説明

画像形成装置

【課題】上方に十分なスペースがないところでも設置が可能であり、かつ、装置本体の上方に画像読取装置を設けて複合機化することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】カラー複合機1は、複数の感光ドラム41と、複数の感光ドラム41を有するプロセスカートリッジ40を配列して支持するとともに、本体ケース2から引き出し可能に構成された支持フレーム10と、支持フレーム10に設けられるとともに、各感光ドラム41に対向して配置され、当該感光ドラム41に静電潜像を形成する複数のLEDヘッド31と、支持フレーム10の下方に対向して配置されるとともに、各LEDヘッド31を制御する制御基板7と、各LEDヘッド31と制御基板7とを電気的に接続するケーブル8とを備えている。ケーブル8は、支持フレーム10の奥側に折り返し部8Aを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体に対向して配置される露光部材を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感光ドラム上に静電潜像を形成する光源としてLEDなどを使用し、感光ドラムの近傍に対向して配置される露光部材(LEDヘッドなど)を有する画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1に開示された画像形成装置では、LEDヘッド(印字ヘッド)が、装置本体の上方へ回動する排紙トレーに設けられ、感光ドラムの上方に対向して配置されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−160333号公報(図1,3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記したような画像形成装置は、感光ドラムを有するプロセスカートリッジを交換する際には、LEDヘッドが取り付けられた排紙トレーを上方へ回動することで、LEDヘッドを感光ドラムとの対向位置から退避させる必要があった。そのため、上方に十分なスペースがないところには設置しにくく、設置場所を制約するおそれがあった。さらに、装置本体の上方に画像読取装置を設けて複合機とすることが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、上方に十分なスペースがないところでも設置が可能であり、かつ、装置本体の上方に画像読取装置を設けて複合機化することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、複数の感光体と、複数の前記感光体を配列して支持するとともに、装置本体から引き出し可能に構成された支持部材と、前記支持部材に設けられるとともに、前記各感光体に対向して配置され、当該感光体に静電潜像を形成する複数の露光部材と、前記支持部材に対向して配置されるとともに、前記各露光部材を制御する制御基板と、前記各露光部材と前記制御基板とを電気的に接続する電線とを備え、前記電線は、前記支持部材の引き出し方向手前側とは反対側に折り返し部を有することを特徴とする。
【0007】
このように構成された画像形成装置によれば、露光部材が支持部材に設けられるとともに、露光部材と制御基板とを接続する電線が支持部材の引き出し方向手前側とは反対側に折り返し部を有するので、支持部材を引き出すときには折り返し部の位置が移動することで、支持部材を露光部材とともに引き出すことができる。これにより、露光部材を感光体との対向位置から上方へ退避させる必要がなくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置によれば、露光部材を感光体との対向位置から上方へ退避させる必要がなくなるので、上方に十分なスペースがないところでも設置ができ、かつ、装置本体の上方に画像読取装置を設けて複合機化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は画像形成装置の一例としてのカラー複合機の概略構成を示す断面図であり、図2は支持フレームを引き出した状態のカラー複合機を示す断面図である。また、図3は図1のLEDユニットおよびプロセスカートリッジの拡大図であり、図4は支持フレームからプロセスカートリッジを取り外した状態のLEDユニットを示す図であり、図5は支持フレーム、給紙ローラ、制御基板およびケーブルの正面図である。
【0010】
ここで、以下の説明において方向は、カラー複合機使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「手前側」、紙面に向かって右側を「奥側」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0011】
