説明

画像形成装置

【課題】ジャム発生の判定精度を向上できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、湿度または温度を検出して、湿度情報HDまたは温度情報TDを出力する条件検出部9と、湿度Hnまたは温度Tnとジャム発生率JPnとが関連付けられたジャム履歴テーブル65と、ジャム発生率JPnの閾値であるジャム閾値ThJとを記憶する記憶部62と、条件検出部9から入力された湿度情報HDまたは温度情報TDに対応するジャム発生率JPをジャム履歴テーブル65から取得して、取得したジャム発生率JPがジャム閾値ThJ以上の場合、ジャム低減モードを実行するとともに、記憶部62に記憶されたジャム履歴テーブル65を更新する制御部12とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、複写機、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体を搬送しつつ画像を印刷媒体に形成する画像形成装置が知られている。このような、画像形成装置では、印刷媒体のジャム(詰まり)が問題になっている。特に、大型の画像形成装置では、ジャムの解消が困難なため、ジャムは大きな問題となる。そこで、ジャムの対策が求められている。
【0003】
特許文献1には、湿度を検知する湿度検知手段と、給紙トレイを除湿する除湿装置と、制御部とを備える画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、湿度検知手段から制御部に湿度情報が入力される。制御部は、湿度情報に基づいて、除湿装置を制御して給紙トレイの温度を加熱する。これにより、制御部は、給紙トレイの湿度を目標湿度に設定している。この後、制御部は、印刷を開始する。これにより、制御部は、湿度によるジャムを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−33259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、目標湿度が固定されているため、ジャムが発生するか否かの判定精度が低いといった課題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、ジャムが発生するか否かの判定精度を向上できる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置の第1の特徴は、湿度または温度を検出して、湿度情報または温度情報を出力する条件検出手段と、湿度または温度とジャム発生率とが関連付けられたジャム履歴テーブルと、ジャム発生率の閾値であるジャム閾値とを記憶する記憶手段と、前記条件検出手段から入力された湿度情報または温度情報に対応するジャム発生率をジャム履歴テーブルから取得して、取得したジャム発生率が前記ジャム閾値以上の場合、ジャムが低減するように印刷を実行するとともに、前記記憶手段に記憶された前記ジャム履歴テーブルを更新する制御部とを備えている。
【0008】
また、本発明に係る画像形成装置の第2の特徴は、湿度または温度を検出して、湿度情報または温度情報を出力する条件検出手段と、湿度または温度とジャム発生率とが関連付けられたジャム履歴テーブルと、ジャム発生率の閾値であるジャム閾値とを記憶する記憶手段と、前記条件検出手段から入力された湿度情報または温度情報に対応するジャム発生率をジャム履歴テーブルから取得して、取得したジャム発生率が、印刷開始または中断から閾値時間経過後に前記ジャム閾値以上の場合、ジャムが低減するように印刷を実行するとともに、前記記憶手段に記憶された前記ジャム履歴テーブルを更新する制御部とを備えている。
【0009】
また、本発明に係る画像形成装置の第3の特徴は、前記制御部は、ジャムが低減するように印刷を実行する場合において、
搬送速度を低速化させるか、または、
インクの量を低減させるか、または、
搬送経路が短い排紙先を選択する経路を短縮させるか、または、
両面印刷を強制的に片面印刷にするか、または、
画像を縮小させるか
の少なくとも何れか1つの下で印刷を実行する。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置の第4の特徴は、前記制御部は、前記ジャム閾値を変更するためのジャム閾値変更処理を実行可能である。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置の第5の特徴は、前記制御部は、ジャムを低減させる印刷の設定を変更可能である。
【発明の効果】
【0012】
第1の特徴によれば、制御部は、記憶手段に記憶されているジャム履歴テーブルを更新する。また、制御部は、ジャム履歴テーブルから取得したジャム発生率がジャム閾値以上の場合にジャムが低減するように印刷を実行する。このように、制御部は、更新するジャム履歴テーブルのジャム発生率に基づいてジャムの発生を判定しているので、ジャムが発生するか否かの判定精度を向上させることができる。
【0013】
第2の特徴によれば、制御部は、記憶手段に記憶されているジャム履歴テーブルを更新する。また、制御部は、ジャム履歴テーブルから取得したジャム発生率が、閾値時間経過後にジャム閾値以上の場合にジャムが低減するように印刷を実行する。このように、制御部は、更新するジャム履歴テーブルのジャム発生率に基づいてジャムの発生を判定しているので、ジャムが発生するか否かの判定精度を向上させることができる。また、制御部は、印刷開始または中断から閾値時間の間、ジャム発生率がジャム閾値以上であっても待機するので、第2の特徴は、除湿装置等を省略することができる。これにより、第2の特徴は、構成を簡略化できる。
【0014】
第3の特徴は、搬送速度を低速化させる場合、インクの色を低減させる場合及び画像を縮小する場合ではローラ等にニップされた印刷媒体の滑りを低減することにより、ジャムを低減することができる。また、第3の特徴は、強制的に片面印刷する場合及び経路を短縮する場合では経路を短縮することにより、ジャムを低減することができる。
【0015】
