説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、再利用紙に対する二重印刷による無駄な印刷動作を防止するとともに、無駄な用紙搬送動作を低減する。
【解決手段】印刷設定に基づいて、給紙段17又は18から画像形成部19に搬送される用紙の表裏それぞれに画像が印刷済みか否かを画像センサ20,21により検知する。両面印刷時は片面が印刷済みの場合、片面印刷時は両面が印刷済みの場合は、印刷不可能な無効用紙と判断し、印刷せずに排紙する。また、その旨を表示するとともに、印刷条件を満たす用紙がセットされている給紙段に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片面に既に画像が印刷されている用紙を再利用してその白紙面に印刷を行う場合に適した画像形成装置に関し、さらに詳しくは、給紙段に再利用紙の表裏を誤ってセットした場合でも、印刷済みの面に重ねて印刷してしまうことを防止することのできる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の世の中の流れとして、省エネルギーや、リサイクル等の環境に関する意識が高まってきており、市場に出回るあらゆる商品に対して、環境にやさしいものが求められている。複写機、プリンタ等の画像形成装置においても、消費電力低減、部品の再利用等、環境を考慮した商品設計、使用方法が実施されている。また、印刷用紙においても片面印刷された用紙を再利用し、その反対面に印刷する等して、資源を有効利用している。
【0003】
ところで、そのような再利用紙(裏紙)を給紙段(給紙トレイ)にセットする際、表裏を誤ってセットした状態で印刷を行ってしまうことも有り得る。すると、印刷済みの面に画像が上書き(二重印刷)されて出力されることになる。しかも、給紙段にセットされた再利用紙の全てが誤セットされていると、その給紙段からの印刷は全て無駄な印刷動作になってしまう。
【0004】
そこで、このような問題を解決するため、給紙段から画像形成部へ搬送されている用紙上に既に画像が印刷されているか否かを検知し、画像が印刷されていない場合は、画像形成部へ搬送して印刷を行った後に排紙トレイに排紙し、画像が印刷されていた場合は、画像形成部へ搬送せずに裏紙用の排紙トレイに排紙するようにした多重記録防止装置が提案された(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この多重記録防止装置では、印刷動作の無駄は防止できるものの、再利用紙を裏紙用の排紙トレイに搬送する動作の無駄を防止することはできない。特に、給紙段にセットされた再利用紙の全てが誤セットされていた状態で、ユーザが多くのページ或いは部数の印刷を指示した場合にこの無駄が多くなる。
【0006】
また、給紙段にセットされた再利用紙の表裏の正誤が混在している状態で、多くのページ或いは部数の連続印刷を指定した場合には、印刷できたページと印刷できなかったページとが混在するため、印刷できなかったページを識別し、再度印刷を行うために手間がかかる。
【0007】
【特許文献1】特開2000−305323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、その目的は、画像形成装置において、再利用紙に対する二重印刷による無駄な印刷動作を防止するとともに、無駄な用紙搬送動作を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、画像を印刷するための用紙がセットされる複数の給紙段と、それらの給紙段から搬送されてきた用紙に画像を印刷する画像形成部と、一の給紙段から前記画像形成部に搬送される用紙の画像形成面における印刷の有無を検知する手段とを有し、印刷の有ることが検知されたとき、他の給紙段への切り替えを可能とした画像形成装置である。
請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、印刷の有ることが検知されたとき、ユーザに給紙段の切り替えを行うか否かの入力を促す手段と、ユーザによる切り替え指示の入力に応じて給紙段の切り替えを行う手段とを有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記画像形成部から送出された用紙の表裏を反転して前記画像形成部に再給紙するための反転経路を有する両面ユニットと、片面印刷が設定されている場合に、前記搬送される用紙の画像形成面のみに印刷の有ることが検知されたときは、給紙段の切り替えを行わず、用紙を前記両面ユニットにより前記画像形成部に供給させる制御手段とを有することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記検知する手段は、前記一の給紙段から前記画像形成部に至る用紙搬送路に対向して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置において、再利用紙に対する二重印刷による無駄な印刷動作を防止することができ、かつ無駄な用紙搬送動作を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態の画像形成装置の全体構成図であり、図2はその両面ユニットの詳細図である。