図1に示すように、カラー複合機1は、装置本体の筐体を構成する本体ケース2と、本体ケース2の上方に設けられたフラットベッドスキャナ3とを主に備えている。また、カラー複合機1は、本体ケース2内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部4と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部5と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙ローラ6と、各LEDヘッド31(露光部材)を制御する制御基板7と、各LEDヘッド31と制御基板7とを電気的に接続するケーブル8(電線)とを主に備えている。
【0012】
図2に示すように、本体ケース2の手前側には、開閉可能なカバーの一例としてのフロントカバー2Aが下方を支点として前後に回動可能に設けられている。また、本体ケース2の上部には、本体ケース2から排出された用紙Pが蓄積される排紙トレイ2Bが設けられている。また、本体ケース2内には、各プロセスカートリッジ40を着脱可能に支持する支持部材の一例としての支持フレーム10と、支持フレーム10を本体ケース2の手前側から引き出し可能に支持するとともに、本体ケース2に固定されて装置本体の一部を構成するサイドフレーム20とが設けられている。この支持フレーム10とサイドフレーム20の詳細な構成については後述する。
【0013】
フラットベッドスキャナ3は、公知の構成を有する画像読取装置であり、複写の際には、画像を有する原稿に光を照射して画像を読み取ることで画像データを生成する。
【0014】
給紙部4は、図1に示すように、本体ケース2内の下部に設けられ、本体ケース2に着脱可能に装着される給紙カセット71と、給紙カセット71の手前側上方の本体ケース2内に設けられた分離ローラ72および給紙ローラ73〜75と、支持フレーム10の手前側に設けられた第1搬送ローラ76と、第1搬送ローラ76に対向するとともに、フロントカバー2Aに設けられた第2搬送ローラ77とを主に備えている。給紙カセット71内の用紙Pは、分離ローラ72により一枚ずつ分離されて給紙ローラ73〜75で上方へ送られ、第1搬送ローラ76と第2搬送ローラ77の間を通って画像形成部5(中間転写ベルト51と2次転写ローラ53の間)に供給される。
【0015】
画像形成部5は、4つのLEDユニット30と、4つのプロセスカートリッジ40と、転写ユニット50と、定着ユニット60とから主に構成されている。
【0016】
LEDユニット30は、図3に示すように、露光部材の一例としてのLEDヘッド31と、フレーム部32と、アーム部33と、第1付勢部材の一例としてのトルクバネ34と、第2付勢部材の一例としてのコイルバネ35とを主に備え、LEDヘッド31が感光ドラム41の下方に対向して配置されている。
【0017】
LEDヘッド31は、感光ドラム41(感光体)と対向する面に、図示しない複数のLED(発光ダイオード)が左右方向に並んで配置されている。各LEDは、形成すべき画像のデータに基づいて、制御基板7より信号が入力されて発光し、感光ドラム41を露光する。
フレーム部32は、筒状に形成され、上端にLEDヘッド31が固定されている。
【0018】
アーム部33は、図4に示すように、支持フレーム10に設けられた支持アーム11の上端部に、回動軸11Aを介して前後方向に回動(揺動)可能に取り付けられている。回動軸11Aには、螺旋状に巻かれたトルクバネ34のコイル部34Aが巻きつけられており、コイル部34Aから延出する2つの延出端部34B,34Cは、それぞれ、アーム部33または支持アーム11に設けられた係止部33B,11Bに係合している。これにより、プロセスカートリッジ40の装着状態(図3参照)では、係止部33B,11Bより延出端部34B,34Cに力が加わるので、LEDユニット30には矢印Yの方向に付勢力が付与され、プロセスカートリッジ40が取り外されると(図4参照)LEDヘッド31が上方を向いた状態へ戻るようになっている。
【0019】
アーム部33の上端は、フレーム部32に挿入されており、フレーム部32がアーム部33に対して図4の上下方向にスライド可能となっている。このアーム部33と、フレーム部32に固定されたLEDヘッド31との間には、コイルバネ35が設けられている。
【0020】
プロセスカートリッジ40は、図1に示すように、給紙部4と排紙トレイ2Bとの間に配置され、支持フレーム10に前後方向(手前・奥側の方向)に並んで着脱可能に支持されている。このプロセスカートリッジ40は、図3に示すように、外枠を構成するカートリッジフレーム40A内に、感光体の一例としての感光ドラム41、スコロトロン型帯電器42、現像ローラ43、第1供給ローラ44、第2供給ローラ45、層厚規制ブレード46およびトナー収容部47などを主に備えている。なお、感光ドラム41の回転軸41Aと第2供給ローラ45の回転軸45Aは、カートリッジフレーム40Aの左右の側面から外側に突出している(図6参照)。
各プロセスカートリッジ40は、トナー収容部47に収容されるトナーの色が相違するのみであり、構成は同一である。
