説明

画像形成装置

【課題】本発明は、LEDヘッド(露光部材)の傾きを抑制することで、画像品質を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、装置本体(本体筐体10)に回転可能に支持される感光体(感光ドラム53)と、感光体を露光する露光部材(LEDユニット40)と、露光部材と感光体との間隔を保持する間隔保持部材(ガイドローラ44)とを備える。そして、露光部材よりも感光体の回転方向下流側に配置されるとともに、露光部材に当接し、回転方向における露光部材の位置を決める位置決め部材100と、露光部材よりも回転方向上流側で、かつ、位置決め部材100と露光部材との当接位置よりも感光体から離れた位置で露光部材に当接し、露光部材が位置決め部材100を中心にして揺動するのを規制する揺動規制部材110と、が装置本体に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDヘッド等の複数の明滅部を有する露光部材で、感光ドラム等の感光体を露光する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDヘッドにより感光ドラムを露光する画像形成装置として、LEDヘッドと感光ドラムとの間に、LEDヘッドと感光ドラムとの光軸方向の間隔を保持するためのスペーサを設けたものが知られている(特許文献1参照)。具体的に、この技術では、スペーサがLEDヘッドと一体的に設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−361931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術では、スペーサがLEDヘッドと一体的に設けられているので、回転する感光ドラムと摺接するスペーサが感光ドラムとの摩擦によって感光ドラムの回転方向に引っ張られて、LEDヘッドが回転方向に移動することがある。これに対し、LEDヘッドの回転方向下流側に位置決め部材を設けることで回転方向における位置を規制する方法が考えられるが、スペーサが感光ドラムの回転方向に引っ張られると、LEDヘッドが位置決め部材を中心として傾くことがある。そして、このようにLEDヘッドが傾くと、LEDヘッドから照射される光の焦点位置がずれるので、画像品質が低下するといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、LEDヘッド(露光部材)の傾きを抑制することで、画像品質を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、装置本体に回転可能に支持される感光体と、前記感光体を露光する露光部材と、前記露光部材に設けられ、前記感光体と接触して、前記露光部材と前記感光体との間隔を保持する間隔保持部材とを備えた画像形成装置であって、前記露光部材よりも前記感光体の回転方向下流側に配置されるとともに、前記露光部材に当接し、前記回転方向における前記露光部材の位置を決める位置決め部材と、前記露光部材よりも前記回転方向上流側で、かつ、前記位置決め部材と前記露光部材との当接位置よりも前記感光体から離れた位置で前記露光部材に当接し、前記露光部材が前記位置決め部材を中心にして揺動するのを規制する揺動規制部材と、を前記装置本体に設けたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、回転する感光体と接触する間隔保持部材が感光体との摩擦によって感光体の回転方向に引っ張られることで、露光部材が位置決め部材を中心にして揺動しようとしても、露光部材の揺動が揺動規制部材で抑えられるので、露光部材の傾きを抑制することができる。これにより、露光部材から照射される光の焦点位置がずれることが抑制されるので、画像品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、露光部材が位置決め部材を中心にして揺動しようとしても、露光部材の揺動(傾き)が揺動規制部材で抑えられるので、画像品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は、画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図である。なお、以下の説明においては、まず、カラープリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0010】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側(手前側)」、紙面に向かって左側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0011】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体の一例としての本体筐体10内に、用紙Pを供給する給紙部20と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部90とを備えている。
【0012】
本体筐体10の上部には本体筐体10に対し相対的に開閉自在なアッパーカバー12が、後側に設けられたヒンジ12Aを支点として上下に回動自在に設けられている。アッパーカバー12の上面は、本体筐体10から排出された用紙Pを蓄積する排紙トレイ13となっており、下面には後述するLEDユニット40を保持する複数のLED取付部材14が設けられている。
