説明

画像形成装置

【課題】転写ベルトの破損を防止することができる画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】画像形成装置本体と、現像剤像を搬送する帯状の搬送部材を有し、前記画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられた搬送装置と、前記搬送装置が前記画像形成装置本体から取り外される場合、前記搬送部材を押さえる押さえ手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、感光体上のトナー像を転写する転写ベルトと、前記転写ベルト上のトナー像を記録媒体に転写する2次転写ユニットを有し、前記転写ベルト上の基準トナー像を検出する光学センサに該光学センサの検知面を保護するシャッタを設け、前記2次転写ユニットを装置本体から引き出したときに前記シャッタを前記転写ベルトから離間させる構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−168888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、転写ベルトの破損を防止することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明は、画像形成装置本体と、現像剤像を搬送する帯状の搬送部材を有し、前記画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられた搬送装置と、前記搬送装置が前記画像形成装置本体から取り外される場合、前記搬送部材を押さえる押さえ手段と、を有する画像形成装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記押さえ手段は、前記搬送部材の移動方向とは直交する両端部を少なくとも押さえる請求項1記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記搬送部材により搬送される現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段に記録媒体を案内する案内手段と、をさらに有し、前記押さえ手段は、前記案内手段の一部から構成されている請求項1又は2記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記案内手段は、2つの案内板が対向して構成され、前記押さえ手段は、前記2つの案内板の一方から構成されている請求項3記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、前記案内手段は、前記搬送装置が前記画像形成装置本体から取り外される場合、前記押さえ手段が前記搬送部材を押さえる方向に付勢する付勢手段をさらに有する請求項3又は4記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る本発明によれば、転写ベルトの破損を防止することができる画像形成装置を提供することができる。
【0011】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、簡易な構成にすることができる。
【0012】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、部品点数を少なくすることができる。
【0013】
請求項4に係る本発明によれば、請求項3に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、記録媒体を速やかに搬送することができる。
【0014】
請求項5に係る本発明によれば、請求項3又は4に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、さらに簡易な構成にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置10を示す側面図である。
【図2】本発明に係る実施形態に用いた上シュート周辺を側方からみた図である。
【図3】本発明に係る実施形態に用いた上シュート周辺を中間転写ベルトの内側からみた図である。
【図4】本発明に係る実施形態に用いた上シュートの斜視図である。
【図5】本発明に係る実施形態に用いた上シュートの(a)は側面図であり、(b)は上面図である。
【図6】本発明の一実施形態の画像形成装置10の各ユニットの動作を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態に用いた上シュートの動作を示す図である。