【0021】
転写ユニット50は、図1に示すように、各プロセスカートリッジ40と排紙トレイ2Bとの間に設けられ、中間転写ベルト51、4つの1次転写ローラ52、2次転写ローラ53、駆動ローラ54、従動ローラ55およびクリーニング部56を主に備えている。
【0022】
駆動ローラ54および従動ローラ55は、前後方向に離間して平行に配置され、その間にエンドレスベルトからなる中間転写ベルト51が張設されている。中間転写ベルト51の外周面の下側には各感光ドラム41が対向して接するとともに、手前側には2次転写ローラ53が対向して接している。
【0023】
各1次転写ローラ52は、中間転写ベルト51の内周面の下方に接し、各感光ドラム41との間に中間転写ベルト51を挟持するように各感光ドラム41に対向して配置されている。また、2次転写ローラ53は、中間転写ベルト51を挟持するように駆動ローラ54に対向して配置されている。なお、2次転写ローラ53はフロントカバー2Aに設けられている。1次転写ローラ52および2次転写ローラ53には、転写時に定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0024】
クリーニング部56は、中間転写ベルト51の奥側上方に配置され、中間転写ベルト51上に残留したトナーをクリーニングローラ57で除去し、このクリーニングローラ57の手前側に配置されたトナー貯留部58に除去したトナーを貯留するように構成されている。
【0025】
定着ユニット60は、中間転写ベルト51の手前側上方に設けられ、加熱ローラ61と、加熱ローラ61と対向配置され加熱ローラ61を押圧する加圧ローラ62とを主に備えている。
【0026】
このように構成される画像形成部5では、まず、各感光ドラム41の表面が、各スコロトロン型帯電器42により一様に帯電された後、各LEDユニット30のLEDヘッド31から照射されるLED光により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム41上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部47内のトナーが、第2供給ローラ45および第1供給ローラ44の回転により現像ローラ43に供給され、現像ローラ43の回転により現像ローラ43と層厚規制ブレード46との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ43上に担持される。
【0027】
現像ローラ43上に担持されたトナーは、現像ローラ43が感光ドラム41に対向して接触するときに、感光ドラム41上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム41上でトナーが選択的に担持されて静電潜像が可視像化され、トナー像が形成される。各感光ドラム41上に形成された各色のトナー像は、転写バイアスが印加された各1次転写ローラ52の作用により中間転写ベルト51上に順次重ね合わせて転写される。
【0028】
中間転写ベルト51に転写されたトナー像は、画像形成部5に供給された用紙Pが中間転写ベルト51と2次転写ローラ53の間を通過するときに、転写バイアスが印加された2次転写ローラ53の作用により用紙P上に転写される。トナー像が転写された用紙Pは、定着ユニット60に搬送されて、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を通過することでトナー像が熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、排紙ローラ6によって本体ケース2の外部に排出されて排紙トレイ2Bに蓄積される。
【0029】
制御基板7は、公知の手法により、形成すべき画像のデータに基づいて各LEDヘッド31の各LEDに信号を出力し、その発光を制御するものである。この制御基板7は、図1に示すように、給紙カセット71の上方であって、支持フレーム10の下方に対向して配置されている。また、制御基板7の手前側上面には、ケーブル8が接続される接続部の一例としての4つのコネクタ7Aが、感光ドラム41の配列方向(前後方向)に並んで設けられている。
【0030】
ケーブル8は、各LEDヘッド31と制御基板7とを電気的に接続するものである。このケーブル8は、一端が各LEDヘッド31に接続され(図示せず)、支持フレーム10の底面パネル10E(図3参照)から引き出されて、他端が制御基板7の各コネクタ7Aに接続されている。底面パネル10Eから引き出されたケーブル8は、支持フレーム10の下面に沿って奥側方向に延び、本体ケース2の奥側の折り返し部8Aで方向を奥側から手前側に変えて、制御基板7の上面に沿って手前側方向に延び、コネクタ7Aに接続される。
【0031】
