説明

画像形成装置

【課題】画像のがさつき、先端欠け、吸い込み、掃き寄せ等の画質を低下させる現象の発生を抑制し、高画質の画像を安定して形成する画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体と電極との間でトナーを往復運動させるトナー再配置における前記電極の電極条件を、該電極にトナー付着を起こさないような条件に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真プロセスにより記録材上に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスでは、周知のように像担持体上に静電潜像が形成され、形成され静電潜像が現像されてトナー像が形成される。形成されたトナー像は紙等の記録材に転写される。
【0003】
高画質化が進み、特に、カラー画像の高画質化が進んだ結果、写真画像や模様画像の精細な表現が可能となってきている。
【0004】
しかしながら、写真画像、模様画像等の面画像、特に、面画像の中間濃度部における画質を向上する際に、磁気ブラシ現像において起こる画像のがさつきが問題となっている。
【0005】
特許文献1、2では、画像のがさつきを抑制するために、現像装置の下流に電極を像担持体に対向して設置し、該電極に交番電圧を印加することにより、トナーを前記像担持体と前記電極との間で往復移動させることが提案されている。
【0006】
画像のがさつきは、均一濃度となるべき部分のトナー分布が不均一になることが原因と考えられるが、特許文献1、2では、トナーを往復運動させることで、トナー分布を均一化し、がさつきを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−372964号公報
【特許文献2】特開平6−274040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
写真画像、模様画像等の面画像を磁気ブラシ現像で現像した場合に、特許文献1、2で指摘されているがさつきの他に面画像の端部や高濃度部と低濃度部との境界部において、濃度が低下して濃度不足部が発生するという問題がある。また、局部的な濃度過剰も発生する。
【0009】
特許文献1、2では、トナー像を形成しているトナーを往復運動させることにより、がさつきを防止し、画質を向上している。この技術は、現像により像担持体上に付着したトナーを交番電界の作用で往復運動させ再配置することにより、トナーを均し、がさつきを防止するものである。しかるに、前記に説明した濃度不足、濃度過剰やがさつきを防止するには、前記電極に印加される交番電圧の電圧や周波数など前記電極の電極条件が適切であることが必要である。
【0010】
特許文献2においては、電極に印加される交番電圧のピーク電圧、周波数、画像コントラスト電位、像担持体と電極間の間隔等の間の関係を所定のものとすることによりがさつきを防止している。
【0011】
発明者の検討によれば、局部的な濃度不足、局部的な濃度過剰、がさつき等を防止するには、電極へのトナー付着を起こさない電極条件でトナーを往復運動させる必要があることが明らかとなった。しかるに、特許文献2では、電極へのトナー付着とは無関係に電極条件が設定されている。
【0012】
このために、特許文献2の方法では、局部的な濃度不足、局部的な濃度過剰、がさつき等のように画質を低下させる現象を防止することができない。
【0013】
本発明は、写真画像や模様画像等の面画像を形成する場合に生ずる局部的な濃度不足、局部的な濃度過剰、がさつき等を防止し、高画質の画像を安定して形成することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的は下記の発明により達成される。
【0015】
1.像担持体と、
該像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
該像担持体に担持されている静電潜像を現像して、前記像担持体上にトナー像を形成する現像装置と、
該現像装置に対して、前記像担持体の移動方向下流側に位置し、前記像担持体に対向して配置された電極と、
該電極に少なくとも交番電圧を印加する電源と、
を備え、
前記潜像形成装置により前記像担持体上に静電潜像を形成し、前記現像装置で現像することにより前記像担持体上にトナー像を形成し、前記電源により前記電極に少なくとも交番電圧を印加して、前記像担持体と前記電極との間でトナーを往復運動させるトナー再配置をトナー像に対して行って画像を形成する画像形成装置であって、
前記像担持体上に形成された基準パターンのトナー像のトナーを検知するトナーセンサと、
該トナーセンサの検知結果に基づいて、前記電極へのトナー付着を検知するトナー付着検知部と、
前記トナー付着検知部による前記電極へのトナー付着の検知結果に基づいて前記電源を制御する電源制御部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0016】
2.前記現像装置は磁気ブラシ現像を行うことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0017】
3.前記電源制御部は、前記トナー付着検知部によりトナー付着が検知された場合に、トナーの往復運動を小さくする制御を行うことを特徴とする前記1又は前記2に記載の画像形成装置。
【0018】
