画像形成装置
【課題】感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部を定着部の熱から効果的に遮断することにより小型化が実現可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】電子写真プロセスによる画像形成に用いる環状の感光体と、前記周面に形成される静電潜像をトナーを用いて現像を行う現像部と、前記現像部へ供給するトナーを収容するトナー収容部と、前記感光体の周面上の一側部に接触し下方から上方へ通過する印刷シートに現像されたトナーの転写を行う転写部と、前記転写後、前記感光体の周面上に残留するトナーを回収するクリーニング部と、前記転写部を通過した後印刷シートが搬送される先に配置され、前記印刷シート上に転写されたトナーの熱による定着を行う定着部と、前記感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部を前記定着部から熱的に隔てるべく前記定着部との間に配置される冷却用ダクトとを備えることを特徴とする画像形成装置。
【解決手段】電子写真プロセスによる画像形成に用いる環状の感光体と、前記周面に形成される静電潜像をトナーを用いて現像を行う現像部と、前記現像部へ供給するトナーを収容するトナー収容部と、前記感光体の周面上の一側部に接触し下方から上方へ通過する印刷シートに現像されたトナーの転写を行う転写部と、前記転写後、前記感光体の周面上に残留するトナーを回収するクリーニング部と、前記転写部を通過した後印刷シートが搬送される先に配置され、前記印刷シート上に転写されたトナーの熱による定着を行う定着部と、前記感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部を前記定着部から熱的に隔てるべく前記定着部との間に配置される冷却用ダクトとを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、より詳細には画像形成装置における電子写真プロセス用の感光体、現像部、トナー収容部およびレーザー走査部の配置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置の小型化のために電子写真プロセス用の感光体ドラムの小径化が進んでいる。中低速機では直径が30mm程度の感光体ドラムが一般的になりつつある。低コスト化の要請、省資源化の要請等がその背景にあり、また、感光体材料の特性および電子写真プロセス技術の技術的進歩がそれを可能にしている。
【0003】
また、装置の小型化のため、印刷シートを縦方向に搬送するレイアウト(以下、縦搬送レイアウト)が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
一方で、画像形成装置の高機能化も進んでおり、中低速機であっても自動両面印刷機能への対応は当然のようになされている。省資源化の要請がその背景にある。
【特許文献1】特開2006−78575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
感光体ドラムの小径化に伴い、感光体の周辺に配置される帯電、現像、転写、クリーニング等電子写真プロセスに係る各工程を実行するためのステーションが密集する。
感光体ドラム上で現像されたトナーは、前記印刷シートに転写された後定着部に導かれる。定着部は、前記トナーに熱を加えて溶融し印刷シート上に定着させる。このため、定着部にはトナーを溶融させるための熱源が設けられる。従って、定着部の近くに配置されたステーションは、画像形成動作中、定着部からの熱により高い雰囲気温度に置かれる。
定着部は、印刷シートが搬送される経路のうち、転写部の下流側に配置される。縦搬送レイアウトにおいては、印刷シートが転写部の下方から上方へ通過するので定着部は転写部の上方に配置される。装置の小型化のために定着部が転写部の近くに配置されると、定着部からの熱による各ステーションへの影響を考慮する必要がある。特に、トナーを扱う感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部においてトナーのかたまりが発生するなどの悪影響が生じないよう十分に考慮する必要がある。これらを定着部の熱から効果的に遮断することのできる手法が望まれている。
また、多数の印刷シートに両面印刷を行うと第1面の印刷時に熱せられた印刷シートが第2面の転写時に感光体に接触し、それによって感光体ドラムが次第に熱せられる。感光体ドラムに与えられた熱は、それと接触する現像部へ伝わり、それによって現像部内でトナーのかたまりが発生することがある。これを回避するためには、放熱用の空気の流れを作ることが好ましい。
【0005】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部を定着部の熱から効果的に遮断することにより小型化が実現可能な画像形成装置を提供するものである。また、感光体および現像部を効果的に放熱することのできる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、電子写真プロセスによる画像形成に用いる環状の感光体と、前記周面に形成される静電潜像をトナーを用いて現像を行う現像部と、前記現像部へ供給するトナーを収容するトナー収容部と、前記感光体の周面上の一側部に接触し下方から上方へ通過する印刷シートに現像されたトナーの転写を行う転写部と、前記転写後、前記感光体の周面上に残留するトナーを回収するクリーニング部と、前記転写部を通過した後印刷シートが搬送される先に配置され、前記印刷シート上に転写されたトナーの熱による定着を行う定着部と、前記感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部を前記定着部から熱的に隔てるべく前記定着部との間に配置される冷却用ダクトとを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
この発明の画像形成装置は、感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部を前記定着部から熱的に隔てるべく前記定着部との間に配置される冷却用ダクトとを備えるので、感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部を定着部の熱から効果的に遮断することができる。従って、熱によりトナーのかたまりが発生するといったような弊害の発生を回避しながら装置を小型化することができる。
【0008】
この発明において、感光体は環状(エンドレス状)のものである。その代表例は、ドラム状のものである。しかし、その形状はこれに限定されるものではなく、無端ベルト状のものであってもよい。また、感光体は電子写真プロセスに適用可能なものであればその材質や物性は特に限定されない。画像形成時、感光体の周面は一方向(副走査方向)に移動する。ドラム状感光体では、ドラムの回転により周面が移動する。
【0009】
現像に用いられるトナーは、一成分、二成分の種別を問わないが、現像部とトナー収容部が分離されて配置されることが極めて好ましい。現像部は、感光体の周面を現像するため周面と対向して主走査方向に延びるように配置される。トナー収容部は、現像部から所定距離を隔てて配置されることが極めて好ましい。前記所定距離は、少なくとも現像部とトナー収容部との間に形成される空隙を介して前記周面へ走査ビームを照射し得る距離であることが極めて好ましい。
【0010】
転写部は、現像されたトナーを印刷シート上に転写する。この発明において、転写部は後述の実施形態のようにローラ転写方式を採用したものであってもよいが、特にこれに限定されるものでない。コロナ転写方式等、他の方式であってもよい。
クリーニング部は、転写後前記感光体の周面上に残留するトナーを回収し、感光体の周面を物理的にきれいな状態にする。この発明において、クリーニング部は後述の実施形態のようにブレードクリーニング方式を採用したものであってもよいが、特にこれに限定されるものでない。ブラシクリーニング方式等、他の方式であってもよい。
【0011】
定着部は、印刷シート上に転写されたトナーを熱で溶融させ、前記印刷シート上に定着させる。この発明において、定着部は、後述の実施形態のように熱ローラ定着方式を採用したものであってもよいが、特にこれに限定されるものでない。熱源を備えたものであれば、フラッシュ定着方式など他の方式であってもよい。
【0012】
以下、この発明の好ましい態様について説明する。
この発明の画像形成装置において、前記感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部は装置本体に配されたレールに沿って抜き差し可能なユニットとして構成され、前記ダクトの少なくとも一部は、前記レール部分および/または前記ユニットの外装部分によって構成されてもよい。このようにすれば、ダクトを構成する部材を他の機能と兼用させることができるので、コスト的に有利であるだけでなく装置の小型化にも寄与する。
【0013】
また、前記ダクトは、その一端部に排気用ファンが配置され、前記排気用ファンは前記ダクト内の空気をダクト外へ排出させるようにしてもよい。このようにすれば、ダクト内の空気を強制的に移動させることによりダクト内に絶えず冷えた空気を導入することができるので、限られたスペースであっても効果的に熱的な遮断を実現することができる。
【0014】
さらにまた、前記ダクトは、並行して伸びる複数の管部を有していてもよい。このようにすれば、幅広形状のダクトを配置する場合にも、ダクト内の空気を導入部側から排気部側へスムーズに導くことができる。
【0015】
前記定着部は、転写部の上方に配置され、前記クリーニング部は、転写部と定着部の間に配置され、前記現像部は、印刷シートが前記感光体に接触して通過する経路に対して転写部と反対側に配置され、前記トナー収容部は、前記現像部の上方に配置されてもよい。
【0016】
また、前記静電潜像を形成するために感光体の周面を走査するレーザー走査部をさらに備え、前記トナー収容部は、前記現像部との間に空隙が形成されるよう前記現像部から所定距離を隔てた上方に配置され、前記レーザー走査部は前記空隙を介して前記感光体の周面をレーザービームで走査するようにしてもよい。このようにすれば、前記現像部、トナー収容部など感光体周辺の各ステーションが密集する部分に前記感光体に向けて空気の流れを作ることができる。従って、前記現像部、トナー収容部および感光体を効果的に冷却することができる。
さらに、前記レーザー走査部は、前記空隙を介して前記周面へ走査ビームを照射し前記周面を露光するので、前記空隙は走査ビームが通過する光路として無駄なく使用され装置の小型化を実現することができる。
【0017】
なお、レーザー走査部は、前記周面の移動方向と直交する方向(主走査方向)にレーザービーム走査して前記周面を露光する。走査ビームが、主走査方向に感光体の周面を走査するので、トナー収容部は少なくともその一部が主走査方向と略平行に延びて現像部との間に空隙を形成する。
