出されることのない量のキャリア液が記録媒体に付着して装置外に持ち出されないようにすることができる。記録媒体に付着したキャリア液を熱定着等で揮発させる場合には、記録媒体に付着するキャリア液量が少なくなるので、そのためのエネルギー量を低く抑えることができる。
【0067】
揮発しないキャリア液を用いた場合には、記録媒体に吸収すべき量が抑えられるので、手や机や記録媒体が触れたところにキャリア液が付着することのないようにすることができる。また、記録媒体の先端等が特に濡れることによる搬送不良を引き起こさないようにでき、また、記録媒体先端に多量に付着したキャリア液により、以降のトナー像が記録媒体上で押し流されないようにすることができ、高画質を得ることができる。また、作像が開始される前の作像準備動作が長時間の場合や、現像装置後の像担持体上への現像剤付着量が多い場合に、液溜まりから液があふれたり落下したりすることがないようにすることができ、転写部材や装置を濡らさないようにすることができる。
【0068】
また、実施形態2によれば、像担持体あるいは中間転写体表面に転写前液量規制部材を設けることにより、感光体と中間転写体との接触部および中間転写体と転写部材との接触部に、現像剤が溜まる量を低く抑えることができ、実施形態1と同様の効果も得られる。
【0069】
転写前液量規制部材として、ブレードを用いることにより、感光体ドラム表面に現像剤がほとんど残ることがないように、感光体ドラム上現像剤量を規制することができる。
転写前液量規制部材として、非接触かつ表面が逆方向(感光体ドラムの表面に対して逆方向)に回転する非接触リバースローラを用いることにより、リバースローラよりも感光体ドラムとの間隔を狭くする必要はあるが、その他の構成はリバースローラとほぼ同様にすることができ、また、モータを同一にすることもできるので、コストを抑制することができる。また感光体ドラムに対して非接触であるので、感光体ドラムや非接触リバースローラの回転に負荷をかけないようにすることできる。
【0070】
感光体ドラムから非接触リバースローラに転移した現像剤はブレードによって毎周かきとられるので、非接触リバースローラの回転を停止させるとき、あるいは非接触リバースローラを感光体ドラムから離間させるときの液残存を少なくすることができる。転写前液量規制部材として、感光体ドラムに接触しかつ表面が逆方向に回転する接触リバースローラを用いることにより、非接触リバースローラを用いる場合に比して、感光体ドラム上の現像剤をより効率的に規制することができる。
【0071】
非接触リバースローラ上には回収した液をかきとるブレードが設けられているので、非接触リバースローラの回転を停止させ、あるいは非接触リバースローラを感光体から離間させるときの現像剤の残存を少なくすることができる。転写前液量規制部材として、液吸引装置を用い、その吸引口を感光体ドラムに非接触とすることにより、接触抵抗による摩擦負荷は、感光体ドラムにはかからない。吸引口の一端を弾性ブレードとしてこれを感光体ドラムに接触させた場合は、非接触の場合に比べ、より効率的に現像剤を回収できる。
【0072】
また、転写前液量規制部材として液吸収部材を用いることにより、液吸収ローラを多孔質弾性体の材料で構成されているので、現像剤を効率よく除去することができる。ローラ形状の場合は転写前液量規制部材がコンパクトになり、ウエブ形状の場合は全体が大きくなるが、感光体ドラムに近接するレイアウトの自由度は増す。
前記液量規制部材を組み合わせて設けたり、複数設けたりすることにより、例えば、ブレードによる規制手段が解除された時の他の手段で液溜まりを吸引して回収したり、あるいは、例えば、一方の吸収ローラで回収したその下流にさらに薄く残った現像剤を他方のブレードでさらに規制したりすることができるなど、より確実に、より効率的に現像剤を規制し、回収することができる。
【0073】
また、記録媒体として布を用いる時は、他の記録媒体使用時より、感光体ドラムや中間転写ローラに対して、転写ローラをより高圧に圧接することがあるので、感光体ドラムや中間転写ローラと転写ローラとの接触部に溜まる現像剤量も多くなるが、転写前液量規制部材を設けることにより、液が垂れるのを防ぐことができ、転写ずみの記録媒体の搬送性を良くすることができ、装置外への液の持ち出し量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】は、実施形態1の正面図である。
【図2】は、実施形態1の画像形成装置において、感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部に液溜まりQが形成された状態を模式的に示す図である。
【図3】は、図2における液溜まりと転写紙との関係を模式的に示す図である。
【図4】は、図1の一部を拡大した図である。
【図5】は、実施形態1における実施例1の正面図である。
【図6】は、実施形態1における実施例2の正面図である。
【図7】は、実施形態1における実施例3の正面図である。
【図8】は、実施形態1における実施例4の正面図である。
【図9】は、実施形態1における実施例5の正面図である。
【図10】は、実施形態1における実施例6である。
【図11】は、実施形態2の正面図である。
【図12】は、実施形態2における他の実施例の正面図である。
【符号の説明】
【0075】
1:感光体ドラム
2:帯電装置
3:イレースランプ
4:露光装置
5:第一現像ローラ
6:第二現像ローラ
7:リバースローラ
8:現像剤タンク
9:液体現像剤
10:ポンプ
11:現像装置
12:クリーニング装置
20:転写ローラ
20A:中間転写ローラ
21:転写材
21a:転写紙
30:転写前液量規制ブレード
Q:液溜まり
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体現像剤を使用した画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。特に、詳しくは、感光体や中間転写体とそれらに接触する部材との接触部において、滞留しやすい現像剤の量を少なくすることを可能にするため、記録媒体に過剰の現像剤が付着することを防ぎ、液体現像剤の消耗を可及的に低減すると共に、高品質な画像を形成することができるものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体現像剤を用いた画像形成装置では、感光体や中間転写体に圧接する転写部材を用いて、記録媒体にトナー像を転写する際に、感光体から記録媒体への直接転写方法で、その接触部に現像剤が溜まる不具合が生じることがあった。また、中間転写体を用いた場合にも、感光体と中間転写体との接触部及び中間転写体と転写部材との接触部に現像剤が溜まる不具合が生じることがあった。
【0003】
これらの不具合は、二成分型の液体現像剤を用いた画像形成装置では、枚葉紙の場合の紙間や、作像を始めて最初の記録媒体が感光体や中間転写体に到達するまでの間等の非画像部においても、トナーはほとんど付着しないものの、キャリア液は付着し続けるために生じるものであった。
