説明

画像形成装置

【課題】印刷してから所定時間を経過している記録用紙の印刷面のみを黒塗りすることで、情報漏洩を防止でき、さらに記録用紙及びトナーを節約できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】上書処理制御部91は、記録用紙に印刷時の時刻を印刷し排紙トレイ(47)に排紙後、所定のタイミングで、排紙トレイ(47)上の記録用紙を再給紙し、当該記録用紙上に印刷された印刷時の時刻(記録用紙の印刷時刻)から所定時間以上経過しているか否かを判定し、経過している場合は、前記記録用紙の印刷面に所定の画像パターンを上書印刷して所定のトレイ、例えば、仕分けトレイ(77)に収容し、経過していない場合は、排紙トレイ(47)に再排紙する処理を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、印刷された記録用紙の情報漏洩を防止する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置により情報を印刷し、当該情報が印刷された記録用紙を、同装置の排紙トレイ上に長時間放置すると、第三者に情報が漏洩する危険性が増す。
そこで、印刷された記録用紙が、所定時間以上、排紙トレイに放置された場合、当該トレイから、印刷された記録用紙を画像形成装置に再給紙して、当該記録用紙の印刷面を黒塗りすることで、該記録用紙の印刷面を読めないようにして、情報漏洩を防止した画像形成装置が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−284081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示の画像形成装置では、時間間隔を置いて印刷した場合、最初の印刷から所定時間が経過すると、最初の印刷から時間間隔を置いて印刷された記録用紙、すなわち、印刷してから所定時間が経過していない記録用紙も、一律に、画像形成装置に再給紙され、印刷してから所定時間が経過していない、本来、黒塗りする必要のない記録用紙の印刷面も黒塗りされてしまう。
【0004】
また、本来、黒塗りする必要のない印刷用紙までも黒塗りしてしまうため、印刷した記録用紙及びトナーが無駄になる。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、印刷してから所定時間を経過している記録用紙の印刷面のみを黒塗りすることで、情報漏洩を防止でき、さらに記録用紙及びトナーを節約できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の技術手段は、入力された画像データに基づき記録用紙上に画像を印刷し、当該記録用紙を排紙トレイに排紙する画像形成装置において、前記記録用紙に前記印刷時の時刻を印刷し、所定のタイミングで、前記排紙トレイ上の記録用紙を再給紙し、当該記録用紙に印刷された前記印刷時の時刻を読み取り、読み取った時刻から所定時間以上経過しているか否かを判定し、経過している場合は、前記記録用紙の印刷面に所定の画像パターンを上書印刷して所定のトレイに収容し、経過していない場合は、前記排紙トレイに再排紙することを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
第2の技術手段は、第1の技術手段の画像形成装置において、前記印刷時の時刻を読み取り、読み取った時刻から所定時間以上経過しているか否かを判定し、判定結果に連動して前記再給紙された記録用紙の搬送経路を前記排紙トレイへの搬送経路又は前記所定トレイへの搬送経路に切り換えることを特徴とする。
【0008】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段の画像形成装置において、前記印刷時刻に加え、印刷内容に係わるセキュリティレベルを記録用紙に印刷し、記録用紙に印刷されたセキュリティレベルが所定のレベル未満の場合には、読み取った時刻から所定時間以上経過していても、前記記録用紙の印刷面に所定の画像パターンを上書印刷せず、前記排紙トレイに再排紙することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、印刷してから所定時間を経過している記録用紙の印刷面のみを黒塗りすることで、情報漏洩を防止することができる。さらに、印刷してから所定時間を経過していない記録用紙の印刷面を黒塗りすることがなくなるので、無用な記録用紙及びトナーの消費を節約することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(画像形成装置の概要)
