説明

画像形成装置

【課題】同一色相で濃度の異なるトナーにて画像形成可能な画像形成装置において、装置の小型化を図りつつ、トナー消費量の多い、同一色相で濃度の低い淡色トナーによりトナー像を形成する画像形成部I・IIにおける廃トナー容器9a・9bの寿命を伸ばす。
【解決手段】同一色相で濃度の異なるトナーにて画像形成可能な画像形成装置において、同一色相で濃度が低いトナーの廃トナーを収納する廃トナー容器の容量を同一色相で濃度の高いトナーの廃トナーを収納する廃トナー容器の容量よりも大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録材上にモノクロ画像および/またはカラー画像を形成するタンデム方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタル技術の進歩により、POD市場からオフィスや家庭のコンシューマ市場まで、電子写真画像形成装置の高画質化への要求は高まっている。そして、印刷のようなスクリーン処理を施した画像はもとより、銀塩写真のような高い階調性、広い色再現範囲、良好な粒状性を有する画像特性への要求がさらに高まっている。
【0003】
そのため、従来の4色カラー画像形成装置に対して色数を増やすことにより、高画質を達成するカラー電子写真画像形成装置が提案されている。
【0004】
それらは、従来の一般的なシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー(濃色トナー)に加え、インクジェット方式では一般的なように淡いシアン、淡いマゼンタなどの色のトナー(淡色トナー)を加えるもので、例えば特許文献1に記載されている。
【0005】
また上記4色の濃色トナーに加え、透明トナーを加えるのもが、例えば特許文献2に記載されている。
【0006】
特許文献1に記載のように、同一色相で濃度の低い淡色トナーを加える目的は、粒状感の低減による高画質化である。図5は、淡いシアントナー(以下、LCトナー)(破線)と、濃いシアントナー(以下、DCトナー)(実線)のそれぞれカバーリングパワーを示している。LCトナーの紙上載り量0.5[mg/cm]時の光学濃度(O.D)が0.7、濃いシアントナー(DCトナー)の紙上載り量0.5[mg/cm]時の光学濃度が1.4である。
【0007】
上記において、紙上の単位面積当たりのトナー載り量[mg/cm]は未定着状態時での測定である。光学濃度は、定着状態時での測定である。
【0008】
これら同一色相で濃度の異なるLCトナー(淡色トナー)とDCトナー(濃色トナー)を用いて、図6に示すLC用ルックアップテーブルと、DC用ルックアップテーブルに基づいて潜像形成及び現像を行う。そして、LCトナー像とDCトナー像を重ね合わせることにより、図7に示すとおり、画像信号に対して忠実なシアン階調濃度再現を行なっている。
【0009】
なお、従来の濃色トナー(DCトナー)単体での画像形成と異なり、画像信号の低濃度部において同一色相で濃度の低い淡色トナー(LCトナー)を積極的に使し、中間濃度部においては淡色トナーと濃色トナーを混合させる。そして、高濃度部においては濃色トナーを積極的に使用する。これにより、低濃度部でのドットの粗さを目立ちにくくし、高濃度部でのトナー量を抑えることができて、特に低濃度部における粒状感を低減し、画質の向上を達成することができ、また、再現色範囲を広げる効果が得られる。
【0010】
なお上述した内容は、当然シアンに限られたものではない。
【0011】
また、特許文献2に記載のように、透明トナーを加える主な目的は、画像面内の光沢均一化である。電子写真方式で画像形成した場合、画像面内で有色トナ−部と非有色トナー部とで凹凸が発生するため、面内の光沢不均一が避けられない。このため透明トナーを採用して、非有色トナー部に透明トナーで画像形成することで、画像面内の凹凸を無くして光沢均一化を実現させている。
【0012】
また、白色トナーを加える主な目的は、省資源のため、カラー画像を形成する記録紙に白色度の低い普通紙や再生紙などを使用する場合がある。白色度の低い記録紙を使用した場合には、記録紙の地色の影響でイエロー(Y)、マゼンタ(M)やシアン(C)等のカラートナーの発色性が、実際の色と異なってしまい、カラーの原画像の色を正確に再現することができない。そこで、カラー画像形成装置においては、カラー画像専用の白色度の高い記録紙を用いて画像品質を向上させていることが多いが、専用の記録紙を用いた場合には、一般の記録紙に比べてコストが高いとい難点がある。
【0013】
そこで、特許文献3には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色トナーに加えて、白色トナーを有した画像形成装置において、記録紙に画像を形成する前に白色トナーによって記録紙全面を白色に印刷するように制御することが記載されている。
【0014】
また、特許文献4には、タンデム方式の画像形成装置において、タンデム配列の各画像形成部におけるプロセスカートリッジ内のドラムクリーナで回収された廃トナーを貯留する貯留容器を設けた画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特開平05−35038号公報
【特許文献2】特開平08−220821号公報
【特許文献3】特開平07−114241号公報
【特許文献4】特開平11−15347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、本発明者が上述した従来の画像形成装置に関して、種々検討を行ったところ、実際上および使用レベル上において、次の(1)〜(4)ような問題が生じることを知見するに至った。
【0016】
(1)濃色トナーと淡色トナーを用いる5色以上のカラー画像形成装置は、特に低濃度部での粒状感の低減や、色再現範囲を広げる効果が得られる。これにより、特に自然画像等を出力する際に重要となる、中間調から明度の高い領域にかけて、広い色再現範囲を実現することが可能になる。その結果、中間調から明度の高い領域を多く使用する写真画質にも迫る高品質な画像形成を行うことができる。
【0017】
