説明

画像形成装置

【課題】テストパターンを検知する検知装置と被検知物との相対的位置ずれを防止することにより、検知精度を向上させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像特性を検査するためのテストパターンPを像担持体2の表面に形成するテストパターン形成手段と、テストパターンPを検知するテストパターン検知装置29,30と、テストパターンPの検知結果に基づいて画像形成条件を補正する画像形成条件補正手段を備えた画像形成装置である。テストパターン検知装置29,30を二次転写装置12と一体的に構成した。像担持体2に形成されたテストパターンPを中間転写体10に転写すると共に、その中間転写体10上のテストパターンPを二次転写装置12に転写するように構成し、二次転写装置12に転写されたテストパターンPを、テストパターン検知装置29,30によって検知するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体や中間転写ベルト上に形成されたテストパターンを検知装置で検知し、そのテストパターンの検知データから画像の濃度や位置情報を類推して、画像形成条件を制御する方法は広く知られている(例えば特許文献1参照)。テストパターンを検知する検知装置としては、反射型の光学式センサを用いることが一般的である。反射型の光学式センサは、発光素子と受光素子を有し、発光素子から照射された光は、テストパターンのある被検知対象物によって反射され、受光素子にて受光され信号に変換される。その信号の変化を読み取ることで、テストパターンの情報を類推することができる。
【0003】
前記光学式センサは、テストパターンが無い状態の感光体又は中間転写ベルトの表面(地肌部)での出力信号が基準となるように設定している。このため、光学式センサを使用する際は、初期、又は使用毎、あるいは適宜のタイミングで、校正を行ってから使用する。校正方法は採用するシステムによって種々の方法があるが、例えば、所定の出力信号を基準とするように設定する場合は、その出力信号が得られるよう、センサの入力信号を調節する。具体的には、地肌部の出力が所定の出力信号となるよう、発光素子の制御パラメータ(ここではLED電流とする)を調節する。そして、同じLED電流下において、地肌部の出力とテストパターンがあるときと無いとき、あるいは、複数の異なるテストパターンの出力差を検知することで、濃度や位置情報を検出することができる。
【特許文献1】特開2007−121943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記校正動作において、反射型の光学式センサ特性値を決定するものの1つとして、光学式センサと被検知物との相対的な位置関係がある。光学式センサと被検知物との相対的な位置関係がずれると、それが信号の差となって表れるため誤検知などに繋がる懸念がある。前記位置関係がずれたとしても、校正動作を行うことで誤検知は回避することも可能であるが、そもそもの校正動作ができなくなる懸念は残る。
【0005】
前述の例をもとに説明を行うと、地肌部の出力が所定の出力信号となるよう、発光素子のLED電流値を調節するが、その素子が持っているLED電流の仕様範囲内で、調整できなくなる場合がある。このことは、特に正反射光学式センサの場合に顕著である。多くの画像形成装置では、センサの感度を高めるためにセンサ出力が大きい状態で適正値を得るようにしているが、正反射光学式センサと被検知対象との位置関係が適正でないと(検知距離がずれたり、検知の角度がずれたりした場合は)、センサの出力は低下する。そうすると、LED電流を上げて、所定の出力を得ようとする。しかし、出力の下がり度合いが大きいと、LED電流を上げる量が多くなり、LED素子の仕様上限を超えてしまう虞がある。また、このような現象は、被検知部が平面よりも曲面である場合に起こりやすく、さらに被検知部の曲率が小さいほど起こりやすい傾向にある。
【0006】
上記光学式センサと被検知物との相対的位置ずれによって生じる検知誤差を解消するには、光学式センサと被検知物との位置をしっかり固定することが重要となる。しかしながら、これまでの被検知物となるモジュール(感光体や中間転写ユニット)は、交換部品として扱われることが多く、それらの被検知物ごと光学式センサが交換されてしまうことを避けるため、被検知物と光学式センサを一体的に構成することはできなかった。