【0018】
感光体ドラムの小径化を行う場合の最大のネックは感光体の減衰時間(走査ビームによって露光された部分の表面電位が安定するまでの時間)である。感光体ドラムを小径化する場合、所定の減衰時間を確保するためには感光体ドラムの中心軸からみたときの走査ビームによる露光位置−現像位置の角度をより広くする必要がある。
【0019】
後に詳述する図1のように縦搬送レイアウトでは、現像部がドラムの下方に配置される。その場合、現像部の上方にトナー収容部を配置しようとすると、感光体ドラムの小径化に伴って走査ビームの光路が遮られるようになる。縦搬送レイアウトで、露光位置−現像位置の角度をより広く確保するためには、クリーナーと帯電チャージャを縦搬送路の下流側(転写部より上方の側)へ寄せ、露光位置をできるだけ上方に配置する必要がある。その一方で、現像部は縦搬送路の上流側(転写部より下方の側)に寄せる必要がある。しかし、実際にクリーナーと帯電チャージャを配置すると、露光位置はせいぜい感光体の中心軸に水平な面より上方に寄せられる程度である。ここで、トナー収容部は、現像部の上方に配置することが望ましい。重力に逆らわずトナーを現像部へ供給することができ機構的に無理がないからである。現像部の直上にトナー収容部を配置するのが最も単純である。
【0020】
一方、現像部の放熱特性を改善するためには現像部周辺に放熱用の空隙を設けることが望ましく、その観点からトナー収容部を現像部から分離して配置するのが好ましい。そこで、現像部より上方に、現像部から所定距離を隔ててトナー収容部を配置し、レーザー走査部を現像部の側方に配置し、水平よりも斜め上方に走査ビームを照射するようにして現像部上方に形成された空隙を介して前記周面への露光を行うようにすれば、露光位置を帯電チャージャに寄せて上方に配置することができる。
そこで、このように各ステーションを配置すれことにより、現像部および感光体ドラムの放熱特性を改善し、また、無駄な空隙を作らずかつ所定の減衰時間を確保することによって小型化が可能な画像形成装置を実現することができる。
【0021】
また、前記現像部は、感光体の中心軸と平行に伸びる領域で前記感光体の周面にトナーを接触させるように配置されてなり、前記現像部の一端側に配置され、トナー収容部と現像部とを連通させるトナー搬送部をさらに備え、前記トナー搬送部は、トナー収容部に収容されたトナーを現像部へ搬送するようにしてもよい。ここで、トナー搬送部はトナー収容部と一体に構成され、現像部を含む画像形成装置本体に対し着脱可能であってもよい。あるいは、トナー搬送部は感光体を含む画像形成装置本体に配置され、トナー収容部と現像部は、画像形成装置本体に対してそれぞれ着脱可能であってもよい。
さらにまた、前記印刷シートを下方から転写部へ導く縦搬送路と、前記定着部を通過した前記印刷シートを表裏反転させて前記転写部へ還流する反転搬送路とをさらに備え、前記縦搬送路は、前記転写部でトナーが転写された後に定着部、反転搬送路を経て還流させられた印刷シートを下方から前記転写部へ導くようにしてもよい。多数の印刷シートに両面印刷を行うと第1面の印刷時に熱せられた印刷シートが還流されて第2面の転写がされるとき、その印刷シートが感光体に接触することによって感光体ドラムが次第に熱せられる。感光体ドラムに与えられた熱は、それと接触する現像部へ伝わり、現像部内でトナーのかたまりが発生することがある。この態様によれば、前記現像部とトナー収容部との間に空隙が形成されることにより現像部、トナー収容部および感光体が効果的に冷却されるので、前述のようなトナーのかたまりの発生を抑制することができる。
ここで示した種々の好ましい態様は、それら複数を組み合わせることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0023】
≪画像形成装置の全体構成≫
まず、この発明に係る画像形成装置の全体構成について説明する。この発明に係る感光体、レーザー走査部、現像部、トナー収容部、縦搬送路、転写部、トナー搬送部の具体例を説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の全体構成を模式的に示す説明図である。図6に示すように、画像形成装置は、大別すると原稿読取部100、画像形成装置本体200、後処理装置300、シートスタック部400から構成される。
【0024】
上記原稿読取部100は、透明な原稿台101に載置された原稿(図示せず)を読み取るもので、そのためにスキャナ光学系111が配されている。原稿の画像は、光電変換素子(CCD(Charge Coupled Device))115によって電気信号(画像信号)に変換される。
画像形成装置本体200は、さらに画像形成部210と給送搬送部220に分けられる。画像形成部210は、前記画像信号に基づいて原稿の画像を形成する。給送搬送部220は、給送カセット221に印刷シートPを収容すると共に収容された印刷シートPを第1給送路225へ順次搬送する。第1給送路225へ搬送された印刷シートは、画像形成部210へ搬送される。
【0025】
上記画像形成部210は、電子写真プロセス用の感光体ドラム211を有している。感光体ドラム211は、この発明の感光体に相当する。感光体ドラム211の周囲には、主帯電器215、この発明のレーザー走査部としてのLSU201、この発明の現像部としての現像装置212、転写ローラ213およびクリーニング装置214が配置されている。また、この発明のトナー収容部としてのトナーカートリッジ216が配置されている。現像装置212とトナーカートリッジ216とは、感光体ドラム211の一端側に配置されたトナー搬送パイプ217により連通している。転写ローラ213は、この発明の転写部に相当し、トナー搬送パイプ217はこの発明のトナー搬送部に相当する。
【0026】
主帯電器215は、感光体ドラム211の周面を略均一に帯電させる。感光体ドラム211は、矢印方向に回転駆動される。その方向に沿って主帯電器215の下流側には、LSU201からのレーザービームが照射される露光ポイントLがある。前記画像信号に基づき出射光量が制御されたレーザービームによって露光されることにより感光体ドラム211の周面に静電潜像が形成される。露光ポイントLの下流に側にある現像装置212は、形成された静電潜像をトナーにより可視像(トナー像)化する。この実施形態では、2成分現像を行うものとする。
【0027】
現像装置212の下流側にある転写ローラ213は、印刷シートPに現像されたトナー像を転写する。転写ローラ213は、縦搬送パス226の途中に配置されている。前記印刷シートPは、レジストローラ229を通過し、縦搬送パス226の途中で転写ローラ213によりトナー像が転写され、その後立て搬送の終端に配置された定着ローラ230へ導かれる。縦搬送パス226は、この発明の縦搬送路に相当する。転写ローラ213の下流側にあるクリーニング装置214は、転写後の感光体ドラム211上に残留しているトナーを除去する。クリーニング装置は、縦搬送パス226の一部を構成している。なお、変形例として、転写ローラ213とクリーニング装置214の間に、感光体ドラム211上に残留している電荷を除去する除電器が配置されてもよい。その場合、クリーニング装置214に代えて除電器が立て搬送パス226の一部を構成する。
【0028】
ここで、定着部の下方には、冷却用ダクト240が配置されている。LSU201からのレーザービームは、原稿の画像を表す画像信号に基づき制御されると説明したが、この発明の画像形成装置はそれに限定されず、通信線を介して接続された外部のコンピュータ(図示せず)等の機器からの印刷データ、公衆回線を介して接続されるFAXからのファクシミリデータに基づいて制御されてもよい。即ち、画像形成装置は、いわゆるデジタル複合機として機能してもよい。
【0029】
転写ローラ213によってトナー像が転写された印刷シートPは、定着ローラ230を通過する際に印刷シートP上にトナーが溶融固着され、シート搬送パス231、第2切替ゲート238、第1切替ゲート235、第1排出パス233および排出ローラ232を経て第1排出部234へ排出される。あるいは、印刷シートPは、定着ローラ230の下流側に設けられた第1切替ゲート235によって後処理装置300の第2排出パス301へ導かれ、エスケープパス302またはステイプルトレイ303を経てシートスタック部400の第1シートスタックトレイ401または第2シートスタックトレイ402に排出される。
【0030】
また、給送搬送部220には、シート搬送パス231に平行して反転搬送路237が設けられている。この反転搬送路237は、印刷シートPの両面に画像を印刷する自動両面印刷機能のために設けられている。自動両面印刷の際、定着ローラ230を通過した印刷シートPは、一旦排出ローラ232へ向けて搬送された後、その後端が第2切替ゲート238を通過したところで反対方向に搬送され、第2切替ゲート238によって反転搬送路237へ導かれた後に転写ローラ213の上流側に配置されたレジストローラ229まで搬送される。その後、印刷シートPは、転写ローラ213を再び通過し、前回の通過と反対側のシート面にトナー像が転写される。トナー像が転写された印刷シートPは、定着ローラ230を経て第1排出部234、第1シートスタックトレイ401または第2シートスタックトレイ402のいずれかに排出される。
【0031】
≪冷却用ダクトの配置≫
【0032】
図3は、この実施形態の画像形成装置において、また、感光体ドラム211の周辺に配置される、主帯電器215、LSU201、現像装置212、トナーカートリッジ216、転写ローラ213、クリーニング装置214、定着ローラ230およびダクト240、242の配置を示す説明図である。図3に示すように、ダクト240は、定着ローラ213とトナーカートリッジ216との間に配置され、トナーカートリッジ216を定着ローラ213の熱から遮断している。また、ダクト242は、定着ローラ213とクリーニング装置214との間に配置され、クリーニング装置214を定着ローラ213の熱から遮断している。さらに、クリーニング装置214およびトナーカートリッジ216の下方には、感光体ドラム211、現像装置212が配置されており、ダクト240、242は、それらを定着ローラ213の熱から遮断している。
【0033】
また、トナーカートリッジ216は、現像装置212の上方に配置され、かつ、トナーカートリッジ216と現像装置212との間に空隙が形成されるよう互いに分離して配置されている。その空隙をLSU201からの走査ビームが通過する。LSU201は、現像装置212の左方に配置さている。露光ポイントは、主帯電器215のやや下流側にある。次に、ダクト240および242中の空気の流れについて説明する。
【0034】