また、図5に示すように、ケーブル8および制御基板7と給紙ローラ73とは、手前側から見て、給紙ローラ73の軸方向に互いにずれて配置されている。より詳細に説明すると、給紙ローラ73の駆動軸73Aは、本体ケース2の下部手前側の中央付近に配置された給紙ローラ73から左方向に延び、端部が図示しない駆動機構に接続されている。一方、ケーブル8および制御基板7は、給紙ローラ73(駆動軸73A)の右側に配置されている。すなわち、ケーブル8および制御基板7と駆動軸73Aとは、給紙ローラ73を挟んで両側(左右)に分けて配置される。
【0032】
次に、支持フレーム10とサイドフレーム20の詳細な構成について説明する。図6は支持フレームおよびプロセスカートリッジの斜視図であり、図7(a)および(b)並びに図8(a)および(b)はガイド溝の機能と支持フレームの動作を説明する図である。
【0033】
図6に示すように、支持フレーム10は、上方が開口した箱状の部材であり、前パネル10A、後パネル10B、右パネル10C、左パネル10Dおよび底面パネル10E(図3参照)から構成されている。
【0034】
前パネル10Aには、用紙Pを搬送する第1搬送ローラ76が設けられるとともに、外面に複数のリブ12が上下方向に沿って設けられている。この複数のリブ12は、前パネル10Aと用紙Pとの接触面積を減らすことで、搬送される用紙Pが前パネル10Aに貼りつくことを抑制する。
【0035】
右パネル10Cの上端には、感光ドラム41の回転軸41Aを着脱可能に受ける4つの受溝13と、外側(右側)に向かって略直角に折り曲げられた5つのフランジ14が設けられている。また、右パネル10Cの外面手前側には外側(右側)に向かって延びる突起15が設けられ、奥側端部には中央付近から奥側に向かって延びるローラ取付部16が設けられている。このローラ取付部16には、外側(右側)に向かって突出する長円柱形状のガイド17と、回転可能なガイドローラ18とが手前側からこの順に設けられている。
【0036】
さらに、右パネル10Cの内面には、第2供給ローラ45(図3参照)の回転軸45Aが挿入されてプロセスカートリッジ40の着脱をガイドする4つのカートリッジガイド溝19が設けられている。支持フレーム10に装着されたプロセスカートリッジ40は、回転軸45Aをカートリッジガイド溝19に沿わせることで、手前側の斜め上方(図4の矢印上方向)に向かって取り外される。
【0037】
左パネル10Dにも、前記した受溝13、フランジ14、突起15、ローラ取付部16、ガイド17、ガイドローラ18およびカートリッジガイド溝19が、右パネル10Cとは左右対称となるようにそれぞれ設けられている。
【0038】
底面パネル10Eには、前記したように、LEDユニット30が回動(揺動)可能に取り付けられる4つの支持アーム11が設けられている。この支持アーム11の左右の両端部は、右パネル10Cおよび左パネル10Dに固定されている。これにより、支持アーム11が補強部材となって支持フレーム10の強度を向上させている。
【0039】
図7(a)に示すように、サイドフレーム20は、本体ケース2内において、支持フレーム10の左右両側(右側は図示せず)に設けられている。このサイドフレーム20には、支持フレーム10の受溝13に支持された感光ドラム41の回転軸41Aをガイドするガイド溝21と、支持フレーム10のガイド17およびガイドローラ18をガイドするガイド溝22と、支持フレーム10の突起15をガイドするガイド溝23が形成されている。
【0040】
ガイド溝21は、前後方向に略水平に延びた第1案内部21Aと、第1案内部21Aの奥側端部および第1案内部21Aの適宜な3箇所の位置から奥側へ斜め上方に延びた4つの第2案内部21Bと、各第2案内部21Bの奥側端部から奥側へ略水平に延びた第3案内部21Cとから構成されている。
【0041】
ガイド溝22は、ガイド溝21と同様に、前後方向に略水平に延びた第1案内部22Aと、第1案内部22Aの奥側端部から奥側へ斜め上方に延びた第2案内部22Bと、第2案内部22Bの奥側端部から奥側へ略水平に延びた第3案内部22Cとから構成されている。なお、図7(b)に示すように、ガイド溝22(第1案内部22A)の手前側端部(図7の左側端部)は閉じられている。これによれば、ガイド17の手前側への移動を規制することができるので、支持フレーム10がサイドフレーム20(本体ケース2)から脱落することを防止できる。
【0042】
ガイド溝23は、サイドフレーム20の前端から奥側へ斜め上方に延びた案内部23Aと、案内部23Aの奥側端部から奥側へ略水平に延びた固定部23Bとから構成されている。
【0043】
以上のように構成されたカラー複合機1の作用(動作)について説明する。
まず、プロセスカートリッジ40を支持フレーム10に装着するときの動作について説明する。図4に示す矢印下方向に、プロセスカートリッジ40の第2供給ローラ45の回転軸45Aを、支持フレーム10のカートリッジガイド溝19に挿入していくと、LEDユニット30の上端がカートリッジフレーム40Aに設けられた露光孔40Bに嵌入されて、LEDユニット30が奥側へ回動していく。フレーム部32の上端がカートリッジフレーム40Aに設けられた位置決め部40Cに当接した後は、アーム部33がフレーム部32内に挿入されていくので、コイルバネ35が押し縮められていく。
