説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成で像担持体とレジストローラ及び転写前ガイド相互間に高い位置精度を保って転写ズレや転写抜け等の異常画像の発生を防ぐことができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本体フレーム101に対して直角方向に挿脱可能なドラムユニット11に設けられた感光ドラム(像担持体)6とこれに対向する転写ローラ(転写手段)の間の転写部に、給紙手段から送給された用紙をレジストローラ12によって転写前ガイド13を経て供給し、前記感光ドラム6上に形成されたトナー像を前記用紙上に転写する画像形成装置において、前記ドラムユニット11と前記レジストローラ12及び前記転写前ガイド13の各位置決め手段(位置決めボス21等)を備えた位置決めホルダ19をドラムユニット挿入側の本体フレーム101に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体フレームに対して挿脱可能なドラムユニットを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によって用紙に画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、感光ドラム等の像担持体上に形成された潜像が現像装置によってトナーを用いて現像されてトナー像として顕像化される。これと同時に、給紙カセット等からレジストローラへと送給された用紙は一時待機状態とされた後、レジストローラによって適当なタイミングで転写前ガイドに沿って像担持体と転写手段との間の転写部へと供給され、転写手段の転写作用によって像担持体上のトナー像の転写を受ける。そして、トナー像が転写された用紙は、定着手段へと搬送され、該定着手段によって加熱及び加圧されることによってトナー像の定着を受け、トナー像が定着された用紙が排出部へと排出されて一連の画像形成動作が終了する。
【0003】
ところで、斯かる画像形成装置には、メンテナンス等の便を考慮して像担持体や帯電器等を一体化してドラムユニットとしてユニット化し、このドラムユニットを本体フレームに対して着脱可能としたものがある。
【0004】
一般に、画像形成装置においては、転写前の転写前ガイドと像担持体及び転写前ガイドとレジストローラとの位置関係が適切でないと、用紙の撓みや反力によって該用紙の後端に転写ズレや転写抜け等が発生し、異常画像の発生原因となるという問題がある。
【0005】
上記問題を解決するため、例えば特許文献1には、定着ニップ部に対する転写材ガイド部材の位置精度を高めるため、搬送加圧装置によって転写ホルダを押し上げる、この転写ホルダの押し上げによって位置決め部材の傾斜面が転写ガイド部材の位置決め部材を押し上げ、フレームの位置決め穴に感光ドラムユニットの突起を係合させて転写ガイド部材を位置決めする構成が提案されている。
【0006】
又、特許文献2には、交換ユニット(ドラムユニット)を装置本体に対して着脱可能に保持する交換ユニット保持手段と、転写チャージャユニットをスライド可能に保持する転写チャージャユニット保持手段と、レジストローラを着脱可能に収容したレジストローラユニット保持手段を備えた画像形成装置において、前記転写チャージャユニットと前記レジストローラユニットが前記交換ユニットと一体的に装置本体と相互の位置関係を保って出し入れすることができるようにした構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−162893号公報
【特許文献2】特開平2−050168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1,2において提案された構成では、構造が複雑化したり、1つ1つの部品の高精度が要求されるためにコストアップが避けられないという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、簡単な構成で像担持体とレジストローラ及び転写前ガイド相互間に高い位置精度を保って転写ズレや転写抜け等の異常画像の発生を防ぐことができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、本体フレームに対して直角方向に挿脱可能なドラムユニットに設けられた像担持体とこれに対向する転写手段の間の転写部に、給紙手段から送給された用紙をレジストローラによって転写前ガイドを経て供給し、前記像担持体上に形成されたトナー像を前記用紙上に転写する画像形成装置において、前記ドラムユニットと前記レジストローラ及び前記転写前ガイドの各位置決め手段を備えた位置決めホルダを前記ドラムユニット挿入側の本体フレームに取り付けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載に発明は、請求項1記載の発明において、前記位置決めホルダの内面に設けられた前記位