説明

画像形成装置

【課題】各交換可能部品についてその設定寿命に至った時点あるいはその前に部品交換を行うことで、部品トラブルの発生を未然に防止して画像形成装置の円滑な利用性を確保する。
【解決手段】複数の交換可能部品のそれぞれについて累積使用回数を計測する部品作動カウンタ55を備えた画像形成装置であって、カウンタ値が第1所定値よりも大きい第2所定値に達すると所定の警告を行って当該交換可能部品を交換対象とし、且つ、その時点で、カウンタ値が第1所定値に達している他の交換可能部品があれば、当該他の交換可能部品も同時交換の対象とする部品交換制御を行う制御ユニット50と、各交換可能部品について、カウンタ値が第2所定値に達したときに印字動作を「禁止する」か「禁止しない」かを予め選択する印字禁止モード選択スイッチ45とを備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機,ファクシミリ装置,プリンタ或いはこれらの複合機などに適用される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば複写機,ファクシミリ装置,プリンタ或いはこれらの複合機などに適用される画像形成装置は多数の部品で構成されており、そのうち、装置の稼働に伴う損耗や材質劣化等により寿命に至るものについては、メインテナンスによって交換可能に構成されるのが普通である。
【0003】
例えば、電子写真方式の画像形成装置について説明すれば、トナーカートリッジ,ドラムカートリッジ等の消耗品や中間転写ベルト等の単体の部品は勿論、現像器や定着器などの複数部品を組み立てて構成されたユニット品についてもユニット単位で交換可能とされている。このような部品交換の費用効率を高める観点から、単一のユニット品を複数のユニットに分割した分割構造とすることも行われている。
尚、本明細書において、「交換可能(な)部品」というときは、交換可能な単体部品のみならず、ユニット単位で交換可能に構成されたユニット品をも含むものとする。
【0004】
これらの交換可能な部品は、基本的には、使用に伴って次第に損耗が生じたり材質が劣化するものであるので、部品毎に予め寿命が設定され、この設定寿命に至った時点あるいはその前に部品交換を行うことで、部品トラブルの発生が未然に防止され、画像形成装置の円滑な利用性を維持することができる。
このため、画像形成装置に対しては、通常、装置の管理情報に基づくユーザからの連絡に応じて、或いは、通信回線を介して得られた装置の管理情報に基づいて、サービスマンがユーザの装置使用箇所に出向き、部品交換などのメインテナンスを実施するようにしている。
【0005】
これらの管理システムのうち、前者は所謂メインテナンスリクエスト機能と呼ばれるもので、例えば、装置の管理情報としてのコピー枚数が所定枚数に達すると、画像形成装置の表示部に、サービスマンにメインテナンスを依頼すべき旨が表示され、この表示に基づいてユーザはサービスステーションに連絡をするものである。
また、後者は、いわゆる管理システム機能と呼ばれるもので、例えば特許文献1に開示されているように、画像形成装置の管理情報の出力部とサービスステーションのホストコンピュータとを通信回線を介して接続しておき、装置の管理情報(例えば、コピー枚数や装置の動作状態データなど)が定期的にサービスステーションのホストコンピュータに伝送されるようにしたものである。この場合、サービスマンは、ホストコンピュータに伝送された装置の管理情報に基づいて装置の動作状態を把握し、必要なときにユーザに出向き、部品交換などのメインテナンスを実施する。
【0006】
周知のように、交換可能部品の設定寿命は部品の種類毎に異なるものであるので、部品交換などのメインテナンスを必要とする時期も部品の種類等によって異なる。また、同種類の部品で設定寿命が同じであっても、個々の部品の実際の累積使用時間または累積使用回数に応じて設定寿命の残存値が異なるので、この場合についても、部品交換などのメインテナンスを必要とする時期も個々の部品毎に異なることになる。
【0007】
従って、設定寿命の残存値が異なる複数の交換可能部品について、設定寿命の残存値の差分が比較的小さい複数の部品があった場合、或る交換可能部品が設定寿命に至ると、画像形成装置の管理情報として、単に当該部品が設定寿命に至ったことを知らせるだけでは、装置の作動を停止して当該部品を交換した後、比較的短期間で、他の交換可能部品が設定寿命に達して、再び装置の作動を停止して部品交換を行う必要が生じることになる。
このため、画像形成装置の作動停止頻度が高くなって装置の利用性が損なわれ、また、メインテナンスが非効率的で、経費も嵩むという問題があった。
【0008】
かかる問題に対して、例えば特許文献2には、画像形成装置の複数の交換可能ユニットの寿命を寿命検出手段の検出結果に基づいて判断するに際して、少なくとも一つの交換可能ユニットが寿命に達したことが検出されたとき、当該交換可能ユニット以外の少なくとも一つの他の交換可能ユニットが未だ寿命に達していないことが検出されている場合であっても、当該他の交換可能ユニットについても寿命に達していると判断し、寿命に達した交換可能ユニットだけでなく、未だ寿命に達していない他の交換可能ユニットも同時に交換するようにした構成が開示されている。
【0009】
この場合、前記他の交換可能ユニットは、未だ寿命に達していないにも拘わらず、寿命に達した交換可能ユニットの謂わば「道連れ」として、同時に(つまり、1回のメインテナンスで)交換されることになる。尚、以下においては、このような謂わば「道連れ」的な部品交換制御を、適宜、「(部品交換の)道連れ制御」と称するものとする。
このような部品交換制御を採用することにより、寿命の到達が複数のユニットで比較的短期間に連続して発生する場合でも、比較的短期間に連続してユニット交換を行う手間を省くとともに、寿命判断後の装置の動作停止時間を削減し、メインテナンス性能を向上させると共に、装置の利用性を向上させることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−89050号公報
【特許文献2】特開2003−195702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、各交換可能部品について部品毎に予め寿命を設定する場合、当該交換可能部品の正常な動作特性を保証し得る寿命閾値(以下、これを第2寿命閾値という)以外に、例えば、画像形成装置による印刷画像について一定以上の品質を保証し得る寿命閾値など、第2寿命閾値よりも小さい(短い)寿命閾値(以下、これを第1寿命閾値という)を設定することもできる。