【0044】
図3に示すように、回転軸45Aがカートリッジガイド溝19に完全に挿入されると、回転軸41Aが受溝13に受けられ、板バネからなる抜け止め部材13Aに係合する(図4の破線参照)。このとき、アーム部33は、フレーム部32内にほぼ完全に挿入され、コイルバネ35は完全に押し縮められる。これにより、LEDヘッド31には、感光ドラム41の径方向(矢印Xの方向)に付勢力が付与され、フレーム部32と位置決め部40Cとが確実に当接することになるので、LEDヘッド31を位置決めすることができる。
【0045】
次に、支持フレーム10をサイドフレーム20(本体ケース2)に装着するときの動作について説明する。図7(a)に示すように、支持フレーム10を、奥側に押し込んでいくと、ガイド17およびガイドローラ18が、ガイド溝22の第1案内部22Aに沿って手前側から奥側へガイドされる。このとき、各感光ドラム41の回転軸41Aは、奥側に位置するものから順次、ガイド溝21に挿入され、第1案内部21Aに沿って手前側から奥側へガイドされる。
【0046】
図7(b)に示す、最も奥側の感光ドラム41の回転軸41Aが第1案内部21Aの奥側端部に当接し、ガイドローラ18が第1案内部22Aの奥側端部に当接した状態において、支持フレーム10を奥側にさらに押し込むと、図8(a)に示すように、ガイドローラ18および各回転軸41Aが第2案内部21B,22Bに沿って奥側の斜め上方にガイドされる。このとき、ガイド溝23に挿入された突起15は、案内部23Aに沿って奥側の斜め上方にガイドされる。
【0047】
そして、支持フレーム10を奥側にさらに押し込むことで、図8(b)に示すように、各回転軸41Aが、第3案内部21Cの奥側端部に達し、板バネからなる位置決め部材21Dと係合して、サイドフレーム20に対して位置決めされる。このとき、各感光ドラム41の上部と各1次転写ローラ52の下部とは、中間転写ベルト51を挟んで対向した状態となる。また、ガイドローラ18および突起15は、それぞれ、第3案内部22Cまたは固定部23Bの奥側端部に達し、板バネからなる抜け止め部材22Dまたは23Dと係合してサイドフレーム20に対して位置決めされる。
【0048】
このようにして、各感光ドラム41を本体ケース2に対して、また、各感光ドラム41を各1次転写ローラ52に対して、さらに、支持フレーム10をサイドフレーム20(本体ケース2)に対して、それぞれ位置決めすることができる。また、各感光ドラム41が前後方向に移動している間の大部分は、各感光ドラム41と中間転写ベルト51とが互いに離間した状態となっているので、各感光ドラム41や中間転写ベルト51の表面の損傷を抑制することができる。
【0049】
次に、支持フレーム10着脱時のケーブル8の動作について説明する。図1に示すように、支持フレーム10が本体ケース2に完全に装着された状態では、ケーブル8の折り返し部8Aは、本体ケース2の奥側、支持フレーム10の後パネル10B(図6参照)よりもさらに奥側に位置している。そして、図2に示すように、フロントカバー2Aを開き、支持フレーム10を手前側に引き出していくと、ケーブル8の支持フレーム10(底面パネル10E)から引き出された部分が手前側へ移動するので、これに引かれるように、折り返し部8Aより上方にあるケーブルも手前側へ移動していく。これにより、ケーブル8の折り曲げ箇所が奥側から手前側へ変わり、折り返し部8Aの位置が奥側から手前側へ相対的に移動するので、ケーブル8が絡まることなく、支持フレーム10をスムーズに引き出すことができる。
【0050】
また、支持フレーム10を奥側に押し込むときには、ケーブル8の支持フレーム10から引き出された部分が奥側へ移動するので、これに押されるように、折り返し部8Aより上方にあるケーブルも奥側へ移動していく。これにより、ケーブル8の折り曲げ箇所が手前側から奥側へ変わり、折り返し部8Aの位置が手前側から奥側へ相対的に移動するので、ケーブル8が絡まることなく、支持フレーム10をスムーズに装着することができる。
【0051】
なお、図5に示したように、ケーブル8と給紙ローラ73とを、手前側から見て駆動軸73Aの延びる方向(左右方向)に互いにずらして配置したので、ケーブル8は、給紙ローラ73に干渉されることなく、前後方向に移動することが可能となっている。
【0052】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
LEDヘッド31を支持フレーム10に設け、折り返し部8Aを有するケーブル8でLEDヘッド31と制御基板7とを接続したので、支持フレーム10をLEDヘッド31とともに引き出すことができる。これにより、支持フレーム10を引き出す際に、LEDヘッド31(LEDユニット30)を感光ドラム41との対向位置から上方へ退避させる必要がなくなるので、カラー複合機1は、上方に十分なスペースがないところでも設置することができる。さらに、本体ケース2の上方にフラットベッドスキャナ3を設けることができ、本体ケース2の上方のスペースを有効に利用することも可能となる。
