説明

画像形成装置

【課題】トナーの付着を防止して正確な温度検出と、これに基づく定着特性の向上を図ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿を走査して原稿上の濃淡情報を得る原稿画像読み取り装置と、前記原稿画像読み取り部で得られた濃淡情報をもとに感光体に帯電状態の潜像として記録し、この感光体にトナーを付着させてこれを記録媒体に転写させる感光・現像装置(140)と、前記トナーが転写された前記記録媒体に前記トナーを熱圧着して定着させる定着装置(160)とを備え、前記定着装置は加熱回転部材(1)と、前記加熱回転部材の下方から押圧する加圧ローラ(2)と、前記加熱回転部材の回転軸を通る水平面よりも下方に設置された、加熱回転部材の温度を測定する非接触温度検出器(12)と、前記非接触温度検出器の上方に設けられ、前記加熱回転部材からの落下物の付着を防止するカバー部材(40)と、を備えたことを特徴とする画像形成装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するもので、特にその定着装置の温度制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、感光ドラム上の光感光体に原稿の像に対応した帯電による潜像を形成し、これにトナーを吸着させ、さらにこのトナーを紙等の記録媒体に転写させ、このトナーを加熱手段で熱定着させるようにして、転写画像を得ている。
【0003】
このような熱定着を行うため、画像形成装置には、通常、加熱手段を有する表面が平滑な定着ローラと、この定着ローラに転写紙を押圧する加圧ローラとを有する定着装置が備えられ、これらの定着ローラと加圧ローラとの間にトナーが転写された転写紙を通過させている。
【0004】
良好な転写画像を得るためには、定着ローラの温度管理がきわめて重要である。
【0005】
このため、従来技術としては次のようなものが知られている。
【0006】
第1に、特開2000−315034号公報に開示されているもので、定着ローラの表面温度を検出する第1の温度検出手段と、設定温度に合わせて温度検出手段の検出結果に基づき定着ローラ用の第1の加熱手段をオン・オフ制御する第1の制御手段と、定着ローラの転写紙搬送方向の上流側に、転写紙上のトナー画像を非接触で加熱溶融するための第2の加熱手段を有する非接触熱供給手段と、この非接触熱供給手段の温度を検出する第2の温度検出手段と、設定温度に合わせて第2の温度検出手段の検出結果に基づき、非接触熱供給手段の温度と定着ローラの表面温度が所定の関係になるように、第2の加熱手段をオン・オフ制御する第2の制御手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−315034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ここで用いられる第1の温度検出手段が定着ローラに接触する形式のものであると、定着画像に温度検出手段の形跡が残ることがある。また、この第1の温度検出手段や非接触熱供給手段の温度を検出する第2の温度検出手段にはトナーが付着しやすく、定着温度の管理を正確に行うことは困難である。さらに、第2の温度検出手段が加熱ローラ上部にある場合、熱対流により温度が上昇してしまい、温度を誤検知してしまうという問題もある。
【0009】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、トナーの付着を防止して正確な温度検出と、これに基づく定着特性の向上を図ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の実施態様によれば、
原稿を走査して原稿上の濃淡情報を得る原稿画像読み取り装置と、
前記原稿画像読み取り部で得られた濃淡情報をもとに感光体に帯電状態の潜像として記録し、この感光体にトナーを付着させてこれを記録媒体に転写させる感光・現像装置と、
前記トナーが転写された前記記録媒体に前記トナーを熱圧着して定着させる定着装置とを備え、
前記定着装置は
加熱回転部材と、
前記加熱回転部材の下方から押圧する加圧ローラと、
前記加熱回転部材の回転軸を通る水平面よりも下方に設置された、加熱回転部材の温度を測定する非接触温度検出器と、
