画像形成装置
【課題】プリンタドライバへの機能追加を必要とせず、複数の印刷ジョブを連続的に処理することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】印刷ジョブ管理部111は、受信した印刷ジョブごとに、送信元、ファイル名、受信開始時刻、受信終了時刻を記録した受信情報を印刷ジョブ管理情報50に登録する。最初に受信した基準印刷ジョブの受信終了時刻に時差時間を加算した基準時刻が設定される。印刷ジョブ特定部113は、受信した複数の印刷ジョブのうち、基準印刷ジョブの送信元、ファイル名と一致し、基準時刻より前に受信を開始した関連印刷ジョブを特定する。関連印刷ジョブの受信終了時刻に時差時間が加算されて、基準時刻が更新される。基準印刷ジョブの送信元およびファイル名と、更新された基準時刻とに基づいて、関連印刷ジョブの特定が繰り返される。基準印刷ジョブと、関連印刷ジョブとに基づく印刷処理が連続して実行される。
【解決手段】印刷ジョブ管理部111は、受信した印刷ジョブごとに、送信元、ファイル名、受信開始時刻、受信終了時刻を記録した受信情報を印刷ジョブ管理情報50に登録する。最初に受信した基準印刷ジョブの受信終了時刻に時差時間を加算した基準時刻が設定される。印刷ジョブ特定部113は、受信した複数の印刷ジョブのうち、基準印刷ジョブの送信元、ファイル名と一致し、基準時刻より前に受信を開始した関連印刷ジョブを特定する。関連印刷ジョブの受信終了時刻に時差時間が加算されて、基準時刻が更新される。基準印刷ジョブの送信元およびファイル名と、更新された基準時刻とに基づいて、関連印刷ジョブの特定が繰り返される。基準印刷ジョブと、関連印刷ジョブとに基づく印刷処理が連続して実行される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して受信した印刷データを印刷する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー機能、ファクシミリ通信機能、プリンタ機能などを有するネットワーク複合機が、オフィスで広く利用されている。ネットワーク複合機の出力トレイには、コピー文書、ファクシミリ通信により受信したデータを印刷したファクシミリ受信文書、PC(Personal Computer)から送信された印刷ジョブに基づいて印刷した印刷文書などの各種文書が出力される。ネットワーク複合機の出力トレイは、コストなどの観点から一つだけ設置されていることが多い。
【0003】
この結果、出力トレイにおいて各種文書が混在した状態が発生し、出力トレイの文書が誤って持ち去られてしまうという問題が発生する。
【0004】
たとえば、PCは、表計算ソフトウェアにより作成された複数のワークシートの一括印刷が指示された場合、各ワークシートに対応する複数の印刷ジョブを生成してネットワーク複合機に送信する。ネットワーク複合機は、複数の印刷ジョブの処理中にファクシミリ通信によりデータを受信することがある。この場合、各印刷ジョブの処理の合間にファクシミリ受信文書が出力されるため、各ワークシートに対応する印刷文書の中に、ファクシミリ受信文書が紛れ込むことになる。
【0005】
このような問題を解決する方法として、印刷文書専用の出力トレイとファクシミリ文書専用の出力トレイとを別々に設置することなどが考えられる。しかし、複数の出力トレイを設置することは、ネットワーク複合機のコスト増加の原因となる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−105378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、上記特許文献1において、PCから送信される関連する複数の印刷ジョブを連続して印刷する技術が開示されている。PCにインストールされているプリンタドライバは、複数のデータの一括印刷を指示された場合、各データに対応する印刷ジョブに指定情報を付加して印刷装置に送信する。印刷装置は、指定情報が付加された複数の印刷ジョブを連続して処理することで、複数のデータに対応する印刷文書をまとめて出力する。
【0008】
上記特許文献1に開示されている技術により、印刷装置などの画像形成装置において、複数の印刷ジョブの処理中に、他のPCから送信された印刷ジョブの割り込み処理が発生することを防止できる。また、ネットワーク複合機から出力される印刷文書の中に、コピー文書、ファクシミリ受信文書が紛れ込むことを防止できる。しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、印刷ジョブに指定情報を付加する新たな機能をプリンタドライバに追加する必要があった。
【0009】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、プリンタドライバに新たな機能を追加することなく、複数の印刷ジョブを連続的に処理することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、画像形成装置であって、ネットワークを介して複数の印刷データを受信し、各印刷データの送信元を特定する印刷データ受信部と、各印刷データの受信開始時刻と、受信終了時刻と、送信元を示す送信元情報とが記録された印刷データ管理情報を作成して管理する印刷データ管理部と、前記複数の印刷データから基準印刷データを指定し、前記基準印刷データの受信終了時刻から所定時間を経過した基準時刻を決定する基準時刻決定部と、前記基準印刷データの送信元と一致し、前記基準時刻より前に前記受信部により受信が開始された第1関連印刷データを、前記印刷データ受信情報に基づいて前記複数の印刷データから特定する印刷データ特定部と、前記基準印刷データと前記第1関連印刷データとを連続して印刷する印刷部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記基準時刻決定部は、前記第1関連印刷データが特定された場合、前記第1関連印刷データの受信終了時刻から前記所定時間が経過した時刻に前記基準時刻を更新する基準時刻更新部、を含み、前記印刷データ特定部は、前記基準印刷データの送信元と一致し、更新された前記基準時刻より前に前記受信部により受信が開始された第2関連印刷データを、前記印刷データ管理情報に基づいて前記複数の印刷データから特定し、前記印刷部は、前記第1関連印刷データと前記第2関連印刷データとを連続して印刷することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、前記基準時刻決定部は、前記印刷データ管理情報に基づいて、前記複数の印刷データのうち最初に受信した印刷データを前記基準印刷データとして指定することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記印刷データ管理部は、各印刷データのファイル名を示すファイル情報を前記印刷データ管理情報に含めており、前記印刷データ特定部は、前記基準印刷データのファイル名と一致する印刷データを、前記第1関連印刷データとして抽出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、複数の印刷データから基準印刷データを指定し、基準印刷データの送信元と同じであり、基準印刷データの受信終了時刻から所定時間を経過するまでに受信を開始した第1関連印刷データを、複数の印刷データの中から特定する。基準印刷データと第1関連印刷データとは、連続して印刷される。このように、本発明に係る画像形成装置は、各印刷データの送信元情報と受信時刻とに基づいて、複数の印刷データが関連しているかどうかを判定する。したがって、プリンタドライバを使用することなく複数の印刷ジョブを連続的に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るネットワーク複合機1の構成を含む印刷システムの構成図である。図1に示す印刷システムは、ネットワーク複合機1と、PC2、3と、LAN(Local Area Network)4とを備えている。ネットワーク複合機1とPC2、3とは、それぞれLAN4に接続されている。
【0016】
