説明

画像形成装置

【課題】複数の給紙トレイを備え、下段の給紙トレイから給紙される用紙搬送路の一部が上段の本体給紙トレイの内部に形成されている画像形成装置において、給紙ジャムの発生を防ぐ画像形成装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ100は、4つの給紙トレイ(第1給紙カセット91,第2給紙トレイ92a、第3給紙トレイ92b、第4給紙トレイ92c)を備え,各給紙トレイから搬送路13に向かう搬送路11,12a〜12cを設けている。搬送路12a〜12cは、それぞれ上段の給紙トレイを経由するという構成になっている。このような構成において、使用する給紙トレイの用紙残量と印刷ジョブの印刷枚数と比較し、用紙残量が不足する場合、複数の給紙可能な給紙トレイの中で、下段の給紙トレイを優先的に給紙させる。これにより、空の上段給紙トレイへ被記録媒体を補充するために上段トレイが引き出されることがなく、給紙ジャムの発生を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくは、複数の給紙トレイを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の給紙トレイを備える画像形成装置が開示されている。例えば、特許文献1には、画像形成装置本体の底部に給紙トレイを備え、さらにその本体給紙トレイの下側に給紙トレイを増設することが可能な画像形成装置が開示されている。また、特許文献1に記載された画像形成装置では、下段の増設給紙トレイから給紙される用紙を画像形成部へ搬送するための用紙搬送路の一部が、上段の本体給紙トレイの内部に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−96456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の画像形成装置には、次のような問題があった。例えば、特許文献1の画像形成装置は、上段に位置する本体給紙トレイが引き出された状態では、下段に位置する増設給紙トレイの用紙搬送路を遮断する構成となっている。そのため、増設給紙トレイが給紙している間に、本体給紙トレイへ用紙を補充するため、ユーザが本体給紙トレイを引き出すと、増設給紙トレイにおいて給紙ジャムが発生し、印刷が中断になってしまう。
【0005】
本発明は、前記した従来の画像形成装置と給紙制御方法が有する問題点を解決するためになされたものである。即ちその課題とするところは、複数の給紙トレイを備え、下段の給紙トレイから給紙される用紙搬送路の一部が上段の給紙トレイの内部に形成されている画像形成装置において、給紙ジャムの発生を防ぐ画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の請求項1に記載の画像形成装置は、印刷ジョブを受け付ける受付手段と、受け付けられた印刷ジョブに従って被記録媒体に印刷する画像形成手段と、前記被記録媒体を収容可能な上下に配置されている複数の給紙トレイと、最上段の前記給紙トレイから前記被記録媒体を前記画像形成手段へ搬送する第1給紙パスと、最上段の給紙トレイを除く給紙トレイから排出された前記被記録媒体を当該給紙トレイより上段の給紙トレイを経由して前記画像形成手段へ搬送する第2給紙パスと、前記給紙トレイに収容されている前記被記録媒体の残量を検知する残量検知手段と、前記複数の給紙トレイのいずれかを選択し、当該給紙トレイから前記被記録媒体を給紙する給紙手段と、前記印刷ジョブの印刷枚数を取得する取得手段と、取得された印刷枚数と、前記給紙手段により選択された給紙トレイに収容されている前記被記録媒体の残量とを比較して、当該残量が不足するか否かを判定する比較判定手段とを備え、前記比較判定手段より前記残量が不足すると判定されたことを契機に、前記給紙手段は、前記画像形成手段に向かって給紙可能な複数の前記給紙トレイの中で、下段の前記給紙トレイから給紙することを特徴とする。このように構成すれば、給紙中の給紙トレイに収容されている被記録媒体の残量がなくなり、他の給紙トレイが選択されて給紙が継続された場合であっても、残量がなくなった給紙トレイより下段の給紙トレイから給紙されることがないので、空の上段
の給紙トレイへ被記録媒体を補充するために上段の給紙トレイが引き出される可能性が低減され、給紙ジャムが発生することを防ぐことができる。なお、給紙中の給紙トレイより下段の空の給紙トレイに被記録媒体を補充するため、ユーザがこの下段の給紙トレイを引き出した場合であっても、給紙パスが遮断されることはないので、給紙トレイへの用紙補充による給紙ジャムの発生を防ぐことができる。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記給紙手段は、予め定められた給紙優先度に基づいて前記複数の給紙トレイのいずれかを選択し、当該給紙トレイから前記被記録媒体を給紙し、前記比較判定手段により前記給紙トレイの残量が不足すると判定された場合、前記給紙手段により新たに選択された給紙トレイが先に選択された給紙トレイより下段であるか否かを判定する位置判定手段と、前記位置判定手段により前記新たに選択された給紙トレイが前記先に選択された給紙トレイより下段であると判定された場合、前記給紙手段は、前記画像形成手段に向かって給紙可能な複数の前記給紙トレイの中で、下段の前記給紙トレイから給紙するように給紙優先度を変更することを特徴とする。