このため、交換部品としての被検知物を画像形成装置本体に対して位置決めして取り付けることにより、被検知物の光学式センサに対する相対的位置の精度を向上させるようにしてきたが、部品や装置の寸法誤差や、それらの取り付け誤差等の機械的公差が積み重なって、被検知物を精度良く位置決めすることには限界があった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、テストパターンを検知する検知装置と被検知物との相対的位置ずれを防止することにより、検知精度を向上させることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、複数の像担持体と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に現像剤を供給して可視画像化する現像手段と、前記像担持体の表面に形成された可視画像を中間転写体に一次転写する一次転写装置と、前記中間転写体上の可視画像を記録媒体に二次転写する二次転写装置を備えた画像形成装置であって、画像特性を検査するためのテストパターンを前記像担持体の表面に形成するテストパターン形成手段と、前記テストパターンを検知するテストパターン検知装置と、テストパターンの検知結果に基づいて画像形成条件を補正する画像形成条件補正手段を備えた画像形成装置において、前記テストパターン検知装置を前記二次転写装置と一体的に構成し、前記像担持体に形成されたテストパターンを前記中間転写体に転写すると共に、その中間転写体上のテストパターンを前記二次転写装置に転写するように構成し、当該二次転写装置に転写されたテストパターンを、前記テストパターン検知装置によって検知するようにしたものである。
【0009】
テストパターン検知装置を二次転写装置に一体的に構成しているので、テストパターン検知装置と二次転写装置との相対的位置が固定される。これにより、二次転写装置に転写されたテストパターンに対するテストパターン検知装置の距離や角度(向き)等を一定にすることが可能となり、検知精度を向上させることができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記二次転写装置が、前記中間転写体に圧接して配設された二次転写回転体を有し、当該二次転写回転体と前記中間転写体との圧接部に記録媒体を通過させた際に、前記中間転写体上の可視画像を記録媒体に転写するように構成した画像形成装置であって、前記像担持体に形成されたテストパターンを、前記中間転写体の画像転写領域を除く非画像転写領域に転写すると共に、前記中間転写体上のテストパターンを前記二次転写回転体の表面に転写するようにしたものである。
【0011】
テストパターンの中間転写体への転写を、中間転写体の画像転写領域を除く非画像転写領域に転写されるようにしたので、テストパターンが記録媒体に誤って転写されることがない。さらに、二次転写回転体を中間転写体に常時接触(圧接)した状態で配設することができる。従って、二次転写回転体を中間転写体に対して接離させる必要がないため、その接離動作に伴う振動などによる画像品質の低下を防止することが可能となる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記二次転写装置のテストパターンが転写される部分を、光沢度の高い部材で構成したものである。
【0013】
これにより、二次転写装置に転写されたテストパターンの検知を良好に行うことが可能となる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記テストパターンを検知した後に、前記二次転写装置上のテストパターンをクリーニングするクリーニング装置を備えたものである。
【0015】
これにより、次の工程で形成されたテストパターンが、二次転写装置上に残留するテストパターンに重なって転写されるのを防止することができる。また、二次転写装置上に残留するテストパターンによって記録媒体が汚れるのを防止することができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記テストパターン検知装置の検知面を遮断したり開放したりするカバー部材を設けたものである。
【0017】
不使用時に、カバー部材によってテストパターン検知装置の検知面を遮断しておくことによって、検知面に異物が付着して汚れるのを防止することができる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記カバー部材によって前記検知面を遮断した状態で、カバー部材は検知面に非接触に配設されるようにしたものである。
【0019】
カバー部材を遮断した状態で検知面に非接触に配設しているため、カバー部材によって検知面を傷付ける虞をなくすことができる。
【0020】
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載の画像形成装置において、前記カバー部材に起毛状のクリーニング部材を設け、前記カバー部材の遮断・開放動作に伴って前記クリーニング部材が前記検知面に摺接されるように構成したものである。
【0021】