【図8】バックアップロール周辺の中間転写ベルトの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概要が示されている。画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12内に像形成手段14が搭載され、この像形成手段14の下方に搬送部16が設けられ、この搬送部16の下方であると共に画像形成装置本体12の下部に例えば2段の給紙装置18、18が配置されている。
【0017】
それぞれの給紙装置18は、シートSが積層されて収納される給紙カセット22を有する。ここで、シートSはシート状であればいかなる態様でもよく、素材も限定されない。本発明の実施形態においては、シートの代表的態様として記録媒体である用紙を例に説明する。給紙カセット22の奥端近傍上部にはピックアップロール24が配置され、このピックアップロール24のシート搬送方向下流側にピンチロール26と搬送ロール28が配置されている。これらピックアップロール24、ピンチロール26及び搬送ロール28は、画像形成装置本体12に設けられていてもよし、給紙カセット22に設けられていてもよい。
【0018】
搬送部16である搬送路32は、搬送ロール28から排出口34までのシート通路であり、この搬送路32は、画像形成装置本体12の側部(図1の左側面)近傍にあって、最下端の給紙装置18から後述する定着装置36まで略水平に形成されている部分を有する。この搬送路32の定着装置36のシート搬送方向上流側に例えば3つの搬送ベルト37が配置され、搬送ベルト37の上流側には転写手段である二次転写装置42が配置され、さらに二次転写装置42の上流側に後述する案内手段である上シュート88と下シュート90が配置され、さらに上流側にはレジストロール38が配置されている。レジストロール38は、給紙装置18により搬送されたシートを一時停止させる一時停止部材である。また、搬送路32の排出口34の近傍には排出ロール40が配置されている。
【0019】
したがって、給紙装置18の給紙カセット22からピックアップロール24により送り出されたシートSは、ピンチロール26及び搬送ロール28の協働により捌かれて最上部のシートのみ搬送路32に導かれ、レジストロール38により一時停止され、タイミングをとって上シュート88と下シュート90間を通過して、二次転写装置42である二次転写ロール80とバックアップロール76との間を通って現像剤像が転写され、搬送ベルト37によって搬送されて、この転写された現像剤像が定着装置36により定着され、排出ロール40により排出口34から排出される。
【0020】
像形成手段14は、例えば電子写真方式のもので、感光体からなる4つの像保持体44a〜44dと、この像保持体44a〜44dを帯電する例えば帯電ロールからなる帯電装置56a〜56dと、帯電装置56a〜56dにより帯電された像保持体44a〜44dに、光により潜像を書き込む露光装置58a〜58dと、この露光装置58a〜58dにより形成された像保持体44a〜44dの潜像を現像剤により可視化する現像装置60a〜60dと、この現像装置60a〜60dによる現像剤像をシートSに一次転写する一次転写装置(一次転写ロール)61a〜61dと、像保持体44a〜44dに残存する現像剤をクリーニングする例えばブレードからなるクリーニング装置62a〜62dと、二次転写装置42により二次転写されたシートS上の現像剤像をシートSに定着させる定着装置36とから構成されている。
【0021】
また、帯状の搬送部材である中間転写ベルト70が、テンションロール72a〜72c、ドライブロール74およびバックアップロール76に張架され、これらのテンションロール72a〜72c、ドライブロール74及びバックアップロール76により中間転写ベルト70は、各像保持体44a〜44dの表面に接触しながら各像保持体44a〜44dと一次転写ロール61a〜61dとの間を矢印Aの方向に移動することができる。一次転写ロール61a〜61dが中間転写ベルト70を介して像保持体44a〜44dに接触する部位が一次転写部となり、像保持体44a〜44dと一次転写ロール61a〜61dとの接触部には一次転写電圧が印加される。
【0022】
また、二次転写装置42として、中間転写ベルト70および二次転写ベルト78を介してバックアップロール76と二次転写ロール80が対向配置されている。シートSが中間転写ベルト70の表面に接触しながら中間転写ベルト70と二次転写ロール80との間を矢印Bの方向に移動し、その後、定着装置36を通過する。二次転写ロール80が中間転写ベルト70および二次転写ベルト78を介してバックアップロール76に接触する部位が二次転写部となり、二次転写ロール80とバックアップロール76との接触部には二次転写電圧が印加される。更に、転写後の中間転写ベルト70と接触するように、中間転写ベルトクリーニング装置82が配置されている。
【0023】
このような構成のフルカラー画像形成装置10では、像保持体44aが矢印方向に回転するとともに、その表面が帯電装置56aによって一様に帯電された後、レーザー光等の露光装置58aにより第1色目の静電潜像が形成される。形成された静電潜像はその色に対応するトナーを収容した現像装置60aにより、トナーで現像されてトナー像が形成される。なお、現像装置60a〜60dには、各色の静電潜像に対応するトナー(例えば、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)がそれぞれ収容されている。