このように構成すれば、給紙中の給紙トレイに収容されている被記録媒体の残量がなくなり、他の給紙トレイが選択されて給紙が継続された場合であっても、残量のなくなった給紙トレイよりも下段の給紙トレイから給紙されることがないので、給紙中の給紙トレイより上段の給紙トレイが空になることを回避し、給紙トレイへの用紙補充による給紙ジャムの発生を防ぐことができる。なお、給紙中の給紙トレイより下段の空の給紙トレイに被記録媒体を補充するため、ユーザがこの下段の給紙トレイを引き出した場合であっても、給紙パスが遮断されることはないので、給紙トレイへの用紙補充による給紙ジャムの発生を防ぐことができる。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の画像形成装置は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記比較判定手段は、前記位置判定手段により前記新たに選択された給紙トレイが前記先に選択された給紙トレイより上段であると判定された場合、選択された全ての給紙トレイに収容されている前記被記録媒体の残量の合計と、前記印刷ジョブの印刷枚数とを比較して、当該残量の合計が不足するか否かを判定し、前記比較判定手段により前記残量の合計が不足しないと判定された場合、前記給紙手段は、前記給紙優先度に基づいて給紙し、前記比較判定手段により前記残量の合計が不足すると判定された場合、前記位置判定手段による判定を繰り返すことを特徴とする。このように構成すれば、可能な限り予め定められた給紙優先度に基づいて給紙することで、ユーザの意図を優先し、ユーザの利便性を向上することができる。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の画像形成装置は、画像を被記録媒体に印刷する画像形成手段と、前記被記録媒体を収容可能な上下に配置されている複数の給紙トレイと、最上段の前記給紙トレイから前記被記録媒体を前記画像形成手段へ搬送する第1給紙パスと、最上段の給紙トレイを除く給紙トレイから排出された前記被記録媒体を当該給紙トレイより上段の給紙トレイを経由して前記画像形成手段へ搬送する第2給紙パスと、前記給紙トレイに収容されている前記被記録媒体の残量を検知する残量検知手段と、予め定められた給紙優先度に基づいて前記複数の給紙トレイのいずれかを選択し、当該給紙トレイから前記被記録媒体を給紙する給紙手段を備え、前記給紙優先度に基づいて選択された給紙トレイより上段の給紙トレイに収容されている前記被記録媒体の残量が前記残量検知手段によりないと検知されたことを契機に、前記給紙手段は、前記記録媒体がない給紙トレイの中で、最も上段の給紙トレイより上段の給紙トレイから給紙することを特徴とする。このように構成すれば、給紙中の給紙トレイより上段の給紙トレイが空の状態で給紙されることを回避し、給紙トレイへの用紙補充による給紙ジャムの発生を防ぐことができる。なお、給紙中の給紙トレイより下段の空の給紙トレイに被記録媒体を補充するため、ユーザがこの下段の給紙トレイを引き出した場合であっても、給紙パスが遮断されることはないので、給紙トレイへの用紙補充による給紙ジャムの発生を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の給紙トレイを備え、下段の給紙トレイから給紙される用紙搬送路の一部が上段の給紙トレイの内部に形成されている画像形成装置において、給紙ジャムの発生を防ぐ画像形成装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】(A)は、画像形成部の内部構成を示す概念図であり、 (B)は、用紙残量センサの構成を示す図である。
【図3】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態にかかる印刷ジョブ実行処理を示すフローチャートである。
【図5】実施形態にかかる優先度変更判定処理を示すフローチャートである。
【図6】実施形態にかかる優先度変更処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
[プリンタの全体構成]
図1は、本実施形態のプリンタ100(画像形成装置)の概略構成を示す斜視図である。
【0014】
プリンタ100は、用紙(被記録媒体)に画像を形成する画像形成部10(画像形成手段)と、画像形成部10の底部に位置する給紙トレイ91(以下、第1給紙トレイ91という)と、画像形成部10の上面に位置する排紙トレイ93を備えている。プリンタ100は、給紙トレイ91の下方にオプショントレイ92a〜92c(以下、オプショントレイ92a〜92cをそれぞれ第2給紙トレイ92a、第3給紙トレイ92b、第4給紙トレイ92cという)をオプションで増設可能に構成されている。
【0015】
また、画像形成部10の上面には、液晶ディスプレイからなる表示部41、各種のボタン(例えば、スタートキー、ストップキー、テンキーの各ボタン)によって構成されるボタン群42等を備えた操作パネル40が設けられている。この表示部41やボタン群42により、動作状況の表示やユーザによる操作の入力が可能になっている。
【0016】
[画像形成部の構成]
図2(A)は、画像形成部10の内部構成を示す概念図であり、図2(B)は、用紙残量センサ61の構成を示す図である。
【0017】