ネットワーク複合機1は、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能などを備える多機能装置である。LAN4には、インターネットあるいは他のLANに接続するためのルータ(図示省略)などが設置されている。PC2、3は、ユーザが使用する端末装置である。PC2、3には、ネットワーク複合機1のプリンタ機能を利用するためのプリンタドライバ(図示省略)がインストールされている。PC2のプリンタドライバは、ユーザの指示に応じて印刷ジョブ21、22、23をネットワーク複合機1に送信する。PC3のプリンタドライバは、ユーザの指示に応じて印刷ジョブをネットワーク複合機1に送信する。
【0017】
次に、ネットワーク複合機1の構成について説明する。ネットワーク複合機1は、制御部11と、操作部12と、タッチパネル式ディスプレイ13と、プリンタコントローラ14と、ファクシミリ部15と、スキャナ部16と、プリンタ部17と、記憶部18と、LANインタフェース19とを備える。
【0018】
制御部11は、ネットワーク複合機1の全体制御を行う。制御部11は、印刷ジョブ管理部111と、基準時刻決定部112と、印刷ジョブ特定部113とを備える。
【0019】
印刷ジョブ管理部111は、受信した印刷ジョブごとに送信元、受信開始時刻、受信終了時刻などが記録された受信情報を作成して印刷ジョブ管理情報50に登録する。印刷ジョブ管理情報50は、各印刷ジョブの印刷状況に応じて更新される。基準時刻決定部112は、記憶部18にスプールされている複数の印刷ジョブの中から印刷対象の印刷ジョブを特定するための条件を決定する。印刷ジョブ特定部113は、印刷ジョブ管理情報50と基準時刻決定部112が決定した条件とに基づいて、印刷対象となる印刷ジョブを特定する。
【0020】
操作部12は、ネットワーク複合機1に対する各種指示の入力に用いられるハードウェアキーなどである。タッチパネル式ディスプレイ13は、ネットワーク複合機1に関する情報、および各種の操作メニューを表示する。ユーザは、操作部12およびタッチパネル式ディスプレイ13を利用して、ネットワーク複合機1を操作することができる。
【0021】
プリンタコントローラ14は、印刷ジョブ特定部113が特定した印刷ジョブからラスタデータを作成する。ファクシミリ部15は、公衆回線網(図示省略)を利用したファクシミリ通信を実行し、ファクシミリデータ70を受信する。スキャナ部16は、操作部12、タッチパネル式ディスプレイ13から入力されたコピー指示情報に基づいて、原稿を読み取って作成した画像データ(コピーデータ80)を出力する。
【0022】
プリンタ部17は、ファクシミリデータ70、コピーデータ80、プリンタコントローラ14が出力したラスタデータを印刷用紙に印刷する。つまり、プリンタ部17は、ネットワーク複合機1のファクシミリ機能、コピー機能、プリンタ機能の出力部として動作する。
【0023】
記憶部18は、フラッシュメモリなどの記憶装置により構成されており、印刷ジョブ管理情報50を格納する。また、記憶部18は、ファクシミリデータ70、コピーデータ80、PC2、3から送信された印刷ジョブを格納するスプーラとして機能する。
【0024】
LANインタフェース19は、LAN4を介して接続するPC2、3との間で、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)などのプロトコルを利用してデータの送受信を行う。
【0025】
ネットワーク複合機1は、印刷ジョブ管理情報50から基準印刷ジョブを指定する。印刷ジョブ管理情報50に基づいて、基準印刷ジョブと送信元が一致し、かつ基準印刷ジョブの受信終了時刻から求められる基準時刻より前に受信を開始した印刷ジョブが、関連印刷ジョブとして特定される。ネットワーク複合機1は、基準時刻を関連印刷ジョブの受信終了時刻に基づいて更新し、更新した基準時刻に基づいて関連印刷ジョブの特定を繰り返す。プリンタ部17は、プリンタコントローラ14が基準印刷ジョブおよび関連印刷ジョブからそれぞれ生成したラスタデータを連続的に印刷する。これにより、ネットワーク複合機1は、PC2、3に複数の印刷ジョブを関連付ける情報を送信させることなく、つまり、プリンタドライバに変更を加えることなく、複数の印刷ジョブが関連しているかどうかを判定することができる。
【0026】
上述したように構成されたネットワーク複合機1における印刷処理の流れについて詳しく説明する。
【0027】
ネットワーク複合機1は、印刷ジョブを受信するたびに、各印刷ジョブに対応する受信情報を印刷ジョブ管理情報50に登録する。
【0028】
図2は、印刷ジョブ管理情報50を示す図である。印刷ジョブ管理情報50には、ジョブ番号、ホスト名、ファイル名、受信開始時刻、受信終了時刻の各項目が設定されている。ジョブ番号は、受信した印刷ジョブに対して割り当てられる固有の番号である。ホスト名は、印刷ジョブの送信元を示す。ファイル名は、印刷が指示された印刷対象データのファイル名である。受信開始時刻は、ネットワーク複合機1が印刷ジョブの受信を開始した時刻である。受信終了時刻は、ネットワーク複合機1が印刷ジョブの受信を終了した時刻である。
【0029】
ジョブ番号「001」〜「003」に対応する受信情報51〜53、ジョブ番号「005」に対応する受信情報のホスト名は「clientA」であり、送信元がPC2である。ジョブ番号「004」に対応する受信情報のホスト名は、「clientB」であり、送信元がPC3である。このように、複数の印刷ジョブが関連しているかどうかをホスト名に基づいて判定することができる。
【0030】
ジョブ番号「001」〜「003」に対応する受信情報51〜53のファイル名は、「note.xls」である。ジョブ番号「001」〜「003」に対応する印刷ジョブは、同一の印刷対象データから作成されている。このように、複数の印刷ジョブが関連しているかどうかをファイル名に基づいて判定することができる。
【0031】
以下、ネットワーク複合機1が受信情報を印刷ジョブ管理情報50に登録する動作について、PC2から印刷ジョブ23を受信した場合を例にして説明する。
【0032】
まず、PC2のユーザが、PC2を操作して印刷対象データ「note.xls」を作成する。「note.xls」は、PC2にインストールされた表計算ソフトウェアにより作成された、三つのワークシートを有するデータである。PC2のユーザは、「note.xls」の全ワークシートの一括印刷を指示する。
【0033】
PC2にインストールされたプリンタドライバは、各ワークシートに対応する印刷ジョブ21、22、23を作成する。つまり、プリンタドライバは、「note.xls」から印刷ジョブを一つ生成するのではなく、「note.xls」を各ワークシートに分割した上で、各ワークシートに対応する独立した印刷ジョブ21〜23を作成する。印刷ジョブ21〜23は、lpr(Line PRineter daemon Protocol)に基づいてPC2からネットワーク複合機1へ送信される。
【0034】
なお、PC2は、印刷ジョブ21〜23をIPP(Internet Printing Protocol)に基づいて送信してもよい。
【0035】
図3は、印刷ジョブを受信したときのネットワーク複合機の動作の流れを示すフローチャートである。
【0036】
ネットワーク複合機1は、複数の印刷ジョブを並行して受信する場合、受信した印刷ジョブごとに図3に示す処理を実行する。なお、印刷ジョブ管理情報50には、印刷ジョブ21、22に対応する受信情報51、52(ジョブ番号「001」、「002」)が既に登録されており、ジョブ番号「003」〜「005」は登録されていない。
【0037】
ネットワーク複合機1が印刷ジョブ23の受信を開始した場合(ステップS101においてYes)、制御部11は、受信した印刷ジョブ23のパケットから、ホスト名、ファイル名を取得できるかどうかを確認する(ステップS102)。印刷ジョブ23がlprまたはIPPに基づいて送信されている場合、制御部11は、各プロトコルに基づいて、印刷ジョブ23のホスト名、ファイル名を取得することができる。
【0038】
印刷ジョブ23のホスト名、ファイル名を取得できない場合(ステップS102においてNo)、ネットワーク複合機1は、通常の印刷処理を実行する(ステップS103)。つまり、印刷ジョブ23の受信が完了した後で、プリンタコントローラ14が印刷ジョブ23からラスタデータを生成する。ラスタデータは、プリンタ部17により印刷され、印刷文書として出力される。つまり、ステップS103では、印刷ジョブが一つずつ個別に処理される。
【0039】
