画像形成装置
【課題】濃度検知用の画像の形成と現像剤の強制排出とを同時に実行し、トナーの無駄な消費を防止可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部32は、パッチ画像Mを繰り返し形成し、パッチ画像Mn、Mn-1、Mn-2の検知濃度An、An-1、An-2に応じて直前に形成されたパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出し、算出された面積変化量ΔSnに基づいて次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変してパッチ画像Mn+1を形成することにより、トナーの強制排出を実行する。
【解決手段】制御部32は、パッチ画像Mを繰り返し形成し、パッチ画像Mn、Mn-1、Mn-2の検知濃度An、An-1、An-2に応じて直前に形成されたパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出し、算出された面積変化量ΔSnに基づいて次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変してパッチ画像Mn+1を形成することにより、トナーの強制排出を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法を用いた画像形成装置に関し、特に画像形成装置における現像装置からの現像剤の強制排出に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いた画像形成装置における乾式トナーを用いた現像方式としては、キャリアを用いない一成分現像方式と、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる二成分現像剤を使用し、現像ローラ上に形成されたトナー及びキャリアから成る磁気ブラシにより像担持体(感光体)上の静電潜像を現像する二成分現像方式とが知られている。
【0003】
一成分現像方式は、磁気ブラシによって像担持体上の静電潜像が乱されることがなく高画質化に適している反面、トナーをチャージローラで帯電させ、弾性規制ブレードで現像ローラ上の層厚を規制するため、トナーの添加剤がチャージローラに付着して帯電能力が低下し、トナーの帯電量を安定して維持することが困難であった。また、規制ブレードにトナーが付着し、層形成が不均一になって画像欠陥をきたすことがあった。
【0004】
また、色重ねを行うカラー印刷の場合、カラートナーに透過性が要求されるため、非磁性トナーである必要がある。そこで、フルカラー画像形成装置においてはキャリアを用いてトナーを帯電及び搬送する二成分現像方式を採用する場合が多い。しかし、二成分現像方式は安定した帯電量を長期間維持できトナーの長寿命化に適している反面、前述した磁気ブラシによる影響のため画質の面で不利であった。
【0005】
これらの問題を解決する手段の一つとして、磁気ローラ(トナー供給部材)を用いて現像剤を像担持体に対して非接触に設置した現像ローラ(トナー担持体)上に移行させる際に、磁気ローラ上に磁性キャリアを残したまま現像ローラ上に非磁性トナーのみを転移させてトナー薄層を形成し、交流電界によって像担持体上の静電潜像にトナーを付着させる現像方式が提案されている。
【0006】
ここで、現像剤中のトナーが現像により消費されると、消費量に応じてトナーコンテナから現像装置内にトナーが補給され、現像装置内のトナーが順次入れ替わるようになっているが、例えば低印字率の画像形成が連続するような場合等、現像装置内のトナーの入れ替わりが少なくなると、現像装置内でのトナーの滞在時間が長くなる。
【0007】
このように滞在時間が長くなると、キャリアとの混合によってトナーの攪拌及び表面の摺擦が繰り返され、また、トナーが磁気ローラと現像ローラとの間を何度も行き来することになる。その結果、トナーの形状が不規則になったり、粒径分布に偏りが生じたり、外添剤がトナー表面に埋没若しくは表面から離脱する等、トナーが劣化し易くなり、トナーの劣化による画像濃度低下、ゴースト、トナー飛散、かぶり等の画像不具合が生じ易くなる。そこで、劣化したトナーを強制的に排出させる方法が提案されている。
【0008】
例えば、特許文献1には、現像ロールと磁気ロールを回転させたまま両ロール間を等電位状態で、現像ロール上の残存トナーを磁気ブラシで回収することにより、現像装置の構成を複雑にすることなく連続現像時の残像(ゴースト)の発生を防ぎ、確実に帯電させたトナーを現像ロールに供給し、長期にわたって安定した画像品質を得る方法が開示されている。かかる特許文献1には、トナー消費量を印字する画像のドット量(印字率)から推測し、透磁率センサ値に基づいてトナーを中間転写ベルトに強制的に排出させることが開示されている。
【0009】
しかし、このように印字率に基づいてトナーを強制的に排出する方法では、例えば温湿度等の環境条件や画像濃度等が変化する場合、十分にトナーを強制排出できないおそれがある。そこで、これらを考慮してトナーを強制排出させる方法が提案されている。
【0010】
例えば特許文献2には、一定時間毎のトナー補給モータ駆動時間の積算値に基づいて非現像時にトナーの強制排出を行うことにより、現像装置を複雑にすることなく印字率や温度の変化等に左右されずに一定のトナーを排出可能とする方法が開示されている。
【0011】
また、特許文献3には、現像剤担持体の単位移動距離当たりの画像面積率を検知し、この検知結果に基づいてトナーの強制消費の制御を行うことにより、現像剤の不必要な劣化の進行を解消し、高画質の画像を安定して形成する方法が開示されている。
【0012】
また、特許文献4には、画像比率算出結果及び画像濃度検知結果に基づいてトナーの強制消費モードを実行するか否かを判断することにより、画質及び画像濃度の低下を抑制すると共に、過剰なトナー消費や無駄なダウンタイムを低減する方法が開示されている。
【0013】
また、特許文献5には、測定用現像剤画像を基準現像剤画像と同じ画像形成条件で形成し、測定用現像剤画像の画像濃度が基準現像剤画像の画像濃度以下の場合に現像剤の強制消費動作を実行することにより、現像剤の無駄な消費を抑制する方法が開示されている。
【0014】
また、特許文献6には、画像濃度が異なる複数の画像を形成し、かかる複数の画像の各画像濃度を検知し、この検知結果に基づいて現像剤担持体のリフレッシュを行うか否かを判断することにより、現像剤の劣化を考慮して現像剤担持体上に付着した現像剤を像担持体上に移動させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003−015380号公報
【特許文献2】特開2005−055842号公報
【特許文献3】特開2005−043388号公報
【特許文献4】特開2006−337699号公報
【特許文献5】特許2007−147782号公報
【特許文献6】特開2009−145488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、特許文献2及び特許文献3の方法では、トナー補給モータの駆動時間や、現像剤担持体の単位移動距離当たりの画像面積率から、トナーが劣化しているであろうとの予測に基づいてトナーの強制排出を行っており、トナーの劣化の程度とトナー強制排出量がずれ、トナーを無駄に排出するおそれがある。
【0017】
また、特許文献4、特許文献5及び特許文献6の方法では、画像濃度の検知結果に基づいてトナーの強制排出を行っているものの、濃度検知用の画像の形成と、トナー強制排出用の画像の形成と、を別途実行しているため、トナーを無駄に廃棄するおそれがある。
【0018】
本発明は、上記問題点に鑑み、濃度検知用の画像の形成と現像剤の強制排出とを同時に実行し、トナーの無駄な消費を防止可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する露光装置と、現像剤担持体を有し前記露光装置により形成された静電潜像を現像する現像装置とを含む画像形成部と、該画像形成部により前記像担持体上に形成された基準画像の濃度を検知する検知手段と、該検知手段により検知された前記基準画像の検知濃度に基づいて前記現像剤担持体から前記像担持体に移動させて現像剤の強制排出を実行する制御手段と、を備えた画像形成装置において、前記制御手段は、前記基準画像を形成することにより前記強制排出を実行するものであり、前記基準画像を繰り返し形成し、前記基準画像の検知濃度に応じて直前に形成された基準画像からの面積変化量を算出し、算出された前記面積変化量に基づいて次に形成される基準画像の面積を可変することを特徴としている。
【0020】
また本発明は、前記制御手段は、前記面積変化量を、前記基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分に基づいて算出することを特徴としている。
【0021】
また本発明は、前記制御手段は、前記面積変化量を、前記直前に形成された基準画像を第1の基準画像とするとき、該第1の基準画像の検知濃度と、前記第1の基準画像の1つ前に形成された第2の基準画像の検知濃度と、前記第1の基準画像の2つ前に形成された第3の基準画像の検知濃度と、に基づいて算出することを特徴としている。
【0022】
また本発明は、前記制御手段は、前記次に形成される基準画像の面積を、以下の式(1)及び(2)に従って算出することを特徴としている。
Sn+1=Sn+ΔSn・・・(1)
ΔSn={Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd(en−en―2)}・・・(2)
ただし、
n:3以上の自然数
Sn:n回目に形成される基準画像の面積
ΔSn:n回目に形成される基準画像の面積変化量
en:n回目に形成される基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分
Ki、Kp、Kd:係数
【0023】
また本発明は、前記制御手段は、前記面積変化量を、前記直前に形成された基準画像の検知濃度に基づいて算出することを特徴としている。
【0024】
また本発明は、前記制御手段は、前記次に形成される基準画像の面積を、以下の式(3)、(4)及び(5)に従って算出することを特徴としている。
Sn+1=Sc+ΔSn・・・(3)
ΔSn=−R(en≧0)・・・(4)
ΔSn=R(en<0)・・・(5)
ただし、
n:自然数
Sc:一定の面積値
ΔSn:n回目に形成される基準画像の面積変化量
en:n回目に形成される基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分
R:正の一定値
【0025】
また本発明は、前記制御手段は、前記基準画像の検知濃度が連続して前記目標濃度以上となったとき、前記強制排出の実行を停止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第1の構成によれば、制御手段が、基準画像を形成することにより強制排出を実行することとし、基準画像を繰り返し形成し、基準画像の検知濃度に応じて直前に形成された基準画像からの面積変化量を算出し、算出された面積変化量に基づいて次に形成される基準画像の面積を可変することによって、濃度検知用の画像(基準画像)の形成と現像剤の強制排出とを同時に実行し、現像剤の無駄な消費を防止することができる。
【0027】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、面積変化量を、基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分に基づいて算出することによって、より適切に面積変化量を算出できるため、より適切に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。
【0028】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、面積変化量を、直前に形成された基準画像を第1の基準画像とするとき、第1の基準画像の検知濃度と、第1の基準画像の1つ前に形成された第2の基準画像の検知濃度と、第1の基準画像の2つ前に形成された第3の基準画像の検知濃度と、に基づいて算出することによって、より詳細に面積変化量を算出できるため、より詳細に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。
【0029】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の画像形成装置において、制御手段が、次に形成される基準画像の面積を、式(1)及び(2)に従って算出することによって、より詳細に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。
【0030】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、制御手段が、面積変化量を、直前に形成された基準画像の検知濃度に基づいて算出することによって、より容易に面積変化量を算出できるため、より詳細に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。
【0031】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第5の構成の画像形成装置において、制御手段が、次に形成される基準画像の面積を、式(3)、(4)及び(5)に従って算出することによって、より容易に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。
【0032】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第2〜第6のいずれかの構成の画像形成装置において、制御手段が、基準画像の検知濃度が連続して目標濃度以上となったとき、強制排出の実行を停止することによって、現像剤の無駄な消費をより防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の全体構成を示す概略図
【図2】本発明のカラー画像形成装置に用いられる濃度検知センサの構成を示す概略側面図
【図3】本発明のカラー画像形成装置の制御経路を示すブロック図
【図4】各画像形成部で形成されるパッチ画像を模式的に示す図
【図5】画像形成部Paにおいて面積が可変されたパッチ画像が形成される状態を模式的に示す図
【図6】第1制御例の手順を示すフローチャート
【図7】第2制御例の手順を示すフローチャート
【図8】実施例1のパッチ画像の検知濃度、パッチ画像の面積、面積変化率及び出力画像濃度を示す図