図7は、この実施形態の画像形成装置において、ダクト240および242内の空気の流れを示す説明図である。ダクト240および242内へ空気を取り入れる導入部は、装置手前側(図3の紙面の手前側)に配置されている。前記導入部は、主帯電器215などで発生したオゾンを含む空気をダクト240および242内へ取り入れる。図7で、矢印D1aは、ダクト240へ導入される空気の流れを示す。また、矢印D2aは、ダクト242へ導入される空気の流れを示す。各ダクト内に取り入れられた空気は、装置奥側(図3の紙面奥側)へ移動した後、L字型に曲がった流路部244を経て(図9も参照のこと)、装置背面側の排出部から機外へ排出される。図7で、矢印D1bは、ダクト240内の空気の流れを、矢印D2bは、ダクト242内の空気の流れをそれぞれ示す。また、矢印D3は、流路部244内の空気の流れを示す。前記排出部には、オゾン吸着フィルタ246および排気用ファン248が配されている。前記導入部から排出部への気流はこの排気用ファン248によって作り出される。定着ローラ230とトナーカートリッジ216との間は、ダクト240中を流れる冷えた空気のエアカーテンにより熱的に遮断される。同様に、定着ローラ230とクリーニング装置214との間もダクト242中を流れる空気により熱的に遮断される。
【0035】
図8は、この実施形態に係るダクト240、242の詳細な断面形状を示す説明図である。図8に示すように、ダクトは、並行して伸びる2つの管部に分離されている。その一つは定着ローラ230が配置される部分とトナーカートリッジ216との間に配置される管部240であり、もう一つは定着ローラ230が配置される部分とクリーニング装置214との間に配置される管部242である。このように、全体として幅広のダクトを複数の管部に分離することにより、ダクト内の空気に乱れを生じさせることなく一方向、即ち、導入部から排出部へ移動させることが可能である。
【0036】
図9および図10は、この実施形態に係るダクト240、242およびL字流路部244の詳細な構成を示す説明図である。図9は、図8と同様の方向から見た場合の斜視図であり、図10は、図9と視点を変えて本体手前側、左斜め下方からダクト240、242およびL字流路部244を見たときの斜視図である。図9,10に示すように、ダクト240は図9に示す3つの部材から構成される。即ち、底部を構成するレール部材241a、天部および一方の側部を構成するダクト用部材241b、他方の側部を構成するダクト用部材241cである。レール部材241aは、クリーニング装置214、主帯電器215および感光体211が一体となってユニット化されたプロセスカートリッジを装置本体に対して抜き差しするためのガイドレールの機能を兼ねている。ただし、正確にいえば、ダクト240はそれら3つの部材に加えて、レール部材241に装着されるプロセスユニットの天面部で構成される。即ち、プロセスユニットが挿入されると、レール部材241a、ダクト用部材241b、241cおよびプロセスユニットの天面部によってダクト241が形成される。
【0037】
レール部材241aの材質は、錫メッキ鋼板である。ダクト用部材241bも同様に錫メッキ鋼板からなる。ダクト用241bには、ドロワコネクタ245が取り付けられる。図1には図示していないが、この実施形態に係る画像形成装置は、転写部および定着部の付近で紙詰まりが発生した場合、詰まった印刷シートを除去するため縦搬送路よりも給紙側の部分を右側へ引き出せるように構成されている。前記ドロワコネクタは、この紙詰まり除去のために引き出し可能な部分、即ち、転写ローラ213および反転搬送路237の部分に配置される電気部品への配線を中継するコネクタである。ダクト用部材241bに取り付けられているのは、本体側のコネクタである。ダクト用部材241cはポリカーボネイト樹脂製の部材である。
【0038】
なお、ダクト242は、ダクト用部材241bと241cから構成される。また、L字流路部244は、ダクト用部材241dと図示しない奥側のフレーム板金から構成される。ダクト用部材241dには、オゾン吸着フィルタ246の取り付け部分が形成されている。
【0039】
≪冷却用ダクトによる温度上昇抑制効果の実験例≫
ここでは、冷却用ダクトによる温度上昇抑制効果について説明する。この実施形態に係る画像形成装置において、冷却用ダクトによる温度上昇抑制効果を検証するための実験をおこなった。実験は、図8,9,10に示すダクト240および242を定着ローラ230とトナーカートリッジ216との間、定着ローラ230とクリーニング装置214との間にそれぞれ設けた場合とそうでない場合との温度上昇値の比較である。測定箇所は、クリーニング装置214内のクリーニングブレード部(A)および廃トナースクリュー部(B)、および、現像装置212内の現像ドクタ部(C)である。図11は、この実施形態における実験例における各温度測定箇所A,B,Cを示す説明図である。図中に矢印でA,B,Cを示している。常温(25-26℃)の環境下で、両面印刷を連続して3時間(約8000枚)行い、印刷動作の前後における温度差(温度上昇値、摂氏)を測定した。実験結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
目標は、トナーのかたまりが発生しないよう、各部の温度上昇後の温度を50℃以下に抑えることである。印刷前の雰囲気温度が26℃であるから、温度上昇を24度以下に抑えることができれば目標を満足する。表1に示すように、ダクトを設けることにより、各部の温度上昇が24度以下に抑えられ、目標を満足することができた。
【0042】
≪感光体の周囲の各ステーションの配置≫
続いて、感光体周辺の各ステーションの配置について説明する。図1に示す画像形成装置では、装置の小型化のために、感光体ドラム211の側方を縦方向に搬送される印刷シートにトナー像を転写するレイアウトを採用している。また、前記小型化のため、感光体の直径はできるだけ小さく設定されている。この実施形態では、感光体の直径は30mmである。前述のように、電子写真プロセスの特性上、プロセス速度(感光体の周面の移動速度)を変えずに感光体を小径化する場合に問題となるのは感光体の減衰時間である。前記減衰時間は、異なる表現をすれば、感光体ドラム211の周面の一点が露光ポイントLから現像装置211により静電潜像の可視像化が行われる位置(現像ポイント)へ移動するまでの移動時間である。所定のプロセス速度の条件下では、前記移動時間は、露光ポイントLと現像ポイント間の感光体周面に沿う距離で決まる。
【0043】
図2は、この実施形態の画像形成装置において、感光体ドラム211の周囲に配置される各ステーションの配置を示す説明図である。図2で、感光体ドラム211は、その回転軸を延長した遠方の点からみたときの形状を示している。図2には、主帯電器215、現像装置212、転写ローラ213、クリーニング装置214の配置を示している。クリーニング装置214の右側面は縦搬送パス226の一部を構成し、その部分には印刷シートPを物理的に感光体ドラム211から分離する分離爪227が配置されている。
【0044】
図2で、感光体ドラム211の周面上の露光ポイントにはL、現像ポイントにはDの符号を付している。また、感光体ドラム211の周面に沿って露光ポイントLから現像ポイントDに至る距離にPldの記号を付している。さらに、感光体ドラム211の周面上の帯電が行われるポイントにC、転写が行われるポイントにTの符号を付している。
【0045】
減衰時間は、距離Pldをプロセス速度で除した時間である。プロセス速度を変えずに感光体ドラム211を小径化するためには、感光体ドラム211の直径が小さくなっても距離Pldを一定に保つ必要がある。そのためには、感光体ドラム211の回転軸からみたときの露光ポイントLと現像ポイントDのなす角度をより広くする必要がある。
【0046】
感光体ドラム211の右側方に縦搬送パスを設けることを前提にした場合、転写ポイントTおよびクリーニング装置214の配置は感光体ドラム211の径に依存することなく決まる。転写ポイントTは、移動する印刷シートPの表面にブレ、滲みや飛び散りを生じることなく微小なトナー粒を転写する必要がある。そして、転写された未定着トナーを定着ローラ230へ導く必要がある。このため、印刷シートPの進行に無理な外力が加わらないようにしながら印刷シートPを転写ポイントTから定着ローラ230へ搬送する必要がある。必然的に、縦搬送パスは、印刷シートPを直進させるような経路に決まる。
【0047】
小径化に伴い露光ポイントLと現像ポイントDのなす角度を広げていくと、現像ポイントDは縦搬送パス226の上流側(下方)に限りなく接近し、帯電ポイントCおよび露光ポイントDは縦搬送パス226の下流側(上方)に限りなく接近する。しかし、クリーニング装置214は、クリーニングブレードを感光体ドラム211の周面に鋭角に接触させ、かつ、回収されたトナーを搬出するためのスペースを要する。従って、その小型化には限度がある。また、現像装置212は、トナーカートリッジ216から供給されるトナーを現像ポイントDへ均一に供給するための攪拌機構および対流機構を設ける必要がある。従って、その小型化には限度がある。これらの制約条件から、露光ポイントLは、感光体の回転軸を含む水平面よりやや上方の位置が限度である。また、現像ポイントDは、感光体の回転軸を含む鉛直面よりやや露光ポイントL寄りの位置が限度である。図2に示すとおりである。
【0048】
ここで、小径化に伴いトナーカートリッジ216の配置が問題となる。トナーカートリッジ216は、重力に逆らわずにトナーを現像部へ供給することができるよう現像部の上方に配置することが望ましい。
【0049】
≪現像装置および感光体ドラムの放熱用空隙≫
現像装置212内ではトナーが攪拌され、対流するのでその摩擦熱が発生する。それに加えて、自動両面印刷を行うと、第1面の転写後、定着ローラ230で熱せられた印刷シートが反転搬送路237を経て第2面の転写時に感光体ドラム211に接触する。多量の印刷シートに自動両面印刷を行うと、印刷シートから供給される熱によって感光体ドラム211の温度が次第に上昇する。
【0050】
現像装置212は、現像ローラ212aを有している。現像ローラ212aは、その内部に磁石が配置され、磁石の作用によって周面上に磁気ブラシが形成される。現像ローラ212aは感光体ドラム211の周面に対向して配置され、前記磁気ブラシが感光体ドラム211の周面と接触している。感光体ドラム211の温度が上昇すると、熱が磁気ブラシを経て現像ローラ212aおよび現像装置内の現像剤(トナーおよびキャリア)に伝わる。印刷が終了して現像装置212の攪拌が停止した後も、磁気ブラシは感光体ドラム211と接触しており、感光体ドラム211の余熱によりトナーが熱せられる。そのような状態が長く続くと、現像装置211の内部でトナーのかたまりが発生し、印刷の画質に悪影響を与える。これを回避するためには、現像装置211の放熱性を高める必要がある。
【0051】
前述のように、この実施形態では、トナーカートリッジ216と現像装置212とが互いに分離して配置されている。現像装置212の周囲に空隙が設けられているので、優れた放熱性が得られる。また、この空隙により感光体に向けて空気の流れを作ることができる。
【0052】