【0012】
図1に示されているように、画像形成装置の本体1には、印刷用紙がセットされる給紙段17,18と、給紙段17,18から搬送されてくる用紙に画像を印刷する画像形成部19と、その用紙搬送路の両側で用紙上の画像の有無を検知する画像センサ20,21と、印刷された用紙が排出される排紙トレイ16とが備えられており、画像センサ20,21の検知結果により、用紙の搬送手順、または、用紙を給紙する給紙段の切り替え等を実施し、無駄な給紙動作を防いだ印刷動作を実現する。
【0013】
図2に示されているように、両面ユニット2は、本体1から用紙が給紙される際の入口に当たる入り口孔3と、その入口部において、用紙を検知するための用紙センサ4,5と、用紙が通る経路6と、用紙を反転させるための反転ローラ7と、そのとき用紙が通る反転経路8と、再度本体1に戻るまで、用紙が通る再給紙路9と、再給紙路9内の用紙を搬送する搬送ローラ10と、両面出口ローラ11と、入り口部同様、出口においても、用紙を検知するための用紙センサ12,13と、本体1内に用紙が戻るときの出口となる再給紙口14を有する。
【0014】
ここで、再給紙口14から本体1内に送出された用紙はレジストローラ22の入口側に搬送されるように構成されている。また、画像センサ20,21は、給紙段17,18から送出される用紙の搬送路が合流する位置に配置されているローラ23の出口(搬送方向下流)側に配置されている。さらに、排紙トレイ16は、設定通りに印刷された用紙と印刷されなかった用紙とを区別するために、用紙の幅方向に移動可能に構成されており、それらの二種類の用紙を排紙トレイ16上で幅方向にずらして載せることにより、二種類の用紙を簡単に分別できるようにした。また、オプション等で多段の排紙トレイを設けた場合は、それらの排紙トレイの一つを印刷されなかった用紙を排出する排紙トレイに設定してもよい。
【0015】
図3は本発明の実施形態の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。画像形成装置31は、操作パネル32と、コントローラ33と、エンジン34と、画像センサ20,21等を備えている。
【0016】
操作パネル32は、ボタンやタッチパネル、機器状態表示のためのインジケータ(LEDやLCD等の表示器)、スピーカ等、ユーザとのマンマシンインターフェースである。
【0017】
エンジン34は、コントローラ33からの画像データ及び制御信号により、レーザビームを走査して感光体上に静電潜像を形成し、現像し、また給紙段より用紙を給紙し、転写及び定着し、画像を形成する。
【0018】
コントローラ33は、ホスト50からの印刷データに基づいてエンジン34を制御する制御機構であり、バス36と、それぞれがバス36に接続されたCPU(Central Processing Unit)37、ROM(Read Only Memory)38、RAM(Random Access Memory)39、パネルI/F(インタフェース)40、ホストI/F41、エンジンI/F42、及びI/O制御部43を備えている。
【0019】
CPU37は、ROM38に格納されているプログラムに従って、ホスト50からの印刷データを処理する。ROM38には、各種プログラムや印字に用いるフォントなどが格納されている。RAM39は、CPU37が処理を行う時のワークメモリ、ホスト50からの印刷データを一時記憶するバッファ、バッファに記憶された印刷データから変換された画像データを記憶するビットマップメモリ等に使用される。パネルI/F40は、画像形成装置31の状態、モード、フォントの切替えなどを行うための信号のインタフェースである。ホストI/F41は、ホスト50から画像形成装置31への印刷データ、及び画像形成装置31からホスト50への応答信号などのインタフェースである。エンジンI/F42は、コントローラ33からエンジン34への画像データ及び制御信号、並びにエンジン34からコントローラ33へのステータス信号のインタフェースである。I/O制御部43は画像センサ20,21等のセンサとのインタフェースである。
【0020】