【図9】実施例1の印字枚数と出力画像濃度との関係、及び、印字枚数と面積変化率との関係を示すグラフ
【図10】実施例2のパッチ画像の検知濃度、パッチ画像の面積、面積変化率及び出力画像濃度を示す図
【図11】実施例2の印字枚数と出力画像濃度との関係、及び、印字枚数と面積変化率との関係を示すグラフ
【図12】比較例のパッチ画像の検知濃度、パッチ画像の面積、面積変化率及び出力画像濃度を示す図
【図13】比較例の印字枚数と出力画像濃度との関係、及び、印字枚数と面積変化率との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明のカラー画像形成装置の構成を示す概略図である。画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0035】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1c及び1dが配設されており、これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転しながら各画像形成部に隣接して移動する中間転写ベルト8上に順次転写(一次転写)された後、二次転写ローラ9において用紙28上に一度に転写(二次転写)され、さらに、定着部7において用紙28上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0036】
トナー像が転写される用紙28は、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのクリーニングブレード19が配置されている。
【0037】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留したトナー〈現像剤〉を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
【0038】
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dは、現像ローラ(現像剤担持体)3aa、3ba、3ca及び3daを有しており(図2参照)、それぞれマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーが現像ローラ3aa〜2daによって感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0039】
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、一次転写ローラ6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のマゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
【0040】
中間転写ベルト8は、従動ローラ10、駆動ローラ11及びテンションローラ20に掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、用紙28がレジストローラ12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、中間転写ベルト8とのニップ部(二次転写ニップ部)において用紙28上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された用紙28は定着部7へと搬送される。
【0041】
定着部7に搬送された用紙28は、定着ローラ対13のニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が用紙28の表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙28は、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙28の片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
【0042】
一方、用紙28の両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した用紙28の一部を一旦排出ローラ15から装置外部にまで突出させる。その後、用紙28は排出ローラ15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラ9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により用紙28の画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0043】
図1及び図2に示すように、画像形成部Pdの下流側且つ二次転写ローラ9の上流側直近には濃度検知センサ21が配置されている。濃度検知センサ21は、画像形成部Pa〜Pdにおいて中間転写ベルト8上に形成されるパッチ画像(基準画像)に測定光を照射し、これらからの反射光を受光して光電変換して受光出力信号を出力し、出力値はA/D変換された後、センサ出力値(検知濃度)として後述する制御部32に送信される。
【0044】
濃度検知センサ21としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサが用いられる。濃度補正パターンの濃度を測定する際、発光素子から中間転写ベルト8上の各パッチ画像に対し順次測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、及びベルト表面によって反射される光として受光素子に入射する。
【0045】
トナーの付着量が多い場合には、ベルト表面からの反射光がトナーによって遮光されるので、受光素子の受光量が減少する。一方、トナーの付着量が少ない場合には、逆にベルト表面からの反射光が多くなる結果、受光素子の受光量が増大する。
【0046】
濃度検知センサ21は、測定対象物までの距離を厳密に規定しておく必要があるため、図1及び図2に示すように、中間転写ベルト8表面までの距離変動の少ない駆動ローラ11に対向するような位置に配置されており、中間転写ベルト8上のパッチ画像(基準画像)の形成位置に合わせて中間転写ベルト8の幅方向に位置決めされている。
【0047】
なお、濃度検知センサ21は中間転写ベルト8上のパッチ画像を検知可能な他の位置に配置しても良いが、例えば二次転写ローラ9よりも下流側に配置した場合、画像形成部Pa〜Pdによりパッチ画像が形成されてから濃度検知が行われるまでの時間が長くなり、さらにパッチ画像が二次転写ローラ9と接触することによりパッチ画像の表面状態が変化するおそれもある。そのため、図1のように画像形成部Pdよりも下流側且つ二次転写ローラ9の接触位置よりも上流側に配置することが好ましい。また、中間転写ベルト8に形成されたパッチ画像は、クリーニングブレード19によって除去される。
【0048】
また、濃度検知センサ21を、例えば、各感光体ドラム1a〜1dの回転方向において現像ユニット3a〜3dの下流側且つ転写ローラ6a〜6dの上流側にそれぞれ配置し、感光体ドラム1a〜1d上に形成されたパッチ画像(トナー像)の濃度を検知することもできる。かかる場合、感光体ドラム1a〜1d上のパッチ画像は、クリーニング部5a〜5dによって除去、若しくは、中間転写ベルト8に転写された後、クリーニングブレード19で除去される。
【0049】
図3は、本発明に係る画像形成装置の制御経路を示すブロック図である。図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。画像形成装置100は、画像形成部Pa〜Pd、画像入力部30、AD変換部31、制御部(制御手段)32、記憶部33、操作パネル34、定着部7、中間転写ベルト8及び濃度検知センサ21等を含む構成である。
【0050】
画像入力部30は、画像形成装置100がカラー複写機である場合、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される画像読取部であり、画像形成装置100が図1に示すようなカラープリンタである場合、パーソナルコンピュータ等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部30より入力された画像信号はAD変換部31においてデジタル信号に変換された後、記憶部33内の画像メモリ40に送出される。
【0051】
記憶部33は、画像入力部30から入力されAD変換部31においてデジタル変換された印刷画像データをページ単位で記憶する画像メモリ40、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される読み書き自在のRAM(Random Access Memory)41、及び画像形成装置100の制御用プログラムや制御上の必要な数値等の画像形成装置100の使用中に変更されることがないデータ等が収められる読み出し専用のROM(Read Only Memory)42を備えている。
【0052】
また、RAM41には、濃度検知センサ21の出力値とパッチ画像の濃度とを関連付けたパラメータや、パッチ画像の目標濃度や、パッチ画像の濃度とパッチ画像の面積とを関連付けたパラメータや、パッチ画像の面積を算出するためのパラメータ(係数)や、パッチ画像の面積と露光装置4の書き出しタイミングとを関連付けたパラメータ等も格納されている。また、RAM41には、パッチ画像の形成回数や、パッチ画像の検知濃度や、パッチ画像の検知濃度と目標濃度との差分や、パッチ画像の面積や、直前のパッチ画像からの面積変化量や、次に形成されるパッチ画像の面積、が記憶される。
【0053】
操作パネル34は、画像形成装置100の状態や画像形成状況や印刷部数を表示するとともに、タッチパネルとして両面印刷や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行う液晶表示部、印字部数の設定や画像形成装置100がFAX機能を有する場合に相手方のFAX番号を入力等するためのテンキー、画像形成を開始するようにユーザが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられており、ユーザは操作パネル34を操作して指示を入力することで、画像形成装置100の各種の設定をし、画像形成等の各種機能を実行させる。
【0054】
制御部32は、例えば中央処理装置(CPU)であり、設定されたプログラムに従って画像入力部30、画像形成部Pa〜Pd、定着部7、及び用紙カセット16(図1参照)からの用紙28の搬送等を全般的に制御するとともに、画像入力部30から入力された画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データに変換する。露光装置4は、処理後の画像データに基づいてレーザ光を照射し、感光体ドラム1a〜1d上に潜像を形成する。
【0055】
さらに制御部32は、トナーの強制排出モードが設定されると、印字枚数を計数する機能や、直前のパッチ画像形成からの印字枚数が予め設定された設定印字枚数に到達するとパッチ画像を形成させる機能や、濃度検知センサ21からのセンサ出力値を受信し、パッチ画像の検知濃度の目標濃度に対する差分を算出する機能や、算出した差分に基づいて直前のパッチ画像形成時からの面積変化量を算出する機能や、算出された面積変化量から次に形成されるパッチ画像の面積を算出する機能や、算出したパッチ面積に基づいてパッチ画像を形成させてトナーを強制排出する機能等を有している。
【0056】
次に、本発明に係る画像形成装置のトナーの強制排出の第1制御例について説明する。図4は、各画像形成部で形成されたパッチ画像を模式的に示す図である。図4において実線矢印は、中間転写ベルト8の回動方向を示す。
【0057】
各画像形成部Pa〜Pdにおいてパッチ画像M、C、Y、B(トナー像)は、印字枚数Nが予め設定された設定印字枚数Ns(例えば10枚)に到達するごとに形成されるようになっている。各画像形成部Pa〜Pdで形成されたパッチ画像M〜Bは、図4に示すように、中間転写ベルト8に転写され、濃度検知センサ21(図1参照)によって検知される。また、かかるパッチ画像M〜Bの形成により、各現像装置3a〜3dにおいて、トナーが強制排出される。
【0058】
なお、各画像形成部Pa〜Pdの現像装置3a〜3dにおいて、トナーの強制排出制御動作は同様であるため、以下、代表として画像形成部Paについて説明する。図5は、画像形成部Paにおいて面積が可変されたパッチ画像が形成される状態を模式的に示す図である。図5において実線矢印は、中間転写ベルト8の回動方向を示す。
【0059】
まず、画像形成部Paにおいて、現像バイアスを一定にした状態で、予め設定された面積S1、S2、S3となるようにそれぞれ、1回目のパッチ画像M1、2回目のパッチ画像M2、3回目のパッチ画像M3を形成する。各パッチ画像M1〜M3は、濃度検知センサ21によって検知され、パッチ画像M1〜M3の検知濃度A1、A2及びA3が制御部32に送信されると、制御部32は、検知濃度A1〜A3と、記憶部33に記憶されたパッチ画像の目標濃度Asとの差分e1、e2、e3、を算出する。
【0060】
すなわち、制御部32は、1回目のパッチ画像M1の検知濃度A1が送信されると、検知濃度A1と目標濃度Asとの差分e1を算出し、2回目のパッチ画像の検知濃度A2が送信されると、検知濃度A2と目標濃度Asとの差分e2を算出し、3回目の検知濃度A3が送信されると、検知濃度A3と目標濃度Asとの差分e3を算出する。
【0061】
制御部32は、3回目の差分e3を算出すると、記憶部33に格納されたパラメータKi、Kp及びKdを用いて、直前に形成されたパッチ画像M3からの面積変化量ΔS3を算出する。また、これらe1、e2、e3及びΔS3は、記憶部33に記憶される。具体的には、差分e3、差分e3と差分e2との差(e3−e2)、及び、差分e2と差分e1との差(e2−e2)、及びパラメータKi、Kp及びKdを用いて、ΔS3=Ki・e3+Kp(e3―e2)+Kd{(e3−e2+e2−e1)}に基づいて、面積変化率ΔS3を算出する。
【0062】
そして、このように面積変化率ΔS3を算出した後、面積変化率ΔS3をパッチ画像M
3の面積S3に加えることにより、次に形成される4回目のパッチ画像M4の面積S4を算出し(S4=S3+ΔS3)、面積S4となるように露光装置4の書き込みタイミングを調整して、パッチ画像M4を形成する。
【0063】