印刷ジョブ管理部111は、印刷ジョブ23のホスト名「clientA」、ファイル名「note.xls」を取得できるため(ステップS102においてYes)、印刷ジョブ23にジョブ番号を新たに割り当て、ジョブ番号を印刷ジョブ管理情報50に登録する(ステップS104)。印刷ジョブ管理情報50にジョブ番号「001」、「002」が既に登録されているため、ジョブ番号の最大値「002」がインクリメントされた値「003」が、新たなジョブ番号として割り当てられる。
【0040】
印刷ジョブ管理部111は、取得したホスト名「clientA」、ファイル名「note.xls」を、ジョブ番号「003」に対応付けて印刷ジョブ管理情報50に記録する(ステップS105)。印刷ジョブ23の受信開始時刻「13:25:18」が、印刷ジョブ管理情報50に記録される(ステップS106)。制御部11は、受信を開始した印刷ジョブ23を、ジョブ番号「003」と対応付けて記憶部18にスプールする(ステップS107)。
【0041】
印刷ジョブ21の受信が完了した場合(ステップS108においてYes)、印刷ジョブ管理部111は、受信終了時刻「13:25:19」を、ジョブ番号「003」に対応付けて印刷ジョブ管理情報50に記録する(ステップS109)。これにより、ジョブ番号「003」に対応する受信情報53が、印刷ジョブ管理情報50に登録され、図3に示す処理が終了する。
【0042】
次に、ネットワーク複合機1が記憶部18にスプールされた印刷ジョブの処理を実行する動作を、図2、図4を用いて説明する。
【0043】
図4は、ネットワーク複合機1における印刷ジョブの処理の流れを示すフローチャートである。ネットワーク複合機1は、上述した図3に示す処理とは関係なく、図4に示す処理を一定の時間間隔で実行する。つまり、図4に示す処理は、図3に示す印刷ジョブの受信処理とは独立に実行される。
【0044】
印刷ジョブ特定部113は、印刷ジョブ管理情報50を記憶部18から取得して、印刷ジョブ管理情報50に受信情報が登録されているかどうかを確認する(ステップS201)。受信情報が登録されていない場合(ステップS201においてNo)、印刷ジョブ特定部113は、図4に示す処理を終了する。
【0045】
一方、受信情報が登録されている場合(ステップS201においてYes)、印刷ジョブ特定部113は、プリンタ部17が印刷できるデータを、プリンタコントローラ14から出力されるラスタデータに制限する(ステップS202)。プリンタ部17の印刷制限中にファクシミリ部15がファクシミリデータ70を受信した場合、ファクシミリデータ70は記憶部18にスプールされ、ファクシミリデータ70の印刷は保留される。また、プリンタ部17の印刷制限中にスキャナ部16がコピーデータ80を出力しても、コピーデータ80は記憶部18にスプールされ、コピーデータ80の印刷は保留される。
【0046】
印刷ジョブ特定部113は、印刷ジョブ管理情報50に基づいて印刷対象となる印刷ジョブ(基準印刷ジョブおよび関連印刷ジョブ)を特定し(ステップS203)、印刷対象情報60を作成する。印刷対象情報60には、印刷対象として特定された印刷ジョブに対応するジョブ番号が記録されている。ステップS203の詳細については後述するが、印刷ジョブ特定部113は、受信情報51〜53(ジョブ番号「001」〜「003」)に対応する印刷ジョブ21〜23を印刷対象として特定し、ジョブ番号「001」〜「003」を印刷対象情報60に登録する。
【0047】
印刷対象情報60に基づいて、印刷ジョブ21〜23の印刷処理が行われる(ステップS204)。制御部11は、ジョブ番号「001」〜「003」に対応する印刷ジョブ21〜23のラスタライズを、プリンタコントローラ14に指示する。プリンタコントローラ14は、印刷ジョブ21〜23からそれぞれラスタデータを生成し、プリンタ部17に出力する。プリンタ部17は、印刷制限中であるが、プリンタコントローラ14から出力されるラスタデータの印刷は可能である。したがって、印刷ジョブ21〜23に対応する印刷文書が、ネットワーク複合機1から連続して出力される。このとき、プリンタ部17はファクシミリデータ70、コピーデータ80を印刷できない、したがって、印刷ジョブ21〜23に対応する印刷文書に、ファクシミリ文書、コピー文書が挟まれることを防止できる。
【0048】
印刷ジョブ特定部113は、ジョブ番号「001」〜「003」に対応する受信情報51〜53を印刷ジョブ管理情報50から削除する(ステップS205)。
【0049】
記憶部18から、ジョブ番号「001」〜「003」に対応する印刷ジョブ21〜23が削除される(ステップS206)。印刷ジョブ特定部113は、プリンタ部17の印刷制限を解除する(ステップS207)。プリンタ部17は、印刷が保留されていたファクシミリデータ70、コピーデータ80の印刷が可能な状態となる。すなわち、印刷ジョブ21〜23に対応する印刷文書が連続して出力された後で、ファクシミリデータ70が印刷されたファクシミリ文書、コピーデータ80が印刷されたコピー文書が出力される。
【0050】
次に、印刷対象の印刷ジョブを特定する処理(ステップS203)について、図2、図5を用いて詳しく説明する。図5は、印刷対象の印刷ジョブを特定する処理(ステップS203)の流れを示すフローチャートである。
【0051】
まず、印刷ジョブ特定部113は、印刷ジョブ管理情報50に登録されている最小のジョブ番号「001」を、印刷対象情報60に登録する(ステップS301)。これにより、ジョブ番号「001」に対応する印刷ジョブ21が、基準印刷ジョブとして指定される。
【0052】
図2に示すように、ジョブ番号「001」に対応する印刷ジョブ21が、ネットワーク複合機1が最初に受信した印刷ジョブである。最小のジョブ番号が指定されることにより、ネットワーク複合機1が最初に受信した印刷ジョブが、優先的に処理される。
【0053】
基準時刻決定部112は、ジョブ番号「001」に対応するホスト名「clientA」、ファイル名「note.xls」を受信情報51から取得する(ステップS302)。基準時刻決定部112が、基準印刷ジョブ(印刷ジョブ21)に関連する関連印刷ジョブを特定するために用いる基準時刻を設定する(ステップS303)。印刷ジョブ21に対応するジョブ番号「001」の受信終了時刻「13:25:17」と時差時間(2秒)とが合計され、基準時刻が「13:25:19」と決定される。時差時間は、関連する二つの印刷ジョブの受信タイミングの時差として想定される最大の時間であり、基準時刻決定部112に予め設定されている。なお、ネットワーク複合機1の管理者は、操作部12およびタッチパネル式ディスプレイ13を操作して、時差時間を変更してもよい。
【0054】
次に、印刷ジョブ特定部113は、最小のジョブ番号「001」の次に登録されたジョブ番号「002」に対応する受信情報52を判定対象として決定する(ステップS304)。
【0055】
印刷ジョブ特定部113は、受信情報51および受信情報52のホスト名、ファイル名が一致するかどうかを確認する(ステップS305)。一致しない場合(ステップS305においてNo)、印刷ジョブ特定部113は、ステップS309に示す処理に進む。しかし、受信情報51および受信情報52のホスト名、ファイル名が一致しているため(ステップS305においてYes)、印刷ジョブ特定部113は、受信情報52の受信開始時刻が基準時刻より前であるかどうかを確認する(ステップS306)。
【0056】
受信情報52の受信開始時刻が基準時刻より前でない場合(ステップS306においてNo)、印刷ジョブ特定部113は、ステップS309に示す処理に進む。しかし、受信情報52の受信開始時刻「13:25:16」が基準時刻「13:25:19」より前であるため(ステップS306においてYes)、印刷ジョブ特定部113は、受信情報52に対応する印刷ジョブ22が、関連印刷ジョブであると判定する。受信情報52のジョブ番号「002」が印刷対象情報60に登録される(ステップS307)。これにより、印刷ジョブ22が印刷対象として特定される。
【0057】
PC2は、「note.xls」の各ワークシートに対応する印刷ジョブ21〜23を、ほぼ同じタイミングで連続して送信する。このため、ネットワーク複合機1における印刷ジョブ21〜23の受信タイミングのズレは、数秒以内であると想定される。したがって、ネットワーク複合機1は、二つの印刷ジョブのホスト名、ファイル名が一致し、最初に受信した印刷ジョブの受信終了時刻に時差時間を加算した基準時刻より前に次の印刷ジョブの受信を開始した場合、二つの印刷ジョブが関連していると判定する。