前記非接触温度検出器の上方に設けられ、前記加熱回転部材からの落下物の付着を防止するカバー部材と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる画像形成装置によれば、トナーの付着を防止して正確な温度検出と、これに基づく定着特性の向上を図ることができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の一例としての複写機の概略構造を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施例における定着装置の構造の要部を示す概略正面図である。
【図3】図2の構成を右側面から見た概略側面図である。
【図4】非接触温度検出器の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施例における定着装置の特徴点を示した説明図である。
【図6】非接触温度検出器の汚染の有無による出力特性の相違を示すグラフである。
【図7】非接触温度検出器の位置について熱対流の影響を考慮した場合と考慮しない場合の出力特性の相違を示すグラフである。
【図8】図2に示した構成の変形例である定着装置の構造の要部を示す概略正面図である。
【図9】図2に示した構成の更なる変形例である定着装置の構造の要部を示す概略正面図である。
【図10】本発明の他の実施例における定着装置の基本構成を示す説明図である。
【図11】本発明のさらに他の実施例における定着装置の基本構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例のいくつかを説明する。
【0014】
図1は、本発明が適用される画像形成装置の一例として、タンデム型カラー複写機の概略構造を示す、正面カバーを除いて表した正面図である。
【0015】
図1に示す画像形成装置100は、その本体の上面側に設けられた例えば光学系よりなり原稿を読取る画像入力部110と、本体下部に設けられ同一サイズの紙を多量に給紙するために複数種類の紙を収納する給紙カセット装置120と、種々のサイズや種類の紙をマニュアルにより供給可能な手差し給紙装置130と、画像入力部110により結像された光学像を潜像化して画像として担持すると共に担持された前記潜像を現像材料により現像して画像を形成する画像形成ユニット140と、形成された画像を供給された用紙Pに転写する転写ユニット150と、転写された画像を定着させる定着ユニット160と、を備えている。
【0016】
画像形成ユニット140および転写ユニット150により用紙P上に転写された画像は、定着ユニット160に供給されて定着される。
【0017】
図2は定着ユニット160の一例につき、その主要部の構成を概略的に示す正面図である。
【0018】
この定着ユニット160は、例えば直径40mmの加熱(定着)ローラ1およびこの加熱ローラ1に対向し、これらの間を通過する転写済み用紙6を加熱ローラに対して押しつける、例えば直径40mmの加圧(プレス)ローラ2とを備える。加熱ローラは図示しない駆動モータにより回転軸1aを中心として時計方向に回転されるが、回転軸1aの位置は固定である。一方、加圧ローラ2の軸2aはベアリング3により、支持アーム4に固定されている。この支持アーム4の一端側は回動軸4aとなっており、他端側の下面には圧縮スプリング5が取り付けられている。したがって、加圧ローラ2は加熱ローラ1に対して圧縮スプリング5の付勢による圧力を伴って当接され、反時計方向に回転することになる。
【0019】
加熱ローラ1と加圧ローラ2との接触部(ニップ部)である定着ポイントを用紙6が通過することで、この用紙6上のトナーは融着圧着され、定着が行われる。
【0020】
加熱ローラ1の円筒面上には、加熱ローラ1と加圧ローラ2との接触位置よりも回転方向下流側に、用紙6を加熱ローラ1から剥離させる剥離爪7が設けられている。なお、加熱ローラ表面の材質等から用紙6が加熱ローラ1から容易に剥離可能である場合には、剥離爪7は必ずしも必要は無い。また、加圧ローラ2の円筒面上にも剥離爪を設けることができるが、加圧ローラに用紙が付着しにくい構造、材質であるときは必ずしも設ける必要はない。さらに、加熱ローラ1および加圧ローラ2において、用紙が付着しやすく、剥離が困難であるときには、それぞれ爪を複数個備えることができる。
【0021】
加熱ローラ1の回転先の円筒上には飛散したされたトナーや紙屑等の塵埃を除去するクリーニング部材としてのクリーニングローラ8が設けられる。これは、トナーが加熱ローラに付着していると、定着時に、加熱ローラに付着したトナーが用紙に定着してしまい、画像が劣化が発生するため、これを防止するためである。
【0022】
また、クリーニング部材は非接触温度検出器に対しては必ず上流側に位置させる必要がある。これは、加熱ローラにトナーが付着したままで、非接触温度検出器に達すると、トナーが非接触温度検出器12に付着して、誤検知が発生するおそれがあるためである。
