説明

画像形成装置

【課題】記録部材として厚手の用紙を用いた場合でも,良好な画質の画像を形成できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明のカラープリンタ1は,2次転写ローラ41と中間転写ベルト11との間に用紙Pを挟んで搬送しつつ転写処理を行うとともに,定着部36も用紙Pを挟んで搬送しつつ定着処理を行うものであり,用紙Pの撓みの有無を検出する用紙センサ47と,2次転写ローラ41に取り付けられた圧接機構とを有し,定着部による用紙搬送速度を,用紙Pが厚紙である場合には,転写部による用紙搬送速度より遅くし,用紙Pが厚紙でない場合には,用紙Pに撓みがある間は,転写部による搬送速度より速い搬送速度とするとともに,撓みがない間は,転写部による搬送速度より遅い搬送速度とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子写真方式の画像形成装置に関する。さらに詳細には,記録部材へトナー像を転写する転写部材とトナーを記録部材に定着させる定着部材とが,いずれも,ローラ対によって記録部材を搬送しつつ処理を行うものである画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より,電子写真方式の画像形成装置として,転写装置とそれに続く定着装置とがそれぞれローラ対を有し,いずれも用紙を挟んで搬送しつつ処理を行うものがある。これらの装置の間隔が用紙長(搬送方向)より短い場合には,先端が定着装置に挟まれてから後端が転写装置を抜け出すまでの間において,1枚の用紙が両方の装置にそれぞれ挟まれた状態となる。そのため,1枚の用紙が,そのうちの2箇所においてそれぞれ搬送されることになる。
【0003】
しかし,転写装置と定着装置とにおける処理速度は,必ずしも等しいものではないので,上述のような場合には,これらの装置の間で搬送速度を調整する必要がある。例えば,転写装置の搬送速度が転写前のトナー像を担持する像担持体の速度によって決定されるものでは,定着装置の搬送速度を制御することによって,両者の搬送速度が適切な関係の範囲内となるようにしている。
【0004】
通常,定着装置の搬送速度は,転写装置の搬送速度に比較して,やや遅くなるように設定される。これらの間で用紙にテンションを掛けすぎないようにするためである。そのため,用紙は,転写装置と定着装置との間で,搬送経路からやや撓む。この撓みの大きさは,用紙の厚みやコシの程度によってやや異なるものとなる。例えば特許文献1には,撓みの大きさを一定の範囲内となるように維持することにより,転写ズレや用紙のシワ等を防止した技術が開示されている。本文献では,転写装置と定着装置との間で記録部材を撓ませ,その撓み量によって記録部材の厚みを判断するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−134120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,前記した従来の画像形成装置に記録部材としてかなり厚手の用紙を使用した場合,撓みを復元しようとする用紙自身による力がかなり大きい。そのため,撓み量によっては,いずれかのローラ対の間で用紙が滑って,画質不良が発生するおそれがある。特に,転写装置の方へ滑った場合には,転写ズレや色ズレとなって現れるおそれがあるので好ましくない。
【0007】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,記録部材として厚手の用紙を用いた場合でも,良好な画質の画像を形成できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成部と,トナー像形成部によって像担持体上に形成されたトナー像を記録部材に転写する転写回転体と,転写回転体によってトナー像が転写されている記録部材を加熱および加圧することによりトナーを定着させる定着器とを有する画像形成装置であって,転写回転体は,像担持体との間に記録部材を挟んで,像担持体との協働により記録部材を搬送しつつ転写処理を行うものであり,定着器は,記録部材を挟んで