説明

画像形成装置

【課題】エラーを解除したユーザーが自分の印刷処理が実行されるまでに長時間待たされ
るような不都合が生じることがない画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、ユーザーの特定を行う認証部113と、印刷依頼
を行ったユーザーに係る情報が付された印刷ジョブを蓄積する印刷キュー111と、装置
に発生したエラーの解除を検知するエラー解除検知手段と、前記エラー解除検知手段がエ
ラーの解除を検知したとき、所定の条件下で、ユーザーの印刷ジョブの順位を変更する順
位変更手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク接続され複数のユーザーにより利用される画像形成装置に関す
る。
【背景技術】
【0002】
現在、コンピュータと周辺機器の利用形態の多くは、有線LANや無線LAN(ローカ
ル・エリア・ネットワーク)によって相互に接続され、複数のユーザーが限定された資源
を共有できるようになっており、プリンタ、複合機などの画像形成装置においてもネット
ワークによる共有化が進んでいる。また、情報を共有するメリットの大きい一般のオフィ
スにおいては、特に、このようなネットワークシステムが利用されるようになっている。
【0003】
LANなどのネットワークを介して接続された1台の画像形成装置に対して、複数のユ
ーザーが手元のパーソナルコンピュータから印刷をほぼ同じ時期に実行した場合、印刷命
令をネットワークを介して画像形成装置側で受信した順番通りに印刷を実行するための手
段を持っていることがユーザーにとっては望ましい。
【0004】
ユーザーからの印刷要求の順番通りに出力するには、ネットワークを介してコンピュー
タから受信した最初の印刷ジョブを出力している最中に、その後の印刷ジョブをリアルタ
イムに受け付けておいて、画像形成装置内に大容量の記憶装置を装備して印刷ジョブを一
時的に保持し、順番に出力する手段がある。例えば、特許文献1(特開2001−432
87号公報)には、このような印刷ジョブを保持するための印刷キューを有する画像形成
装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−43287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上記特許文献1に記載されているような画像形成装置においては、装置のエラ
ーが発生して印刷が中断しているときに、あるユーザーがそのエラーを解除したとしても
、画像形成装置側で受信した順番通りに印刷を実行するため、必ずしもエラーを解除した
ユーザーの印刷が直ちに実行されるわけではない、という事態が発生することとなる。装
置のエラーを解除するような行動をとるユーザーは、急いで印刷物を手に入れたいことが
多いが、このようなユーザーがエラーを解除しても、既に大量の印刷ジョブが依頼されて
いるような場合、自分の印刷が実行されるまで長時間待たなければならない、という不都
合が発生する、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記のような問題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、ユーザー
の特定を行う認証手段と、印刷依頼を行ったユーザーに係る情報が付された印刷ジョブを
蓄積する印刷キューと、装置に発生したエラーの解除を検知するエラー解除検知手段と、
前記エラー解除検知手段がエラーの解除を検知したとき、所定の条件下で、ユーザーの印
刷ジョブの順位を変更する順位変更手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る画像形成装置は、ユーザーの特定を行う認証手段と、印刷依頼を行
ったユーザーに係る情報が付された印刷ジョブを蓄積する印刷キューと、前記認証手段で
特定されているユーザーと、前記印刷キューに蓄積されている印刷ジョブを依頼したユー
ザーとが同一であるか否かを判定するユーザー判定手段と、装置に発生したエラーの解除
を検知するエラー解除検知手段と、前記エラー解除検知手段がエラーの解除を検知したと
き、前記ユーザー判定手段でユーザーが同一であると判定されると、当該ユーザーの印刷
ジョブの優先順位を第1位とする順位変更手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記装置に発生したエラーが用紙切れであること
を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記装置に発生したエラーがトナー切れであるこ