ここで、本願発明の特徴をよりよく理解できるように、従来のレイアウトを説明する。図6は、従来の画像形成装置における現像装置、トナーカートリッジおよびLSUの配置を示す説明図である。図6では、感光体ドラムに1211、現像装置に1212、トナーカートリッジに1216、LSUに1201の符号を付している。さらに、主帯電器に1215、転写ローラに1213、クリーニング装置に1214、定着ローラに1230の符号を付している。現像装置1212の直上には、トナーカートリッジ1216の一部が接触している。その接触部分には開口が設けられ、トナーカートリッジ1216からのトナーが開口を経て現像装置1212へ落下し、供給されるようになっている。
【0053】
現像装置1212の周囲の空気はトナーカートリッジ1216で遮られて上昇が妨げられてしまう。この点、図3の画像形成装置は、現像装置212の上方が開放されており、放熱性に優れる。しかも、現像装置212の上方の空隙は走査ビームの経路として使用されており、感光体ドラム211の周囲の限られたスペースが有効に活用されている。また、図1のレイアウトと対応させるとわかるように、第1排出部234の下方のスペースに配置されるLSU201をより低い位置に配置できるので、この点でも画像形成装置の小型化に寄与する。
【0054】
図5は、この実施形態に係るLSU201の内部構成、並びに、LSU201、現像装置212、トナーカートリッジ216および感光体ドラム211の配置を示す説明図である。(a)は上方から見た図、(b)は側方から見た図である。
図5に図示するように、レーザー光源としてのレーザダイオード201aからレーザービームが出射される。出射されたレーザービームはコリメーターレンズ201bにより、主走査方向(略水平方向)に集光され、続いてシリンドリカルレンズ201cにより、副走査(略鉛直方向)方向に集光される。その後、レーザービームは回転する多面鏡(ポリゴンミラー)201dの鏡面に仕上げられた側面に入射し、反射される。ポリゴンミラー201cは、矢印A方向に一定速度で回転している。ポリゴンミラー201dの回転に伴い、レーザービームの反射角は変化し、ポリゴンミラー201dから反射されたレーザービームは主走査方向に偏向された走査ビームとなる。走査ビームは、fθ特性を有するfθレンズ201e、201fを通り、さらに防塵ガラス201gを通ってLSU201から外部へ出射される。
【0055】
出射された走査ビームは、現像装置212とその上方のトナーカートリッジ216の間の空隙を介して感光ドラム211に至り、その周面を主走査方向、即ち、感光体ドラム211の回転軸に沿う方向に走査する。感光体ドラム211は、矢印B方向に回転駆動される。走査ビームで露光されることにより、感光ドラム211の周面上に静電潜像が形成される。
【0056】
≪露光ポイントのバラツキとLSUの取付け≫
図3で、LSU201内のレーザー発光部から感光体ドラム211の中心までの距離は50mmである。露光ポイントは、感光体の回転軸を含む水平面から2mm上方の周面に位置するように設計されている。ただし、画像形成装置が組み立てられた状態で感光体ドラム211とLSU201の取付けの誤差などがあるため、鉛直方向における露光ポイントLの位置バラツキを幅3mmの範囲で許容している。
【0057】
図4は、この実施形態において、露光位置のバラツキの許容範囲を示す説明図である。図4(a)は、露光ポイントの基準位置が、感光体ドラム211の回転軸を通る水平面の上方2mmにあり、バラツキの許容範囲が基準の露光ポイントLを中心とする幅3mmの範囲にあることを示している。現像装置211とトナーカートリッジ216の間の空隙は、このバラツキを考慮して所定距離を隔てるように決定される。
【0058】
(b)は、LSU201から走査ビームが出射される位置がバラツキ許容範囲の上限位置であり、その位置から走査ビームが水平に照射されて露光ポイントがバラツキ許容範囲の上限L1になった場合、前記照射位置から走査ビームが感光体ドラム211の中心へ向けて照射されて露光ポイントがバラツキ許容範囲の下限付近L2になった場合を示している。ここで、露光ポイントL2の周面で反射された走査ビームがLSU201へ戻るとレーザーの光量が安定しないので好ましくない。そこで、(c)に示すように、LSUは、水平面よりやや上方へ向けて走査ビームが走査されるように取付け基準が設定されている。一例では、水平から3°上方向が基準である。最大の傾き角度は、水平から5°上方である。このようにすれば、取付け誤差により露光ポイントの位置がL1からL2の範囲でばらついても、周面で反射された走査ビームがLSU201へ戻ることがない。従って、反射された走査ビームに起因して走査ビームの光量にバラツキが生じるのを回避することができる。
【0059】
ここで、走査ビームを水平からやや上方に傾けて照射し、かつ、露光ポイントLが感光体ドラム211の回転軸より上方へばらつくと、周面を露光するレーザービームのスポット形状が真円にならず、感光体ドラム211の回転方向に長い楕円形状になる。しかし、この実施形態に示すように、照射角度が水平から5°、露光ポイントLが感光体ドラム211の回転軸を含む水平面から3mm上方の範囲内であれば、走査ビーム形状が画質に影響を及ぼす程ではない。
【0060】
前述の条件(LSUの傾き角度5°、露光ポイントは上限位置)に基づいて、露光ポイントLの走査ビームの照射方向と周面に垂直な方向とがなす最大の角度(露光傾き角度)を幾何学的に求めると約17度である。露光傾き角度が大きくなると傾き方向のビーム径は大きくなるが、その大きさは露光傾き角度がゼロの場合に対して4%程度にすぎない。例えば、ビーム径が70μmの場合、3μm程度ビーム径が大きくなるにすぎない。経験上、この程度の露光傾き角度では、画質に影響が及ぶことはないといえる。
【0061】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の画像形成装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
【図2】この実施形態の画像形成装置において、感光体ドラムの周囲に配置される各ステーションの配置を示す説明図である。
【図3】この実施形態の画像形成装置において、現像装置、トナーカートリッジおよびLSUの配置を示す説明図である。
【図4】この実施形態において、露光位置のバラツキの許容範囲を示す説明図である。
【図5】この実施形態に係るLSUの内部構成、並びに、LSU、現像装置、トナーカートリッジおよび感光体ドラムの配置を示す説明図である。
【図6】従来の画像形成装置における現像装置、トナーカートリッジおよびLSUの配置を示す説明図である。
【図7】この実施形態の画像形成装置において、ダクト内の空気の流れを示す説明図である。
【図8】この実施形態に係るダクトの詳細な断面形状を示す説明図である。
【図9】この実施形態に係るダクトおよびL字流路部の詳細な構成を示す第1の説明図である。
【図10】この実施形態に係るダクトおよびL字流路部の詳細な構成を示す第2の説明図である。
【図11】この実施形態における実験例における各温度測定箇所を示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
100:原稿読取部
101:原稿台
111:スキャナ光学系
115:光電変換素子、CCD
200:画像形成装置本体
201:LSU
210:画像形成部
211:感光体
212:現像装置
213:転写ローラ
214:クリーニング装置
215:主帯電器
216:トナーカートリッジ
217:トナー搬送パイプ
220:給送搬送部
221:給送カセット
225:第1給送路
226:縦搬送パス
227:分離爪
229:レジストローラ
230:定着ローラ
231:シート搬送パス
232:排出ローラ
233:第1排出パス
234:第1排出部
237:反転搬送路
238:第2切替ゲート
240:第1の冷却用ダクト
241a:レール部材
241b、241c、241d:ダクト用部材
242:第2の冷却用ダクト
244:L字流路部
245:ドロワコネクタ
246:オゾン吸着フィルタ
248:排気用ファン
300:後処理装置
301:第2排出パス
302:エスケープパス
303:ステイプルトレイ
400:シートスタック部
401:第1シートスタックトレイ
402:第2シートスタックトレイ
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、より詳細には画像形成装置における電子写真プロセス用の感光体、現像部、トナー収容部およびレーザー走査部の配置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置の小型化のために電子写真プロセス用の感光体ドラムの小径化が進んでいる。中低速機では直径が30mm程度の感光体ドラムが一般的になりつつある。低コスト化の要請、省資源化の要請等がその背景にあり、また、感光体材料の特性および電子写真プロセス技術の技術的進歩がそれを可能にしている。
【0003】
また、装置の小型化のため、印刷シートを縦方向に搬送するレイアウト(以下、縦搬送レイアウト)が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
一方で、画像形成装置の高機能化も進んでおり、中低速機であっても自動両面印刷機能への対応は当然のようになされている。省資源化の要請がその背景にある。
【特許文献1】特開2006−78575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
感光体ドラムの小径化に伴い、感光体の周辺に配置される帯電、現像、転写、クリーニング等電子写真プロセスに係る各工程を実行するためのステーションが密集する。
感光体ドラム上で現像されたトナーは、前記印刷シートに転写された後定着部に導かれる。定着部は、前記トナーに熱を加えて溶融し印刷シート上に定着させる。このため、定着部にはトナーを溶融させるための熱源が設けられる。従って、定着部の近くに配置されたステーションは、画像形成動作中、定着部からの熱により高い雰囲気温度に置かれる。
定着部は、印刷シートが搬送される経路のうち、転写部の下流側に配置される。縦搬送レイアウトにおいては、印刷シートが転写部の下方から上方へ通過するので定着部は転写部の上方に配置される。装置の小型化のために定着部が転写部の近くに配置されると、定着部からの熱による各ステーションへの影響を考慮する必要がある。特に、トナーを扱う感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部においてトナーのかたまりが発生するなどの悪影響が生じないよう十分に考慮する必要がある。これらを定着部の熱から効果的に遮断することのできる手法が望まれている。
また、多数の印刷シートに両面印刷を行うと第1面の印刷時に熱せられた印刷シートが第2面の転写時に感光体に接触し、それによって感光体ドラムが次第に熱せられる。感光体ドラムに与えられた熱は、それと接触する現像部へ伝わり、それによって現像部内でトナーのかたまりが発生することがある。これを回避するためには、放熱用の空気の流れを作ることが好ましい。