しかし、写真画質に求められる中間調再現を担う淡色トナーは、濃色トナーに対し画像形成に関わる消費トナー量が増加する。また、濃色と淡色のトナーを用いる画像形成装置においては、濃色と淡色のトナーとが混在し始める濃度領域(以下つなぎ部)不連続による擬似輪郭の発生の防止のため、淡色トナーを使用する濃度領域をハイライトから高濃度部まで広範囲にわたらせる場合もある。これが、淡色トナーの濃色トナーに対する消費量をさらに増加させる要因の一つとなる。
【0018】
中間調から明度の高い領域を多く使用する写真画質を形成する画像形成装置において、淡色トナーが濃色トナーよりトナー消費量が多い理由を以下にルックアップテーブル(LUT)を使って説明する。
【0019】
淡色トナーと濃色トナーを組み合わせた画像形成のルックアップテーブルを図6に示す。横軸は濃色トナーと淡色トナーに分版する前の画像の階調値で、縦軸は濃色トナーおよび淡色トナーに分版した際の各々の階調値である。
【0020】
ここで、分版とは、ある色(版またはチャンネルともいう)の画像データを、濃色トナー用と淡色トナー用の2つの画像データに分割することをいう。
【0021】
図6では、写真画質に求められる自然画像等を出力する際に重要となる、中間調から明度の高い領域にかけて、広い色再現範囲及び粒状性の低減を実現するために、階調値の小さい高明度領域(ハイライト領域)では、淡色トナーのみにより画像形成を行う。そのため、淡色トナーの消費量は濃色トナーより多くなる。
【0022】
しかし、ハイライト領域から濃色トナーと淡色トナーを併せて使用すると、ハイライト領域の粒状性が低下する(トナーの粒状感が表れる)ため好ましくない。したがって、形成される画像濃度が0.3以下の階調では、淡色トナーのみを用い、濃色トナーの使用率を0%にするとよい。
【0023】
そして、階調値128までは、淡色トナーの階調を増加させていき、階調値128を超えたところで淡色トナーの階調を減少させていく。一方、濃色トナーについては、階調値128を超えたところから濃色トナーの階調を増加させていく。つまり、中間調領域では、淡色トナーと濃色トナーを併せて画像形成を行い、高濃度部には濃色トナーにより画像形成することにより、高濃度部においては、トナー量を抑えて濃度を満たすことが可能となる。
【0024】
このようにして得られた画像の濃度カーブを図7のグラフに示す。横軸は、図6と同じく画像の階調値であり、縦軸は、画像の濃度である。高明度領域で淡色トナーのみを使用し、かつ、中間調領域で濃色トナーと淡色トナーを併せて使用することにより、良好な階調再現性が得られていることがわかる。
【0025】
以上のように写真画質を形成するためには、中間調から明度の高い領域を多く使用する画像形成装置は、濃色トナーに対する淡色トナーの消費量が多くなる。
【0026】
従って、淡色トナー像を形成する画像形成部と、濃色トナー像を形成する画像形成部とでは、ドラムクリーナで回収された廃トナーを貯留する廃トナー容器が同じ大きさである場合、淡色トナーの容器が、濃色トナーの容器より早く満杯状態になる。
【0027】
その結果、淡色トナーの廃トナー容器の寿命(廃トナー満杯状態に至るまでの期間)が、濃色トナーの廃トナー容器の寿命より短くなる。そのため、淡色トナーの廃トナー容器の交換が頻繁になって、装置本体の画像形成をかなりの頻度で中断せざるを得ない問題を生じることがあった。
【0028】
(2)また、光沢段差を緩和するために透明トナーを使用する場合においても、透明トナーの使用量が以下の理由で他の有色トナーよりも多いため、上記(1)と同様の課題を有する。
【0029】
透明トナーは、画像部(トナー部)の光沢と、非画像部の光沢との差を埋め、画像全体として均一な光沢を達成することができると共に、記録材上の凹凸を埋め、凹凸差を緩和させることにより光沢を生み出し、画像全体の光沢度をアップさせることが可能となる。従って、透明トナーの紙上載り量(もっとも濃い画像を作像した際の、単位面積あたりのトナー質量)は、他の有色トナーとの載り量差を緩和すべく、相当量の載り量を必要とする。具体的には、有色トナーの1色分以上の載り量を必要とする場合が多い。また透明トナーは、上記の目的達成のために、画像部/非画像部を含む画像形成範囲全面に対して透明べた画像を作像する手法(オーバーコート)等、種々提案されている。
【0030】
上記の手法は、記録紙全面のトナー高さを均一化するため、透明トナー量は他の各有色トナーに比べ、使用量が多いことは明らかである。
【0031】
以上より、透明トナー像を形成する画像形成部は、他の有色トナー像を形成する画像形成部に比べてトナー消費量が多くなる傾向がある。結果として、記録材1枚あたりの廃トナーが、有色トナーに比べ、透明トナーの方が多くなるといった現象が発生し、上記(1)の淡色トナー現像の場合と同様の課題を有している。
【0032】
(3)また、白色トナーは、上述したようにどのような記録紙(例えばリサイクル用紙)においても、カラーの原画像の色を正確に再現することを目的に採用されている。そして、記録紙全面に使用する白色トナーは、複数の有色トナーで形成されたトナー量と同等以上の現像トナー量が必要となるために、上記(1)の淡色トナー現像や(2)の透明トナー現像の場合と同様の課題を有している。
【0033】
また、白色トナーは上記(2)で説明した透明トナーのように、トナー段差を埋め、画像全体の光沢度をアップさせるように使用することも可能である。
【0034】
(4)一般に、廃トナーの処理は様々に存在する。たとえば画像形成部が複数に分かれた画像形成装置の場合、各々の画像形成部から排出された廃トナーを一箇所に集め、ある程度の廃トナー量を廃トナー容器に確保する。そして、満杯になったらメンテナンスマンやユーザーに交換を促すと言った例が挙げられる。
【0035】
しかし、この場合、画像形成装置本体内に廃トナーを一箇所に集めるための廃トナー搬送経路が必要となり、画像形成装置内にある程度のスペースを確保する必要が生じる。これにより、画像形成装置本体を小型化しようとした場合においても、前記の廃トナー搬送経路を確保しなければならないため、小型化の障害となり好ましくない。
【0036】
一方、複数の画像形成部でそれぞれ排出された廃トナーを、各画像形成部で別々に設けた廃トナー容器に収容する方法がある。これは、前記の方法に比べ、廃トナー搬送経路を必要としないため、小型化に対して有利である。
【0037】
本発明は、上記のような複数の画像形成部を有する画像形成装置について、装置の小型化を図りつつ、トナー消費量の多い(使用頻度の多い)、淡色や透明のトナー像の画像形成部における廃トナー容器の寿命を伸ばすことを目的とする。