【0053】
本体ケース2の奥側にケーブル8の折り返し部8Aがあるので、支持フレーム10を引き出すのに伴って折り返し部8Aの位置が手前へ相対的に移動するため、ケーブル8が絡まることなく支持フレーム10を本体ケース2からスムーズに引き出すことができる。また、支持フレーム10を押し込むのに伴って折り返し部8Aの位置が奥へ相対的に移動するため、ケーブル8が絡まることなく支持フレーム10を本体ケース2にスムーズに装着することができる。
【0054】
支持フレーム10を手前側(感光ドラム41の配列方向)に引き出し可能としたので、支持フレーム10を容易に移動させることができ、プロセスカートリッジ40を容易に交換することができる。また、感光ドラム41の回転軸41Aを支持フレーム10の左右のパネルから突出させて、各感光ドラム41を本体ケース2(サイドフレーム20)に対して正確に位置決めすることが可能となる。これにより、各感光ドラム41と中間転写ベルト51との当接のバランスを略一定に保つことができ、結果として画像品質を良好に保つことができる。
【0055】
制御基板7を、支持フレーム10の下方に設けたので、給紙カセット71と支持フレーム10との間のスペース(本体ケース2内のスペース)を有効に利用することができる。また、支持フレーム10の左右(の少なくとも一方)に設けられるプロセスカートリッジ40の図示しない駆動機構と、制御基板7との干渉を防止することができる。さらに、感光ドラム41の回転軸41Aを支持フレーム10の左右のパネルから突出させて、感光ドラム41を本体ケース2に対して位置決めすることが可能となるので、感光ドラム41と中間転写ベルト51との当接のバランスを略一定に保ち、画像品質を良好に保つことができる。
【0056】
制御基板7の手前側にコネクタ7Aを設けたので、本体ケース2の奥側に折り返し部8Aを有するケーブル8の長さを十分に確保することができる。これにより、支持フレーム10の引き出し距離を長くすることができるので、最も奥側に配置されるプロセスカートリッジ40も容易に交換することが可能となる。
【0057】
制御基板7およびケーブル8と給紙ローラ73とが、左右方向に並んで配置されているので、制御基板および電線を給紙ローラの上方や下方に配置した場合と比較して、本体ケース2の上下方向の寸法を小さくすることができる。これにより、カラー複合機1を上下方向に薄くすることができるので、上方に十分なスペースがないところでも設置することができる。
【0058】
感光ドラム41の下方にLEDヘッド31を配置し、プロセスカートリッジ40を上方に着脱可能に構成したので、LEDヘッド31を退避させることなく、容易にプロセスカートリッジ40の交換を行うことができる。
【0059】
LEDユニット30を支持フレーム10に対して回動(揺動)可能としたので、各露光部材を奥側の斜め上方に向けて固定した場合と比較して、各プロセスカートリッジ40の間隔を狭くすることが可能となるから、支持フレーム10を小型化でき、その結果としてカラー複合機1を小型化することができる。
【0060】
また、LEDユニット30が回動(揺動)するので、プロセスカートリッジ40を支持フレーム10の手前側の斜め上方に向かって着脱することが可能となり、プロセスカートリッジ40を支持フレーム10に対して着脱しやすくなっている。さらに、トルクバネ34の作用により、プロセスカートリッジ40を取り外した状態では、LEDヘッド31が上方を向くので、LEDユニット30と露光孔40Bの位置合わせが容易となり、プロセスカートリッジ40を装着しやすくなっている。
【0061】
各感光ドラム41の上方に中間転写ベルト51を設けたので、用紙Pの経路を簡略化することができるとともに、各感光体を上下方向に配列した場合と比較して、本体ケース2を上下方向に小型化でき、その結果としてカラー複合機1を小型化することができる。また、中間転写ベルト51の手前側に2次転写ローラ53設けたので、用紙Pが転写位置で詰まった際の処理を手前側から行うことができる。特に2次転写ローラ53をフロントカバー2Aに設けたので、フロントカバー2Aを開けることで詰まった用紙Pの処理を容易に行うことができる。
【0062】
支持フレーム10(前パネル10A)に第1搬送ローラ76を直接設けたので、本体ケース2を前後方向に小型化でき、その結果としてカラー複合機1を小型化することができる。また、第1搬送ローラ76に対向する第2搬送ローラ77をフロントカバー2Aに設けたので、フロントカバー2Aを開けることで詰まった用紙Pの処理を容易に行うことができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0064】