特に、上述の部品交換の道連れ制御を採用する場合には、このような第1,第2の2通りの寿命閾値を設定しておき、或る交換可能部品の寿命カウント値が第2寿命閾値に達したことが検出されたとき、他の交換可能部品で寿命カウント値が第1寿命閾値に達しているものがあれば、第2寿命閾値に達していなくても、「道連れ」として同時交換の対象とされるように部品交換制御を行うのが好都合である。
【0012】
また、実際にメインテナンスを実施して部品交換が行われる以前に、当該部品の交換時期について、例えば画像形成装置の表示パネル上に事前に警告表示することもできる。例えば、交換可能部品の寿命カウント値が第1寿命閾値に達したときには、当該部品について例えば「交換時期が近付いている」旨を警告表示することで、部品交換時期についてユーザの注意を喚起し、メインテナンスを実施する上での利便性を高めることができる。また、交換可能部品の寿命カウント値が第2寿命閾値に達したときには、画像形成装置による印字動作を禁止すると共に、当該部品について例えば「交換時期になっている」旨を警告表示することもできる。
【0013】
前記第2寿命閾値は、一般に或る程度のマージン(つまり安全係数)を見込んで設定されるものではあるが、当該交換可能部品の正常な動作特性を保証するものであるので、当該部品の寿命カウント値がこの第2寿命閾値に達した場合には、画像形成装置による印字動作を禁止するのが最も安全サイドの対処であるが、例えば、装置が遠隔地に在りサービスマンが直ぐに駆けつけることができない場合などには、長期間にわたって印字禁止の状態が続くことにより、装置の利用性が損なわれることになる。
【0014】
このため、交換可能部品の寿命カウント値が第2寿命閾値に達したときに、画像形成装置による印字動作を「禁止する」か「禁止しない」かを部品毎に選択できる機能を設けることが考えられる。前記「禁止しない」を選択した場合には、当該交換可能部品の寿命カウント値が第2寿命閾値を越え、当該部品について例えば「交換時期になっている」旨が警告表示されても、第2寿命閾値の設定時にはマージンが見込まれていることにより、或る程度の期間は装置の印字動作を継続することができる。
【0015】
しかしながら、このような選択機能を設けることで印字動作を「禁止する」を選択した交換可能部品と印字動作を「禁止しない」を選択した交換可能部品とが混在する画像形成装置について、前述の部品交換の道連れ制御を採用した場合、印字動作を「禁止する」を選択した交換可能部品は、その寿命カウント値が第1寿命閾値に達した時点で突然に、特に、何らの事前予告を受けることなく、印字禁止状態となって部品交換されてしまう場合が生じ得る、という問題があった。
【0016】
例えば、印字動作を「禁止しない」を選択した部品Aの寿命カウント値が第2寿命閾値に達して所定の警告表示が行われた後、印字動作を「禁止する」を選択した部品Bの寿命カウント値が第1寿命閾値に達した場合、部品Aの寿命カウント値が第2寿命閾値に達していることによる部品交換の道連れ制御により、部品Bは、その時点で、寿命カウント値が第2寿命閾値に達していないにも拘わらず突然に同時交換の対象とされ(つまり、寿命カウント値が第2寿命閾値に達していると見なされ)、画像形成装置の印字動作が禁止される。すなわち、この場合、部品Bは、寿命カウント値が第2寿命閾値に達していないにも拘わらず突然に、特に、事前の警告表示を何ら受けることなく、印字禁止状態となって部品交換されることになる。
【0017】
そこで、この発明は、各交換可能部品についてその設定寿命に至った時点あるいはその前に部品交換を行うことで、部品トラブルの発生を未然に防止して画像形成装置の円滑な利用性を確保した上で、交換可能部品がその設定寿命に至った際に長期間にわたって印字禁止の状態が続くことを抑制し、しかも、設定寿命に達しないにも拘わらず突然に印字禁止状態となって交換される部品が生じるおそれを無くすることを、基本的な目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このため、本願発明に係る画像形成装置は、複数の交換可能部品を有し、各交換可能部品のそれぞれについて累積使用回数または累積使用時間を計測する計測手段を備えた画像形成装置であって、
前記計測手段の計測値が第1所定値よりも大きい第2所定値に達すると所定の警告を行って当該交換可能部品を交換対象とし、且つ、その時点で、前記計測手段の計測値が第1所定値に達している他の交換可能部品があれば、当該他の交換可能部品も同時交換の対象とする部品交換制御を行う制御手段と、
各交換可能部品について、前記計測手段の計測値が第2所定値に達したときに、画像形成装置による印字動作を「禁止する」か「禁止しない」かを予め選択するための選択手段と、を備え、
前記選択手段により前記「禁止しない」が選択されている交換可能部品について前記計測手段の計測値が第2所定値に達すると、前記「禁止しない」が選択されている他の交換可能部品については前記制御手段による前記部品交換制御を有効とする一方、前記「禁止する」が選択されている他の交換可能部品については前記制御手段による前記部品交換制御を無効とする、
ことを特徴としたものである。
【0019】
前記選択手段により前記「禁止しない」が選択されている交換可能部品について前記計測手段の計測値が第2所定値に達している場合において、前記「禁止する」が選択されている他の交換可能部品について前記計測手段の計測値が第1所定値に達したときには、交換時期が近付いている旨の予備的な事前警告を行うようにしてもよい。
この場合には、印字動作を「禁止しない」が選択されている他の交換可能部品について、前記カウンタ値が第1所定値に達すると、交換時期が近付いている旨の予備的な事前警告を行うので、当該他の部品が、第2所定値に達しないにも拘わらず、何らの警告もなく突然に印字禁止状態となって交換される事態を確実に無くすることができる。この場合、前記他の部品について、カウンタ値が第2所定値に達すると、交換時期になった旨の警告を行って印字禁止となり部品交換されるので、第1所定値になると予備的な事前警告を行い、第2所定値になると交換時期になった旨の警告を行うという2つの警告ステップを経て印字禁止状態となり部品交換を行うことができる。
【0020】