搬送しつつ定着処理を行うものであり,転写回転体と定着器との間での記録部材の撓みの有無を検出する撓みセンサと,転写回転体に取り付けられ,転写回転体に対して用紙搬送方向の逆向きの力が作用したときに転写回転体を像担持体に向けて圧接する圧接機構と,撓みセンサによる検出結果を受けて,定着器による記録部材の搬送速度を制御する制御部とを有し,制御部は,定着器による記録部材の搬送速度を,記録部材が厚紙である場合には,転写回転体による搬送速度より遅い搬送速度とし,記録部材が厚紙でない場合には,撓みセンサによって撓みがあると検出されている間は,転写回転体による搬送速度より速い搬送速度とするとともに,撓みセンサによって撓みがないと検出されている間は,転写回転体による搬送速度より遅い搬送速度とするものである。
【0009】
本発明の画像形成装置によれば,記録部材は,転写回転体と像担持体との間および定着器によってそれぞれ挟まれ,搬送される。記録部材が厚紙である場合には,定着器による搬送速度が転写回転体による搬送速度より遅くされるので,これらの間で記録部材が撓む。本発明によれば,圧接機構を有しているので,撓んだ記録部材によって転写回転体に対して用紙搬送方向の逆向きの力が作用したときに,転写回転体は像担持体に向けて圧接される。従って,記録部材は強く挟まれる。これにより,記録部材の滑りが防止されている。また,記録部材が厚紙でない場合には,撓みセンサの検出結果に応じて,定着器による搬送速度が制御されるので,適切な撓み量を維持するように制御することができる。これらのことから,記録部材として厚手の用紙を用いた場合でも,良好な画質の画像を形成できるものとなっている。
【0010】
さらに本発明では,圧接機構は,支点を中心に回転可能であるとともに,転写回転体を支点以外の箇所で軸支するレバー部材と,転写回転体を像担持体へ向かう向きに付勢する付勢部材とを有し,レバー部材の支点は,用紙搬送方向について転写回転体より上流側で,かつ,転写回転体と像担持体との接触箇所における転写回転体の接線に対し,転写回転体の側に設けられていることが望ましい。
このような圧接機構を有していれば,記録部材の復元力によって転写回転体が用紙搬送方向の逆方向に押圧されると,レバー部材によって転写回転体が像担持体へ押圧される。従って,転写回転体と像担持体との間で記録部材をより強く挟む。従って,これらの間での記録部材の滑りが効果的に防止されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置によれば,記録部材として厚手の用紙を用いた場合でも,良好な画質の画像を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】2次転写部から定着部へ至る範囲を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,本発明を具体化した最良の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,いわゆるタンデム方式のカラープリンタに,本発明を適用したものである。
【0014】
本形態のカラープリンタ1は,その概略構成を図1に示すように,カラー画像の形成が可能ないわゆるタンデム方式の画像形成装置である。図中で中段には,4色の画像形成部が,図中左から右へ,イエロー10Y,マゼンタ10M,シアン10C,ブラック10Kの順に中間転写ベルト11に沿って配置されている。また,カラープリンタ1の図中左下部には,着脱可能な給紙カセット13が,図中右下部には,手差しユニット14がそれぞれ装着されている。
【0015】
イエローの画像形成部10Yは,図1に示すように,感光体21を中心に,帯電部22,現像部24,1次転写部25,クリーナ26を有している。図では,イエローの画像形成部10Yのみに符号を付して説明したが,他の色についても同様の構成となっている。また,露光部23は,各色の画像形成部の下部に設けられ,各色で共通のものとなっている。さらに,中間転写ベルト11の図中で上方には,各色のトナーを貯留するホッパ28Y,28M,28C,28Kが備えられている。
【0016】