【0005】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部を定着部の熱から効果的に遮断することにより小型化が実現可能な画像形成装置を提供するものである。また、感光体および現像部を効果的に放熱することのできる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、電子写真プロセスによる画像形成に用いる環状の感光体と、前記周面に形成される静電潜像をトナーを用いて現像を行う現像部と、前記現像部へ供給するトナーを収容するトナー収容部と、前記感光体の周面上の一側部に接触し下方から上方へ通過する印刷シートに現像されたトナーの転写を行う転写部と、前記転写後、前記感光体の周面上に残留するトナーを回収するクリーニング部と、前記転写部を通過した後印刷シートが搬送される先に配置され、前記印刷シート上に転写されたトナーの熱による定着を行う定着部と、前記感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部を前記定着部から熱的に隔てるべく前記定着部との間に配置される冷却用ダクトとを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
この発明の画像形成装置は、感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部を前記定着部から熱的に隔てるべく前記定着部との間に配置される冷却用ダクトとを備えるので、感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部を定着部の熱から効果的に遮断することができる。従って、熱によりトナーのかたまりが発生するといったような弊害の発生を回避しながら装置を小型化することができる。
【0008】
この発明において、感光体は環状(エンドレス状)のものである。その代表例は、ドラム状のものである。しかし、その形状はこれに限定されるものではなく、無端ベルト状のものであってもよい。また、感光体は電子写真プロセスに適用可能なものであればその材質や物性は特に限定されない。画像形成時、感光体の周面は一方向(副走査方向)に移動する。ドラム状感光体では、ドラムの回転により周面が移動する。
【0009】
現像に用いられるトナーは、一成分、二成分の種別を問わないが、現像部とトナー収容部が分離されて配置されることが極めて好ましい。現像部は、感光体の周面を現像するため周面と対向して主走査方向に延びるように配置される。トナー収容部は、現像部から所定距離を隔てて配置されることが極めて好ましい。前記所定距離は、少なくとも現像部とトナー収容部との間に形成される空隙を介して前記周面へ走査ビームを照射し得る距離であることが極めて好ましい。
【0010】
転写部は、現像されたトナーを印刷シート上に転写する。この発明において、転写部は後述の実施形態のようにローラ転写方式を採用したものであってもよいが、特にこれに限定されるものでない。コロナ転写方式等、他の方式であってもよい。
クリーニング部は、転写後前記感光体の周面上に残留するトナーを回収し、感光体の周面を物理的にきれいな状態にする。この発明において、クリーニング部は後述の実施形態のようにブレードクリーニング方式を採用したものであってもよいが、特にこれに限定されるものでない。ブラシクリーニング方式等、他の方式であってもよい。
【0011】
定着部は、印刷シート上に転写されたトナーを熱で溶融させ、前記印刷シート上に定着させる。この発明において、定着部は、後述の実施形態のように熱ローラ定着方式を採用したものであってもよいが、特にこれに限定されるものでない。熱源を備えたものであれば、フラッシュ定着方式など他の方式であってもよい。
【0012】
以下、この発明の好ましい態様について説明する。
この発明の画像形成装置において、前記感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部は装置本体に配されたレールに沿って抜き差し可能なユニットとして構成され、前記ダクトの少なくとも一部は、前記レール部分および/または前記ユニットの外装部分によって構成されてもよい。このようにすれば、ダクトを構成する部材を他の機能と兼用させることができるので、コスト的に有利であるだけでなく装置の小型化にも寄与する。
【0013】
また、前記ダクトは、その一端部に排気用ファンが配置され、前記排気用ファンは前記ダクト内の空気をダクト外へ排出させるようにしてもよい。このようにすれば、ダクト内の空気を強制的に移動させることによりダクト内に絶えず冷えた空気を導入することができるので、限られたスペースであっても効果的に熱的な遮断を実現することができる。
【0014】
さらにまた、前記ダクトは、並行して伸びる複数の管部を有していてもよい。このようにすれば、幅広形状のダクトを配置する場合にも、ダクト内の空気を導入部側から排気部側へスムーズに導くことができる。
【0015】
前記定着部は、転写部の上方に配置され、前記クリーニング部は、転写部と定着部の間に配置され、前記現像部は、印刷シートが前記感光体に接触して通過する経路に対して転写部と反対側に配置され、前記トナー収容部は、前記現像部の上方に配置されてもよい。
【0016】
また、前記静電潜像を形成するために感光体の周面を走査するレーザー走査部をさらに備え、前記トナー収容部は、前記現像部との間に空隙が形成されるよう前記現像部から所定距離を隔てた上方に配置され、前記レーザー走査部は前記空隙を介して前記感光体の周面をレーザービームで走査するようにしてもよい。このようにすれば、前記現像部、トナー収容部など感光体周辺の各ステーションが密集する部分に前記感光体に向けて空気の流れを作ることができる。従って、前記現像部、トナー収容部および感光体を効果的に冷却することができる。
さらに、前記レーザー走査部は、前記空隙を介して前記周面へ走査ビームを照射し前記周面を露光するので、前記空隙は走査ビームが通過する光路として無駄なく使用され装置の小型化を実現することができる。
【0017】
なお、レーザー走査部は、前記周面の移動方向と直交する方向(主走査方向)にレーザービーム走査して前記周面を露光する。走査ビームが、主走査方向に感光体の周面を走査するので、トナー収容部は少なくともその一部が主走査方向と略平行に延びて現像部との間に空隙を形成する。
【0018】
感光体ドラムの小径化を行う場合の最大のネックは感光体の減衰時間(走査ビームによって露光された部分の表面電位が安定するまでの時間)である。感光体ドラムを小径化する場合、所定の減衰時間を確保するためには感光体ドラムの中心軸からみたときの走査ビームによる露光位置−現像位置の角度をより広くする必要がある。
【0019】
後に詳述する図1のように縦搬送レイアウトでは、現像部がドラムの下方に配置される。その場合、現像部の上方にトナー収容部を配置しようとすると、感光体ドラムの小径化に伴って走査ビームの光路が遮られるようになる。縦搬送レイアウトで、露光位置−現像位置の角度をより広く確保するためには、クリーナーと帯電チャージャを縦搬送路の下流側(転写部より上方の側)へ寄せ、露光位置をできるだけ上方に配置する必要がある。その一方で、現像部は縦搬送路の上流側(転写部より下方の側)に寄せる必要がある。しかし、実際にクリーナーと帯電チャージャを配置すると、露光位置はせいぜい感光体の中心軸に水平な面より上方に寄せられる程度である。ここで、トナー収容部は、現像部の上方に配置することが望ましい。重力に逆らわずトナーを現像部へ供給することができ機構的に無理がないからである。現像部の直上にトナー収容部を配置するのが最も単純である。
【0020】
一方、現像部の放熱特性を改善するためには現像部周辺に放熱用の空隙を設けることが望ましく、その観点からトナー収容部を現像部から分離して配置するのが好ましい。そこで、現像部より上方に、現像部から所定距離を隔ててトナー収容部を配置し、レーザー走査部を現像部の側方に配置し、水平よりも斜め上方に走査ビームを照射するようにして現像部上方に形成された空隙を介して前記周面への露光を行うようにすれば、露光位置を帯電チャージャに寄せて上方に配置することができる。
そこで、このように各ステーションを配置すれことにより、現像部および感光体ドラムの放熱特性を改善し、また、無駄な空隙を作らずかつ所定の減衰時間を確保することによって小型化が可能な画像形成装置を実現することができる。
【0021】
また、前記現像部は、感光体の中心軸と平行に伸びる領域で前記感光体の周面にトナーを接触させるように配置されてなり、前記現像部の一端側に配置され、トナー収容部と現像部とを連通させるトナー搬送部をさらに備え、前記トナー搬送部は、トナー収容部に収容されたトナーを現像部へ搬送するようにしてもよい。ここで、トナー搬送部はトナー収容部と一体に構成され、現像部を含む画像形成装置本体に対し着脱可能であってもよい。あるいは、トナー搬送部は感光体を含む画像形成装置本体に配置され、トナー収容部と現像部は、画像形成装置本体に対してそれぞれ着脱可能であってもよい。
さらにまた、前記印刷シートを下方から転写部へ導く縦搬送路と、前記定着部を通過した前記印刷シートを表裏反転させて前記転写部へ還流する反転搬送路とをさらに備え、前記縦搬送路は、前記転写部でトナーが転写された後に定着部、反転搬送路を経て還流させられた印刷シートを下方から前記転写部へ導くようにしてもよい。多数の印刷シートに両面印刷を行うと第1面の印刷時に熱せられた印刷シートが還流されて第2面の転写がされるとき、その印刷シートが感光体に接触することによって感光体ドラムが次第に熱せられる。感光体ドラムに与えられた熱は、それと接触する現像部へ伝わり、現像部内でトナーのかたまりが発生することがある。この態様によれば、前記現像部とトナー収容部との間に空隙が形成されることにより現像部、トナー収容部および感光体が効果的に冷却されるので、前述のようなトナーのかたまりの発生を抑制することができる。
ここで示した種々の好ましい態様は、それら複数を組み合わせることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0023】
≪画像形成装置の全体構成≫
まず、この発明に係る画像形成装置の全体構成について説明する。この発明に係る感光体、レーザー走査部、現像部、トナー収容部、縦搬送路、転写部、トナー搬送部の具体例を説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の全体構成を模式的に示す説明図である。図6に示すように、画像形成装置は、大別すると原稿読取部100、画像形成装置本体200、後処理装置300、シートスタック部400から構成される。
【0024】