以上の構成を有する画像形成装置において、ユーザがホスト50を操作し、あるアプリケーションで作成した画像データを画像形成装置31で印刷するため、ホスト50のディスプレイ画面上で各種印刷設定を行った後に印刷指示を行うと、印刷データが画像形成装置31のコントローラ33に送られる。コントローラ33は、印刷データを解析し、その結果に基づいて、エンジン34を制御することにより、設定された印刷を行う。以下、図4のフローチャートを参照しながら、印刷動作について説明する。
【0021】
印刷設定に基づいて、給紙段17又は18から画像形成部19に向けて用紙の搬送が始まる。用紙はその先端が、停止中のレジストローラ22に到達すると、一旦停止する。この停止以前に、画像センサ20,21の出力信号に基づいて、用紙が無効用紙であるか否かを判別する(ステップS1)。
【0022】
ここで、両面印刷が設定されている場合は、用紙の表裏の少なくとも一方に画像が印刷されているだけで適正な両面印刷ができないため、無効用紙となる。また、片面印刷の場合は、片面が白紙であれば印刷ができるため、両面に印刷されている場合のみ無効用紙となる。
【0023】
無効用紙でない(有効用紙である)場合は(ステップS1:NO)、その用紙の先端と画像形成部19の感光体上のトナー像との位置関係が一致するタイミングでレジストローラ22の回転を開始させ、用紙を画像形成部19に向けて搬送し、画像を印刷する。ただし、片面印刷が設定されており、かつ用紙の画像形成面(画像形成部19でトナー像が転写される面)のみが印刷済みの場合、即ち画像センサ20が画像を検知し、画像センサ21が画像を検知していない場合は、画像形成部19を動作させない状態で通紙し、両面ユニット2内を通して表裏を反転した後に画像形成部19に供給してから印刷する。
【0024】
画像が印刷された用紙に対する処理は、両面印刷か片面印刷かによって相違する。両面印刷の場合は、表面の印刷が終了した状態であるから、次に裏面を印刷するため、両面ユニット2内を通して表裏を反転し、画像形成部19に供給する。そして、裏面の画像を印刷した後に排紙トレイ16に排紙する。片面印刷の場合は、そのまま排紙トレイ16に排紙する。
【0025】
無効用紙であった場合は(ステップS1:YES)、画像を印刷せずに排紙トレイ16に排紙する。このとき、前述したとおり、排紙トレイ16を用紙の幅方向に移動させ、印刷した用紙に対し、排紙トレイ16上で幅方向にずれた位置に排紙する。無効用紙用の排紙トレイを設定した場合は、そこに排紙する。
【0026】
また、操作パネル32及びホスト50のディスプレイ画面に、印刷を行わずに排紙したこと、及び排紙先のトレイ(無効用紙用の排紙トレイを設定した場合)を表示する(ステップS2)。
【0027】
次いで、他の給紙段に切り替え可能か否か、即ち印刷条件(用紙サイズ、両面/片面等)を満たす用紙が他の給紙段にセットされているか否かを判定する(ステップS3)。そして、セットされていると判定した場合は(S3:YES)、その給紙段に切り替え(ステップS4)、セットされていないと判定した場合は(S3:NO)、印刷条件に合う用紙を給紙段にセットするように警告するメッセージを操作パネル32及びホスト50のディスプレイ画面に表示する。これにより、次回使用時には問題なく使用できる状態にユーザが事前に改善しておくことができる。
【0028】
ここで、ステップS3の判定は例えば以下のように行う。印刷条件で設定された用紙サイズの用紙が他の給紙段にセットされている場合は、切り替え可能と判断する。ただし、この場合、両面印刷設定時は、両面白紙の用紙が他の給紙段にセットされている場合のみ、その用紙に対するステップS1の処理で無効用紙でないと判定されるが、両面白紙でない場合は再び無効用紙と判定される。一方、片面印刷設定時は、片面白紙の用紙が他の給紙段にセットされていれば、その用紙に対するステップS1の処理で無効用紙でないと判断される。
【0029】
なお、給紙段の内部底面や上方に画像センサを設けておけば、セットされている用紙に画像が印刷されているか否かを検出することができるので、用紙サイズだけでなく両面/片面も考慮して、印刷条件で設定された用紙が他の給紙段にセットされているか否かを判定することができる。この場合は、条件を満たすと判定された給紙段に切り替えれば、その用紙に対するステップS1の処理で無効用紙と判定されることはない。
【0030】
また、装置が他の給紙段にセットされている用紙を識別して判定するのではなく、操作パネル32又はホスト50のディスプレイ画面上に、ユーザに対し、給紙段の変更を促すメッセージを表示し、ユーザが給紙段を変更する指示を入力した場合に、切り替え可能と判定するように構成してもよい。
【0031】
このように、本実施形態の画像形成装置は下記(1)〜(11)の効果を有する。