画像形成部10は、周知の電子写真方式によって画像を形成するものであり、図2(A)に示すように、画像を形成するプロセス部50と、未定着のトナー像を定着させる定着装置8と、画像形成前の用紙を載置する第1給紙トレイ91、第2給紙トレイ92a、第3給紙トレイ92bおよび第4給紙トレイ92cと、画像形成後の用紙を載置する排紙トレイ93とを備えている。また、第1給紙トレイ91、第2給紙トレイ92a、第3給紙トレイ92bおよび第4給紙トレイ92cいずれにも用紙残量の検出機能を備える。
【0018】
画像形成部10内には、第1給紙トレイ91の排出側底部にスプリング81を設け、このスプリング81を用紙載置台51の裏面に取り付け、この用紙載置台51を常時上向きに付勢させている。従って、図2(A)に示すように、用紙載置台51に用紙が積載された状態では、スプリング81の力により用紙が給紙ローラ71に常時押圧された状態になる。また、第1給紙トレイ91に収容された用紙が、給紙ローラ71、レジストローラ7
5、プロセス部50、定着装置8を通り、排紙ローラ73を介して上部の排紙トレイ93へ導かれるように、略S字形状の搬送路(図2(A)中の一点鎖線)が設けられている。即ち、画像形成部10では、第1給紙トレイ91に載置されている用紙を1枚ずつ取り出し、その用紙をプロセス部50に搬送し、プロセス部50にて形成されたトナー像をその用紙に転写する。さらに、トナー像が転写された用紙を定着装置8に搬送し、トナー像をその用紙に熱定着させる。そして、定着後の用紙を排紙トレイ93に排出する。なお、この略S字形状の搬送路のうち、第1給紙トレイ91からレジストローラ75までを搬送路11(第1給紙パス)とし、レジストローラ75から排紙トレイ93までを搬送路13とする。
【0019】
また、画像形成部10内には、第1給紙トレイ91の下に位置する第2給紙トレイ92aに収容された用紙が、給紙ローラ72aを通り、レジストローラ75よりも用紙搬送方向の上流側で搬送路11と合流する搬送路12a(第2給紙パス、図2(A)中の二点鎖線)が設けられている。即ち、画像形成部10は、第2給紙トレイ92aから給紙する際、第2給紙トレイ92aから取り出した用紙を、第1給紙トレイ91を経由してレジストローラ75に搬送する。
【0020】
第2給紙トレイ92aの下に位置する第3給紙トレイ92bに収容された用紙が、給紙ローラ72bを通り、レジストローラ75よりも用紙搬送方向の上流側で搬送路11と合流する搬送路12b(第2給紙パス、図2(A)中の二点鎖線)が設けられている。即ち、画像形成部10は、第3給紙トレイ92bから給紙する際、第3給紙トレイ92bから取り出した用紙を、第1給紙トレイ91と第2給紙トレイ92aを経由してレジストローラ75に搬送する。ここで、搬送路12bは、レジストローラ75よりも用紙搬送方向の上流側で搬送路12aと合流してもよい。
【0021】
第3給紙トレイ92bの下に位置する第4給紙トレイ92cに収容された用紙が、給紙ローラ72cを通り、レジストローラ75よりも用紙搬送方向の上流側で搬送路11と合流する搬送路12c(第2給紙パス、図2(A)中の二点鎖線)が設けられている。即ち、画像形成部10は、第4給紙トレイ92cから給紙する際、第4給紙トレイ92cから取り出した用紙を、第1給紙トレイ91、第2給紙トレイ92aおよび第3給紙トレイ92bを経由してレジストローラ75に搬送する。ここで、搬送路12cは、レジストローラ75よりも用紙搬送方向の上流側で搬送路12bと合流してもよい。
【0022】
従って、上述のように、第1給紙トレイ91に、搬送路12a〜搬送路12cの三つの搬送路の一部が存在し、第2給紙トレイ92aに、搬送路12bと搬送路12cの二つの搬送路の一部が存在し、第3給紙トレイ92bに、搬送路12cの一部が存在し、第4給紙トレイ92cに、搬送路が存在していない。なお、給紙トレイ内に存在する複数の搬送路はそれぞれ独立に設けられていてもよいし、共通であってもよい。
【0023】
なお、上記の構成であることから、例えば、第2給紙トレイ92aからの用紙の搬送路12aは、第1給紙トレイ91を経由して形成されている。そのため、第2給紙トレイ92aからの給紙中に第1給紙トレイ91に用紙を補充するため、ユーザが第1給紙トレイ91を装置本体から取り出すと、搬送路12aが遮断されて搬送不能になる。従って、第2給紙トレイ92aからの給紙中に第1給紙トレイ91が取り出されてしまうと、給紙ジャムの発生の原因となり好ましくない。
【0024】
用紙積載台51には、例えば、第1給紙トレイ91内の用紙の残量を検出するための検出フィラー66(図2(B)参照)が取り付けられている。この検出フィラー66は、図2(B)に示す用紙残量センサ61(残量検知手段)の可変抵抗器67のスライド部に接続され、用紙積載台51の上下動に応じて可変抵抗器67の抵抗値が変化して、用紙残量
センサ61の検出信号のレベルが変化できるように構成されている。
【0025】
また、プロセス部50は、シアン(C)色の画像を形成するプロセスユニット50Cと、マゼンタ(M)色の画像を形成するプロセスユニット50Mと、イエロー(Y)色の画像を形成するプロセスユニット50Yと、ブラック(K)色の画像を形成するプロセスユニット50Kとを備えており、各プロセスユニット50C、50M、50Y、50Kは用紙の搬送路13に沿って並置されている。プロセス部50は、各プロセスユニット50C、50M、50Y、50Kで形成されたトナー画像を用紙上で重ね合わせることでカラー画像を形成する。一方、モノクロ画像を形成する際には、プロセスユニット50C、50M、50Y、50Kのいずれか1つでトナー画像を形成して印刷する。