【0058】
基準時刻決定部112は、受信情報52の受信終了時刻「13:25:18」に時差時間(2秒)を加算して、基準時刻を「13:25:20」に更新する(ステップS308)。印刷ジョブ特定部113は、判定対象の受信情報52に対応するジョブ番号「002」が、最大のジョブ番号であるかどうかを確認する(ステップS309)。ジョブ番号「002」は最大でないため(ステップS309においてNo)、ネットワーク複合機1は、ステップS304に示す処理に戻る。
【0059】
以下、ジョブ番号が最大となるまで(ステップS309においてYes)、ステップS304〜S309に示す処理が繰り返される。これにより、各受信情報に対応する印刷ジョブが、関連印刷ジョブであるかどうかが判定される。
【0060】
具体的には、ジョブ番号「002」の次に、ジョブ番号「003」の受信情報53が判定対象となる(ステップS304)。受信情報53のホスト名「clientA」、ファイル名「note.xls」が、ジョブ番号「001」の受信情報51のホスト名、ファイル名と一致する(ステップS305においてYes)。受信情報53の受信開始時刻「13:25:18」が基準時刻「13:25:20」より前である(ステップS306においてYes)。このため、受信情報53に対応する印刷ジョブ23が関連印刷ジョブであると判定され、ジョブ番号「003」が印刷対象情報60に登録される(ステップS307)。基準時刻が、受信情報53の受信終了時刻「13:25:19」に時差時間(2秒)が加算された時刻「13:25:21」に更新される。
【0061】
次に、ジョブ番号「004」に対応する受信情報が判定対象となる(ステップS304)。ジョブ番号「004」に対応するホスト名「clientB」、ファイル名「abc.doc」は、ジョブ番号「001」の受信情報51のホスト名、ファイル名と一致しない(ステップS305においてNo)。印刷ジョブ特定部113は、ジョブ番号「004」に対応する印刷ジョブが関連印刷ジョブではないと判定する。したがって、ジョブ番号「004」は、印刷対象情報60に登録されず、基準時刻は、「13:25:21」のまま更新されない。
【0062】
次に、ジョブ番号「005」に対応する受信情報が判定対象となる(ステップS304)。ジョブ番号「005」に対応するホスト名「clientA」は、受信情報51のホスト名と一致するが、ジョブ番号「005」に対応するファイル名「test.txt」が、受信情報51のファイル名と一致しない(ステップS305においてNo)。印刷ジョブ特定部113は、ジョブ番号「005」に対応する印刷ジョブを関連印刷ジョブではないと判定する。したがって、ジョブ番号「005」は、印刷対象情報60に登録されず、基準時刻は、「13:25:21」のまま更新されない。
【0063】
ジョブ番号「005」が印刷ジョブ管理情報50のジョブ番号の最大値であるため(ステップS309においてYes)、印刷ジョブ特定部113は、現在時刻が基準時刻を経過しているかどうかを確認する(ステップS310)。
【0064】
現在時刻が基準時刻を経過していない場合(ステップS310においてNo)、印刷ジョブ特定部113は、ステップS309に示す処理に戻る。これは、ネットワーク複合機1が関連印刷ジョブを受信する可能性があるためである。
【0065】
一方、現在時刻が基準時刻を経過していた場合(ステップS310においてYes)、印刷ジョブ特定部113は、図5に示す印刷対象の印刷ジョブを特定する処理を終了する。
【0066】
印刷ジョブ特定部113は、印刷対象情報60に登録されたジョブ番号「001」〜「003」に対応する印刷ジョブ21〜23のラスタライズをプリンタコントローラ14に指示する。図4を用いて説明したように、印刷ジョブ21〜23に対応する印刷文書が連続して出力される。
【0067】
ジョブ番号「004」に対応する印刷ジョブは、印刷ジョブ21〜23の処理が実行され(ステップS204)、ジョブ番号「001」〜「003」が削除された(ステップS205)後で、印刷対象として特定される。同様に、ジョブ番号「005」に対応する印刷ジョブは、ジョブ番号「004」に対応する印刷ジョブの処理が実行され(ステップS204)、ジョブ番号「004」が削除された(ステップS205)後で、印刷対象として特定される。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態に係るネットワーク複合機1は、印刷ジョブを受信するたびに、各印刷ジョブのホスト名、受信開始時刻、受信終了時刻を記録した受信情報を、印刷ジョブ管理情報に登録する。ホスト名、ファイル名が一致する二つの印刷ジョブにおいて、最初に受信した印刷ジョブの受信終了時刻に時差時間を加算した基準時刻より前に次の印刷ジョブの受信が開始されていた場合、二つの印刷ジョブが関連していると判断される。ネットワーク複合機1は関連した二つの印刷ジョブは連続して印刷されるために、各印刷ジョブに対応する印刷ジョブの間に、ファクシミリ文書、コピー文書が混入することを防止できる。
【0069】
また、印刷ジョブ21、22の受信中に、PC3から送信された印刷ジョブを受信した場合であっても、PC3から送信された印刷ジョブに対応するジョブ番号は、印刷対象情報60に登録されない。したがって、送信元の異なる印刷ジョブが、印刷ジョブ21〜23の処理中に割り込まれることを防止できる。
【0070】
なお、本実施の形態において、相互に関連する印刷ジョブを特定する際に、ホスト名、ファイル名、受信開始時刻、受信終了時刻を用いる例について説明したが、これに限られない。たとえば、印刷ジョブ特定部113は、ホスト名、受信開始時刻、受信終了時刻のみを用いて、相互に関連する印刷ジョブを特定してもよい。これにより、印刷ジョブ管理情報50のデータサイズを小さくでき、印刷ジョブを特定する際の処理を高速化できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態に係るネットワーク複合機の構成を含む印刷システムの構成図である
【図2】印刷ジョブ管理情報の具体例を示す図である。
【図3】印刷ジョブを受信したときのネットワーク複合機の動作を示すフローチャートである。
【図4】印刷処理を実行するときのネットワーク複合機の動作を示すフローチャートである。
【図5】出力対象の印刷データを特定するネットワーク複合機の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1 ネットワーク複合機
2、3 PC
4 LAN
11 制御部
14 プリンタコントローラ
15 ファクシミリ部
16 スキャナ部
17 プリンタ部
18 記憶部
21、22、23 印刷ジョブ
50 印刷ジョブ管理情報
60 印刷対象情報
111 印刷ジョブ管理部
112 基準時刻決定部
113 印刷ジョブ特定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して受信した印刷データを印刷する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー機能、ファクシミリ通信機能、プリンタ機能などを有するネットワーク複合機が、オフィスで広く利用されている。ネットワーク複合機の出力トレイには、コピー文書、ファクシミリ通信により受信したデータを印刷したファクシミリ受信文書、PC(Personal Computer)から送信された印刷ジョブに基づいて印刷した印刷文書などの各種文書が出力される。ネットワーク複合機の出力トレイは、コストなどの観点から一つだけ設置されていることが多い。
【0003】
この結果、出力トレイにおいて各種文書が混在した状態が発生し、出力トレイの文書が誤って持ち去られてしまうという問題が発生する。
【0004】
たとえば、PCは、表計算ソフトウェアにより作成された複数のワークシートの一括印刷が指示された場合、各ワークシートに対応する複数の印刷ジョブを生成してネットワーク複合機に送信する。ネットワーク複合機は、複数の印刷ジョブの処理中にファクシミリ通信によりデータを受信することがある。この場合、各印刷ジョブの処理の合間にファクシミリ受信文書が出力されるため、各ワークシートに対応する印刷文書の中に、ファクシミリ受信文書が紛れ込むことになる。
【0005】
