説明

画像形成装置

【課題】同一機器内にカラー読取り部とそれ以外の読取り部を搭載した画像形成装置において、各読取り部の読取りデータの差を補正することで画質の差を低減できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿をカラーで読取るカラー読取り部と、それとは異なる別の読取り部とを有する画像形成装置において、原稿が有彩か無彩かを判定し、その判定結果を基に原稿の画像形成をカラーとモノクロのどちらで行うかを自動で判断し、カラー読取り部で読取られたデータと、別の読取り部で読取られたデータとを比較し、その比較結果を基に、カラー読取り部で読取られたデータと、別の読取り部で読取られたデータとの差分を算出し、補正用のデータを生成し、生成された補正用のデータを用いて、カラー読取り部で読取られたデータと、別の読取り部で読取られたデータとの差分を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読取るための手段としてカラー読取り部とそれ以外の読取り部とを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在MFP(Multi Function Peripheral。特にローエンドMFP)では、コスト低減のために、4ラインCCD(Charged Coupled Device)を採用しているマシンが増加してきている。4ラインCCDとは、カラー読取り用のRGB(Red Green Blue)センサに加え、別のセンサとして例えばモノクロ読取り専用のBk(Black)センサを設けたものである。この4ラインCCDを搭載した画像形成装置では、カラー(RGB)読取りはRGB各チャンネルに対してCCDシフトレジスタ1つで転送を行っているが、モノクロ(Bk)読取り用のBkセンサに、CCDシフトレジスタを偶数画素用と奇数画素用に2つ使用する技術が知られている。これにより、データ転送速度を早くできるため、同じ解像度の読取りに対して読取り線速を上げることが可能になり、モノクロコピーの高生産性が確保できる。
【0003】
しかし今までは、4ラインCCDを搭載した画像形成装置において、自動カラー判定(Auto Color Select。以下ACSという)機能が搭載されている機種は開発されていない。ACS機能は、原稿がカラーかモノクロかを自動で判別するため、読取りデータにはRGBデータを使用する必要がある。そのため、ACS機能が選択された場合、4ラインCCDでもカラー読取りが実施される。一方、4ラインCCDのモノクロコピーでは別センサ(Bkセンサ)で原稿読取りを行う。よって、ACS機能選択時のモノクロコピー画像と、モノクロコピー選択時のモノクロコピー画像とで読取りデータの違いがあるため、画像に差が発生してしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1(特開2002−262007号公報)には、スキャナ調整時に使用するテストチャートをユーザが劣化しないように管理することが困難であるという問題を解決することを目的とし、ある基準の画像を複数のスキャナで読取らせ、その読取りデータからターゲットとする基準データを作成し、各々の読取りデータをその基準データに近づけるような補正を行う構成が開示されている。
【0005】
この特許文献1の技術は、異なる機器間の読取りデータの差(バラツキ)を補正するものであるため、複数の機器の読取りデータから基準データを生成しなければならない。従って、同一機器内に備えられた、異なる読取りセンサ間の読取りデータの差を補正することはできない。すなわち、特許文献1の技術は、RGBセンサ(カラー読取り部)とBkセンサ(モノクロ読取り部)を有する4ラインCCDを搭載した画像形成装置における、各センサの読取りデータの差の補正には適用できない。なお、特許文献1では、複数の読取りデータから基準データを生成するとあるが、その算出方法や補正テーブルの具体的な生成方法に関しては開示されていない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、同一機器内にカラー読取り部とそれ以外の読取り部を搭載した画像形成装置において、各読取り部の読取りデータの差を補正することで画質の差を低減できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、原稿をカラーで読取るカラー読取り部と、カラー読取り部と異なる別の読取り部とを有する画像形成装置において、カラー読取り部で読取られたデータを基に、原稿が有彩か無彩かを判定する有彩・無彩判定手段と、有彩・無彩判定手段の判定結果を基に、原稿の画像形成をカラーで行うのかモノクロで行うのかを自動で判断する自動カラー判定手段と、カラー読取り部で読取られたデータと、別の読取り部で読取られたデータとを比較するデータ比較手段と、データ比較手段の比較結果を基に、カラー読取り部で読取られたデータと、別の読取り部で読取られたデータとの差分を算出し、補正用のデータを生成する差分演算手段と、差分演算手段で生成された補正用のデータを用いて、カラー読取り部で読取られたデータと、別の読取り部で読取られたデータとの差分を補正するラインセンサ補正手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の画像形成装置において、別の読取り部は、モノクロ読取り専用のセンサであることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置において、カラー読取り部で読取られたデータと、別の読取り部で読取られたデータとの差分を補正するときに、濃度領域に応じて、使用するレッド、グリーン、ブルーそれぞれのデータを変えることを特徴とする。
【0010】