【0013】
給紙部20は、本体筐体10内の下部に設けられ、本体筐体10に着脱自在に装着される給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙供給機構22を主に備えている。このように構成される給紙部20では、給紙トレイ21内の用紙Pが、用紙供給機構22によって一枚ずつ分離されて、画像形成部30に供給される。
【0014】
画像形成部30は、露光部材の一例としての4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とから主に構成されている。
【0015】
LEDユニット40は、LED取付部材14に支持されており、本体筐体10に設けられる位置決め部材100や揺動規制部材110によって適宜位置決めされている。なお、LEDユニット40、位置決め部材100および揺動規制部材110の詳細な構造は、後述することとする。
【0016】
プロセスカートリッジ50は、アッパーカバー12と給紙部20との間で前後方向に並んで配置され、本体筐体10に回転可能に支持される感光体の一例としての感光ドラム53や、図示せぬ帯電器や、符号を省略して示す公知の現像ローラ、トナー収容室などを備えて構成されている。
【0017】
転写ユニット70は、給紙部20と各プロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71、従動ローラ72、搬送ベルト73および転写ローラ74を主に備えている。
【0018】
駆動ローラ71および従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間にエンドレスベルトからなる搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外側の面が各感光ドラム53に接している。また、搬送ベルト73の内側には、各感光ドラム53との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が、各感光ドラム53に対向して4つ配置されている。この転写ローラ74には、転写時に定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0019】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の奥側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0020】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム53の表面が、帯電器により一様に帯電された後、各LEDユニット40で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム53上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、静電潜像に現像ローラよりトナーが供給されることで、感光ドラム53上にトナー像が担持される。
【0021】
次に、搬送ベルト73上に供給された用紙Pが各感光ドラム53と搬送ベルト73の内側に配置される各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム53上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0022】
排紙部90は、用紙Pを搬送する複数対の搬送ローラ91を主に備えている。トナー像が転写され、熱定着された用紙Pは、搬送ローラ91によって搬送され、本体筐体10の外部に排出されて排紙トレイ13に蓄積される。
【0023】
<LEDユニット、位置決め部材および揺動規制部材の構成>
次に、本発明の特徴部分であるLEDユニット40、位置決め部材100および揺動規制部材110の構成について詳細に説明する。
【0024】
〔LEDユニットの構成〕
最初に、LEDユニット40の構成について説明する。参照する図面において、図2はLEDユニットの構成を示す正面図であり、図3は左側の偏心カムを示す分解斜視図(a)と、右側の偏心カムを示す分解斜視図(b)である。
【0025】
図2に示すように、LEDユニット40は、LEDヘッド41と、2本の線ばね(弾性部材)42と、支持フレーム43と、間隔保持部材の一例としての2つのガイドローラ44と、2つの偏心カム(調整部材)45,46とを主に備えて構成されている。
【0026】
LEDヘッド41は、複数のLED41Aと、ヘッドフレーム41Bと、レンズアレイ41Cとを備えて構成されている。本実施形態において、明滅部は、一例として、レンズアレイ41Cと複数のLED41Aとにより構成されている。
【0027】
複数のLED41Aは、左右方向(感光ドラム53の軸方向)において所定の画素ピッチに応じて一列に配列されており、選択的に駆動されることで適宜発光して、光を感光ドラム53に向けて照射するように構成されている。具体的に、各LED41Aは、形成すべき画像のデータに基づいて、図示しない制御装置により信号が入力されて発光し、感光ドラム53を露光する。
【0028】