4回目以降、かかる動作が繰り返され、n回目(nは3以上の整数)として最新に形成されたパッチ画像(第1のパッチ画像)Mnの検知濃度Anが送信されると、制御部32は、パッチ画像Mnの検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出し、既に算出されたn−1回目のパッチ画像(第2のパッチ画像)Mn-1の検知濃度An-1と目標濃度Asとの差分en-1、及び、n−2回目のパッチ画像(第3のパッチ画像)Mn-2の検知濃度An-2と目標濃度Asとの差分en-2、を用いて、上記と同様にして、直前に形成されたパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出する。
【0064】
すなわち、差分en、差分enと差分en-1との差(en−en-1)、及び、差分en-1と差分en-2との差(en-1−en-2)、Ki、Kp及びKdを用いて、ΔSn=Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd{(en−en-1+en-1−en-2)}に基づいて、面積変化量ΔSnを算出する。なお、直前に形成されたパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnとは、直前に形成されたパッチ画像Mnの形成時から、次に形成されるパッチ画像Mn+1を形成する際に変化させるべきパッチ画像の面積量をいう。
【0065】
そして、このように面積変化量ΔSnを算出した後、面積変化量ΔSnをパッチ画像Mnの面積Snに加えることにより、次に形成されるn+1回目のパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を算出し(Sn+1=Sn+ΔSn)、面積Sn+1となるように露光装置4の書き込みタイミングを調整して、パッチ画像Mn+1を形成する。
【0066】
これにより、パッチ画像Mn、Mn-1、Mn-2の検知濃度Anに応じてパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出し、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変して、該パッチ画像Mn+1を形成することにより、トナーの強制排出を行うことができる。
【0067】
上記のようにして形成されるパッチ画像Mn-2、Mn-1、Mn、Mn+1の一例を、図5に示す。ここでは、露光装置4の書き込みタイミングを調整することにより、主走査方向(中間転写ベルト8の回動方向とは垂直方向)に面積Sn+1を変化させたため、面積Sn+1の可変が容易となる。しかし、副走査方向を変化させることも、主走査方向及び副走査方向の両方に面積Sn+1を可変することもできる。
【0068】
なお、上記式ΔSnの右辺をさらに解くと、ΔSn=Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd(en−en-2)と表される。また、Ki、Kp及びKdは、予備実験等によって適宜設定することができ、例えば、Ki=−10、Kp=−2、Kd=−5とすることができる。
【0069】
また、ここでは、検知濃度A、検知濃度Aの目標濃度Asに対する差分e、算出した面積Sをすべて記憶部33に記憶することとした。これにより、例えば、n−1回目のパッチ画像Mn-1を形成した後、ジョブが終了した場合には、次に形成されるべきパッチ画像Mnの面積Snと、パッチ画像Mn-1、Mn-2の各濃度の差分en-1、en-2と、が記憶部33に記憶されることになる。
【0070】
そして、例えば次のジョブでパッチ画像Mnが形成される場合、記憶部33に記憶した面積Snを読み込むことによりパッチ画像Mnの面積Snが設定され、かかる面積Snで形成されたパッチ画像Mnの検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出し、算出された差分enと記憶部33に記憶されたen-1、en-2と、により、パッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出し、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を算出することができる。その他、予め設定した面積Sの値を記憶部33に記憶し、かかる面積Sを用いて次のジョブの1枚目、2枚目等、初期のパッチ画像Mを形成することもできる。
【0071】
なお、次のジョブで最初に形成されるべきパッチ画像Mnの面積Snと、パッチ画像Mn-1、Mn-2の各濃度の差分en-1、en-2のみを、記憶部33に記憶するように設定する等、必要に応じて記憶部33にデータを記憶させることもできる。また、パッチ画像Mの形成回数がリセットされた場合には、新たに1回目からパッチ画像Mが形成される。
【0072】
また、パッチ画像Mの形成間隔は、装置構成に応じて予備実験等により適宜設定することができ、例えば、印字枚数Nが10枚ごと(設定印字枚数Ns)とすることができる。また、その他例えば、直前に形成されたパッチ画像Mからの、現像装置3aの駆動時間によって設定すること等もできる。
【0073】
次に、第1制御例の手順について説明する。図6は、第1制御例の手順を示すフローチャートである。図3を参照しながら図6のステップに沿ってトナーの強制排出制御手順について説明する。
【0074】
記憶部33には、次に形成されるべきパッチ画像Mnの面積Snと、直近2回分のパッチ画像Mn-1、Mn-2の濃度の差分en-1、en-2が記憶されている。先ず、ユーザにより操作パネル34で印字部数が設定され、印字が開始されると(ステップS1)、濃度検知センサ21が検知を開始し(ステップS2)、制御部32は、直前に形成されたパッチ画像Mn-1からの印字枚数Nを計数し、印字枚数Nが前回のパッチ画像Mn-1の形成から設定印字枚数Ns(例えば10枚)到達したか否かが判断される(ステップS3)。
【0075】
設定印字枚数Nsに到達した場合(N≧Ns)、記憶部33に記憶されていた面積Snに基づいて、n回目のパッチ画像Mnを形成して、トナーを強制排出する(ステップS4)。次に、中間転写ベルト8に転写されたパッチ画像Mnの検知濃度Anが送信されると、制御部32は、検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出し(ステップS5)、かかる差分enと、記憶部33に記憶されていたパッチ画像Mn-1、Mn-2の濃度の差分en-1、en-2とから、パッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出する(ステップS6)。
【0076】
すなわち、式ΔSn=Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd{(en−en-1+en-1−en-2)}・・・(式(2))により、面積変化量ΔSnを算出する。かかる算出結果を用いて、制御部32は、次に形成されるパッチ画像Sn+1の面積Sn+1を算出する(ステップS7)。すなわち、式ΔSn+1=Sn+ΔSn・・・(式(1))より、面積Sn+1を算出する。そして、パッチ画像Mn+1の面積Sn+1と、パッチ画像Mnの濃度の差分enと、を記憶部33に記憶する。(ステップ8)。
【0077】
次に、操作パネル34で設定された印字部数に到達し、印字終了か否かが判断され(ステップS9)、設定された印字部数に到達した場合は、終了する。一方、設定された印字部数に到達していない場合には、ステップS1に戻り、ステップS1〜S9を繰り返す。このとき、ステップS4においてパッチ画像Mn+1が形成される。なお、ステップS3で印字枚数Nが設定印字枚数Nsに到達していない場合には、ステップS9を実行する。
【0078】
上記した通り、本制御では、制御部32が、パッチ画像Mを繰り返し形成し、パッチ画像Mn、Mn-1、Mn-2の検知濃度An、An-1、An-2に応じて直前に形成されたパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出し、算出された面積変化量ΔSnに基づいて次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変してパッチ画像Mn+1を形成することにより、トナーの強制排出を実行したため、画像濃度検知用のパッチ画像Mの形成とトナーの強制排出とを同時に実行し、トナーの無駄な消費を防止することができる。
【0079】
また、本制御例では、制御部32が、面積変化量ΔSnを、パッチ画像Mn、Mn-1、Mn-2の検知濃度An、An-1、An-2の目標濃度Asに対する差分en、en-1、en-2に基づいて算出することとしたため、より適切に面積変化量ΔSnを算出できる。これにより、より適切に次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変することができる。
【0080】
また、本制御例では、制御部32が、面積変化量ΔSnを、パッチ画像Mnの検知濃度Anと、パッチ画像Mnの1つ前に形成されたパッチ画像Mn-1の検知濃度An-1と、パッチ画像Mnの2つ前に形成されたパッチ画像Mn-2の検知濃度An-2と、に基づいて算出したため、より詳細に面積変化量Snを算出できる。これにより、より詳細にパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変することができる。
【0081】
また、本制御例では、制御部32が、nを3以上の自然数として、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積を、式ΔSn+1=Sn+ΔSn、及び、式ΔSn=Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd{(en−en-1+en-1−en-2)}に従って算出したため、より詳細にパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変することができる。
【0082】
なお、本発明に係る画像形成装置の制御は、本制御例に特に限定されるものではなく、その他例えば、制御部32が、パッチ画像Mの検知濃度Aが連続して目標濃度As以上となったとき、強制排出の実行を停止することもできる。これにより、現像剤の無駄な消費をより防止することができる。
【0083】
次に、本発明に係る画像形成装置のトナーの強制排出の第2制御例について説明する。本制御例では、画像形成部Paにおいて、予め設定された一定の面積値である面積Scとなるように1回目の1回目のパッチ画像M1を形成する。中間転写ベルト8に転写され、濃度検知センサ21によって検知されたパッチ画像M1の検知濃度A1が制御部32に送信されると、制御部32は、検知濃度A1と、記憶部33に記憶された目標濃度Asとの差分e1を算出する。
【0084】
このとき、検知濃度A1が目標濃度As以上、すなわち、差分e1が0以上(e1≧0)であれば、次に形成されるパッチ画像M2の面積S2を、面積Scよりも予め設定された正の一定値であるRだけ小さくする。すなわち、直前に形成されたパッチ画像M1からの面積変化量ΔS1を−Rとする。一方、差分e1が0未満(e1<0)であれば、面積ScよりもRだけ大きくする。すなわち、直前に形成されたパッチ画像M1からの面積変化量ΔS1をRとする。
【0085】
また、ここでは、2回目以降も、面積Scに対して各パッチ画像形成時の面積変化量Δ
Sを加えることとした。すなわち、n回目(nは自然数)として最新に形成されたパッチ画像Mnの濃度Anが送信されると、制御部32は、パッチ画像Mnの検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出する。
【0086】
そして、差分en≧0であれば、パッチ画像Mnの面積変化量ΔSnを−Rとし、かか
るΔSnを、面積SCに加えて、パッチ画像Mn+1の面積Sn+1とする。
【0087】
一方、差分en<0であれば、パッチ画像Mnの面積変化量ΔSnをRとし、かかるΔ
Snを面積Scに加えて、パッチ画像Mn+1の面積Sn+1とする。すなわち、nを自然数とし、式Sn+1=Sc+ΔSn・・・(式(3))、ΔSn=−R(en≧0)・・・(式(4))、ΔSn=R(en<0)・・・(式(5))に基づいて、ΔSn+1を算出する。
【0088】
また、例えば、n−1回目のパッチ画像Mn-1を形成した後、ジョブが終了し、次のジョブでパッチ画像Mnが形成される場合、記憶部33に記憶した面積Scを読み込むことによりパッチ画像Mnが形成される。そして、かかるパッチ画像Mnの検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出し、算出された差分enに基づいて面積変化率ΔSnが算出され、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を算出することができる。
【0089】
なお、上記した面積Sc、Rは、装置構成に応じて予備実験等により適宜設定することができ、例えばSc=2、R=1とすることができる。その他の構成は、第1制御例と同様であるため、説明を省略する。
【0090】
次に、第2制御例の手順について説明する。図7は、第2制御例の手順を示すフローチャートである。図3を参照しながら、図7のステップに沿ってトナー強制排出制御手順について説明する。
【0091】
記憶部33には、一定値である面積Scが記憶されている。先ず、ユーザにより操作パネル34で当該ジョブにおける印字部数が設定され、印字が開始されると(ステップS1)、濃度検知センサ21が検知を開始し(ステップS2)、制御部32は、直前のパッチ画像Mn-1の形成からの印字数Nを計数し、印字枚数Nが前回のパッチ画像Mn-1の形成から設定印字枚数Nsに到達したか否かが判断される(ステップS3)。
【0092】
設定印字枚数Nsに到達した場合(N≧Ns)、記憶部33に記憶されていた面積Snに基づいて、n回目のパッチ画像Mnを形成して、トナーを強制排出する(ステップS4)。次に、中間転写ベルト8に転写されたパッチ画像Mnの検知濃度Anが送信されると、制御部32は、検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出し(ステップS5)、かかる差分enが0以上(en≧0)か否かを判断する(ステップS6)。
【0093】
en≧0の場合、ΔSn=−Rとし(ステップS7)、パッチ画像Mn+1の面積Sn+1
を、Sn+1=Sc−Rにより、算出する(ステップS8)。一方、en<0の場合、ΔS