本発明の画像形成装置において、差分演算手段は、カラー読取り部で読取られたレッド、グリーン、ブルーそれぞれのデータを基に演算を行うことで差分を算出し、補正用のデータを生成することを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成装置において、カラー読取り部で読取られたデータを別の読取り部で読取られたデータに補正するときに、濃度領域に応じて、演算方法を切り替えることを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成装置において、補正用のテストパターンを出力するテストパターン発生手段を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の画像形成装置において、補正用のテストパターンがグレースケールであることを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成装置において、補正用のテストパターンのグレースケール部に、墨率の異なったテストパターンを少なくとも1つ有することを特徴とする。
【0015】
本発明の画像形成装置において、墨率の異なったテストパターンを使用して差分の補正を行うときに、ユーザにより選択された画質モードに応じて、使用する墨率のテストパターンを変更可能とすることを特徴とする。
【0016】
本発明の画像形成装置において、墨率の異なったテストパターンを使用して差分の補正を行うときに、原稿の画像の像域分離の結果に応じて、ページ内の特定領域ごとに使用する墨率のテストパターンを変更可能とすることを特徴とする。
【0017】
本発明の画像形成装置において、墨率の異なったテストパターンを使用して差分の補正を行うときに、補正に使用するテストパターンの出力先をユーザが任意に変更可能とすることを特徴とする。
【0018】
本発明の画像形成装置において、墨率の異なったテストパターンを使用してシアン、マゼンタ、イエローの各色材からモノクロ画像を形成するとき、カラー読取り部の分光特性や色材の特性を加味してシアン、マゼンタ、イエローの各色材の配合する割合を均一としないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、同一機器内にカラー読取り部とそれ以外の読取り部を搭載した画像形成装置において、各読取り部の読取りデータの差を補正することで画質の差を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成の例を示すブロック図である。
【図2】4ラインCCDモジュールを説明する図である。
【図3】(1)は4ラインCCDのBkラインセンサの分光特性を示すグラフであり、(2)は各RGBラインセンサの分光特性を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の処理フローの一例(例1)を示すフローチャートである。
【図5】(1)はグレー階調パッチ(印画紙)を表す図であり、(2)〜(4)はある4ラインCCDでグレー階調パッチ(印画紙)を読取らせたときのデータを表すグラフである。
【図6】図5(2)〜(4)に表すデータから、RGB読取り値をBk読取り値に最適化した際の読取りデータを表すグラフである。
【図7】(1)は、グレー階調パッチ(網点)を表す図であり、(2)〜(4)はある4ラインCCDでグレー階調パッチ(網点)を読取らせたときのデータを表すグラフである。
【図8】図7(2)〜(4)に表すデータから、RGB読取り値をBk読取り値に最適化した際の読取りデータを表すグラフである。
【図9】(1)〜(3)はある4ラインCCDでグレー階調パッチ(3Cグレーパッチ)を読取らせたときのデータを表すグラフである。
【図10】図9(1)〜(3)に表すデータから、RGB読取り値をBk読取り値に最適化した際の読取りデータを表すグラフである。
【図11】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の処理フローの一例(例2)を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の処理フローの一例(例3)を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の処理フローの一例(例4)を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の処理フローの一例(例5)を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の処理フローの一例(例6)を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る画像形成装置で像域分離が行われる原稿の一例を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の処理フローの一例(例7)を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のラインセンサ補正の動作の流れを視覚的に示す図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の補正に使用されるテストパターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について詳細に説明する。
【0022】
まず本実施形態の概要を説明する。具体的には、本実施形態の画像形成装置は、ACS機能が選択されたときのモノクロコピー画像と、モノクロコピーが選択されたときのモノクロコピー画像との差を低減する画像処理に際して、以下の特徴を有する。要するに、本実施形態の画像形成装置は、特定の階調パターンをRGBセンサ・Bkセンサ各々で連続して読取り、その読取りデータ(RGBデータとBkデータ)の差分から、そのデータ差を補正する(RGBセンサでの読取りデータをBkセンサでの読取りデータに近づける)ことが特徴になっている。
【0023】