【0026】
[プリンタの電気的構成]
図3は、プリンタ100電気的構成を簡略に示すブロック図である。
【0027】
プリンタ100は、同図に示すように、CPU31と、ROM32と、RAM33と、NVRAM34と、ASIC35と、通信インターフェース36、USBインターフェイス37とを備えた制御部30を有している。また、制御部30は、画像形成部10、操作パネル40等と電気的に接続されている。画像形成部10および操作パネル40は、制御部30によって制御され、それぞれが独立して動作する。
【0028】
CPU31(給紙手段、比較判定手段、位置判定手段)は、後述する印刷ジョブ実行処理など、プリンタ100における各種機能を実現するための演算を実行し、制御の中枢となるものである。ROM32には、プリンタ100を制御するための各種制御プログラムや各種設定、初期値等が記憶されている。RAM33は、各種制御プログラムが読み出される作業領域として、あるいは画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。NVRAM(Non Volatile RAM)34は、不揮発性を有する記憶手段であって、各種設定ないし画像データ等を保存する記憶領域として利用される。
【0029】
CPU31は、ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って、その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら、画像形成部10の各構成要素(例えば、プロセス部50を構成する露光装置の点灯タイミング、搬送路11、搬送路12a〜12c、搬送路13、に配置されている各種ローラの駆動モータ(不図示)を、ASIC35を介して制御する。
【0030】
例えば、用紙残量センサ61の検出信号は、A/Dコンバータ(図示せず)でA/D変換され、このA/D変換された検出信号のレベルの変化特性と用紙残量の対応表に基づいて各給紙トレイ内の用紙残量の検出が行われるように構成されている。この対応表は予めNVRAMに記憶されている。また、この求められた用紙残量は、RAM33またはNVRAM34に記憶されている。
【0031】
通信インターフェース36は、LANやUSB等に接続され、パーソナルコンピュータや携帯端末装置等の情報処理装置200との接続を可能にしている。そして、通信インターフェース36を介して情報処理装置とデータ通信を行うことができる。
【0032】
また、USBインターフェイス37には、USBメモリ等のUSBデバイスを接続可能であり、接続されたUSBデバイスとの間でのデータ通信が可能となっている。プリンタ100はUSBメモリ等に記憶された印刷ジョブを読み出して実行することが可能である。
【0033】
なお、本実施形態においては、プリンタ100は情報処理装置200で生成された印刷
ジョブを通信インターフェース36を介して受け取り、印刷ジョブを実行する。
【0034】
[印刷動作]
続いて、給紙トレイの切り替えに着目して、プリンタ100の印刷動作を説明する。プリンタ100は、給紙トレイ91、92a〜92c(以下、給紙トレイ91、92a〜92cを順にT1〜T4と略称する)の間で用紙を給紙する給紙トレイを自動的に切り替える機能を有している。この自動切替機能では、給紙対象とする給紙トレイが空になったことが検出されると、他の給紙トレイに自動的に切り替わって印刷を継続する。
【0035】
[印刷ジョブ実行処理]
以下、上述した印刷動作を実現するプリンタ100の印刷ジョブ実行処理の手順について、図4〜図6のフローチャートを参照しつつ説明する。印刷ジョブ実行処理は、プリンタ100に電源が投入されている間、CPU31により繰り返し実行されるものである。図4は実施形態にかかる印刷ジョブ実行処理を示すフローチャートである。図5は優先度変更判定処理を示すフローチャートである。図6は優先度変更処理を示すフローチャートである。
【0036】
まず、通信インターフェース36を介して印刷ジョブを受け取ったか否かを判断する(S101)。印刷ジョブを受け取っていないと判断した場合(S101:No)、印刷ジョブを受け取るまで待機する。印刷ジョブを受け取ったと判断した場合(S101:Yes)、優先度変更判定処理を実行する(S102)。この優先度変更判定処理は、印刷ジョブ開始前、予め設定された給紙トレイの優先度(給紙優先度)を変更する必要があるか否かを判定し、その判定に従って優先度変更処理の実行制御を行う処理である。
【0037】
なお、給紙トレイの優先度は、給紙対象とする給紙トレイを切り替える順番を示すものであり、NVRAM34に記憶されている。印刷中に、その優先度に従って、優先度の高い給紙トレイが空になると、プリンタ100はその優先度が次に高い給紙トレイから給紙するように動作する。
【0038】
また、この給紙トレイの優先度は、プリンタメーカーにより予め設定されたデフォルト優先度であってもよいし、またはユーザの設定により変更されるようにしてもよい。
【0039】
CPU31は、図5に示す優先度変更判定処理を開始すると、受け取った印刷ジョブから印刷枚数を取得する(S201)。次に、NVRAM34に記憶されている給紙トレイの優先度情報を取得し、各給紙トレイの用紙残量(残量)を確認する(S202)。なお、印刷ジョブの印刷枚数は、予め情報処理装置200で計算したものを受信してもよいし、プリンタ100で受信した印刷ジョブの印刷枚数を計算してもよい。また、各給紙トレイの用紙残量は、各給紙トレイに設置される用紙残量センサ61の出力信号に基づいて確認される。ここで、取得された印刷枚数、給紙トレイの優先度および各給紙トレイの用紙残量をRAM33に一時的に記憶する。また、上述の情報を表示部41に表示してもよい。