【0004】
従来の技術における上記不具合に対する手段としては、現像剤は液体であるため、瞬時に止めたり、供給したりすることが困難であって、作像時には前もって現像剤を供給し、枚葉紙の紙間等では給液を停止しないことなどが行われていた。
【0005】
また、微小な凹凸のある紙などに代表される記録媒体にトナー像を転写する場合には、記録媒体と感光体や中間転写体との間に空隙を生じることがある。そのような空隙が生じると、良好な転写を行なうことが困難となり、高画質な画像を得ることが出来ないという問題を生じていた。
【0006】
従来の技術における上記問題に対する手段としては、良好に転写が行なわれ、高画質な画像を得るために、記録媒体と感光体や中間転写体との間には、キャリア液が充満していることが望ましいとされ、上記のような空隙を作らないために、感光体や中間転写体と圧接する部材との間の圧力をより高める場合があったが、ここでの圧力が高いほど、せき止められる液が多くなるために、液の滞留は多くなる傾向があった。
【0007】
加えて、このように接触部に現像剤が溜まると、最初の記録媒体がその接触部に到達した場合に、記録媒体の先端部分に多量のキャリア液等が付着し、搬送不良の原因となり、画像を損なうことや、記録媒体へのキャリア液の吸収や記録媒体からのキャリア液の乾燥が困難となることが多く、溢れた液が垂れて、記録媒体や装置を濡らすこともあるために、問題の解決には至らなかった。
【0008】
以上の従来技術の一例として、端部のトナークリーニングに関するもの(特許第3138034号公報)、転写前クリーニングに関するものであって、転写時は感光体に押付側の、非転写時は感光体から除去側のバイアス印加するもの(特開平08−036339号公報)、回転速度制御方法及び画像形成装置に関するもの(特開2003−125591号公報)、両面画像形成装置で、余剰のキャリア液回収に関するもの(特開2002−116627号公報)、画像形成装置及び画像形成方法で、余剰のキャリア液吸液に関するもの(特開2006−106096号公報)が開示されている。
【特許文献1】特許第3138034号公報
【特許文献2】特開平08−036339号公報
【特許文献3】特開2003−125591号公報
【特許文献4】特開2002−116627号公報
【特許文献5】特開2006−106096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の従来技術における問題を回避するためには、記録媒体が通過しない時は、感光体から中間転写体等をまた、中間転写体から転写部材等を離しておき、記録媒体通過時に接触させる方法があるが、この方法は部材同士の接触時に振動を伴い、書き込みに影響を与え、画像を乱すことが多い。
【0010】
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、感光体や中間転写体とそれらに接触する部材との接触部に溜まる液量を抑え、記録媒体がしばらく存在しなかった後に記録媒体が通過した場合も、記録媒体にキャリア液等が多量に付着することがなく、画像形成装置外に不要に現像剤を持ち出すことがなく、現像剤が垂れることがなく、多量なキャリア液によりトナー像が押し流されることがなく、記録媒体が通過するタイミングの如何に関わらず、高画質な画像を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段は、タイミングを計り、感光体や中間転写体上に付着している現像剤を、中間転写体や転写部材と接触する前に、液量規制機構稼働・非稼働切替機構によって除去することによって、接触部に溜まる液量を抑えるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明(請求項1乃至請求項9の発明)によれば、感光体や中間転写体上に付着している現像剤が、感光体や中間転写体とそれらに接触する部材との接触部に溜まる量を少なくすることができるので、記録媒体に多量の現像剤が付着することを防ぐことができ、したがって、異常に濡れた記録媒体の搬送不良を招くことがなく、画像形成装置から不必要に現像剤を持ち出すことがなく、現像剤が垂れることがなく、多量なキャリア液によりトナー像が押し流されることがなく、タイミングに関わらず高画質な画像を得ることができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施形態1]
発明を実施するための最良の形態に関し、第一の実施の形態について図面を使用して説明する。
ここで、第一の実施の形態は、液体現像剤を用いた画像形成装置に適用した場合の実施形態であって、使用する各部品の材質などは例示であり、本発明はそれらに限定されること無く使用することができるものである。
【0014】
図1には、感光体ドラム1の周りの、画像形成部の概略が示されている。この図1において、感光体ドラム1の上方に帯電装置2があり、この帯電装置2によって感光体ドラム1の表面を帯電させる。また、画像部以外の部分の電荷については、イレースランプ3の部分点灯によって消去される。そして、露光装置4によって、感光体ドラム1の表面に画像データが露光され、これによって、感光体ドラム1の上には、図示しない静電潜像が形成される。ここで露光装置4は、感光体ドラム1に対して間隔をもって設けられた第一現像ローラ5と第二現像ローラ6の二本の現像ローラとリバースローラ7を備えている。
【0015】
第一現像ローラ5及び第二現像ローラ6にはSUS製のものが好適に使用され、リバースローラ7はアルミ製で表面をハードアルマイト加工したものが好適に用いられる。前記第一現像ローラ5及び第二現像ローラ6は、感光体ドラム1に対して微小隙間(間隔)を介して配置されており、リバースローラ7の感光体ドラム1に対する微小隙間(間隔)は、前記第一現像ローラ5及び第二現像ローラ6の隙間よりも狭く設計されている。
【0016】
現像剤タンク8には、液体現像剤9が用意されており、ポンプ10によって、現像装置11とクリーニング装置12へと前記液体現像剤9が運ばれる設計となっている。前記現像装置11に運ばれた液体現像剤9は、第一現像ローラ5と第二現像ローラ6との二本の現像ローラに注がれる。前記第一現像ローラ5及び第二現像ローラ6の二本の現像ローラは、回転して感光体ドラム1の上の図示しない静電潜像に液体現像剤を供給する。回転ドラム1の上に供給された液体現像剤9中のトナー成分が、電子写真方式の電気泳動法によって、感光体ドラム1の表面の静電潜像上に付着し、図示しない現像剤像を形成する態様となっている。
【0017】
次に、リバースロー7は、当該リバースローラ7と感光体ドラム1との微小隙間(間隔)が、先に記載した第一現像ローラ5及び第二現像ローラ6と感光体ドラム1との微小隙間(間隔)よりも狭く設計されている。そのため、リバースローラ7は、感光体ドラム1の表面に付着した液体現像剤9から、当該液体現像剤9内の余剰なキャリア液や未現像トナーを取り除くことができるものである。