とを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記装置に発生したエラーがインク切れであるこ
とを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記装置に発生したエラーが用紙詰まりであるこ
とを特徴とする。
【0012】
以上、本発明の画像形成装置によれば、順位変更手段によって、エラーを解除したユー
ザーの印刷ジョブの印刷順位を第1位に変更するので、エラーを解除したユーザーの印刷
が直ちに実行されることとなり、エラーを解除したユーザーが自分の印刷処理が実行され
るまでに長時間待たされるような不都合が生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置(複合機)及びその周辺のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置(複合機)の外観の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の認証機能に用いるICカードのブロック構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像処理装置の認証機能に用いるデータテーブルを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置の操作パネル部のハードウエア構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置の操作パネル部のハードウエア構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置の操作パネル部のハードウエア構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御部とプリンタ部の機能ブロック図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置で印刷キューにジョブがキューイングされているときの処理のフローチャートを示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像形成装置で印刷キューの順位変更に関連する動きを説明する図である。
【図11】本発明の実施形態に係る画像形成装置で印刷キューの順位変更に関連する動きを説明する図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る画像形成装置で印刷キューにジョブがキューイングされているときの処理のフローチャートを示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る画像形成装置で印刷キューの順位変更に関連する動きを説明する図である。
【図14】本発明の実施形態に係る画像形成装置で印刷キューの順位変更に関連する動きを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては画像形
成装置として複合機を例にとり説明するが、本発明はこのような複合機に限らず、プリン
タなどの画像形成装置にも適用可能なものである。図1は本発明の実施形態に係る画像形
成装置(複合機)及びその周辺のシステム構成を示す図であり、図2は本発明の実施形態
に係る画像形成装置(複合機)の外観の斜視図である。図1及び図2において、10はL
AN、WANなどのネットワーク、20は電話回線、100は複合機、110は複合機の
主制御を行う制御部、120はファクシミリ文書の送受信を行うファクシミリ部、130
は記録媒体への印刷を行うプリンタ部、140は原稿の読み取りを行うスキャナ部、15
0はユーザーとのインターフェイスとなる操作パネル部、160は通信部、170はイン
ターフェイス部、180はICカートリーダー、200、200’、200’’、200
’’’、・・・はパーソナルコンピュータ(外部機器)をそれぞれ示している。なお、本
明細書においては、ファクシミリ部120、プリンタ部130、スキャナ部140、操作
パネル部150それぞれをデバイスなどと称することもある。
【0015】
図1に示されるファクシミリ装置(複合機)周辺のシステムでは、クライアントなどの
パーソナルコンピュータ200、200’、200’’、200’’’、・・・と複合機
100とがネットワーク10を介して接続される構成となっている。また、複合機100
のファクシミリ部120が電話回線20と接続されるような構成とされている。
【0016】
複合機100は、情報処理装置からなる複合機本体の主制御を行う制御部110と、ユ
ーザーの入力操作を受け付ける入出力装置である操作パネル部150と、原稿・画像をス