【0040】
次に、取得された給紙トレイの優先度情報に基づいて、優先度が最も高い給紙トレイを実行対象(以下、実行対象トレイと称する)として設定する(S203)。
【0041】
CPU31は、その実行対象トレイより上段のすべての給紙トレイの中で、給紙トレイに収容されている用紙のない給紙トレイ、即ち、空の給紙トレイがあるか否かを判断する(S204)。ここで、給紙トレイに収容されている用紙があるか否かは、各給紙トレイに設置される用紙残量センサ61の出力信号に基づいて判断される。
【0042】
実行対象トレイより上段に空の給紙トレイがあると判断された場合(S204:Yes)には、給紙トレイの優先度変更必要ありに設定し(S205)、この優先度変更判定処理を終了して図4の処理に戻る。なお、給紙トレイの優先度変更必要ありの設定をRAM33に一時的に記憶する。
【0043】
例えば、給紙トレイの優先度をT4>T3>T2>T1とし、印刷ジョブの印刷枚数をXと仮定する。T2の用紙残量は0であり、T2以外の給紙トレイは全て用紙残量ありの収容状態である場合、優先度が最も高い給紙トレイT4より上段に空の給紙トレイT2があるため、印刷枚数に関わらずに優先度を変更する必要があると判定する。これは、T2が空の状態でT4から給紙してしまうと、給紙中にT2が取り出されて給紙ジャムが発生する可能性があるためである。このようにして給紙中の給紙トレイより上段の給紙トレイが空になることを回避し、後述の優先度変更処理により優先度を変更することで、給紙トレイへの用紙補充による給紙ジャムの発生を防ぐことができる。
【0044】
一方、実行対象トレイより上段に空の給紙トレイがないと判断された場合、即ち、実行対象トレイより上段の全ての給紙トレイに用紙があると判断された場合(S204:No)には、RAM33に記憶された実行対象トレイの用紙残量を加算対象とし用紙残量合計に加算する(S206)ここで、本処理が開始されると用紙残量合計の初期値は0と設定される。S206がはじめて実行される時点では、加算対象は優先度が最も高い給紙トレイの用紙残量であるため、加算された用紙残量合計はこの優先度が最も高い給紙トレイの用紙残量となる。なお、この用紙残量合計をRAM33に一時的に記憶する。S206が繰り返し実行されることにより、新たに設定された実行対象トレイの用紙残量が用紙残量合計に加算されていく。
【0045】
CPU31は、加算された用紙残量合計とRAM33に記憶された印刷枚数と比較する(S207)。用紙残量合計、即ち、優先度が最も高い給紙トレイの用紙残量が印刷枚数より以上であると判断した場合(S207:Yes)、給紙トレイの優先度変更必要なしに設定し(S208)、この優先度変更判定処理を終了して図4の処理に戻る。なお、給紙トレイの優先度変更必要なしの設定を同様にRAM33に一時的に記憶する。
【0046】
例えば、給紙トレイの優先度をT4>T3>T2>T1とし、印刷ジョブの印刷枚数をXとし、給紙トレイT1〜T4は全て用紙残量ありの収容状態であると仮定する。優先度が最も高い給紙トレイT4の用紙残量は印刷枚数Xより以上である場合、T4以外の用紙残量に関わらずに優先度を変更する必要がないと判定する。これは、印刷ジョブ実行処理の実行終了まで、T4の用紙のみで足りるため、T4から用紙を搬送して印刷ジョブを実行する。
【0047】
それに対して、用紙残量合計が印刷枚数より少ないと判断された場合(S207:No)、即ち、印刷ジョブを実行するために、優先度が最も高い給紙トレイの用紙のみでは不足である場合、優先度が次に高い給紙トレイを実行対象トレイに設定する(S209)。
【0048】
CPU31は、実行対象トレイ(優先度が次に高い給紙トレイ)は前回の実行対象とした給紙トレイ(優先度が最も高い給紙トレイ)より下段であると判断すると(S210:No)、S205に移行する。
【0049】
例えば、給紙トレイの優先度をT3>T4>T2>T1とし、印刷ジョブの印刷枚数をXとし、給紙トレイT1〜T4は全て用紙残量ありの収容状態であると仮定する。優先度が最も高い給紙トレイT3の用紙残量が印刷枚数Xより少ない場合、優先度が次に高い給紙トレイT4が実行対象になる。T4はT3より下段であるため、T4の用紙残量に関わらずに優先度を変更する必要があると判定する。これは、印刷ジョブを実行する際に、T
3が空になったら、優先度に従ってT4から給紙することになる。T3が空の状態でT4から給紙してしまうと、給紙中にT3が取り出されて給紙ジャムが発生する可能性があるためである。このようにして給紙中の給紙トレイより上段の給紙トレイが空になることを回避し、後述の優先度変更処理により優先度を変更することで、給紙トレイへの用紙補充による給紙ジャムの発生を防ぐことができる。
【0050】
実行対象トレイは前回の実行対象トレイより上段であると判断すると(S210:Yes)、実行対象トレイの優先度が最も低いか否かを判断する(S211)。実行対象トレイの優先度が最も低いものではない場合(S211:No)、S206に移行する。
【0051】
一方、実行対象トレイの優先度が最も低いと判断される場合(S211:Yes)、S208に移行する。
【0052】