n=Rとし(ステップS9)、パッチ画像Mn+1の面積Sn+1を、Sn+1=SC+Rにより、算出する(ステップS10)。そして、ステップS9またはステップS10で算出されたパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を、記憶部33に記憶する。(ステップ11)。
【0094】
次に、操作パネル34で設定された印字部数に到達し、印字終了か否かが判断され(ステップS12)、設定された印字部数に到達した場合は、終了する。一方、設定された印字部数に到達していない場合には、ステップS1に戻り、ステップS1〜S11を繰り返す。このとき、ステップS4においてパッチ画像Mn+1が形成される。なお、ステップS3で印字枚数Nが設定印字枚数Nsに到達していない場合には、ステップS12を実行する。
【0095】
上記した通り、本制御においても、制御部32が、パッチ画像Mを繰り返し形成し、パッチ画像Mnの検知濃度Anに基づいて直前に形成されたパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出し、算出された面積変化量ΔSnに基づいて次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変してパッチ画像Mn+1を形成することにより、トナーの強制排出を実行したため、画像濃度測定用のパッチ画像Mの形成とトナーの強制排出とを同時に実行し、トナーの無駄な消費を防止することができる。
【0096】
また、本制御例においても、制御部32が、面積変化量ΔSnを、パッチ画像Mnの検
知濃度Anの目標濃度Asに対する差分enに基づいて算出することとしたため、より適切に面積変化量ΔSnを算出できる。これにより、より適切に次に形成されるパッチ画像
Mn+1の面積Sn+1を可変することができる。
【0097】
また、本制御例では、制御部32が、面積変化量ΔSnを、パッチ画像Mnの検知濃度
Anに基づいて算出することとしたため、より容易に面積変化量ΔSを算出できるため、
より詳細に次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変することができる。
【0098】
また、本制御例では、nを自然数とし、式Sn+1=Sc+ΔSn、ΔSn=−R(en
≧0)、ΔSn=R(en<0)に基づいて、ΔSn+1を算出することとしたため、より
容易に面積変化量ΔSnを算出し、より容易にパッチ画像Mn+1の面積Sを可変すること
ができるため、現像剤の無駄な消費をより防止することができる。
【0099】
また、ここでは、一定の面積Scを用いて次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を算出したが、その他、直前に形成されたパッチ画像Mnの面積Snを用い、式Sn+1=Sn+ΔSn、ΔSn=−R(en≧0)、ΔSn=R(en<0)に基づいて、
ΔSn+1を算出することもできる。
【0100】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、中間転写ベルト8を印字媒体とし、中間転写ベルト8にパッチ画像を転写することによりパッチ画像の濃度を検知したが、その他、パッチ画像を用紙(印字媒体)28に転写し、用紙28上に転写されたパッチ画像を検知することもできる。
【0101】
また、その他例えば、直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置を用いる場合には、用紙を搬送する搬送ベルトを印字媒体とし、該搬送ベルト上に形成されたパッチ画像を検知することもできる。かかる直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置を用いる場合には、感光体ドラム上でパッチ画像の濃度を検知し、パッチ画像を用紙28に転写することにより、トナーを除去することもできる。
【0102】
また本発明は、図1に示したような中間転写ベルト8上に各色のトナー像を順次積層して形成されたフルカラー画像を用紙上に一度に転写するタンデム型カラー画像形成装置に限らず、ロータリー方式のカラー画像形成装置、モノクロ複写機及びモノクロプリンタ、ファクシミリ等の種々の画像形成装置に適用できるのはもちろんである。
【0103】
以下、本発明について実施例により更に具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0104】
図1に示す画像形成装置を用い、上記した第1制御例に従って、印字枚数Nが10枚(設定印字枚数Ns)ごとにトナーの強制排出を行いながら、130枚の印字を行って、用紙Pに形成された印字画像の出力画像濃度を調べた。なお、ここでは代表として画像形成部Paについて調べた。
【0105】
また、第1制御例の式ΔSn=Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd{(en−en-1+en-1−en-2)}において、Ki=−10、Kp=−2、Kp=−5とした。また、目標濃度Asを0.22とした。また、1回目(n=1)のパッチ画像形成時には、記憶部33に記憶された面積S、及び、濃度Aの目標濃度Asに対する差分eを読み込んでパッチ画像M1を形成した。また、予め画像濃度が低下した状態から印字を開始すると共に、第1制御例を実施した。
【0106】
このときの各パッチ画像形成時における、パッチ画像Mnの検知濃度An、算出されたパッチ画像Mnの面積Snを図8に示す。併せて、1回目のパッチ画像M1の面積S1(ここでは1)を基準値とし、基準値に対する各パッチ画像Mnの面積Snの面積変化率(%)を、式(Sn−S1)/S1×100により算出し、かかる面積変化率と、印字画像の出力画像濃度と、を図8に示す。また印字枚数Nと出力画像濃度との関係、及び、印字枚数Nと面積変化率との関係を、図9に示す。
【実施例2】
【0107】
図1に示す画像形成装置を用い、上記した第2制御例に従って、印字枚数Nが10枚(設定印字枚数Ns)ごとにトナーの強制排出を行いながら、130枚の印字を行って、用紙Pに形成された印字画像の出力画像濃度を調べた。なお、式Sn+1=Sc+ΔSn、ΔSn=−R(en≧0)、ΔSn=R(en<0)において、Sc=2、R=1とした。
また、目標濃度Asを0.22とした。
【0108】
また、予め出力画像濃度が低下した状態から印字を開始すると共に、第2制御例を実施した。また、1回目(n=1)、2回目(n=2)、3回目(n=3)のパッチ画像形成時には、記憶部33に記憶された面積S1、S2、S3(ここでは3)を用い、パッチ画像M1を形成した。
【0109】
このときの各パッチ形成時における、パッチ画像Mnの検知濃度An、算出されたパッチ画像Mnの面積Snを図10に示す。併せて、面積Sの基準値(ここでは1)に対する各パッチ画像Mnの面積Snの面積変化率(%)を、式(Sn−1)/1×100により算出し、かかる面積変化率と、印字画像の出力画像濃度と、を図10に示す。また印字枚数Nと出力画像濃度との関係、及び、印字枚数Nと面積変化率との関係を、図11に示す。
【比較例】
【0110】
図1に示す画像形成装置を用い、トナーの強制排出を行うことなく、一定の面積S(ここでは1)でパッチ画像Mを形成し、130枚の印字を行って、用紙Pに形成された印字画像(出力画像)の濃度を検知した。また、予め画像濃度が低下した状態から、印字を開始した。
【0111】
このときの各パッチ画像形成時における、パッチ画像Mnの検知濃度An、算出されたパッチ画像Mnの面積Snを図12に示す。併せて、1回目のパッチ画像M1の面積S1(ここでは1)を基準値とし、基準値に対する各パッチ画像Mnの面積Snの面積変化率(%)を、式(Sn−S1)/S1×100により算出し、かかる面積変化率と、印字画像の出力画像濃度と、を図12に示す。また印字枚数Nと出力画像濃度との関係、及び、印字枚数Nと面積変化率との関係を、図13に示す。
【0112】
実施例1では、濃度An、An-1、An-2に応じて図8に示すように、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を変化させた結果、図9に示すように、面積変化率は、一旦上昇した後、下降して約100%に維持された。このように面積を変化させることにより、出力画像濃度が上昇して約40枚後に、出力画像の目標濃度である1.2に略到達し、その後130枚までかかる出力画像濃度が略維持された。この結果、当初低かった出力画像濃度を、その目標濃度に補正でき、安定した画像が得られることがわかった。
【0113】
また実施例2では、検知濃度Anに基づいて図10に示すように、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を変化させた結果、図11に示すように、面積変化率は、約100%を中心として変動した。このように面積を変化させることにより、出力画像濃度が上昇し、約30枚から40枚の間で出力画像の目標濃度である1.2に到達した後、1.2を略中心として変動した。なお、このように変動したものの、出力画像濃度は、1.2に対して±約10%の変動幅で安定していた。しかも、出力画像濃度は、印字開始時よりも顕著に上昇していた。
【0114】
これに対し、図12に示すように、パッチ画像Mの面積を変化させない比較例では、図13に示すように、出力画像濃度が低下したままであり、十分な出力画像濃度が得られなかった。
【0115】
上記の結果、本発明に係る実施例1及び実施例2では、トナーを強制排出することにより、出力画像濃度を安定させることができることがわかった。また、このようにトナーの強制排出を画像濃度検知用のパッチ画像Mの形成と同時に実行できるため、トナーの無駄な消費を防止することができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、制御手段が、基準画像を形成することにより強制排出を実行することとし、基準画像を繰り返し形成し、基準画像の検知濃度に応じて直前に形成された基準画像からの面積変化量を算出し、算出された面積変化量に基づいて次に形成される基準画像の面積を可変するものである。
【0117】
これにより、現像剤の無駄な消費を防止することができるため、現像剤の補給量を減らすことができるため、コストダウンを図ると共に作業性にも優れる。
【0118】
また、面積変化量を、基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分に基づいて算出することによって、より適切に面積変化量を算出できる。また、面積変化量を、直前に形成された基準画像を第1の基準画像とするとき、第1の基準画像の検知濃度と、第1の基準画像の1つ前に形成された第2の基準画像の検知濃度と、第1の基準画像の2つ前に形成された第3の基準画像の検知濃度と、に基づいて算出することによって、より詳細に面積変化量を算出できる。
【0119】
また、制御手段が、次に形成される基準画像の面積を、上記式(1)及び(2)に従って算出することによって、より詳細に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。また、制御手段が、面積変化量を、直前に形成された基準画像の検知濃度に基づいて算出することによって、より容易に面積変化量を算出できる。
【0120】
また、制御手段が、次に形成される基準画像の面積を、上記式(3)、(4)及び(5)に従って算出することによって、より容易に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。また、制御手段が、基準画像の検知濃度が連続して目標濃度以上となったとき、強制排出の実行を停止することによって、現像剤の無駄な消費をより防止することができる。
【符号の説明】
【0121】
Pa〜Pd 画像形成部
1a〜1d 感光体ドラム(像担持体)
2a〜2d 帯電器
3a〜3d 現像装置
3aa〜3da 現像ローラ(現像装置)
4 露光装置
6a〜6d 一次転写ローラ
7 定着部
8 中間転写ベルト
9 二次転写ローラ
21 濃度検知センサ(検知手段)
32 制御部(制御手段)
33 記憶部
34 操作パネル
41 RAM
42 ROM
100 画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法を用いた画像形成装置に関し、特に画像形成装置における現像装置からの現像剤の強制排出に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いた画像形成装置における乾式トナーを用いた現像方式としては、キャリアを用いない一成分現像方式と、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる二成分現像剤を使用し、現像ローラ上に形成されたトナー及びキャリアから成る磁気ブラシにより像担持体(感光体)上の静電潜像を現像する二成分現像方式とが知られている。
【0003】
一成分現像方式は、磁気ブラシによって像担持体上の静電潜像が乱されることがなく高画質化に適している反面、トナーをチャージローラで帯電させ、弾性規制ブレードで現像ローラ上の層厚を規制するため、トナーの添加剤がチャージローラに付着して帯電能力が低下し、トナーの帯電量を安定して維持することが困難であった。また、規制ブレードにトナーが付着し、層形成が不均一になって画像欠陥をきたすことがあった。
【0004】
また、色重ねを行うカラー印刷の場合、カラートナーに透過性が要求されるため、非磁性トナーである必要がある。そこで、フルカラー画像形成装置においてはキャリアを用いてトナーを帯電及び搬送する二成分現像方式を採用する場合が多い。しかし、二成分現像方式は安定した帯電量を長期間維持できトナーの長寿命化に適している反面、前述した磁気ブラシによる影響のため画質の面で不利であった。
【0005】
これらの問題を解決する手段の一つとして、磁気ローラ(トナー供給部材)を用いて現像剤を像担持体に対して非接触に設置した現像ローラ(トナー担持体)上に移行させる際に、磁気ローラ上に磁性キャリアを残したまま現像ローラ上に非磁性トナーのみを転移させてトナー薄層を形成し、交流電界によって像担持体上の静電潜像にトナーを付着させる現像方式が提案されている。
【0006】
ここで、現像剤中のトナーが現像により消費されると、消費量に応じてトナーコンテナから現像装置内にトナーが補給され、現像装置内のトナーが順次入れ替わるようになっているが、例えば低印字率の画像形成が連続するような場合等、現像装置内のトナーの入れ替わりが少なくなると、現像装置内でのトナーの滞在時間が長くなる。
【0007】