さらに,図1中で右側には,用紙搬送経路31,32が設けられている。図中で下から上向きに用紙を搬送する用紙搬送経路31と,図中で上から下向きに用紙を搬送する用紙搬送経路32とが,並べて設けられている。用紙搬送経路32は,両面印刷を行う場合に使用されるものである。用紙搬送経路31,32には,それぞれ複数の搬送ローラ33が設けられている。本形態のカラープリンタ1は,これらの搬送ローラ33を制御することにより,各搬送路31,32に沿って用紙の搬送または停止等を必要に応じて行うことができるようになっている。
【0017】
用紙搬送経路31には,図1に示すように,2次転写部35と定着部36とが配置されている。定着部36は,互いに対向する2つのローラ(加熱ローラ37と加圧ローラ38)によるローラ対を有している。2次転写部35は,2次転写ローラ41を有している。2次転写ローラ41は,中間転写ベルト11を間に挟んで,ベルトローラ42と対向している。画像形成時には,用紙は,中間転写ベルト11と2次転写ローラ41との間の箇所,および,加熱ローラ37と加圧ローラ38との間の箇所においてそれぞれ駆動される。2次転写部35と定着部36との間には,他の搬送ローラは設けられていない。
【0018】
さらに,本形態のカラープリンタ1は,各部を制御するための制御部40を有している。制御部40は,各色の画像形成部の画像形成動作や,2次転写部35,定着部36における処理,および各所の搬送ローラ33等の駆動を制御している。特に本形態では,定着部36の駆動速度の制御によって,2次転写部35と定着部36との間での用紙の搬送速度の制御を行っている。なお,図1では制御部40を図中で右下に示しているが,配置される位置はどこでもよいし,機能を複数の制御部に分けてそれぞれ別の箇所に配置されるものでもよい。
【0019】
さらに,2次転写部35の2次転写ローラ41には,図2に示すように,圧接レバー43および圧接バネ44による圧接機構が設けられている。圧接レバー43は,その長手方向の中央付近に支点45を有し,この支点45を中心として回転可能となっている。支点45は,装置内に固定されている。圧接レバー43の図中で上端部は,2次転写ローラ41の回転軸に対して回転可能に取りつけられている。また,圧接レバー43の図中で下端部には,圧接バネ44の一端部が取り付けられている。圧接バネ44の他端部は,装置内に固定されている。なお,圧接レバー43は,後述するように,実際にはほとんど回転しない。
【0020】
圧接バネ44は,引っ張りバネであり,圧接レバー43の図2中で下端部を図中で右下向きに引っ張っている。従って,圧接レバー43は,圧接バネ44の弾力により,支点45を中心として図中で反時計回りの回転力を受ける。その結果,圧接レバー43の図中上端部は,2次転写ローラ41を図中でほぼ左向きに押している。つまり,2次転写ローラ41は,ベルトローラ42の方へ向かって圧接されている。この圧接機構は,何らかの駆動力を受けるものではなく,単に圧接バネ44の弾力によって圧接されているものである。
【0021】
さらに,図2に示すように,2次転写部35と定着部36との間には,用紙センサ47が配置されている。この用紙センサ47は,図中に破線で囲んで示すように,センス範囲Sにおける用紙の有無を検出するものである。例えば,レバータイプの押圧センサや光透過センサ,反射センサ等を用いることができる。この用紙センサ47のセンス範囲Sは,用紙が2次転写部35と定着部36との間で適度に撓んでいる場合に限り,用紙を検出することができるように設定されている。
【0022】
次に,図2を利用して,2次転写部35と定着部36と用紙センサ47のセンス範囲Sの位置関係について説明する。図中に,2次転写部35と定着部36との間に一点鎖線で示しているのは,最短ルート48である。この最短ルート48は,2次転写部35と定着部36とを,直線で結んだ線である。すなわち,2次転写部35と定着部36との間で最短距離となるルートである。
【0023】