前記選択手段により前記「禁止しない」が選択されている交換可能部品について前記計測手段の計測値が第2所定値に達している場合において、前記「禁止しない」が選択されている他の交換可能部品について前記計測手段の計測値が第1所定値に達すると、交換時期になった旨の警告を行うようにしてもよい。
この場合には、印字動作を「禁止しない」が選択されている他の交換可能部品について、前記カウンタ値が第1所定値に達すると、交換時期になった旨の警告を行うので、当該他の部品が、第2所定値に達しないにも拘わらず、何らの警告もなく突然に印字禁止状態となって交換される事態を確実に無くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本願発明によれば、或る交換可能部品の累積使用回数または累積使用時間の計測値が第1所定値よりも大きい第2所定値に達すると所定の警告を行って当該交換可能部品を交換対象とし、且つ、その時点で、前記計測手段の計測値が(第2所定値よりも小さい)第1所定値に達している他の交換可能部品があれば、当該他の交換可能部品も同時交換の対象とする部品交換制御(つまり、部品交換の「道連れ制御」)を行うので、前記或る交換可能部品および前記他の交換可能部品について、設定寿命に至った時点あるいはその前に部品交換を行うことができ、部品トラブルの発生を未然に防止して画像形成装置の円滑な利用性を確保した上で、部品交換のメインテナンス回数も低減することができる。
また、各交換可能部品について、前記計測手段の計測値が第2所定値に達したときに、画像形成装置による印字動作を「禁止する」か「禁止しない」かを予め選択するための選択手段を備えることにより、交換可能部品がその設定寿命に至った際に長期間にわたって印字禁止の状態が続くことで装置の利用性が損なわれることを抑制できる。しかも、前記選択手段により前記「禁止しない」が選択されている交換可能部品について前記計測手段の計測値が第2所定値に達すると、前記「禁止する」が選択されている他の交換可能部品については前記制御手段による前記部品交換制御を無効とするので、前記計測手段の計測値が第2所定値に達していないにも拘わらず突然に同時交換の対象とされ、印字禁止状態となって交換される部品が生じることを確実に無くすることができる。
すなわち、各交換可能部品についてその設定寿命に至った時点あるいはその前に部品交換を行うことで、部品トラブルの発生を未然に防止して画像形成装置の円滑な利用性を確保した上で、交換可能部品がその設定寿命に至った際に長期間にわたって印字禁止の状態が続くことで装置の利用性が損なわれることを抑制でき、しかも、設定寿命に至らないにも拘わらず突然に印字禁止状態となって交換される部品が生じるおそれを確実に無くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す構成図である。
【図2】前記画像形成装置の制御ユニット及びその制御系を示すブロック構成図である。
【図3】前記画像形成装置の交換可能部品について、部品交換制御を行う上での寿命閾値の設定を説明するための説明図である。
【図4】前記画像形成装置の複数の交換可能部品についての寿命閾値の例を示す説明図である。
【図5】警告表示を説明するための表示パネルの正面図であり、(a)は通常時の表示を、(b)は部品Fについての事前警告の表示を、(c)は印字「禁止しない」場合における部品Fについての交換警告の表示を、また、(d)は印字「禁止する」場合における部品Fについての交換警告の表示を、それぞれ示している。
【図6】前記実施形態の具体例1に係る部品交換制御を説明するためのタイムチャートである。
【図7】前記具体例1に係る部品交換制御を説明するためのフローチャートである。
【図8】前記実施形態の具体例2に係る部品交換制御を説明するためのタイムチャートである。
【図9】前記具体例2に係る部品交換制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成等の概略について、図1の構成図を参照しながら説明する。尚、この画像形成装置は、例えばカラー複写機として構成されたものである。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、例えば、いわゆる中間転写ベルト10を備えたタイプのカラー複写機として構成されたもので、その基本的な構成および複写動作は、従来公知の同タイプのものと同様である。
画像形成装置1は、内部の略中央に無端シート状の中間転写ベルト10を備え、該中間転写ベルト10は、その内側に配置された3つのローラ11,12,13の各外周部に支持されて掛け渡されており、例えばローラ12がモータ(不図示)で回転駆動されることにより、矢印A1の方向(図1における反時計回り方向)に回転するようになっている。
【0025】
中間転写ベルト10の水平方向に延伸する部分のうち、例えば図1における下側部分の下方には、中間転写ベルト10の回転方向上流側から順に、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色トナーにそれぞれ対応する4つの作像ユニット20Y,20M,20C,20Kが、水平方向に横並びで配置されている。また、これら作像ユニット20Y,20M,20C,20Kの反中間転写ベルト10側(つまり中間転写ベルト10と反対側:図1における下方)には、レーザ露光装置27が配設されている。
【0026】
前記作像ユニット20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、トナー画像を坦持するトナー画像坦持体としてのドラム状の感光体21Y,21M,21C,21Kと、感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kの外周表面を均一帯電させる帯電器22Y,22M,22C,22Kと、均一帯電された感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kの外周表面に前記露光装置27からのレーザ光の照射によって形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像とする現像器23Y,23M,23C,23Kと、を備えている。
【0027】
前記レーザ露光装置27は、帯電器22Y,22M,22C,22Kによって均一帯電された感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kの外周表面にレーザ光の照射によって露光を行い、感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kの外周表面にそれぞれ静電潜像を形成するものである。