また、本実施形態の画像形成装置では、RGBデータをBkデータに合わせる際、原稿の濃度や原稿の種類(網点 or 非網点/単色Bk or 3Cグレー or 4Cグレーなど)によって、使用するRGB読取りデータを最適化することも特徴になっている。
【0024】
以下、上述した本実施形態の画像形成装置の特徴について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。最初に、本実施形態の画像形成装置の全体構成について、図1を用いて説明する。
【0025】
本実施形態の画像形成装置は、読取り手段(スキャナ)12、エンジン15、操作部16、CPU(Central Processing Unit)19、メモリ(記憶手段)112、画像処理部113が、データバス11上に繋がっている。
【0026】
読取り手段12は、RGB読取り手段13の他に、Bk読取り専用であるBk読取り手段14を有している。読取り手段12の例としては、4ラインCCDが挙げられる。例えば、RGB読取り手段13はカラー読取り用のRGBラインセンサ(カラー読取り部)であり、Bk読取り手段14はモノクロ読取り用のBkラインセンサ(モノクロ読取り部)である。
【0027】
CPU19は、データ比較手段110と、差分演算手段111とを有している。データ比較手段110は、読取り手段12で読取られた画像データ(読取り後にメモリ112に蓄積された画像データでもよい)の比較を行う。差分演算手段111は、データ比較手段110の比較結果であるデータ差から差分を出力(算出)し、補正用のγデータの生成を行う。
【0028】
画像処理部113は、読取り手段12で読取られた読取りデータ(又はメモリ112に格納された読取りデータ)に対して処理を行う手段である。画像処理部113は、RGB読取り手段13で読取られたRGBデータから、Bkデータに近づけるようなラインセンサ補正手段115を有しており、CPU19の差分演算手段111で生成されたγデータを反映し、画質の補正を実施する。
【0029】
なお、画像処理部113は、ラインセンサ補正手段115の他に、スキャナγ補正手段114、像域分離手段116(自動カラー判定手段117、有彩・無彩判定手段118)、フィルタ処理手段119、色補正手段121、階調処理手段119、プリンタγ補正手段122、テストパターン発生手段123を有しているが、これら各手段については後述する。
【0030】
次に、4ラインCCDモジュールについて、図2を用いて説明する。
【0031】
3ラインCCDはRGBの3つのラインセンサのみであるが、4ラインCCDは、図2に示すように、RGB読取り用の各ラインセンサ(カラー読取り部)に加え、Bk読取り用のBkラインセンサ(モノクロ読取り部)を1つ持っている。さらに、図2において、RGBの各ラインセンサでは、CCDアナログシフトレジスタを1つずつしか持たないが、Bkラインセンサでは、CCDアナログシフトレジスタを奇数列用と偶数列用とで2つ持っている。これにより、転送速度を2倍に速めることができる。そのため、図2に示す構成であれば、BkラインセンサはRGBラインセンサと比較し、同じ解像度であっても、線速を倍にすることができる。このような構成により、モノクロコピー時の生産性を向上させることができる。
【0032】
ここで、上記各ラインセンサの分光特性について、図3を用いて説明する。
【0033】
図3(1)は、4ラインCCDのBkラインセンサの分光特性を示しており、図3(2)は、RGBラインセンサそれぞれの分光特性を示している。図3(2)に示すように、RGBラインセンサはそれぞれ特定の波長に対してピークも持っている。これに対し、Bkラインセンサは、図3(1)に示すように、RGBラインセンサのように特定の波長に大きなピークあるのではなく、全体的に相対感度が高い特性になっている。
【0034】
次に、本実施形態の画像形成装置における処理フロー例(例1)について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0035】
まず、コピーが実施された際、ユーザが自動カラーモードを選択したか否かを確認する(S1)。自動カラーモードとは、画像形成装置側で自動的に、コピー対象の原稿のカラー(有彩or無彩)を判定し、その判定結果を基にカラーコピーを行うかモノクロコピーを行うかを判定(選択)するモードである。原稿の有彩か無彩かは、図1に示す画像処理部113の像域分離手段116の有彩・無彩判定手段118により判定される。また、カラーコピーを行うかモノクロコピーを行うかは、図1に示す画像処理部113の像域分離手段116の自動カラー判定手段117により判定される。
【0036】
自動カラーモード以外が選択されたのであれば(S1/NO)、ユーザにより選択されたカラーモード(カラーコピー or モノクロコピー)に従って画像処理が実行される。すなわち、カラーコピーが選択された場合は(S9/YES)、RGBラインセンサでRGB読取りが行われ(S10)、画像処理部113の各手段においてカラー用の画像形成処理が行われる(S8)。一方、モノクロコピーが選択された場合は(S9/NO)、BkラインセンサでBk読取りが行われ(S11)、画像処理部113の各手段においてモノクロ用の画像形成処理が行われる(S7)。
【0037】
ユーザにより自動カラーモードが選択された場合(S1/YES)、原稿はRGBラインセンサで読取りが行われ(S2)、メモリ112に1ページ分の画像データ(読取りデータ)が蓄積される(S3)。なお、このS3の蓄積は省略してもよい。そして、有彩・無彩判定手段118により、その原稿がカラー原稿であるか、モノクロ原稿であるかが判断される(S4)。なお、有彩・無彩判定手段118による判定は、従来一般的に行われている技術であるので、説明を省略する。
【0038】
判定結果がカラー原稿であった場合は、自動カラー判定手段117によりカラーコピーを実行すると判断される(S5/NO)。よって、カラーモードでカラーコピーが選択された場合と同じ画像形成処理が施される(S8)。
【0039】