例えば、給紙トレイの優先度をT4>T3>T2>T1とし、印刷ジョブの印刷枚数をXとし、給紙トレイT1〜T4は全て用紙残量ありの収容状態であると仮定する。T4、T3とT2の用紙残量合計が印刷枚数より少ない場合、T1が実行対象になる。T1の優先度が最も低いため、T1の印刷枚数に関わらずに優先度を変更する必要がないと判定する。この結果、印刷ジョブ実行処理の実行終了まで、T1〜T4の全ての給紙トレイが予め定められた優先度に従って給紙され、T1を使用しても用紙残量合計が不足する場合、後述の図4におけるS106の判断により印刷が中断されることになる。
【0053】
以上のように、優先度変更判定処理はS206〜S211の処理を繰り返すことにより、給紙トレイの優先度の順に実行対象が変わることになる。
【0054】
次に、図4のS103において、CPU31は、RAM33に記憶された設定に基づいて、優先度を変更する必要があるか否かを判断する(S103)。CPU31は、優先度を変更する必要がないと判断する(S103:No)と、給紙トレイの優先度を変更せず、予め設定された優先度に従って印刷ジョブを実行する。即ち、優先度が最も高い給紙トレイを給紙対象として設定し(S105)、その給紙対象とする給紙トレイ(以下、給紙対象トレイと称する)から用紙を搬送して印刷ジョブを実行する。
【0055】
CPU31は、RAM33に記憶された設定に基づいて、優先度を変更する必要があると判断する場合(S103:Yes)、優先度変更処理を実行する(S104)。
【0056】
優先度変更処理は、図6に示すようにT1を最初の実行対象として実行開始し、優先度の初期化を行う(S301)。優先度の初期化とは、NVRAM34に設定されている優先度の値を未設定に設定することである。なお、優先度変更処理はS302及びS304の処理を繰り返すことにより、T2、T3、T4の順に実行対象が変わるものとする。
【0057】
CPU31は、実行対象は最下段の給紙トレイT4より上段であると判断すると(S302:Yes)、実行対象トレイに収容される用紙があるか否かを判断する(S303)。
【0058】
実行対象トレイに収容される用紙があると判断された場合(S303:Yes)、その実行対象トレイより一つ下の給紙トレイを実行対象とし(S304)、S302に移行する。
【0059】
一方、実行対象トレイに収容される用紙がないと判断された場合(S303:No)、その実行対象トレイは最上段の給紙トレイT1かどうかを判断する(S305)。最上段の給紙トレイである場合(S305:Yes)には、即ち、T1が空であるので、とりあ
えずT1の優先度を最優先とし(S306)、この優先度変更処理を終了して図4の処理に戻る。
【0060】
実行対象トレイは最上段の給紙トレイでないと判断した後(S305:No)、その実行対象トレイは空であるので、これより一つ上の給紙トレイを選択し(S307)、その選択した給紙トレイの優先度を最優先と設定する(S308)。
【0061】
その後、S307により選択された給紙トレイより上段の給紙トレイにまだ優先度を設定してない給紙トレイがあれば(S309:Yes)、S307により選択された給紙トレイより一つ上の給紙トレイを選択し、その選択された給紙トレイの優先度を次に高いと設定し(S310)、S309に移行する。
【0062】
S307により選択された給紙トレイより上の給紙トレイの優先度は全て設定された場合(S309:No)には、この優先度変更処理を終了して図4の処理に戻る。
【0063】
また、CPU31は、S302において実行対象トレイは最下段の給紙トレイT4であると判断する(S302:No)と、S308に移行する。
【0064】
以上の優先度変更処理により、給紙トレイの優先度が設定される。新たな優先度は、用紙がないと検知された給紙トレイの中で、最も上段の給紙トレイより上の給紙トレイを順に給紙させるものである。例えば、T2とT4が空の場合、T3に用紙があったとしても優先度は設定されずにT1に最優先の優先度が設定される。これは、T2が空の状態でT3から給紙してしまうと、給紙中にT2が取り出されて給紙ジャムが発生する可能性があるためである。このようにして優先度が設定された給紙トレイは、印刷中に給紙トレイが空となった場合に給紙トレイの切り替え対象となる。一方、上述の優先度変更処理においては空の給紙トレイ及び空の給紙トレイよりも下の給紙トレイには優先度が設定されない。従って、印刷中に給紙トレイの用紙が空となった場合、優先度が設定されていない給紙トレイは切り替え対象とはならない。
【0065】
図4に戻って説明を続ける。優先度変更処理S104の後、優先度が最も高い給紙トレイを給紙対象として設定する(S105)。次に、最上段の給紙トレイT1の用紙があるか否かを判断する(S106)。T1の用紙がないと判断された場合(S106:No)、印刷を中断し、用紙補充待ちの状態にする(S107)。用紙補充待ちの状態において、その旨をユーザに報知するために表示部41にT1に用紙を補充する旨の表示を行ってもよい。
【0066】
その後、T1への用紙補充が完了したか否かを判断する(S108)。用紙補充が完了していない場合には(S108:No),用紙補充が完了するまで待機する。
【0067】
用紙補充が完了した場合は(S108:Yes),T1がプリンタ100に収容されたことを確認したうえ,S104に移行する。用紙補充の完了は,例えば,用紙残量センサ61からの出力信号が用紙無しから用紙有りに変化したことを検知することで判断できる。
【0068】