図1は、本発明に係る画像形成装置の概要を説明するための全体断面図である。
1は、画像形成装置である。画像形成装置1は、所定の記録用紙に対して単色及び多色の画像を形成する。
10は、画像形成装置1の上部に設けられた自動原稿搬送装置である。自動原稿搬送装置10は、図示しない原稿セットトレイ上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿台11上へ給送する。
【0011】
20は、画像読取部である。原稿読取部20は、自動原稿搬送装置10が搬送した原稿を光走査する。
21は、原稿台11に載置された原稿面上を露光する光を出射する光源ランプである。
光源ランプ21からの出射光は、原稿台11に載置された原稿面上を照射する。原稿面上を照射した光の反射光は、第1ミラー22a、第2ミラー22b、第3ミラー22c、及び、光学レンズ23を経由して、CCD(Charge Coupled Device)24により受光され、原稿画像データとして読み取られる。
光学レンズ23は、各ミラーを経由した反射光を、CCD24に結像するためのレンズである。
【0012】
30は、画像読取部20が読み取った原稿画像データ等を記録用紙に印刷する画像形成部である。
画像形成部30の中央部には、LSU(Laser Scanning Unit)31が設けられている。
LSU31は、内部に、原稿画像データに応じて変調されたレーザ光を照射する半導体レーザ32、回転によってレーザ光を主走査方向に偏光するポリゴンミラー33を図示しないレンズ群等とともに備えている。なお、ポリゴンミラー33は、モータ34によって駆動される。
LSU31が出射したレーザ光により、帯電された感光体ドラム35上に、原稿画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0013】
36は、感光体ドラム35の近傍に設けられた帯電器である。帯電器36は、感光体ドラム35の表面を所定の電位に均一に帯電させる。
37は、LSU31の下部に設けられた現像器である。現像器37は、感光体ドラム35上に形成された静電潜像にトナーを供給して、トナー像を顕像化する。
38は、感光体ドラム35の近傍に設けられた転写器(転写ローラ)である。転写器38は、感光体ドラム35上に形成されたトナー像を記録用紙に転写する。
【0014】
39は、感光体ドラム35の近傍に設けられたクリーナである。クリーナ39は、転写工程後の感光体ドラム35上に残留したトナー等を回収する。
40は、トナー像が転写された記録用紙を加熱及び加圧して記録用紙上にトナー像を定着させる定着ユニットである。
定着ユニット40は、左側の加熱ローラ40aと右側の加圧ローラ40bとの一対のローラを備えている。
また、加熱ローラ40aは、ヒータ40cにより加熱され、加熱ローラ40aの温度は、温度センサ40dによって検知される。
【0015】
41は、定着ユニット40の上側に備えられたスイッチバック路である。スイッチバック路41は、記録用紙の両面に画像を形成する両面画像形成モード時に記録用紙の前後を反転させる。なお、スイッチバック路41は、印刷済みの記録用紙の排出搬送路と兼用される。
42は、排紙ローラである。排紙ローラ42は、両面印刷時(用紙反転搬送時)では記録用紙を挟持した状態で回転方向が逆転し、記録用紙を後述の両面ユニットへ搬送する。
【0016】
43は、スイッチバック路41に設けられた第1ゲートである。第1ゲート43は、印刷済みの記録用紙を本体内排紙トレイ44に排出するか、中継搬送路45を経て後処理ユニット46に搬送するか、を切換える。
後処理ユニット46は、印刷済みの記録用紙にステープル処理や穿孔処理等の後処理を施す。
後処理ユニット46にて所定の処理が施された印刷済みの記録用紙は、排紙ローラ46aを介し、排紙トレイ47に排紙される。
【0017】
48は、第2ゲートである。第2ゲート48は、印刷済みの記録用紙を第1ゲート43方向に搬送するか、第1ゲート43方向に対して逆方向(両面ユニット49方向)に搬送するか、を切換える。
両面ユニット49は、記録用紙を反転させるスイッチバック路41に通じており、両面画像形成モード時に表裏面が反転された記録用紙を感光体ドラム35へと再給紙する。
50は、転写器38の下方に設けられたレジストローラである。レジストローラ50は、給紙ローラ(図示しない)により給紙された記録用紙を一旦保持し、当該記録用紙を転写器38に搬送する。
【0018】
60は、画像形成部30の下部に設けられた用紙供給部である。