一方、判定結果がモノクロ原稿であった場合は、自動カラー判定手段117によりモノクロコピーを実行すると判断される(S5/YES)。そして、ラインセンサ補正手段115により、読取りデータに対してラインセンサ補正処理が実施される(S6)。この処理は、例えば、RGBラインセンサでの読取り値(RGBデータ)とBkラインセンサでの読取り値(Bkデータ)の差を補正するものである。この処理が行われた後、モノクロコピーが選択された場合と同じ画像形成処理が施される(S7)。なお、モノクロ用の画像形成処理(S7)の詳細は後述する。
【0040】
次に、グレー印画紙階調パッチでの補正方法について、図5、図6を用いて説明する。図5において、データは白を255としている。
【0041】
図5(1)は、グレー階調パッチ(印画紙)を表した図である。グレー階調パッチ(印画紙)は各パッチが実際の階調を持っている。図5(2)〜(4)は、ある4ラインCCD(RGBセンサ+Bkセンサ)でグレー階調パッチ(印画紙系パッチ)を読取らせたときのデータを表した図である。図6は、図5(2)〜(4)のデータより、RGB読取り値をBk読取り値に最適化した際の読取りデータを表した図である。
【0042】
従来はモノクロセンサに最も近いデータとしてG信号を抜粋してモノクロコピーに使用していたが、図3のようにラインセンサ自体に感色性の違いがあるため、図5(2)〜(4)のような読取りの差が発生してしまう。これらのデータから、RGB読取りデータをBk読取りデータに近づけるためには、単純にG信号のみを使用すれば良いということではないことが分かる。
【0043】
例えば、ハイライト部(入力濃度の薄い部分・図5ではX軸方向の数字の小さい部分)では、B信号の読取りデータがBkセンサの読取り値に最も近い。同様に、ミドル部(中間濃度部)ではG信号の読取りデータがBkセンサの読取り値に最も近く、シャドー部(入力濃度の濃い部分)ではR信号の読取りデータがBkセンサの読取り値に最も近い。
【0044】
以上のデータより、各々の入力濃度によって、Bkデータとして最適なRGBデータが異なるため、それを加味しなければならない。
【0045】
それを加味したデータが、図6である。式:(xR+yG+zB)/(x+y+z)を用いて、ハイライト部・ミドル部・シャドー部で、x,y,z 各々の値を最適にした(本例としては、ハイライト部(パッチNO.1〜6)をx=0,y=0,z=1に、ミドル部(パッチNO.7〜10)をx=0,y=1,z=0に、シャドー部(パッチNO.11〜15)をx=1,y=0,z=0とした)ものである。
【0046】
なお、上記で説明した内容は、ほんの一例に過ぎない。なぜなら、x,y,z各々の値は使用するラインセンサによって異なるということは明確である。また、ハイライト・ミドル・シャドーの切り分け点に関しても、使用するラインセンサに依存するため、最適値は使用するセンサによって異なるということも明確である。
【0047】
次に、グレー網点階調パッチでの補正方法について、図7、図8を用いて説明する。図7において、データは白を255としている。
【0048】
図7(1)は、グレー階調パッチ(網点)を表した図である。図5(1)のグレー階調パッチ(印画紙)との違いは、印画紙は実際に階調を持っているのに対し、網点はパッチ内の黒データの面積率を変えることによって、擬似的に階調を見せているものである。図7(2)〜(4)は、ある4ラインCCD(RGBセンサ+Bkセンサ)でグレー階調パッチ(網点パッチ)を読取らせたときのデータを表した図である。図8は、図7(2)〜(4)のデータより、RGB読取り値をBk読取り値に最適化した(この特性の4ラインCCDではパッチNo.0〜6を、x=0,y=1,z=0、パッチNo.7〜13を、x=0,y=0,z=1としている)際の読取りデータを表した図である。
【0049】
図5に示したグレースケールパッチの特性と比較し、図7に示した網点パッチの読取り特性は異なっている。これは、印画紙の階調パッチ(図5(1))では全濃度パッチが均一の濃度で構成されているのに対し、網点の階調パッチは網点面積率で濃度差(階調)が作られているため、光を照射したときの反射光の特性が異なってしまい、その結果ラインセンサに入力される光量が異なってしまうからである。このような要因があるため、原稿種によっても、Bk読取値に最適化するためのx,y,zの値は異なることが分かる。
【0050】
次に、3Cグレー階調パッチでの補正方法について、図9、図10を用いて説明する。図9において、データは白を255としている。
【0051】
グレー階調パッチ(3Cグレーパッチ)とは、黒をシアン・マゼンタ・イエローの3つの色から生成したパッチのことである。図9(1)〜(3)は、ある4ラインCCD(RGBセンサ+Bkセンサ)でグレー階調パッチ(3Cグレーパッチ)を読取らせたときのデータを表した図である。3Cグレーとは、Bk単色で描かれた階調パッチではなく、CMYで表されるBkのことである。図10は、図9(1)〜(3)のデータより、RGB読取り値をBk読取り値に最適化(この特性の4ラインCCDではパッチNo. 0〜6を、x=0,y=1,z=0、パッチNo.7〜13を、x=1,y=1,z=1としている)した際の読取りデータを表した図である。
【0052】
同じ網点原稿であっても、図7では単色Bkの色材を使用しているのに対し、3Cグレーパッチでは、Bkを、色の3原色であるシアン・マゼンタ・イエローの色材を使用することによって構成している。このようなパッチは人の目には黒くみえるが、画素単位で考えると、シアン・マゼンタ・イエローのドットが並んでいる画像である。そのため、光を照射した際の反射がBk単色と異なることに加え、画素単位ではカラー情報を読取っていることになるため、RGB読取りをした際には、RGB各ラインセンサの感色性の違いから、読取りデータの差が発生してしまう。そのため、図5、図7の特性と比較し、3Cグレーパッチの読取り特性は異なってしまう。また、4Cグレー(シアン・マゼンタ・イエローにBk色材を加えたもの)に関しても、シアン・マゼンタ・イエローの色材のみで構成されている3Cグレーとは違いが発生することや、墨入れ率(4Cグレーにおいて、どの程度Bk色材を混入させるか)によっても、読取りデータに差が出ることは明確である。そのため、Bk読取値に最適化するためのx,y,zの値が異なることも明確である。