第4の特徴は、ジャム閾値を変更可能に構成しているので、ジャムの低減を所望するユーザや、逆に、印刷の高速化を所望するユーザ等の希望に対応できる。
【0016】
第5の特徴は、ジャムを低減させる印刷の設定を変更可能に構成しているので、ジャムを低減させることを省略して、印刷を所望するユーザ等に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態による画像形成装置の全体概略図である。
【図2】画像形成装置の制御系を説明するためのブロック図である。
【図3】ジャム履歴テーブルを説明するための図である。
【図4】第1実施形態による印刷動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】第2実施形態によるジャム履歴テーブルを説明するための図である。
【図6】第2実施形態による他のジャム履歴テーブルを説明するための図である。
【図7】第3実施形態によるジャム閾値変更処理のフローチャートである。
【図8】ジャム閾値変更画面を説明するための図である。
【図9】第4実施形態によるジャム低減モード選択処理のフローチャートである。
【図10】ジャム低減モード選択画面を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明を両面印刷可能なインクジェット型の印刷装置に適用した第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態による画像形成装置の全体概略図である。図2は、画像形成装置の制御系を説明するためのブロック図である。図3は、ジャム履歴テーブルを説明するための図である。以下の説明において、ユーザが位置する図1の紙面表方向を前方とする。また、図1に矢印で示すように、ユーザから視て、上下左右を上下左右方向とする。
【0019】
尚、図1の太線で示す経路が、印刷用紙が搬送される搬送経路である。搬送経路のうち実線で示す経路が通常経路RCである。搬送経路のうち一点鎖線で示す経路が、反転経路RRである。搬送経路のうち点線で示す経路が、排紙経路RD1、RD2である。搬送経路のうち二点鎖線で示す経路が、給紙経路RSである。以下の説明において、上流及び下流とは、搬送経路における上流及び下流の意味とする。
【0020】
ここで、片面印刷の際には、印刷用紙(請求項の印刷媒体に相当)PAは、給紙経路RS、通常経路RC、第1排紙経路RD1または第2排紙経路RD2の順に搬送される。両面印刷の際には、印刷用紙PAは、給紙経路RS、通常経路RC、反転経路RR、通常経路RC、第1排紙経路RD1または第2排紙経路RD2の順に搬送される。
【0021】
図1及び図2に示すように、第1実施形態による画像形成装置1は、給紙部2と、搬送印刷部3と、第1排紙部4と、搬送部5と、第2排紙部6と、反転部7と、ジャム検出部8と、条件検出部9と、操作パネル10と、タイマ11と、制御部12と、各部2〜12を収納または保持する筐体13とを備えている。
【0022】
給紙部2は、通常経路RCへと印刷用紙PAを搬送して給紙するものである。給紙部2は、搬送経路の最も上流側に配置されている。給紙部2は、給紙台15と、複数の給紙ローラ16と、給紙駆動部17とを備えている。
【0023】
給紙台15は、給紙用の印刷用紙PAを積載するためのものである。給紙ローラ16は、給紙台15に積載された印刷用紙PAを搬送印刷部3へと搬送するためのものである。給紙ローラ16は、給紙経路RSに沿って配置されている。給紙駆動部17は、給紙ローラ16を回転駆動させるものである。給紙駆動部17は、複数のモータを有する。
【0024】
搬送印刷部3は、印刷用紙PAを搬送しつつ、画像を印刷用紙PAに印刷する。搬送印刷部3は、給紙部2の下流側に配置されている。搬送印刷部3は、レジストローラ21と、ベルト搬送部22と、インクジェットヘッド部23と、第1搬送駆動部24とを備えている。
【0025】
レジストローラ21は、給紙部2または反転部7から搬送された印刷用紙PAをベルト搬送部22へと搬送する。レジストローラ21は、搬送印刷部3の上流部であって、通常経路RC上に配置されている。換言すると、レジストローラ21は、給紙経路RSと反転経路RRとの合流地点の近傍に配置されている。
【0026】
ベルト搬送部22は、レジストローラ21から搬送された印刷用紙PAの下面を無端ベルトによって吸引しつつ、第1排紙部4または搬送部5へと搬送する。ベルト搬送部22は、レジストローラ21よりも通常経路RCの下流側に配置されている。ベルト搬送部22は、通常経路RCの下方に配置されている。
【0027】
インクジェットヘッド部23は、印刷用紙PAに画像を印刷するものである。インクジェットヘッド部23は、複数のライン式のインクジェットヘッド(図示略)を備えている。インクジェットヘッド部23は、通常経路RCを挟み、ベルト搬送部22と反対側に配置されている。即ち、インクジェットヘッド部23は、ベルト搬送部22と対向するように配置されている。複数のインクジェットヘッドは、異なる4色のインクを吐出する。
【0028】
第1搬送駆動部24は、レジストローラ21を回転駆動させるとともに、ベルト搬送部22を駆動させる。第1搬送駆動部24は、複数のモータを有する。
【0029】
第1排紙部4は、印刷済みの印刷用紙PAを排紙して保持する。第1排紙部4は、搬送印刷部3と搬送部5との境界から延びる第1排紙経路RD1に沿って配置されている。第1排紙部4は、第1切替部26と、一対の第1排紙ローラ27と、第1排紙台28と、第1排紙駆動部29とを備えている。
【0030】
第1切替部26は、搬送経路を通常経路RCと第1排紙経路RD1との間で切り替える。第1切替部26は、通常経路RCと第1排紙経路RD1との分岐点に配置されている。
【0031】
第1排紙ローラ27は、ベルト搬送部22から搬送された印刷用紙PAを第1排紙台28へと排紙する。第1排紙ローラ27は、第1排紙経路RD1に沿って、第1切替部26と第1排紙台28との間に配置されている。
【0032】
第1排紙台28は、印刷済みの印刷用紙PAを積載するものである。第1排紙台28に積載される印刷用紙PAは、画像が印刷された面(または後に画像が印刷された面)が上向きになるように排紙される。
【0033】