【0018】
その後、感光体ドラム1の上に形成された図示しない現像剤像は、転写ローラ20によって、紙や布などの記録媒体である転写材21に転写される。
ここで、前記転写材21に転写されずに残留した液体現像剤9は、クリーニング装置12内のフォームローラ22によって吸い取られ、さらに、フォームローラ22により吸い取られた液体現像剤9は絞りローラ23によって、フォームローラ22から絞り出されて、現像剤タンク8へ戻される仕組みとなっている。
さらに、感光体ドラム1上に残った液体現像剤9は、感光体ドラム1の表面をきれいに清掃するためのクリーニングブレード24によって掻き落され、掻き落とされた液体現像剤9もフォームローラ22により吸われて、クリーニング装置12を介して最終的には現像剤タンク8に回収される仕組みとなっている。
【0019】
ここで、図1に示される本発明の画像形成装置においては、液体現像剤9の循環及び回収のルートが、上記クリーニング装置12から現像剤タンク8へ回収される系統と、上記現像装置11から現像剤タンク8へと回収される系統を、結合させて使用する場合を示しているが、その装置上の設計は特に限定されること無く、例えば、クリーニング装置12と現像装置11との液循環を別個の装置配置として設計しても良いものである。
【0020】
次に、本発明に用いる液体現像剤9の例について説明する。なお、ここでの液体現像剤9は、トナー成分とキャリア液との混合剤によって構成される現像剤である。
【0021】
また、本発明に使用する着色材としては、特に限定されることは無いが、記録媒体である転写材21が紙である場合には、ジスアゾイエロー、キナクリドン、銅フタロシアニン又はカーボンブラックの顔料を使用することが望ましい。
【0022】
他方、記録媒体である転写材21が布である場合には、直接染料、酸性染料、塩基性染料(カチオン染料)、反応性染料が好適に用いられる。
前記直接染料に使用する例示としては、ダイレクトファストイエローR、ダイレクトファストイエローGC、ダイレクトファーストオレンジ、ダイレクトスカイブルー5B、ダイレクトスプラレッド3B、コプランチングリーンG、ダイレクトファストブラックDなどがある。
前記酸性染料に使用する例示としては、アシッドブリリアントスカーレト3R、アシッドバイオレット5B、アリザリンダイレクトブルーA2G、アシッドサイアニン6B、アシッドサイアニングリーンG、アシッドファーストブラックVLG等がある。
また、前記カチオン染料に使用する例示としては、カチオンイエロー3G、カチオンゴールデンイエローGL、カチオンオレンジR、カチオンブリリアントレッド4G、カチオンブルー5G等が挙げられる。
さらに、前記反応性染料に使用する例示としては、リアクティブオレンジ2R、リアクティブレッド3B、リアクティブブルー3G、リアクティブブリリアントブルーR、リアクティブブラックBなどがある。
これら染料は、その80重量%以上が分散状態でキャリア液中に存在するようになっているものが望ましい。
【0023】
前記染料を使用した場合は、布などの記録媒体の裏面への写り性、洗濯堅牢度に優れる。布等の材質により、染料を選択した方が染色性、洗濯堅牢度は良く、例えば、ポリエステル、アセテート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ビニロンなどの合成繊維からなる布等の場合は分散染料が、アクリルの場合は塩基性染料、コットン、麻等のセルロース系布等の場合は反応性染料、直接染料が、ナイロン、レーヨンなどの布は直接染料が、絹、羊毛などの布等は酸性染料が、それぞれ望ましい。
【0024】
市販の紛体染料は、染料純度50%程度で、食塩、芒硝が多量に入っている場合が多く、液の抵抗、帯電性に悪影響を与えるため、精製するか、初めから塩類含有量の少ない染料を用いた方が、良好である。本発明では純度80%以上であることが望ましい。
【0025】
この発明の液体現像剤に使用されるキャリア液としては、高抵抗で低誘電率のものが良く、イソパラフィン系炭化水素、シリコーン系オイル等が良好である。イソパラフィン系炭化水素は、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV(エクソン化学)などがあり、シリコーン系オイルとしては、KF96の1〜10000cst(信越化学工業株式会社)、SH200,SH344(東レ・ダウコーニング株式会社)、TSF451(GE東芝シリコーン)などがある。中でも沸点が130℃以上の飽和炭化水素は、臭気、安全性の点で良好である。これらの溶媒は、後工程の加熱、スチーミングの段階で蒸発させることができる。
【0026】
また、本発明に併用することが好ましい分散用樹脂としては、下記一般式(1)で表わされるビニルモノマーと、一般式(2)で表わされるビニルモノマー、及びその余の第3成分としてのビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンよりなる群から選ばれた少なくとも一種のモノマーよりなる共重合体、グラフト共重合体がある。
【0027】
【化1】
【化2】
(R1は、HまたはCH3を、R2はC1〜C4のアルキル基を、nは6〜20の整数を表わす。)
成分(A)と成分(B)の共重合割合は60〜95:40〜5、望ましくは70〜90:30〜10であり、また、前記第3成分は、成分(A)の0〜5%であることが好ましい。
【0028】
これらの着色剤、樹脂、キャリア液をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミルなどの分散機に投入して、分散、混練を行い、高固形分液体現像剤を調製し、これをキャリア液で希釈することにより、現像に用いる液体現像剤を得ることができる。
【0029】
布等としては、織物、編物、不織布、組み紐等を問わずあらゆる布組織を用いることができるが、特に織物が好ましい。
布等を構成する素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど種々のポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ビニロン、アクリル、ナイロン、アセテート、などの合成繊維や、レーヨンなどの再生繊維、コットン、麻等のセルロース系繊維、絹、羊毛などの動物繊維があり、またこれらの混紡、交織であってもよい。
【0030】
次いで、図2を参照図として、液体現像剤9が滞留する不具合の状態の説明、そして、その不具合を解決する本発明の特徴的箇所について説明する。
始めに、液体現像剤9を使用した作像の際に、感光体ドラム1の潜像相当部よりも作像シーケンス上の前の部分において、作像のための準備動作を行う。つまり、感光体ドラム1や現像ローラ5,6を回転させ、現像剤を現像ローラに供給し、現像ローラ5,6に現像バイアスを印加し、リバースローラ7を回転させる。