カバー部材の遮蔽・開放動作に伴って、クリーニング部材が検知面に摺接することにより、クリーニング部材によって検知面に付着した汚れを拭き取ることができる。これにより、テストパターン検知装置の検知機能を良好に維持することが可能となる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記テストパターンを、画像濃度を検知するための濃度検知パターンと、画像位置のずれを検知するための位置ずれ検知パターンとしたものである。
【0023】
濃度検知パターンと位置ずれ検知パターンの検知精度を向上させることができるため、画像の濃度補正及び位置ずれ補正の正確性も向上する。
【0024】
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記テストパターン検知装置を光学式センサとしたものである。
【0025】
テストパターン検知装置として、従来から用いられている光学式センサを適用することによって、同様のシーケンスで制御することができるメリットがある。
【0026】
請求項10の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記二次転写回転体が二次転写ローラであって、前記光学式検知装置の前記検知方向を前記二次転写ローラの中心に向かうように設定したものである。
【0027】
これにより、テストパターン検知装置への供給電力を抑えて効率的に検知することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の画像形成装置は、画像形成装置本体に着脱可能に構成することが多い像担持体や中間転写体等を被検知物とせず、画像形成装置本体に固定された二次転写装置を被検知物としているため、テストパターン検知装置検知と被検知物としての二次転写装置との相対的位置ずれを防止することができ、検知精度を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明に係る画像形成装置の第1実施形態を示す概略構成図である。図1に示す本発明の画像形成装置は、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1BKを備えている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKは、画像形成装置本体100に対して着脱可能に構成してある。
【0030】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。そこで、1つのプロセスユニット1Yを例にその構成を説明する。
【0031】
図2において、プロセスユニット1Yは、像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段3と、感光体2の表面にトナー(現像剤)を供給する現像手段4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段5と、感光体2の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段6を備えている。
【0032】
帯電手段3は、帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ3aを備える。帯電ローラ3aは、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。また、帯電ローラ3aには、帯電ローラ3a表面に接触してクリーニングする帯電クリーニング部材3bが設けられている。
【0033】
現像手段4は、感光体2と対向する位置に、内部に磁界発生手段を有する現像スリーブ4aを備える。現像スリーブ4aの下方には、トナーと磁性キャリアを攪拌しながら現像スリーブ4aへ汲み上げるための2つのスクリュー4bが配設されている。さらに、現像スリーブ4a上で現像剤を所定の厚みに均すためのドクターブレード4cが、現像スリーブ4aの表面に対向して配設されている。
【0034】
クリーニング手段5は、弾性体であるゴムから成るクリーニングブレード5aを備える。クリーニングブレード5aは、所定の接触圧で感光体2の表面に当接するように配設されている。また、クリーニング手段5は、クリーニングブレード5aによって除去したトナー等を図示しない回収部へと搬送するトナー搬送スクリュー5bを備えている。
【0035】
潤滑剤塗布手段6は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤6bと、固形潤滑剤6bを削り取って感光体2に塗布するブラシローラ6aとを備える。固形潤滑剤6bは、圧縮バネ等の加圧部材6cによってブラシローラ6a側に付勢されている。
【0036】