第1排紙駆動部29は、第1排紙ローラ27を回転駆動させる。第1排紙駆動部29は、モータを有する。
【0034】
搬送部5は、搬送印刷部3によって搬送される印刷用紙PAをUターンするように搬送する。搬送部5は、複数の搬送ローラ31と、搬送駆動部32とを備えている。
【0035】
複数対の搬送ローラ31は、印刷用紙PAをニップしつつ搬送する。複数対の搬送ローラ31は、搬送印刷部3と第2切替部35との間の通常経路RCに沿って配置されている。搬送駆動部32は、複数対の搬送ローラ31を回転駆動させる。第2搬送駆動部32は、複数のモータを有する。
【0036】
第2排紙部6は、印刷済みの印刷用紙PAを排紙して保持する。第2排紙部6は、通常経路RCの下流側端部から延びる第2排紙経路RD2に沿って配置されている。第2排紙部6は、第2切替部35と、複数対の第2排紙ローラ36と、第2排紙台37と、第2排紙駆動部38とを備えている。
【0037】
第2切替部35は、搬送経路を第2排紙経路RD2と反転経路RRとの間で切り替える。第2切替部35は、第2排紙経路RD2と反転経路RRとの分岐点に配置されている。
【0038】
第2排紙ローラ36は、搬送部5によって搬送された印刷用紙PAを第2排紙台37へと排紙する。第2排紙ローラ36は、第2排紙経路RD2に沿って、第2切替部35と第2排紙台37との間に配置されている。
【0039】
第2排紙台37は、印刷済みの印刷用紙PAを積載するものである。第2排紙台37に積載される印刷用紙PAは、画像が印刷された面(または後に画像が印刷された面)が下向きになるように排紙される。
【0040】
第2排紙駆動部38は、第2排紙ローラ36を回転駆動させるものである。第2排紙駆動部38は、モータを有する。
【0041】
反転部7は、両面印刷の際に、片面印刷済みの印刷用紙PAを反転させて搬送印刷部3に再給紙するものである。反転部7は、往路ローラ41と、反転ローラ42と、復路ローラ43と、スイッチバック部44と、フリッパ45と、反転駆動部46とを備えている。
【0042】
往路ローラ41及び反転ローラ42は、搬送部5から搬送された印刷用紙PAをスイッチバック部44へと搬入する。往路ローラ41及び反転ローラ42は、反転経路RRに沿って、第2切替部35とスイッチバック部44との間に配置されている。反転ローラ42及び復路ローラ43は、スイッチバック部44に搬入された印刷用紙PAを搬出する。復路ローラ43は、反転ローラ42とレジストローラ21との間に配置されている。
【0043】
スイッチバック部44は、第2排紙台37の内部に形成された空間からなる。スイッチバック部44の反転ローラ42側は開口されている。
【0044】
フリッパ45は、往路ローラ41によって搬送される印刷用紙PAを反転ローラ42へとガイドする。また、フリッパ45は、反転ローラ42によってスイッチバック部44から搬出される印刷用紙PAを復路ローラ43へとガイドする。フリッパ45は、反転経路RRにおいて、往路と復路とが分岐する個所に配置されている。
【0045】
反転駆動部46は、往路ローラ41と、反転ローラ42と、復路ローラ43とを回転駆動させる。ここで、反転駆動部46は、反転ローラ42を正転方向(搬入時)及び逆転方向(搬出時)の両方向に回転駆動させる。反転駆動部46は、複数のモータを有する。
【0046】
ジャム検出部8は、制御部12がジャムの発生を判定するために、印刷用紙PAを検出するためのものである。ジャム検出部8は、複数の用紙センサ50〜54を有する。用紙センサ50〜54は、発光素子と受光素子とを有する光センサからなる。複数の用紙センサ50〜54は、搬送経路RC、RD2、RR上に配置されている。具体的には、用紙センサ50は、ベルト搬送部22の上流端部近傍の通常経路RC上に配置されている。用紙センサ51は、ベルト搬送部22の下流端部近傍の通常経路RC上に配置されている。用紙センサ52は、第2切替部35の近傍の通常経路RC上に配置されている。用紙センサ53は、第2排紙台37の近傍の第2排紙経路RD2上に配置されている。用紙センサ54は、反転ローラ42の近傍の反転経路RR上に配置されている。
【0047】
条件検出部9は、筐体13の内部の条件を検出して、出力する。条件検出部9は、湿度センサ56と、温度センサ57とを有する。湿度センサ56は、筐体13の内周面に取り付けられている。湿度センサ56は、筐体13の内部の湿度を検出して、その湿度を湿度情報HDとして制御部12へ出力する。温度センサ57は、筐体13の内周面に取り付けられている。温度センサ57は、筐体13の内部の温度を検出して、その温度を温度情報TDとして制御部12へ出力する。尚、湿度センサ56及び温度センサ57を取り付けられる場所は、適宜変更可能であるが、高湿になる装置(インクジェットヘッド部)や高温になる装置(例えば、モータ)の近傍は好ましくない。
【0048】
操作パネル10は、種々の画像や情報等を表示するとともに、ユーザが情報や指示等を入力するためのものである。操作パネル10は、液晶パネル、タッチパネル及び操作キー等を備えている。
【0049】
タイマ11は、現在の時刻TRを制御部12へと出力する。
【0050】
次に、図2を参照して、画像形成装置1の制御系について説明する。
【0051】
制御部12は、画像形成装置1の制御全般を司るものである。即ち、制御部12は、給紙部2と、搬送印刷部3と、第1排紙部4と、搬送部5と、第2排紙部6と、反転部7と、ジャム検出部8と、条件検出部9と、操作パネル10と、タイマ11とを制御する。制御部12は、演算部61と、記憶部62と、バス63と、入出力(I/O:Input/Output)インターフェース64とを備えている。
【0052】
演算部61は、印刷用プログラム等の種々のプログラムを実行する。演算部61は、CPU(Central Processing Unit)を有する。
【0053】
記憶部62は、種々の情報及びプログラムを記憶する。記憶部62は、各情報が一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)と、基本プログラム等が記憶されているROM(Read Only Memory)と、通常印刷及びジャム低減モード印刷用のプログラムが記憶されているHDD(Hard Disk Drive)とを有する。