本実施形態では、前記レーザ露光装置27は、好ましくは、感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kに対する像露光を一つのレーザ光源28を用いた光学系で行うもので、各感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kの外周表面の所定の照射ポイントをそれぞれ指向するレーザ光を生成するためのミラー29Y,29M,29C,29Kが備えられている。
【0028】
前記各現像器23Y,23M,23C,23Kは、各々の感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kの外周表面に対して回転可能に接触する現像ローラ24と、該現像ローラ24にトナーを供給する供給機構としての例えばスクリュー式のトナー供給装置(トナー供給スクリュー)25と、該トナー供給装置25への補給トナーを攪拌する攪拌機構としての例えばスクリュー式の攪拌装置(トナー攪拌スクリュー)26と、を備えている。
【0029】
前記中間転写ベルト10は、各感光体ドラム21の外周表面に形成され坦持されたトナー画像がそれぞれ転写されるベルトであり、各作像ユニット20Y,20M,20C,20Kの感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kは、その外周表面がこの中間転写ベルト10にそれぞれ接触した状態で、該中間転写ベルト10に沿って横並びで互いに平行に配置されている。
また、各作像ユニット20Y,20M,20C,20Kに対応して、感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kとの間で、中間転写ベルト10を挟むようにして4つの一次転写ローラ15が回転可能に設けられている。
【0030】
中間転写ベルト10の図1における上方には、前記4色のトナーにそれぞれ対応する4つのトナーボトル30Y,30M,30C,30Kが横並びで配列されている。各色のトナーは、必要に応じて、各トナーボトル30から、対応する作像ユニット20Y,20M,20C,20Kの現像器23Y,23M,23C,23Kにそれぞれ供給(補給)されるようになっている。
【0031】
尚、本実施形態では、使用頻度が高い黒用トナーを貯える黒用トナーボトル30Kが、他の3種のカラー用トナーのトナーボトル30Y,30M,30Cよりも若干大容量に設定され、トナー残量の減少に伴うメインテナンス期間が黒用トナーボトル30Kのみについて極端に短くなることを回避するようにしている。
また、感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kについても、使用頻度が高い黒用感光体ドラム21Kを他のカラー用のもの21Y,21M,21Cよりも若干大径にして耐久性の向上を図り、感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kのメインテナンス期間が、黒用感光体ドラム21Kのみについて極端に短くなることがないようにしている。
【0032】
更に、現像器23Y,23M,23C,23Kについても、同様の観点から、使用頻度が高い黒用の現像ローラ24,トナー供給スクリュー25,トナー攪拌スクリュー26が、他のカラー用のものよりもそれぞれ大径に設定され、また、黒用の現像器23Kのトナー収容スペースが、他のカラー用の現像器23Y,23M,23Cのトナー収容スペースよりも大きく設定されている。
【0033】
中間転写ベルト10のローラ11で支持されている部分には、二次転写ローラ32が圧接されており、中間転写ベルト10と二次転写ローラ32との接触部が二次転写ニップ部を形成している。また、二次転写ローラ32の上方には、定着ニップ部を形成するローラ対型の定着器33が配置されている。
【0034】
画像形成装置1の図1における下部には給紙部40が設けられており、給紙部40に積載収容された用紙は、給紙ローラ(不図示)の回転によって、指定された給紙トレイ(不図示)の最上部のものから1枚ずつ送り出され、多数の搬送ローラ対36により用紙搬送経路35に沿って上方に向かって送られる。そして、二次転写ニップ部を通過することでトナー画像が転写され、更に、定着ニップを通過することで定着処理された上で、排紙部4に排出されるようになっている。このようなプリント動作は、従来公知の装置における場合と同様である。
【0035】
尚、前記排紙部4の上側には、複写すべき画像(ユーザ原稿)を取り込んで画像データに変換するイメージスキャナ(画像読取)部5が位置しており、上述の中間転写ベルト10や作像ユニット20Y,20M,20C,20K等を備えて用紙への複写(印刷)を行うプリンタ部2は、前記排紙部4の下方に位置している。
【0036】
以上のように、画像形成装置1は多数の部品(ユニット)で構成されており、そのうち、装置1の稼働に伴う損耗や材質劣化等により寿命に至るものについては、メインテナンスによって交換可能に構成されている。例えば、トナーボトル30Y,30M,30C,30Kや感光体ドラム21Y,21M,21C,21K等の消耗品や、中間転写ベルト10等の単体の部品は勿論、現像器23Y,23M,23C,23Kや定着器33など、複数部品を組み立てて構成されたユニット品についてもユニット単位で交換可能とされている。
【0037】
本実施形態では、以上のような交換可能な各部品について、前述の所謂「道連れ制御」を適用可能とすることで、各交換可能部品についてその設定寿命に至った時点あるいはその前に部品交換を行えるようにし、これにより、部品トラブルの発生を未然に防止して画像形成装置の円滑な利用性を確保できるようにしている。また、交換可能部品がその設定寿命に至った際に長期間にわたって印字禁止の状態が続くことで装置の利用性が損なわれることを抑制でき、しかも、設定寿命に達しないにも拘わらず突然に、特に、何らの事前警告を受けることなく、印字禁止状態となって交換される部品が生じるおそれを確実に無くすることができるようにしている。
【0038】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の部品交換制御について説明する。