ヘッドフレーム41Bは、樹脂で形成されており、その下部で複数のLED41Aを支持している。なお、ヘッドフレーム41Bが樹脂で形成されることにより、LEDヘッド41の小型化および低コスト化が図られるとともに、帯電器などの高圧部品からの放電が抑制されている。
【0029】
レンズアレイ41Cは、LED41Aに対応して配列された複数のセルフォックレンズ(登録商標)からなり、各LED41Aの配列方向に沿って延びて、ヘッドフレーム41Bの下面の両端部を少し残した状態でヘッドフレーム41Bに固定されている。
【0030】
線ばね42は、略V字状に形成される線状の引きばねであり、LEDヘッド41を支持フレーム43に向けて付勢している。具体的に、線ばね42は、V字状の本体部42Aと、本体部42Aの下端に形成される作用部42Bと、本体部42Aの上端に形成される係合爪部42Cとを有している。
【0031】
本体部42Aは、後述する偏心カム45,46の操作部(後述する十字溝45C,46C;図3参照)を露出させるようにV字状に屈曲形成されている。
【0032】
作用部42Bは、LEDヘッド41に押圧力を加える部位であり、ヘッドフレーム41Bの下面のうち複数のLED41A(レンズアレイ41C)よりも左右方向外側の部位に当接されている。また、作用部42Bは、上方に折り曲げられた後、下方に折り曲げられることでV字状に形成されており、これにより、作用部42Bとヘッドフレーム41Bとの接触部分が略点状となっている。
【0033】
係合爪部42Cは、後述する支持フレーム43の係合ピン部43Cの上面に引っ掛かるようなV字形状に形成されている。
【0034】
支持フレーム43は、LEDヘッド41を線ばね42を介して支持するものであり、左右方向に延びるベース部43Aと、ベース部43Aの両端から下方に延出する一対の延出部43Bとを備えて構成されている。
【0035】
ベース部43Aには、線ばね42を支持する係合ピン部43Cと、偏心カム45,46を回転可能に支持する軸受け部43D,43Eとが左右対称な位置に2つ形成されている。そして、このベース部43Aの上面には、支持フレーム43を下方の感光ドラム53に向けて押圧する2つの押圧バネ(弾性部材)47が左右対称な位置に配設されており、これにより、支持フレーム43が2つの押圧バネ47によって左右方向でバランス良く押圧されるようになっている。
【0036】
延出部43Bは、ベース部43Aに線ばね42を介して支持されるLEDヘッド41の下面よりも下方に突出する長さで形成されており、その下端部には、ガイドローラ44を回転可能に支持する軸部43Fが設けられている。
【0037】
ガイドローラ44は、円筒状の部材であり、支持フレーム43の延出部43Bの下端部にある軸部43Fに回転可能に設けられることで、LEDヘッド41から所定距離だけ離間されて設置されている。このガイドローラ44は、前述した押圧バネ47からの付勢力が支持フレーム43を介して伝達されることで、感光ドラム53に押し付けられて感光ドラム53に従動回転するようになっている。そして、このガイドローラ44が、感光ドラム53と接触することで、感光ドラム53と支持フレーム43に支持されたLEDヘッド41との光軸方向の間隔(作動距離S)が保持されるようになっている。
【0038】
なお、ガイドローラ44は、感光ドラム53の表面のうち感光層(露光される層)に接触してもよいし、この感光層よりも左右方向外側にある領域(感光層がない領域)に接触してもよい。
【0039】
偏心カム45,46は、LEDヘッド41と支持フレーム43のベース部43Aとの間に配設されており、線ばね42の付勢力を受けながらLEDヘッド41を光軸方向に押圧するように構成されている。具体的に、偏心カム45,46は、ヘッドフレーム41Bの上面のうち複数のLED41A(レンズアレイ41C)よりも左右方向外側の部位に当接する位置に配設されるとともに、線ばね42の付勢方向(上下方向)から見て線ばね42の作用部42Bと重なるように配置されている。
【0040】
そして、一対の偏心カム45,46のうち左側の偏心カム45は、図3(a)に示すように、LEDヘッド41を2箇所で押圧するように構成され、右側の偏心カム46は、図3(b)に示すように、LEDヘッド41を1箇所で押圧するように構成されている。すなわち、すべての偏心カム45,46とLEDヘッド41との当接部分は、3箇所のみとなっている。
【0041】
具体的に、図3(a)に示すように、左側の偏心カム45は、同心上に配置される2つの円柱部45Aと、各円柱部45Aの中心から偏心した位置で各円柱部45Aを連結する1つの軸部45Bとを有している。
【0042】
そして、偏心カム45の軸部45Bは、支持フレーム43のC字状の軸受け部43Dに嵌合されることによって、所定の渋さ(動き難さ)で軸受け部43Dに回転可能に支持される。ここで、軸部45Bと軸受け部43Dとの渋さは、線ばね42による付勢力では、偏心カム45が回転しないような渋さに設定される。
【0043】
また、偏心カム45の円柱部45Aの端面には、中心が軸部45Bの中心と一致する十字溝45Cが形成されている。そして、十字溝45Cにプラスドライバーを係合させ、線ばね42の付勢力よりも大きな力でプラスドライバーを所定量回転させることで、偏心カム45が支持フレーム43に対して所定量回転して、その位置に維持されるようになっている。
【0044】