一方、CPU31は、T1の用紙があると判断された場合(S106:Yes)、給紙対象トレイの用紙があるか否かを判断する(S109)。その給紙対象トレイが空であると判断されたら(S109:No)、給紙対象トレイを優先度が次に高い給紙トレイに切り替え(S113)、S110に移行する。
【0069】
ここで、空の給紙トレイに対して、表示部41に給紙トレイに用紙を補充する旨を、ユ
ーザに報知してもよい。なお、給紙対象トレイより下段の空の給紙トレイの中で、最も上段の給紙トレイから順に用紙を補充する旨を表示することが好ましい。例えば、T1が給紙対象トレイとして設定されている場合であって、T2とT4が空である場合には、T2に用紙を補充する旨の表示を表示部41に表示するとよい。T2に用紙の補充が完了したら、T4に用紙を補充する旨の表示を表示部41に表示するとよい。
【0070】
前述の優先度変更処理においては空の給紙トレイ及び空の給紙トレイよりも下のトレイには優先度が設定されない。従って、給紙対象トレイより下段の空の給紙トレイの中で、最も上段の給紙トレイより下段の給紙トレイの用紙が補充された場合であっても、優先度が設定されていない給紙トレイは切り替え対象とはならない。
【0071】
しかしながら、給紙対象トレイより下段の空の給紙トレイの中で、最も上段の給紙トレイから順に用紙を補充する旨を表示することで、後述するS110及びS104の処理で用紙を補充した給紙トレイを切り替え対象とすることができる。
【0072】
給紙対象トレイの用紙がある場合(S109:Yes)、上述のように、その給紙対象トレイより一つ下の空の給紙トレイへの用紙補充が完了したか否かを判断する(S110)。用紙補充が完了した場合(S110:Yes)、S104に移行する。
【0073】
給紙対象トレイより一つ下段の空の給紙トレイへの用紙補充が完了してない場合(S110:No)、用紙1枚分の画像データの印刷を実行する(S111)。即ち、給紙対象トレイから用紙を搬送して画像データを印刷する。次に、印刷ジョブが完了したか否かを判断する(S112)。印刷ジョブが完了してない場合(S112:No)、S106に移行し、完了した場合(S112:Yes)、予め設定された初期の給紙優先度に戻し(S114)、S101に移行し、新たな印刷ジョブを受け取るまで待機する。
【0074】
[本実施形態の効果]
以上詳細に説明したように本形態のプリンタ100は、4つの給紙トレイ(第1給紙カセット91,第2給紙トレイ92a、第3給紙トレイ92b、第4給紙トレイ92c)を備え,各給紙トレイから搬送路13に向かう搬送路11,12a〜12cを設けている。また、搬送路12a〜12cは、上段の給紙トレイを経由するという構成になっている。そして、4つの給紙トレイいずれにも用紙残量の検出機能と、給紙中の給紙トレイの用紙がなくなると、他の給紙トレイに切り替えて給紙を継続する機能を備えている。
【0075】
このような構成において、プリンタ100は、印刷ジョブの印刷枚数と、実行対象トレイの用紙枚数とを比較して、実行対象トレイの用紙残量が不足と判断した場合、優先度変更処理を実行することにより、給紙可能な複数の給紙トレイの中で下段の給紙トレイから給紙する。このように構成すれば、給紙中の給紙トレイより上段の給紙トレイが空になることを回避し、用紙を補充するために上段の給紙トレイが引き出される可能性が低減され、給紙ジャムが発生することを防ぐことができる。なお、給紙中の給紙トレイより下段の給紙トレイに用紙を補充するため、ユーザがこの下段給紙トレイを引き出した場合であっても、搬送路が遮断されることはないので、給紙トレイへの用紙補充による給紙ジャムの発生を防ぐことができる。
【0076】
また、本形態のプリンタ100は、予め設定された優先度に基づいて給紙トレイから給紙する。そして、実行対象トレイの用紙残量が不足、かつ、優先度が次に高い給紙トレイが当該給紙トレイより下段であれば、優先度変更処理を実行することにより、給紙可能な複数の給紙トレイの中で下段の給紙トレイから給紙する。このように構成すれば、給紙中の給紙トレイより上段の給紙トレイが空になることを回避し、用紙を補充するために上段の給紙トレイが引き出される可能性が低減され、給紙ジャムが発生することを防ぐことが
できる。
【0077】
また、本形態のプリンタ100は、優先度変更判定処理において、実行対象トレイの用紙残量が不足した場合は優先度が次に高い給紙トレイを新たな実行対象トレイに設定する。そして当該実行対象トレイが前の実行対象トレイより上段であれば、新たな実行対象トレイの用紙残量を用紙残量合計に加算し、加算した用紙残量合計と印刷枚数とを比較して、用紙残量合計が不足しないのであれば、優先度に基づいて給紙し、不足であれば、優先度に基づいて前記の加算と比較の処理を繰り返す。このように構成すれば、可能な限り予め設定された優先度に基づいて給紙するようにすることで、ユーザの意図を優先し、ユーザの利便性を向上することができる。
【0078】
また、本形態のプリンタ100は、実行対象トレイより上段に空の給紙トレイがあれば、優先度変更処理を実行することによりその空の給紙トレイの中で、最も上段の給紙トレイより上の給紙トレイから給紙する。このように構成すれば、給紙中の給紙トレイより上段の給紙トレイが空になることを回避し、用紙を補充するために上段の給紙トレイが引き出される可能性が低減され、給紙ジャムが発生することを防ぐことができる。
【0079】
[その他の実施形態]