この準備動作により、感光体ドラム1の表面には、厚さが数μm〜数十μmの一様な液体現像剤9が膜状に形成される。このとき、感光体ドラム1は帯電され、現像バイアスも印加されているため、感光体ドラム1の表面に付着する液体現像剤9は、非画像部と同様の液体現像剤9であり、トナー粒子の成分は極少量ないし全く付着しないものであり、ほとんどがキャリア液の付着によるものである。
【0031】
一方、図2に示されるように、感光体ドラム1の表面であって、リバースローラ7の下流方向側に転写ローラ20が設けられている。
転写ローラ20は、紙や布などの記録媒体である転写材21の有無に合わせて接離することが可能な構造となっている。
ここで、当該転写が行われる際には、一定以上の圧力を必要とすることが多く、転写ローラ20を高圧で感光体に圧接させた場合には、その接離時に感光体ドラム1に振動が与えられ、精細な画像データを書き込みの際に感光体ドラム1が振動すると、画像データの位置がずれることとなり、画質が損なわれる不具合を生じため、本発明の実施の態様としては、転写ローラ20は接離しない方が望ましい。
また、転写ローラ20を感光体ドラム1に圧接したままの状態で、作像のための準備動作を行うと、感光体ドラム1の表面であって、リバースローラ7の下流方向側に形成された液体現像剤9の膜が、感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部をすり抜けることができなくなるために、感光体ドラム1と転写ローラ20との上流側(図2に示される液溜まりQの箇所)に液体現像剤9が溜まる状態を引き起こす。
【0032】
次に、図2に示される液溜まりQの箇所に液体現像剤9が溜まる状態から生じる技術的問題点についての例を挙げて説明する。
作像の動作が開始され、転写のために転写紙が感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部に搬送されると、図3に示されるように、液溜まりQに転写紙21aが突入し、転写紙21aの先端部分に多量の液体現像剤9が付着する。
上述のように、この場合の液体現像剤9は、トナー粒子成分が付着しないものの、主にキャリア液によって、転写紙21aは異常に濡れてしまい、その結果、通常の動作では装置外に持ち出されることのないキャリア液の量が、転写紙21aに付着して装置外に持ち出されるために、キャリア液が過剰に消費される。
【0033】
また、転写紙21aに付着したキャリア液を熱定着などの過程で揮発させる場合には、熱エネルギーが多く必要となるため好ましくない。加えて、揮発しないキャリア液を用いた場合は、転写紙21aに吸収しきれずに表面に残るため、出力された転写紙21aの形状的な品質を損なう恐れがある。
【0034】
さらに、前記先端が濡れた転写紙21aは、コシがなくなった状態になるために、搬送不良を引き起こし、装置外に排出されないこともある。加えて、先端に多量に付着したキャリア液により、それ以降に転写されたトナー像が転写紙21a上で押し流され、画質を損なわれる場合もある。加えて、作像が開始される前の作像準備動作が長時間の場合や、リバースローラ7の後における感光体ドラム1の上の液体現像剤9付着量が多い場合には、転写ローラ20前方での上記液溜まりQ部から液があふれ、あるいは落下し、転写ローラ20や装置を濡らす問題を引き起こすために好ましくない。
【0035】
転写材21の他の例においては、ウエブ状の転写紙や布の場合に、プリントジョブ当初のみの問題となり、濡れた先端を使用しないようにする方法も挙げられるが、無駄に先端を現像剤で濡らす分だけキャリア液が過剰に消費されると共に、コストの増大となることが懸念される。
【0036】
前記感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部にキャリア液が溜まって、液溜まりQ部ができるという問題は、上述した作像動作の前の作像準備時のみに限らず、枚葉紙にプリントする場合においても、その紙間に発生するものである。すなわち、枚葉紙の場合、その先端を使用しないのは現実的ではなく、紙間では、上述した作像準備は数秒から数分行なわれる場合が多いため、それに比べると、感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部の上記液溜まりQの液量は比較的少ない。しかしながら、リバースローラ7後の液体現像剤9の量など、作像条件や、転写紙の液吸収性等の性質によっては、上述した画像の流れその他の不具合が問題となる場合もあるためである。
【0037】
そこで、作像準備時や紙間においては、感光体ドラム1の上に付着した液体現像剤9を除去する作業が必要になる。
例えば、図1に示されるように、本発明の画像形成装置は、感光体ドラム1の表面移動方向において、リバースローラ7の下流側、転写ローラ20の上流側に、転写前液量規制ブレード30が配置されている。
【0038】
前記転写前液量規制ブレード30は、図4に示されるように、弾性ブレードbと、当該ブレードを支持するホルダー形状の支持部材hと、ケース、ドレインなどから構成されている。
前記弾性ブレードbは、例えばゴムなどの弾性部材で構成された、いわば、弾性変形が可能なブレードであり、そのエッジ部が感光体ドラム1に当接するように配設されている(なお、弾性ブレードbについては、転写前液量規制ブレード30との呼称の違いを明確にするために、以下において「弾性ブレードb」と記載する)。
【0039】
前記弾性ブレードbは、感光体ドラム1に対して、近接や離間ができるように、図示しない駆動機構によって接離可能な構成となっている。そして、前記弾性ブレードbの役割としては、現像ローラ部を通過した後の感光体ドラム1の表面に付着している液体現像剤9を摺擦することにより掻き取るものである。
転写前液量規制ブレード30は、弾性ブレードbによって掻き取られた液体現像剤9が回収されるように、転写前液量規制ブレード30がそれぞれのケースに収容されている。加えて、掻き取られた液体現像剤9は、その自重によってケースに落下し、ケースのドレイン孔、配管を介して、感光体ドラムクリーニング液や現像剤と同様に、現像剤タンク8に回収され、トナー濃度等が再調整され、現像やクリーニングに繰り返し利用される態様となっている。
【0040】
上記の転写前液量規制ブレード30が収容されるケースの形態は、現像ユニットのケースと同じものを使用してもよく、また、転写前液量規制ブレード30は、例えば図1に示される現像装置11の一部またはユニット内に設置してもよい。これは、現像ローラ5,6やリバースローラ7と同じケースに収容して設置することで、回収された液体現像剤9は、現像装置からの回収液と一緒に回収されることができ、構造上の有利な箇所となり得るためである。
また、本発明の実施の態様では、上記の転写前液量規制ブレード30が収容されるケースの形態に限定されることは無く、現像装置、クリーニング装置(又はクリーニングユニット)への転写前感光体付着現像剤を、それぞれ分けて循環させても良い。これは分別による再利用の容易性や設計の自由度が向上するためである。