キャンしてカラーで読み込むスキャナ部140と、印刷用紙等に印刷を行うプリンタ部1
30と、ファクシミリ送受信を行うファクシミリ部120とを備える。つまり、複合機1
00は、スキャナ機能、印刷機能、スキャナ機能と印刷機能を組み合わせたコピー機能及
びファクシミリ送受信機能を備えるものである。
【0017】
複合機100の情報処理機構は、いずれも例えば汎用的なコンピュータシステムにより
構成され、個々の構成要素または機能は、例えば、記憶手段に書き込まれたコンピュータ
プログラムを実行することにより実現される。
【0018】
スキャナ部140は、原稿を載置可能な不図示の原稿台とこれを読み取る光学系からな
る。スキャナ部140の原稿台には、原稿台に載置した原稿のサイズを検知することがで
きる原稿サイズ検知センサが設けられている。また、複合機100には、スキャナ部14
0に自動的に連続的に原稿を送致する構成であるADF(Automatic Docu
ment Feeder)が設けられている。
【0019】
スキャナ部140によって読み取られた原稿画像データは制御部110の不図示の記憶
手段に一度取り込まれる。操作パネル部150などからの指定によって制御部110は、
スキャナ部140で読み取られた原稿画像データを、そのまま、或いは設定された倍率で
プリンタ部130から紙出力したり(複合機100のコピー機能)、ファクシミリ部12
0から電話回線20を通じて送信したり(複合機100のファクシミリ機能)、通信部1
60、ネットワーク10を介して、パーソナルコンピュータ200、200’、200’
’、200’’’、・・・に向けて送信したり(複合機100のスキャナ機能)する。
【0020】
プリンタ部130は、記録用紙上に画像を形成するものであり、レーザーやLEDライ
ンヘッドによって感光体上に潜像を形成する方式を採用した電子写真方式や、記録用紙上
に直接インクを射出する方式を採用したインクジェット方式などの周知のハードウエア構
成を用いることができる。制御部110は、操作パネル部150やパーソナルコンピュー
タ200、200’、200’’、200’’’、・・・からの指示に基づいて、プリン
タ部130に所定の紙出力を行わせるものである。すなわち、プリンタ部130は、スキ
ャナ部140によって読み取られた画像データやファクシミリ部210で受信されたファ
クシミリデータや、パーソナルコンピュータ200、200’、200’’、200’’
’、・・・上で動作するアプリケーションソフトウエアからのデータなどを紙出力するも
のである。
【0021】
ファクシミリ部120は、電話回線20と接続されていて、ファクシミリの送受信を行
うファクシミリ送受信部(不図示)と、ファクシミリ送受信部が送信するための送信デー
タを一時記憶する送信バッファ及びファクシミリ送受信部が受信した受信データを一時記
憶する受信バッファを構成するためのファクシミリ部用のメモリを備えている。
【0022】
また、ファクシミリ部120は、電話回線20からファクシミリ送信されてきたデータ
を受信すると、その受信データを一旦格納する。そして、格納された受信データは、制御
部110へ送られて、プリンタ部130で印刷される。ファクシミリ部120は、複合機
100内の他の構成とは独立にファクシミリ送受信を行う。つまり、ファクシミリ部12
0は、複合機100から送信データを受け付けると、複合機100とは独立にファクシミ
リ送信を行うし、電話回線20からファクシミリデータが送信されてくれば、それを受信
する。
【0023】
複合機100のコピー機能は、ユーザーの操作パネル部150の操作によって制御部1
10に起動される。操作パネル部150からは、コピー機能に係るコピー倍率の設定、原
稿画像サイズの設定、出力用紙のサイズの設定を行うことができ、制御部110はこれら
の設定に基づいて、複合機100のコピー機能を実行する。複合機100のコピー機能は
、スキャナ部140にて読み取った原稿の原稿画像データに、コピー倍率処理を含む各種
画像処理を施し、これをプリンタ部130で指定されたサイズの用紙に紙出力する。
【0024】
図5乃至図7は本発明の実施形態に係る画像形成装置の操作パネル部のハードウエア構
成を示す図である。操作パネル部150のハードウエアは、操作に係わる表示を行うLC
Dからなる表示部151と、指などによる押圧で入力が行えるボタンスイッチ152、十
字キー153とから概略構成され、ユーザーは表示部151の表示を参照してこれらのボ
タンスイッチ152、十字キー153を操作することで複合機100の各種設定を行うこ
とができるようになっている。また、操作パネル部150としては、固有の機能が割り付
けられているボタンスイッチ154が割り付けられているものが用いられる。ボタンスイ
ッチ152は、表示部151の最下段の表示事項に対する入力を行うものである。例えば