図2は、画像形成装置1の部品交換制御を含む各種の制御を行う制御ユニット及びその制御系を示すブロック構成図である。
画像形成装置1の制御ユニット50は、例えばマイクロコンピュータを主要部として構成されており、この制御ユニット50には、図2に示すように、画像形成装置1前述のプリンタ部2,排紙部4,イメージスキャナ部5の他、イメージスキャナ部5で得られた画像データ等の信号処理を行う信号処理部6や、装置1の作動を操作する際などに用いられる操作パネル40が、信号授受可能に接続されている。
【0039】
また、前記制御ユニット50には、装置1の画質調整情報等を記憶する装置メモリ部51,現在時刻を計時するタイマ52,装置1の出荷時点からの作動回数(例えば印刷枚数)を積算してカウントする装置作動カウンタ53の他、各交換可能部品についての作動回数をカウントする部品作動カウンタ55、及び各交換可能部品について寿命判定を行う寿命判定部56、更には、新たな交換可能部品が装置1に装着された場合に、これを検出する部品装着検出部57が、それぞれ信号授受可能に接続されている。
【0040】
前記部品作動カウンタ53は、各交換可能部品に対応してそれぞれ設けられるもので、対応する交換可能部品について、装置1への装着時からの作動回数(例えば印刷枚数)を積算してカウントする。
また、前記寿命判定部56には、各交換可能部品について、その設定寿命値あるいは設定寿命値にかなり近い所定値(第2所定値)、及びこの第2所定値よりも或る程度小さい所定値(第1所定値)をそれぞれデータとして記憶したメモリ部(部品メモリ部)58が付設されている。
【0041】
そして、或る交換可能部品について、部品作動カウンタ55のカウント値が、当該交換可能部品の第1所定値に達しているか否か、更には、第2所定値に達しているか否かを判定するようになっている。また、部品作動カウンタ55のカウント値が、当該交換可能部品の第1所定値に達している場合、或いは第2所定値に達している場合には、後述するように、前記操作パネル40の表示パネル42(後述する図6参照)に、それぞれ所定の警告表示を行うようになっている。上述の第1所定値および第2所定値、並びにそれぞれの警告表示については、後で詳しく説明する。
【0042】
前記操作パネル40には、表示パネル42や種々の操作キー類(不図示)が設けられると共に、各交換可能部品について、前記部品作動カウンタ55のカウンタ値が第2所定値に達したときに、画像形成装置1による印字動作を「禁止する」か「禁止しない」かを予め選択するための選択手段として、印字禁止モード選択SW(スイッチ)45が備えられ、更に、該印字禁止モード選択スイッチ45は、印字禁止モードを選択して設定する交換可能部品を選択する部品選択キー46を備えている。
【0043】
印字禁止モード選択スイッチ45は、好ましくは、サービスマンのみが操作し得るスイッチとされており、各交換可能部品について、部品作動カウンタ55のカウンタ値が第2所定値に達したときに、画像形成装置1による印字動作を「禁止する」か「禁止しない」かの選択は、サービスマンのみが行うことができる。そして、その選択結果は、部品メモリ部58に記憶されるようになっている。
制御ユニット50には印字禁止モード判別部59が接続されており、この印字禁止モード判別部59は、部品メモリ部58に記憶されたメモリデータを読み出すことにより、判別対象の交換可能部品ついて、印字動作を「禁止する」ことを予め選択されたものであるか、或いは印字動作を「禁止しない」ことを予め選択されたものであるのかを判別し、その判別結果を制御ユニット50に出力する。
【0044】
尚、本実施形態に係る画像形成装置1は、より好ましくは、寿命判定部56からの各交換可能部品についての判定結果や、コピー枚数および装置1の動作状態データなどを含む装置1の管理情報を、図2において仮想線で示すように、通信回線62を介して、例えばサービスステーション70に設置された管理装置72(ホストコンピュータ)に伝送することができる通信ユニット60を装着できるように構成されている。画像形成装置1に通信ユニット60が装着されているか否かは、装置1の装着部に設けた装着センサ(不図示)によって検出することができる。
【0045】
この通信ユニット60を装着した場合、装置1の前記管理情報が定期的にサービスステーション70の管理装置72に伝送され、サービスマンは、この管理装置72に伝送されて来た画像形成1の管理情報に基づいて装置1の動作状態や各交換可能部品についての寿命判定結果などを把握し、必要なときにユーザに出向き、部品交換などのメインテナンスを実施することができる。つまり、いわゆる管理システム機能を付与することができる。
この場合、画像形成装置1から管理装置72に対して、具体的には、例えば、装置番号および累積複写枚数などの管理データ、交換が必要とされる部品と個数および過去のメインテナンス実施回数などのメインテナンス情報、及び、後述するように、他の部品と道連れ状態にあるか否かの道連れ情報、などの管理情報が伝送される。この管理情報を受けた管理装置72は、画像形成装置1に対して、サービスマンの訪問が必要な場合には訪問時期およびその表示指令信号を送信するようになっている。
【0046】
図3は、画像形成装置1の交換可能部品について、部品交換制御を行う上での寿命閾値の設定を説明するための説明図である。また、図4は、前記画像形成装置1の複数の交換可能部品についての寿命閾値の例を示す説明図である。
各交換可能部品については、その種類に応じて設定寿命がそれぞれ定められており、この設定寿命に至った時点あるいはその前に部品交換を行えるようにするために、図3に示すように、設定寿命値あるいは設定寿命値にかなり近い所定値(第2所定値Q)と、この第2所定値Qよりも或る程度小さい所定値(第1所定値P)とが予め定められている。本実施形態では、例えば設定寿命値を第2所定値Qとした。そして、これら第2所定値Q及び第1所定値Pが前記部品メモリ部58に読み出し可能なデータとして格納されている。
【0047】
前記第1所定値Pは、画像形成装置1による印刷画像について一定以上の品質を保証し得る閾値であり、部品作動カウンタ55のカウント値がこの第1所定値Pを越えると、画像品質が或る程度低下する可能性はあるものの、当該交換可能部品の動作に変調を来すことはない。
一方、前記第2所定値Qは、当該交換可能部品の正常な動作特性を保証し得る閾値であり、部品作動カウンタ55のカウント値がこの第2所定値Qを越えると、当該交換可能部品の動作に変調を来す可能性がある。尚、この第2所定値Qは、或る程度のマージン(つまり安全係数)を見込んで設定されている。