用紙供給部60は、画像形成装置1の側面に装着された手差トレイ61、画像形成装置1の底部に設けられた給紙トレイ62、63上に積層されている記録用紙を、レジストローラ50等を介し画像形成部30に供給する。
【0019】
本発明に係わる画像形成装置では、図2に示すように、記録用紙100に文字、画像101等を印刷する際に、記録用紙100の余白に、少なくとも、当該記録用紙の印刷時刻を示すバーコード102を印刷し、図1の排紙トレイ47に排紙する。
ここでは、このような印刷処理が、時間間隔を置いて実行されているものとする。
【0020】
印刷済みの記録用紙が排紙トレイ47に放置されている場合には、後述する所定のタイミングで、当該記録用紙が、排紙トレイ47の近傍に設置された再給紙ローラ71を介して画像形成装置1本体に再給紙される。
なお、印刷済みの記録用紙が排紙トレイ47に放置されているか否かは、排紙トレイ47上に設けられた排紙トレイセンサ72により検知される。
【0021】
再給紙された記録用紙に印字されているバーコードをバーコード読取部73が読み取り、読み取ったバーコードが示す印刷時刻から所定時間経過しているか否かを判定する。
所定時間経過している場合には、図3に示すように、当該記録用紙の印刷面を、所定の画像パターン、例えば、黒色のベタ画像103等で上書きする。
そして、上書処理が施された記録用紙を仕分けトレイ77に排紙する。
なお、上書き用の画像は、印刷面を可読不可にするものであれば種類は問わない。
【0022】
所定時間経過していない場合には、前記上書処理は実行されず、排紙トレイ47に再排紙される。なお、再給紙処理実行中は、再排紙された記録用紙は、排紙ローラ46aと排紙トレイ47の間に配設されたセパレータ78上に排紙される。そして、排紙トレイ47上にある全記録用紙の再給紙終了後に、セパレータ78上の記録用紙が、排紙トレイ47に再排紙(落下)される。
【0023】
(再給紙された記録用紙の搬送経路)
ここで、上書処理を実行する場合の記録用紙の搬送経路について図4を用いて説明する。
前述のように、排紙トレイ47に積載された印刷済みの記録用紙(符号(A))は、再給紙ローラ71により、画像形成装置1に再給紙される(符号(B))。
そして、当該記録用紙は、当該用紙をレジストローラ50方向に供給する再給紙路74、当該用紙を反転搬送する反転搬送路75、(符号(C)、(D))、レジストローラ50を通り(符号(E))、その後、転写器38等により、前述の上書処理が実行される。
上書処理が施された記録用紙は、第1ゲート43でスイッチバック後(符号(F))、第2ゲート48、仕分けゲート76を経由し、仕分けトレイ77に排紙される(符号(G))。
【0024】
上書処理を実行しない場合の記録用紙の搬送経路について図5を用いて説明する。
印刷済みの記録用紙は、前述のように、レジストローラ50を通り(符号(A)〜符号(E))、転写器38等による上書処理は実行されず、第1ゲート43、中継搬送路45を通り、排紙トレイ47(セパレータ78)に再排紙される(符号(H))。
【0025】
なお、各ゲート(43、48、76)については後に詳述する。
【0026】
(本発明の詳細)
図6は、本発明に係わる画像形成装置1を説明するためのブロック図である。
81は、印刷用原稿を読み取り、原稿画像データとして出力する原稿読取部である。
82は、原稿読取部81が出力した原稿画像データに所定の処理を施す画像処理回路である。
83は、画像処理回路82により所定の処理が施された原稿画像データを印刷出力する画像形成部である。
【0027】
84は、設定情報等を記録するROM、85は、制御情報等を記憶するRAMである。
86は、大容量記録装置、HDD(Hard Disc Drive)である。
87は、原稿画像データを一時的に記憶する画像メモリである。
【0028】
88は、操作パネルである。操作パネル88は、入力キー及び液晶表示パネルを備え、画像形成装置1の状態や利用可能な用紙サイズ、複写倍率等の表示を行うと共に、入力キーにより操作者の操作を受け付ける。
89は、NIC(Network Interface Card)である。NIC89は、クライアントPC120とLAN等を介して通信を実行する。
90は、各機能ブロックを制御するCPUである。
前述の原稿読取部81〜CPU90により通常の印刷処理が実行される。
【0029】
91は、上書処理制御部である。
上書処理制御部91は、記録用紙に印刷時の時刻を印刷し排紙トレイ47に排紙後、所定のタイミングで、排紙トレイ47上の記録用紙を再給紙し、当該記録用紙上に印刷された印刷時の時刻(記録用紙の印刷時刻)から所定時間以上経過しているか否かを判定し、経過している場合は、前記記録用紙の印刷面に所定の画像パターンを上書印刷して所定のトレイ、例えば、仕分けトレイ77に収容し、経過していない場合は、排紙トレイ47に再排紙する処理を制御する。