、図6ではF1のボタンスイッチ152を押下することで、「用紙」に関する入力を行う
ことができる。また、十字キー153は、表示部151中のカーソルの移動などを行うた
めの4方向の入力キーと、入力事項の確定のために用いるOKキーとから構成されている
。また、図7では、ボタンスイッチ154それぞれに固有の機能が割り付けられているも
のが採用されている。この操作パネル部150で行うことができるのは、複合機100の
ファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能といった各種機能の選択や、装置の設定、
実行操作などである。
【0025】
ICカートリーダー180は非接触式のICカードに書き込まれている情報を読み取る
ものであり、インターフェイス部170を介して本体部と接続されており、読み取った情
報は制御部110に入力される。本実施形態に係る画像形成装置は、このようなICカー
トリーダー180を設けることによって、セキュリティを強化するとともに、誰がどのよ
うに複合機100を使用したかを把握できるようにしたユーザー認証機能を備えてなるも
のである。すなわち、正規のICカードを所持するユーザーが、このICカートリーダー
180で当該カードを読み込ませたときにのみ、操作パネル部150などにおける入力が
許可されるようになっている。
【0026】
次に、本発明の実施形態に係る複合機100の各正規ユーザーに配布されて利用される
ICカードについて説明する。図3は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の認証機能
に用いるICカードのブロック構成を示す図である。図3において、300はICカード
、302はIDデータ記憶部、303乃至305はその他のデータ記憶部、311はアン
テナ部、312は電力生成部、313は通信制御部、314はI/Oユニット、315は
CPU、316はメモリをそれぞれ示している。
【0027】
ICカード300は、無線通信機能を有してなり、ICカートリーダー180との間で
情報の送受を行うことができる非接触型ICカードである。すなわち、このICカード3
00には、アンテナ部311と、ICカートリーダー180と通信(交信)するための通
信制御部313と、その通信制御部313とI/Oユニット314を介して接続されてい
るCPU315と、システムプログラムデータの他に所定のカードデータの記憶されてい
るメモリ316と、ICカートリーダー180からの電力波をアンテナ部311を介して
受信し、ICカード300の駆動電力を生成する電力生成部312とを有している。
【0028】
上記のメモリ316は、ICカード300自体の識別情報を記憶保持するIDデータ記
憶部302や、その他の情報を記憶保持するその他のデータ記憶部303乃至305など
を有している。このその他のデータ記憶部303乃至305は3つに限定されるものでは
なく、必要に応じて必要数設ければよい。
【0029】
ICカートリーダー180はIDデータ記憶部302に記憶される情報を読み取り、当
該ICカードが正規のユーザーに配布されているものであるか否かを判定することで認証
を行う。図4は本発明の実施形態に係る画像処理装置の認証機能に用いるデータテーブル
を示す図である。図4はネットワーク10を介して複合機100に接続された各パーソナ
ルコンピュータ200、200’、200’’、200’’’、・・・を利用する各ユー
ザーに関する情報が記憶されるユーザーデータテーブルである。このようなユーザーデー
タテーブルには、例えば「ユーザー名」や「識別コード」、当該ユーザーに配布されてい
るICカードの「IDデータ」などの項目のデータを記憶する。このようなユーザーデー
タテーブルは制御部110における不図示の記憶手段などに記憶させる。認証にあたって
は、ICカートリーダー180でICカードのIDデータ記憶部302に記憶される情報
を読み取り、この情報と、ユーザーデータテーブルに登録されている情報とが照合するか
どうかを判定する。IDデータ記憶部302に記憶される情報が、ユーザーデータテーブ
ル中の「IDデータ」のいずれかのものであれば、正規ユーザーとして複合機100の操
作を許可する。なお、認証機能は複合機100の直接的操作を行うときにユーザーの特定
を行うものであり、複合機100はパーソナルコンピュータ200、200’、200’
’、200’’’、・・・からの印刷依頼ジョブなどは認証なしで受け付けるようになっ
ている。
【0030】
次に、ICカード300を所持するユーザーが認証を受ける手順について説明する。図
5の表示部151はどのユーザーも認証されていないときの操作パネル部150の様子を