図4に示すように、複数の交換可能部品A,B,C,…には、それぞれ独自の第2所定値Qa,Qb,Qc,…及び第1所定値Pa,Pb,Pc,…が設定されており、両所定値の間隔も部品A,B,C,…によって様々に異なっている。
【0048】
また、前述のように、本実施形態では、或る交換可能部品について、部品作動カウンタ55のカウント値が当該交換可能部品の第1所定値Pに達している場合、或いは第2所定値Qに達している場合などには、前記操作パネル40の表示パネル42に、それぞれ所定の警告表示を行うようになっている。
図5は、これら警告表示を説明するための表示パネルの正面図であり、(a)は通常時の表示を、(b)は部品Fについての事前警告の表示を、(c)は印字を「禁止しない」場合における部品Fについての交換警告の表示を、また、(d)は印字を「禁止する」場合における部品Fについての交換警告の表示を、それぞれ示している。
【0049】
図5(a)に示されるように、通常時には、表示パネル42のメッセージ表示部43には、単に印字可能である旨が表示されている。部品作動カウンタ55のカウント値が当該交換可能部品(例えば部品F)の第1所定値Pに達し、部品Fについて予備的な事前警告を表示する場合には、図5(b)に示されるように、前記メッセージ表示部43に、部品交換時期が近付いている旨が表示され、且つ、好ましくは、メッセージ表示部43を例えば黄色等で着色表示することで注意が喚起される。
このように、部品作動カウンタ55のカウント値が当該交換可能部品の第1所定値Pに達し、予備的警告として、前記メッセージ表示部43に、部品交換時期が近付いている旨が表示されることにより(図5(b)参照)、当該交換可能部品についての交換準備を事前に始めることができ、メインテナンスが実際に必要となったときの利便性が向上する。
【0050】
更に、当該交換可能部品(例えば部品F)が前記印字を「禁止しない」を選択したものである場合において、部品作動カウンタ55のカウンタ値が更に累積カウントされ当該交換可能部品Fの第2所定値Qに達した場合など、部品Fについて交換警告を表示する場合には、図5(c)に示されるように、前記メッセージ表示部43に、部品交換時期に至った旨が表示され、且つ、好ましくは、メッセージ表示部43を例えば赤色等で着色表示することでより強く注意が喚起される。この場合には、直ちに印字禁止とされるのではなく、印字可能状態が継続される。
【0051】
また、当該交換可能部品(例えば部品F)が前記印字を「禁止する」を選択したものである場合において、部品作動カウンタ55のカウンタ値が当該交換可能部品Fの第2所定値Qに達し、部品Fについて交換警告を表示する場合には、図5(d)に示されるように、表示パネル42の全面に、部品交換時期に至った旨が表示され、且つ、好ましくは、表示パネル42の全面を例えば赤色等で着色表示することで更に強く注意が喚起されると共に、画像形成装置1による印字動作が禁止されるようになっている。
【0052】
以上のように構成された画像形成装置1の部品交換制御について、簡単化のために2つの交換可能部品の組み合わせに着目して示した具体例を挙げて説明する。
<具体例1>
具体例1は、部品作動カウンタ55のカウンタ値が第2所定値に達したときに、画像形成装置1による印字動作を「禁止しない」が予め選択されている2つの交換可能部品(例えば部品Fと部品B)の組み合わせに着目して示したものである。
【0053】
この具体例1に係る部品交換制御について、図6のタイムチャート及び図7のフローチャートを参照しながら説明する。
図6のタイムチャートに示すように、部品Fの第1所定値Pf及び第2所定値Qfは共に、部品Bの第1所定値Pbよりも小さく設定されている。従って、部品作動カウンタ55の部品Fについてのカウンタ値が、第1所定値Pfに達し更に第2所定値Qfを越えた後に、部品Bについてのカウンタ値が第1所定値Pbに達することになる。
【0054】
本実施形態では、印字禁止モード選択スイッチ45により、部品作動カウンタ55のカウンタ値が当該交換可能部品の第2所定値に達したときに印字動作を「禁止しない」が選択されている交換可能部品(部品F)について、前記部品作動カウンタ55のカウンタ値が第2所定値Qfに達すると、印字動作を「禁止しない」が選択されている他の交換可能部品については部品交換の道連れ制御を有効とする一方、印字動作を「禁止する」が選択されている他の交換可能部品については部品交換の道連れ制御を無効とするようになっている。
【0055】
この具体例1では、部品作動カウンタ55の部品Fについてのカウンタ値が第1所定値Pfを越えて第2所定値Qfに達した時点で、当該部品Fをベースにした部品交換の道連れ制御が起動され、他の交換可能部品(部品B)も印字動作を「禁止しない」が選択されているので、部品交換の道連れ制御は有効である。
従って、部品作動カウンタ55の部品Fについてのカウンタ値が第2所定値Qfを越えた後に、部品Bについてのカウンタ値が第1所定値Pbに達すると、この部品Bの第1所定値Pbに対応する時点Tfで部品交換の道連れ制御が実行される。
【0056】
すなわち、部品Bについては、カウンタ値が第1所定値Pbに達すると、部品交換の道連れ制御が適用されていなければ、表示パネル2のメッセージ表示部43に、部品交換時期が近付いている旨の予備的な事前警告(図5(b)参照)が表示されるのであるが、本具体例1では、前述のように、部品Bについて部品Fをベースとした道連れ制御が適用されるので、部品Bについてのカウンタ値が第1所定値Pbに達した時点で、部品Bも交換対象とされ、部品交換時期に至った旨の交換警告(図5(c)参照)が表示パネル2のメッセージ表示部43に表示される。
この後、部品F及び部品Bの両方について、部品交換時期に至った旨の交換警告が継続して表示され、また、サービスマンが到着して部品交換のメインテナンスが実施されるまで、画像形成装置1による印字動作が可能な状態が継続される。
【0057】
以上の部品交換制御を図7のフローチャートを参照しながら説明すれば、画像形成装置1の制御が開始されると、先ず、プリント(印刷)が実施されたか否かが継続的に判定され(ステップ#1)、この判定結果がYESになると、各交換可能部品について部品作動カウンタ55のカウンタ値をインクリメントする(ステップ#2)。尚、同時に、装置作動カウンタ53のカウンタ値もインクリメントされる。このステップ#2を終えると、部品Fと部品Bとで異なる系列の処理ステップが実行される。
【0058】