再び図1を参照すると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKの下方には、感光体2の表面を露光する露光手段としての露光装置7が配設されている。一方、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKの上方には、中間転写ユニット8が配設されている。中間転写ユニット8は、無端状のベルトから構成される中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は、駆動ローラ及び従動ローラ等を含む4つのローラ25,26,27,28に張架され、図の矢印Aの方向に周回走行可能に構成されている。また、中間転写ユニット8は、中間転写ベルト10の表面をクリーニングするためのベルトクリーニング装置21を備えている。
【0037】
画像形成装置は、各感光体2上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト10に一次転写するための一次転写装置と、中間転写ベルト10上のトナー画像を紙等の記録媒体に二次転写するための二次転写装置を備える。一次転写装置は、4つの一次転写ローラ11Y,11C,11M,11BKを備え、各一次転写ローラ11Y,11C,11M,11BKは、それぞれ感光体2に対向した位置で中間転写ベルト10の内周面に圧接されている。これにより、4つの感光体2は中間転写ベルト10の外周面に圧接しており、各圧接部において一次転写ニップを形成している。
【0038】
二次転写装置は、中間転写ベルト10を張架する1つのローラ25に対向した位置に配設された二次転写ローラ12を備える。この二次転写ローラ12は、中間転写ベルト10の外周面に圧接しており、その圧接部において二次転写ニップを形成している。
【0039】
画像形成装置本体100の下部には、紙やOHPシート等の記録媒体Sを収容した記録媒体収容部13が配設されている。記録媒体収容部13には、記録媒体Sを搬出する供給ローラ14等が設けてある。
【0040】
画像形成装置本体100内には、記録媒体Sを記録媒体収容部13から上方へ案内するための搬送路Rが配設されている。二次転写ローラ12よりも、搬送路Rの搬送方向上流側(図の下方)に、一対のレジストローラ15a,15bが配設されている。また、二次転写ニップよりも、搬送路Rの搬送方向下流側(図の上方)に、定着装置16が配設されている。定着装置16は、例えば、内部に加熱源を有する定着ローラ17と、定着ローラ17に圧接された加圧ローラ18を備える。定着ローラ17と加圧ローラ18との圧接部において定着ニップが形成されている。
【0041】
また、搬送路Rの搬送方向下流端部には、一対の排出ローラ19a,19bが配設されている。また、記録媒体Sを積載するためのストック部20が、画像形成装置本体100の上面を内方へ凹ませて形成されている。
【0042】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
図2において、感光体2を図の矢印の方向に回転させ、その感光体2の表面を帯電ローラ3aによって均一な高電位に帯電させる。次いで、画像データに基づいて露光装置7(図1参照)から感光体2の表面にレーザビームが照射され、照射された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。
【0043】
このとき、現像手段4では、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを、2つのスクリュー4bによって磁性キャリアと混合し、攪拌しながら現像スリーブ4aへ汲み上げる。スクリュー4bによって汲み上げられたトナーと磁性キャリアからなる現像剤は、ドクターブレード4cによって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブ4aに担持される。現像スリーブ4aは、感光体2との対向位置において同方向に回転しながら、トナーを感光体2の表面に供給する。これにより、感光体2の表面に形成された静電潜像の部分にトナーが静電的に転移して、トナー画像(可視画像)が形成される。
【0044】
以上、図2においてイエローのプロセスユニット1Yの動作について説明したが、それ以外のプロセスユニット1M,1C,1BKにおけるトナー画像の形成動作も同様である。
【0045】
各プロセスユニット1Y,1M,1C,1BKにおいて、感光体2上にトナー画像を形成した場合は、各一次転写ローラ11Y,11M,11C,11BKに、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧を印加させ、一次転写ニップにおいて転写電界を形成する。そして、一次転写ニップにおいて、各感光体2上のトナー画像を、中間転写ベルト10上に重なり合うように一次転写する。
【0046】
また、一次転写行程を経た後、感光体2の表面には、回転するブラシローラ6aによって潤滑剤が塗布されると共に、クリーニングブレード5aによって感光体2上に残留するトナー等が除去される(図2参照)。クリーニングブレード5aによって除去されたトナー等は、トナー搬送スクリュー5bによって、図示しない回収部へと搬送される。