置決め手段によって前記レジストローラと前記転写前ガイドを位置決めホルダに固定するとともに、前記位置決めホルダの外面に設けられた前記位置決め手段によって前記ドラムユニットを位置決めすることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載に発明は、請求項2記載の発明において、前記位置決め手段の内面に、前記レジストローラの位置決め手段として該レジストローラの一端を回転可能に支持する位置決めボスと前記転写前ガイドの位置決め手段として該転写前ガイドの一端を嵌合保持する嵌合孔を形成し、前記位置決め手段の外面に、前記ドラムユニットの位置決め手段として該ドラムユニットのハウジングに形成された孔に嵌合する位置決めボスを突設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドラムユニットとレジストローラ及び転写前ガイドの各位置決め手段(位置決めボスや嵌合孔)を備えた位置決めホルダを本体フレームに取り付けたため、本体フレームに固定された位置決めホルダの位置決め手段によってレジストローラと転写前ガイドが本体フレームに正確に位置決めされて保持される一方、ドラムユニットはこれを本体フレームに装着することによって位置決めホルダの位置決め手段(位置決めボス)によって本体フレームに対して正確に位置決めされるため、該ドラムユニットの像担持体とレジストローラ及び転写前ガイドの三者相互の位置が1つの位置決めホルダによって高精度に保たれる。この結果、用紙の撓みや反力に起因する該用紙の後端での転写ズレや転写抜けによる異常画像の発生が防がれ、高質画像が安定的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置要部の概略断面図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の内部構造を内側から見た部分斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の内部構造を外側から見た部分斜視図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置におけるドラムユニットの位置決めホルダによる位置決めを示す斜視図である。
【図5】位置決めホルダの外面側斜視図である。
【図6】位置決めホルダの内面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係る画像形成装置要部の概略断面図であり、図示の画像形成装置はレーザープリンタであって、その装置本体100内の一側部(図1の左側部)には給紙部1から上方に向かって縦方向に延びる用紙搬送路Lが形成されている。
【0017】
上記給紙部1には、複数枚の用紙を積層収容して成る不図示の給紙カセットと、該給紙カセットから用紙をピックアップするピックアップローラ2、ピックアップされた用紙を1枚ずつ分離して用紙搬送路Lへと送り出すフィードローラ3とリタードローラ4が設けられている。
【0018】
又、装置本体100の内部の上記給紙部1の上方には画像形成部5が設けられており、この画像形成部5には、像担持体である感光ドラム6と、該感光ドラム6の周囲に配された帯電器7、現像装置8、転写ローラ9及びクリーニング装置10が設けられている。ここで、本実施の形態では、感光ドラム6と帯電器7及びクリーニング装置10は一体化されてドラムユニット11としてユニット化されており、このドラムユニット11は後述のように装置本体100に対して着脱される。
【0019】
そして、用紙搬送路Lの上記画像形成部5よりも用紙搬送方向上流側(図1の下方側)には、レジストローラ12と転写前ガイド13が設けられている。又、装置本体100内の画像形成部5の側方にはレーザースキャナユニット(LSU)14が配設されている。
【0020】
他方、装置本体100内の用紙搬送路Lの画像形成部5よりも用紙搬送方向下流側(図1の上方側)には定着部15が設けられており、該定着部15には、互いに圧接状態で回転可能に配された加熱ローラ16と加圧ローラ17が設けられている。尚、加熱ローラ16は、中空の円筒ローラであって、その内部には2本にヒータ18が長手方向(図1の紙面垂直方向)に配されており、この加熱ローラ16に加圧ローラ17が所定の圧力で圧接されている。
【0021】
次に、以上の構成を有するレーザープリンタの画像形成動作について説明する。
【0022】
例えばパーソナルコンピュータ(パソコン)等の端末から当該レーザープリンタにプリント開始信号が送信されると、画像形成部5においては、感光ドラム6が不図示の駆動手段によって図1の矢印方向(時計方向)に回転駆動され、その表面が帯電器7によって所定の電位に一様に帯電される。そして、端末から送信された画像データに基づくレーザー光がレーザースキャナユニット14から出力されて感光ドラム6上に照射されると、該感光ドラム6上には画像データに応じた静電潜像が形成される。そして、この感光ドラム6上に形成された静電潜像は、現像装置8によって現像剤であるトナーを用いて現像されてトナー像として可視像化される。