4.前記電源制御部は、前記交番電圧のピーク電圧又は前記交番電圧の周波数を制御することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0019】
5.前記トナーセンサは、トナーの反射光強度を検知することによりトナーを検知することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0020】
6.前記トナーセンサは、トナー像の高さを検知することによりトナーを検知することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0021】
7.前記トナーセンサは、トナーを担持している前記像担持体の表面電位を検知する電位センサからなることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0022】
8.前記基準パターンのトナー像が2個形成され、前記トナー付着検知部は、前記トナー再配置を受けた1個の前記基準パターンのトナー像のトナーを検知した前記トナーセンサの出力力と、前記トナー再配置を受けない他の1個の前記基準パターンのトナー像のトナーを検知した前記トナーセンサの出力との差に基づいて、前記電極へのトナー付着を検知することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0023】
9.前記像担持体の1回目の移動時に、前記トナー再配置を受けない前記基準パターンのトナー像のトナーを前記トナーセンサにより検知し、
前記像担持体の2回目の移動時に、前記トナー再配置を受けた前記基準パターンのトナー像のトナーを前記トナーセンサにより検知し、
前記トナー付着検知部は、前記像担持体の1回目の移動時の検知結果と、前記像担持体の2回目の移動時の検知結果とに基づいて、前記電極へのトナー付着を検知することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0024】
10.前記トナーセンサは、前記像担持体の移動方向に関して前記電極の上流に配置された上流トナーセンサと、前記像担持体の移動方向に関して前記電極の下流に配置された下流トナーセンサとを有し、
前記トナー付着検知部は、前記トナー再配置を受けない前記基準パターンのトナー像のトナーを検知した前記上流トナーセンサの出力と、
前記トナー再配置を受けた前記基準パターンのトナー像のトナーを検知した前記下流トナーセンサの出力とに基づいて、前記電極へのトナー付着を検知することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0025】
11.前記電極に付着したトナーをクリーニングするクリーニング工程を有することを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0026】
12.前記電極に付着したトナーをクリーニングする電極クリーニング部材を備えることを特徴とする前記1〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明においては、像担持体上に基準パターンのトナー像を形成し、形成されたトナー像のトナーをトナーセンサで検知し、検知結果からトナー往復運動させる電極へのトナー付着の有無を検知している。そして、トナー付着の有無の検知結果により前記電極の電極条件を設定している。これにより、常に適正な前記電極条件のもとでトナーを往復運動させるトナー再配置が行われ、高画質の画像が安定して形成される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】先端欠けと、吸い込みと、掃き寄せを説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図4】電極へのトナー付着検知制御のフローチャートである。
【図5】基準パターンのトナー像の例を示す図である。
【図6】トナーセンサの例を示す図である。
【図7】図6に示すトナーセンサの出力を示すグラフである。
【図8】画像形成工程のフローチャートである。
【図9】基準パターンのトナー像の例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の他の例の全体構成を示す図である。
【図11】トナーセンサの例を示す図である。
【図12】図11に示すトナーセンサの出力を示すグラフである。
【図13】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の他の例の全体構成を示す図である。
【図14】図13に示すトナーセンサの出力を示すグラフである。
【図15】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の他の例の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<画像形成装置>
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【0030】
静電潜像及びトナー像を担持する像担持体としての感光体1は、OPC感光体からなり、導電性のドラム基体上に形成された有機感光層を表面に有する。
【0031】
2はスコロトロン帯電器からなる帯電装置、3はレーザ、発光ダイオードアレイ等を光源とする露光装置であり、画像データに基づいて発光し感光体1を露光する。帯電装置2と露光装置3とは、感光体1上に静電潜像を形成する潜像形成装置を構成する。
【0032】