このような問題を解決する方法として、印刷文書専用の出力トレイとファクシミリ文書専用の出力トレイとを別々に設置することなどが考えられる。しかし、複数の出力トレイを設置することは、ネットワーク複合機のコスト増加の原因となる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−105378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、上記特許文献1において、PCから送信される関連する複数の印刷ジョブを連続して印刷する技術が開示されている。PCにインストールされているプリンタドライバは、複数のデータの一括印刷を指示された場合、各データに対応する印刷ジョブに指定情報を付加して印刷装置に送信する。印刷装置は、指定情報が付加された複数の印刷ジョブを連続して処理することで、複数のデータに対応する印刷文書をまとめて出力する。
【0008】
上記特許文献1に開示されている技術により、印刷装置などの画像形成装置において、複数の印刷ジョブの処理中に、他のPCから送信された印刷ジョブの割り込み処理が発生することを防止できる。また、ネットワーク複合機から出力される印刷文書の中に、コピー文書、ファクシミリ受信文書が紛れ込むことを防止できる。しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、印刷ジョブに指定情報を付加する新たな機能をプリンタドライバに追加する必要があった。
【0009】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、プリンタドライバに新たな機能を追加することなく、複数の印刷ジョブを連続的に処理することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、画像形成装置であって、ネットワークを介して複数の印刷データを受信し、各印刷データの送信元を特定する印刷データ受信部と、各印刷データの受信開始時刻と、受信終了時刻と、送信元を示す送信元情報とが記録された印刷データ管理情報を作成して管理する印刷データ管理部と、前記複数の印刷データから基準印刷データを指定し、前記基準印刷データの受信終了時刻から所定時間を経過した基準時刻を決定する基準時刻決定部と、前記基準印刷データの送信元と一致し、前記基準時刻より前に前記受信部により受信が開始された第1関連印刷データを、前記印刷データ受信情報に基づいて前記複数の印刷データから特定する印刷データ特定部と、前記基準印刷データと前記第1関連印刷データとを連続して印刷する印刷部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記基準時刻決定部は、前記第1関連印刷データが特定された場合、前記第1関連印刷データの受信終了時刻から前記所定時間が経過した時刻に前記基準時刻を更新する基準時刻更新部、を含み、前記印刷データ特定部は、前記基準印刷データの送信元と一致し、更新された前記基準時刻より前に前記受信部により受信が開始された第2関連印刷データを、前記印刷データ管理情報に基づいて前記複数の印刷データから特定し、前記印刷部は、前記第1関連印刷データと前記第2関連印刷データとを連続して印刷することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、前記基準時刻決定部は、前記印刷データ管理情報に基づいて、前記複数の印刷データのうち最初に受信した印刷データを前記基準印刷データとして指定することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記印刷データ管理部は、各印刷データのファイル名を示すファイル情報を前記印刷データ管理情報に含めており、前記印刷データ特定部は、前記基準印刷データのファイル名と一致する印刷データを、前記第1関連印刷データとして抽出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、複数の印刷データから基準印刷データを指定し、基準印刷データの送信元と同じであり、基準印刷データの受信終了時刻から所定時間を経過するまでに受信を開始した第1関連印刷データを、複数の印刷データの中から特定する。基準印刷データと第1関連印刷データとは、連続して印刷される。このように、本発明に係る画像形成装置は、各印刷データの送信元情報と受信時刻とに基づいて、複数の印刷データが関連しているかどうかを判定する。したがって、プリンタドライバを使用することなく複数の印刷ジョブを連続的に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るネットワーク複合機1の構成を含む印刷システムの構成図である。図1に示す印刷システムは、ネットワーク複合機1と、PC2、3と、LAN(Local Area Network)4とを備えている。ネットワーク複合機1とPC2、3とは、それぞれLAN4に接続されている。
【0016】
ネットワーク複合機1は、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能などを備える多機能装置である。LAN4には、インターネットあるいは他のLANに接続するためのルータ(図示省略)などが設置されている。PC2、3は、ユーザが使用する端末装置である。PC2、3には、ネットワーク複合機1のプリンタ機能を利用するためのプリンタドライバ(図示省略)がインストールされている。PC2のプリンタドライバは、ユーザの指示に応じて印刷ジョブ21、22、23をネットワーク複合機1に送信する。PC3のプリンタドライバは、ユーザの指示に応じて印刷ジョブをネットワーク複合機1に送信する。
【0017】
次に、ネットワーク複合機1の構成について説明する。ネットワーク複合機1は、制御部11と、操作部12と、タッチパネル式ディスプレイ13と、プリンタコントローラ14と、ファクシミリ部15と、スキャナ部16と、プリンタ部17と、記憶部18と、LANインタフェース19とを備える。
【0018】
制御部11は、ネットワーク複合機1の全体制御を行う。制御部11は、印刷ジョブ管理部111と、基準時刻決定部112と、印刷ジョブ特定部113とを備える。
【0019】
印刷ジョブ管理部111は、受信した印刷ジョブごとに送信元、受信開始時刻、受信終了時刻などが記録された受信情報を作成して印刷ジョブ管理情報50に登録する。印刷ジョブ管理情報50は、各印刷ジョブの印刷状況に応じて更新される。基準時刻決定部112は、記憶部18にスプールされている複数の印刷ジョブの中から印刷対象の印刷ジョブを特定するための条件を決定する。印刷ジョブ特定部113は、印刷ジョブ管理情報50と基準時刻決定部112が決定した条件とに基づいて、印刷対象となる印刷ジョブを特定する。
【0020】
操作部12は、ネットワーク複合機1に対する各種指示の入力に用いられるハードウェアキーなどである。タッチパネル式ディスプレイ13は、ネットワーク複合機1に関する情報、および各種の操作メニューを表示する。ユーザは、操作部12およびタッチパネル式ディスプレイ13を利用して、ネットワーク複合機1を操作することができる。
【0021】
プリンタコントローラ14は、印刷ジョブ特定部113が特定した印刷ジョブからラスタデータを作成する。ファクシミリ部15は、公衆回線網(図示省略)を利用したファクシミリ通信を実行し、ファクシミリデータ70を受信する。スキャナ部16は、操作部12、タッチパネル式ディスプレイ13から入力されたコピー指示情報に基づいて、原稿を読み取って作成した画像データ(コピーデータ80)を出力する。
【0022】
プリンタ部17は、ファクシミリデータ70、コピーデータ80、プリンタコントローラ14が出力したラスタデータを印刷用紙に印刷する。つまり、プリンタ部17は、ネットワーク複合機1のファクシミリ機能、コピー機能、プリンタ機能の出力部として動作する。
【0023】
記憶部18は、フラッシュメモリなどの記憶装置により構成されており、印刷ジョブ管理情報50を格納する。また、記憶部18は、ファクシミリデータ70、コピーデータ80、PC2、3から送信された印刷ジョブを格納するスプーラとして機能する。
【0024】
LANインタフェース19は、LAN4を介して接続するPC2、3との間で、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)などのプロトコルを利用してデータの送受信を行う。
【0025】