(1)用紙がレジストローラで停止する以前(印刷前)に、その用紙が無効用紙であることを検知した場合、印刷を行わずに排紙し、印刷条件に合う用紙がセットされている給紙段に切り替えた後に印刷を行うので、無駄な印刷を防ぐことができる。また、複数枚の無効用紙の排紙の繰り返しによる無駄な給紙動作を防ぐことができる。
(2)給紙段から画像形成部へ搬送される用紙の印刷の有無を検知する画像センサを用紙搬送経路の両側に備えているので、用紙両面の印刷の有無を検知することができる。
(3)片面印刷時に用紙の片面に印刷が検知されても、それが画像形成面でなければ、そのまま印刷を行うので、用紙を再利用し、資源を有効利用することができる。
(4)片面印刷時に用紙の画像形成面に印刷が検知されても、その反対側の面で印刷が検知されなければ、両面ユニットにて用紙の表裏を反転した後、印刷が検知されなかった面に印刷するので、片面印刷済みの用紙を再利用して資源を有効利用することができる。
(5)用紙の両面に印刷が検知された場合は、そのまま排紙先に出力するので、無駄な印刷を行うことなく資源を節約することができる。
(6)給紙段から供給される用紙の片面に印刷が検知された場合、通紙前にレジスト位置にて一旦止めて、給紙段の切り替えを行うか否かの判断を促すので、無駄な印刷動作を防ぎ、最適な印刷動作を行うことができる。
(7)給紙段の切り替えを行うか否かの判断を操作パネルから設定する機能を有しているので、ユーザが容易に設定することができる。
(8)給紙段の切り替えを行うか否かの判断をその画像形成装置とネットワークで接続されるホストから設定可能としたので、ユーザが印刷条件を設定するのと同様に容易に行うことができる。
(9)設定された給紙段で無効用紙が検知され、他の給紙段にも有効用紙がセットされていない場合、印刷動作を中止するので、無駄な給紙動作を防ぐことができる。
(10)有効用紙がセットされている給紙段が無く、印刷動作を中止した場合、ユーザにその情報を知らせるので、全ての給紙段にセットされている用紙全てが無効用紙であるか否か事前に確認し、次回使用時は問題なく印刷動作できる状態に改善することができる。
(11)無効用紙の排紙先を有効用紙の排紙先とは別にしたので、印刷された用紙の中に印刷されなかった用紙が混入しなくなるため、それらを容易に分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態の画像形成装置における両面ユニットの詳細図である。
【図3】本発明の実施形態の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態の画像形成装置の印刷動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
2・・・両面ユニット、17,18・・・給紙段、19・・・画像形成部、20,21・・・画像センサ、32・・・操作パネル、33・・・コントローラ、50・・・ホスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を印刷するための用紙がセットされる複数の給紙段と、それらの給紙段から搬送されてきた用紙に画像を印刷する画像形成部と、一の給紙段から前記画像形成部に搬送される用紙の画像形成面における印刷の有無を検知する手段とを有し、印刷の有ることが検知されたとき、他の給紙段への切り替えを可能とした画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
印刷の有ることが検知されたとき、ユーザに給紙段の切り替えを行うか否かの入力を促す手段と、ユーザによる切り替え指示の入力に応じて給紙段の切り替えを行う手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記画像形成部から送出された用紙の表裏を反転して前記画像形成部に再給紙するための反転経路を有する両面ユニットと、片面印刷が設定されている場合に、前記搬送される用紙の画像形成面のみに印刷の有ることが検知されたときは、給紙段の切り替えを行わず、用紙を前記両面ユニットにより前記画像形成部に供給させる制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記検知する手段は、前記一の給紙段から前記画像形成部に至る用紙搬送路に対向して配置されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−169105(P2009−169105A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7143(P2008−7143)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】