【0038】
また、トナー消費量の多い上記画像形成部における現像装置に対してトナーを補給するトナー補給容器の交換頻度を低減化することを目的とする。
【0039】
また、装置の小型化を図りつつ、トナー消費量の多い上記画像形成部における廃トナー容器の寿命を伸ばすとともに、トナー消費量の多い上記画像形成部における現像装置に対してトナーを補給するトナー補給容器の交換頻度を低減化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0040】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、表面にトナー像が形成される像担持体と、前記像担持体の表面からトナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去されたトナーを貯留する廃トナー容器とを有する、複数の画像形成部を有し、前記複数の画像形成部は、同一色相で濃度の低いトナーにて画像形成する画像形成部と、同一色相で濃度の高いトナーにて画像形成する第二画像形成部と、を少なくとも有し、前記複数の画像形成部の像担持体に形成されたトナー像を記録材上に重ねて画像形成する画像形成装置において、前記第一画像形成部の前記廃トナー容器の容量が、前記第二画像形成部の前記廃トナー容器の容量より大きいことを特徴とする。
【0041】
また、上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の他の代表的な構成は、像担持体と、前記像担持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像をトナー像として現像する現像手段と、前記現像手段に対してトナーを補給するトナー補給容器と、前記像担持体の表面からトナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去されたトナーを貯留する廃トナー容器とを有する、複数の画像形成部を有し、前記複数の画像形成部の像担持体に形成されたトナー像を記録材上に重ねて画像形成する画像形成装置において、前記複数の画像形成部は、同一色相で濃度の低いトナーにて画像形成する第一画像形成部と、同一色相で濃度の高いトナーにて画像形成する第二画像形成部と、を少なくとも有し、前記第一画像形成部の前記トナー補給容器の容量が、前記第二画像形成部の前記トナー補給容器の容量より大きいことを特徴とする。
【0042】
また、上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の更に他の代表的な構成は、表面にトナー像が形成される像担持体と、前記像担持体の表面からトナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去されたトナーを貯留する廃トナー容器とを有する、複数の画像形成部を有し、前記複数の画像形成部は、少なくとも、透明トナーによりトナー像を形成する画像形成部と、有色トナーによりトナー像を形成する1つ以上の画像形成部を有し、前記有色トナーが形成される画像形成領域と前記画像形成領域以外でトナー面の高さの高低差が低減するように前記透明トナーが形成される画像形成装置において、前記透明トナーによりトナー像を形成する画像形成部の前記廃トナー容器の容量が、前記有色トナーによりトナー像を形成する画像形成部の前記廃トナー容器の容量より大きいことを特徴とする。
【0043】
また、上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の他の代表的な構成は、像担持体と、前記像担持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像をトナー像として現像する現像手段と、前記現像手段に対してトナーを補給するトナー補給容器と、前記像担持体の表面からトナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去されたトナーを貯留する廃トナー容器とを有する、複数の画像形成部を有し、前記複数の画像形成部は、少なくとも、透明トナーによりトナー像を形成する画像形成部と、有色トナーによりトナー像を形成する1つ以上の画像形成部を有し、前記有色トナーが形成される画像形成部と前記画像形成部以外でのトナー面の高さの高低差が低減するように前記透明トナーが形成される画像形成装置において、前記透明トナー用の前記トナー補給容器の容量が、前記有色トナー用のトナー補給容器の容量よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
上記の本発明に係る画像形成装置によれば、装置の小型化を図りつつ、トナー消費量の多い(使用頻度の多い)、淡色や透明のトナー像の画像形成部における廃トナー容器の寿命を伸ばすことができる。
【0045】
また、トナー消費量の多い上記画像形成部における現像装置に対してトナーを補給するトナー補給容器の交換頻度を低減化することができる。
【0046】
また、装置の小型化を図りつつ、トナー消費量の多い上記画像形成部における廃トナー容器の寿命を伸ばすとともに、トナー消費量の多い上記画像形成部における現像装置に対してトナーを補給するトナー補給容器の交換頻度を低減化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図面間において、同一または対応する構成部材・構成装置・構成部分には同一の符号を付す。
【0048】
本発明の特徴をなす構成は、以下に述べるような画像形成装置の形態に限られるものではないことは勿論である。
【0049】
また、以下の説明における画像濃度(定着後画像の光学濃度)は、X−Rite社製のスペクトロデンシトメーター504を用いて測定する。このとき、トナーを形成する記録材は、キヤノン社製のキャノンレーザーコピア普通紙(つぼ量80g/cm)であり、この用紙にトナー載り量0.5mg/cmの測定画像を形成し、この測定画像を任意に5回測定し、平均の値を画像濃度とする。
【0050】
また、像担持体あるいは記録材上での単位面積当たりのトナー量(トナー載り量)は、未定着であるトナーを所定形状を有する容器内に吸引し、吸引前後の容器の重さの差分と、吸引した面積を測定し、容器の重量差を吸引した面積で除算することで求める。