【0047】
一方、図1に示す記録媒体収容部13において、収容されている記録媒体Sを、供給ローラ14を回転させて搬送路Rへ送り出す。送り出された記録媒体Sは、レジストローラ15a,15bによって一旦停止される。
【0048】
また、二次転写ローラ12にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加して二次転写ニップに転写電界が形成される。あるいは、二次転写ローラ12に対向するローラ25にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加して、同様の転写電界を形成してもよい。その後、レジストローラ15a,15bの駆動を再開し、中間転写ベルト10上のトナー画像とタイミング(同期)をとって記録媒体Sを二次転写ニップへ送る。そして、二次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト10上のトナー画像を記録媒体S上に一括して二次転写する。また、二次転写後、中間転写ベルト10の表面に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置21によって除去され、除去されたトナーは図示しない廃トナー収容器へ回収される。
【0049】
トナー画像を転写された記録媒体Sは、定着装置16へと搬送される。定着装置16に送り込まれた記録媒体Sは、定着ローラ17と加圧ローラ18間の定着ニップを通過する際に加熱・加圧され、トナー画像が記録媒体S上に定着される。その後、記録媒体Sは排出ローラ19a,19bによってストック部20に排出される。
【0050】
以下、本発明の特徴部分について説明する。
本発明の画像形成装置は、画像特性を検査するためのテストパターンを形成するテストパターン形成手段と、そのテストパターンを検知するテストパターン検知装置と、検知したテストパターンの結果に基づいて画像形成条件を補正する画像形成条件補正手段を備える。
【0051】
図3は、図1に示す画像形成装置の要部斜視図である。同図において、図1と同一の符号は同一の部材を示す。
図3に示す符号Pがテストパターンである。図示されたテストパターンPは、画像位置のずれを検知するための位置ずれ検知パターン(ラインパターン)であるが、画像濃度を検知するための濃度検知パターン(階調パターン)を形成することも可能である。
【0052】
テストパターンPの形成方法は、基本的に上述の画像形成動作と同様であり、図示しない画像形成装置の制御部の指示により感光体2の表面に所定のタイミングで形成される。すなわち、上記テストパターン形成手段は、図1に示す各プロセスユニット1Y,1M,1C,1BK、露光装置7、及びこれらを制御する前記制御部によって構成されている。
【0053】
各感光体2上に形成されたテストパターンPは、感光体2と中間転写ベルト10が圧接する一次転写ニップにおいて中間転写ベルト10上に転写され、次いで、中間転写ベルト10上に転写されたテストパターンPは、中間転写ベルト10と二次転写ローラ12が圧接する二次転写ニップにおいて二次転写ローラ12に転写されるように構成されている。
【0054】
また、本発明の画像形成装置において、テストパターンPを、中間転写ベルト10の幅方向両端部に転写するようにしている。詳しくは、図4の中間転写ベルト10の平面図に示すように、テストパターンPは、中間転写ベルト10の画像転写領域Bを除く非画像転写領域に転写されるようなっている。ここでいう画像転写領域Bとは、中間転写ベルト10の表面領域において感光体2上の画像を転写可能な最大領域を含む領域のことである。従って、非画像転写領域は、画像転写領域Bよりも中間転写ベルト10の両端側の領域、及び画像転写領域B同士の間の領域をいう。図4では、テストパターンPを画像転写領域Bよりも中間転写ベルト10の両端側に転写しているが、画像転写領域B同士の間に転写するようにしてもよい。
【0055】
また、二次転写ローラ12の少なくともテストパターンPが転写される部分は、光沢度(又は反射率)が高い部材で構成することが望ましい。本実施形態では、二次転写ローラ12のテストパターンPが転写される部分(両端部)の光沢度を、中間転写ベルト10のテストパターンPが転写される部分(両端部)の光沢度よりも、高く設定している。
【0056】
また、図3に示すように、上記テストパターン検知装置としての2つの反射型の光学式センサ29,30が、テストパターンPが転写される二次転写ローラ12の回転するローラ部12bの両端部に対向して配設されている。光学式センサ29,30としては、従来の画像形成装置に用いられるテストパターン検知用の公知の光学式センサから適宜選択して適用することが可能である。各光学式センサ29,30は、支持部材31を介して二次転写ローラ12に一体的に固定されている。詳しくは、支持部材31は、光学式センサ29,30が取り付けられた長手状の本体部31aと、その本体部31aの両端部から延びた2つの脚部31bを有し、各脚部31bが二次転写ローラ12の回転しない軸部12aの両端に付設されている。