そして,2次転写部35のニップ方向は,この最短ルート48に対して角度が付けられている。図2中の下方に一点鎖線で示しているのがこのニップ方向を示すニップラインQの一部である。このニップラインQとは,2次転写ローラ41とベルトローラ42との接触箇所において,両ローラの回転中心を結んだ線に直交する線のことであり,上記接触箇所における2次転写ローラ41の接線方向でもある。このニップラインQは,図では2次転写部35の下方のみに示しているが,2次転写部35の上方にもその延長線を考えることができる。2次転写部35から送り出された直後の用紙Pは,このニップラインQに沿って図中右上に向かう。
【0024】
そして,センス範囲Sは,図2中で最短ルート48より2次転写部35のニップラインQの側に配置されている。つまり,本形態のニップラインQは,2次転写部35より下流側(図中では上方)に延長すると,最短ルート48より図中で右側を通る。そのため,一枚の用紙Pのうち,先端部が定着部36に,後端部が2次転写部35に,それぞれ挟まれて用紙Pが撓む場合には,ニップラインQの側に撓む。すなわち,図中に実線で示すように,最短ルート48より図中で右側へ撓む。その撓む側に,センス範囲Sが配置されている。従って,本形態では,用紙Pが適度に撓んでいるか否かを,用紙センサ47によって検出することができる。
【0025】
用紙Pとして厚紙を使用した場合,この用紙Pが上記のように撓むと,用紙自身の復元力によって,2次転写部35には用紙搬送方向の逆向きの力が加えられる。用紙Pの復元力が,ニップで受ける摩擦力より大きいと,用紙Pが滑って後退することになるので好ましくない。本形態では,圧接機構を備えているので,2次転写部35に用紙搬送方向の逆向きの力が加わった場合に,ニップの押圧力がより大きくなることによって摩擦力がより大きくなるようにしている。
【0026】
そのために,本形態では,圧接レバー43が,2次転写部35の2次転写ローラ41を,支点45以外の箇所で軸支している。そして,圧接レバー43の支点45の位置は,2次転写ローラ41より用紙搬送方向について上流側で,かつ,ニップラインQより2次転写ローラ41の側である。
【0027】
従って,2次転写ローラ41に用紙搬送方向の逆向きの力が加わると,2次転写ローラ41は,圧接レバー43によってベルトローラ42に向かって押圧される。用紙Pの押し戻す力が大きいほど,2次転写ローラ41はベルトローラ42へとより強く圧接される。従って,用紙Pはより強く挟まれる。従って,2次転写部35のニップにおける用紙の滑りを防止することができる。さらに望ましくは,ニップラインQと圧接レバー43とのなす角度θが,30〜60°の範囲内であるとより効果的である。
【0028】
また,圧接バネ44は,圧接レバー43によって2次転写ローラ41をベルトローラ42に向かって押圧するように配置されていればよい。図2では,2次転写ローラ41の回転中心とベルトローラ42の回転中心とを結ぶ線に略平行に配置されているものを示している。圧接機構の機能としては,この圧接バネ44の弾力は小さいものであっても構わない。あまり強く圧接すると,用紙の搬送の駆動抵抗が大きくなるので好ましくない。圧接バネ44を弱いものとしても,本形態では,必要なときだけ強く圧接できる。また,この圧接バネ44以外に,2次転写ローラ41を適切にベルトローラ42に向けて圧接する部材を有していれば,圧接バネ44はなくてもよい。
【0029】
次に,図1に戻って,このカラープリンタ1によってカラー画像が形成される際の,各部の動作を説明する。各色の感光体21にはそれぞれ,タイミングを合わせてトナー像が形成される。すなわち,帯電部22によって一様に帯電され,続いて露光部23によって露光される。これにより,各色の感光体21の表面には,各色の画像データに基づいた静電潜像が形成される。次に,現像部24によって,その静電潜像にトナーが供給され,感光体21上にトナー像が形成される。
【0030】
一方,画像形成時には,中間転写ベルト11は,図1中に矢印gで示すように,図中反時計回りに回転される。各色の感光体21上にそれぞれ形成されたトナー像は,それぞれの1次転写部25によってタイミングを合わせて中間転写ベルト11上に転写され,互いに重ね合わせられる。これによって,中間転写ベルト11にカラーのトナー像が形成される。なお,1次転写領域を通過した後も感光体21に残留しているトナーは,クリーナ26によって掻き取られる。
【0031】