ネットワーク複合機1は、印刷ジョブ管理情報50から基準印刷ジョブを指定する。印刷ジョブ管理情報50に基づいて、基準印刷ジョブと送信元が一致し、かつ基準印刷ジョブの受信終了時刻から求められる基準時刻より前に受信を開始した印刷ジョブが、関連印刷ジョブとして特定される。ネットワーク複合機1は、基準時刻を関連印刷ジョブの受信終了時刻に基づいて更新し、更新した基準時刻に基づいて関連印刷ジョブの特定を繰り返す。プリンタ部17は、プリンタコントローラ14が基準印刷ジョブおよび関連印刷ジョブからそれぞれ生成したラスタデータを連続的に印刷する。これにより、ネットワーク複合機1は、PC2、3に複数の印刷ジョブを関連付ける情報を送信させることなく、つまり、プリンタドライバに変更を加えることなく、複数の印刷ジョブが関連しているかどうかを判定することができる。
【0026】
上述したように構成されたネットワーク複合機1における印刷処理の流れについて詳しく説明する。
【0027】
ネットワーク複合機1は、印刷ジョブを受信するたびに、各印刷ジョブに対応する受信情報を印刷ジョブ管理情報50に登録する。
【0028】
図2は、印刷ジョブ管理情報50を示す図である。印刷ジョブ管理情報50には、ジョブ番号、ホスト名、ファイル名、受信開始時刻、受信終了時刻の各項目が設定されている。ジョブ番号は、受信した印刷ジョブに対して割り当てられる固有の番号である。ホスト名は、印刷ジョブの送信元を示す。ファイル名は、印刷が指示された印刷対象データのファイル名である。受信開始時刻は、ネットワーク複合機1が印刷ジョブの受信を開始した時刻である。受信終了時刻は、ネットワーク複合機1が印刷ジョブの受信を終了した時刻である。
【0029】
ジョブ番号「001」〜「003」に対応する受信情報51〜53、ジョブ番号「005」に対応する受信情報のホスト名は「clientA」であり、送信元がPC2である。ジョブ番号「004」に対応する受信情報のホスト名は、「clientB」であり、送信元がPC3である。このように、複数の印刷ジョブが関連しているかどうかをホスト名に基づいて判定することができる。
【0030】
ジョブ番号「001」〜「003」に対応する受信情報51〜53のファイル名は、「note.xls」である。ジョブ番号「001」〜「003」に対応する印刷ジョブは、同一の印刷対象データから作成されている。このように、複数の印刷ジョブが関連しているかどうかをファイル名に基づいて判定することができる。
【0031】
以下、ネットワーク複合機1が受信情報を印刷ジョブ管理情報50に登録する動作について、PC2から印刷ジョブ23を受信した場合を例にして説明する。
【0032】
まず、PC2のユーザが、PC2を操作して印刷対象データ「note.xls」を作成する。「note.xls」は、PC2にインストールされた表計算ソフトウェアにより作成された、三つのワークシートを有するデータである。PC2のユーザは、「note.xls」の全ワークシートの一括印刷を指示する。
【0033】
PC2にインストールされたプリンタドライバは、各ワークシートに対応する印刷ジョブ21、22、23を作成する。つまり、プリンタドライバは、「note.xls」から印刷ジョブを一つ生成するのではなく、「note.xls」を各ワークシートに分割した上で、各ワークシートに対応する独立した印刷ジョブ21〜23を作成する。印刷ジョブ21〜23は、lpr(Line PRineter daemon Protocol)に基づいてPC2からネットワーク複合機1へ送信される。
【0034】
なお、PC2は、印刷ジョブ21〜23をIPP(Internet Printing Protocol)に基づいて送信してもよい。
【0035】
図3は、印刷ジョブを受信したときのネットワーク複合機の動作の流れを示すフローチャートである。
【0036】
ネットワーク複合機1は、複数の印刷ジョブを並行して受信する場合、受信した印刷ジョブごとに図3に示す処理を実行する。なお、印刷ジョブ管理情報50には、印刷ジョブ21、22に対応する受信情報51、52(ジョブ番号「001」、「002」)が既に登録されており、ジョブ番号「003」〜「005」は登録されていない。
【0037】
ネットワーク複合機1が印刷ジョブ23の受信を開始した場合(ステップS101においてYes)、制御部11は、受信した印刷ジョブ23のパケットから、ホスト名、ファイル名を取得できるかどうかを確認する(ステップS102)。印刷ジョブ23がlprまたはIPPに基づいて送信されている場合、制御部11は、各プロトコルに基づいて、印刷ジョブ23のホスト名、ファイル名を取得することができる。
【0038】
印刷ジョブ23のホスト名、ファイル名を取得できない場合(ステップS102においてNo)、ネットワーク複合機1は、通常の印刷処理を実行する(ステップS103)。つまり、印刷ジョブ23の受信が完了した後で、プリンタコントローラ14が印刷ジョブ23からラスタデータを生成する。ラスタデータは、プリンタ部17により印刷され、印刷文書として出力される。つまり、ステップS103では、印刷ジョブが一つずつ個別に処理される。
【0039】
印刷ジョブ管理部111は、印刷ジョブ23のホスト名「clientA」、ファイル名「note.xls」を取得できるため(ステップS102においてYes)、印刷ジョブ23にジョブ番号を新たに割り当て、ジョブ番号を印刷ジョブ管理情報50に登録する(ステップS104)。印刷ジョブ管理情報50にジョブ番号「001」、「002」が既に登録されているため、ジョブ番号の最大値「002」がインクリメントされた値「003」が、新たなジョブ番号として割り当てられる。
【0040】
印刷ジョブ管理部111は、取得したホスト名「clientA」、ファイル名「note.xls」を、ジョブ番号「003」に対応付けて印刷ジョブ管理情報50に記録する(ステップS105)。印刷ジョブ23の受信開始時刻「13:25:18」が、印刷ジョブ管理情報50に記録される(ステップS106)。制御部11は、受信を開始した印刷ジョブ23を、ジョブ番号「003」と対応付けて記憶部18にスプールする(ステップS107)。
【0041】
印刷ジョブ21の受信が完了した場合(ステップS108においてYes)、印刷ジョブ管理部111は、受信終了時刻「13:25:19」を、ジョブ番号「003」に対応付けて印刷ジョブ管理情報50に記録する(ステップS109)。これにより、ジョブ番号「003」に対応する受信情報53が、印刷ジョブ管理情報50に登録され、図3に示す処理が終了する。
【0042】
次に、ネットワーク複合機1が記憶部18にスプールされた印刷ジョブの処理を実行する動作を、図2、図4を用いて説明する。
【0043】
図4は、ネットワーク複合機1における印刷ジョブの処理の流れを示すフローチャートである。ネットワーク複合機1は、上述した図3に示す処理とは関係なく、図4に示す処理を一定の時間間隔で実行する。つまり、図4に示す処理は、図3に示す印刷ジョブの受信処理とは独立に実行される。
【0044】
印刷ジョブ特定部113は、印刷ジョブ管理情報50を記憶部18から取得して、印刷ジョブ管理情報50に受信情報が登録されているかどうかを確認する(ステップS201)。受信情報が登録されていない場合(ステップS201においてNo)、印刷ジョブ特定部113は、図4に示す処理を終了する。
【0045】
一方、受信情報が登録されている場合(ステップS201においてYes)、印刷ジョブ特定部113は、プリンタ部17が印刷できるデータを、プリンタコントローラ14から出力されるラスタデータに制限する(ステップS202)。プリンタ部17の印刷制限中にファクシミリ部15がファクシミリデータ70を受信した場合、ファクシミリデータ70は記憶部18にスプールされ、ファクシミリデータ70の印刷は保留される。また、プリンタ部17の印刷制限中にスキャナ部16がコピーデータ80を出力しても、コピーデータ80は記憶部18にスプールされ、コピーデータ80の印刷は保留される。
【0046】
印刷ジョブ特定部113は、印刷ジョブ管理情報50に基づいて印刷対象となる印刷ジョブ(基準印刷ジョブおよび関連印刷ジョブ)を特定し(ステップS203)、印刷対象情報60を作成する。印刷対象情報60には、印刷対象として特定された印刷ジョブに対応するジョブ番号が記録されている。ステップS203の詳細については後述するが、印刷ジョブ特定部113は、受信情報51〜53(ジョブ番号「001」〜「003」)に対応する印刷ジョブ21〜23を印刷対象として特定し、ジョブ番号「001」〜「003」を印刷対象情報60に登録する。