【0023】
このクリーニング部材としては、この図に示されたようなクリーニングローラの他、クリーニングブレードなど、加熱ローラ表面のトナー等の塵埃を効果的に除去できるものであれば、どのようなものでも採用することができる。
【0024】
加熱ローラの上方には、加熱ローラ1の内部の金属材料に対して高周波交流電界を発生させる誘電加熱装置9が設けられ、この誘導加熱装置9は磁気遮蔽可能で渦電流を発生しない材料で形成された遮蔽部材10で遮蔽されている。これは、後述するセンサ自身が誘導加熱の影響で加熱されることを防止するためである。誘導加熱装置の出力は1300W程度のものが用いられるが、これに限られるものではない。
【0025】
さらに、その回転方向の先には加熱ローラ1の表面温度異常を検知して加熱を遮断するサーモスタット11および加熱ローラ1の温度を検出する非接触温度検出器12が設けられている。
【0026】
図3は、図2に示した定着装置を図2に右手方向から回転軸に垂直に見た様子を示す側面図である。
【0027】
図3に示すように、加熱ローラ1の周囲には、回転軸1aに平行な方向に2つのサーモスタット11および3つの非接触温度検出器12が交互に設けられている。これらの個数は加熱ローラの長さ等に応じて適宜選択することができる。数を増加させることにより、加熱ローラ全体の長さにわたっての温度の分布を知ることができ、よりきめ細かい温度制御が可能になるが、制御が複雑になり、コストも上昇するため、最適な数に設定される。
【0028】
この実施例では非接触温度検出器12の高さ位置はほぼ回転軸1aの中心位置であるのに対し、サーモスタット11の高さ位置はそれよりもわずかに高くなっている。これは異常検知をより早くおこなって安全を期するためであるが、誘導加熱による温度の上昇特性等によっては同じ高さ位置とすることもできる。サーモスタット11のわずかに上側には誘導加熱装置の遮蔽部材10が設けられている。
【0029】
次に、温度検出器の位置関係について説明する。
【0030】
一般に、非接触温度検出器は加熱ローラに直接接していないため、加熱ローラとの位置関係を問わず正確に温度を検出することができる。しかし、加熱ローラにより加熱された周囲の空気は対流するため、この対流空気層の範囲内には非接触温度検出器を設けると、正しい温度よりも高い温度を検出してしまう。
【0031】
このため、本発明の一実施例によれば、対流空気層の範囲を避け、加熱ローラ1より5mm以上離れた位置に非接触温度検出器12を設けている。
【0032】
また、一般に加熱ローラには定着不良で発生するトナーが付着しており、回転中に落下する。回転軸中心を通る水平面に相当するよりも下に加熱ローラ1の面が位置するとトナーの落下が始まるため、非接触温度検出器を汚さない様に、加熱ローラ1の中心を通る平面よりも上部に設置する必要がある。また上部方向の範囲を傾き角度45°以内の範囲に設置する。熱対流が発生すると加熱ローラの周辺上に熱対流が発生し、その発生範囲に対し、傾き角度45°以上になると誤検知してしまうからである。
【0033】
したがって、加熱ローラの中心を通る平面よりも上に非接触温度検出器を設置することにより、トナーの付着を防止して正確な温度検出と、これに基づく定着特性の向上を図ることができる。
【0034】
また、非接触温度検出器を加熱ローラから5mm以上離し、加熱ローラの中心を通る水平面から傾き45度以内の位置に設置することにより、加熱ローラが加熱された際の熱対流の影響をなくして、迅速、安定かつ正確な温度検出が可能となり、定着特性の向上やウォームアップ時間の短縮等を図ることができる。
【0035】
さらに、非接触温度検出器をクリーニング手段の下流側に設置することにより、トナー等による汚染を防止して、より正確な温度検出、およびこれに基づく定着特性の向上を図ることができる。
【0036】
図4は図2および図3に示した実施例で用いられる非接触温度検出器12を示す斜視図である。
【0037】
全体として直方体形状をなしており、サーミスタ等の温度センサ121は、センサ自身が誘導加熱装置で加熱されない様、その周囲を磁気遮蔽可能でかつ渦電流を発生しない材料で形成された遮蔽部材122で遮蔽する。このような材料としては、アルミニウム、コア材、珪素鋼板等が用いられる。
【0038】
図5は、図2に示した実施例における構成上の特徴点をまとめた概略図である。
【0039】
まず、非接触温度検出器12は加熱ローラ1に付着したトナーの落下の影響を受けないように、加熱ローラ1の中心位置よりも高い位置に配置され、その配置範囲は、加熱ローラ1の中心を基準として45度の範囲である。
【0040】