上記原稿読取部100は、透明な原稿台101に載置された原稿(図示せず)を読み取るもので、そのためにスキャナ光学系111が配されている。原稿の画像は、光電変換素子(CCD(Charge Coupled Device))115によって電気信号(画像信号)に変換される。
画像形成装置本体200は、さらに画像形成部210と給送搬送部220に分けられる。画像形成部210は、前記画像信号に基づいて原稿の画像を形成する。給送搬送部220は、給送カセット221に印刷シートPを収容すると共に収容された印刷シートPを第1給送路225へ順次搬送する。第1給送路225へ搬送された印刷シートは、画像形成部210へ搬送される。
【0025】
上記画像形成部210は、電子写真プロセス用の感光体ドラム211を有している。感光体ドラム211は、この発明の感光体に相当する。感光体ドラム211の周囲には、主帯電器215、この発明のレーザー走査部としてのLSU201、この発明の現像部としての現像装置212、転写ローラ213およびクリーニング装置214が配置されている。また、この発明のトナー収容部としてのトナーカートリッジ216が配置されている。現像装置212とトナーカートリッジ216とは、感光体ドラム211の一端側に配置されたトナー搬送パイプ217により連通している。転写ローラ213は、この発明の転写部に相当し、トナー搬送パイプ217はこの発明のトナー搬送部に相当する。
【0026】
主帯電器215は、感光体ドラム211の周面を略均一に帯電させる。感光体ドラム211は、矢印方向に回転駆動される。その方向に沿って主帯電器215の下流側には、LSU201からのレーザービームが照射される露光ポイントLがある。前記画像信号に基づき出射光量が制御されたレーザービームによって露光されることにより感光体ドラム211の周面に静電潜像が形成される。露光ポイントLの下流に側にある現像装置212は、形成された静電潜像をトナーにより可視像(トナー像)化する。この実施形態では、2成分現像を行うものとする。
【0027】
現像装置212の下流側にある転写ローラ213は、印刷シートPに現像されたトナー像を転写する。転写ローラ213は、縦搬送パス226の途中に配置されている。前記印刷シートPは、レジストローラ229を通過し、縦搬送パス226の途中で転写ローラ213によりトナー像が転写され、その後立て搬送の終端に配置された定着ローラ230へ導かれる。縦搬送パス226は、この発明の縦搬送路に相当する。転写ローラ213の下流側にあるクリーニング装置214は、転写後の感光体ドラム211上に残留しているトナーを除去する。クリーニング装置は、縦搬送パス226の一部を構成している。なお、変形例として、転写ローラ213とクリーニング装置214の間に、感光体ドラム211上に残留している電荷を除去する除電器が配置されてもよい。その場合、クリーニング装置214に代えて除電器が立て搬送パス226の一部を構成する。
【0028】
ここで、定着部の下方には、冷却用ダクト240が配置されている。LSU201からのレーザービームは、原稿の画像を表す画像信号に基づき制御されると説明したが、この発明の画像形成装置はそれに限定されず、通信線を介して接続された外部のコンピュータ(図示せず)等の機器からの印刷データ、公衆回線を介して接続されるFAXからのファクシミリデータに基づいて制御されてもよい。即ち、画像形成装置は、いわゆるデジタル複合機として機能してもよい。
【0029】
転写ローラ213によってトナー像が転写された印刷シートPは、定着ローラ230を通過する際に印刷シートP上にトナーが溶融固着され、シート搬送パス231、第2切替ゲート238、第1切替ゲート235、第1排出パス233および排出ローラ232を経て第1排出部234へ排出される。あるいは、印刷シートPは、定着ローラ230の下流側に設けられた第1切替ゲート235によって後処理装置300の第2排出パス301へ導かれ、エスケープパス302またはステイプルトレイ303を経てシートスタック部400の第1シートスタックトレイ401または第2シートスタックトレイ402に排出される。
【0030】
また、給送搬送部220には、シート搬送パス231に平行して反転搬送路237が設けられている。この反転搬送路237は、印刷シートPの両面に画像を印刷する自動両面印刷機能のために設けられている。自動両面印刷の際、定着ローラ230を通過した印刷シートPは、一旦排出ローラ232へ向けて搬送された後、その後端が第2切替ゲート238を通過したところで反対方向に搬送され、第2切替ゲート238によって反転搬送路237へ導かれた後に転写ローラ213の上流側に配置されたレジストローラ229まで搬送される。その後、印刷シートPは、転写ローラ213を再び通過し、前回の通過と反対側のシート面にトナー像が転写される。トナー像が転写された印刷シートPは、定着ローラ230を経て第1排出部234、第1シートスタックトレイ401または第2シートスタックトレイ402のいずれかに排出される。
【0031】
≪冷却用ダクトの配置≫
【0032】
図3は、この実施形態の画像形成装置において、また、感光体ドラム211の周辺に配置される、主帯電器215、LSU201、現像装置212、トナーカートリッジ216、転写ローラ213、クリーニング装置214、定着ローラ230およびダクト240、242の配置を示す説明図である。図3に示すように、ダクト240は、定着ローラ213とトナーカートリッジ216との間に配置され、トナーカートリッジ216を定着ローラ213の熱から遮断している。また、ダクト242は、定着ローラ213とクリーニング装置214との間に配置され、クリーニング装置214を定着ローラ213の熱から遮断している。さらに、クリーニング装置214およびトナーカートリッジ216の下方には、感光体ドラム211、現像装置212が配置されており、ダクト240、242は、それらを定着ローラ213の熱から遮断している。
【0033】
また、トナーカートリッジ216は、現像装置212の上方に配置され、かつ、トナーカートリッジ216と現像装置212との間に空隙が形成されるよう互いに分離して配置されている。その空隙をLSU201からの走査ビームが通過する。LSU201は、現像装置212の左方に配置さている。露光ポイントは、主帯電器215のやや下流側にある。次に、ダクト240および242中の空気の流れについて説明する。
【0034】
図7は、この実施形態の画像形成装置において、ダクト240および242内の空気の流れを示す説明図である。ダクト240および242内へ空気を取り入れる導入部は、装置手前側(図3の紙面の手前側)に配置されている。前記導入部は、主帯電器215などで発生したオゾンを含む空気をダクト240および242内へ取り入れる。図7で、矢印D1aは、ダクト240へ導入される空気の流れを示す。また、矢印D2aは、ダクト242へ導入される空気の流れを示す。各ダクト内に取り入れられた空気は、装置奥側(図3の紙面奥側)へ移動した後、L字型に曲がった流路部244を経て(図9も参照のこと)、装置背面側の排出部から機外へ排出される。図7で、矢印D1bは、ダクト240内の空気の流れを、矢印D2bは、ダクト242内の空気の流れをそれぞれ示す。また、矢印D3は、流路部244内の空気の流れを示す。前記排出部には、オゾン吸着フィルタ246および排気用ファン248が配されている。前記導入部から排出部への気流はこの排気用ファン248によって作り出される。定着ローラ230とトナーカートリッジ216との間は、ダクト240中を流れる冷えた空気のエアカーテンにより熱的に遮断される。同様に、定着ローラ230とクリーニング装置214との間もダクト242中を流れる空気により熱的に遮断される。
【0035】
図8は、この実施形態に係るダクト240、242の詳細な断面形状を示す説明図である。図8に示すように、ダクトは、並行して伸びる2つの管部に分離されている。その一つは定着ローラ230が配置される部分とトナーカートリッジ216との間に配置される管部240であり、もう一つは定着ローラ230が配置される部分とクリーニング装置214との間に配置される管部242である。このように、全体として幅広のダクトを複数の管部に分離することにより、ダクト内の空気に乱れを生じさせることなく一方向、即ち、導入部から排出部へ移動させることが可能である。
【0036】
図9および図10は、この実施形態に係るダクト240、242およびL字流路部244の詳細な構成を示す説明図である。図9は、図8と同様の方向から見た場合の斜視図であり、図10は、図9と視点を変えて本体手前側、左斜め下方からダクト240、242およびL字流路部244を見たときの斜視図である。図9,10に示すように、ダクト240は図9に示す3つの部材から構成される。即ち、底部を構成するレール部材241a、天部および一方の側部を構成するダクト用部材241b、他方の側部を構成するダクト用部材241cである。レール部材241aは、クリーニング装置214、主帯電器215および感光体211が一体となってユニット化されたプロセスカートリッジを装置本体に対して抜き差しするためのガイドレールの機能を兼ねている。ただし、正確にいえば、ダクト240はそれら3つの部材に加えて、レール部材241に装着されるプロセスユニットの天面部で構成される。即ち、プロセスユニットが挿入されると、レール部材241a、ダクト用部材241b、241cおよびプロセスユニットの天面部によってダクト241が形成される。
【0037】
レール部材241aの材質は、錫メッキ鋼板である。ダクト用部材241bも同様に錫メッキ鋼板からなる。ダクト用241bには、ドロワコネクタ245が取り付けられる。図1には図示していないが、この実施形態に係る画像形成装置は、転写部および定着部の付近で紙詰まりが発生した場合、詰まった印刷シートを除去するため縦搬送路よりも給紙側の部分を右側へ引き出せるように構成されている。前記ドロワコネクタは、この紙詰まり除去のために引き出し可能な部分、即ち、転写ローラ213および反転搬送路237の部分に配置される電気部品への配線を中継するコネクタである。ダクト用部材241bに取り付けられているのは、本体側のコネクタである。ダクト用部材241cはポリカーボネイト樹脂製の部材である。
【0038】
なお、ダクト242は、ダクト用部材241bと241cから構成される。また、L字流路部244は、ダクト用部材241dと図示しない奥側のフレーム板金から構成される。ダクト用部材241dには、オゾン吸着フィルタ246の取り付け部分が形成されている。
【0039】
≪冷却用ダクトによる温度上昇抑制効果の実験例≫
ここでは、冷却用ダクトによる温度上昇抑制効果について説明する。この実施形態に係る画像形成装置において、冷却用ダクトによる温度上昇抑制効果を検証するための実験をおこなった。実験は、図8,9,10に示すダクト240および242を定着ローラ230とトナーカートリッジ216との間、定着ローラ230とクリーニング装置214との間にそれぞれ設けた場合とそうでない場合との温度上昇値の比較である。測定箇所は、クリーニング装置214内のクリーニングブレード部(A)および廃トナースクリュー部(B)、および、現像装置212内の現像ドクタ部(C)である。図11は、この実施形態における実験例における各温度測定箇所A,B,Cを示す説明図である。図中に矢印でA,B,Cを示している。常温(25-26℃)の環境下で、両面印刷を連続して3時間(約8000枚)行い、印刷動作の前後における温度差(温度上昇値、摂氏)を測定した。実験結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