部品Fについては、ステップ#3で、部品Fについてのカウンタ値が第1所定値Pf以上になったか否かが継続的に判定され、この判定結果がYESになると、当該部品Fについて、部品交換時期が近付いている旨の予備的な事前警告(図5(b)参照)が表示パネル2のメッセージ表示部43に表示される(ステップ#4)。次いで、ステップ#5で、部品Fについてのカウンタ値が第2所定値Qf以上になったか否かが続的に判定され、この判定結果がYESになると、当該部品Fについて、部品交換時期に至った旨の交換警告(図5(c)参照)が前記メッセージ表示部43に表示されると共に(ステップ#6)、当該部品Fをベースにした部品交換の道連れ制御が起動される(ステップ#7)。尚、好ましくは、部品交換時期に至った旨の前記交換警告がメッセージ表示部43に表示されると、できるだけ速やかにサービスステーションにメインテナンスを要する旨の連絡が行われる。
【0059】
そして、部品Fをベースにした部品交換の道連れ制御が起動され(ステップ#7)、他の交換可能部品でそのカウンタ値が第1所定値以上になったものが無いかどうかのモニタ(監視)が開始される。その後は、部品Fについて、部品交換時期に至った旨の交換警告が継続して表示され、また、サービスマンが到着して部品交換のメインテナンス(ステップ#12)が実施されるまで、画像形成装置1による印字動作が可能な状態が継続される(ステップ#8)。
【0060】
一方、ステップ#2が実行された後、部品Bについては、ステップ#9で、部品Bについてのカウンタ値が第1所定値Pb以上になったか否かが継続的に判定される。そして、この判定結果がYESになると、前述のように、部品Bについて部品Fをベースとした道連れ制御が適用される関係上、部品Bについてのカウンタ値が第1所定値Pbに達した時点で、部品Bも交換対象とされ、部品交換時期に至った旨の交換警告(図5(c)参照)が表示パネル2のメッセージ表示部43に表示される(ステップ#10)。その後は、部品Bについて、部品交換時期に至った旨の交換警告が継続して表示され、また、サービスマンが到着して部品交換のメインテナンス(ステップ#12)が実施されるまで、画像形成装置1による印字動作が可能な状態が継続される(ステップ#11)。
【0061】
この場合、印字禁止モード選択スイッチ45により、部品作動カウンタ55のカウンタ値がその第2所定値Qfに達したときに印字動作を「禁止しない」が選択されている交換可能部品(部品F)について、カウンタ値が第2所定値Qfに達している場合、印字動作を「禁止しない」が選択されている他の交換可能部品Bについて、前記カウンタ値が第1所定値Pbに達すると、交換時期になった旨の警告を行うので、当該他の部品Bが、第2所定値Qbに達しないにも拘わらず、何らの警告もなく突然に印字禁止状態となって交換される事態を確実に無くすることができる。
【0062】
<具体例2>
具体例2は、部品作動カウンタ55のカウンタ値が第2所定値に達したときに、画像形成装置1による印字動作を「禁止しない」が予め選択されている交換可能部品(例えば部品F)と、印字動作を「禁止する」が予め選択されている交換可能部品(例えば部品B)の組み合わせに着目して示したものである。
【0063】
この具体例2に係る部品交換制御について、図8のタイムチャート及び図9のフローチャートを参照しながら説明する。
図8のタイムチャートに示すように、前述の具体例1における場合と同様に、部品Fの第1所定値Pf及び第2所定値Qfは共に、部品Bの第1所定値Pbよりも小さく設定されている。従って、部品作動カウンタ55の部品Fについてのカウンタ値が、第1所定値Pfに達し更に第2所定値Qfを越えた後に、部品Bについてのカウンタ値が第1所定値Pbに達することになる。
【0064】
この具体例2では、部品作動カウンタ55の部品Fについてのカウンタ値が第1所定値Pfを越えて第2所定値Qfに達した時点で、当該部品Fをベースにした部品交換の道連れ制御が起動されるが、他の交換可能部品(部品B)は印字動作を「禁止する」が選択されているので、部品交換の道連れ制御は無効とされる。従って、部品作動カウンタ55の部品Fについてのカウンタ値が第2所定値Qfを越えた後に、部品Bについてのカウンタ値が第1所定値Pbに達しても、部品交換の道連れ制御が実行されることはない。
【0065】
すなわち、部品Bについては、カウンタ値が第1所定値Pbに達すると、部品交換の道連れ制御が適用されないので、表示パネル2のメッセージ表示部43に、部品交換時期が近付いている旨の予備的な事前警告(図5(b)参照)が表示される。そして、部品Bについてのカウンタ値が第2所定値Qbに達すると、部品交換時期に至った旨が表示パネル42の全面に表示されると共に(図5(d)参照)、画像形成装置1による印字動作が禁止されるようになっている。
【0066】
以上の部品交換制御を図9のフローチャートを参照しながら説明する。
図9のフローチャートにおけるステップ#21〜ステップ#29の各ステップの処理内容は、具体例1を説明する図79のフローチャートにおけるステップ#1〜ステップ#9の各ステップの処理内容と、基本的に同一である。唯一の違いは、この具体例2においては、ステップ#27で、当該部品Fをベースにした部品交換の道連れ制御が起動されても、その道連れ制御は無効とされ実行されない点である。
【0067】
従って、部品Bについてのカウンタ値が第1所定値Pb以上になったか否か(ステップ#29)の判定結果がYESになると、前述のように、部品Bについて部品Fをベースとした道連れ制御は適用されないので、ステップ#30で、部品交換時期が近付いている旨の予備的な事前警告(図5(b)参照)が表示パネル2のメッセージ表示部43に表示される。
【0068】
次いで、ステップ#31で、部品Bについてのカウンタ値が第2所定値Qb以上になったか否かが継続的に判定され、この判定結果がYESになると、部品Bは、前述のように、印字動作を「禁止する」が選択されているので、ステップ#32で、部品交換時期に至った旨が表示パネル42の全面に表示されると共に(図5(d)参照)、画像形成装置1による印字動作が禁止される(ステップ#33)。そして、ステップ#34で、メインテナンスが実施され部品F及び部品Bが共に交換されるようになっている。
【0069】