このように滞在時間が長くなると、キャリアとの混合によってトナーの攪拌及び表面の摺擦が繰り返され、また、トナーが磁気ローラと現像ローラとの間を何度も行き来することになる。その結果、トナーの形状が不規則になったり、粒径分布に偏りが生じたり、外添剤がトナー表面に埋没若しくは表面から離脱する等、トナーが劣化し易くなり、トナーの劣化による画像濃度低下、ゴースト、トナー飛散、かぶり等の画像不具合が生じ易くなる。そこで、劣化したトナーを強制的に排出させる方法が提案されている。
【0008】
例えば、特許文献1には、現像ロールと磁気ロールを回転させたまま両ロール間を等電位状態で、現像ロール上の残存トナーを磁気ブラシで回収することにより、現像装置の構成を複雑にすることなく連続現像時の残像(ゴースト)の発生を防ぎ、確実に帯電させたトナーを現像ロールに供給し、長期にわたって安定した画像品質を得る方法が開示されている。かかる特許文献1には、トナー消費量を印字する画像のドット量(印字率)から推測し、透磁率センサ値に基づいてトナーを中間転写ベルトに強制的に排出させることが開示されている。
【0009】
しかし、このように印字率に基づいてトナーを強制的に排出する方法では、例えば温湿度等の環境条件や画像濃度等が変化する場合、十分にトナーを強制排出できないおそれがある。そこで、これらを考慮してトナーを強制排出させる方法が提案されている。
【0010】
例えば特許文献2には、一定時間毎のトナー補給モータ駆動時間の積算値に基づいて非現像時にトナーの強制排出を行うことにより、現像装置を複雑にすることなく印字率や温度の変化等に左右されずに一定のトナーを排出可能とする方法が開示されている。
【0011】
また、特許文献3には、現像剤担持体の単位移動距離当たりの画像面積率を検知し、この検知結果に基づいてトナーの強制消費の制御を行うことにより、現像剤の不必要な劣化の進行を解消し、高画質の画像を安定して形成する方法が開示されている。
【0012】
また、特許文献4には、画像比率算出結果及び画像濃度検知結果に基づいてトナーの強制消費モードを実行するか否かを判断することにより、画質及び画像濃度の低下を抑制すると共に、過剰なトナー消費や無駄なダウンタイムを低減する方法が開示されている。
【0013】
また、特許文献5には、測定用現像剤画像を基準現像剤画像と同じ画像形成条件で形成し、測定用現像剤画像の画像濃度が基準現像剤画像の画像濃度以下の場合に現像剤の強制消費動作を実行することにより、現像剤の無駄な消費を抑制する方法が開示されている。
【0014】
また、特許文献6には、画像濃度が異なる複数の画像を形成し、かかる複数の画像の各画像濃度を検知し、この検知結果に基づいて現像剤担持体のリフレッシュを行うか否かを判断することにより、現像剤の劣化を考慮して現像剤担持体上に付着した現像剤を像担持体上に移動させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003−015380号公報
【特許文献2】特開2005−055842号公報
【特許文献3】特開2005−043388号公報
【特許文献4】特開2006−337699号公報
【特許文献5】特許2007−147782号公報
【特許文献6】特開2009−145488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、特許文献2及び特許文献3の方法では、トナー補給モータの駆動時間や、現像剤担持体の単位移動距離当たりの画像面積率から、トナーが劣化しているであろうとの予測に基づいてトナーの強制排出を行っており、トナーの劣化の程度とトナー強制排出量がずれ、トナーを無駄に排出するおそれがある。
【0017】
また、特許文献4、特許文献5及び特許文献6の方法では、画像濃度の検知結果に基づいてトナーの強制排出を行っているものの、濃度検知用の画像の形成と、トナー強制排出用の画像の形成と、を別途実行しているため、トナーを無駄に廃棄するおそれがある。
【0018】
本発明は、上記問題点に鑑み、濃度検知用の画像の形成と現像剤の強制排出とを同時に実行し、トナーの無駄な消費を防止可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する露光装置と、現像剤担持体を有し前記露光装置により形成された静電潜像を現像する現像装置とを含む画像形成部と、該画像形成部により前記像担持体上に形成された基準画像の濃度を検知する検知手段と、該検知手段により検知された前記基準画像の検知濃度に基づいて前記現像剤担持体から前記像担持体に移動させて現像剤の強制排出を実行する制御手段と、を備えた画像形成装置において、前記制御手段は、前記基準画像を形成することにより前記強制排出を実行するものであり、前記基準画像を繰り返し形成し、前記基準画像の検知濃度に応じて直前に形成された基準画像からの面積変化量を算出し、算出された前記面積変化量に基づいて次に形成される基準画像の面積を可変することを特徴としている。
【0020】
また本発明は、前記制御手段は、前記面積変化量を、前記基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分に基づいて算出することを特徴としている。
【0021】
また本発明は、前記制御手段は、前記面積変化量を、前記直前に形成された基準画像を第1の基準画像とするとき、該第1の基準画像の検知濃度と、前記第1の基準画像の1つ前に形成された第2の基準画像の検知濃度と、前記第1の基準画像の2つ前に形成された第3の基準画像の検知濃度と、に基づいて算出することを特徴としている。
【0022】
また本発明は、前記制御手段は、前記次に形成される基準画像の面積を、以下の式(1)及び(2)に従って算出することを特徴としている。
Sn+1=Sn+ΔSn・・・(1)
ΔSn={Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd(en−en―2)}・・・(2)
ただし、
n:3以上の自然数
Sn:n回目に形成される基準画像の面積
ΔSn:n回目に形成される基準画像の面積変化量
en:n回目に形成される基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分
Ki、Kp、Kd:係数
【0023】
また本発明は、前記制御手段は、前記面積変化量を、前記直前に形成された基準画像の検知濃度に基づいて算出することを特徴としている。
【0024】
また本発明は、前記制御手段は、前記次に形成される基準画像の面積を、以下の式(3)、(4)及び(5)に従って算出することを特徴としている。
Sn+1=Sc+ΔSn・・・(3)
ΔSn=−R(en≧0)・・・(4)
ΔSn=R(en<0)・・・(5)
ただし、
n:自然数
Sc:一定の面積値
ΔSn:n回目に形成される基準画像の面積変化量
en:n回目に形成される基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分
R:正の一定値
【0025】
また本発明は、前記制御手段は、前記基準画像の検知濃度が連続して前記目標濃度以上となったとき、前記強制排出の実行を停止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第1の構成によれば、制御手段が、基準画像を形成することにより強制排出を実行することとし、基準画像を繰り返し形成し、基準画像の検知濃度に応じて直前に形成された基準画像からの面積変化量を算出し、算出された面積変化量に基づいて次に形成される基準画像の面積を可変することによって、濃度検知用の画像(基準画像)の形成と現像剤の強制排出とを同時に実行し、現像剤の無駄な消費を防止することができる。
【0027】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、面積変化量を、基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分に基づいて算出することによって、より適切に面積変化量を算出できるため、より適切に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。
【0028】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、面積変化量を、直前に形成された基準画像を第1の基準画像とするとき、第1の基準画像の検知濃度と、第1の基準画像の1つ前に形成された第2の基準画像の検知濃度と、第1の基準画像の2つ前に形成された第3の基準画像の検知濃度と、に基づいて算出することによって、より詳細に面積変化量を算出できるため、より詳細に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。
【0029】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の画像形成装置において、制御手段が、次に形成される基準画像の面積を、式(1)及び(2)に従って算出することによって、より詳細に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。
【0030】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、制御手段が、面積変化量を、直前に形成された基準画像の検知濃度に基づいて算出することによって、より容易に面積変化量を算出できるため、より詳細に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。
【0031】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第5の構成の画像形成装置において、制御手段が、次に形成される基準画像の面積を、式(3)、(4)及び(5)に従って算出することによって、より容易に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。
【0032】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第2〜第6のいずれかの構成の画像形成装置において、制御手段が、基準画像の検知濃度が連続して目標濃度以上となったとき、強制排出の実行を停止することによって、現像剤の無駄な消費をより防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の全体構成を示す概略図
【図2】本発明のカラー画像形成装置に用いられる濃度検知センサの構成を示す概略側面図
【図3】本発明のカラー画像形成装置の制御経路を示すブロック図
【図4】各画像形成部で形成されるパッチ画像を模式的に示す図
【図5】画像形成部Paにおいて面積が可変されたパッチ画像が形成される状態を模式的に示す図
【図6】第1制御例の手順を示すフローチャート
【図7】第2制御例の手順を示すフローチャート
【図8】実施例1のパッチ画像の検知濃度、パッチ画像の面積、面積変化率及び出力画像濃度を示す図
【図9】実施例1の印字枚数と出力画像濃度との関係、及び、印字枚数と面積変化率との関係を示すグラフ
【図10】実施例2のパッチ画像の検知濃度、パッチ画像の面積、面積変化率及び出力画像濃度を示す図
【図11】実施例2の印字枚数と出力画像濃度との関係、及び、印字枚数と面積変化率との関係を示すグラフ
【図12】比較例のパッチ画像の検知濃度、パッチ画像の面積、面積変化率及び出力画像濃度を示す図
【図13】比較例の印字枚数と出力画像濃度との関係、及び、印字枚数と面積変化率との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明のカラー画像形成装置の構成を示す概略図である。画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0035】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1c及び1dが配設されており、これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転しながら各画像形成部に隣接して移動する中間転写ベルト8上に順次転写(一次転写)された後、二次転写ローラ9において用紙28上に一度に転写(二次転写)され、さらに、定着部7において用紙28上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0036】
トナー像が転写される用紙28は、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのクリーニングブレード19が配置されている。
【0037】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留したトナー〈現像剤〉を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
【0038】
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dは、現像ローラ(現像剤担持体)3aa、3ba、3ca及び3daを有しており(図2参照)、それぞれマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーが現像ローラ3aa〜2daによって感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0039】
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、一次転写ローラ6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のマゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
【0040】
中間転写ベルト8は、従動ローラ10、駆動ローラ11及びテンションローラ20に掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、用紙28がレジストローラ12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、中間転写ベルト8とのニップ部(二次転写ニップ部)において用紙28上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された用紙28は定着部7へと搬送される。
【0041】
定着部7に搬送された用紙28は、定着ローラ対13のニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が用紙28の表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙28は、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙28の片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
