説明

画像形成装置

【課題】装置の大型化及び重量化を招くことなく、画像転写領域近傍の用紙の安定搬送と、定着装置通過後の用紙の冷却とを図ることができるようにする。
【解決手段】装置本体1に設けたダクト4内に送風機24を回動自在に設ける。そして、搬送中の用紙27が2次転写ローラ3近傍に位置するときは、吸気口41から空気を吸い込んで通気口42から装置外に排出し、用紙27を吸引して用紙搬送路の一方側面に沿って前記用紙が搬送されるようにする。一方、搬送中の用紙27が定着装置5を通過したときは、送風機24を回動させて、通気口42から吸い込んだ外気を吹出口43から吹き出させて用紙27を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
像担持体としての感光体に形成された静電潜像をトナーで現像し、このトナー画像を更に用紙に転写した後、トナー画像を定着装置で加熱・加圧して用紙に溶融定着させる電子写真方式の画像形成装置は従来から広く用いられている。
【0003】
このような画像形成装置において、例えば温湿度の変化や保管状態の影響を受けて、部分的に反った状態の用紙が、トナー画像を転写する領域に搬送されると、紙詰まりや画像位置のズレが生じる。そこで、画像転写領域の近傍に搬送されてきた用紙を送風機によって吸引して、用紙搬送路の一方側面に沿って用紙が搬送されるようにすることが考えられる。
【0004】
また、定着装置によって加熱された用紙には、用紙上のトナー付着密度の違いなどにより水分吸収量に差が生じやすく、これによって用紙の反りが生じやすい。用紙に反りがあると、複数枚の用紙で一単位の書類とする場合に、折り畳みやステープル綴じ込みなどの後作業が難しくなる。また、排出直後の用紙は熱くて取扱いにくいという使用上の不便もある。そこで、定着装置の用紙搬送方向下流側の用紙搬送路に空気を吹き付けて、用紙を冷却する技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0005】
以上のような、画像転写領域の近傍の用紙を吸引する機構と、定着装置を通過後の用紙を冷却する機構とをそれぞれ個別に設けると、装置の大型化及び重量化を招く。仕切り板によって送風方向を切り替え、1つの送風機で用紙の吸引と冷却を行うことも考えられるが(例えば特許文献2を参照)、固定した1つの送風機では、装置本体内に空気を取り入れるか、逆に装置本体外に空気を排出するかのどちらかしかできず、効率的に用紙の吸引と冷却とを行うことは難しい。
【0006】
【特許文献1】特開2004-294651
【特許文献2】特開平7-140884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の大型化及び重量化を招くことなく、画像転写領域近傍の用紙の安定搬送と、定着装置通過後の用紙の冷却とが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成する本発明に係る画像形成装置は、画像形成手段と、画像形成手段で形成されたトナー像を用紙に転写させる転写手段と、用紙に転写されたトナー像を用紙に溶融定着させる定着手段とを装置本体内に有する画像形成装置であって、転写手段近傍に設けられた吸気口と、定着手段よりも用紙搬送方向下流側に設けられた吹出口と、装置外に面した通気口とを有するダクトと、このダクト内に回動自在に設けられた送風機と、搬送中の用紙の位置を検知するセンサとを設け、前記送風機を回動させることによって、搬送中の用紙が転写手段近傍に位置するときは、前記吸気口から空気を吸い込んで前記通気口から装置外に排出し、前記用紙を吸引して用紙搬送路の一方側面に沿って前記用紙が搬送されるようにする一方、搬送中の用紙が定着手段を通過したときは、前記通気口から吸い込んだ外気を前記吹出口から吹き出させて前記用紙を冷却することを特徴とする。
【0009】
用紙の安定搬送と冷却を一層効率的に行う観点からは、前記送風機と共に回動する遮断板を前記送風機に設け、前記吸気口から空気を吸い込んでいるときは、前記遮断板によって前記吹出口への空気の流れを遮り、前記通気口から空気を吸い込んでいるときは、前記吸気口への空気の流れを遮るようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像形成装置では、1つの送風機を回動させて用紙の吸引と冷却を行うようにしたので、装置の大型化及び重量化を招くことなく、画像転写領域近傍の用紙の安定搬送と、定着装置通過後の用紙の冷却が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図であって、転写領域近傍の用紙を送風機で吸引しているときの図である。
【図2】図1の画像形成装置において、定着装置通過後の用紙に外気を当てて冷却しているときの図である。
【図3】図1において右側面から見た送風機の外観図である。
【図4】図2において右側面から見た送風機の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成装置について図面に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図である。図1の画像形成装置は、タンデム型デジタルカラープリンタ(以下、単に「プリンタ」と記すことがある)である。もちろん、プリンタのほか、さらにスキャナを有する複写機、ファクシミリ又はそれらの機能を複合的に備えた複合機等にも本発明を適用することができる。
【0014】