目標は、トナーのかたまりが発生しないよう、各部の温度上昇後の温度を50℃以下に抑えることである。印刷前の雰囲気温度が26℃であるから、温度上昇を24度以下に抑えることができれば目標を満足する。表1に示すように、ダクトを設けることにより、各部の温度上昇が24度以下に抑えられ、目標を満足することができた。
【0042】
≪感光体の周囲の各ステーションの配置≫
続いて、感光体周辺の各ステーションの配置について説明する。図1に示す画像形成装置では、装置の小型化のために、感光体ドラム211の側方を縦方向に搬送される印刷シートにトナー像を転写するレイアウトを採用している。また、前記小型化のため、感光体の直径はできるだけ小さく設定されている。この実施形態では、感光体の直径は30mmである。前述のように、電子写真プロセスの特性上、プロセス速度(感光体の周面の移動速度)を変えずに感光体を小径化する場合に問題となるのは感光体の減衰時間である。前記減衰時間は、異なる表現をすれば、感光体ドラム211の周面の一点が露光ポイントLから現像装置211により静電潜像の可視像化が行われる位置(現像ポイント)へ移動するまでの移動時間である。所定のプロセス速度の条件下では、前記移動時間は、露光ポイントLと現像ポイント間の感光体周面に沿う距離で決まる。
【0043】
図2は、この実施形態の画像形成装置において、感光体ドラム211の周囲に配置される各ステーションの配置を示す説明図である。図2で、感光体ドラム211は、その回転軸を延長した遠方の点からみたときの形状を示している。図2には、主帯電器215、現像装置212、転写ローラ213、クリーニング装置214の配置を示している。クリーニング装置214の右側面は縦搬送パス226の一部を構成し、その部分には印刷シートPを物理的に感光体ドラム211から分離する分離爪227が配置されている。
【0044】
図2で、感光体ドラム211の周面上の露光ポイントにはL、現像ポイントにはDの符号を付している。また、感光体ドラム211の周面に沿って露光ポイントLから現像ポイントDに至る距離にPldの記号を付している。さらに、感光体ドラム211の周面上の帯電が行われるポイントにC、転写が行われるポイントにTの符号を付している。
【0045】
減衰時間は、距離Pldをプロセス速度で除した時間である。プロセス速度を変えずに感光体ドラム211を小径化するためには、感光体ドラム211の直径が小さくなっても距離Pldを一定に保つ必要がある。そのためには、感光体ドラム211の回転軸からみたときの露光ポイントLと現像ポイントDのなす角度をより広くする必要がある。
【0046】
感光体ドラム211の右側方に縦搬送パスを設けることを前提にした場合、転写ポイントTおよびクリーニング装置214の配置は感光体ドラム211の径に依存することなく決まる。転写ポイントTは、移動する印刷シートPの表面にブレ、滲みや飛び散りを生じることなく微小なトナー粒を転写する必要がある。そして、転写された未定着トナーを定着ローラ230へ導く必要がある。このため、印刷シートPの進行に無理な外力が加わらないようにしながら印刷シートPを転写ポイントTから定着ローラ230へ搬送する必要がある。必然的に、縦搬送パスは、印刷シートPを直進させるような経路に決まる。
【0047】
小径化に伴い露光ポイントLと現像ポイントDのなす角度を広げていくと、現像ポイントDは縦搬送パス226の上流側(下方)に限りなく接近し、帯電ポイントCおよび露光ポイントDは縦搬送パス226の下流側(上方)に限りなく接近する。しかし、クリーニング装置214は、クリーニングブレードを感光体ドラム211の周面に鋭角に接触させ、かつ、回収されたトナーを搬出するためのスペースを要する。従って、その小型化には限度がある。また、現像装置212は、トナーカートリッジ216から供給されるトナーを現像ポイントDへ均一に供給するための攪拌機構および対流機構を設ける必要がある。従って、その小型化には限度がある。これらの制約条件から、露光ポイントLは、感光体の回転軸を含む水平面よりやや上方の位置が限度である。また、現像ポイントDは、感光体の回転軸を含む鉛直面よりやや露光ポイントL寄りの位置が限度である。図2に示すとおりである。
【0048】
ここで、小径化に伴いトナーカートリッジ216の配置が問題となる。トナーカートリッジ216は、重力に逆らわずにトナーを現像部へ供給することができるよう現像部の上方に配置することが望ましい。
【0049】
≪現像装置および感光体ドラムの放熱用空隙≫
現像装置212内ではトナーが攪拌され、対流するのでその摩擦熱が発生する。それに加えて、自動両面印刷を行うと、第1面の転写後、定着ローラ230で熱せられた印刷シートが反転搬送路237を経て第2面の転写時に感光体ドラム211に接触する。多量の印刷シートに自動両面印刷を行うと、印刷シートから供給される熱によって感光体ドラム211の温度が次第に上昇する。
【0050】
現像装置212は、現像ローラ212aを有している。現像ローラ212aは、その内部に磁石が配置され、磁石の作用によって周面上に磁気ブラシが形成される。現像ローラ212aは感光体ドラム211の周面に対向して配置され、前記磁気ブラシが感光体ドラム211の周面と接触している。感光体ドラム211の温度が上昇すると、熱が磁気ブラシを経て現像ローラ212aおよび現像装置内の現像剤(トナーおよびキャリア)に伝わる。印刷が終了して現像装置212の攪拌が停止した後も、磁気ブラシは感光体ドラム211と接触しており、感光体ドラム211の余熱によりトナーが熱せられる。そのような状態が長く続くと、現像装置211の内部でトナーのかたまりが発生し、印刷の画質に悪影響を与える。これを回避するためには、現像装置211の放熱性を高める必要がある。
【0051】
前述のように、この実施形態では、トナーカートリッジ216と現像装置212とが互いに分離して配置されている。現像装置212の周囲に空隙が設けられているので、優れた放熱性が得られる。また、この空隙により感光体に向けて空気の流れを作ることができる。
【0052】
ここで、本願発明の特徴をよりよく理解できるように、従来のレイアウトを説明する。図6は、従来の画像形成装置における現像装置、トナーカートリッジおよびLSUの配置を示す説明図である。図6では、感光体ドラムに1211、現像装置に1212、トナーカートリッジに1216、LSUに1201の符号を付している。さらに、主帯電器に1215、転写ローラに1213、クリーニング装置に1214、定着ローラに1230の符号を付している。現像装置1212の直上には、トナーカートリッジ1216の一部が接触している。その接触部分には開口が設けられ、トナーカートリッジ1216からのトナーが開口を経て現像装置1212へ落下し、供給されるようになっている。
【0053】
現像装置1212の周囲の空気はトナーカートリッジ1216で遮られて上昇が妨げられてしまう。この点、図3の画像形成装置は、現像装置212の上方が開放されており、放熱性に優れる。しかも、現像装置212の上方の空隙は走査ビームの経路として使用されており、感光体ドラム211の周囲の限られたスペースが有効に活用されている。また、図1のレイアウトと対応させるとわかるように、第1排出部234の下方のスペースに配置されるLSU201をより低い位置に配置できるので、この点でも画像形成装置の小型化に寄与する。
【0054】
図5は、この実施形態に係るLSU201の内部構成、並びに、LSU201、現像装置212、トナーカートリッジ216および感光体ドラム211の配置を示す説明図である。(a)は上方から見た図、(b)は側方から見た図である。
図5に図示するように、レーザー光源としてのレーザダイオード201aからレーザービームが出射される。出射されたレーザービームはコリメーターレンズ201bにより、主走査方向(略水平方向)に集光され、続いてシリンドリカルレンズ201cにより、副走査(略鉛直方向)方向に集光される。その後、レーザービームは回転する多面鏡(ポリゴンミラー)201dの鏡面に仕上げられた側面に入射し、反射される。ポリゴンミラー201cは、矢印A方向に一定速度で回転している。ポリゴンミラー201dの回転に伴い、レーザービームの反射角は変化し、ポリゴンミラー201dから反射されたレーザービームは主走査方向に偏向された走査ビームとなる。走査ビームは、fθ特性を有するfθレンズ201e、201fを通り、さらに防塵ガラス201gを通ってLSU201から外部へ出射される。
【0055】
出射された走査ビームは、現像装置212とその上方のトナーカートリッジ216の間の空隙を介して感光ドラム211に至り、その周面を主走査方向、即ち、感光体ドラム211の回転軸に沿う方向に走査する。感光体ドラム211は、矢印B方向に回転駆動される。走査ビームで露光されることにより、感光ドラム211の周面上に静電潜像が形成される。
【0056】
≪露光ポイントのバラツキとLSUの取付け≫
図3で、LSU201内のレーザー発光部から感光体ドラム211の中心までの距離は50mmである。露光ポイントは、感光体の回転軸を含む水平面から2mm上方の周面に位置するように設計されている。ただし、画像形成装置が組み立てられた状態で感光体ドラム211とLSU201の取付けの誤差などがあるため、鉛直方向における露光ポイントLの位置バラツキを幅3mmの範囲で許容している。
【0057】
図4は、この実施形態において、露光位置のバラツキの許容範囲を示す説明図である。図4(a)は、露光ポイントの基準位置が、感光体ドラム211の回転軸を通る水平面の上方2mmにあり、バラツキの許容範囲が基準の露光ポイントLを中心とする幅3mmの範囲にあることを示している。現像装置211とトナーカートリッジ216の間の空隙は、このバラツキを考慮して所定距離を隔てるように決定される。
【0058】
(b)は、LSU201から走査ビームが出射される位置がバラツキ許容範囲の上限位置であり、その位置から走査ビームが水平に照射されて露光ポイントがバラツキ許容範囲の上限L1になった場合、前記照射位置から走査ビームが感光体ドラム211の中心へ向けて照射されて露光ポイントがバラツキ許容範囲の下限付近L2になった場合を示している。ここで、露光ポイントL2の周面で反射された走査ビームがLSU201へ戻るとレーザーの光量が安定しないので好ましくない。そこで、(c)に示すように、LSUは、水平面よりやや上方へ向けて走査ビームが走査されるように取付け基準が設定されている。一例では、水平から3°上方向が基準である。最大の傾き角度は、水平から5°上方である。このようにすれば、取付け誤差により露光ポイントの位置がL1からL2の範囲でばらついても、周面で反射された走査ビームがLSU201へ戻ることがない。従って、反射された走査ビームに起因して走査ビームの光量にバラツキが生じるのを回避することができる。