【0042】
一方、用紙28の両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した用紙28の一部を一旦排出ローラ15から装置外部にまで突出させる。その後、用紙28は排出ローラ15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラ9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により用紙28の画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0043】
図1及び図2に示すように、画像形成部Pdの下流側且つ二次転写ローラ9の上流側直近には濃度検知センサ21が配置されている。濃度検知センサ21は、画像形成部Pa〜Pdにおいて中間転写ベルト8上に形成されるパッチ画像(基準画像)に測定光を照射し、これらからの反射光を受光して光電変換して受光出力信号を出力し、出力値はA/D変換された後、センサ出力値(検知濃度)として後述する制御部32に送信される。
【0044】
濃度検知センサ21としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサが用いられる。濃度補正パターンの濃度を測定する際、発光素子から中間転写ベルト8上の各パッチ画像に対し順次測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、及びベルト表面によって反射される光として受光素子に入射する。
【0045】
トナーの付着量が多い場合には、ベルト表面からの反射光がトナーによって遮光されるので、受光素子の受光量が減少する。一方、トナーの付着量が少ない場合には、逆にベルト表面からの反射光が多くなる結果、受光素子の受光量が増大する。
【0046】
濃度検知センサ21は、測定対象物までの距離を厳密に規定しておく必要があるため、図1及び図2に示すように、中間転写ベルト8表面までの距離変動の少ない駆動ローラ11に対向するような位置に配置されており、中間転写ベルト8上のパッチ画像(基準画像)の形成位置に合わせて中間転写ベルト8の幅方向に位置決めされている。
【0047】
なお、濃度検知センサ21は中間転写ベルト8上のパッチ画像を検知可能な他の位置に配置しても良いが、例えば二次転写ローラ9よりも下流側に配置した場合、画像形成部Pa〜Pdによりパッチ画像が形成されてから濃度検知が行われるまでの時間が長くなり、さらにパッチ画像が二次転写ローラ9と接触することによりパッチ画像の表面状態が変化するおそれもある。そのため、図1のように画像形成部Pdよりも下流側且つ二次転写ローラ9の接触位置よりも上流側に配置することが好ましい。また、中間転写ベルト8に形成されたパッチ画像は、クリーニングブレード19によって除去される。
【0048】
また、濃度検知センサ21を、例えば、各感光体ドラム1a〜1dの回転方向において現像ユニット3a〜3dの下流側且つ転写ローラ6a〜6dの上流側にそれぞれ配置し、感光体ドラム1a〜1d上に形成されたパッチ画像(トナー像)の濃度を検知することもできる。かかる場合、感光体ドラム1a〜1d上のパッチ画像は、クリーニング部5a〜5dによって除去、若しくは、中間転写ベルト8に転写された後、クリーニングブレード19で除去される。
【0049】
図3は、本発明に係る画像形成装置の制御経路を示すブロック図である。図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。画像形成装置100は、画像形成部Pa〜Pd、画像入力部30、AD変換部31、制御部(制御手段)32、記憶部33、操作パネル34、定着部7、中間転写ベルト8及び濃度検知センサ21等を含む構成である。
【0050】
画像入力部30は、画像形成装置100がカラー複写機である場合、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される画像読取部であり、画像形成装置100が図1に示すようなカラープリンタである場合、パーソナルコンピュータ等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部30より入力された画像信号はAD変換部31においてデジタル信号に変換された後、記憶部33内の画像メモリ40に送出される。
【0051】
記憶部33は、画像入力部30から入力されAD変換部31においてデジタル変換された印刷画像データをページ単位で記憶する画像メモリ40、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される読み書き自在のRAM(Random Access Memory)41、及び画像形成装置100の制御用プログラムや制御上の必要な数値等の画像形成装置100の使用中に変更されることがないデータ等が収められる読み出し専用のROM(Read Only Memory)42を備えている。
【0052】
また、RAM41には、濃度検知センサ21の出力値とパッチ画像の濃度とを関連付けたパラメータや、パッチ画像の目標濃度や、パッチ画像の濃度とパッチ画像の面積とを関連付けたパラメータや、パッチ画像の面積を算出するためのパラメータ(係数)や、パッチ画像の面積と露光装置4の書き出しタイミングとを関連付けたパラメータ等も格納されている。また、RAM41には、パッチ画像の形成回数や、パッチ画像の検知濃度や、パッチ画像の検知濃度と目標濃度との差分や、パッチ画像の面積や、直前のパッチ画像からの面積変化量や、次に形成されるパッチ画像の面積、が記憶される。
【0053】
操作パネル34は、画像形成装置100の状態や画像形成状況や印刷部数を表示するとともに、タッチパネルとして両面印刷や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行う液晶表示部、印字部数の設定や画像形成装置100がFAX機能を有する場合に相手方のFAX番号を入力等するためのテンキー、画像形成を開始するようにユーザが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられており、ユーザは操作パネル34を操作して指示を入力することで、画像形成装置100の各種の設定をし、画像形成等の各種機能を実行させる。
【0054】
制御部32は、例えば中央処理装置(CPU)であり、設定されたプログラムに従って画像入力部30、画像形成部Pa〜Pd、定着部7、及び用紙カセット16(図1参照)からの用紙28の搬送等を全般的に制御するとともに、画像入力部30から入力された画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データに変換する。露光装置4は、処理後の画像データに基づいてレーザ光を照射し、感光体ドラム1a〜1d上に潜像を形成する。
【0055】
さらに制御部32は、トナーの強制排出モードが設定されると、印字枚数を計数する機能や、直前のパッチ画像形成からの印字枚数が予め設定された設定印字枚数に到達するとパッチ画像を形成させる機能や、濃度検知センサ21からのセンサ出力値を受信し、パッチ画像の検知濃度の目標濃度に対する差分を算出する機能や、算出した差分に基づいて直前のパッチ画像形成時からの面積変化量を算出する機能や、算出された面積変化量から次に形成されるパッチ画像の面積を算出する機能や、算出したパッチ面積に基づいてパッチ画像を形成させてトナーを強制排出する機能等を有している。
【0056】
次に、本発明に係る画像形成装置のトナーの強制排出の第1制御例について説明する。図4は、各画像形成部で形成されたパッチ画像を模式的に示す図である。図4において実線矢印は、中間転写ベルト8の回動方向を示す。
【0057】
各画像形成部Pa〜Pdにおいてパッチ画像M、C、Y、B(トナー像)は、印字枚数Nが予め設定された設定印字枚数Ns(例えば10枚)に到達するごとに形成されるようになっている。各画像形成部Pa〜Pdで形成されたパッチ画像M〜Bは、図4に示すように、中間転写ベルト8に転写され、濃度検知センサ21(図1参照)によって検知される。また、かかるパッチ画像M〜Bの形成により、各現像装置3a〜3dにおいて、トナーが強制排出される。
【0058】
なお、各画像形成部Pa〜Pdの現像装置3a〜3dにおいて、トナーの強制排出制御動作は同様であるため、以下、代表として画像形成部Paについて説明する。図5は、画像形成部Paにおいて面積が可変されたパッチ画像が形成される状態を模式的に示す図である。図5において実線矢印は、中間転写ベルト8の回動方向を示す。
【0059】
まず、画像形成部Paにおいて、現像バイアスを一定にした状態で、予め設定された面積S1、S2、S3となるようにそれぞれ、1回目のパッチ画像M1、2回目のパッチ画像M2、3回目のパッチ画像M3を形成する。各パッチ画像M1〜M3は、濃度検知センサ21によって検知され、パッチ画像M1〜M3の検知濃度A1、A2及びA3が制御部32に送信されると、制御部32は、検知濃度A1〜A3と、記憶部33に記憶されたパッチ画像の目標濃度Asとの差分e1、e2、e3、を算出する。
【0060】
すなわち、制御部32は、1回目のパッチ画像M1の検知濃度A1が送信されると、検知濃度A1と目標濃度Asとの差分e1を算出し、2回目のパッチ画像の検知濃度A2が送信されると、検知濃度A2と目標濃度Asとの差分e2を算出し、3回目の検知濃度A3が送信されると、検知濃度A3と目標濃度Asとの差分e3を算出する。
【0061】
制御部32は、3回目の差分e3を算出すると、記憶部33に格納されたパラメータKi、Kp及びKdを用いて、直前に形成されたパッチ画像M3からの面積変化量ΔS3を算出する。また、これらe1、e2、e3及びΔS3は、記憶部33に記憶される。具体的には、差分e3、差分e3と差分e2との差(e3−e2)、及び、差分e2と差分e1との差(e2−e2)、及びパラメータKi、Kp及びKdを用いて、ΔS3=Ki・e3+Kp(e3―e2)+Kd{(e3−e2+e2−e1)}に基づいて、面積変化率ΔS3を算出する。
【0062】
そして、このように面積変化率ΔS3を算出した後、面積変化率ΔS3をパッチ画像M
3の面積S3に加えることにより、次に形成される4回目のパッチ画像M4の面積S4を算出し(S4=S3+ΔS3)、面積S4となるように露光装置4の書き込みタイミングを調整して、パッチ画像M4を形成する。
【0063】
4回目以降、かかる動作が繰り返され、n回目(nは3以上の整数)として最新に形成されたパッチ画像(第1のパッチ画像)Mnの検知濃度Anが送信されると、制御部32は、パッチ画像Mnの検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出し、既に算出されたn−1回目のパッチ画像(第2のパッチ画像)Mn-1の検知濃度An-1と目標濃度Asとの差分en-1、及び、n−2回目のパッチ画像(第3のパッチ画像)Mn-2の検知濃度An-2と目標濃度Asとの差分en-2、を用いて、上記と同様にして、直前に形成されたパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出する。
【0064】
すなわち、差分en、差分enと差分en-1との差(en−en-1)、及び、差分en-1と差分en-2との差(en-1−en-2)、Ki、Kp及びKdを用いて、ΔSn=Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd{(en−en-1+en-1−en-2)}に基づいて、面積変化量ΔSnを算出する。なお、直前に形成されたパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnとは、直前に形成されたパッチ画像Mnの形成時から、次に形成されるパッチ画像Mn+1を形成する際に変化させるべきパッチ画像の面積量をいう。
【0065】
そして、このように面積変化量ΔSnを算出した後、面積変化量ΔSnをパッチ画像Mnの面積Snに加えることにより、次に形成されるn+1回目のパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を算出し(Sn+1=Sn+ΔSn)、面積Sn+1となるように露光装置4の書き込みタイミングを調整して、パッチ画像Mn+1を形成する。
【0066】
これにより、パッチ画像Mn、Mn-1、Mn-2の検知濃度Anに応じてパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出し、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変して、該パッチ画像Mn+1を形成することにより、トナーの強制排出を行うことができる。
【0067】
上記のようにして形成されるパッチ画像Mn-2、Mn-1、Mn、Mn+1の一例を、図5に示す。ここでは、露光装置4の書き込みタイミングを調整することにより、主走査方向(中間転写ベルト8の回動方向とは垂直方向)に面積Sn+1を変化させたため、面積Sn+1の可変が容易となる。しかし、副走査方向を変化させることも、主走査方向及び副走査方向の両方に面積Sn+1を可変することもできる。
【0068】
なお、上記式ΔSnの右辺をさらに解くと、ΔSn=Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd(en−en-2)と表される。また、Ki、Kp及びKdは、予備実験等によって適宜設定することができ、例えば、Ki=−10、Kp=−2、Kd=−5とすることができる。
【0069】
また、ここでは、検知濃度A、検知濃度Aの目標濃度Asに対する差分e、算出した面積Sをすべて記憶部33に記憶することとした。これにより、例えば、n−1回目のパッチ画像Mn-1を形成した後、ジョブが終了した場合には、次に形成されるべきパッチ画像Mnの面積Snと、パッチ画像Mn-1、Mn-2の各濃度の差分en-1、en-2と、が記憶部33に記憶されることになる。
【0070】
そして、例えば次のジョブでパッチ画像Mnが形成される場合、記憶部33に記憶した面積Snを読み込むことによりパッチ画像Mnの面積Snが設定され、かかる面積Snで形成されたパッチ画像Mnの検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出し、算出された差分enと記憶部33に記憶されたen-1、en-2と、により、パッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出し、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を算出することができる。その他、予め設定した面積Sの値を記憶部33に記憶し、かかる面積Sを用いて次のジョブの1枚目、2枚目等、初期のパッチ画像Mを形成することもできる。