以上の実施形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタに限らず,複写機,複合機,FAX装置等,印刷機能を備えるものであれば適用可能である。また,画像形成部10の画像形成方式は,電子写真方式に限らず,インクジェット方式であってもよい。
【0080】
また、前述の実施形態において、プリンタ100が受け付けた複数の印刷ジョブを順次に実行してもよい。ある印刷ジョブの実行中に、印刷ジョブの印刷に必要な用紙サイズや用紙種類を有する給紙トレイが空になった場合、当該ジョブを中断し、次の印刷ジョブに入れ替えて図4〜図6のフローチャットを実行してもよい。こうすることで、印刷ジョブを入れ替えても、給紙トレイへの用紙補充による給紙ジャムの発生を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0081】
10 画像形成部(画像形成手段)
11、12a〜12c 搬送路(第1給紙パス、第2給紙パス)
31 CPU(給紙手段、比較判定手段、位置判定手段)
61 用紙残量センサ(残量検知手段)
91 第1給紙トレイ
92a 第2給紙トレイ
92b 第3給紙トレイ
92c 第4給紙トレイ
100 プリンタ(画像形成装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを受け付ける受付手段と、
受け付けられた印刷ジョブに従って被記録媒体に印刷する画像形成手段と、
前記被記録媒体を収容可能な上下に配置されている複数の給紙トレイと、
最上段の前記給紙トレイから前記被記録媒体を前記画像形成手段へ搬送する第1給紙パスと、
最上段の給紙トレイを除く給紙トレイから排出された前記被記録媒体を当該給紙トレイより上段の給紙トレイを経由して前記画像形成手段へ搬送する第2給紙パスと、
前記給紙トレイに収容されている前記被記録媒体の残量を検知する残量検知手段と、
前記複数の給紙トレイのいずれかを選択して当該給紙トレイから前記被記録媒体を給紙し、かつ、給紙中の給紙トレイに収容されている被記録媒体の残量がなくなった場合に他の給紙トレイを選択して給紙を継続する給紙手段と、
前記印刷ジョブの印刷枚数を取得する取得手段と、
取得された印刷枚数と、前記給紙手段により選択された給紙トレイに収容されている前記被記録媒体の残量とを比較して、当該残量が不足するか否かを判定する比較判定手段とを備え、
前記比較判定手段より前記残量が不足すると判定されたことを契機に、前記給紙手段は、前記画像形成手段に向かって給紙可能な複数の前記給紙トレイの中で、下段の前記給紙トレイから給紙することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記給紙手段は、予め定められた給紙優先度に基づいて前記複数の給紙トレイのいずれかを選択し、当該給紙トレイから前記被記録媒体を給紙し、
前記比較判定手段により前記給紙トレイの残量が不足すると判定された場合、前記給紙手段により新たに選択された給紙トレイが先に選択された給紙トレイより下段であるか否かを判定する位置判定手段と、
前記位置判定手段により前記新たに選択された給紙トレイが前記先に選択された給紙トレイより下段であると判定された場合、前記給紙手段は、前記画像形成手段に向かって給紙可能な複数の前記給紙トレイの中で、下段の前記給紙トレイから給紙することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記比較判定手段は、前記位置判定手段により前記新たに選択された給紙トレイが前記先に選択された給紙トレイより上段であると判定された場合、選択された全ての給紙トレイに収容されている前記被記録媒体の残量の合計と、前記印刷ジョブの印刷枚数とを比較して、当該残量の合計が不足するか否かを判定し、
前記比較判定手段により前記残量の合計が不足しないと判定された場合、前記給紙手段は、前記給紙優先度に基づいて給紙し、
前記比較判定手段により前記残量の合計が不足すると判定された場合、前記位置判定手段による判定を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像を被記録媒体に印刷する画像形成手段と、
前記被記録媒体を収容可能な上下に配置されている複数の給紙トレイと、
最上段の前記給紙トレイから前記被記録媒体を前記画像形成手段へ搬送する第1給紙パスと、
最上段の給紙トレイを除く給紙トレイから排出された前記被記録媒体を当該給紙トレイより上段の給紙トレイを経由して前記画像形成手段へ搬送する第2給紙パスと、
前記給紙トレイに収容されている前記被記録媒体の残量を検知する残量検知手段と、
予め定められた給紙優先度に基づいて前記複数の給紙トレイのいずれかを選択し、当該給紙トレイから前記被記録媒体を給紙する給紙手段を備え、
前記給紙優先度に基づいて選択された給紙トレイより上段の給紙トレイに収容されてい
る前記被記録媒体の残量が前記残量検知手段によりないと検知されたことを契機に、前記給紙手段は、前記記録媒体がない給紙トレイの中で、最も上段の給紙トレイより上段の給紙トレイから給紙することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−207584(P2011−207584A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77053(P2010−77053)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】