【0053】
次に、図11を用いて、本実施形態の画像形成装置の画像処理フローの一例(例2)について説明する。なお、図11に示す各処理は、図1に示す画像処理部113において同じ符号を付した手段にて実行される。
【0054】
通常のカラーモードが設定された場合は、図11のR/G/Bの各データパスを通り、画像処理が行われる。モノクロモードが設定された場合は、BkデータがG用のパスを通り、画像処理が行われる。色補正処理(色補正手段)121以降はKデータとして処理が行われる。
【0055】
続いて、自動カラー判定(ACS)設定時の画像処理フローについて説明する。スキャナ(読取り手段)12で読取られた画像データは、スキャナγ処理(スキャナγ補正手段)114と像域分離処理(像域分離手段)116に入力される。スキャナγ114の反映と像域分離処理116は並列に実施されるが、処理の遅延が発生する(像域分離処理116は処理時間がかかる)ため、スキャナγ処理114後の画像データ1ページ分を一旦メモリ112に蓄積させる。
【0056】
その後、ラインセンサ補正処理(ラインセンサ補正手段)115に、画像データ(読取りデータ)と、有彩・無彩判定結果と、ユーザが設定した画質モード設定情報とが入力される。画質モード設定情報とは、ユーザがコピー機能やスキャナ機能などを使用する際に、原稿に適した画像処理になるように設定するもの(例えば、文字モード・写真モード・文字写真モードなど)である。画質モード設定は、操作部16(命令入力手段17)で設定される。有彩・無彩判定結果は、有彩・無彩判定手段118が、入力された画像データが有彩であるか無彩であるかを判定した結果を示す。
【0057】
無彩と判定された場合、ラインセンサ補正処理115では、画質モードに応じてR/G/BラインセンサとBkラインセンサの差分を補正するγを画像データに反映する。その補正された画像データをBk'とする。Bk'は、Gデータのパスを用いてフィルタ処理(フィルタ処理手段)119へと転送され、色補正処理(色補正手段)121、階調処理(階調処理手段)120、プリンタγ処理(プリンタγ補正手段)122にてそれぞれ画像処理が行われた後、エンジン15へ出力される。一方、有彩と判定された場合は、ラインセンサ補正処理115では、画像データに補正処理されること無く、通常のカラーコピーと同じR/G/Bデータパスで上記同様に各画像処理が実施される。
【0058】
次に、図12を用いて、本実施形態の画像形成装置の画像処理フローの一例(例3)について説明する。なお、図12に示す各処理は、図1に示す画像処理部113において同じ符号を付した手段にて実行される。
【0059】
図12において、R/G/Bは、R/G/Bそれぞれのセンサで読取った読取りデータ(スキャナデータ)であり、また、Bkは、Bkセンサで読取った読取りデータ(スキャナデータ)である。また、Bk'は、ACS無彩判定のときに使用されるデータであり、生成方法に関しては以下で説明する。
【0060】
本例では、自動カラー選択(ACS)モードのときのラインセンサ補正処理115に関して説明する。
【0061】
ACSモードが選択された場合、R/G/B1ページ分の画像データが一旦メモリ112に蓄積される。そのR/G/Bデータは、ラインセンサ補正処理115のラインセンサ補正γ130へ流れる。この際、R/G/Bデータは、並列でデータセレクタ131へと流れる。ラインセンサ補正γ130へ送付されたR/G/Bデータは、現在の設定されている画質モード設定情報に応じたラインセンサ補正γデータが反映され、Bk'データとして生成される。このBk'データはデータセレクタ131へ送られる。データセレクタ131では、自動カラー判定(ACS)の判定結果により、R/G/B/BK'の中から必要なデータが選択される。
【0062】
有彩と判定された場合は、データセレクタ131においてR/G/Bデータが選択され、選択されたR/G/Bデータは、カラーコピーと同じパラメータ設定の基、フィルタ処理119以降の各画像処理が行われる(フィルタ処理119以降は図11と同様)。無彩と判定された場合、データセレクタ131においてBk'データが選択され、モノクロコピーと同じパラメータ設定の基、フィルタ処理119以降の各画像処理が行われる(フィルタ処理119以降は図11と同様)。
【0063】
次に、図13を用いて、本実施形態の画像形成装置の画像処理フローの一例(例4)について説明する。本例4は、図11、12におけるラインセンサ補正処理115の詳細の説明である。
【0064】
図13のフローは、上述した画質モード設定情報を基に、S41〜S49の各判断が行われる。すなわち、ユーザにより設定された画質モードによって、使用される原稿を予想し、その原稿に対して最適な補正が行えるよう、使用するデータや演算方法を変えることができる。図13の例では、S41〜S49において、文字モード、印刷写真モード、印画紙写真モード、複写写真モード、文字写真モード、蛍光ペンモード、地図モードが設定されているかが判断される。
【0065】
例えば、文字モードが選択されたのであれば(S41/YES)、原稿は文字が多いことが予想できる。また、この画像処理パスはモノクロ原稿しか流れないため、黒文字が多いことが想定できる。そのためBk単色で形成されている可能性が高いことが予想できるため、Bk単色パッチかつベタ画像での補正方法(処理A)が最適と予想できる。
【0066】
次に、図14を用いて、本実施形態の画像形成装置の画像処理フローの一例(例5)について説明する。なお、図14に示す各処理は、図1に示す画像処理部113において同じ符号を付した手段にて実行される。
【0067】