【0071】
なお、次のジョブで最初に形成されるべきパッチ画像Mnの面積Snと、パッチ画像Mn-1、Mn-2の各濃度の差分en-1、en-2のみを、記憶部33に記憶するように設定する等、必要に応じて記憶部33にデータを記憶させることもできる。また、パッチ画像Mの形成回数がリセットされた場合には、新たに1回目からパッチ画像Mが形成される。
【0072】
また、パッチ画像Mの形成間隔は、装置構成に応じて予備実験等により適宜設定することができ、例えば、印字枚数Nが10枚ごと(設定印字枚数Ns)とすることができる。また、その他例えば、直前に形成されたパッチ画像Mからの、現像装置3aの駆動時間によって設定すること等もできる。
【0073】
次に、第1制御例の手順について説明する。図6は、第1制御例の手順を示すフローチャートである。図3を参照しながら図6のステップに沿ってトナーの強制排出制御手順について説明する。
【0074】
記憶部33には、次に形成されるべきパッチ画像Mnの面積Snと、直近2回分のパッチ画像Mn-1、Mn-2の濃度の差分en-1、en-2が記憶されている。先ず、ユーザにより操作パネル34で印字部数が設定され、印字が開始されると(ステップS1)、濃度検知センサ21が検知を開始し(ステップS2)、制御部32は、直前に形成されたパッチ画像Mn-1からの印字枚数Nを計数し、印字枚数Nが前回のパッチ画像Mn-1の形成から設定印字枚数Ns(例えば10枚)到達したか否かが判断される(ステップS3)。
【0075】
設定印字枚数Nsに到達した場合(N≧Ns)、記憶部33に記憶されていた面積Snに基づいて、n回目のパッチ画像Mnを形成して、トナーを強制排出する(ステップS4)。次に、中間転写ベルト8に転写されたパッチ画像Mnの検知濃度Anが送信されると、制御部32は、検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出し(ステップS5)、かかる差分enと、記憶部33に記憶されていたパッチ画像Mn-1、Mn-2の濃度の差分en-1、en-2とから、パッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出する(ステップS6)。
【0076】
すなわち、式ΔSn=Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd{(en−en-1+en-1−en-2)}・・・(式(2))により、面積変化量ΔSnを算出する。かかる算出結果を用いて、制御部32は、次に形成されるパッチ画像Sn+1の面積Sn+1を算出する(ステップS7)。すなわち、式ΔSn+1=Sn+ΔSn・・・(式(1))より、面積Sn+1を算出する。そして、パッチ画像Mn+1の面積Sn+1と、パッチ画像Mnの濃度の差分enと、を記憶部33に記憶する。(ステップ8)。
【0077】
次に、操作パネル34で設定された印字部数に到達し、印字終了か否かが判断され(ステップS9)、設定された印字部数に到達した場合は、終了する。一方、設定された印字部数に到達していない場合には、ステップS1に戻り、ステップS1〜S9を繰り返す。このとき、ステップS4においてパッチ画像Mn+1が形成される。なお、ステップS3で印字枚数Nが設定印字枚数Nsに到達していない場合には、ステップS9を実行する。
【0078】
上記した通り、本制御では、制御部32が、パッチ画像Mを繰り返し形成し、パッチ画像Mn、Mn-1、Mn-2の検知濃度An、An-1、An-2に応じて直前に形成されたパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出し、算出された面積変化量ΔSnに基づいて次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変してパッチ画像Mn+1を形成することにより、トナーの強制排出を実行したため、画像濃度検知用のパッチ画像Mの形成とトナーの強制排出とを同時に実行し、トナーの無駄な消費を防止することができる。
【0079】
また、本制御例では、制御部32が、面積変化量ΔSnを、パッチ画像Mn、Mn-1、Mn-2の検知濃度An、An-1、An-2の目標濃度Asに対する差分en、en-1、en-2に基づいて算出することとしたため、より適切に面積変化量ΔSnを算出できる。これにより、より適切に次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変することができる。
【0080】
また、本制御例では、制御部32が、面積変化量ΔSnを、パッチ画像Mnの検知濃度Anと、パッチ画像Mnの1つ前に形成されたパッチ画像Mn-1の検知濃度An-1と、パッチ画像Mnの2つ前に形成されたパッチ画像Mn-2の検知濃度An-2と、に基づいて算出したため、より詳細に面積変化量Snを算出できる。これにより、より詳細にパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変することができる。
【0081】
また、本制御例では、制御部32が、nを3以上の自然数として、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積を、式ΔSn+1=Sn+ΔSn、及び、式ΔSn=Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd{(en−en-1+en-1−en-2)}に従って算出したため、より詳細にパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変することができる。
【0082】
なお、本発明に係る画像形成装置の制御は、本制御例に特に限定されるものではなく、その他例えば、制御部32が、パッチ画像Mの検知濃度Aが連続して目標濃度As以上となったとき、強制排出の実行を停止することもできる。これにより、現像剤の無駄な消費をより防止することができる。
【0083】
次に、本発明に係る画像形成装置のトナーの強制排出の第2制御例について説明する。本制御例では、画像形成部Paにおいて、予め設定された一定の面積値である面積Scとなるように1回目の1回目のパッチ画像M1を形成する。中間転写ベルト8に転写され、濃度検知センサ21によって検知されたパッチ画像M1の検知濃度A1が制御部32に送信されると、制御部32は、検知濃度A1と、記憶部33に記憶された目標濃度Asとの差分e1を算出する。
【0084】
このとき、検知濃度A1が目標濃度As以上、すなわち、差分e1が0以上(e1≧0)であれば、次に形成されるパッチ画像M2の面積S2を、面積Scよりも予め設定された正の一定値であるRだけ小さくする。すなわち、直前に形成されたパッチ画像M1からの面積変化量ΔS1を−Rとする。一方、差分e1が0未満(e1<0)であれば、面積ScよりもRだけ大きくする。すなわち、直前に形成されたパッチ画像M1からの面積変化量ΔS1をRとする。
【0085】
また、ここでは、2回目以降も、面積Scに対して各パッチ画像形成時の面積変化量Δ
Sを加えることとした。すなわち、n回目(nは自然数)として最新に形成されたパッチ画像Mnの濃度Anが送信されると、制御部32は、パッチ画像Mnの検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出する。
【0086】
そして、差分en≧0であれば、パッチ画像Mnの面積変化量ΔSnを−Rとし、かか
るΔSnを、面積SCに加えて、パッチ画像Mn+1の面積Sn+1とする。
【0087】
一方、差分en<0であれば、パッチ画像Mnの面積変化量ΔSnをRとし、かかるΔ
Snを面積Scに加えて、パッチ画像Mn+1の面積Sn+1とする。すなわち、nを自然数とし、式Sn+1=Sc+ΔSn・・・(式(3))、ΔSn=−R(en≧0)・・・(式(4))、ΔSn=R(en<0)・・・(式(5))に基づいて、ΔSn+1を算出する。
【0088】
また、例えば、n−1回目のパッチ画像Mn-1を形成した後、ジョブが終了し、次のジョブでパッチ画像Mnが形成される場合、記憶部33に記憶した面積Scを読み込むことによりパッチ画像Mnが形成される。そして、かかるパッチ画像Mnの検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出し、算出された差分enに基づいて面積変化率ΔSnが算出され、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を算出することができる。
【0089】
なお、上記した面積Sc、Rは、装置構成に応じて予備実験等により適宜設定することができ、例えばSc=2、R=1とすることができる。その他の構成は、第1制御例と同様であるため、説明を省略する。
【0090】
次に、第2制御例の手順について説明する。図7は、第2制御例の手順を示すフローチャートである。図3を参照しながら、図7のステップに沿ってトナー強制排出制御手順について説明する。
【0091】
記憶部33には、一定値である面積Scが記憶されている。先ず、ユーザにより操作パネル34で当該ジョブにおける印字部数が設定され、印字が開始されると(ステップS1)、濃度検知センサ21が検知を開始し(ステップS2)、制御部32は、直前のパッチ画像Mn-1の形成からの印字数Nを計数し、印字枚数Nが前回のパッチ画像Mn-1の形成から設定印字枚数Nsに到達したか否かが判断される(ステップS3)。
【0092】
設定印字枚数Nsに到達した場合(N≧Ns)、記憶部33に記憶されていた面積Snに基づいて、n回目のパッチ画像Mnを形成して、トナーを強制排出する(ステップS4)。次に、中間転写ベルト8に転写されたパッチ画像Mnの検知濃度Anが送信されると、制御部32は、検知濃度Anと目標濃度Asとの差分enを算出し(ステップS5)、かかる差分enが0以上(en≧0)か否かを判断する(ステップS6)。
【0093】
en≧0の場合、ΔSn=−Rとし(ステップS7)、パッチ画像Mn+1の面積Sn+1
を、Sn+1=Sc−Rにより、算出する(ステップS8)。一方、en<0の場合、ΔS
n=Rとし(ステップS9)、パッチ画像Mn+1の面積Sn+1を、Sn+1=SC+Rにより、算出する(ステップS10)。そして、ステップS9またはステップS10で算出されたパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を、記憶部33に記憶する。(ステップ11)。
【0094】
次に、操作パネル34で設定された印字部数に到達し、印字終了か否かが判断され(ステップS12)、設定された印字部数に到達した場合は、終了する。一方、設定された印字部数に到達していない場合には、ステップS1に戻り、ステップS1〜S11を繰り返す。このとき、ステップS4においてパッチ画像Mn+1が形成される。なお、ステップS3で印字枚数Nが設定印字枚数Nsに到達していない場合には、ステップS12を実行する。
【0095】
上記した通り、本制御においても、制御部32が、パッチ画像Mを繰り返し形成し、パッチ画像Mnの検知濃度Anに基づいて直前に形成されたパッチ画像Mnからの面積変化量ΔSnを算出し、算出された面積変化量ΔSnに基づいて次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変してパッチ画像Mn+1を形成することにより、トナーの強制排出を実行したため、画像濃度測定用のパッチ画像Mの形成とトナーの強制排出とを同時に実行し、トナーの無駄な消費を防止することができる。
【0096】
また、本制御例においても、制御部32が、面積変化量ΔSnを、パッチ画像Mnの検
知濃度Anの目標濃度Asに対する差分enに基づいて算出することとしたため、より適切に面積変化量ΔSnを算出できる。これにより、より適切に次に形成されるパッチ画像
Mn+1の面積Sn+1を可変することができる。
【0097】
また、本制御例では、制御部32が、面積変化量ΔSnを、パッチ画像Mnの検知濃度
Anに基づいて算出することとしたため、より容易に面積変化量ΔSを算出できるため、
より詳細に次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を可変することができる。
【0098】
また、本制御例では、nを自然数とし、式Sn+1=Sc+ΔSn、ΔSn=−R(en
≧0)、ΔSn=R(en<0)に基づいて、ΔSn+1を算出することとしたため、より
容易に面積変化量ΔSnを算出し、より容易にパッチ画像Mn+1の面積Sを可変すること
ができるため、現像剤の無駄な消費をより防止することができる。
【0099】
また、ここでは、一定の面積Scを用いて次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を算出したが、その他、直前に形成されたパッチ画像Mnの面積Snを用い、式Sn+1=Sn+ΔSn、ΔSn=−R(en≧0)、ΔSn=R(en<0)に基づいて、
ΔSn+1を算出することもできる。
【0100】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、中間転写ベルト8を印字媒体とし、中間転写ベルト8にパッチ画像を転写することによりパッチ画像の濃度を検知したが、その他、パッチ画像を用紙(印字媒体)28に転写し、用紙28上に転写されたパッチ画像を検知することもできる。
【0101】
また、その他例えば、直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置を用いる場合には、用紙を搬送する搬送ベルトを印字媒体とし、該搬送ベルト上に形成されたパッチ画像を検知することもできる。かかる直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置を用いる場合には、感光体ドラム上でパッチ画像の濃度を検知し、パッチ画像を用紙28に転写することにより、トナーを除去することもできる。
【0102】
また本発明は、図1に示したような中間転写ベルト8上に各色のトナー像を順次積層して形成されたフルカラー画像を用紙上に一度に転写するタンデム型カラー画像形成装置に限らず、ロータリー方式のカラー画像形成装置、モノクロ複写機及びモノクロプリンタ、ファクシミリ等の種々の画像形成装置に適用できるのはもちろんである。