【0057】
なお、図5に示すように、供給電力(LED電流)を抑えて効率的に検知するために、光学式センサ29(30)の検知方向Dは、二次転写ローラ12の中心Oに向かうように設定することが好ましい。
【0058】
また、図3に示すように、本発明の画像形成装置は、二次転写ローラ12をクリーニングするクリーニング装置32を備える。このクリーニング装置32は、例えば、二次転写ローラ12のローラ部12bの表面に当接するクリーニングローラ32a等を有している。なお、このクリーニング装置32としては、部品点数が少なくなる点で、静電クリーニング手段を適用する方が好ましい。
【0059】
上記画像形成条件補正手段は、画像形成装置の制御部によって構成される。制御部はテストパターンPを検知して得たデータに基づいて、現像バイアス、帯電バイアス、レーザ露光パワー等の画像形成条件(パラメータ)を最適に制御するように構成されている。
【0060】
図6に本発明の第2実施形態を示す。
上記本発明の第1実施形態では、中間転写ベルト10に圧接される二次転写回転体として二次転写ローラ12を採用していたが、第2実施形態では二次転写ローラ12の代わりに二次転写ベルト33を採用している。詳しくは、第2実施形態における二次転写装置は、2つのローラ34,35に張架された無端状の二次転写ベルト33を備えている。この二次転写ベルト33と中間転写ベルト10が圧接した二次転写ニップに、記録媒体Sが送り込まれることによって、中間転写ベルト10上のトナー画像が記録媒体Sへ二次転写されるようになっている。
【0061】
第2実施形態の画像形成装置も、上記と同様に、テストパターン検知装置としての2つの光学式センサ29,30を備える。各光学式センサ29,30は、支持部材31を介して二次転写ベルト33を張架するローラ34に一体的に固定されている。支持部材31は、上記と同様に、光学式センサ29,30が取り付けられた長手状の本体部31aと、その本体部31aの両端部から延びた2つの脚部31bを有し、各脚部31bがローラ34の回転しない軸部34aの両端に付設されている。図6では、光学式センサ29,30は、二次転写ベルト33のローラ34に張架された表面上を検知するように配設されているが、二次転写ベルト33の各ローラ34,35によって張架されていない部分を検知するように構成することも可能である。また、上記第1実施形態と同様に、二次転写ベルト33の表面をクリーニングするクリーニング装置を配設してもよい(図示省略)。
【0062】
また、第2実施形態の画像形成装置は、画像特性を検査するためのテストパターンPを形成するテストパターン形成手段と、前記光学式センサ29,30で検知したテストパターンPの結果に基づいて画像形成条件を補正する画像形成条件補正手段を備えている。テストパターンPを形成及び転写するための構成については、上記第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0063】
図7に本発明の第3実施形態を示す。
第3実施形態の画像形成装置は、光学式センサ29(30)のレンズ等を配設した検知面29a(30a)を遮断したり開放したりするカバー部材36を備えている。カバー部材36は、検知面29a(30a)を遮断した状態で、検知面29a(30a)に対して非接触に配設されている。
【0064】
また、図8に示す本発明の第4実施形態のように、カバー部材36にクリーニング部材37を設けてもよい。カバー部材36によって検知面29a(30a)を遮断した状態で、このクリーニング部材37は検知面29a(30a)に接触するように配設されている。クリーニング部材37は、例えば、検知面29a(30a)を傷付けない起毛状の部材で構成されることが好ましい。
【0065】
なお、図7及び図8に示す実施形態において、上記説明した構成以外は、上記第1実施形態と同様に構成されているので説明を省略する。
【0066】
以下、本発明の画像形成装置におけるテストパターンの検知動作について説明する。
図3において、まず、図示しない制御部の指示により、各感光体2の表面にテストパターンPが形成される。各感光体2上に形成されたテストパターンPは、感光体2と中間転写ベルト10が圧接する一次転写ニップにおいて中間転写ベルト10上に転写される。次いで、中間転写ベルト10上に転写されたテストパターンPは、中間転写ベルト10と二次転写ローラ12が圧接する二次転写ニップにおいて二次転写ローラ12に転写される。
【0067】