【0047】
印刷対象情報60に基づいて、印刷ジョブ21〜23の印刷処理が行われる(ステップS204)。制御部11は、ジョブ番号「001」〜「003」に対応する印刷ジョブ21〜23のラスタライズを、プリンタコントローラ14に指示する。プリンタコントローラ14は、印刷ジョブ21〜23からそれぞれラスタデータを生成し、プリンタ部17に出力する。プリンタ部17は、印刷制限中であるが、プリンタコントローラ14から出力されるラスタデータの印刷は可能である。したがって、印刷ジョブ21〜23に対応する印刷文書が、ネットワーク複合機1から連続して出力される。このとき、プリンタ部17はファクシミリデータ70、コピーデータ80を印刷できない、したがって、印刷ジョブ21〜23に対応する印刷文書に、ファクシミリ文書、コピー文書が挟まれることを防止できる。
【0048】
印刷ジョブ特定部113は、ジョブ番号「001」〜「003」に対応する受信情報51〜53を印刷ジョブ管理情報50から削除する(ステップS205)。
【0049】
記憶部18から、ジョブ番号「001」〜「003」に対応する印刷ジョブ21〜23が削除される(ステップS206)。印刷ジョブ特定部113は、プリンタ部17の印刷制限を解除する(ステップS207)。プリンタ部17は、印刷が保留されていたファクシミリデータ70、コピーデータ80の印刷が可能な状態となる。すなわち、印刷ジョブ21〜23に対応する印刷文書が連続して出力された後で、ファクシミリデータ70が印刷されたファクシミリ文書、コピーデータ80が印刷されたコピー文書が出力される。
【0050】
次に、印刷対象の印刷ジョブを特定する処理(ステップS203)について、図2、図5を用いて詳しく説明する。図5は、印刷対象の印刷ジョブを特定する処理(ステップS203)の流れを示すフローチャートである。
【0051】
まず、印刷ジョブ特定部113は、印刷ジョブ管理情報50に登録されている最小のジョブ番号「001」を、印刷対象情報60に登録する(ステップS301)。これにより、ジョブ番号「001」に対応する印刷ジョブ21が、基準印刷ジョブとして指定される。
【0052】
図2に示すように、ジョブ番号「001」に対応する印刷ジョブ21が、ネットワーク複合機1が最初に受信した印刷ジョブである。最小のジョブ番号が指定されることにより、ネットワーク複合機1が最初に受信した印刷ジョブが、優先的に処理される。
【0053】
基準時刻決定部112は、ジョブ番号「001」に対応するホスト名「clientA」、ファイル名「note.xls」を受信情報51から取得する(ステップS302)。基準時刻決定部112が、基準印刷ジョブ(印刷ジョブ21)に関連する関連印刷ジョブを特定するために用いる基準時刻を設定する(ステップS303)。印刷ジョブ21に対応するジョブ番号「001」の受信終了時刻「13:25:17」と時差時間(2秒)とが合計され、基準時刻が「13:25:19」と決定される。時差時間は、関連する二つの印刷ジョブの受信タイミングの時差として想定される最大の時間であり、基準時刻決定部112に予め設定されている。なお、ネットワーク複合機1の管理者は、操作部12およびタッチパネル式ディスプレイ13を操作して、時差時間を変更してもよい。
【0054】
次に、印刷ジョブ特定部113は、最小のジョブ番号「001」の次に登録されたジョブ番号「002」に対応する受信情報52を判定対象として決定する(ステップS304)。
【0055】
印刷ジョブ特定部113は、受信情報51および受信情報52のホスト名、ファイル名が一致するかどうかを確認する(ステップS305)。一致しない場合(ステップS305においてNo)、印刷ジョブ特定部113は、ステップS309に示す処理に進む。しかし、受信情報51および受信情報52のホスト名、ファイル名が一致しているため(ステップS305においてYes)、印刷ジョブ特定部113は、受信情報52の受信開始時刻が基準時刻より前であるかどうかを確認する(ステップS306)。
【0056】
受信情報52の受信開始時刻が基準時刻より前でない場合(ステップS306においてNo)、印刷ジョブ特定部113は、ステップS309に示す処理に進む。しかし、受信情報52の受信開始時刻「13:25:16」が基準時刻「13:25:19」より前であるため(ステップS306においてYes)、印刷ジョブ特定部113は、受信情報52に対応する印刷ジョブ22が、関連印刷ジョブであると判定する。受信情報52のジョブ番号「002」が印刷対象情報60に登録される(ステップS307)。これにより、印刷ジョブ22が印刷対象として特定される。
【0057】
PC2は、「note.xls」の各ワークシートに対応する印刷ジョブ21〜23を、ほぼ同じタイミングで連続して送信する。このため、ネットワーク複合機1における印刷ジョブ21〜23の受信タイミングのズレは、数秒以内であると想定される。したがって、ネットワーク複合機1は、二つの印刷ジョブのホスト名、ファイル名が一致し、最初に受信した印刷ジョブの受信終了時刻に時差時間を加算した基準時刻より前に次の印刷ジョブの受信を開始した場合、二つの印刷ジョブが関連していると判定する。
【0058】
基準時刻決定部112は、受信情報52の受信終了時刻「13:25:18」に時差時間(2秒)を加算して、基準時刻を「13:25:20」に更新する(ステップS308)。印刷ジョブ特定部113は、判定対象の受信情報52に対応するジョブ番号「002」が、最大のジョブ番号であるかどうかを確認する(ステップS309)。ジョブ番号「002」は最大でないため(ステップS309においてNo)、ネットワーク複合機1は、ステップS304に示す処理に戻る。
【0059】
以下、ジョブ番号が最大となるまで(ステップS309においてYes)、ステップS304〜S309に示す処理が繰り返される。これにより、各受信情報に対応する印刷ジョブが、関連印刷ジョブであるかどうかが判定される。
【0060】
具体的には、ジョブ番号「002」の次に、ジョブ番号「003」の受信情報53が判定対象となる(ステップS304)。受信情報53のホスト名「clientA」、ファイル名「note.xls」が、ジョブ番号「001」の受信情報51のホスト名、ファイル名と一致する(ステップS305においてYes)。受信情報53の受信開始時刻「13:25:18」が基準時刻「13:25:20」より前である(ステップS306においてYes)。このため、受信情報53に対応する印刷ジョブ23が関連印刷ジョブであると判定され、ジョブ番号「003」が印刷対象情報60に登録される(ステップS307)。基準時刻が、受信情報53の受信終了時刻「13:25:19」に時差時間(2秒)が加算された時刻「13:25:21」に更新される。
【0061】
次に、ジョブ番号「004」に対応する受信情報が判定対象となる(ステップS304)。ジョブ番号「004」に対応するホスト名「clientB」、ファイル名「abc.doc」は、ジョブ番号「001」の受信情報51のホスト名、ファイル名と一致しない(ステップS305においてNo)。印刷ジョブ特定部113は、ジョブ番号「004」に対応する印刷ジョブが関連印刷ジョブではないと判定する。したがって、ジョブ番号「004」は、印刷対象情報60に登録されず、基準時刻は、「13:25:21」のまま更新されない。
【0062】
次に、ジョブ番号「005」に対応する受信情報が判定対象となる(ステップS304)。ジョブ番号「005」に対応するホスト名「clientA」は、受信情報51のホスト名と一致するが、ジョブ番号「005」に対応するファイル名「test.txt」が、受信情報51のファイル名と一致しない(ステップS305においてNo)。印刷ジョブ特定部113は、ジョブ番号「005」に対応する印刷ジョブを関連印刷ジョブではないと判定する。したがって、ジョブ番号「005」は、印刷対象情報60に登録されず、基準時刻は、「13:25:21」のまま更新されない。
【0063】
ジョブ番号「005」が印刷ジョブ管理情報50のジョブ番号の最大値であるため(ステップS309においてYes)、印刷ジョブ特定部113は、現在時刻が基準時刻を経過しているかどうかを確認する(ステップS310)。
【0064】
現在時刻が基準時刻を経過していない場合(ステップS310においてNo)、印刷ジョブ特定部113は、ステップS309に示す処理に戻る。これは、ネットワーク複合機1が関連印刷ジョブを受信する可能性があるためである。