【実施例】
【0051】
(第1の実施形態)
(1)画像形成装置の全体的構成の説明
図1は本実施形態における画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置は、中間転写ベルトを用いた、6連ドラム方式(インライン方式、タンデム方式)の電子写真フルカラー複写機であり、各種用紙・OHPシート・布などのシート状の記録材にフルカラー画像を形成して出力することができる。
【0052】
50は画像形成装置を統括制御する制御手段としての制御回路部である。この制御回路部50に、カラー原稿の色分解光電読取り装置(リーダー部:具体的構成は図に省略)51から電気的画像情報が入力する。
【0053】
I・II・III・IV・V・VIは、図面上、左から右に順に直列に配列した第1〜第6の6つの画像形成部である。この各画像形成部は、何れも、レーザー走査露光方式の電子写真プロセス機構である。
【0054】
すなわち、各画像形成部I〜VIにおいて、1(a〜f)は、第1の像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)である。2(a〜f)は、回転するドラムの表面を所定の極性・電位に一様に帯電する帯電手段としての帯電ローラである。3(a〜f)は、潜像形成手段としてのレーザースキャナであり、画像情報信号に対応して変調されたレーザ光Lを出力して、回転するドラムの一様帯電面を走査露光することにより、ドラム表面に露光パターンに対応した静電潜像を形成する。4(a〜f)は、現像装置であり、ドラム表面に形成された静電潜像をトナー像として現像する。5(a〜f)は現像装置4(a〜f)に対するトナー補給源であるトナーボトル(トナーカートリッジ:トナー補給容器)である。6(a〜f)は1次転写ローラ(1次転写手段)であり、矢印の時計方向に回転駆動される第2の像担持体としての中間転写ベルト(中間転写体:以下、ベルトと記す)11を挟んでドラム下面に当接させてある。ドラムとベルトとの当接部が1次転写ニップ部7(a〜f)である。1次転写ローラに転写バイアス印加電源(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の転写バイアスが印加されることで、回転するドラム側から回転するベルト11の表面にトナー像が順次に1次転写される。8(a〜f)はドラムクリーニング装置であり、ベルト11に対するトナー像の1次転写後のドラム表面から1次転写残トナーを除去してドラム表面を清掃する。ドラムはこのクリーニング装置で清掃されて繰り返して画像形成に供される。本実施形態において、クリーニング装置8(a〜f)はドラムの母線方向に長い弾性ゴムブレード(クリーニングブレード)であり、回転するドラムの面に対してカウンター方向に当接させてある。このブレードによりドラム面がドラム回転過程で拭掃されてドラム面上の1次転写残トナーが掻き落されて、廃トナー容器9(a〜f)に貯留される。
【0055】
ここで、上記記号1(a〜f)〜9(a〜f)の構成部材、構成装置、あるいは構成部分について、副記号a〜f無しに1〜9と記載している場合は、第1〜第6の各画像形成部I〜VIにおける構成部材、構成装置、あるいは構成部分を共通して指すものとする。
【0056】
第1〜第6の画像形成部I〜VIは、それぞれ、ドラム1の面に、目的のカラー原稿画像の色分解成分色に対応した、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の色トナー像を形成する。従って、第1〜第6の各画像形成部I〜VIの現像装置4およびトナーボトル5には、それぞれ、現像剤として、ライトマゼンタトナー、ライトシアントナー、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーを収納してある。
【0057】
ベルト11は樹脂やゴム製の可撓性の無端ベルトである。そして、該ベルト11は、第1〜第6の画像形成部I〜VIの下側において、右側の駆動ローラ12と、左側のターンローラ13と、駆動ローラ12よりも下側の2次転写ローラ対向ローラ14の並行3本のローラ間に懸回張設してある。駆動ローラ12とターンローラ13との間のベルト部分を各画像形成部において1次転写ローラ6によりドラム1の下面に当接させて1次転写ニップ部7を形成させている。ベルト11は駆動ローラ12により矢印の時計方向に、ドラム1の回転速度と略同じ速度で回転移動駆動される。
【0058】
而して、先ず、第1の画像形成部Iの1次転写ニップ部7aにおいて、ドラム1aに形成される1色目のライトマゼンタトナー像が回転駆動されているベルト11の表面に1次転写される。次いで、第2の画像形成部IIの1次転写ニップ部7bにおいて、ドラム1bに形成される2色目のライトシアントナー像が、ベルト11上の上記の1色目のライトマゼンタトナー像に重ね合せて、1次転写される。さらに同様にして、第3〜第6の画像形成部III〜VIの1次転写ニップ部7c〜7fにおいて、ドラム1c〜1fに形成される3〜6色目のイエロートナー像・マゼンタトナー像・シアントナー像・ブラックトナー像がベルト11上に順次に重畳転写される。
【0059】
すなわち、ベルト11の表面に、ライトマゼンタ、ライトシアン、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの都合6色の色トナー像が順次に重ね合わされて転写(多重転写)されて、フルカラーの未定着トナー画像が合成形成される。
【0060】
上記のようにベルト11上に合成形成されたフルカラーの未定着トナー画像は、引き続くベルト11の回転により、2次転写ニップ部16に搬送される。2次転写ニップ部16は、2次転写ローラ対向ローラ14のベルト懸け回し位置において、2次転写ローラ(2次転写手段)15をベルト11に当接させた部位である。
【0061】