【0023】
ところで、カセット給紙を行う場合、給紙部1の不図示の給紙カセット内に収容された用紙は、ピックアップローラ2によって最上位のものからピックアップされ、フィードローラ3とリタードローラ4によって1枚ずつ分離されて用紙搬送路Lへと送り出され、レジストローラ12へと搬送される。
【0024】
レジストローラ12においては、用紙は、一時待機状態とされた後、感光ドラム6上のトナー像に同期する所定のタイミングで転写前ガイド13によって案内されながら画像形成部5へと供給される。
【0025】
画像形成部5においては、感光ドラム6と転写ローラ9との間の転写ニップへと供給された用紙は、転写ローラ9によって感光ドラム6に押し付けられながら搬送されることによって、その表面(転写面)に感光ドラム6上のトナー像が転写される。そして、トナー像が転写された用紙は、定着部15へと搬送され、この定着部15において加熱ローラ16と加圧ローラ17によって挟み込まれて搬送される過程で加熱及び加圧されてトナー像の定着を受ける。尚、用紙へのトナー像の転写後に感光ドラム6の表面に残留するトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置10によって除去され、感光ドラム6は次の画像形成に備えられる。
【0026】
而して、定着部15にて表面にトナー像が定着された用紙は、用紙搬送路Lを上方へと搬送されて装置本体100外へ排出されて不図示の排紙トレイ上に積載され、これによって一連の画像形成動作が完了する。
【0027】
次に、本発明の要旨を図2〜図6に基づいて以下に説明する。
【0028】
図2は本発明に係る画像形成装置の内部構造を内側から見た部分斜視図、図3は同画像形成装置の内部構造を外側から見た部分斜視図、ドラムユニットの位置決めホルダによる位置決めを示す斜視図、図5は位置決めホルダの外面側斜視図、図6は同位置決めホルダの内面側斜視図である。
【0029】
図2及び図3に示すように、図1に示すレーザープリンタの本体フレーム(前側板)101には、前記ドラムユニット11を本体フレーム101に対して直角方向(感光ドラム6やレジストローラ12の軸方向)に出し入れするための開口部101aが形成されており、レジストローラ12と転写前ガイド13は、その軸方向一端が本体フレーム101に位置決めされて保持されている。尚、レジストローラ12と転写前ガイド13の軸方向他端は、不図示の本体フレーム(後側板)に位置決めされて保持されている。
【0030】
又、本体フレーム101の前記開口部101aに近傍には位置決めホルダ19が上下2本のビス20によって取り付けられている。ここで、位置決めホルダ19は、樹脂にて図5及び図6に示す形状に一体成形されており、その外面には図5に示すように外側方に突出する凸部19aが形成されている。そして、この凸部19には、円筒21aとその外周に形成された十字状のリブ21bによって構成された位置決めボス21が一体に形成されている。尚、位置決めホルダ19の上下には、前記ビス20(図2及び図3参照)が挿通するための円孔22が形成されている。
【0031】
又、位置決めホルダ19の内面には、図6に示すように、外面に形成された前記凸部19aの裏側位置に凹部19bが形成されており、この凹部19bには円筒状の位置決めボス23が一体に形成され、その上方には、転写前ガイド13の端部形状に沿ったL字状の嵌合孔24が貫設されている。
【0032】
而して、位置決めホルダ19は、図2及び図3に示すように、その上下に形成された円孔22(図5及び図6参照)に挿通するビス20によって本体フレーム101に取り付けられるが、本体フレーム101には、これに取り付けられた位置決めホルダ19の内面の凹部19bが臨む不図示の開口部が形成されており、この開口部を介して位置決めホルダ19の位置決めボス23と嵌合孔24が本体フレームの内面側に露出している。
【0033】
以上のように位置決めホルダ19が本体フレーム101に取り付けられると、該本体フレーム101に形成された位置決めボス23にレジストローラ12の軸方向一端が嵌合することによって、該レジストローラ12が本体フレーム101に対して正確に位置決めされて回転可能に保持される。又、転写前ガイド13の軸方向一端が位置決めホルダ19の嵌合孔24に嵌合して本体フレーム101に高精度に位置決めされて取り付けられる。従って、レジストローラ12と転写前ガイド13は、図2に示すように、位置決めホルダ19によって互いの位置が正確に位置決めされた状態で本体フレーム101に保持される。
【0034】
ところで、図示しないが、本体後フレームには位置決め孔が高精度に形成されているため、レジストローラ12と転写前ガイド13は本体後フレームに高精度に取り付けることができる。これに対して、本体フレーム(前フレーム)101には開口部101aが形成されているためにレイアウト上の制約があり、該本体フレーム(前フレーム)101に位置決め孔を高精度に形成することは難しい。そこで、本発明では、ドラムユニット11を挿入する側の本体フレーム(前フレーム)101に位置決めホルダ19を取り付けることによって、上記課題を簡単な構成で解決した。