【0041】
本実施形態における、転写前液量規制ブレード30の構成の一例としては、図4に示されるように、弾性ブレードbが板状のものであって、材料の一例としては、バンドー化学社製のウレタン材(バンコラン)を使用し、厚さが2mm、硬度が70度、その突出し量が10mmであり、感光体ドラム1の外周面に対する当接角度θは80°〜85°±3°、線圧は14.7〜24.5mN/mmに調整されていることが好適である。
【0042】
また、転写前液量規制ブレード30が感光体ドラム1に当接するタイミングは、非作像領域で行われる。ここで、当該「非作像領域」の詳細を記載すると、文字画像などのトナー成分が付着する部分を画像部、トナーが付着しない地肌部を非画像部ということがあるが、この場合、例えば、紙1枚中にプリントされる部分を、上記画像部、非画像部も含め「作像領域」と呼び、例えば紙間や転写紙に転写されるよりも前の部分、後の部分を「非作像領域」と呼ぶ。
前記非作像領域は、作像シーケンスが動作し始め、作像領域が転写前液量規制ブレード30位置に到達する前の領域、通り過ぎた後の領域である。枚葉紙の場合では、転写紙と転写紙の間で、従来多くの現像剤が付着している領域である。
【0043】
転写前液量規制ブレード30は、非作像領域のうち、現像剤が付着した部分がその弾性ブレードbの当設位置に到達する前に、駆動機構(図示略)で駆動されて感光体ドラム1の表面に弾性ブレードbのエッジが当接するように移動する。これにより、感光体ドラム1の上の液体現像剤9が弾性ブレードbによって掻き取られて回収されることになる。
転写前液量規制ブレード30は、その弾性ブレードbの当接位置に、作像領域が到達する前に駆動し、感光体ドラム1から離間する方向に移動する。
【0044】
また、当該ブレード30が駆動し、弾性ブレードbが感光体ドラム1に接触させるタイミングは、主に、液体現像剤9が付着した部分が当該弾性ブレードbの当接位置に達した後とする。
これは、乾燥した感光体ドラム1に転写前液量規制ブレード30の弾性ブレードbを当接させると、そのエッジの上記ドラム面に対する滑りが悪くて微小に引き込まれたり、振動を生じるなど、正常に動作しない場合があるからである。
【0045】
このように、転写前液量規制ブレード30を設け、動作させることにより作像シーケンス開始時に作像の準備動作をして液体現像剤9を感光体ドラム1に付着させても、図2に示すような、感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部に液溜まりQは形成されない。したがって、1つのジョブ中の最初の転写紙や布が通過する場合でも、その先端に多量の現像剤が付着して異常に濡れることはない。
また、作像準備動作が長時間の場合や、リバースローラ7の後での感光体ドラム1上の現像剤付着量が多い場合、液溜まりQから液があふれ、あるいは落下し、転写材21や転写ローラ20を濡らすことを防ぐことができる。
【0046】
〔実施例1〕
図5に示すものは、転写前感光体ドラム上1の液体現像剤9を規制する手段が、感光体ドラム1に対して非接触型のローラによる例である。
感光体ドラム1上に付着した液体現像剤9の液膜に接触するような間隔で、リバースローラ7が感光体ドラム1に対して設けられているが、上記転写前液量規制非接触ローラ50は、現像装置11内のリバースローラ7よりも狭い隙間c(図5参照)を介して感光体ドラム1に対して設置されている。転写前液量規制非接触ローラ50の材質については、現像装置11中のリバースローラ7と同様にハードアルマイトや、SUS等を使用することが可能である。
【0047】
図5の例では、転写前液量規制非接触ローラ50の回転方向が感光体ドラム1と同方向、つまり表面移動方向が逆方向(リバース)である。転写前液量規制非接触ローラ50による感光体ドラム1からの現像剤回収効率を高くするには、感光体ドラム1から回収した現像剤を、さらに転写前液量規制非接触ローラ50から回収するためのブレードを設ける。
【0048】
図1の実施形態における上記転写前液量規制ブレード30と同様に、非作像領域において、転写前液量規制非接触ローラ50を駆動装置により稼働させる。転写前液量規制非接触ローラ50の稼働・非稼働は、回転と停止の切換によることとしてもよいし、移動機構によって、非稼働時に転写前液量規制非接触ローラ50と感光体ドラム1との距離を離すようにしてもよい。また、転写前液量規制非接触ローラ50の回転方向が上記と反対方向でも、効率は落ちるものの、液量を規制する機能は奏するので、転写前液量規制非接触ローラの回転方向は感光体ドラムと反対方向でもよく、したがって同方向に限られるものではない。
【0049】
転写前液量規制非接触ローラ50では、液体現像剤9の液量を規制することはできるものの、上記の転写前液量規制ブレード30によるもののようにほぼ100%液除去することはできない。そのため、感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部における液溜まりQの液量は、上記ブレード30による場合に比してやや多くなるが、これ自体による規制効果は格別に顕著である。
【0050】
〔実施例2〕
図6に示すものは、転写前感光体ドラム上の現像剤を規制する手段として、転写前液量規制接触ローラ60を用いた例である。
この例では、転写前液量規制接触ローラ60は、感光体ドラム1に対して接触するように配置されており、転写前液量規制接触ローラ60の回転方向は、感光体ドラム1と同方向で、表面移動方向が逆方向(リバース)になっている。
したがって、この転写前液量規制接触ローラ60は、もし上記転写前液量規制非接触ローラ50と同じハードアルマイト製であれば、これで感光体ドラム1を傷つけてしまう。また、表面移動方向が感光体ドラムと逆方向であって、感光体ドラムの回転に対する抵抗になり、さらに、感光体ドラムから回収した液を転写前液量規制接触ローラ60から除去するブレード等を設ける必要がある。このため、上記転写前液量規制接触ローラ60については、弾性があり、表面エネルギーが低く、すべりの良い表面素材のものであるのが好ましい。このため、この例では、表面をフッ素コートした硬度50°のウレタンローラを用いている。図1における上記転写前液量規制ブレード30による場合と同様、非作像領域において、転写前液量規制接触ローラ60を稼働させる。また、この場合、接離及び回転を含む。転写前液量規制接触ローラ60は、図5における上記非接触ローラ50よりも、液の規制効果が高く、上記規制ブレード30のようにほぼ100%の液除去がなされる。
【0051】
また、転写前液量規制接触ローラ60の回転方向は感光体ドラム1に対してリバースである必要はなく、その表面移動方向が感光体ドラム1の表面移動方向と同方向のものでもよい。同方向の場合は、リバースであるものに比べると液量規制効率は落ちるものの、それ自体の液量規制の作用効果は格別顕著である。
【0052】
〔実施例3〕
図7に示すものは、転写前感光体ドラム上の現像剤を規制する手段を、循環ベルト70にした例である。