示している。図5に示すように表示部151に「ユーザー認証してください」との表示が
されているときには、操作パネル部150のボタンスイッチ類からの操作は受け付けられ
ないようになっている。このとき正規のICカード300を所持するユーザーが、ICカ
ートリーダー180にICカード300をかざすと、ICカートリーダー180によって
当該カードのIDデータ記憶部302に記憶される情報が読み取られる。制御部110で
は、この情報がユーザーデータテーブル中に存在することを確認した上で、当該ユーザー
を認証する。
【0031】
図6の表示部151は正規のユーザーが認証されたときの操作パネル部150の様子を
示している。このときは図6に示すように表示部151には「コピーできます」などの表
示がされ、操作パネル部150の各ボタンスイッチ類からの操作を受け付けるように設定
される。ここで、例えば所定のコピージョブを実行させたユーザーが、認証状態からログ
アウトするためには、図7に示す「ログアウト」のボタンスイッチを押下する。複合機1
00では、このような「ログアウト」のボタンスイッチが押下されると、当該ユーザーの
認証状態を解消して、再び図5に示すような、どのユーザーも認証されていない状態に戻
す。
【0032】
次に、上記のような認証機能と印刷キューとの関係について図8を参照して説明する。
図8は本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御部とプリンタ部の機能ブロック図であ
る。図8において、111は印刷キュー、112は優先属性設定部、113は認証部、1
14はログインユーザー記憶部、131は画像形成エンジンをそれぞれ示している。
【0033】
複合機100がパーソナルコンピュータ200、200’、200’’、200’’’
、・・・から印刷依頼ジョブを受信すると、受け取った印刷依頼ジョブを印刷キュー11
1にキューイングする。この印刷キュー111は、通常は先入れ先出しで印刷依頼ジョブ
を一旦保存するものであり、印刷キュー111から取り出された印刷データは画像形成エ
ンジン131で順次印刷処理が実行される。この印刷キュー111に保持される各印刷依
頼ジョブには、図示するように印刷依頼を行ったユーザーに係るデータが付されている。
このようなデータは、図4に示したユーザーデータテーブルを用いることなどによっても
付すことができるし、或いは印刷ジョブ依頼元のパーソナルコンピュータからのヘッダ情
報などからとることも可能である。
【0034】
優先属性設定部112は、印刷キュー111内の印刷ジョブの優先順位を変更するとき
に参照される情報である。優先属性設定部112には、印刷キュー111内で印刷処理の
優先順位を第1位とするべきユーザー情報が書き込まれる。認証部113は先の認証機能
を実現するものであり、認証機能によって認証され複合機100にログイン状態であるユ
ーザー情報を登録しておくログインユーザー記憶部114を有している。
【0035】
次に以上のように構成される画像形成装置の処理動作について説明する。図9は本発明
の実施形態に係る画像形成装置で印刷キューにジョブがキューイングされているときの処
理のフローチャートを示す図である。
【0036】
図9において、ステップS100で処理が開始されると、続いてステップS101に進
み、印刷キュー111中の優先順位が第1位のジョブを特定する。次のステップS102
では、印刷キュー111中の第1優先順位のジョブの先頭から印刷処理を行う。すなわち
、印刷キュー111中の第1優先順位のジョブの先頭頁のデータから順に、画像形成エン
ジン131に引き渡す。
【0037】
続くステップS103では、エラーが発生したか否かが判定される。ここで、発生する
エラーとは、用紙切れ、トナー切れ(インク切れ)、用紙詰まりなどの軽度のエラーであ
り、ユーザーが自らリカバリーすることが可能なエラーを指している。ステップS103
の判定がNOであるときには、ステップS110に進み、ジョブの優先順位を更新して、
ステップS101に戻る。
【0038】
ステップS103における判定がYESであるときにはステップS104に進み、印刷
処理を停止する。そして、ステップS105で、エラーが解除されたか否かが判定される
。ステップS105の判定がYESであるときにはステップS106に進み、認証部11
3のログインユーザー記憶部114が参照され、ログインユーザーが存在するかが判定さ
れる。
【0039】
ステップS106の判定がYESであるときにはステップS107に進むが、NOであ
るとステップS108に進む。ステップS107では、当該ログインユーザーを優先属性
設定部112にセットする。
【0040】
ステップS108では、印刷キュー111中に当該ログインユーザーのジョブがあるか