【0030】
上書処理制御部91は、前記制御を実現するために、少なくとも、当該記録用紙の印刷時刻を示すバーコード102(図2参照)を生成するバーコード生成部91aと、印刷済みの記録用紙を画像形成装置1に再給紙する時刻を管理する再給紙時刻管理部91bと、再給紙された記録用紙に印字されているバーコードが示す印刷時刻から所定時間経過しているか否かを判定し、判定結果に基づき上書処理を実行するか否かを決定する上書処理実行決定部91cと、前記判定結果に連動して再給紙された記録用紙の搬送経路の切り換え処理を制御する搬送経路制御部91dと、を有する。
なお、上書処理制御部91等の詳細な説明は、後述する。
【0031】
92は、排紙トレイ47(図1参照)に印刷済みの記録用紙があるか否かを検知するセンサである。
93は、画像形成装置1に再給紙された記録用紙に印字されているバーコードを読み取るためのバーコード読取部である。なお、バーコード読取部93は、CISラインセンサ等から構成される。
【0032】
(印刷時の時刻を印刷)
バーコード生成部91aは、少なくとも記録用紙の印刷時刻を示すバーコードを生成する。
そして、上書処理制御部91は、図2に示したように、記録用紙100に文字、画像等を印刷する際に、バーコード生成部91aが生成したバーコード102を記録用紙100の余白に印刷するように画像形成部83に指示する。
【0033】
(再給紙のタイミング)
再給紙時刻管理部91bが管理している時刻、つまり、印刷済みの記録用紙を画像形成装置1に再給紙する時刻になると、上書処理制御部91は、排紙トレイセンサ92に指示し、排紙トレイ47に印刷済みの記録用紙があるか否かを検知させる。
排紙トレイ47に印刷済みの記録用紙がある場合には、同制御部91は、再給紙ローラ71を駆動し、当該用紙を画像形成装置1に再給紙する。なお、前記用紙がない場合には、再給紙は実行しない。
【0034】
ここで、前記再給紙のタイミングについて説明する。
再給紙のタイミングは、画像形成装置1の使用頻度、印刷内容等によって決定される。
例えば、画像形成装置1をオフィス等で使用している場合には、業務開始時刻から消灯時までの間の45分間隔を再給紙のタイミングとすることができる。
この場合、業務開始を9:00、消灯時を21:00とすると、9:45、10:30…が再給紙のタイミングとなる。
【0035】
また、記録用紙の印刷時の時刻に、任意の時間、例えば、45分を加えた時刻を再給紙のタイミングとしてもよい。
この場合、記録用紙の印刷を、9:30、10:10に実行したとすると、10:15、10:55が再給紙のタイミングとなる。
【0036】
なお、再給紙のタイミングは、ユーザが操作パネル88を介して自由に変更できる。再給紙時に、他の印刷処理が実行されている場合には、当該印刷処理を優先するようにしてもよいし、又は、再給紙処理を優先させてもよい。
【0037】
(上書処理)
印刷済みの記録用紙が、画像形成装置1に再給紙されると、当該記録用紙に印刷されたバーコードがバーコード読取部93により読み取られ、当該記録用紙の印刷時刻が抽出される。
上書処理実行決定部91cは、抽出された印刷時刻から所定時間(例えば、30分)以上経過しているか否かを判定し、経過している場合は、上書処理を実行すると決定する。決定後、同決定部91cは、図3に示すように、当該記録用紙の印刷面を黒色のベタ画像103等で上書きするように、画像形成部83に指示し、さらに、搬送経路制御部91dに、上書処理を施した記録用紙を仕分けトレイ77に搬送するように指示する。
【0038】
前記所定時間未満の場合には、前記上書処理は実行しないと決定し、再給紙された記録用紙の印刷面を黒色のベタ画像103等で上書しないように、画像形成部83に指示し、さらに、搬送経路制御部91dに、当該記録用紙を排紙トレイ47に搬送(再排紙)するように指示する。
なお、前記所定時間は、ユーザが操作パネル88を介して自由に変更できるが、その値は、前述の間隔時間、任意の時間、例えば、45分よりも短いことが好ましい。
【0039】
(搬送経路の切り換え)
印刷時刻から所定時間経過した場合、搬送経路制御部91dは、上書処理を施した記録用紙を仕分けトレイ77に搬送すべく、第1ゲート43まで搬送された記録用紙(図4符号F)を、スイッチバックし、このとき第2ゲート48を下方向に移動させる(図4符号48の点線)。同時に、前記記録用紙が両面ユニット49方向に搬送されるのではなく、仕分けトレイ77に搬送(排紙)されるように仕分けゲート76を下方向に移動させる(図4符号76の実線)。そして、記録用紙を仕分けトレイ77に搬送する(図4符号G)。