図3(b)に示すように、右側の偏心カム46は、左側の偏心カム45から1つの円柱部45Aを取り除いた形状に形成されている。すなわち、右側の偏心カム46は、左側の偏心カム45と同様の構成となる円柱部46A、軸部46Bおよび十字溝46Cを有している。そして、偏心カム46の軸部46Bは、支持フレーム43の略円筒状の軸受け部43Eに嵌合されることによって、前述と同様の渋さで軸受け部43Eに回転可能に支持される。
【0045】
そして、以上のように構成されるLEDユニット40では、図2に示すように、ガイドローラ44が感光ドラム53に当接することで、支持フレーム43が感光ドラム53に対して所定位置に位置することになる。また、このように位置決めされた支持フレーム43に支持される偏心カム45,46に対してLEDヘッド41が押し付けられることで、LEDヘッド41が感光ドラム53に対して位置決めされる。
【0046】
そして、この状態において偏心カム45,46を適宜操作することで、支持フレーム43に対してLEDヘッド41が進退して、作動距離Sが微調整される。なお、作動距離Sは、ガイドローラ44、支持フレーム43、偏心カム45,46およびLEDヘッド41の製造誤差の影響により大きく変化するため、偏心カム45,46の調整幅では、作動距離Sを所望の値にできない場合がある。この場合には、偏心カム45,46とLEDヘッド41との間に、作動距離Sを粗調整するための粗調整板を適宜設ければよい。
【0047】
なお、この作動距離Sの調整は、LEDユニット40の製造時に行うものであり、LEDユニット40を本体筐体10に組み付けた後は行わない。したがって、作動距離Sを調整した後は、弾性変形しない結束バンドや接着剤などの固定手段で支持フレーム43にLEDヘッド41を固定させ、その後線ばね42を外してもよい。
【0048】
〔位置決め部材および揺動規制部材の構成〕
次に、位置決め部材100および揺動規制部材110の構成について説明する。参照する図面において、図4は位置決め部材および揺動規制部材を示す図であり、LEDユニットのガイドローラを感光ドラムに当接させた状態を示す側面図(a)と、LEDユニットのガイドローラを感光ドラムから離間させた状態を示す側面図(b)である。
【0049】
図4(a)に示すように、位置決め部材100は、円柱状のピンであり、LEDユニット40の前方(感光ドラム53の回転方向下流側)に配設されている。具体的に、位置決め部材100は、LEDユニット40を構成する支持フレーム43の延出部43Bの前面に対向するように配置されている。
【0050】
そして、位置決め部材100は、支持フレーム43の延出部43Bの前面のうち感光ドラム53側の部位に当接することで、LEDユニット40を前後方向(感光ドラム53の回転方向)において位置決めしている。
【0051】
揺動規制部材110は、円柱状のピンであり、LEDユニット40の後方(感光ドラム53の回転方向上流側)に配設されている。具体的に、揺動規制部材110は、支持フレーム43の延出部43Bのうち位置決め部材100が当接する位置よりも上方(感光ドラム53から離れる方向)に当接することで、LEDユニット40が位置決め部材100を中心にして揺動するのを規制している。
【0052】
また、LEDユニット40の位置決め部材100とは反対側には、第1押圧部材の一例としての第1コイルバネ120が設けられるとともに、LEDユニット40の揺動規制部材110とは反対側には、第2押圧部材の一例としての第2コイルバネ130が設けられている。
【0053】
第1コイルバネ120は、本体筐体10に固定されてLEDユニット40(支持フレーム43)を位置決め部材100へ向けて押圧するバネであり、その前端には、LEDユニット40に当接する当接部材140が設けられている。そして、第1コイルバネ120は、上下方向(光軸方向)において、位置決め部材100と同じ位置に配置されている。詳しくは、当接部材140がLEDユニット40と当接する部分(第1コイルバネ120の付勢力がLEDユニット40に作用する作用部)が、上下方向において、位置決め部材100がLEDユニット40と当接する部分と同じ位置に配置されている。
【0054】
また、当接部材140の上部には、第1コイルバネ120からLEDユニット40に向かうにつれて感光ドラム53側に傾斜する傾斜面141が形成されている。これにより、図4(b)に示すように、LEDユニット40を感光ドラム53に向けて挿入していくと、LEDユニット40が傾斜面141に当接して当接部材140が後方に移動することで、第1コイルバネ120が前後方向に縮められるようになっている。
【0055】
第2コイルバネ130は、LEDユニット40(支持フレーム43)に固定されてLEDユニット40を揺動規制部材110へ向けて押圧するバネであり、その前端には、本体筐体10に当接する当接部材150が設けられている。そして、第2コイルバネ130は、上下方向(光軸方向)において、揺動規制部材110と同じ位置に配置されている。詳しくは、第2コイルバネ130がLEDユニット40に固定される部分(第2コイルバネ130の付勢力がLEDユニット40に作用する作用部)は、上下方向において、揺動規制部材110がLEDユニット40と当接する部分と同じ位置に配置されている。
【0056】
また、当接部材150の下部には、本体筐体10から第2コイルバネ130に向かうにつれて感光ドラム53側に傾斜する傾斜面151が形成されている。これにより、図4(b)に示すように、LEDユニット40を感光ドラム53に向けて挿入していくと、傾斜面151が本体筐体10に当接して当接部材150が後方に移動することで、第2コイルバネ130が左右方向に縮められるようになっている。