前記した実施形態では、画像形成装置の一例としてカラー複合機1を例示したが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、カラー複写機や画像読取装置(フラットベッドスキャナ)を備えないカラーLEDプリンタなどにも適用することができる。
【0065】
前記した実施形態では、4つのLEDヘッド31と制御基板7とが、それぞれケーブル8で電気的に接続された構成を示したが、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、支持フレーム10(底面パネル10E)の奥側下部に支持フレーム側基板70を設け、この支持フレーム側基板70と制御基板7とを1組のケーブル8で電気的に接続し、支持フレーム側基板70に接続された支持フレーム側ケーブル80が、各LEDヘッド31と接続される構成としてもよい。なお、本発明の制御基板は、露光部材のすべての制御を実行するものでなくてもよく、前記したように制御の一部を別の基板(例えば、支持フレーム側基板70など)が実行するようにしてもよい。
【0066】
なお、図1に示すケーブル8や、図9に示す支持フレーム側ケーブル80は、底面パネル10Eから支持フレーム10内に入っているが、これに限定されるものではない。例えば、後パネル10Bの下部から支持フレーム10内に入り、底面パネル10Eの上面や左右のパネルの内面を通って、各LEDヘッド31に接続される構成であってもよい。
【0067】
前記した実施形態では、プロセスカートリッジ40は、感光ドラム41、現像ローラ43およびトナー収容部47を有する1つのカートリッジとして構成した例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、感光ドラム(感光体)を有するカートリッジと、現像ローラおよびトナー収容部を有するカートリッジとに分離可能に構成してもよい。また、感光ドラム(感光体)を有するカートリッジと、現像ローラを有するカートリッジと、トナー収容部を有するカートリッジ(トナーカートリッジ)とに分離可能に構成してもよい。
【0068】
前記した実施形態では、露光部材の一例として、LEDを発光素子として使用したLEDヘッド31を例示したが、これに限定されるものではない。すなわち、発光素子は多数配列され画像データに基づいて選択的に発光できるものであればLEDに限定されず、例えば、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子や蛍光体などであってもよい。また、単数または複数の発光素子(光源)からの光を制御する光シャッタ(例えば、液晶素子、PLZT素子など)を多数配列し、光シャッタの開閉時間を画像データに基づいて選択的に制御する露光部材を使用することもできる。
【0069】
前記した実施形態では、制御基板7を支持フレーム10の下方に対向して配置した例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、制御基板を支持部材の側方や上方に対向して配置してもよい。このとき、制御基板は、支持部材の側方の一方側にのみ配置してもよいし、支持部材の両側に分けて配置してもよい。
【0070】
前記した実施形態では、支持フレーム10が本体ケース2の手前側から前後方向(感光ドラム41の配列方向)に引き出される構成を示したが、これに限定されず、支持フレーム(支持部材)が本体ケース(装置本体)の側面から引き出される構成であればよい。例えば、支持部材が装置本体の右側面または左側面から左右方向(感光体の配列方向に直交する方向)に引き出される構成としてもよい。
【0071】
前記した実施形態では、感光体の一例として感光ドラム41、第1付勢部材の一例としてトルクバネ34、第2付勢部材の一例としてコイルバネ35などを採用した例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で材料や構造などは適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】画像形成装置の一例としてのカラー複合機の概略構成を示す断面図である。
【図2】支持フレームを引き出した状態のカラー複合機を示す断面図である。
【図3】図1のLEDユニットおよびプロセスカートリッジの拡大図である。
【図4】支持フレームからプロセスカートリッジを取り外した状態のLEDユニットを示す図である。
【図5】支持フレーム、給紙ローラ、制御基板およびケーブルの正面図である。
【図6】支持フレームおよびプロセスカートリッジの斜視図である。
【図7】(a)および(b)はガイド溝の機能と支持フレームの動作を説明する図である。
【図8】(a)および(b)はガイド溝の機能と支持フレームの動作を説明する図である。
【図9】他の実施形態に係るカラー複合機の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 カラー複合機
2 本体ケース
2A フロントカバー
7 制御基板
7A コネクタ
8 ケーブル
8A 折り返し部
10 支持フレーム