一方、所定の制御タイミングで、不図示の給紙機構部の給紙カセットから、第3の像担持体としてのシート状の記録材(転写材)Pが一枚分離給送される。その記録材Pの先端がその時点では回転を停止しているレジストローラ対17のニップ部に受け止められる。これにより、記録材Pは斜行修正される。その記録材Pがレジストローラ対17の回転駆動により所定の制御タイミングで2次転写ニップ部16に搬送される。すなわち、ベルト11上に形成されたフルカラーの未定着トナー画像の画像先端が2次転写ニップ部16に到達するタイミングで、その2次転写ニップ部16に記録材Pのプリント開始位置が一致するようにレジストローラ対17の回転開始が制御される。そして、記録材Pが2次転写ニップ部16を挟持搬送されていく過程において、2次転写ローラ15に対して転写バイアス印加電源(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の転写バイアスが印加される。これにより、記録材Pに対して、ベルト11上のフルカラーの未定着トナー画像が一括して2次転写される。
【0062】
2次転写ニップ部16を出た記録材Pはベルト11の面から曲率分離して、搬送ベルト18により定着装置19に搬送される。本実施形態における定着装置19は、ヒートローラと加圧ローラのローラ対を基本構成部材とする熱圧定着装置であり、記録材Pは上記ローラ対の圧接部である定着ニップ部に導入されて挟持搬送されることで、熱と圧力を受ける。これにより、各色トナー像のトナーが溶融混色してフルカラープリント画像として記録材表面に定着(永久固着画像化)され、フルカラープリントが機外に排出される。
【0063】
記録材分離後のベルト11の面は、ベルトクリーナ20によって2次転写残トナーの除去を受けてクリーニングされ、次の作像工程に備える。
【0064】
モノクロ画像形成モードの場合は、ブラックトナー像の画像形成部である第6の画像形成部VIだけが画像形成動作する。第1〜第5の画像形成部I〜Vは、ドラム1の回転駆動はなされるが、画像形成動作はしない。第6の画像形成部VIのドラム1fに形成されたブラックトナー像がベルト11に1次転写される。そのトナー像が2次転写ニップ部16において記録材Pに2次転写される。2次転写ニップ部16を出た記録材Pはベルト11の面から曲率分離して搬送ベルト18で定着装置19へ導入され、トナー画像の定着を受ける。そして、モノクロ画像プリントが機外に排出される。
【0065】
図2は第1または第2の画像形成部I・IIの拡大図、図3は第3、第4、第5、または第6の画像形成部III・IV・V・VIの拡大図である。この図2と図3を参照して、第1〜第6の各画像形成部I〜VIの現像装置4において、41は現像容器、42と43は現像容器41内に配設した現像スリーブと現像剤攪拌搬送スクリュー軸である。44は現像容器41の上側に配設したトナーホッパーである。トナー補給源であるトナーボトル5はトナーホッパー44の上に着脱可能に装着される。現像スリーブ42はドラム1に対して接触して或いは僅少なギャップを存して対向しており、ドラム1の回転方向に順の方向に回転駆動される。現像容器41内の現像剤はスクリュー軸43により攪拌され、回転する現像スリーブ42に担持されてドラムとの対向部に搬送される。また、現像スリーブ42には現像バイアス印加電源(不図示)から所定の現像バイアスが印加され、ドラム1面の静電潜像がトナー像として現像される。トナーボトル5内のトナーがトナーホッパー44を介して現像容器41内に逐次に補給されて、現像容器41で消費したトナーが補われる構成になっている。現像容器41内の現像剤は1成分系あるいは2成分系である。
【0066】
本実施形態の画像形成装置は、各画像形成部I〜VIにおいて、ドラム1、帯電ローラ2、現像装置4、クリーニング装置8、廃トナー容器9を一括して画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとしてある。プロセスカートリッジ内にトナーボトル5をも含んだ、ALL−IN−ONEカートリッジとすることもできる。なお、本実施形態によるプロセスカートリッジは、少なくともドラム1、クリーニング装置8、および廃トナー容器9を含むものである。
【0067】
(2)淡色トナー画像形成部と濃色トナー画像形成部
第1の画像形成部Iと第2の画像形成部IIで使用のライトマゼンタトナーとライトシアントナーは、それぞれ、記録材上のトナー量が0.5[mg/cm]のときに、定着後の光学濃度が0.7になるように設計されているトナーである。以下このトナーを「淡色トナー」という。したがって、第1と第2の画像形成部I・IIは淡色トナー画像形成部である。
【0068】
また、第3〜第6の画像形成部III〜VIで使用の、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーは、それぞれ、記録材上のトナー量が0.5[mg/cm]のときに、定着後の光学濃度が1.4になるように設計されているトナーである。このトナーを以下「濃色トナー」という。したがって、第3〜第6の画像形成部III〜VIは濃色トナー画像形成部である。
【0069】
ここで、本発明において、淡色トナーと濃色トナーは、含有する色材(顔料や染料)の分光特性が等しく、色材の含有量を異ならせて淡色と濃色に着色されているトナーである。すなわち、淡色トナーと濃色トナーは、同一色相で、濃度が淡/濃異なるトナーである。あるいは、淡色トナーは、記録材上でのトナー量が0.5mg/cmにつき光学濃度が1.0未満であるように色材含有量を調整しているトナーとしてもよい。また、濃色トナーは、記録材上でのトナー量が0.5mg/cmにつき光学濃度が1.0以上であるように色材含有量を調整しているトナーとしてもよい。
【0070】
上述したように、濃色トナーと淡色トナーを用いる5色以上のカラー画像形成装置では、自然画像等を出力する際に重要となる、中間調から明度の高い領域にかけて、広い色再現範囲を実現することが可能になる。その結果、中間調から明度の高い領域を多く使用する写真画質にも迫る高品質な画像形成を行うことができる。
【0071】
これにより、写真画質に求められる中間調再現を担う淡色トナーは、濃色トナーに対し画像形成に関わる消費トナー量が増加する。
【0072】
また、この様なカラー画像形成装置においては、淡色トナーと濃色トナーとが混在し始める濃度領域不連続による擬似輪郭の発生の防止のため、淡色トナーを使用する濃度領域をハイライトから高濃度部まで広範囲にわたらせる場合もある。この場合も、淡色トナーの濃色トナーに対する消費量をさらに増加させる要因の一つとなる。
【0073】