一方,画像形成されるための記録部材である用紙は,図1中の下方に矢印hで示すように,給紙カセット13または手差しユニット14から1枚ずつ用紙搬送経路31へと引き出される。そして,用紙搬送経路31を2次転写部35へ向かって搬送される。中間転写ベルト11上に重ね合わせられたトナー像は,2次転写部35において,搬送されてきた用紙に転写される。トナー像が転写された用紙は,さらに上方へ搬送されて定着部36に至り,加熱されるとともに加圧される。これにより,トナーが用紙に定着される。そして,画像形成された用紙は,機外に排出される。
【0032】
本形態では,制御部40は,搬送中の用紙Pの厚さの情報と撓みの程度の情報とを受けて,定着部36の搬送速度を制御している。2次転写部35の搬送速度は,中間転写ベルト11の搬送速度によって決定されるので,制御部40は,定着部36の搬送速度を制御することによって,2次転写部35と定着部36との間の用紙Pの搬送状態を制御しているのである。
【0033】
通常,印刷に供される用紙Pの厚さの情報は,印刷前にユーザによって指示入力される。またあるいは,用紙搬送経路31中において,用紙Pの厚さを検出するようにしてもよい。そして,得られた厚さの情報に基づいて,その用紙Pが厚紙であるか否かを判断する。例えば,用紙の厚さがあらかじめ設定された基準値以上である場合に,厚紙と判断する。そして制御部40では,用紙Pが厚紙であるか否かによって,定着部36の搬送速度の制御を異なるものとしている。
【0034】
用紙Pが厚紙ではない場合には,図2に示すように,2次転写部35と定着部36との間において,適度に撓んだ状態となるように搬送する。これにより,これらの間で用紙Pに大きいテンションが掛からないようにしている。用紙Pの撓みは,用紙センサ47によって検出されている。
【0035】
そして,撓みが小さすぎてセンス範囲Sを通過しない場合(用紙センサ47がOFF)には,定着部36の搬送速度をやや落とし,より大きく撓むようにする。例えば,定着部36の搬送速度を,2次転写部35における搬送速度に対して−2.5%の大きさとする。あるいは,用紙Pが適度に撓んでセンス範囲Sを通過している場合(用紙センサ47がON)には,それ以上大きく撓まないように,定着部36の搬送速度をやや上げる。例えば,定着部36の搬送速度を2次転写部35における搬送速度に対して+2.5%の大きさとする。これにより撓みの程度を維持するようにしている。
【0036】
一方,用紙Pが厚紙である場合は,定着部36における搬送速度を,2次転写部35における搬送速度より常に遅い側に設定する。例えば,2次転写部35における搬送速度に対して−2.5%の大きさとする。従って,その用紙Pは,2次転写部35と定着部36との間で必ず撓む。厚紙である用紙Pが撓むと,用紙P自身の復元力によって,2次転写部35に押し戻す力が加わる。本形態では,図2に示すように,2次転写ローラ41に圧接レバー43が取り付けられているので,厚紙の用紙Pの復元力は,2次転写ローラ41をベルトローラ42に向かって圧接する圧接力となる。そして,2次転写ローラ41はベルトローラ42に対して,より強く圧接される。
【0037】
従って,用紙Pが厚紙であっても,滑ることなく搬送することができる。発明者らの実験では,2次転写ローラ41とベルトローラ42と間の圧接力は,普通紙の場合に比較して,厚紙の場合には約8倍となっていた。なお,用紙Pが厚紙の場合,その撓み量は次第に増えることになるが,用紙Pの後端が2次転写部35から抜け出ることによって直ちに撓みは解消されるので,問題はない。
【0038】
これにより,用紙Pの厚さにかかわらず,2次転写部35から定着部36へと用紙Pは滑ることなく搬送され,定着部36においてトナーが定着される。従って,転写処理中の用紙Pの滑りによる画質不良が防止されている。片面のみの印刷指示であれば,その用紙Pはそのまま機外へと排出される。両面印刷の場合には,定着済みの用紙Pは用紙搬送経路32へと引き込まれ,裏面への印刷に供される。
【0039】