【0040】
他方、印刷から所定時間経過していない場合は、搬送経路制御部91dは、上書処理を施していない記録用紙を排紙トレイ47に再排紙すべく、第1ゲート43まで搬送された記録用紙(図5符号F)が本体内排紙トレイ44に排紙されないように、第1ゲート43を下方向に移動させ(図5符号43)、中継搬送路45に当該記録用紙を搬送する。そして、排紙トレイ47(セパレータ78)に再排紙する(図5符号H)。
【0041】
図7は、セパレータ78を説明するための図である。
セパレータ78は、図6の上書処理制御部91の制御を受けるセパレータ駆動ギア79により開閉移動し、図7(A)に示す、排紙された記録用紙100を支持する閉状態と、図7(B)に示す、当該記録用紙100を支持することなく排紙トレイ47に落下させる開状態に変化する。
【0042】
再給紙処理実行時は、図7(A)に示すようにセパレータ駆動ギア79が右方向(矢印R)に回転することにより、セパレータ78が閉状態に変化する。前記閉状態では、上書処理が施されていない記録用紙が再排紙されても、当該記録用紙がセパレータ78により支持されるので排紙トレイセンサ72により検知されることがない。
【0043】
そして、排紙トレイ47上の全記録用紙が再給紙されて上書処理が終了すると、図7(B)に示すようにセパレータ駆動ギア79が左方向(矢印L)に回転することにより、セパレータ78が開状態に変化し、セパレータ78上の記録用紙が、排紙トレイ47上に落下する。なお、通常印刷時も、セパレータ78は開状態である。
【0044】
バーコードの印刷処理、上書処理、搬送処理を、フロー図を用いて説明する。
図8は、バーコードの印刷処理を説明するためのフロー図である。
ユーザが、画像形成装置1のコピー開始ボタン等を押して、画像形成装置1に印刷の実行を指示すると(ステップS1)、画像形成装置1は、記録用紙に、文字、画像等を印刷し(ステップS2)、同時に、現在時刻を示すバーコードを印刷する(ステップS3)。
以上の印刷処理(ステップS2、ステップS3)を、印刷枚数分実行する。
【0045】
次に、上書処理を図9のフロー図を用いて説明する。
印刷処理が終了してから時間が経過し、再給紙のタイミングになると(ステップS11/YES)、上書処理制御部91は、排紙トレイセンサ92に指示し、排紙トレイ47に印刷済みの記録用紙があるか否かを検知させる(ステップS12)。
記録用紙がある場合には(ステップS12/YES)、セパレータ78を閉状態にして、当該記録用紙を画像形成装置1に再給紙する(ステップS13)。
当該用紙がない場合には(ステップS12/NO)、処理を終了する。
【0046】
印刷済みの記録用紙が、画像形成装置1に再給紙されると、当該記録用紙に印刷されたバーコードがバーコード読取部93により読み取られ(ステップS14)、当該記録用紙の印刷時刻が抽出される(ステップS15)。
次に、上書処理実行決定部91cは、抽出された印刷時刻から所定時間経過しているか否かを判定し(ステップS16)、所定時間が経過している場合には(ステップS16/YES)、画像形成部83が上書処理を実行する(ステップS17)。
そして、搬送経路制御部91dは、前述したように、上書処理を施した記録用紙が仕分けトレイ77に排紙されるように搬送経路を制御する(ステップS18)。
【0047】
所定時間が経過していない場合には(ステップS16/NO)、上書処理は実行せず、記録用紙が排紙トレイ47(セパレータ78)に再排紙されるように搬送経路を制御する(ステップS19)。
【0048】
そして、排紙トレイ47に放置された全印刷済みの記録用紙が再給紙されたか判定、すなわち、再給紙する用紙がないか判定し(ステップS20)、再給紙する用紙がない場合には(ステップS20/YES)、処理を終了する。なお、このときセパレータ78を開状態にする。
再給紙する用紙がある場合には(ステップS20/NO)、ステップS13以降の処理を実行する。
【0049】
(その他)
本実施例では、上書処理を実行するか否かを決定する基準として、印刷時刻のみを採用したが、印刷時刻に加えて、印刷原稿のセキュリティレベルを考慮して上書処理を実行するか否かを決定してもよい。
そのためには、例えば、印刷実行前に、ユーザによりセキュリティレベルを設定し、当該設定したセキュリティレベル及び印刷時刻を示すバーコードを印刷する。
そして、前記バーコードが印刷された記録用紙を再給紙し、印刷時刻及びセキュリティレベルを抽出する。
このとき、前述のように、印刷時刻が所定時刻を経過しているので、上書処理を実行すると決定された記録用紙でも、抽出したセキュリティレベルが所定のレベル以下の場合には、上書処理を実行しないようにする。