【0024】
像保持体44a上に形成されたトナー像は、一次転写部を通過する際に、一次転写ロール61aによって中間転写ベルト70上に静電的に転写(一次転写)される。以降、第1色目のトナー像を保持した中間転写ベルト70上に一次転写ロール61b〜61dによって、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像が順次重ね合わせられるよう一次転写され、最終的にフルカラーの多重トナー像が得られる。
【0025】
中間転写ベルト70上に形成された多重トナー像は、二次転写部を通過する際に、シートSに静電的に一括転写される。表面に積層トナー像が転写されたシートSは、搬送ベルト37によって定着装置36に搬送され、加熱および加圧により定着処理された後、機外に排出される。
【0026】
一次転写後の像保持体44a〜44dは、クリーニング装置62a〜62dにより残留トナーが除去される。一方、二次転写後の中間転写ベルト70は、クリーニング装置82により残留トナーが除去され、次の画像形成プロセスに備える。
【0027】
制御部30は、画像形成装置本体12に配設され、画像形成装置10を構成する各部を制御する。
【0028】
図2は、上シュート88周辺を側方からみた図であり、図3は、上シュート88周辺を中間転写ベルト70の内側からみた図である。
上シュート88は、シートSを転写手段であるバックアップロール76と二次転写ロール80間へ案内する上案内板である。
また、上シュート88の下方には、シートSを転写手段であるバックアップロール76と二次転写ロール80間へ案内する下案内板としての下シュート90が対向して配置される。したがって、上シュート88及び下シュート90のシート搬送方向下流側には、転写手段としての二次転写ロール80とバックアップロール76が配置され、上流側には、レジストロール38が配置される。また、上シュート88と下シュート90は、シート搬送方向上流側はシュート間が広く、バックアップロール76と二次転写ロール80間へ搬送されるにつれてシュート間が狭くなるよう配置されている。また、上シュート88は、中間転写ベルト70の幅よりも長く、シート搬送方向に対して直交する方向に延びている。
すなわち、給紙装置18から搬送されたシートSは、複数の搬送ロールに搬送されて、レジストロール38により一時停止され、上シュート88と下シュート90の間を通過してバックアップロール76と二次転写ロール80間へ搬送される。
【0029】
次に、本実施形態に用いた上シュート88について説明する。
図4は、上シュート88の斜視図を示し、図5は上シュート88の(a)は側面図、(b)は上面図を示す。
上シュート88は、シート搬送方向上流側の第1の案内面88aと、第1の案内面88aのシート搬送方向下流側に接続された第2の案内面88bから形成される。第2の案内面88bに対して第1の案内面88aは傾斜して接続される。
第1の案内面88aの両側面の先端部には半円形状の保護部88cが形成されている。また、第1の案内面88aの上面の保護部88cの近傍には、押さえ手段である押さえ部材92が設けられている。押さえ部材92は、中間転写ベルト70の画像形成領域の外側に配置される。
また、押さえ部材92は、上面(中間転写ベルト70と接する面)が曲面に形成される。すなわち、押さえ部材92が中間転写ベルト70を押さえても中間転写ベルト70を傷つけない。
第2の案内面88bは、第1の案内面88aと反対側の端部がシート搬送方向に対して斜め形状で形成されている。これにより、シートSはシュート間から徐々に引き抜かれ、シートSの跳ね返りを少なくする。第2の案内面88bの第1の案内面88aと反対側の端部であり、シート搬送方向最短側には、突出部88dが形成されている。また、第2の案内面88bの第1の案内面88aとの接合面付近の両側面には第2の案内面88bから略垂直に支持部88fが形成されている。支持部88fには孔部88eが形成され、孔部88e、88eに挿入された支軸によって上シュート88は回転される。また、孔部88eに挿入された支軸には付勢手段である例えばばね94が設けられている。ばね94は、ばね94の両端を近づけることにより圧縮される。
【0030】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10の各ユニットの動作を図6に基づいて説明する。
画像形成装置10は、レジストロール38等が装着された画像形成装置本体12と、像保持体44a〜44d、帯電装置56a〜56d、露光装置58a〜58d、現像装置60a〜60d、一次転写装置61a〜61d及び中間転写ベルト70等からなる現像剤像を搬送する搬送装置としての搬送ユニット84と、二次転写ロール80、二次転写ベルト78及び搬送ベルト37等からなる転写装置としての転写ユニット86から構成されている。