プリンタは、装置本体1の内部のほぼ中央部に中間転写ベルト2を備えている。中間転写ベルト2は、2本のローラの外周部に掛け渡されて反時計回りに回転駆動する。中間転写ベルト2は常に張力がかかった状態となっている。
【0015】
中間転写ベルト2の下部水平部の下には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色にそれぞれ対応する4つの作像部6a,6b,6c,6dが、中間転写ベルト2に沿って配置されている。各作像部は、感光体ドラムをそれぞれ有している。各感光体ドラムの周囲には、その回転方向に沿って順に、帯電器と、露光装置8と、現像器と、クリーナとがそれぞれ配置されている。
【0016】
そして、中間転写ベルト2を挟んで、各感光体ドラムと対向する位置には、一次転写ローラ7a,7b,7c,7dが設けられている。また、中間転写ベルト2には2次転写ローラ(転写手段)3が圧接されている。2次転写ローラ3と中間転写ベルト2とのニップ部が2次転写領域となる。この2次転写領域において中間転写ベルト2上に形成されたトナー像が、搬送されてきた用紙27に転写される。なお、本発明における画像形成手段は、作像部6a,6b,6c,6dと、一次転写ローラ7a,7b,7c,7dと、中間転写ベルト2とから構成される。
【0017】
装置本体1に下部には、給紙カセット9が装置本体1に対して着脱可能に配置されている。給紙カセット9内に積載収容された用紙27は、給紙ローラの回転によって最上部のものから1枚ずつ引き出されて用紙搬送路10に送り出される。用紙搬送路10は、給紙カセット9から、タイミングローラ対のニップ部、2次転写領域、および定着装置(定着手段)5を通って排紙トレイ11まで延びている。給紙カセット9から送り出された用紙27は、タイミングローラ対に搬送され、ここで所定のタイミングで2次転写領域に送り出される。
【0018】
定着装置5は、中空円筒状で、ハロゲンヒータ(不図示)を内部に備えた定着ローラ51と、この定着ローラ51に圧接されて従動回転する加圧ローラ52を備える。トナー像が2次転写された用紙27が通過する、定着ローラ51と加圧ローラ52とのニップ部が定着領域となる。
【0019】
このような構成のプリンタの動作について概説する。まず、カラー画像を出力するフルカラーモードの場合、外部装置(例えばパソコン)からプリンタの画像信号処理部(不図示)に画像信号が入力されると、画像信号処理部ではこの画像信号をイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックに色変換したデジタル画像信号を作成し、この信号をプリントヘッド用LEDドライブ回路に伝達する。このドライブ回路は、入力されたデジタル信号に基づいて、各作像部6a,6b,6c,6dの露光装置8を発光させて露光を行う。この露光は、各作像部ごとにそれぞれ時間差をもって行われる。これにより、各感光体ドラムの表面に各色用の静電潜像がそれぞれ形成される。
【0020】
各感光体ドラム上に形成された静電潜像は、各現像器によってそれぞれ現像されて各色のトナー像となる。そして、各色のトナー像は、各一次転写ローラ7a,7b,7c,7dの作用により、図中反時計回りに回転する中間転写ベルト2上に順次一次転写されて重ね合わせられる。
【0021】
このようにして中間転写ベルト2上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト2の移動にしたがって2次転写領域に達する。一方、給紙カセット9から用紙搬送路10に送り出された用紙27は、タイミングローラ対によって、トナー像が2次転写領域に達するタイミング合わせて2次転写領域へ搬送される。そして、2次転写ローラ3にはトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加される。これにより、2次転写領域において、重ね合わされた各色トナー像は中間転写ベルト2から用紙27に一括して2次転写される。なお、2次転写後に中間転写ベルト2上に残留するトナーはベルトクリーナにより回収される。
【0022】
トナー像が2次転写された用紙27は、用紙搬送路10を通って定着装置5に送られ、そこで定着領域を通過することによりトナー像が用紙27に定着される。そして、用紙Pは排紙トレイ11に排出される。
【0023】
また、装置本体1内には、用紙搬送路10の側方を沿うようにダクト4が形成されている。このダクト4には、2次転写ローラ3の近傍に形成された吸気口41と、装置本体1の外側面に形成された通気口42と、定着装置5の用紙搬送方向下流側に形成された吹出口43とが設けられている。そして、ダクト4の内部の、吸気口41と通気口42との間には、送風機24が回動自在に設けられている。送風機24には、送風機24の排気側上方を覆うように遮断板30が取り付けられている。
【0024】
このような構成のプリンタにおいて、給紙カセット9から送り出された用紙27が2次転写ローラ3の近傍に搬送されてきたことが、紙検知センサ28によって検知されると、図1に示すように、送風機24が駆動されると共に、送風機24の送風方向が吸気口41から通気口42へ向かう方向とされる。このとき、吸気口41から吹出口43に向かう通風路は、送風機24に設けられた遮断板30によって遮られるため、吸気口41から吸い込まれた空気のほぼすべては通気口42から外部に排出される。
【0025】
2次転写領域に搬送されてきた用紙27は、送風機24による吸引によって用紙搬送路10の2次転写ローラ3側の側面に沿って搬送されるようになる。これにより、例えば先端の一部が反った状態の用紙27が搬送されてきた場合であっても、用紙27の反りが矯正された状態で2次転写領域に用紙27は搬送されるようになり、用紙27の位置ズレや詰りが確実に防止される。