【0059】
ここで、走査ビームを水平からやや上方に傾けて照射し、かつ、露光ポイントLが感光体ドラム211の回転軸より上方へばらつくと、周面を露光するレーザービームのスポット形状が真円にならず、感光体ドラム211の回転方向に長い楕円形状になる。しかし、この実施形態に示すように、照射角度が水平から5°、露光ポイントLが感光体ドラム211の回転軸を含む水平面から3mm上方の範囲内であれば、走査ビーム形状が画質に影響を及ぼす程ではない。
【0060】
前述の条件(LSUの傾き角度5°、露光ポイントは上限位置)に基づいて、露光ポイントLの走査ビームの照射方向と周面に垂直な方向とがなす最大の角度(露光傾き角度)を幾何学的に求めると約17度である。露光傾き角度が大きくなると傾き方向のビーム径は大きくなるが、その大きさは露光傾き角度がゼロの場合に対して4%程度にすぎない。例えば、ビーム径が70μmの場合、3μm程度ビーム径が大きくなるにすぎない。経験上、この程度の露光傾き角度では、画質に影響が及ぶことはないといえる。
【0061】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の画像形成装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
【図2】この実施形態の画像形成装置において、感光体ドラムの周囲に配置される各ステーションの配置を示す説明図である。
【図3】この実施形態の画像形成装置において、現像装置、トナーカートリッジおよびLSUの配置を示す説明図である。
【図4】この実施形態において、露光位置のバラツキの許容範囲を示す説明図である。
【図5】この実施形態に係るLSUの内部構成、並びに、LSU、現像装置、トナーカートリッジおよび感光体ドラムの配置を示す説明図である。
【図6】従来の画像形成装置における現像装置、トナーカートリッジおよびLSUの配置を示す説明図である。
【図7】この実施形態の画像形成装置において、ダクト内の空気の流れを示す説明図である。
【図8】この実施形態に係るダクトの詳細な断面形状を示す説明図である。
【図9】この実施形態に係るダクトおよびL字流路部の詳細な構成を示す第1の説明図である。
【図10】この実施形態に係るダクトおよびL字流路部の詳細な構成を示す第2の説明図である。
【図11】この実施形態における実験例における各温度測定箇所を示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
100:原稿読取部
101:原稿台
111:スキャナ光学系
115:光電変換素子、CCD
200:画像形成装置本体
201:LSU
210:画像形成部
211:感光体
212:現像装置
213:転写ローラ
214:クリーニング装置
215:主帯電器
216:トナーカートリッジ
217:トナー搬送パイプ
220:給送搬送部
221:給送カセット
225:第1給送路
226:縦搬送パス
227:分離爪
229:レジストローラ
230:定着ローラ
231:シート搬送パス
232:排出ローラ
233:第1排出パス
234:第1排出部
237:反転搬送路
238:第2切替ゲート
240:第1の冷却用ダクト
241a:レール部材
241b、241c、241d:ダクト用部材
242:第2の冷却用ダクト
244:L字流路部
245:ドロワコネクタ
246:オゾン吸着フィルタ
248:排気用ファン
300:後処理装置
301:第2排出パス
302:エスケープパス
303:ステイプルトレイ
400:シートスタック部
401:第1シートスタックトレイ
402:第2シートスタックトレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真プロセスによる画像形成に用いる環状の感光体と、
前記周面に形成される静電潜像をトナーを用いて現像を行う現像部と、
前記現像部へ供給するトナーを収容するトナー収容部と、
前記感光体の周面上の一側部に接触し下方から上方へ通過する印刷シートに現像されたトナーの転写を行う転写部と、
前記転写後、前記感光体の周面上に残留するトナーを回収するクリーニング部と、
前記転写部を通過した後印刷シートが搬送される先に配置され、前記印刷シート上に転写されたトナーの熱による定着を行う定着部と、
前記感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部を前記定着部から熱的に隔てるべく前記定着部との間に配置される冷却用ダクトとを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部は装置本体に配されたレールに沿って抜き差し可能なユニットとして構成され、
前記ダクトの少なくとも一部は、前記レール部分および/または前記ユニットの外装部分によって構成される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ダクトは、その一端部に排気用ファンが配置され、前記排気用ファンは前記ダクト内の空気をダクト外へ排出させる請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ダクトは、並行して伸びる複数の管部を有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着部は、転写部の上方に配置され、
前記クリーニング部は、転写部と定着部の間に配置され、
前記現像部は、印刷シートが前記感光体に接触して通過する経路に対して転写部と反対側に配置され、
前記トナー収容部は、前記現像部の上方に配置される請求項1〜4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記静電潜像を形成するために感光体の周面を走査するレーザー走査部をさらに備え、
前記トナー収容部は、前記現像部との間に空隙が形成されるよう前記現像部から所定距離を隔てた上方に配置され、
前記レーザー走査部は前記空隙を介して前記感光体の周面をレーザービームで走査する請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像部は、感光体の中心軸と平行に伸びる領域で前記感光体の周面にトナーを接触させるように配置されてなり、
前記現像部の一端側に配置され、トナー収容部と現像部とを連通させるトナー搬送部をさらに備え、
前記トナー搬送部は、トナー収容部に収容されたトナーを現像部へ搬送する請求項1〜6のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記印刷シートを下方から転写部へ導く縦搬送路と、
前記定着部を通過した前記印刷シートを表裏反転させて前記転写部へ還流する反転搬送路とをさらに備え、
前記縦搬送路は、前記転写部でトナーが転写された後に定着部、反転搬送路を経て還流させられた印刷シートを下方から前記転写部へ導く請求項1〜7のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項1】
電子写真プロセスによる画像形成に用いる環状の感光体と、
前記周面に形成される静電潜像をトナーを用いて現像を行う現像部と、
前記現像部へ供給するトナーを収容するトナー収容部と、
前記感光体の周面上の一側部に接触し下方から上方へ通過する印刷シートに現像されたトナーの転写を行う転写部と、
前記転写後、前記感光体の周面上に残留するトナーを回収するクリーニング部と、
前記転写部を通過した後印刷シートが搬送される先に配置され、前記印刷シート上に転写されたトナーの熱による定着を行う定着部と、
前記感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部を前記定着部から熱的に隔てるべく前記定着部との間に配置される冷却用ダクトとを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記感光体、現像部、トナー収容部およびクリーニング部の少なくとも一部は装置本体に配されたレールに沿って抜き差し可能なユニットとして構成され、
前記ダクトの少なくとも一部は、前記レール部分および/または前記ユニットの外装部分によって構成される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ダクトは、その一端部に排気用ファンが配置され、前記排気用ファンは前記ダクト内の空気をダクト外へ排出させる請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ダクトは、並行して伸びる複数の管部を有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着部は、転写部の上方に配置され、
前記クリーニング部は、転写部と定着部の間に配置され、
前記現像部は、印刷シートが前記感光体に接触して通過する経路に対して転写部と反対側に配置され、
前記トナー収容部は、前記現像部の上方に配置される請求項1〜4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記静電潜像を形成するために感光体の周面を走査するレーザー走査部をさらに備え、
前記トナー収容部は、前記現像部との間に空隙が形成されるよう前記現像部から所定距離を隔てた上方に配置され、
前記レーザー走査部は前記空隙を介して前記感光体の周面をレーザービームで走査する請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像部は、感光体の中心軸と平行に伸びる領域で前記感光体の周面にトナーを接触させるように配置されてなり、
前記現像部の一端側に配置され、トナー収容部と現像部とを連通させるトナー搬送部をさらに備え、
前記トナー搬送部は、トナー収容部に収容されたトナーを現像部へ搬送する請求項1〜6のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記印刷シートを下方から転写部へ導く縦搬送路と、
前記定着部を通過した前記印刷シートを表裏反転させて前記転写部へ還流する反転搬送路とをさらに備え、
前記縦搬送路は、前記転写部でトナーが転写された後に定着部、反転搬送路を経て還流させられた印刷シートを下方から前記転写部へ導く請求項1〜7のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−44160(P2010−44160A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206946(P2008−206946)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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