否かが判定される。ステップS108の判定結果がNOであるとステップS101に戻る
が、YESであるときにはステップS109に進み、当該ログインユーザーの印刷ジョブ
を印刷キュー111中の第1位の順位に変更する。このとき優先属性設定部112にセッ
トされている情報が参照される。また、ステップS109では、当該ログインユーザーの
印刷ジョブが第1位の順位に変更されるのに伴い、他のユーザーの印刷ジョブを繰り下げ
る。
【0041】
以上のようなフローチャートに基づく動作の一例について次に図10と図11を参照し
て説明する。図10及び図11は本発明の実施形態に係る画像形成装置で印刷キューの順
位変更に関連する動きを説明する図である。
【0042】
図10は、印刷キュー111の第1位にユーザーUN2の印刷ジョブが、第2位にユー
ザーUN1の印刷ジョブが、第3位にユーザーUN5の印刷ジョブが、第4位にユーザー
UN3の印刷ジョブがそれぞれキューイングされており、ユーザーUN2の印刷ジョブの
印刷処理実行中にエラーが発生したときの状態を示している。なお、ログインユーザー記
憶部114に登録されているログインユーザーは存在しない。
【0043】
ここで、ユーザーUN3が自らのICカード300をICカートリーダー180にかざ
して認証を受けて複合機100にログインした上で、エラーを解除すると、ステップS1
06乃至ステップS109の処理によって、印刷キュー111において第4位であったユ
ーザーUN3の印刷ジョブは、第1位に印刷優先順位が変更される。また、これに伴い、
図10の状態で第1位から第3位であった印刷ジョブはそれぞれ1段階ずつ順位が繰り下
げられるようになっている。尚、このときの印刷キューの状態を図11に示している。こ
のように、エラーが発生したときには、装置にログインした上でエラーを解除することで
、エラーを解除したユーザーの印刷ジョブが優先的に印刷処理されるようになっている。
これによれば、エラーを解除したユーザーが自分の印刷処理が実行されるまでに長時間待
たされるような不都合が生じることがない。
【0044】
なお、本実施形態では、エラー発生時のジョブの実行状況によらず、ログインユーザー
の印刷ジョブを第1位の優先順位とすることを例に説明した。しかし、例えば、エラー発
生時のジョブが完了してから、ログインユーザーの印刷ジョブを実行させるような態様と
することもできる。また、マルチビン(不図示)などが設けられている画像形成装置であ
れば、ログインユーザーの印刷ジョブは、エラー発生時のジョブが排紙されていたビンと
は、別のビンに排紙されるように構成することも好適な実施形態である。
【0045】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態では用いる構成は先の実
施形態のものと同様であるので説明を省略する。他の実施形態が、先の実施形態と異なる
のは、その処理のアルゴリズムであるので、フローチャートをもとに相違点について説明
する。図12は本発明の他の実施形態に係る画像形成装置で印刷キューにジョブがキュー
イングされているときの処理のフローチャートを示す図である。
【0046】
図12のフローチャートが先の実施形態と異なるのはステップS108でNOと判定さ
れたときの分岐であるので、この分岐以降を説明する。他の実施形態では、ステップS1
08でNOと判定されると、ステップS111に進み、ユーザーによってコピー(スキャ
ン)ボタンの操作があったか否かが判定される。尚、コピー(スキャン)ボタンは図示し
ていないが、操作パネル部150上に配置される、各機能を利用するときに押下してその
モードにはいるためのハードボタンのことである。ステップ111の判定結果がYESで
あるときにはステップS112に進み、NOであるときにはステップS113に進む。
【0047】
ステップS112では、コピージョブ(スキャンジョブ)を印刷キュー111の中で第
1位のジョブとして変更する。そして、これに伴い、他のユーザーのジョブを繰り下げる
。ステップS113では、所定時間経過の判定がなされ、所定時間の経過によってループ
を抜けてステップS101に戻るようになっている。
【0048】
このような他の実施形態に係るフローチャートに基づく動作の一例について次に図13
と図14を参照して説明する。図13及び図14は本発明の他の実施形態に係る画像形成
装置で印刷キューの順位変更に関連する動きを説明する図である。
【0049】
図13は、印刷キュー111の第1位にユーザーUN2の印刷ジョブが、第2位にユー
ザーUN1の印刷ジョブが、第3位にユーザーUN5の印刷ジョブがそれぞれキューイン
グされており、ユーザーUN2の印刷ジョブの印刷処理実行中にエラーが発生しときの状
態を示している。なお、ログインユーザー記憶部114に登録されているログインユーザ