【0065】
一方、現在時刻が基準時刻を経過していた場合(ステップS310においてYes)、印刷ジョブ特定部113は、図5に示す印刷対象の印刷ジョブを特定する処理を終了する。
【0066】
印刷ジョブ特定部113は、印刷対象情報60に登録されたジョブ番号「001」〜「003」に対応する印刷ジョブ21〜23のラスタライズをプリンタコントローラ14に指示する。図4を用いて説明したように、印刷ジョブ21〜23に対応する印刷文書が連続して出力される。
【0067】
ジョブ番号「004」に対応する印刷ジョブは、印刷ジョブ21〜23の処理が実行され(ステップS204)、ジョブ番号「001」〜「003」が削除された(ステップS205)後で、印刷対象として特定される。同様に、ジョブ番号「005」に対応する印刷ジョブは、ジョブ番号「004」に対応する印刷ジョブの処理が実行され(ステップS204)、ジョブ番号「004」が削除された(ステップS205)後で、印刷対象として特定される。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態に係るネットワーク複合機1は、印刷ジョブを受信するたびに、各印刷ジョブのホスト名、受信開始時刻、受信終了時刻を記録した受信情報を、印刷ジョブ管理情報に登録する。ホスト名、ファイル名が一致する二つの印刷ジョブにおいて、最初に受信した印刷ジョブの受信終了時刻に時差時間を加算した基準時刻より前に次の印刷ジョブの受信が開始されていた場合、二つの印刷ジョブが関連していると判断される。ネットワーク複合機1は関連した二つの印刷ジョブは連続して印刷されるために、各印刷ジョブに対応する印刷ジョブの間に、ファクシミリ文書、コピー文書が混入することを防止できる。
【0069】
また、印刷ジョブ21、22の受信中に、PC3から送信された印刷ジョブを受信した場合であっても、PC3から送信された印刷ジョブに対応するジョブ番号は、印刷対象情報60に登録されない。したがって、送信元の異なる印刷ジョブが、印刷ジョブ21〜23の処理中に割り込まれることを防止できる。
【0070】
なお、本実施の形態において、相互に関連する印刷ジョブを特定する際に、ホスト名、ファイル名、受信開始時刻、受信終了時刻を用いる例について説明したが、これに限られない。たとえば、印刷ジョブ特定部113は、ホスト名、受信開始時刻、受信終了時刻のみを用いて、相互に関連する印刷ジョブを特定してもよい。これにより、印刷ジョブ管理情報50のデータサイズを小さくでき、印刷ジョブを特定する際の処理を高速化できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態に係るネットワーク複合機の構成を含む印刷システムの構成図である
【図2】印刷ジョブ管理情報の具体例を示す図である。
【図3】印刷ジョブを受信したときのネットワーク複合機の動作を示すフローチャートである。
【図4】印刷処理を実行するときのネットワーク複合機の動作を示すフローチャートである。
【図5】出力対象の印刷データを特定するネットワーク複合機の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1 ネットワーク複合機
2、3 PC
4 LAN
11 制御部
14 プリンタコントローラ
15 ファクシミリ部
16 スキャナ部
17 プリンタ部
18 記憶部
21、22、23 印刷ジョブ
50 印刷ジョブ管理情報
60 印刷対象情報
111 印刷ジョブ管理部
112 基準時刻決定部
113 印刷ジョブ特定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数の印刷データを受信し、各印刷データの送信元を特定する印刷データ受信部と、
各印刷データの受信開始時刻と、受信終了時刻と、送信元を示す送信元情報とが記録された印刷データ管理情報を作成して管理する印刷データ管理部と、
前記複数の印刷データから基準印刷データを指定し、前記基準印刷データの受信終了時刻から所定時間を経過した基準時刻を決定する基準時刻決定部と、
前記基準印刷データの送信元と一致し、前記基準時刻より前に前記受信部により受信が開始された第1関連印刷データを、前記印刷データ受信情報に基づいて前記複数の印刷データから特定する印刷データ特定部と、
前記基準印刷データと前記第1関連印刷データとを連続して印刷する印刷部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記基準時刻決定部は、
前記第1関連印刷データが特定された場合、前記第1関連印刷データの受信終了時刻から前記所定時間が経過した時刻に前記基準時刻を更新する基準時刻更新部、
を含み、
前記印刷データ特定部は、前記基準印刷データの送信元と一致し、更新された前記基準時刻より前に前記受信部により受信が開始された第2関連印刷データを、前記印刷データ管理情報に基づいて前記複数の印刷データから特定し、
前記印刷部は、前記第1関連印刷データと前記第2関連印刷データとを連続して印刷することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
前記基準時刻決定部は、前記印刷データ管理情報に基づいて、前記複数の印刷データのうち最初に受信した印刷データを前記基準印刷データとして指定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記印刷データ管理部は、各印刷データのファイル名を示すファイル情報を前記印刷データ管理情報に含めており、
前記印刷データ特定部は、前記基準印刷データのファイル名と一致する印刷データを、前記第1関連印刷データとして抽出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
ネットワークを介して複数の印刷データを受信し、各印刷データの送信元を特定する印刷データ受信部と、
各印刷データの受信開始時刻と、受信終了時刻と、送信元を示す送信元情報とが記録された印刷データ管理情報を作成して管理する印刷データ管理部と、
前記複数の印刷データから基準印刷データを指定し、前記基準印刷データの受信終了時刻から所定時間を経過した基準時刻を決定する基準時刻決定部と、
前記基準印刷データの送信元と一致し、前記基準時刻より前に前記受信部により受信が開始された第1関連印刷データを、前記印刷データ受信情報に基づいて前記複数の印刷データから特定する印刷データ特定部と、
前記基準印刷データと前記第1関連印刷データとを連続して印刷する印刷部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記基準時刻決定部は、
前記第1関連印刷データが特定された場合、前記第1関連印刷データの受信終了時刻から前記所定時間が経過した時刻に前記基準時刻を更新する基準時刻更新部、
を含み、
前記印刷データ特定部は、前記基準印刷データの送信元と一致し、更新された前記基準時刻より前に前記受信部により受信が開始された第2関連印刷データを、前記印刷データ管理情報に基づいて前記複数の印刷データから特定し、
前記印刷部は、前記第1関連印刷データと前記第2関連印刷データとを連続して印刷することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
前記基準時刻決定部は、前記印刷データ管理情報に基づいて、前記複数の印刷データのうち最初に受信した印刷データを前記基準印刷データとして指定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記印刷データ管理部は、各印刷データのファイル名を示すファイル情報を前記印刷データ管理情報に含めており、
前記印刷データ特定部は、前記基準印刷データのファイル名と一致する印刷データを、前記第1関連印刷データとして抽出することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2010−76262(P2010−76262A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247288(P2008−247288)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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