以上の理由から、同一色相で濃度の高い濃色トナーに対する同一色相で濃度の低い淡色トナーの消費量が多くなる。そのため、第1〜第6の画像形成部I〜VIの各廃トナー容器9a〜9fの容量が全て同じであると、淡色トナーの各廃トナー容器9a・9bが、濃色トナーの各廃トナー容器9d・9eよりも早く満杯状態になる。すなわち、淡色トナーの廃トナー容器9a・9bの寿命が、濃色トナーの廃トナー容器9d・9eの寿命より短くなる。そのために、淡色トナーの廃トナー容器9a・9bだけをかなりの頻度で交換し、装置本体の画像形成を中断せざるを得ない問題が生じる。
【0074】
ここで、廃トナー容器が本実施形態の画像形成装置のようにプロセスカートリッジに組み込まれているときは、廃トナー容器の寿命・交換とは、プロセスカートリッジの寿命・交換と同義である。
【0075】
そこで、本実施形態では、ライトマゼンタ及びライトシアントナーで画像形成する画像形成部I・IIの廃トナー容器9a・9bの容量を、マゼンタ及びシアントナーにて画像形成を行なう画像形成部IV、Vの廃トナー容器9d・9eの容量よりそれぞれ大きくする。これにより、淡色トナーの廃トナー容器9a・9bの寿命を延ばしている。
【0076】
また、淡色トナーは消費量が多いので、廃トナー容器9a・9bの大型化に加え、トナー補給源であるトナーボトル5a・5bの容量も、濃色トナーのトナーボトル5c・5d・5e・5fの容量より大きくなっている。なお、淡色トナー画像形成部である第1と第2の画像形成部I・IIにおいては、トナーボトル5a・5bの大型化に伴い、現像装置4のトナーホッパー44も大型化されている。
【0077】
上記トナーボトルの容量とは、トナーを格納する容積のことを示している。廃トナー容量とは、廃トナー(1次転写残トナー)を格納する容積のことを示している。
【0078】
さて、本発明者は写真画質を形成するために、淡色トナーのトナーボトル5a・5bに要求される容積について検討した。
【0079】
一般的な約200万画素〜1000万画素の写真調カラー画像(人物、建物、空、海、山、雲、夜景、乗り物等を含む)を図6に示したLUT(階調カーブ)に基づいて、数百枚画像形成(プリントアウト)を行った。その結果、濃色トナーに対する淡色トナーの消費量は約2.2倍になった。
【0080】
そこで、淡色トナーが充填されているトナーボトル5a・5bは、上記のトナー消費量に基づき、濃色トナーが充填されているトナーボトル5c・5d・5e・5fよりも約2.2倍多くのトナーが装填されるような設計にした。これにより、トナーボトルの交換頻度は淡色トナーと濃色トナーとでほぼ同等となった。
【0081】
本実施例において、淡色トナーのトナーボトル5a・5bの容量は、A4用紙において、写真画質で使用される淡色トナーの平均的な印字比率である50%でプリント1000枚の現像能力を有し、その時点で収容したトナーを消費し尽くすものとした。
【0082】
具体的には、淡色トナーを高濃度現像するときの、ドラム上のトナー載り量は0.6[mg/cm]であり、A4用紙に対して写真画質で使用される淡色トナーの平均的な印字比率50%の現像を1000枚行った場合、全トナー消費量は約187[g]となる。このことから、淡色トナーのトナーボトル5a・5bの容積は、トナーが占有する容積が約190[cm]であるものとした。
【0083】
一方、濃色トナーのトナーボトル5c・5d・5e・5fの容積は、上記のトナー消費量の関係からトナーが占有する容積が90[cm]あるものとした。
【0084】
次に本発明者は、写真画質を形成するために、淡色トナーの廃トナー容器9a・9bに要求される容積について検討した。
【0085】
濃色トナーの廃トナー容器9c・9d・9e・9fに対する淡色トナーの廃トナー容器9a・9bの大きさは、上記のトナー消費量の関係から約2.2倍大きくすることにした。
【0086】
以下に、具体的に、廃トナー容器9の大きさを示す。ここで、1次転写効率η1を次のように定義した。1つの画像形成部(プロセスカートリッジ)において、ドラム1上のトナー像のベルト11への1次転写前のトナー量をa、ベルト11上の1次転写されたトナー像のトナー量をcとする。ベルト11へ1次転写した後のドラム1上のトナー量をbとすると、a=b+cである。1次転写効率η1は、
η1(%)=c/a×100
で表される。
【0087】
本実施例では、各画像形成部I〜VIにおける1次転写効率は平均90[%]とした。
【0088】
淡色トナーの廃トナー容器9a・9bには、全トナー消費量の10[%]、すなわち18.7[g]が貯留される。そこで、この廃トナー容器9a・9bの大きさ(容積)は、画像白地部にトナーが付着する現象(かぶり)を考慮して、廃トナーが占有できる容積が25[cm]あるものとした。
【0089】
一方、濃色トナーの廃トナー容器9c・9d・9e・9fの大きさは、上記のトナー消費量の関係から、廃トナーが占有できる容積が15[cm]あるものとした。
【0090】
上記の数値は本実施例において、適用した数値であり、トナーボトル5、廃トナー容器9の大きさは、余裕を持たせた構成にしても構わない。
【0091】
尚、色トナーの組み合わせとしては、本実施形態の他にも任意の組み合わせを採用することができる。例えば、濃度レベルの3種類以上のトナーを用いたり、オレンジ色、金色、銀色といった特色トナーを用いて色表現の幅を広げたりする手法を用いることもできる。
【0092】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態による画像形成装置を図4に示す。
【0093】
この画像形成装置は、第1〜第5の5つの画像形成部I〜Vを有する、中間転写ベルトを用いた、5連ドラム方式の電子写真フルカラー複写機である。第1〜第5の画像形成部I〜Vは、それぞれ、ドラム1の面に、目的のカラー画像の色分解成分色に対応した、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ライトブラック(LBk)、ブラック(Bk)の都合5色の色トナー像を形成する。上記以外の装置構成、画像形成プロセス等は第1の実施形態の画像形成装置とほぼ同様であるから再度の説明は省略する。
【0094】
イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像を形成する第1、2、3、5の画像形成部I、II、III、Vが濃色トナー画像形成部であり、ライトブラックトナー像を形成する第4の画像形成部IVが淡色トナー画像形成部である。
【0095】