【0054】
記憶部62には、図3に示すジャム履歴テーブル65が記憶されている。図3に示すように、ジャム履歴テーブル65は、ジャム発生率JPnと、湿度Hn及び温度Tnとを関連付けたものである。尚、「n」は、「n=1、2、3・・」である。例えば、湿度H1、温度T3の場合のジャム発生率は「JP11」である。ここで、ジャム発生率JPnは、累積の印刷枚数を「NP」と、ジャムの累積回数を「NJ」とすると、以下の式(1)によって算出される。
JPn=NJ/NP ・・・(1)
即ち、ジャム発生率JPnは、印刷用紙1枚当たりのジャムの発生回数である。ここで、ジャム発生率JPnは、湿度Hnが高くなると、印刷用紙PAがよれるため、大きくなる。また、ジャム発生率JPnは、温度Tnが高くなると、ローラ16、21、27、31、36、41〜43の摩擦が小さくなるため、大きくなる。
【0055】
また、記憶部62には、ジャム発生率JPの閾値であるジャム閾値ThJ、印刷経過時間の閾値である閾値時間ThTが記憶されている。制御部12は、ジャム履歴テーブル65から取得したジャム発生率JPがジャム閾値ThJ以上の場合、ジャムが発生する確率が高いと判定して、後述するジャム低減モードによる印刷を実行する。また、制御部12は、印刷終了後、ジャム履歴テーブル65を更新する。制御部12は、閾値時間ThTと、印刷の開始時間TSからの経過時間とを比較して、後述するジャム低減モードを実行する。
【0056】
バス63は、互いに信号を入出力可能に演算部61、記憶部62及び入出力インターフェース64を接続する。
【0057】
入出力インターフェース64は、各部2〜10と制御部12とを接続するためのものである。以下、制御部12と各部2〜10との接続関係について具体的に説明する。
【0058】
入出力インターフェース64は、給紙部2の給紙駆動部17と信号を送信可能に接続されている。これにより、制御部12は、給紙駆動部17を介して、給紙ローラ16を制御することにより、給紙台15の印刷用紙PAを搬送印刷部3へと搬送する。
【0059】
入出力インターフェース64は、搬送印刷部3のインクジェットヘッド部23及び第1搬送駆動部24と信号を送信可能に接続されている。これにより、制御部12は、第1搬送駆動部24を介して、レジストローラ21及びベルト搬送部22を制御することにより、印刷用紙PAを搬送する。また、制御部12は、インクジェットヘッド部23を制御して、インクを吐出して画像を印刷用紙PAに印刷する。
【0060】
入出力インターフェース64は、第1排紙部4の第1切替部26及び第1排紙駆動部29と信号を送信可能に接続されている。これにより、制御部12は、第1切替部26を制御して、搬送経路を通常経路RCと第1排紙経路RD1との間で切り替える。また、制御部12は、第1排紙駆動部29を介して、第1排紙ローラ27を制御することにより、印刷用紙PAを第1排紙台28へと排紙する。
【0061】
入出力インターフェース64は、搬送部5の第2搬送駆動部32と信号を送信可能に接続されている。これにより、制御部12は、第2搬送駆動部32を介して、搬送ローラ31を制御することにより、印刷用紙PAを搬送する。
【0062】
入出力インターフェース64は、第2排紙部6の第2切替部35及び第2排紙駆動部38と信号を送信可能に接続されている。これにより、制御部12は、第2切替部35を制御して、搬送経路を第2排紙経路RD2と反転経路RRとの間で切り替える。また、制御部12は、第2排紙駆動部38を介して、第2排紙ローラ36を制御することにより、印刷用紙PAを第2排紙台37へと排紙する。
【0063】
入出力インターフェース64は、反転部7の反転駆動部46と信号を送信可能に接続されている。これにより、制御部12は、反転駆動部46を介して、往路ローラ41、反転ローラ42及び復路ローラ43を制御することにより、印刷用紙PAを反転させて、搬送印刷部3へと再給紙する。
【0064】
入出力インターフェース64は、ジャム検出部8の用紙センサ50〜54と信号を受信可能に接続されている。これにより、制御部12は、用紙センサ50〜54から入力される検出信号に基づいて、ジャムの発生を判定する。
【0065】
入出力インターフェース64は、条件検出部9の湿度センサ56及び温度センサ57と湿度情報HD及び温度情報TDを受信可能に接続されている。これにより、制御部12は、湿度センサ56から入力される湿度情報HD及び温度センサ57から入力される温度情報TDに対応するジャム発生率JPnをジャム履歴テーブル65から取得する。
【0066】
入出力インターフェース64は、操作パネル10と信号を送受信可能に接続されている。これにより、制御部12は、操作パネル10に種々の画面を表示する。また、制御部12は、ユーザによって入力された情報を操作パネル10から受信する。
【0067】
入出力インターフェース64は、タイマ11と現在の時刻TRを受信可能に接続されている。これにより、制御部12は、タイマ11から入力された現在の時刻TRに基づいて、印刷の開始時間TSを記憶部62に記憶する。
【0068】
入出力インターフェース64は、パーソナルコンピュータ等の外部端未90と接続されている。これにより、制御部12は、印刷するための画像データを外部端未90から受信することができる。
【0069】
(印刷動作)
次に、上述した画像形成装置1による印刷動作について説明する。図4は、第1実施形態による印刷動作を説明するためのフローチャートである。尚、印刷動作は、外部端未90から画像データが入力された場合等に実行される。
【0070】
図4に示すように、まず、制御部12は、タイマ11から入力される現在の時刻TRを開始時間TSとして、記憶部62に記録する(S1)。
【0071】
次に、制御部12は、湿度センサ56から入力された湿度情報HD及び温度センサ57から入力された温度情報TDに対応するジャム発生率JPを、記憶部62に記憶されている図3に示すジャム履歴テーブル65から取得する(S2)。
【0072】
次に、制御部12は、取得したジャム発生率JPが、記憶部62に記憶されているジャム閾値ThJと比較する(S3)。
【0073】