通常のカラーモードが設定された場合は、図14のR/G/Bの各データパスを通り、画像処理が行われる。モノクロモードが設定された場合は、BkデータがG用のパスを通り、画像処理が行われる。色補正処理(色補正手段)121以降はKデータとして処理が行われる。
【0068】
続いて、自動カラー判定(ACS)設定時の画像処理フローについて説明する。スキャナ(読取り手段)12で読取られた画像データは、スキャナγ処理(スキャナγ補正手段)114と像域分離処理(像域分離手段)116に入力される。スキャナγ114の反映と像域分離処理116は並列に実施されるが、処理の遅延が発生する(像域分離処理116は処理時間がかかる)ため、スキャナγ処理114後の画像データ1ページ分を一旦メモリ112に蓄積させる。
【0069】
その後、ラインセンサ補正処理(ラインセンサ補正手段)115に、画像データ(読取りデータ)と、有彩・無彩判定結果と、像域分離情報とが入力される。像域分離情報とは、読取りデータにおける文字領域や写真領域を示す情報である。有彩・無彩判定結果は、有彩・無彩判定手段118が、入力された画像データが有彩であるか無彩であるかを判定した結果を示す。
【0070】
無彩と判定された場合、ラインセンサ補正処理115では、像域分離情報を基にR/G/BラインセンサとBkラインセンサの差分を補正するラインセンサ補正γを画像データに反映する。その補正されたデータをBk'とする。Bk'は、Gデータのパスを用いてフィルタ処理(フィルタ処理手段)119へと転送され、色補正処理(色補正手段)121、階調処理(階調処理手段)120、プリンタγ処理(プリンタγ補正手段)122にてそれぞれ画像処理が行われた後、エンジン15へ出力される。一方、有彩と判定された場合は、ラインセンサ補正処理115では、画像データに補正処理されること無く、通常のカラーコピーと同じR/G/Bデータパスで上記同様に各画像処理が実施される。
【0071】
次に、図15を用いて、本実施形態の画像形成装置の画像処理フローの一例(例6)について説明する。なお、図15に示す各処理は、図1に示す画像処理部113において同じ符号を付した手段にて実行される。
【0072】
図15において、R/G/Bは、R/G/Bそれぞれのセンサで読取った読取りデータ(スキャナデータ)であり、また、Bkは、Bkセンサで読取った読取りデータ(スキャナデータ)である。また、Bk'は、ACS無彩判定のときに使用されるデータであり、生成方法に関しては以下で説明する。
【0073】
本例では、自動カラー選択(ACS)モードのときのラインセンサ補正処理115に関して説明する。
【0074】
ACSモードが選択された場合、R/G/B1ページ分の画像データが一旦メモリ112に蓄積される。そのR/G/Bデータは、ラインセンサ補正処理115のラインセンサ補正γ130へ流れる。この際、R/G/Bデータは、並列でデータセレクタ131へと流れる。ラインセンサ補正γ130へ送付されたR/G/Bデータは、像域分離判定結果に応じたラインセンサ補正γデータが画素ごとに反映され、Bk'データが生成される。このBk'データはデータセレクタ131へ送られる。データセレクタ131では、自動カラー判定(ACS)の判定結果により、R/G/B/BK'の中から必要なデータが選択される。
【0075】
有彩と判定された場合は、データセレクタ131においてR/G/Bデータが選択され、選択されたR/G/Bデータは、カラーコピーと同じパラメータ設定の基、フィルタ処理119以降の各画像処理が行われる(フィルタ処理119以降は図14と同様)。無彩と判定された場合、データセレクタ131においてBk'データが選択され、モノクロコピーと同じパラメータ設定の基に、フィルタ処理119以降の各画像処理が行われる(フィルタ処理119以降は図14と同様)。
【0076】
次に、図16を参照して、像域分離情報との組み合わせで処理を変える例に関して説明する。図16の左側に示すように、文字と写真の混合した原稿があるとする。これを自動カラー判定モードでコピーを実施し、モノクロ判定されると、図16の中央に示すように、像域分離手段で文字部と写真部に分離される。さらに、写真部に関しては、図16の右側に示すように、網点画像なのか印画紙画像なのかが分離される。このような1枚の画像内の文字部・網点部・印画紙部といったそれぞれ異なった判定部分に対して、適切なラインセンサ補正が実施される。
【0077】
次に、図17を用いて、本実施形態の画像形成装置の画像処理フローの一例(例7)について説明する。ここでは、RGBデータの補正方法(キャリブレーション動作)のフローについて説明する。
【0078】
ユーザの指示を受けてラインセンサ補正手段115によりラインセンサ補正が実施された場合(S21/YES)、テストパターン発生手段123にて補正用のテストパターンが出力(印刷)される(S22)。
【0079】
ユーザは、その出力されたテストパターンをコンタクトガラス上もしくはADF(Auto Document Feeder)上にセットする。ユーザによる読取り開始の実行指示を受けると(S23/YES)、スキャナキャリブレーション後、RGB読取りを開始する(S24)。
【0080】
RGBデータ取得後(S25)、再度スキャナキャリブレーションを実施し、Bkセンサでの読取りを開始する(S26)。なお、ADFにテストパターンを設置した場合は、再度ADFに同じ原稿をセットする必要がある。
【0081】
Bkデータ取得後(S27)、CPU19にて、RGB読取りデータとBk読取りデータの差を演算し(例えばRGBデータをBkデータに近づける。S28)、その差を補正するγを生成する(S29)。生成したγは、画像処理部113における画像処理に反映される(S30)。
【0082】
図17のフローでは、RGB読取り、Bk読取りの解像度は特に限定していないが、2回の読取りが同じ解像度であること、かつコピー動作時と同じ解像度であることを推奨する。
【0083】