この例は、一対の回転輪(プーリ)70a,70bを上下に対置し、両回転輪70a,70bにベルト70cを巻かけ、ベルト70cを感光体ドラム1に当接させている。ベルト70cはウレタン製であり、上記転写前液量規制接触ローラ60と同様の性質を備えている。
ベルト70cが感光体ドラムに当接下状態で循環することで、感光体ドラム面の現像剤量を規制するものである。
このベルト70cによる例によれば、ローラによる場合に比して、規制部材が循環する範囲が上下に長いので、感光体ドラム1から回収した現像剤をベルトから回収するためのブレードの、設置場所の選択範囲が広く、したがって、これらのレイアウトの自由度が高いという利点がある。
【0053】
〔実施例4〕
図8に示すものは、転写前感光体ドラム上の現像剤を規制する手段を液吸引装置によるものにした例である。
この例は、感光体ドラム1上の液を吸引するのに、感光体ドラム1の下面に軸方向に長いスリット状吸引口80aを近接して設け、吸引口80aの反対側の他端を真空ポンプ80bに接続し、吸引口80aにおける負圧を、負圧センサで検知しつつバルブ等で制御し、吸引口80aにおける吸引力を適正な一定に維持する。図8の例では、吸引口80aは感光体ドラムに負荷をかけないよう非接触としているが、その吸引口80aのスリットの一側部を弾性部材で構成し、これを感光体ドラム1に当設させて現像剤を掻き取るようにし、上記弾性部材を感光体ドラム1に当接させ、あるいは離間させる操作機構を設けた構成にするのも良い。この場合は、他方の一側部は感光体ドラム上の現像剤が効率よくスリットの方に吸引されるように感光体ドラムと隙間をもって配置する。
【0054】
真空ポンプ80bとしては、ロータリポンプ、ダイヤフラムポンプ、チューブポンプ等があり、これらのポンプを用いればよい。また、感光体ドラム非作像領域に付着している現像剤量は微量なので、空気とともに現像剤を吸い込ませることになるので、このような条件に最も適したポンプが望ましい。
【0055】
〔実施例5〕
図9に示す例は、転写前感光体ドラム上の現像剤を規制する手段を、液吸収ローラによるものとした例である。
この例における転写前液吸収ローラ90は、液吸収ローラ90aと液絞りローラ90bとで構成されており、上記の液吸収ローラ90aはその表層部が、多孔質弾性体の材料で構成されているものであり、これを感光体ドラム1に対して圧接して現像剤を吸収して回収するものである。上記の多孔質弾性体の例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムの発泡体等があげられる。感光体ドラム上の静電潜像を乱さないためには、電気的に絶縁性のものが好ましい。
また、吸収した現像剤を絞りとれるようにするために、転写前液吸収ローラ90aの表面に、金属製やゴム製等の液絞りローラ90bを圧接させている。この場合は、液吸収ローラ90aと液絞りローラ90bとを反対方向に回転させ、かつ周速差を持たせ、現像剤絞りローラ表面に、現像剤除去のためのブレードを設けるとよい。
【0056】
液吸収ローラ90aの回転方向は、どちらも可能であるが、この実施例では感光体ドラムと逆方向、表面移動方向が同方向としている。上記転写前液量規制部材と同様に、非作像領域において、転写前液吸収ローラを稼働させる。なお、この場合も、液吸収ローラ90aが感光体ドラム1に常に当接していると、画像を乱すことがあるので、非稼働時には離間させることが望ましく、したがって、駆動装置により、転写前液吸収ローラ90を感光体ドラム1に対して接離できるように構成するのがよい。
この例は液吸収ローラ90aを使用しているので、ベルトやウエブ等の形状に比してコンパクトにでき、また、液吸収ローラ90aを多孔質弾性体の材料で形成しているので、現像剤を効率よく除去することができる。液吸収ローラ90aを多段に設けてもよい。こうすることで、一つのみ設けている場合に比して吸収できる現像剤の量が多くなる。
【0057】
〔実施例6〕
図10に示す例は、転写前感光体ドラム上の現像剤を規制する手段を、液吸収ウエブ100によるものとした例である。
このもののウエブ100wは、マルチフィラメントのポリエステル極細繊維や不織布等の、吸油性の良い材質で形成されたものである。ウエブ100wは供給軸100aにロール状に巻かれており、回転体(バックアップローラ)100bに巻きかけられ、他端が巻き取り軸100cに固定されている。巻き取り軸100cの回転でウエブ100wが巻き取り軸100cに巻き取られて、移動する。ウエブ100wは回転体(バックアップローラ)100bの位置でこれによって感光体ドラムに圧接されていて、感光体ドラム上の現像剤を吸収する。現像剤を吸収した部分が巻き取り軸の方にゆっくりと移動するから、その現像剤吸収能力は、安定的に維持される。供給軸100aのウエブが使い切られたら、これを廃棄し、新たなウエブに交換する。
【0058】
なお、ウエブ100wの移動方向は、感光体ドラム1の表面の移動方向と同じ方向、反対方向のどちらも可能であるが、この例では感光体ドラム表面の移動方向と逆方向にしている。ウエブを用いて現像剤を吸収すると、常に新たなウエブ部分で現像剤を吸収することができる。
この例によれば、供給軸100aのウエブが完全に使い切られるまではウエブに転移した現像剤を当該ウエブから除去しなくても、現像剤の吸収能力は安定して保持されるから、ウエブから現像剤を搾り取る装置(クリーニング装置)を設ける必要はない。更に、ウエブ100wを感光体ドラム表面に対してその逆方向に移動させることにより、同方向に移動させる場合に比して感光体ドラム上の現像剤の吸収効率が高い。
【0059】
〔その他〕
上記のような各種転写前液量規制部材を組み合わせて設けてもよく、組み合わせて設けることによって、感光体ドラム上転写前部に付着した現像剤を、より効果的に回収できる。転写前液量規制リバースローラ、転写前液吸収ローラ、の後にブレードを設ける方法などがある。
【0060】
〔実施形態2〕
実施形態2は、中間転写体を用いた発明についての実施形態であり、図11に示されている。
実施形態1と同様に感光体ドラム1上に形成された現像剤像は、感光体ドラム1の回転に伴い、中間転写ローラ20Aと対向する位置に達する。他方、中間転写ローラ20Aは感光体ドラムに向けて押圧して一次転写ニップを形成している。中間転写ローラ20Aにトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加する電源等(図示略)を備えており、プリント時には中間転写ローラ20Aを矢印方向に回転させる。
一次転写ニップには、転写バイアスが印加され、中間転写ローラ20Aと感光体ドラム1の表面電位との電位差によって転写電界が形成される。感光体ドラム1の回転に伴って一次転写ニップに進入した現像剤像は、この転写電界やニップ圧の作用を受けて中間転写ローラ上に一次転写される。
【0061】