【0103】
以下、本発明について実施例により更に具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0104】
図1に示す画像形成装置を用い、上記した第1制御例に従って、印字枚数Nが10枚(設定印字枚数Ns)ごとにトナーの強制排出を行いながら、130枚の印字を行って、用紙Pに形成された印字画像の出力画像濃度を調べた。なお、ここでは代表として画像形成部Paについて調べた。
【0105】
また、第1制御例の式ΔSn=Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd{(en−en-1+en-1−en-2)}において、Ki=−10、Kp=−2、Kp=−5とした。また、目標濃度Asを0.22とした。また、1回目(n=1)のパッチ画像形成時には、記憶部33に記憶された面積S、及び、濃度Aの目標濃度Asに対する差分eを読み込んでパッチ画像M1を形成した。また、予め画像濃度が低下した状態から印字を開始すると共に、第1制御例を実施した。
【0106】
このときの各パッチ画像形成時における、パッチ画像Mnの検知濃度An、算出されたパッチ画像Mnの面積Snを図8に示す。併せて、1回目のパッチ画像M1の面積S1(ここでは1)を基準値とし、基準値に対する各パッチ画像Mnの面積Snの面積変化率(%)を、式(Sn−S1)/S1×100により算出し、かかる面積変化率と、印字画像の出力画像濃度と、を図8に示す。また印字枚数Nと出力画像濃度との関係、及び、印字枚数Nと面積変化率との関係を、図9に示す。
【実施例2】
【0107】
図1に示す画像形成装置を用い、上記した第2制御例に従って、印字枚数Nが10枚(設定印字枚数Ns)ごとにトナーの強制排出を行いながら、130枚の印字を行って、用紙Pに形成された印字画像の出力画像濃度を調べた。なお、式Sn+1=Sc+ΔSn、ΔSn=−R(en≧0)、ΔSn=R(en<0)において、Sc=2、R=1とした。
また、目標濃度Asを0.22とした。
【0108】
また、予め出力画像濃度が低下した状態から印字を開始すると共に、第2制御例を実施した。また、1回目(n=1)、2回目(n=2)、3回目(n=3)のパッチ画像形成時には、記憶部33に記憶された面積S1、S2、S3(ここでは3)を用い、パッチ画像M1を形成した。
【0109】
このときの各パッチ形成時における、パッチ画像Mnの検知濃度An、算出されたパッチ画像Mnの面積Snを図10に示す。併せて、面積Sの基準値(ここでは1)に対する各パッチ画像Mnの面積Snの面積変化率(%)を、式(Sn−1)/1×100により算出し、かかる面積変化率と、印字画像の出力画像濃度と、を図10に示す。また印字枚数Nと出力画像濃度との関係、及び、印字枚数Nと面積変化率との関係を、図11に示す。
【比較例】
【0110】
図1に示す画像形成装置を用い、トナーの強制排出を行うことなく、一定の面積S(ここでは1)でパッチ画像Mを形成し、130枚の印字を行って、用紙Pに形成された印字画像(出力画像)の濃度を検知した。また、予め画像濃度が低下した状態から、印字を開始した。
【0111】
このときの各パッチ画像形成時における、パッチ画像Mnの検知濃度An、算出されたパッチ画像Mnの面積Snを図12に示す。併せて、1回目のパッチ画像M1の面積S1(ここでは1)を基準値とし、基準値に対する各パッチ画像Mnの面積Snの面積変化率(%)を、式(Sn−S1)/S1×100により算出し、かかる面積変化率と、印字画像の出力画像濃度と、を図12に示す。また印字枚数Nと出力画像濃度との関係、及び、印字枚数Nと面積変化率との関係を、図13に示す。
【0112】
実施例1では、濃度An、An-1、An-2に応じて図8に示すように、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を変化させた結果、図9に示すように、面積変化率は、一旦上昇した後、下降して約100%に維持された。このように面積を変化させることにより、出力画像濃度が上昇して約40枚後に、出力画像の目標濃度である1.2に略到達し、その後130枚までかかる出力画像濃度が略維持された。この結果、当初低かった出力画像濃度を、その目標濃度に補正でき、安定した画像が得られることがわかった。
【0113】
また実施例2では、検知濃度Anに基づいて図10に示すように、次に形成されるパッチ画像Mn+1の面積Sn+1を変化させた結果、図11に示すように、面積変化率は、約100%を中心として変動した。このように面積を変化させることにより、出力画像濃度が上昇し、約30枚から40枚の間で出力画像の目標濃度である1.2に到達した後、1.2を略中心として変動した。なお、このように変動したものの、出力画像濃度は、1.2に対して±約10%の変動幅で安定していた。しかも、出力画像濃度は、印字開始時よりも顕著に上昇していた。
【0114】
これに対し、図12に示すように、パッチ画像Mの面積を変化させない比較例では、図13に示すように、出力画像濃度が低下したままであり、十分な出力画像濃度が得られなかった。
【0115】
上記の結果、本発明に係る実施例1及び実施例2では、トナーを強制排出することにより、出力画像濃度を安定させることができることがわかった。また、このようにトナーの強制排出を画像濃度検知用のパッチ画像Mの形成と同時に実行できるため、トナーの無駄な消費を防止することができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、制御手段が、基準画像を形成することにより強制排出を実行することとし、基準画像を繰り返し形成し、基準画像の検知濃度に応じて直前に形成された基準画像からの面積変化量を算出し、算出された面積変化量に基づいて次に形成される基準画像の面積を可変するものである。
【0117】
これにより、現像剤の無駄な消費を防止することができるため、現像剤の補給量を減らすことができるため、コストダウンを図ると共に作業性にも優れる。
【0118】
また、面積変化量を、基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分に基づいて算出することによって、より適切に面積変化量を算出できる。また、面積変化量を、直前に形成された基準画像を第1の基準画像とするとき、第1の基準画像の検知濃度と、第1の基準画像の1つ前に形成された第2の基準画像の検知濃度と、第1の基準画像の2つ前に形成された第3の基準画像の検知濃度と、に基づいて算出することによって、より詳細に面積変化量を算出できる。
【0119】
また、制御手段が、次に形成される基準画像の面積を、上記式(1)及び(2)に従って算出することによって、より詳細に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。また、制御手段が、面積変化量を、直前に形成された基準画像の検知濃度に基づいて算出することによって、より容易に面積変化量を算出できる。
【0120】
また、制御手段が、次に形成される基準画像の面積を、上記式(3)、(4)及び(5)に従って算出することによって、より容易に次に形成される基準画像の面積を可変することができる。また、制御手段が、基準画像の検知濃度が連続して目標濃度以上となったとき、強制排出の実行を停止することによって、現像剤の無駄な消費をより防止することができる。
【符号の説明】
【0121】
Pa〜Pd 画像形成部
1a〜1d 感光体ドラム(像担持体)
2a〜2d 帯電器
3a〜3d 現像装置
3aa〜3da 現像ローラ(現像装置)
4 露光装置
6a〜6d 一次転写ローラ
7 定着部
8 中間転写ベルト
9 二次転写ローラ
21 濃度検知センサ(検知手段)
32 制御部(制御手段)
33 記憶部
34 操作パネル
41 RAM
42 ROM
100 画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する露光装置と、現像剤担持体を有し前記露光装置により形成された静電潜像を現像する現像装置とを含む画像形成部と、
該画像形成部により前記像担持体上に形成された基準画像の濃度を検知する検知手段と、
該検知手段により検知された前記基準画像の検知濃度に基づいて前記現像剤担持体から前記像担持体に移動させて現像剤の強制排出を実行する制御手段と、を備えた画像形成装置において、
前記制御手段は、前記基準画像を形成することにより前記強制排出を実行するものであり、前記基準画像を繰り返し形成し、前記基準画像の検知濃度に応じて直前に形成された基準画像からの面積変化量を算出し、算出された前記面積変化量に基づいて次に形成される基準画像の面積を可変することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記面積変化量を、前記基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記面積変化量を、前記直前に形成された基準画像を第1の基準画像とするとき、
該第1の基準画像の検知濃度と、前記第1の基準画像の1つ前に形成された第2の基準画像の検知濃度と、前記第1の基準画像の2つ前に形成された第3の基準画像の検知濃度と、に基づいて算出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記次に形成される基準画像の面積を、以下の式(1)及び(2)に従って算出することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
Sn+1=Sn+ΔSn・・・(1)
ΔSn={Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd(en−en―2)}・・・(2)
ただし、
n:3以上の自然数
Sn:n回目に形成される基準画像の面積
ΔSn:n回目に形成される基準画像の面積変化量
en:n回目に形成される基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分
Ki、Kp、Kd:係数
【請求項5】
前記制御手段は、前記面積変化量を、前記直前に形成された基準画像の検知濃度に基づいて算出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記次に形成される基準画像の面積を、以下の式(3)、(4)及び(5)に従って算出することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
Sn+1=Sc+ΔSn・・・(3)
ΔSn=−R(en≧0)・・・(4)
ΔSn=R(en<0)・・・(5)
ただし、
n:自然数
SC:一定の面積値
ΔSn:n回目に形成される基準画像の面積変化量
en:n回目に形成される基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分
R:正の一定値
【請求項7】
前記制御手段は、前記基準画像の検知濃度が連続して前記目標濃度以上となったとき、前記強制排出の実行を停止することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する露光装置と、現像剤担持体を有し前記露光装置により形成された静電潜像を現像する現像装置とを含む画像形成部と、
該画像形成部により前記像担持体上に形成された基準画像の濃度を検知する検知手段と、
該検知手段により検知された前記基準画像の検知濃度に基づいて前記現像剤担持体から前記像担持体に移動させて現像剤の強制排出を実行する制御手段と、を備えた画像形成装置において、
前記制御手段は、前記基準画像を形成することにより前記強制排出を実行するものであり、前記基準画像を繰り返し形成し、前記基準画像の検知濃度に応じて直前に形成された基準画像からの面積変化量を算出し、算出された前記面積変化量に基づいて次に形成される基準画像の面積を可変することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記面積変化量を、前記基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記面積変化量を、前記直前に形成された基準画像を第1の基準画像とするとき、
該第1の基準画像の検知濃度と、前記第1の基準画像の1つ前に形成された第2の基準画像の検知濃度と、前記第1の基準画像の2つ前に形成された第3の基準画像の検知濃度と、に基づいて算出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記次に形成される基準画像の面積を、以下の式(1)及び(2)に従って算出することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
Sn+1=Sn+ΔSn・・・(1)
ΔSn={Ki・en+Kp(en―en-1)+Kd(en−en―2)}・・・(2)
ただし、
n:3以上の自然数
Sn:n回目に形成される基準画像の面積
ΔSn:n回目に形成される基準画像の面積変化量
en:n回目に形成される基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分
Ki、Kp、Kd:係数
【請求項5】
前記制御手段は、前記面積変化量を、前記直前に形成された基準画像の検知濃度に基づいて算出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記次に形成される基準画像の面積を、以下の式(3)、(4)及び(5)に従って算出することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
Sn+1=Sc+ΔSn・・・(3)
ΔSn=−R(en≧0)・・・(4)
ΔSn=R(en<0)・・・(5)
ただし、
n:自然数
SC:一定の面積値
ΔSn:n回目に形成される基準画像の面積変化量
en:n回目に形成される基準画像の検知濃度の目標濃度に対する差分
R:正の一定値
【請求項7】
前記制御手段は、前記基準画像の検知濃度が連続して前記目標濃度以上となったとき、前記強制排出の実行を停止することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−170009(P2011−170009A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32158(P2010−32158)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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