そして、同一色相で濃度の低い淡色トナー画像形成部である第4の画像形成部IVのトナーボトル5dと廃トナー容器9dを、同一色相で濃度の高い濃色トナー画像形成部である第5の画像形成部Vのそれよりも大きくしてある構成である。
【0096】
前述したように、写真画質では、中間調から明度の高い領域を多く使用する画像処理が行われている。そのため、淡色トナーであるライトブラックトナーの消費量が、濃色トナーであるブラックトナーの消費量より多くなる。その結果、第4と第5の画像形成部IV、Vの廃トナー容器9d、9fの容量が同じであると、ライトブラックトナーの廃トナー容器9dが、ブラックトナーの廃トナー容器9eよりも早く満杯状態になる。すなわち、ライトブラックの廃トナー容器9dの寿命が、ブラックトナーの廃トナー容器9eの寿命より短くなり、淡色の廃トナー容器9dを頻繁に交換すると言う不具合が生じる。
【0097】
そこで、本実施形態では、淡色トナーであるライトブラックトナーの廃トナー容器9dの容量を、ブラックトナーの廃トナー容器9eの容量より大きくすることにより、ライトブラックトナーの廃トナー容器9dの寿命を延ばしている。また、その廃トナー容器9dの大型化に加え、トナー補給源であるトナーボトル5dも濃色トナーのトナーボトル5eより大きくなっている。
【0098】
第1の実施形態で示したように、濃色トナーに対する淡色トナーの廃トナー容器・トナーボトルの大きさは、図6に示したLUT(階調カーブ)に基づいて、写真画像を形成したときのトナー消費量を基に決定している。
【0099】
具体的に、本実施形態においては、淡色トナーであるライトブラックトナーのトナーボトル5dの容積は、トナーが占有する容積が190[cm]であるとした。濃色トナーであるブラックトナーのトナーボトル5eの容積は、第1の実施形態に示したトナー消費量の関係からトナーが占有する容積が90[cm]とした。
【0100】
また、淡色トナーの廃トナー容器9dの大きさは、廃トナーが占有できる容積が25[cm]あるとした。濃色トナーの廃トナー容器9a・9b・9c・9eの大きさは、第1の実施形態に示したトナー消費量の関係から、廃トナーが占有できる容積が15[cm]あるとした。
【0101】
本実施形態の画像形成装置は、第1〜第5の各画像形成部I〜Vにおいて、ドラム1、帯電ローラ2、現像装置4、クリーニング装置8、廃トナー容器9を一括して画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジにしてある。プロセスカートリッジ内にトナーボトル5をも含んだ、ALL−IN−ONEカートリッジとすることもできる。なお、本実施形態によるプロセスカートリッジは、少なくともドラム1、クリーニング装置8、および廃トナー容器9を含むものである。
【0102】
(第3の実施形態)
上記第1及び第2の実施形態では、淡色トナーと濃色トナーを含む画像形成装置において本発明の効果について説明したが、少なくとも無色(透明または白色)トナーと有色トナーを含む画像形成装置においても同様の効果が得られる。
【0103】
本実施例でいう透明トナーとは、実質的に無色透明のトナーであり、その用途は定着後の記録材の光沢差を低減するために用いられている。具体的には、記録材上の画像形成可能領域内において、有色トナーが画像形成される領域及びそれ以外の領域において、トナー面の高低差が低減されるように透明トナーが形成される。また、画像形成可能領域全面に対して透明べた画像を作像することで光沢差を低減する構成でも良い。
【0104】
発明が解決しようとする課題の項で述べたとおり、淡色トナー現像と同様の理由から、透明トナー現像または白色トナー現像においてもトナー消費量が多い。そのため、透明トナーまたは白色トナーの廃トナー容器の寿命が、濃色トナーの廃トナー容器の寿命より短くなる。その結果、透明トナーまたは白色トナーの廃トナー容器の交換が頻繁になって、装置本体の画像形成をかなりの頻度で中断せざるを得ないという課題を有している。
【0105】
そこで、透明トナーや白色トナーを使用する画像形成部(プロセスカートリッジ)の廃トナー容器やトナーボトルの大きさを、有色トナーを使用する画像形成部(プロセスカートリッジ)の廃トナー容器やトナーボトルの大きさより大きくする。これにより、上記の課題を解決することができる。
【0106】
以上、3つの実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0107】
上記の実施形態において挙げた数値は、あくまで例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いても良い。
【0108】
また、画像形成装置の構成例としてフルカラー複写機が挙げられているが、これに限定する趣旨ではなく、本発明は、プリンタやファクシミリなどの複数の画像形成部(プロセスカートリッジ)を備えた画像形成装置に適用することが可能である。
【0109】
中間転写体を用いないで、記録材を搬送ベルトや搬送ドラムで複数の画像形成部の転写ニップ部を順次に通過させて、同一の記録材面に各画像形成部の像担持体に形成したトナー画像を重畳転写させる画像形成装置構成であってもよい。
【0110】
各画像形成部のトナー画像形成手段機構は、電子写真プロセス機構に限られない。第1の像担持体として誘電体や磁性体を用いる静電記録プロセス機構や磁気記録プロセス機構等であってもよい。電子写真プロセス機構において、潜像形成手段としての露光装置は、プロセスカートリッジの内部または外部に設けられた、例えば発光ダイオード(LED)アレイ装置や、光源と液晶シャッタを組み合わせたデジタル露光装置等とすることもできる。色分解フィルタを用いた結像投影光学装置(アナログ画像露光装置)とすることもできる。第1の像担持体の帯電面を、除電針ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の画像情報の静電潜像を書き込み形成する構成にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
【図2】第1または第2の画像形成部部分の拡大図である。
【図3】第3、4、5、または6の画像形成部部分の拡大図である。
【図4】第2の実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
【図5】淡色トナーと濃色トナーのカバーリングパワーを説明する図である。