この場合、印字禁止モード選択スイッチ45により、部品作動カウンタ55のカウンタ値がその第2所定値Qfに達したときに印字動作を「禁止しない」が選択されている交換可能部品(部品F)について、カウンタ値が第2所定値Qfに達している場合、印字動作を「禁止する」が選択されている他の交換可能部品Bについて、前記カウンタ値が第1所定値Pbに達すると、部品交換時期が近付いている旨の予備的な事前警告を行うので、当該他の部品Bが、第2所定値Qbに達しないにも拘わらず、何らの警告もなく突然に印字禁止状態となって交換される事態を確実に無くすることができる。
【0070】
この場合、前記他の部品Bについて、カウンタ値が第2所定値Qbに達すると、交換時期になった旨の警告を行って印字禁止となり部品交換されるので、第1所定値Pbになると予備的な事前警告を行い、第2所定値Qbになると交換時期になった旨の警告を行うという2つの警告ステップを経て印字禁止状態となり部品交換を行うことができる。
【0071】
以上、説明したように、本実施形態によれば、或る交換可能部品Fの累積使用回数をカウントする部品作動カウンタ55のカウンタ値が第1所定値Pfよりも大きい第2所定値Qfに達すると所定の警告を行って当該交換可能部品Fを交換対象とし、且つ、その時点で、前記カウンタ値が(第2所定値Qbよりも小さい)第1所定値Pbに達している他の交換可能部品Bがあれば、当該他の交換可能部品Bも同時交換の対象とする部品交換制御(つまり、部品交換の「道連れ制御」)を行うので、前記或る交換可能部品Fおよび前記他の交換可能部品Bについて、設定寿命に至った時点あるいはその前に部品交換を行うことができ、部品トラブルの発生を未然に防止して画像形成装置1の円滑な利用性を確保した上で、部品交換のメインテナンス回数も低減することができる。
【0072】
また、各交換可能部品について、前記カウンタ値が第2所定値に達したときに、画像形成装置1による印字動作を「禁止する」か「禁止しない」かを予め選択するための印字禁止モード選択スイッチ45を備えることにより、交換可能部品がその設定寿命に至った際に長期間にわたって印字禁止の状態が続くことで装置1の利用性が損なわれることを抑制できる。しかも、前記選択スイッチ45により前記「禁止しない」が選択されている交換可能部品Fについて前記カウンタ値が第2所定値Qfに達すると、前記「禁止する」が選択されている他の交換可能部品Bについては部品交換の道連れ制御を無効とするので、前記カウンタ値が第2所定値Qbに達していないにも拘わらず突然に同時交換の対象とされ、印字禁止状態となって交換される部品が生じることを確実に無くすることができる。
【0073】
すなわち、各交換可能部品についてその設定寿命に至った時点あるいはその前に部品交換を行うことで、部品トラブルの発生を未然に防止して画像形成装置1の円滑な利用性を確保した上で、交換可能部品がその設定寿命に至った際に長期間にわたって印字禁止の状態が続くことで装置1の利用性が損なわれることを抑制でき、しかも、設定寿命に至らないにも拘わらず突然に印字禁止状態となって交換される部品が生じるおそれを確実に無くすることができる。
【0074】
尚、以上の実施形態では、部品作動カウンタ55は、各交換可能部品についてその累積使用回数をカウントするものであったが、この代わりに累積使用時間をカウントするようにしてもよい。
このように、本発明は、以上の実施形態やその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更や修正を加え得るものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば複写機,ファクシミリ装置,プリンタ或いはこれらの複合機などに適用される画像形成装置として、有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
42 表示パネル
43 メッセージ表示部
45 印字禁止モード選択スイッチ
46 部品選択キー
50 制御ユニット
55 部品作動カウンタ
56 寿命判定部
59 印字禁止モード判別部
A,B,C,D,E,F 交換可能部品
P,Pa,Pb,Pc,Pd,Pe,Pf 第1所定値
Q,Qa,Qb,Qc,Qd,Qe,Qf 第2所定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の交換可能部品を有し、各交換可能部品のそれぞれについて累積使用回数または累積使用時間を計測する計測手段を備えた画像形成装置であって、
前記計測手段の計測値が第1所定値よりも大きい第2所定値に達すると所定の警告を行って当該交換可能部品を交換対象とし、且つ、その時点で、前記計測手段の計測値が第1所定値に達している他の交換可能部品があれば、当該他の交換可能部品も同時交換の対象とする部品交換制御を行う制御手段と、
各交換可能部品について、前記計測手段の計測値が第2所定値に達したときに、画像形成装置による印字動作を「禁止する」か「禁止しない」かを予め選択するための選択手段と、を備え、
前記選択手段により前記「禁止しない」が選択されている交換可能部品について前記計測手段の計測値が第2所定値に達すると、前記「禁止しない」が選択されている他の交換可能部品については前記制御手段による前記部品交換制御を有効とする一方、前記「禁止する」が選択されている他の交換可能部品については前記制御手段による前記部品交換制御を無効とする、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記選択手段により前記「禁止しない」が選択されている交換可能部品について前記計測手段の計測値が第2所定値に達している場合において、前記「禁止する」が選択されている他の交換可能部品について前記計測手段の計測値が第1所定値に達したときには、交換時期が近付いている旨の予備的な事前警告を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択手段により前記「禁止しない」が選択されている交換可能部品について前記計測手段の計測値が第2所定値に達している場合において、前記「禁止しない」が選択されている他の交換可能部品について前記計測手段の計測値が第1所定値に達すると、交換時期になった旨の警告を行う、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−208076(P2010−208076A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54856(P2009−54856)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】