制御部12は、ジャム発生率JPがジャム閾値ThJ以上でないと判定すると(S3:No)、通常印刷を開始する(S4)。以下、ステップS4の通常印刷を片面印刷及び両面印刷に分けて説明する。
【0074】
片面印刷において、制御部12が片面印刷を開始すると、印刷用紙PAは何れかの給紙台15から給紙ローラ16によって搬送印刷部3へと搬送される。尚、印刷用紙PAは、所定の間隔を空けて、順次、給紙部2から搬送印刷部3へと給紙される。即ち、複数枚の印刷用紙PAが同時に搬送経路上を搬送されることになる。搬送印刷部3では、印刷用紙PAは、レジストローラ21によってベルト搬送部22へと搬送される。この後、印刷用紙PAはベルト搬送部22によって搬送されつつ、画像がインクジェットヘッド部23によって印刷用紙PAに印刷される。次に、印刷用紙PAは、第1切替部26によってガイドされつつ、ベルト搬送部22によって搬送部5へと搬送される。搬送部5では、印刷用紙PAは、搬送ローラ31によって搬送されつつ、第2切替部35によって第2排紙部6へとガイドされる。第2排紙部6では、印刷用紙PAは、印刷された面を下にして、第2排紙ローラ36によって第2排紙台37へと排紙される。
【0075】
一方、片面印刷において、第1排紙部4へと印刷済みの印刷用紙PAを排紙する場合、印刷済みの印刷用紙PAは、第1切替部26によってガイドされつつ、ベルト搬送部22により第1排紙部4へと搬送される。この後、印刷用紙PAは、印刷された面を上にして、第1排紙ローラ27によって第1排紙台28へと排紙される。
【0076】
両面印刷において、制御部12が両面印刷を開始すると、印刷用紙PAは、給紙部2から給紙された後、搬送印刷部3によって搬送される。尚、印刷用紙PAは、所定の間隔を空けて、順次、給紙部2から搬送印刷部3へと給紙される。即ち、複数枚の印刷用紙PAが同時に搬送経路上を搬送されることになる。この後、画像が印刷用紙PAの一方の面に印刷された後、印刷用紙PAが搬送部5によって第2切替部35まで搬送される。次に、印刷用紙PAは、第2切替部35によって反転部7へとガイドされつつ、搬送部5によって反転部7へと搬送される。反転部7では、印刷用紙PAは、往路ローラ41によって搬送されつつ、フリッパ45によって反転ローラ42へとガイドされる。次に、印刷用紙PAは、反転ローラ42によってスイッチバック部44へと搬入される。この後、印刷用紙PAは、反転ローラ42によってスイッチバック部44から搬出されるとともに、フリッパ45によって復路ローラ43へとガイドされる。次に、印刷用紙PAは、復路ローラ43によって搬送印刷部3へと再給紙される。搬送印刷部3では、印刷用紙PAは、レジストローラ21からベルト搬送部22へと搬送される。ここで、印刷用紙PAは反転部7によって反転されているので、印刷用紙PAの未印刷面(他方の面)がインクジェットヘッド部23に向けられている。次に、画像が搬送印刷部3のインクジェットヘッド部23によって印刷用紙PAの他方の面に印刷された後、印刷用紙PAは、搬送部5及び第2排紙部6によって、先に印刷された面を上にした状態で第2排紙台37へと排紙される。
【0077】
一方、第1排紙部4へと印刷済みの印刷用紙PAを排紙する場合、画像が印刷用紙PAの他方の面に印刷された後(即ち、両面印刷後)、印刷用紙PAは、第1切替部26によって第1排紙ローラ27へとガイドされる。この後、印刷用紙PAは、後に印刷された面を上にして、第1排紙ローラ27によって第1排紙台28へと排紙される。
【0078】
制御部12は、ステップS3において、ジャム発生率JPがジャム閾値ThJ以上と判定すると(S3:Yes)、記憶部62に記憶されている開始時間TSから閾値時間ThTが経過したか否かを判定する(S5)。
【0079】
制御部12は、閾値時間ThTが経過していないと判定すると(S5:No)、ステップS2に戻って、ジャム履歴テーブル65からジャム発生率JPを再取得した後(S2)、ジャム発生率JPがジャム閾値ThJ以上か否かを再度判定する(S3)。
【0080】
このように、制御部12は、ステップS2、S3、S5を繰り返す。そして、制御部12は、閾値時間ThTが経過する前に、ジャム発生率JPがジャム閾値ThJ未満となると(S3:No)、上述したステップS4の通常印刷を実行する。
【0081】
一方、制御部12は、ジャム発生率JPがジャム閾値ThJ以上のまま(S4:Yes)、閾値時間ThTが経過すると(S5:Yes)、ジャム低減モードによる印刷を開始する(S6)。換言すると、制御部12は、ジャム発生率JPがジャム閾値ThJ以上の場合、印刷開始から閾値時間ThTの間、印刷を実行することなく待機する。
【0082】
以下、ジャム低減モードによる印刷について説明する。ジャム低減モードは、以下の低速モード、薄色モード、経路短縮モード、強制片面印刷モード、縮小モードの少なくとも何れか1つのモードの下で印刷が実行される。
【0083】
[低速モード]
低速モードでは、制御部12は、上述した通常印刷よりも、印刷用紙PAの搬送速度を低速に設定する。具体的には、制御部12は、給紙部2の給紙駆動部17、搬送印刷部3の第1搬送駆動部24、第1排紙部4の第1排紙駆動部29、搬送部5の第2搬送駆動部32、第2排紙部6の第2排紙駆動部38、反転部7の反転駆動部46を制御することによって、各ローラ16、21、27、31、36、41〜43に搬送される印刷用紙PAの搬送速度を低速にする。これにより、各ローラ16、21、27、31、36、41〜43のトルクが増加するので、各ローラ16、21、27、31、36、41〜43にニップされた印刷用紙PAの滑りが低減される。この結果、ジャムが低減する。
【0084】
[薄色モード]
薄色モードでは、制御部12は、印刷用紙PAに塗布されるインクの量を低減して、インクの量を低減して、色を薄くする。具体的には、制御部12は、インクジェットヘッド部23に印加する電圧を小さくして1回で吐出するインクの量を低減するか、または、印加する電圧の回数を減らしてインクの吐出数を低減する。これにより、印刷用紙PAに塗布されるインクの量が減少するので、各ローラ16、21、27、31、36、41〜43にニップされた印刷用紙PAの滑りが低減される。この結果、ジャムが低減する。
【0085】