次に、図18を用いて、ラインセンサ補正動作の実施形態について説明する。ユーザはオペレーションパネル(操作部16の命令入力手段17の一例)よりラインセンサ補正の実施(「実行する」ボタン)を選択する。
【0084】
「実行する」ボタンが押下されると、画像形成装置は、特定のテストパターンを印刷する。ユーザはそのテストパターンをコンタクトガラス上もしくはADFに設置し、再び「実行する」ボタンを押下する。
【0085】
読取り(RGB読取り&Bk読取り)実施中は、画像形成装置は、オペレーションパネル(操作部16の表示手段18の一例。LCD等)上に読取り中である旨を表示する。また、ユーザによりテストパターンがADFにセットされた場合、画像形成装置は、1回目のスキャン後に再度原稿をADFにセットする旨のメッセージを表示し、セット後、ユーザに再び「実行する」ボタンを押下してもらう。2回のスキャン(RGBスキャンとBkスキャン)が完了すると、画像形成装置は、CPUにて2つの読取りデータを比較し、その差分を補正するラインセンサ補正γを生成(算出)し、画像処理部のラインセンサ補正に反映し、オペレーションパネル上に補正完了のメッセージを表示する。
【0086】
次に、図19を用いて、補正に使用するテストパターンについて説明する。今回の補正要件としては、原稿はモノクロのケースであるため、補正用のテストパターンはモノクロのものを複数用意している。また、単色Bkと3Cグレー・4Cグレーでは感色性に違いがあるため、例えば以下のような階調パッチを準備する。
a:単色Bkで生成された階調パッチ
b:墨率66%(4Cグレー)で生成された階調パッチ
c:墨率33%(4Cグレー)で生成された階調パッチ
d:墨率0%(3Cグレー)で生成された階調パッチ
e:aを180°回転させた形になっている。
f:bを180°回転させた形になっている。
g:cを180°回転させた形になっている。
h:dを180°回転させた形になっている。
【0087】
180°回転させたパターンはスキャナ光源(ランプ)の変動が考えられるため、それを軽減するためのパターンである。このようなテストパターンは基本的には自機で出力することを想定しているが、同様の電子データを使用し、ユーザがよく使用する用紙やプリンタがあれば、このテストパターンをよく使用する用紙・プリンタを用い出力し、それをテストパターンとしてラインセンサ補正を行うことも可能である。
【0088】
また、3Cグレーおよび4Cグレーにおける自動カラー判定であるが、自動カラー判定の性能として、完全な黒(例えば、CMYの割合が1:1:1)で無くても無彩色と判定されるケースが存在する。そのようなケースでは、黒が若干色づいているため、読取り特性にも変化が生じてしまう。そのため、自動カラー判定のモノクロ判定の限界点となるCMY比率のテストパターンを使用し、補正することによって、より補正精度(対応能力)を上げることが可能である。
【0089】
なお、墨率や階調数・墨率を変えたパターン数・パッチの並べ方・回転する角度・パターンの位置などは、説明の都合上、上記のように記載しただけであり、特にこれに限定するという意図ではない。
【0090】
以上説明したように、本実施形態によれば、同一機器内にRGBセンサ(カラー読取部)とBkセンサ(モノクロ読取部)を搭載した画像形成装置において、特定のテストパターンを印刷し、その出力された画像に対してRGBセンサとBkセンサにより連続で読取りを行い、2つの読取りデータ間の差を補正する(どちらか一方のデータに近づける)。これにより、ACS機能が選択されたときのモノクロコピー画像と、モノクロコピーが選択されたときのモノクロコピー画像との画質の差を低減できる。
【0091】
上述したように、本実施形態は、同一機器内の異なるセンサで読取りを行うことにより生じる出力画像の画質差を低減することができるが、ここで、ACC(Auto Color Calibration)との違いを説明する。ACCは、スキャナを測定器とし、出力されたパターンの読取値と出力濃度を紐付けて、出力濃度をあるターゲットに合わせるという補正を行っている。これに対して、本実施形態では、同一機器内に異なるセンサが共存する構成において、同じ原稿を異なるセンサで連続して読取り、センサ間の読取差をどちらかのセンサの読取データに合わせる補正を実現している。よって、本実施形態では、ACCと違い、使用するテストパターンは限定されず、また、スキャナ機差補正のように常に管理されている原稿も必要としない。本実施形態は、特定のテストチャートを使用せずに補正を行うところに特徴がある。
【0092】
また、従来の読取りデータの補正には、いかなる用途においても、必ず原稿が変化しないように管理された原稿を用いることが必要であった。本実施形態は、特定的な用途ではあるが、そのような管理されたデータでなく、使用している機器もしくはその他の印刷機等で出力した画像を使用して補正を行っていることも特徴である。
【0093】
なお、本実施形態の構成は、単なる設計事項ではない。読取りデータの補正では、仮にパラメータを予め用意しておいても、スキャナ特性の環境(温湿度)変動や経時変動(光源の変動も含む)があるため、リアルタイムで補正データを最適にすることが必要である。そのため、上述した本実施形態は、この補正用にパラメータを1つ増やすという設計事項の変更で対応できるものではない。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0095】
例えば、上述した実施形態における動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0096】
ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させてもよい。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0097】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0098】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送してもよい。または、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送してもよい。コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0099】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、画像形成装置に限らず、画像処理を行う装置、システム、方法、プログラムに適用できる。
【符号の説明】
【0101】
12 読取り手段(スキャナ)
13 RGB読取り手段(カラー読取部。例えばRGBラインセンサ)
14 BK読取り手段(モノクロ読取部。例えばBkラインセンサ)
15 エンジン
16 操作部
17 命令入力手段
18 表示手段
19 CPU
110 データ比較手段
111 差分演算手段
112 メモリ
113 画像処理部
114 スキャナγ補正手段
115 ラインセンサ補正手段
116 像域分離手段
117 自動カラー判定手段
118 有彩・無彩判定手段
119 フィルタ処理手段
120 階調処理手段
121 色補正手段
122 プリンタγ補正手段
123 テストパターン発生手段
130 ラインセンサ補正γ
131 データセレクタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開2002−262007号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿をカラーで読取るカラー読取り部と、前記カラー読取り部と異なる別の読取り部とを有する画像形成装置において、
前記カラー読取り部で読取られたデータを基に、前記原稿が有彩か無彩かを判定する有彩・無彩判定手段と、
前記有彩・無彩判定手段の判定結果を基に、前記原稿の画像形成をカラーで行うのかモノクロで行うのかを自動で判断する自動カラー判定手段と、
前記カラー読取り部で読取られたデータと、前記別の読取り部で読取られたデータとを比較するデータ比較手段と、
前記データ比較手段の比較結果を基に、前記カラー読取り部で読取られたデータと、前記別の読取り部で読取られたデータとの差分を算出し、補正用のデータを生成する差分演算手段と、
前記差分演算手段で生成された補正用のデータを用いて、前記カラー読取り部で読取られたデータと、前記別の読取り部で読取られたデータとの差分を補正するラインセンサ補正手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記別の読取り部は、モノクロ読取り専用のセンサであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カラー読取り部で読取られたデータと、前記別の読取り部で読取られたデータとの差分を補正するときに、濃度領域に応じて、使用するレッド、グリーン、ブルーそれぞれのデータを変えることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記差分演算手段は、前記カラー読取り部で読取られたレッド、グリーン、ブルーそれぞれのデータを基に演算を行うことで前記差分を算出し、前記補正用のデータを生成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カラー読取り部で読取られたデータを前記別の読取り部で読取られたデータに補正するときに、濃度領域に応じて、演算方法を切り替えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
補正用のテストパターンを出力するテストパターン発生手段を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記補正用のテストパターンがグレースケールであることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記補正用のテストパターンのグレースケール部に、墨率の異なったテストパターンを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項6又は7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記墨率の異なったテストパターンを使用して前記差分の補正を行うときに、ユーザにより選択された画質モードに応じて、使用する墨率のテストパターンを変更可能とすることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記墨率の異なったテストパターンを使用して前記差分の補正を行うときに、前記原稿の画像の像域分離の結果に応じて、ページ内の特定領域ごとに使用する墨率のテストパターンを変更可能とすることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記墨率の異なったテストパターンを使用して前記差分の補正を行うときに、補正に使用するテストパターンの出力先をユーザが任意に変更可能とすることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記墨率の異なったテストパターンを使用してシアン、マゼンタ、イエローの各色材からモノクロ画像を形成するとき、前記カラー読取り部の分光特性や色材の特性を加味してシアン、マゼンタ、イエローの各色材の配合する割合を均一としないことを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−129999(P2011−129999A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284078(P2009−284078)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】