このようにして一次転写された現像剤像は、中間転写ローラ20Aと二次転写ローラ20とによって形成される二次転写ニップや転写電界によって、記録体搬送部材(図示略)によって搬送された転写紙21aに二次転写される。トナー像が転写された転写紙21aは、定着装置(図示略)によって定着される。現像剤像が定着された転写紙21aは、定着装置から排紙経路を経て機外へと排出される。一次転写ニップを通過した感光体ドラムの表面はドラムクリーニング装置12のクリーニングローラ22とクリーニングブレード24によって、残留している液体現像剤が掻き取って除去される。その後除電ランプ25により残留電荷が除電される。これによって感光体ドラム1の表面は初期化され、次の潜在画像形成に備えられる。
【0062】
中間転写ローラ20Aを介して転写する場合も、転写ローラを用いて感光体ドラムから直接記録媒体に転写する場合と同様に、中間転写ローラ20Aと転写ローラ20との間に非作像領域に付着した現像剤が溜まる。さらに、感光体ドラム1と中間転写ローラ20Aとの接触部でも同様な液溜まりが生じる。そこで、図11のように、非作像部では現像剤が中間転写ローラ20Aと転写ローラ20との接触部に浸入しないように、中間転写ローラ20Aの表面の一次転写部下流側でかつ二次転写部上流側に転写前液量規制ブレード30を設けている。
【0063】
図12に実施形態2における他の実施例を示している。この実施例は、上記と同様に中間転写ローラ20A表面の一次転写部下流側でかつ二次転写部上流側に加えて、感光体ドラム1表面の現像部下流側でかつ一次転写部上流側にも一次転写前液量規制ブレード30を設けており、二ヶ所で現像剤を回収するものであるから、現像剤の回収が一層効率的である。
【0064】
なお、中間転写ローラ20Aに対して設ける転写前液量規制部材(上記例では、転写前液量規制ブレード30がこれに当たる)、上記感光体ドラムに対して設ける転写前液量規制部材と同様、非接触リバースローラ、接触リバースローラ、吸収ローラ等(図5,6,9等参照)を用いることができ、感光体ドラム1のみ、または中間転写ローラ20Aのみに設けてもよく、中間転写体と感光体ドラムの両方に、二つ以上を組み合わせて設けても良い。
【0065】
布等の凹凸のある記録媒体などにトナー像を転写する場合、記録媒体と感光体や中間転写体との間に空隙ができる場合があり、そのような空隙があると、良好な転写が行なわれず、高画質な画像を得られない。良好に転写が行なわれ高画質な画像を得るためには、記録媒体と感光体や中間転写体との間はキャリア液が充満していることが望ましい。このような空隙を作らないために、感光体や中間転写体と圧接する部材との間の圧力をより高くする場合があるが、特に、その圧力が高いほど、せき止められる液が多くて液溜まりが大きくなる。このため、記録媒体として布を用いる場合、転写前液量規制部材の働きはより有用となる。
【0066】
〔実施形態の説明のまとめ〕
以上、実施形態1、実施形態2について説明した。
上記の実施形態1によれば、像担持体表面に転写前液量規制部材を設けることにより、像担持体と転写装置との間に現像剤が溜まる量を低減させることができ、記録媒体を異常に濡らさないようにすることができる。また通常では装置外に持ち出されることのない量のキャリア液が記録媒体に付着して装置外に持ち出されないようにすることができる。記録媒体に付着したキャリア液を熱定着等で揮発させる場合には、記録媒体に付着するキャリア液量が少なくなるので、そのためのエネルギー量を低く抑えることができる。
【0067】
揮発しないキャリア液を用いた場合には、記録媒体に吸収すべき量が抑えられるので、手や机や記録媒体が触れたところにキャリア液が付着することのないようにすることができる。また、記録媒体の先端等が特に濡れることによる搬送不良を引き起こさないようにでき、また、記録媒体先端に多量に付着したキャリア液により、以降のトナー像が記録媒体上で押し流されないようにすることができ、高画質を得ることができる。また、作像が開始される前の作像準備動作が長時間の場合や、現像装置後の像担持体上への現像剤付着量が多い場合に、液溜まりから液があふれたり落下したりすることがないようにすることができ、転写部材や装置を濡らさないようにすることができる。
【0068】
また、実施形態2によれば、像担持体あるいは中間転写体表面に転写前液量規制部材を設けることにより、感光体と中間転写体との接触部および中間転写体と転写部材との接触部に、現像剤が溜まる量を低く抑えることができ、実施形態1と同様の効果も得られる。
【0069】
転写前液量規制部材として、ブレードを用いることにより、感光体ドラム表面に現像剤がほとんど残ることがないように、感光体ドラム上現像剤量を規制することができる。
転写前液量規制部材として、非接触かつ表面が逆方向(感光体ドラムの表面に対して逆方向)に回転する非接触リバースローラを用いることにより、リバースローラよりも感光体ドラムとの間隔を狭くする必要はあるが、その他の構成はリバースローラとほぼ同様にすることができ、また、モータを同一にすることもできるので、コストを抑制することができる。また感光体ドラムに対して非接触であるので、感光体ドラムや非接触リバースローラの回転に負荷をかけないようにすることできる。
【0070】
感光体ドラムから非接触リバースローラに転移した現像剤はブレードによって毎周かきとられるので、非接触リバースローラの回転を停止させるとき、あるいは非接触リバースローラを感光体ドラムから離間させるときの液残存を少なくすることができる。転写前液量規制部材として、感光体ドラムに接触しかつ表面が逆方向に回転する接触リバースローラを用いることにより、非接触リバースローラを用いる場合に比して、感光体ドラム上の現像剤をより効率的に規制することができる。
【0071】
非接触リバースローラ上には回収した液をかきとるブレードが設けられているので、非接触リバースローラの回転を停止させ、あるいは非接触リバースローラを感光体から離間させるときの現像剤の残存を少なくすることができる。転写前液量規制部材として、液吸引装置を用い、その吸引口を感光体ドラムに非接触とすることにより、接触抵抗による摩擦負荷は、感光体ドラムにはかからない。吸引口の一端を弾性ブレードとしてこれを感光体ドラムに接触させた場合は、非接触の場合に比べ、より効率的に現像剤を回収できる。
【0072】
また、転写前液量規制部材として液吸収部材を用いることにより、液吸収ローラを多孔質弾性体の材料で構成されているので、現像剤を効率よく除去することができる。ローラ形状の場合は転写前液量規制部材がコンパクトになり、ウエブ形状の場合は全体が大きくなるが、感光体ドラムに近接するレイアウトの自由度は増す。
前記液量規制部材を組み合わせて設けたり、複数設けたりすることにより、例えば、ブレードによる規制手段が解除された時の他の手段で液溜まりを吸引して回収したり、あるいは、例えば、一方の吸収ローラで回収したその下流にさらに薄く残った現像剤を他方のブレードでさらに規制したりすることができるなど、より確実に、より効率的に現像剤を規制し、回収することができる。
【0073】