[経路短縮モード]
経路短縮モードでは、制御部12は、第1排紙部4に印刷用紙PAを排紙することによって、搬送経路を短縮して印刷する。具体的には、制御部12は、印刷用紙PAが第1排紙台28に排紙されるように第1排紙部4の第1切替部26を設定する。これにより、印刷済みの印刷用紙PAは、第1切替部26によってガイドされつつ、ベルト搬送部22により第1排紙部4へと搬送される。そして、印刷用紙PAは、第1排紙ローラ27によって第1排紙台28に排紙される。この結果、印刷された後の搬送経路が短縮されて、ジャムが低減する。
【0086】
[強制片面印刷モード]
強制片面印刷モードでは、制御部12は、両面印刷を片面印刷に切り替える。具体的には、制御部12は、両面印刷の表面と裏面に印刷する画像を、2枚の印刷用紙の表面に印刷する。これにより、反転部7を経由せずに印刷用紙PAが搬送されるので、ジャムが低減する。
【0087】
[縮小モード]
縮小モードでは、制御部12は、画像を縮小して印刷する。そして、制御部12は、画像の縮小に合わせて、小さい印刷用紙PAを再選択する。これにより、印刷用紙PAが2個所のローラ16、21、27、31、36、41〜43によってニップされることが低減されるので、印刷用紙PAの滑りが低減される。この結果、ジャムが低減する。
【0088】
この後、制御部12は、通常印刷の間、または、ジャム低減モードによる印刷の間、ジャムが発生したか否かを判定する(S7)。ここで、制御部12は、ジャム検出部8の用紙センサ50〜54から入力される印刷用紙PAの検出信号に基づいて、ジャムを判定する。より具体的には、用紙センサ50〜54による検出タイミングと、印刷用紙PAの搬送方向の長さ、及び、搬送速度に基づいて予測される検出タイミングとの差が閾値以上であれば、制御部12は、ジャムが発生したと判定する。制御部12は、ジャムが発生していないと判定すると(S7:No)、印刷枚数に基づいて、印刷終了か否かを判定する(S8)。
【0089】
制御部12は、印刷が終了していないと判定すると(S8:No)、ステップS7に戻る。この後、制御部12は、ジャムが発生するか、または、印刷が終了するまで、ステップS7及びS8を繰り返す。
【0090】
そして、制御部12は、ジャムが発生したと判定すると(S7:Yes)、印刷を中止した後(S9)、ステップS10を実行する。また、制御部12は、印刷が終了したと判定すると(S8:Yes)、ステップS10を実行する。
【0091】
ステップS10では、制御部12は、今回の湿度Hn及び温度Tnとジャム発生率JPnとを関連付けて、ジャム履歴テーブル65を更新する。具体的には、制御部12は、今回の湿度Hn及び温度Tnのジャム発生率JPnを上述の式(1)により算出する。ここで、分母の累積の印刷枚数NPには、今回印刷された枚数が積算される。更に、ジャムが発生して印刷を中止した場合には、分子のジャムの累積回数NJを「1」インクリメントする。これにより、制御部12は、今回の湿度Hn及び温度Tnのジャム発生率JPnを算出して、ジャム履歴テーブル65を更新する。
【0092】
これにより、制御部12は印刷動作を終了する。
【0093】
(第1実施形態の効果)
上述したように第1実施形態による画像形成装置1では、制御部12が、湿度Hn及び温度Tnとジャム発生率JPnとを関連付けたジャム履歴テーブル65を印刷毎(1ジョブ毎)に更新して、記憶部62に記憶させている。制御部12は、湿度センサ56及び温度センサ57から入力された湿度情報HD及び温度情報TDに対応するジャム発生率JPをジャム履歴テーブル65から取得する。そして、制御部12は、更新されるジャム発生率JPとジャム閾値ThJとを比較して、ジャム発生するか否かを判定する。このように、制御部12は、更新されるジャム発生率JPによってジャムが発生するか否かを判定しているので、画像形成装置1は、ジャム発生の判定精度を向上させることができる。
【0094】
画像形成装置1では、制御部12はジャム発生率JPがジャム閾値ThJ以上の場合、閾値時間ThTの間、待機する。そして、制御部12は、閾値時間ThTの間、ジャム発生率JPがジャム閾値ThJ未満になると、通常印刷を実行する。このように、画像形成装置1は、閾値時間ThTの間、ジャム発生率JPの低下を待機するので、除湿装置等を設けることなく、ジャムを低減できる。更に、印刷を実行する時間が深夜等の電力の安価な時間となるように、閾値時間ThTを設定することによって、画像形成装置1は、印刷コストを低減できる。
【0095】
画像形成装置1では、制御部12は、ジャム発生率JPがジャム閾値ThJ以上の場合、ジャムの発生する確率が高いと判定して、閾値時間ThTの経過後、ジャム低減モードによる印刷を実行する。これにより、画像形成装置1は、ジャム発生率JPが高い湿度及び温度の下でも、ジャムを低減できる。
【0096】
具体的には、制御部12は、ジャム低減モードとして低速モードを実行することによって、各ローラ16、21、27、31、36、41〜43のトルクを向上させることができる。この結果、画像形成装置1は、ローラ16、21、27、31、36、41〜43にニップされている印刷用紙PAの滑りを低減することができるので、搬送されている印刷用紙PAと印刷用紙PAとの間隔を適切に保つことができる。この結果、画像形成装置1は、ジャムを低減できる。
【0097】
また、制御部12は、ジャム低減モードとして薄色モードを実行することによって、印刷用紙PAに塗布されるインクの量を低減できる。これにより、画像形成装置1は、ローラ16、21、27、31、36、41〜43にニップされている印刷用紙PAの滑りを低減できるので、ジャムを低減できる。
【0098】
また、制御部12は、ジャム低減モードとして経路短縮モードを実行することによって、搬送印刷部3による印刷後の搬送経路を短縮することができる。これにより、画像形成装置1は、ジャムを低減できる。
【0099】
また、制御部12は、ジャム低減モードとして強制片面印刷モードを実行することによって、反転部7による搬送を省略できる。これにより、画像形成装置1は、ジャムを低減できる。
【0100】