また、加熱ローラ1による空気の対流で引き起こされる温度の変動を防止するため、非接触温度検出器12は加熱ローラの表面より5mm以上離隔して配置される。
【0041】
さらに、非接触温度検出器12のトナーによる汚染を防止するため、非接触温度検出器12よりも加熱ローラ1の回転方向上流側にはクリーニングローラ8がもうけられている。
【0042】
このような構成により、トナーによる汚染と加熱ローラからの熱が対流により伝達されることを防止し、正確かつ安定した定着動作を可能とする。
【0043】
図6および図7は以上のような種々の対策をとった場合の効果を示すグラフである。
【0044】
図6は非接触温度検出器を加熱ローラの中心高さ位置よりも上方でかつクリーニング手段の下流側に配置したことの効果を、このような対策をとらずに検出器がオイルで汚染された場合およびトナーで汚染された場合と比較したグラフである。
【0045】
この図から、上述の対策をとって検出器の汚染を防止したことにより、汚染による検出温度の低下の影響がなくなったことがわかる。
【0046】
図7は加熱ローラからの対流による熱影響を避けるため、加熱ローラから少なくとも5mm離した場合の非接触温度検出器の検出温度を、従来の加熱ローラに近接配置させた温度検出器の検出温度と比較したものである。
【0047】
このグラフによれば、従来の近接配置の場合には熱対流による温度のばらつきが見られるが、本発明の実施例では、熱対流による温度変動を排除して安定した温度検出が可能であることがわかる。
【0048】
図8は図2に示した定着装置の変形例を示す構成図であって、図2に示されたのと同じ構成要素には同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0049】
この実施例では加熱手段として、誘導加熱ではなく、赤外線ランプを用いている。赤外線ランプ14は加熱ローラの上方に設けられ、その周囲には内面に反射面を持つ反射鏡で構成されたカバー15が設けられ、熱効率の向上を図っている。カバー15内面の反射鏡は赤外線ランプ14からの光が加熱ローラ1の表面に集光するように曲率および位置が決められている。
【0050】
このような赤外線ランプによる加熱は局所的ではあるが、加熱ローラが時計方向に回転することにより加熱部分が加熱ローラと加圧ローラの接触位置まで移動し、周囲の空気の対流を起こす点では同じである。このため、サーモスタット16および非接触温度検出器17は、図2に示した実施例の場合と同様に、加熱ローラの中心位置よりも上で、この中心を基準として上方45度までの範囲に設置されている。ただし、この実施例では誘導加熱手段を有しておらず、サーモスタット16および非接触温度検出器17は、誘導加熱の影響を受けないので、図4に示す遮蔽型のものとはなっていないが、遮蔽型のものを用いても良い。
【0051】
図9は図2に示した定着装置の他の変形例を示す構成図であって、図2に示されたのと同じ構成要素には同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0052】
この実施例では、加熱手段は図2におけるローラではなく、ベルト21となっている。ベルト21はゴム等の可撓性材料ベルト21aと、その表面に形成された金属ベルト21bとなっている。このベルト21は駆動軸23と従動軸22との間に懸架されている。
【0053】
なお、駆動軸23は図6において従動軸22よりも右上方位置に設けられ、駆動軸23から従動軸22に向かう位置にその進行方向に沿って誘電加熱装置9、サーモスタット11、非接触温度検出器12が設けられている。サーモスタット11および非接触温度検出器12と従動軸22との高さ位置関係は、図2に示した実施例の場合と同様に、従動軸の中心位置よりも上で、この中心を基準として上方45度までの範囲に設置されている。
【0054】
図10および図11は、これまでの実施例とは異なる解決法に基づく定着ユニットのさらに他の実施例を示す概略構成図である。
【0055】
図10を参照すると、非接触温度検出器12を加熱ローラ1の中心を通る平面から45度以内の範囲で加熱ローラ1の表面から5mm以上離隔して、クリーニングローラ8の下流側に配置した点は図2,図8に示した実施例と同様であるが、加熱ローラ1の加熱により生じる対流を強制的に非接触温度検出器から遠ざけるためのファン30が設けられた点が特徴である。このファンは熱対流方向変更手段の一態様である。
【0056】
ファン30の設置位置は、加熱ローラを中心として非接触温度検出器12の対称位置が熱対流を効果的に吸引できるため、好ましい。
【0057】