ーは存在しない。
【0050】
ここで、ユーザーUN3が自らのICカード300をICカートリーダー180にかざ
して認証を受けて複合機100にログインした上で、エラーを解除し、さらに複合機10
0のコピー(スキャン)機能を利用するべく、所定時間内にコピー(スキャン)ボタンを
操作すると、ステップS111乃至ステップS114の処理が行われる。印刷キュー11
1において、エラーを解除ユーザーがスタートさせたコピージョブ(スキャンジョブ)が
第1位の印刷優先順位に変更される。また、これに伴い、図13の状態で第1位から第3
位であった印刷ジョブはそれぞれ1段階ずつ順位が繰り下げられるようになっている。こ
のように、エラーが発生したときには、装置にログインした上でエラーを解除することで
、エラーを解除したユーザーのコピージョブが優先的に処理されるようになっている。こ
れによれば、エラーを解除したユーザーが自分のコピーを実行するまでに長時間待たされ
るような不都合が生じることがない。
【0051】
なお、本明細書においては、種々の実施の形態について説明したが、それぞれの実施の
形態の構成を適宜組み合わせて構成された実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0052】
10・・・ネットワーク、20・・・電話回線、100・・・複合機、110・・・制御
部、111・・・印刷キュー、112・・・優先属性設定部、113・・・認証部、11
4・・・ログインユーザー記憶部、120・・・ファクシミリ部、130・・・プリンタ
部、131・・・画像形成エンジン、140・・・スキャナ部、150・・・操作パネル
部、151・・・表示部、152・・・ボタンスイッチ、153・・・十字キー、154
・・・ボタンスイッチ、160・・・通信部、170・・・インターフェイス部、180
・・・ICカートリーダー、200、200’、200’’、200’’’、・・・パー
ソナルコンピュータ(外部機器)、300・・・ICカード、302・・・IDデータ記
憶部、303〜305・・・その他のデータ記憶部、311・・・アンテナ部、312・
・・電力生成部、313・・・通信制御部、314・・・I/Oユニット、315・・・
CPU、316・・・メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの特定を行う認証手段と、
印刷依頼を行ったユーザーに係る情報が付された印刷ジョブを蓄積する印刷キューと、
装置に発生したエラーの解除を検知するエラー解除検知手段と、
前記エラー解除検知手段がエラーの解除を検知したとき、所定の条件下で、ユーザーの印
刷ジョブの順位を変更する順位変更手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ユーザーの特定を行う認証手段と、
印刷依頼を行ったユーザーに係る情報が付された印刷ジョブを蓄積する印刷キューと、
前記認証手段で特定されているユーザーと、前記印刷キューに蓄積されている印刷ジョブ
を依頼したユーザーとが同一であるか否かを判定するユーザー判定手段と、
装置に発生したエラーの解除を検知するエラー解除検知手段と、
前記エラー解除検知手段がエラーの解除を検知したとき、前記ユーザー判定手段でユーザ
ーが同一であると判定されると、当該ユーザーの印刷ジョブの優先順位を第1位とする順
位変更手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記装置に発生したエラーが用紙切れであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記
載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置に発生したエラーがトナー切れであることを特徴とする請求項1乃至は請求項3
のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記装置に発生したエラーがインク切れであることを特徴とする請求項1乃至は請求項3
のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装置に発生したエラーが用紙詰まりであることを特徴とする請求項1乃至は請求項5
のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−201896(P2010−201896A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53058(P2009−53058)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】