20 サイドフレーム
21 ガイド溝
21A 第1案内部
21B 第2案内部
21C 第3案内部
22 ガイド溝
22A 第1案内部
22B 第2案内部
22C 第3案内部
31 LEDヘッド
34 トルクバネ
35 コイルバネ
41 感光ドラム
51 中間転写ベルト
53 2次転写ローラ
73 給紙ローラ
73A 駆動軸
76 第1搬送ローラ
77 第2搬送ローラ
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光体と、
複数の前記感光体を配列して支持するとともに、装置本体から引き出し可能に構成された支持部材と、
前記支持部材に設けられるとともに、前記各感光体に対向して配置され、当該感光体に静電潜像を形成する複数の露光部材と、
前記支持部材に対向して配置されるとともに、前記各露光部材を制御する制御基板と、
前記各露光部材と前記制御基板とを電気的に接続する電線とを備え、
前記電線は、前記支持部材の引き出し方向手前側とは反対側に折り返し部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記装置本体から複数の前記感光体の配列方向に引き出し可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御基板は、前記支持部材の下方に対向して配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御基板は、前記支持部材の引き出し方向手前側に前記電線との接続部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記支持部材の引き出し方向手前側の下方に設けられた給紙ローラを備え、
前記給紙ローラと前記電線とは、前記支持部材の引き出し方向手前側から見て、前記給紙ローラの軸方向に互いにずれて配置されたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記露光部材は、前記感光体の下方に対向して配置され、
前記感光体は、前記支持部材から上方に着脱可能に構成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記露光部材は、前記支持部材に対して揺動可能に設けられたことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記露光部材を上方に向けるように付勢する第1付勢部材を有し、
前記感光体は、前記支持部材の引き出し方向手前側の斜め上方に向かって着脱可能に構成されたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記装置本体は、前記支持部材を引き出し可能にガイドするガイド溝を有し、
前記ガイド溝は、水平方向に延びた第1案内部と、前記支持部材の引き出し方向奥側における前記第1案内部の端部から引き出し方向奥側の斜め上方に延びた第2案内部と、引き出し方向奥側における前記第2案内部の端部から引き出し方向奥側に水平に延びた第3案内部とを含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
複数の前記感光体の上方には、前記各感光体に対向する中間転写ベルトが設けられたことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記中間転写ベルトに対する前記支持部材の引き出し方向手前側には、前記中間転写ベルトに対向する2次転写ローラが設けられたことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記装置本体における前記支持部材の引き出し方向手前側には、開閉可能なカバーが設けられ、
前記2次転写ローラは、前記カバーに設けられたことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記支持部材には、記録シートを搬送する少なくとも1つの第1搬送ローラが設けられたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記装置本体における前記支持部材の引き出し方向手前側には、開閉可能なカバーが設けられ、
前記開閉カバーには、前記第1搬送ローラに対向する第2搬送ローラが設けられたことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記露光部材を前記感光体に向けて付勢する第2付勢部材を有することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−157135(P2009−157135A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335627(P2007−335627)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】