以上詳細に説明したように本形態のカラープリンタ1によれば,2次転写部35に圧接レバー43と圧接バネ44とを設けている。また,用紙Pとして厚紙を使用した場合には,定着部36の搬送速度を2次転写部35の搬送速度より遅いものとしている。従って,これらの間で用紙Pに撓みが形成される。この撓んだ用紙Pにより2次転写ローラ41を押し戻す力が働くと,圧接レバー43と圧接バネ44とによって,2次転写ローラ41がベルトローラ42により強く押し付けられる。従って,用紙Pとして厚紙が使用された場合でも,2次転写部35において用紙Pが滑って後退することは防止されている。これにより,記録部材として厚手の用紙を用いた場合でも,良好な画質の画像を形成できるものとなっている。
【0040】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,圧接レバーの形状は図示の例に限らない。撓みの向きも図示のものに限らない。また例えば,本形態のカラープリンタ1は,記録部材に転写されるトナー像を担持する像担持体として,中間転写ベルト11を有するものとした。しかし本発明は,これに限らず,中間転写部材としてベルト状以外の部材を有しているものでもよいし,中間転写部材を有さず,感光体から直接トナー像を用紙に転写するものでもよい。また,転写回転体としては2次転写ローラに限らない。ベルト状の転写部材であってもよい。記録部材への転写処理が行われる箇所を構成する回転体に,本発明の圧接機構を設ければよい。また,カラープリンタに限らず,モノクロプリンタや,コピー機,FAX機やそれらの複合機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 カラープリンタ
10 画像形成部
11 中間転写ベルト
36 定着部
40 制御部
41 2次転写ローラ
43 圧接レバー
44 圧接バネ
45 支点
47 用紙センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成部と,前記トナー像形成部によって前記像担持体上に形成されたトナー像を記録部材に転写する転写回転体と,前記転写回転体によってトナー像が転写されている記録部材を加熱および加圧することによりトナーを定着させる定着器とを有する画像形成装置において,
前記転写回転体は,前記像担持体との間に記録部材を挟んで,前記像担持体との協働により記録部材を搬送しつつ転写処理を行うものであり,
前記定着器は,記録部材を挟んで搬送しつつ定着処理を行うものであり,
前記転写回転体と前記定着器との間での記録部材の撓みの有無を検出する撓みセンサと,
前記転写回転体に取り付けられ,前記転写回転体に対して用紙搬送方向の逆向きの力が作用したときに前記転写回転体を前記像担持体に向けて圧接する圧接機構と,
前記撓みセンサによる検出結果を受けて,前記定着器による記録部材の搬送速度を制御する制御部とを有し,
前記制御部は,前記定着器による記録部材の搬送速度を,
記録部材が厚紙である場合には,前記転写回転体による搬送速度より遅い搬送速度とし,
記録部材が厚紙でない場合には,
前記撓みセンサによって撓みがあると検出されている間は,前記転写回転体による搬送速度より速い搬送速度とするとともに,前記撓みセンサによって撓みがないと検出されている間は,前記転写回転体による搬送速度より遅い搬送速度とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において,
前記圧接機構は,
支点を中心に回転可能であるとともに,前記転写回転体を前記支点以外の箇所で軸支するレバー部材と,
前記転写回転体を前記像担持体へ向かう向きに付勢する付勢部材とを有し,
前記レバー部材の前記支点は,用紙搬送方向について前記転写回転体より上流側で,かつ,前記転写回転体と前記像担持体との接触箇所における前記転写回転体の接線に対し,前記転写回転体の側に設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−257683(P2011−257683A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133927(P2010−133927)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】