また、制御部12は、ジャム低減モードとして縮小モードを実行することにより、2個所のローラ16、21、27、31、36、41〜43によって印刷用紙PAがニップされる時間を短縮できる。これにより、画像形成装置1は、2個所のローラ16、21、27、31、36、41〜43にニップされた印刷用紙PAの滑りを低減できるので、ジャムを低減できる。
【0101】
<第2実施形態>
次に、上述した実施形態のジャム履歴テーブルを変更した第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態によるジャム履歴テーブルを説明するための図である。図6は、第2実施形態による他のジャム履歴テーブルを説明するための図である。尚、上述した実施形態と同様の構成には、同じ符号を付けて説明を省略する。
【0102】
第2実施形態では、図5に示すジャム履歴テーブル65Aが記憶部62に記憶されている。ジャム履歴テーブル65Aは、湿度Hnとジャム発生率JPnとを関連付けたテーブルである。第2実施形態では、制御部12は条件検出部9から入力された湿度情報HDに基づいて、ジャム発生率JPをジャム履歴テーブル65Aから取得する。また、印刷終了時には、制御部12は、今回の湿度情報HDとジャム発生率JPnとを関連付けて、ジャム履歴テーブル65Aを更新する。
【0103】
尚、図6に示すように、制御部12が、温度Tnとジャム発生率JPnとを関連付けたジャム履歴テーブル65Bを記憶部62に記憶するように構成してもよい。この場合、制御部12は、条件検出部9から入力された温度情報TDに基づいて、ジャム発生率JPをジャム履歴テーブル65Bから取得する。また、印刷終了時には、制御部12は、今回の温度情報TDとジャム発生率JPnとを関連付けて、ジャム履歴テーブル65Bを更新する。
【0104】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、湿度Hnまたは温度Tnの何れか一方とジャム発生率JPnとを関連付けているので、ジャム履歴テーブル65A、65Bを簡略化することができる。
【0105】
<第3実施形態>
次に、上述した実施形態の一部を変更した第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態によるジャム閾値変更処理のフローチャートである。図8は、ジャム閾値変更画面を説明するための図である。尚、上述した実施形態と同様の構成には、同じ符号を付けて説明を省略する。
【0106】
第3実施形態では、制御部12が、図7に示すジャム閾値を変更するためのジャム閾値変更処理を実行可能に構成されている。尚、ジャム閾値変更用のプログラムは、記憶部62に記憶されている。
【0107】
ジャム閾値変更処理において、制御部12は、図8に示すジャム閾値変更画面を操作パネル10または外部端未90の表示部に表示する(S21)。この後、ユーザは、ジャム閾値ThJの変更を希望する場合、ユーザは「up」ボタンまたは「down」ボタンを操作して、表示されているジャム閾値ThJを変更する。
【0108】
次に、制御部12は、ユーザがジャム閾値変更画面の「OK」ボタンを操作したか否かを判定する(S22)。制御部12は、ユーザが「OK」ボタンを操作しなかった場合(S22:No)、即ち、「キャンセル」ボタンを操作したと判定すると、ジャム閾値変更処理を終了する。
【0109】
一方、制御部12は、ユーザが「OK」ボタンを操作したと判定すると(S22:Yes)、ユーザが、上述の操作によってジャム閾値ThJを変更したか否かを判定する(S23)。
【0110】
制御部12は、ユーザがジャム閾値ThJを変更していないと判定すると(S23:No)、ジャム閾値変更処理を終了する。一方、制御部12は、ユーザがジャム閾値ThJを変更したと判定すると(S23:Yes)、記憶部62に記憶されているジャム閾値ThJを変更されたジャム閾値ThJに更新する。これにより、制御部12はジャム閾値変更処理を終了する。
【0111】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態は、ジャム閾値ThJを変更可能に構成されている。これにより、第3実施形態は、ユーザがジャムの低減よりも印刷速度等を優先させる場合に対応することができる。逆に、第3実施形態は、ジャムの発生をより低減したいユーザにも対応することができる。
【0112】
尚、ジャム閾値変更処理は、印刷動作開始後の初期に実行してもよく、印刷動作とは別に実行してもよい。また、ジャム閾値ThJとユーザとを関連付けて記憶部62に記憶させてもよい。
【0113】
<第4実施形態>
次に、上述した実施形態の一部を変更した第4実施形態について説明する。図9は、第4実施形態によるジャム低減モード変更処理のフローチャートである。図10は、ジャム低減モード変更画面を説明するための図である。尚、上述した実施形態と同様の構成には、同じ符号を付けて説明を省略する。
【0114】
第4実施形態では、制御部12が、図9に示すように、ジャムを低減させる印刷の設定を変更するための、即ち、ジャム低減モードの設定を変更するためのジャム低減モード変更処理を実行可能に構成されている。尚、ジャム低減モード変更用のプログラムは、記憶部62に記憶されている。
【0115】
ジャム低減モード変更処理において、制御部12は、図10に示すジャム低減モード変更画面を操作パネル10または外部端未90の表示部に表示する(S31)。
【0116】
ユーザは、ジャム低減モードを実行可能にする場合は、画面に表示されている「ジャム低減モード」ボタンを選択する。これにより、「ジャム低減モード」ボタンの左横の枠にチェックマーク(レ)が表示される。このようにジャム低減モードが選択されると、制御部12は、ジャム発生率JPnがジャム閾値ThJ以上の場合、ジャム低減モードの下で印刷を実行する。
【0117】
更に、ユーザがジャム低減モードを選択すると、ジャム低減モードの何れかのモードを選択可能に構成されている。これにより、図10に示すように、ユーザが低速モードを選択すると、制御部12は、「低速モード」ボタンの左横の枠にチェックマーク(レ)が表示される。この場合、ジャム低減モードによる印刷では、搬送速度を低速化する低速モードによって印刷が実行される。
【0118】