【0026】
次に、図2に示すように、用紙27の先端が、2次転写領域を通過し、さらに定着装置5を通過すると、送風機24は、図1の状態から反時計回り方向に約90°回転する。すると、送風機24の送風方向は通気口42から吹出口43へ向かう方向となる。このとき、通気口42から吸気口41に向かう通風路は、送風機24に設けられた遮断板30によって遮られるため、通気口42から吸い込まれた外気のほぼすべては吹出口43へ送られる。
【0027】
吹出口43は、定着装置5よりも用紙搬送方向下流側の用紙搬送路10に面した位置に設けられており、通気口42から吸い込まれた外気は吹出口43から、定着装置5を通過した用紙27に向かって噴出される。噴出された外気によって、定着装置5で加熱された用紙27は冷却され、用紙の反りが効果的に抑えられるようになる。
【0028】
図3及び図4に送風機24の回動機構例を示す。図3は、図1の右方向から送風機24を見た図であり、図4は図2の右方向から送風機24を見た図である。送風機24は、モータ241と、モータ241の駆動軸に取り付けられた羽根242と、モータ241及び羽根242を収納するケース243とを有し、装置本体背面の筐体36に設けられた駆動源34に軸部35を介して取り付けられている。駆動源34としては送風機24を所定角度回動させるものであれば特に限定はなく、例えばソレノイドやステッピングモータなどが挙げられる。また、送風機24には、モータ241の駆動軸方向と平行に遮断板30が取り付けられており、遮断板30は送風機24の回動と共に回動する。
【0029】
送風機24の送風方向は、図3に示す位置のときは図の紙面の奥から手前方向であり、遮断板30は紙面の下から上方向への空気流れを遮断し、図4に示す位置のときは図の下から上方向へであり、遮断板30は紙面に手前から奥方向への空気流れを遮断する。
【0030】
送風機24の回動制御としては、例えば、紙検知センサ28が用紙27の先端を検知した時に、駆動源34を駆動させて送風機24を回動させ図1に示す状態とし、紙検知センサ28が用紙27の後端を検知した時に、駆動源34を駆動させて送風機24を正方向に90°回動させ図2に示す状態とする。そして、紙検知センサ28が次の用紙27の先端を検知した時に、送風機24を逆方向に90°回動させて図1の状態とする制御が挙げられる。あるいはまた、紙検知センサ28が用紙27の先端を検知した時を基準として、所定時間経過後に送風機24を図1に示す状態とし、さらに所定時間経過後に図2の状態とする制御であってもよい。
【0031】
また、画像形成を行っていない待機状態のとき、送風機24の送風方向を図1に示す方向として、装置本体1内の温度上昇を防ぐようにしてもよい。そしてまた、送風機24の送風量を可変にし、例えば、搬送される用紙の種類や大きさなどにより送風量を調整する、あるいは用紙吸引動作のときと用紙冷却動作のときとで送風量を変えるようにしてもよい。
【0032】
本発明において、ダクト4の吹出口43は、定着装置5よりも用紙搬送方向下流側の複数箇所に設けられていてもよく、その場合、排紙トレイ11上に積載された用紙に、送風機24によって送られる外気が当たるようにするのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の画像形成装置は、装置の大型化をもたらすことなく、転写領域における用紙の確実な搬送及び定着装置通過後の用紙の冷却を図ることができ有用である。
【符号の説明】
【0034】
1 装置本体
2 中間転写ベルト
3 二次転写ローラ
4 ダクト
5 定着装置
10 用紙搬送路
24 送風機
27 用紙
28 紙検知センサ
30 遮断板
41 吸気口
42 通気口
43 吹出口
100 画像形成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成手段と、画像形成手段で形成されたトナー像を用紙に転写させる転写手段と、用紙に転写されたトナー像を用紙に溶融定着させる定着手段とを装置本体内に有する画像形成装置において、
転写手段近傍に設けられた吸気口と、定着手段よりも用紙搬送方向下流側に設けられた吹出口と、装置外に面した通気口とを有するダクトと、このダクト内に回動自在に設けられた送風機と、搬送中の用紙の位置を検知するセンサとを設け、
前記送風機を回動させることによって、搬送中の用紙が転写手段近傍に位置するときは、前記吸気口から空気を吸い込んで前記通気口から装置外に排出し、前記用紙を吸引して用紙搬送路の一方側面に沿って前記用紙が搬送されるようにする一方、搬送中の用紙が定着手段を通過したときは、前記通気口から吸い込んだ外気を前記吹出口から吹き出させて前記用紙を冷却することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記送風機と共に回動する遮断板を前記送風機に設け、前記吸気口から空気を吸い込んでいるときは、前記遮断板によって前記吹出口への空気の流れを遮り、前記通気口から空気を吸い込んでいるときは、前記吸気口への空気の流れを遮るようにした請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−204290(P2010−204290A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48183(P2009−48183)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】