【0035】
他方、図示しないが、装置本体100にはガイドレールが設けられており、ドラムユニット11は、ガイドレールに沿ってスライド可能に保持されている。そして、ドラムユニット11は、本体フレーム101に形成された前記開口部101aから本体フレーム101に対して直角方向(図2及び図3の矢印a,b方向)に出し入れされるが、これが矢印a方向にスライドして装置本体100に装着されると、図3及び図4に示すように、該ドラムユニット11のハウジング11Aの側端下部に形成された位置決め用の円孔25が位置決めホルダ19の外面に突設された位置決めボス21に嵌合し、該ドラムユニット11が位置決めホルダ19によって本体フレーム101に対して正確に位置めされる。
尚、ドラムユニット11の奥側は、不図示のドラム駆動軸によって(ドラム軸とドラム駆動軸のカップリングを介して)位置決めされている。
【0036】
上述のようにドラムユニット11が本体フレーム101に装着されると、該ドラムユニット101は、位置決めホルダ19によって本体フレーム101に対して高精度に位置決めされ、前述のようにレジストローラ12と転写前ガイド13も位置決めホルダ19によって本体フレーム101に対して高精度に位置決めされているため、ドラムユニット11の感光ドラム6とレジストローラ12及び転写前ガイド13の三者相互の位置が1つの位置決めホルダ19によって高精度に保たれる。このため、用紙の撓みや反力に起因する該用紙の後端での転写ズレや転写抜けによる異常画像の発生が防がれ、図1に示すレーザープリンタにおいて高質な画像が安定して得られる。
【0037】
尚、以上は本発明をレーザープリンタに対して適用した形態について説明したが、本発明は、プリンタの他、複写機やファクシミリ装置或いはこれらの機能を兼備した複合機等に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
1 給紙部
2 ピックアップローラ
3 フィードローラ
4 リタードローラ
5 画像形成部
6 感光ドラム(像担持体)
7 帯電器
8 現像装置
9 転写ローラ
10 クリーニング装置
11 ドラムユニット
11A ドラムユニットのハウジング
12 レジストローラ
13 転写前ガイド
14 レーザースキャナユニット(LSU)
15 定着部
16 加熱ローラ
17 加圧ローラ
18 ヒータ
19 位置決めホルダ
19a 位置決めホルダの凸部
19b 位置決めホルダの凹部
20 ビス
21 位置決めボス(ドラムユニットの位置決め手段)
21a 位置決めボスの円筒
21b 位置決めボスのリブ
22 位置決めホルダの円孔
23 位置決めボス(レジストローラの位置決め手段)
24 嵌合孔(転写前ガイドの位置決め手段)
25 ドラムユニットの円孔
100 画像形成装置本体
101 本体フレーム
101a 本体フレームの開口部
L 用紙搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームに対して直角方向に挿脱可能なドラムユニットに設けられた像担持体とこれに対向する転写手段の間の転写部に、給紙手段から送給された用紙をレジストローラによって転写前ガイドを経て供給し、前記像担持体上に形成されたトナー像を前記用紙上に転写する画像形成装置において、
前記ドラムユニットと前記レジストローラ及び前記転写前ガイドの各位置決め手段を備えた位置決めホルダを前記ドラムユニット挿入側の本体フレームに取り付けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記位置決めホルダの内面に設けられた前記位置決め手段によって前記レジストローラと前記転写前ガイドを位置決めホルダに固定するとともに、前記位置決めホルダの外面に設けられた前記位置決め手段によって前記ドラムユニットを位置決めすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記位置決め手段の内面に、前記レジストローラの位置決め手段として該レジストローラの一端を回転可能に支持する位置決めボスと前記転写前ガイドの位置決め手段として該転写前ガイドの一端を嵌合保持する嵌合孔を形成し、前記位置決め手段の外面に、前記ドラムユニットの位置決め手段として該ドラムユニットのハウジングに形成された孔に嵌合する位置決めボスを突設したことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−191122(P2010−191122A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34704(P2009−34704)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】