この後、制御部12は、ユーザが「OK」ボタンを操作したか否かを判定する(S32)。ユーザが、ユーザが「OK」ボタンを操作しなかった(S32:No)、即ち、「キャンセル」ボタンを操作したと判定すると、ジャム低減モード変更処理を終了する。
【0119】
一方、制御部12は、ユーザが「OK」ボタンを操作したと判定すると(S32:Yes)、ユーザがジャム低減モードの設定を変更したか否かを判定する(S33)。制御部12は、ユーザがジャム低減モードの設定を変更していないと判定すると(S33:No)、ジャム低減モード選択処理を終了する。
【0120】
一方、制御部12は、ユーザがジャム低減モードの設定を変更したと判定すると(S33:Yes)、記憶部62に記憶されているジャム低減モードの設定を更新して(S34)、ジャム低減モード選択処理を終了する。
【0121】
(第4実施形態の効果)
上述したように、第4実施形態では、ジャム低減モードの実行の要否を選択可能に構成されているので、ユーザはジャム発生率JPnが高い場合でも、通常印刷にて印刷を実行できる。更に、第4実施形態では、ジャム低減モードを実行する際に、何れかのモードによって実行するかを設定できるので、ユーザの希望に柔軟に対応できる。
【0122】
尚、ジャム低減モード変更処理は、印刷動作とは別に実行してもよい
【0123】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。以下、上記実施形態を一部変更した変更形態について説明する。
【0124】
上述した各実施形態の構成の配置、形状、数値等は適宜変更可能である。
【0125】
上述した各実施形態の処理の内容は適宜変更可能である。
【0126】
また、上述した実施形態では、ジャム低減モードにおいて、低速モード、薄色モード、経路短縮モード、強制片面印刷モード、縮小モードのうち少なくとも何れか1つのモードの下で印刷が実行されるように制御部を構成したが、制御部がこれらのモードの何れかを自己学習して選択及び実行するように構成してもよい。例えば、特定のユーザが、低速モードを規定回数選択した後に、更に、そのユーザの印刷をジャム低減モードによって印刷する場合、制御部は、低速モードを選択して、低速モードの下でジャム低減モードを実行してもよい。このように、自己学習型の画像形成装置に構成する場合、ユーザが、特定のモードを規定回数以上選択することにより、制御部が自動的にそのモードを選択するように構成すればよい。
【0127】
また、上述した実施形態では、ジャム発生率がジャム閾値以上の場合、制御部が、印刷開始から閾値時間の間、印刷を実行することなく待機するように構成した。しかし、ジャム発生率がジャム閾値以上になり(即ち、印刷中に周りの湿度または温度が所定の湿度または温度以上になり)、印刷を中断した場合、制御部が印刷中断から閾値時間の間、印刷を実行することなく待機するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 搬送印刷部
4 第1排紙部
5 搬送部
6 第2排紙部
7 反転部
8 ジャム検出部
9 条件検出部
10 操作パネル
11 タイマ
12 制御部
50〜54 用紙センサ
56 湿度センサ
57 温度センサ
62 記憶部
63 バス
64 入出力インターフェース
65、65A、65B ジャム履歴テーブル
HD 湿度情報
Hn 湿度
TD 温度情報
Tn 温度
JP、JPn ジャム発生率
PA 印刷用紙
RS 給紙経路
RC 通常経路
RD1 排紙経路
RD2 排紙経路
RR 反転経路
ThJ ジャム閾値
ThT 閾値時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿度または温度を検出して、湿度情報または温度情報を出力する条件検出手段と、
湿度または温度とジャム発生率とが関連付けられたジャム履歴テーブルと、ジャム発生率の閾値であるジャム閾値とを記憶する記憶手段と、
前記条件検出手段から入力された湿度情報または温度情報に対応するジャム発生率をジャム履歴テーブルから取得して、取得したジャム発生率が前記ジャム閾値以上の場合、ジャムが低減するように印刷を実行するとともに、前記記憶手段に記憶された前記ジャム履歴テーブルを更新する制御部とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
湿度または温度を検出して、湿度情報または温度情報を出力する条件検出手段と、
湿度または温度とジャム発生率とが関連付けられたジャム履歴テーブルと、ジャム発生率の閾値であるジャム閾値とを記憶する記憶手段と、
前記条件検出手段から入力された湿度情報または温度情報に対応するジャム発生率をジャム履歴テーブルから取得して、取得したジャム発生率が、印刷開始または中断から閾値時間経過後に前記ジャム閾値以上の場合、ジャムが低減するように印刷を実行するとともに、前記記憶手段に記憶された前記ジャム履歴テーブルを更新する制御部とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、ジャムが低減するように印刷を実行する場合において、
搬送速度を低速化させるか、または、
インクの量を低減させるか、または、
搬送経路が短い排紙先を選択する経路を短縮させるか、または、
両面印刷を強制的に片面印刷にするか、または、
画像を縮小させるか
の少なくとも何れか1つの下で印刷を実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ジャム閾値を変更するためのジャム閾値変更処理を実行可能であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、ジャムを低減させる印刷の設定を変更可能であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−148106(P2011−148106A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8966(P2010−8966)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】