また、記録媒体として布を用いる時は、他の記録媒体使用時より、感光体ドラムや中間転写ローラに対して、転写ローラをより高圧に圧接することがあるので、感光体ドラムや中間転写ローラと転写ローラとの接触部に溜まる現像剤量も多くなるが、転写前液量規制部材を設けることにより、液が垂れるのを防ぐことができ、転写ずみの記録媒体の搬送性を良くすることができ、装置外への液の持ち出し量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】は、実施形態1の正面図である。
【図2】は、実施形態1の画像形成装置において、感光体ドラム1と転写ローラ20との接触部に液溜まりQが形成された状態を模式的に示す図である。
【図3】は、図2における液溜まりと転写紙との関係を模式的に示す図である。
【図4】は、図1の一部を拡大した図である。
【図5】は、実施形態1における実施例1の正面図である。
【図6】は、実施形態1における実施例2の正面図である。
【図7】は、実施形態1における実施例3の正面図である。
【図8】は、実施形態1における実施例4の正面図である。
【図9】は、実施形態1における実施例5の正面図である。
【図10】は、実施形態1における実施例6である。
【図11】は、実施形態2の正面図である。
【図12】は、実施形態2における他の実施例の正面図である。
【符号の説明】
【0075】
1:感光体ドラム
2:帯電装置
3:イレースランプ
4:露光装置
5:第一現像ローラ
6:第二現像ローラ
7:リバースローラ
8:現像剤タンク
9:液体現像剤
10:ポンプ
11:現像装置
12:クリーニング装置
20:転写ローラ
20A:中間転写ローラ
21:転写材
21a:転写紙
30:転写前液量規制ブレード
Q:液溜まり
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体と、この像担持体上の静電潜像を、液体現像剤を用いて現像して可視像とする現像装置と、前記像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写させる転写装置とを有する画像形成装置において、記録媒体にトナー像を転写する転写位置以前に、液量規制部材を備え、前記液量規制部材は、液量規制機構稼働・非稼働切替機構を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
静電潜像が形成される像担持体と、この像担持体上の静電潜像を、液体現像剤を用いて現像して可視像とする現像装置と、前記像担持体に形成されたトナー像を転写させる中間転写体と、前記中間転写体に形成されたトナー像を記録媒体に転写させる転写装置とを有する画像形成装置において、
記録媒体にトナー像を転写する転写位置以前に、液量規制部材を備え、前記液量規制部材は、液量規制機構稼働・非稼働切替機構を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、前記液量規制部材はブレードであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、前記液量規制部材は前記像担持体もしくは中間転写体と非接触かつ回転するローラであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、前記液量規制部材は前記像担持体もしくは中間転写体と接触かつ回転するローラであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、前記液量規制部材は液吸引装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、前記液量規制部材は液吸収部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、請求項3乃至請求項7の前記液量規制部材を組み合わせて設けていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の画像形成装置において、前記記録媒体は布であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体と、この像担持体上の静電潜像を、液体現像剤を用いて現像して可視像とする現像装置と、前記像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写させる転写装置とを有する画像形成装置において、記録媒体にトナー像を転写する転写位置以前に、液量規制部材を備え、前記液量規制部材は、液量規制機構稼働・非稼働切替機構を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
静電潜像が形成される像担持体と、この像担持体上の静電潜像を、液体現像剤を用いて現像して可視像とする現像装置と、前記像担持体に形成されたトナー像を転写させる中間転写体と、前記中間転写体に形成されたトナー像を記録媒体に転写させる転写装置とを有する画像形成装置において、
記録媒体にトナー像を転写する転写位置以前に、液量規制部材を備え、前記液量規制部材は、液量規制機構稼働・非稼働切替機構を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、前記液量規制部材はブレードであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、前記液量規制部材は前記像担持体もしくは中間転写体と非接触かつ回転するローラであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、前記液量規制部材は前記像担持体もしくは中間転写体と接触かつ回転するローラであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、前記液量規制部材は液吸引装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、前記液量規制部材は液吸収部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項2の画像形成装置において、請求項3乃至請求項7の前記液量規制部材を組み合わせて設けていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の画像形成装置において、前記記録媒体は布であることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−233397(P2008−233397A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71165(P2007−71165)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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