【図6】淡色トナーと濃色トナーの画像入力信号値に対する画像出力信号値を説明する図である。
【図7】シアンを例に淡色トナーと濃色トナーを組み合わせて画像形成するときの、画像入力信号値に対する画像出力信号値を説明する図である。
【符号の説明】
【0112】
I〜VI・・第1〜第6の画像形成部、1(a〜f)・・感光体ドラム、2(a〜f)・・帯電ローラ、3(a〜f)・・レーザースキャナ、4(a〜f)・・現像装置、5(a〜f)・・トナーボトル、6(a〜f)・・1次転写ローラ、7(a〜f)・・1次転写ニップ部、8(a〜f)・・ドラムクリーニング装置、9(a〜f)・・廃トナー容器、中間転写ベルト、15・・二次転写ローラ、16・・二次転写ニップ部、17・・レジストローラ対、18・・搬送ベルト、19・・定着装置、P・・記録材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー像が形成される像担持体と、前記像担持体の表面からトナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去されたトナーを貯留する廃トナー容器とを有する、複数の画像形成部を有し、前記複数の画像形成部は、同一色相で濃度の低いトナーにて画像形成する画像形成部と、同一色相で濃度の高いトナーにて画像形成する第二画像形成部と、を少なくとも有し、前記複数の画像形成部の像担持体に形成されたトナー像を記録材上に重ねて画像形成する画像形成装置において、
前記第一画像形成部の前記廃トナー容器の容量が、前記第二画像形成部の前記廃トナー容器の容量より大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像濃度レベルが低濃度域では前記同一色相で濃度の低いトナーの方が前記同一色相で濃度の高いトナーよりも単位面積あたりに形成されるトナー載り量が多いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
像担持体と、前記像担持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像をトナー像として現像する現像手段と、前記現像手段に対してトナーを補給するトナー補給容器と、前記像担持体の表面からトナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去されたトナーを貯留する廃トナー容器とを有する、複数の画像形成部を有し、前記複数の画像形成部の像担持体に形成されたトナー像を記録材上に重ねて画像形成する画像形成装置において、
前記複数の画像形成部は、同一色相で濃度の低いトナーにて画像形成する第一画像形成部と、同一色相で濃度の高いトナーにて画像形成する第二画像形成部と、を少なくとも有し、前記第一画像形成部の前記トナー補給容器の容量が、前記第二画像形成部の前記トナー補給容器の容量より大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
画像濃度レベルが低濃度域では前記同一色相で濃度の低いトナーの方が前記同一色相で濃度の高いトナーよりも単位面積あたりに形成されるトナー載り量が多いことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記同一色相で濃度の異なるトナーは、それぞれ色材含有量が異なっており、前記同一色相で濃度の低いトナーは、記録材上でのトナー量が0.5mg/cmにつき光学濃度が1.0未満であり、前記前記同一色相で濃度の高いトナーは、記録材上でのトナー量が0.5mg/cmにつき光学濃度が1.0以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに画像形成装置。
【請求項6】
表面にトナー像が形成される像担持体と、前記像担持体の表面からトナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去されたトナーを貯留する廃トナー容器とを有する、複数の画像形成部を有し、前記複数の画像形成部は、少なくとも、透明トナーによりトナー像を形成する画像形成部と、有色トナーによりトナー像を形成する1つ以上の画像形成部を有し、前記有色トナーが形成される画像形成領域と前記画像形成領域以外でトナー面の高さの高低差が低減するように前記透明トナーが形成される画像形成装置において、
前記透明トナーによりトナー像を形成する画像形成部の前記廃トナー容器の容量が、前記有色トナーによりトナー像を形成する画像形成部の前記廃トナー容器の容量より大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
像担持体と、前記像担持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像をトナー像として現像する現像手段と、前記現像手段に対してトナーを補給するトナー補給容器と、前記像担持体の表面からトナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去されたトナーを貯留する廃トナー容器とを有する、複数の画像形成部を有し、前記複数の画像形成部は、少なくとも、透明トナーによりトナー像を形成する画像形成部と、有色トナーによりトナー像を形成する1つ以上の画像形成部を有し、前記有色トナーが形成される画像形成部と前記画像形成部以外でのトナー面の高さの高低差が低減するように前記透明トナーが形成される画像形成装置において、
前記透明トナー用の前記トナー補給容器の容量が、前記有色トナー用のトナー補給容器の容量よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成部の、少なくとも前記像担持体と前記クリーニング装置と廃トナー容器、もしくは、少なくとも前記像担持体と前記現像装置が、一体にされて画像形成装置本体に対して着脱自在なカートリッジとして構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−65123(P2008−65123A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243937(P2006−243937)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】