【0057】
〔位置決め部材および揺動規制部材の作用〕
次に、位置決め部材100および揺動規制部材110の作用について説明する。
図4(a)に示すように、感光ドラム53が回転すると、感光ドラム53と接触するガイドローラ44が感光ドラム53との摩擦によって感光ドラム53の回転方向に引っ張られることで、LEDユニット40が回転方向に移動しようとするが、この移動は位置決め部材100によって規制される。
【0058】
また、位置決め部材100で規制されるLEDユニット40は、ガイドローラ44が感光ドラム53の回転方向に引っ張られることで、位置決め部材100を中心にして揺動しようとするが、この揺動は揺動規制部材110で抑えられる。そのため、LEDユニット40は、位置決め部材100および揺動規制部材110によって、初期位置に保持されることとなる。
【0059】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
ガイドローラ44が感光ドラム53の回転方向に引っ張られてLEDユニット40が位置決め部材100を中心にして揺動しようとしても、LEDユニット40の揺動(傾き)が揺動規制部材110で抑えられるので、LEDユニット40から照射される光の焦点位置がずれることが抑制され、画像品質を向上させることができる。
【0060】
第1コイルバネ120の作用部(当接部材140がLEDユニット40に当接する部分)と、位置決め部材100のLEDユニット40との当接部分とを上下方向において同じ位置に配置したので、LEDユニット40を位置決め部材100に密着させて確実に位置決めを行うことができる。
【0061】
第2コイルバネ130の作用部(第2コイルバネ130がLEDユニット40に固定される部分)と、揺動規制部材110のLEDユニット40との当接部分とを上下方向において同じ位置に配置したので、LEDユニット40を揺動規制部材110に密着させて確実にLEDユニット40の揺動を抑えることができる。
【0062】
第1コイルバネ120を本体筐体10に固定することにより、LEDユニット40の下側部分の前後幅を小さく形成することができるので、位置決め部材100と揺動規制部材110との間の狭い隙間にLEDユニット40を良好に通すことができる。また、第2コイルバネ130をLEDユニット40に固定したので、本体筐体10に第2コイルバネ130を固定する形態に比べ、揺動規制部材110と本体筐体10との広い隙間にLEDユニット40を良好に通すことができる。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、第1コイルバネ120と位置決め部材100を上下方向において同じ位置に配置したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、第1コイルバネ120を、位置決め部材100よりも下方(感光ドラム53側)の位置に配置してもよい。詳しくは、第1コイルバネ120の作用部(当接部材140がLEDユニット40に当接する部分)を、位置決め部材100のLEDユニット40との当接部分よりも下方(感光ドラム53側)の位置に配置してもよい。
【0064】
これによれば、第1コイルバネ120の付勢力によってLEDユニット40にモーメントを与えて、LEDユニット40を位置決め部材100および揺動規制部材110に確実に押し付けることができるので、LEDユニット40の位置決めを確実に行うことができる。また、1つの第1コイルバネ120だけでLEDユニット40を位置決め部材100および揺動規制部材110に押し付けることができるので、第2コイルバネ130が不要となり、コストダウンを図ることができる。
【0065】
前記実施形態では、第2コイルバネ130と揺動規制部材110を上下方向において同じ位置に配置したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、第2コイルバネ130を、揺動規制部材110よりも上方(感光ドラム53から離れる方向)の位置に配置してもよい。詳しくは、第2コイルバネ130の作用部(第2コイルバネ130がLEDユニット40に固定される部分)を、揺動規制部材110のLEDユニット40との当接部分よりも上方の位置に配置してもよい。
【0066】
これによれば、第2コイルバネ130の付勢力によってLEDユニット40にモーメントを与えて、LEDユニット40を位置決め部材100および揺動規制部材110に確実に押し付けることができるので、LEDユニット40の位置決めを確実に行うことができる。また、1つの第2コイルバネ130だけでLEDユニット40を位置決め部材100および揺動規制部材110に押し付けることができるので、第1コイルバネ120が不要となり、コストダウンを図ることができる。
【0067】
前記実施形態では、押圧部材としてコイルバネ120,130を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばトーションバネや板バネなどの弾性部材を採用したり、エアシリンダや電磁力により鉄心を駆動させるソレノイドなどの弾性部材以外のものを採用してもよい。
【0068】
また、押圧部材は設けずに、単に位置決め部材100と揺動規制部材110との間にLEDユニット40を配設する構成としてもよい。この場合であっても、感光ドラム53との摩擦によってLEDユニット40の下端が前方に引っ張られる力を利用して、LEDユニット40を位置決め部材100と揺動規制部材110とに押し付けて、位置決めを行うことができる。