中間転写ベルト10から二次転写ローラ12へのテストパターンPの転写条件は、中間転写ベルト10上の画像を記録媒体Sに二次転写するときの転写条件と同等に設定することが望ましい。しかし、トナー画像の転写とテストパターンPの転写をそれぞれ良好に行うことが困難な場合は、例えば、中間転写ベルト10の中央部側(トナー画像が転写される側)と端部側(テストパターンPが転写される側)において、それぞれ別のバイアス印加装置を設けるなど、転写条件を異ならせてもよい。
【0068】
その後、二次転写ローラ12上に転写されたテストパターンPは、2つの光学式センサ29,30によって検知される。なお、二次転写ローラ12の少なくともテストパターンPが転写される部分を、光沢度(又は反射率)が高い部材で構成している場合は、テストパターンPの検知を良好に行うことが可能である。そして、テストパターンPの検知データから得た画像の位置ずれ又は濃度変化に基づいて、制御部(画像形成条件補正手段)が画像形成条件を最適に補正する。
【0069】
また、光学式センサ29,30による検知が行われた後、二次転写ローラ12上のテストパターンPは、クリーニングローラ32aによって除去される。これにより、次の工程で形成されたテストパターンPが、二次転写ローラ12上に残留するテストパターンPに重なって転写されるのを防止することができる。また、二次転写ローラ12上に残留するテストパターンPによって記録媒体Sが汚れるのも防止することができる。
【0070】
また、上記テストパターンPの中間転写ベルト10への転写は、中間転写ベルト10の画像転写領域Bを除く非画像転写領域に転写されるので(図4参照)、テストパターンPが記録媒体Sに誤って転写されることがない。また、二次転写ローラ12を中間転写ベルト10に常時接触(圧接)した状態で配設することが可能となる。従って、二次転写ローラ12を中間転写ベルト10に対して接離させる必要がないため、その接離動作に伴う振動などによる画像品質の低下を防止することができる。
【0071】
なお、二次転写ローラ12へのテストパターンPの転写は、記録媒体Sへのトナー画像の転写と同時に行ってもよいし、同時に行わないようにしてもよい。ただし、タイミングによって同時転写と非同時転写のどちらもが行われる可能性がある場合は、二次転写ニップに記録媒体Sが通過するときと通過しないときで、記録媒体Sの厚み分だけ二次転写ニップが変化するため、テストパターンPの転写が良好に行えなくなる虞がある。そこで、各場合において転写条件を異ならせることにより、テストパターンPの転写不良等を未然に防止することも有効である。
【0072】
また、図6に示す二次転写ベルト33を備えた画像形成装置の場合は、中間転写ベルト10から二次転写ベルト33へテストパターンPが転写される以外は、上記検知動作と同様である。
【0073】
また、図7及び図8に示す各実施形態の場合は、不使用時に、カバー部材36によって光学式センサ29(30)の検知面29a(30a)を遮断しておくことによって、検知面29a(30a)に飛散した紙粉やトナーが付着して汚れるのを防止することができる。しかも、カバー部材36は、遮断した状態で、検知面29a(30a)に非接触に配設されているため、検知面29a(30a)を傷付ける虞がない。
【0074】
また、図8に示すように、カバー部材36にクリーニング部材37を設けている場合は、カバー部材36の遮蔽・開放動作に伴って、クリーニング部材37が検知面29a(30a)に摺接する。これにより、クリーニング部材37によって検知面29a(30a)に付着した汚れを拭き取ることができる。これによって、光学式センサ29(30)の検知機能を良好に維持することが可能となる。なお、クリーニング部材37が検知面29a(30a)に接触することによって、摩擦帯電が生じることも考えられる。検知面29a(30a)が摩擦帯電することによって、帯電した状態で飛散するトナーなどが検知面29a(30a)に吸着されて汚れる虞があるため、検知面29a(30a)とクリーニング部材37の材質を、摩擦帯電しない材質、又は飛散するトナーの帯電極性と逆極性に帯電する材質で構成してもよい。
【0075】
以上、本発明の画像形成装置によれば、光学式センサ29,30を二次転写装置に一体的に構成しているので、光学式センサ29,30と被検知物としての二次転写ローラ12又は二次転写ベルト33との相対的位置を固定することができる。この相対的位置を固定することにより、テストパターンPに対する光学式センサ29,30の距離や角度(向き)等を一定にすることが可能となり、検知精度を向上させることができる。
【0076】
すなわち、本発明は、画像形成装置本体に着脱可能に構成することが多い感光体2や中間転写ベルト10等を被検知物とせず、画像形成装置本体に固定された二次転写装置を被検知物としているため、テストパターン検知装置(光学式センサ)と被検知物(二次転写装置)との相対的位置ずれを防止することができ、検知精度を向上させることが可能となる。
【0077】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】プロセスユニットを拡大して示す概略構成図である。