【0050】
このようにすることで、仮に情報漏洩したとしても、セキュリティ上何ら問題のない、印刷済みの記録用紙に対しては、上書処理が実行されないので、トナーの浪費を防止することができる。
【0051】
前述の印刷時刻、セキュリティレベルをバーコードとして示さなくても、文字、記号、例えば、QRコードを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概要を説明するための全体断面図である。
【図2】バーコードが印刷された記録用紙を説明するための図である。
【図3】上書処理された記録用紙を説明するための図である。
【図4】記録用紙が仕分けトレイに排紙される様子を示した図である。
【図5】記録用紙が排紙トレイに再排紙される様子を示した図である。
【図6】本発明に係わる画像形成装置を説明するためのブロック図である。
【図7】セパレータを説明するための図である。
【図8】バーコードの印刷処理を説明するためのフロー図である。
【図9】上書処理を説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
【0053】
1…画像形成装置、10…自動原稿搬送装置、11…原稿台、20…原稿読取部、21…光源ランプ、22a〜22c…第1ミラー〜第3ミラー、23…光学レンズ、24…CCD、30…画像形成部、31…LSU、32…半導体レーザ、33…ポリゴンミラー、34…モータ、35…感光体ドラム、36…帯電器、37…現像器、38…転写器、39…クリーナ、40…定着ユニット、40a…加熱ローラ、40b…加圧ローラ、40c…ヒータ、40d…温度センサ、41…スイッチバック路、42…排紙ローラ、43…第1ゲート、44…本体内排紙トレイ、45…中継搬送路、46…後処理ユニット、46a…排紙ローラ、47…排紙トレイ、48…第2ゲート、49…両面ユニット、50…レジストローラ、60…用紙供給部、61…手差トレイ、62,63…給紙トレイ、71…再給紙ローラ、72…排紙トレイセンサ、73…バーコード読取部、74…再給紙路、75…反転搬送路、76…仕分けゲート、77…仕分けトレイ、78…セパレータ、79…セパレータ駆動ギア、81…原稿読取部、82…画像処理回路、83…画像形成部、84…ROM、85…RAM、86…HDD、87…画像メモリ、88…操作パネル、89…NIC、90…CPU、91…上書処理制御部、91a…バーコード生成部、91b…再給紙時刻管理部、91c…上書処理実行決定部、91d…搬送経路制御部、92…排紙トレイセンサ、93…バーコード読取部、100…記録用紙、101…文字、画像、102…バーコード、103…ベタ画像、111…印刷時刻管理表、120…クライアントPC。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データに基づき記録用紙上に画像を印刷し、当該記録用紙を排紙トレイに排紙する画像形成装置において、
前記記録用紙に前記印刷時の時刻を印刷し、
所定のタイミングで、前記排紙トレイ上の記録用紙を再給紙し、当該記録用紙に印刷された前記印刷時の時刻を読み取り、読み取った時刻から所定時間以上経過しているか否かを判定し、経過している場合は、前記記録用紙の印刷面に所定の画像パターンを上書印刷して所定のトレイに収容し、経過していない場合は、前記排紙トレイに再排紙することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷時の時刻を読み取り、読み取った時刻から所定時間以上経過しているか否かを判定し、判定結果に連動して前記再給紙された記録用紙の搬送経路を前記排紙トレイへの搬送経路又は前記所定トレイへの搬送経路に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷時刻に加え、印刷内容に係わるセキュリティレベルを記録用紙に印刷し、
記録用紙に印刷されたセキュリティレベルが所定のレベル未満の場合には、読み取った時刻から所定時間以上経過していても、前記記録用紙の印刷面に所定の画像パターンを上書印刷せず、前記排紙トレイに再排紙することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−69453(P2009−69453A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237495(P2007−237495)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】