【0069】
前記実施形態では、位置決め部材100および揺動規制部材110を円柱状に形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば角柱状に形成してもよい。
【0070】
前記実施形態では、主にLEDヘッド41と支持フレーム43を有するLEDユニット40を露光部材として採用したが、本発明はこれに限定されず、LEDヘッド41を露光部材として採用してもよい。すなわち、LEDヘッド41に間隔保持部材としてガイドローラ44を回転可能に設け、このLEDヘッド41を挟み込むように位置決め部材100と揺動規制部材110をそれぞれ配設してもよい。
【0071】
前記実施形態では、間隔保持部材として回転可能なガイドローラ44を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば感光ドラムの外周面に面接触する凹状の曲面を有するスペーサなどの回転しない部材を間隔保持部材として採用してもよい。間隔保持部材を設けることで、感光ドラムが偏芯していても、作動距離を保持することができる。
【0072】
前記実施形態では、露光部材の一構成部品として左右方向に一列に配列された複数のLED41Aを備えるLEDヘッド41を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、左右方向に並ぶ複数のLEDを前後に複数列有するLEDヘッドを採用してもよい。また、LEDや蛍光灯などの1つの発光素子と、発光素子の外側に、左右方向に並んだ複数の液晶またはPLZT素子の光学シャッタとで、複数の明滅部を構成し、このような明滅部を有するものを採用してもよい。また、光源としては、LEDに限らず、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子や蛍光体などであってもよい。
【0073】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、感光体として感光ドラム53を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図である。
【図2】LEDユニットの構成を示す正面図である。
【図3】左側の偏心カムを示す分解斜視図(a)と、右側の偏心カムを示す分解斜視図(b)である。
【図4】位置決め部材および揺動規制部材を示す図であり、LEDユニットのガイドローラを感光ドラムに当接させた状態を示す側面図(a)と、LEDユニットのガイドローラを感光ドラムから離間させた状態を示す側面図(b)である。
【図5】第1コイルバネのみでLEDユニットを押圧する形態を示す側面図である。
【図6】第2コイルバネのみでLEDユニットを押圧する形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 カラープリンタ
10 本体筐体
40 LEDユニット
41 LEDヘッド
43 支持フレーム
44 ガイドローラ
53 感光ドラム
100 位置決め部材
110 揺動規制部材
120 第1コイルバネ
130 第2コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に回転可能に支持される感光体と、
前記感光体を露光する露光部材と、
前記露光部材に設けられ、前記感光体と接触して、前記露光部材と前記感光体との間隔を保持する間隔保持部材とを備えた画像形成装置であって、
前記露光部材よりも前記感光体の回転方向下流側に配置されるとともに、前記露光部材に当接し、前記回転方向における前記露光部材の位置を決める位置決め部材と、
前記露光部材よりも前記回転方向上流側で、かつ、前記位置決め部材と前記露光部材との当接位置よりも前記感光体から離れた位置で前記露光部材に当接し、前記露光部材が前記位置決め部材を中心にして揺動するのを規制する揺動規制部材と、を前記装置本体に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記露光部材を前記位置決め部材に向けて押圧する第1押圧部材をさらに備え、
前記第1押圧部材が、前記露光部材から照射される光の光軸方向において、前記位置決め部材と同じ位置または前記位置決め部材よりも前記感光体側の位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記露光部材を前記揺動規制部材に向けて押圧する第2押圧部材をさらに備え、
前記第2押圧部材が、前記露光部材から照射される光の光軸方向において、前記揺動規制部材と同じ位置または前記揺動規制部材よりも前記感光体から離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1押圧部材が、前記装置本体に取り付けられ、
前記第2押圧部材が、前記露光部材に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−8930(P2010−8930A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171166(P2008−171166)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】