【図3】前記画像形成装置の要部斜視図である。
【図4】中間転写ベルトの平面図である。
【図5】光学式センサと二次転写ローラの側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の要部斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の要部側面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置の要部側面図である。
【符号の説明】
【0079】
2 感光体
3 帯電手段
4 現像手段
7 露光装置
10 中間転写ベルト
11Y,11M,11C,11BK 一次転写ローラ
12 二次転写ローラ
29 光学式センサ
29a 検知面
30 光学式センサ
30a 検知面
32 クリーニング装置
36 カバー部材
37 クリーニング部材
B 画像転写領域
D 検知方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に現像剤を供給して可視画像化する現像手段と、前記像担持体の表面に形成された可視画像を中間転写体に一次転写する一次転写装置と、前記中間転写体上の可視画像を記録媒体に二次転写する二次転写装置を備えた画像形成装置であって、
画像特性を検査するためのテストパターンを前記像担持体の表面に形成するテストパターン形成手段と、前記テストパターンを検知するテストパターン検知装置と、テストパターンの検知結果に基づいて画像形成条件を補正する画像形成条件補正手段を備えた画像形成装置において、
前記テストパターン検知装置を前記二次転写装置と一体的に構成し、前記像担持体に形成されたテストパターンを前記中間転写体に転写すると共に、その中間転写体上のテストパターンを前記二次転写装置に転写するように構成し、当該二次転写装置に転写されたテストパターンを、前記テストパターン検知装置によって検知するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記二次転写装置が、前記中間転写体に圧接して配設された二次転写回転体を有し、当該二次転写回転体と前記中間転写体との圧接部に記録媒体を通過させた際に、前記中間転写体上の可視画像を記録媒体に転写するように構成した画像形成装置であって、
前記像担持体に形成されたテストパターンを、前記中間転写体の画像転写領域を除く非画像転写領域に転写すると共に、前記中間転写体上のテストパターンを前記二次転写回転体の表面に転写するようにした請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記二次転写装置のテストパターンが転写される部分を、光沢度の高い部材で構成した請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記テストパターンを検知した後に、前記二次転写装置上のテストパターンをクリーニングするクリーニング装置を備えた請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記テストパターン検知装置の検知面を遮断したり開放したりするカバー部材を設けた請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カバー部材によって前記検知面を遮断した状態で、カバー部材は検知面に非接触に配設されるようにした請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記カバー部材に起毛状のクリーニング部材を設け、前記カバー部材の遮断・開放動作に伴って前記クリーニング部材が前記検知面に摺接されるように構成した請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記テストパターンを、画像濃度を検知するための濃度検知パターンと、画像位置のずれを検知するための位置ずれ検知パターンとした請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記テストパターン検知装置を光学式センサとした請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記二次転写回転体が二次転写ローラであって、前記光学式検知装置の前記検知方向を前記二次転写ローラの中心に向かうように設定した請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−128070(P2010−128070A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300879(P2008−300879)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】