メンテナンスをする際に、まず、転写ユニット86を重力方向下へ下げる(図6(b)参照)。そして、搬送ユニット84は装置本体12に対して、転写ユニット86は装置本体12に対してそれぞれ引き出し可能となり(図6(c)参照)、各ユニットの装置の交換等のメンテナンスが可能となる。
ここで、上シュート88は搬送ユニット84に配置され、下シュート90は転写ユニット86に配置される。
【0031】
本実施形態に係る画像形成装置10の各ユニットの動作に応じた上シュート88の動作について図7に基づいて説明する。
図7(a)は、装置可動時(中間転写ベルト走行時)の上シュート88の様子を示し、(b)は、メンテナンス時(中間転写ベルト停止時)の上シュート88の様子を示す。
中間転写ベルト70は使用を続けるうちに、図8に示すように、中間転写ベルトの張力が作用すると傷部95が両端部付近に形成される。これにより両端部が反り上がってしまう。この反り上がりは画像上問題ないが、上述のメンテナンス時に搬送ユニット84を取り出す際に、反り上がった中間転写ベルト70の両端部がフレーム等に干渉し、中間転写ベルトの破損につながる。
本実施形態においては、図6(a)及び図7(a)に示すように、装置可動時には、上シュート88の第2の案内面88bと突出部88dが転写ユニット86から押し上げられる方向に力を受けて、ばね94は付勢力に抗して圧縮する方向に力が作用し、上シュート88の先端は下がる。すなわち、押さえ部材92は、中間転写ベルト70から離間する。
そして、図6(b)、図6(c)及び図7(b)に示すように、メンテナンス時には、転写ユニット86を下方へ下げて搬送ユニット84が転写ユニット86と離れることで、ばね94の付勢力が解放される方向(ばね94の両端が開く方向)に力が作用し、上シュート88の先端は上がる。すなわち、押さえ部材92が、中間転写ベルト70に接触して、図8の矢印Cの方向に中間転写ベルト70の両端部を押さえる。これにより、反り上がった中間転写ベルトの端部がフレーム等に干渉して破損されるのが防止される。
【0032】
なお、本実施形態においては、上シュート88にメンテナンス時に転写ベルトを押さえる押さえ部材を設けた例を説明したが、これに限定されることなく、他の部材に設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 画像形成装置
12 装置本体
36 定着装置
38 レジストロール
42 二次転写装置
44a〜44d 像保持体
56a〜56d 帯電装置
58a〜58d 露光装置
60a〜60d 現像装置
61a〜61d 一次転写装置(一次転写ロール)
70 中間転写ベルト
76 バックアップロール
80 二次転写ロール
84 搬送ユニット
86 転写ユニット
88 上シュート(上案内板)
90 下シュート(下案内板)
92 押さえ部材
94 ばね(付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、
現像剤像を搬送する帯状の搬送部材を有し、前記画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられた搬送装置と、
前記搬送装置が前記画像形成装置本体から取り外される場合、前記搬送部材を押さえる押さえ手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記押さえ手段は、前記搬送部材の移動方向とは直交する両端部を少なくとも押さえる請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送部材により搬送される現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段に記録媒体を案内する案内手段と、をさらに有し、前記押さえ手段は、前記案内手段の一部から構成されている請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記案内手段は、2つの案内板が対向して構成され、前記押さえ手段は、前記2つの案内板の一方から構成されている請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記案内手段は、前記搬送装置が前記画像形成装置本体から取り外される場合、前記押さえ手段が前記搬送部材を押さえる方向に付勢する付勢手段をさらに有する請求項3又は4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−123386(P2011−123386A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282401(P2009−282401)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】