なお、ここでは熱対流方向変更手段をファンとして例示しているが、熱対流が非接触温度検出器の方向に向かわないよう、流れの方向を変化させるものであればどのようなものでも良い。例えば適当な送風ガイドとともに用いれば吸引ファンの代わりに送風ファンを用いたり、送風設備から加熱ローラの上部に外気を導くことにより、熱対流の方向を変化させることができる。
【0058】
さらに、ファンの駆動を他の要因で変化させるように駆動することができる。例えば、非接触温度検出器の温度を確認して、その温度が高いときには熱対流の影響を受けているものと認めて、ファンを駆動させるようにし、あるいは待機状態と通紙時とでのファンの駆動回転数を変えることができる。
【0059】
この実施例では、加熱ローラの加熱により発生する熱対流を非接触温度検出器の方へ向かわないように流れ方向を変化させているので、熱対流による温度検出への影響を防止し、迅速、安定かつ正確な温度検出が可能となり、定着特性の向上やウォームアップ時間の短縮を図ることができる。
【0060】
図11は、本発明のさらに他の実施例を示すもので、これまでの実施例とは非接触温度検出器の取り付け位置が異なっている。すなわち、これまでの実施例では、非接触温度検出器は加熱ローラの中心を通る平面よりも上側に位置していたが、この実施例では下側に位置している。
【0061】
これまでの実施例で上側にしていた理由は、加熱ローラに付着したトナーが自然落下して非接触温度検出器を汚染する可能性があるためであり、熱対流の影響はむしろ下側の方が影響が少ないものと考えられる。
【0062】
そこで、この実施例では、加熱ローラの中心を通る平面よりも下側に非接触温度検出器を配置し、その上にトナー付着防止のためカバー部材40を設けている。このカバー部材40は、加熱ローラの加熱に用いられる誘導加熱装置によって非接触温度検出器自体が加熱されないように、磁気遮蔽可能で渦電流を発生しない材料で形成された部材で形成すれば、図4に示す遮蔽型の温度検出器でない通常の温度検出器を用いることもできる。
【0063】
この実施例によれば、加熱ローラの中心を通る水平面よりも下側に非接触温度検出器を設け、その上にカバーを設けているので、加熱ローラからトナーが落下してもその付着を防止し、かつ熱対流による影響を防止しているので、迅速、安定かつ正確な温度検出が可能となり、定着特性の向上やウォームアップ時間の短縮を図ることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 ローラ
2 加圧(プレス)ローラ
2a 軸
4 支持アーム
4a 回動軸
5 圧縮スプリング
6 用紙
8 クリーニングローラ
9 誘電加熱装置
10 遮蔽部材
11、16 サーモスタット
12、17 非接触温度検出器
14 赤外線ランプ
21 ベルト
21a 可撓性材料ベルト
21b 金属ベルト
30 ファン
40 カバー部材
100 画像形成装置
110 画像入力部
120 給紙カセット装置
121 温度センサ
122 遮蔽部材
130 手差し給紙装置
140 画像形成ユニット
150 転写ユニット
160 定着ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を走査して原稿上の濃淡情報を得る原稿画像読み取り装置と、
前記原稿画像読み取り部で得られた濃淡情報をもとに感光体に帯電状態の潜像として記録し、この感光体にトナーを付着させてこれを記録媒体に転写させる感光・現像装置と、
前記トナーが転写された前記記録媒体に前記トナーを熱圧着して定着させる定着装置とを備え、
前記定着装置は
加熱回転部材と、
前記加熱回転部材の下方から押圧する加圧ローラと、
前記加熱回転部材の回転軸を通る水平面よりも下方に前記回転部材から離隔して設置された、加熱回転部材の温度を非接触で測定する非接触温度検出器と、
前記非接触温度検出器の上方に設けられ、前記加熱回転部材からの落下物の付着を防止するカバー部材と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カバー部材は電磁遮蔽材料で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−39563(P2011−39563A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261687(P2010−261687)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【分割の表示】特願2005−80202(P2005−80202)の分割
【原出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】