4は、現像装置であり、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤で磁気ブラシを形成し現像を行う。4Aは、現像剤を現像領域に搬送し、現像領域において現像剤の磁気ブラシを支持する現像剤担持体としての現像ローラである。
【0033】
4Bは、現像磁極、現像剤搬送磁極等の複数の磁極を有する磁界形成部としての磁石ロールであり、現像ローラ4Aの中に固定配置される。
【0034】
現像ローラ4Aには電源4Cにより直流電圧に交番電圧が重畳された現像バイアスが印加される。
【0035】
現像ローラ4Aは回転して現像剤を現像領域に搬送する。感光体1と現像ローラ4Aとが対向する現像領域においては、磁石ローラ4Bの現像磁極により磁気ブラシが形成され、磁気ブラシ現像が行われる。図示の例では現像ローラ4Aは現像領域において、感光体1と反対方向に移動するが、現像ローラ4Aを感光体1と同方向に移動させる現像方式を採ることもできる。
【0036】
前者の現像方式は逆回転現像方式と呼ばれ、後者の現像方式は正回転現像方式と呼ばれる。
【0037】
図示の現像装置4では、負帯電トナーを用いて負電荷からなる静電潜像を現像する反転現像が行われる。
【0038】
5は半導電性の転写ベルトであり、記録材Pの搬送をするとともに、トナー像を感光体1から記録材Pに転写する。転写ベルト5には転写位置において、バックアップローラ7により転写電圧が印加される。6は感光体1をクリーニングするクリーニング装置である。
【0039】
矢印のように反時計方向に感光体1が回転し、帯電装置2による帯電及び露光装置3による露光で、感光体1上に静電潜像が形成される。実施の形態においては、感光体1は負に帯電され、感光体1上には、負電荷からなる潜静電像が形成される。現像装置4においては、負帯電トナーにより潜像が現像される。現像により感光体1上に形成されたトナー像は転写ベルト5とバックアップローラ7とからなる転写装置により記録材Pに転写される。転写後の感光体1はクリーニング装置6によりクリーニングされる。
【0040】
感光体1の移動方向に関して、現像装置4の下流に、電極10が配置される。電極10には、AC電源からなる電源10Aと、DC電源からなる電源10Bとにより、交番電圧に直流電圧が重畳された電圧を印加することができる。
【0041】
電極10と、電源10Aと、電源10Bとは、感光体1上に形成されたトナー像を構成しているトナーを再配置するトナー再配置部を構成する。
【0042】
20は感光体1上のトナーの濃度を検知するトナーセンサである。
<トナー再配置>
写真画像、模様画像等の面画像を磁気ブラシ現像によりトナー像を形成する場合、局部的な濃度不足である先端欠け、吸い込みや局部的な濃度過剰である掃き寄せなど、画質を低下させる現象が発生する。図2を用いて、先端欠け、吸い込み及び掃き寄せを説明する。図2は、基準パターンの画像データを用いて画像書き込みを行い、現像したトナー像を示す。
【0043】
図2(a)は、正しい画像、即ち、画像データを忠実に再現した画像を示し、図2(b)は磁気ブラシ現像により形成されたトナー像であって、画質を低下させる現象が発生したトナー像の濃度プロファイルを示す。基準パターンは図2(a)に示すように、高濃度部DHと、低濃度部DLと、中間濃度部DMとからなる。
【0044】
図2(b)は現像により形成されたトナー像の濃度を検知した図1におけるトナーセンサ20の出力で示している。トナーセンサ20の出力は、高濃度で低く、低濃度で高い。
【0045】
磁気ブラシ現像では、感光体1上に形成されたトナー像が、磁気ブラシにより摺擦されて、磁気ブラシが感光体に対して相対的に移動する方向に移動するという現象が起こる。その結果、トナー像の先端部にトナーが不足する部分Aができて、トナー像の先端部の濃度が低下する。図2(b)のAで示す先端欠けはこのようなメカニズムで起こると考えられる。
【0046】
また、高濃度部と低濃度部との境界部では、低濃度部を形成しているトナーが高濃度の静電潜像が形成する電界に引き寄せられるとともに、高濃度の画像を現像することによりトナーを失ったキャリアにカウンターチャージが発生し、該カウンターチャージによりトナーが引き寄せられて、トナーが低濃度部から高濃度部に移動する。結果として、低濃度部と高濃度部とか隣接する場合における境界部においてBで示す濃度の低下が起きる。図2(b)のBで示す吸い込みはこのようなメカニズムで起こると考えられる。
【0047】
さらに、磁気ブラシの摺擦による結果として、トナーが掃き寄せられて画像の後端部に高濃度部Cが形成される掃き寄せが起こる。
【0048】
矢印は感光体1に対する磁気ブラシの相対的な移動方向を示すが、感光体1を基準として見たとき、逆回転現像方式においては、感光体1は図2(b)において、座標軸上右方向に移動するので、Aの部分が画像先端となる。したがって、逆回転現像方式では、先端欠けは画像の先端部において発生し、吸い込みは高濃度部に隣接する低濃度部の先端部において発生し、掃き寄せは画像の後端部に発生する。これに対して正回転現像方式においては、感光体1よりも現像ローラ4Aの移動速度が大きいために、先端欠けは画像の後端部において発生し、吸い込みは高濃度部に隣接する低濃度部の後端部において発生し、掃き寄せは画像の先端部に発生する。
【0049】
図2に示されていないが、磁気ブラシによる摺擦の結果として、均一濃度に形成されるべき画像が不均一濃度に形成されるがさつきが発生する。
【0050】
以上説明した現象、即ち、先端欠け、吸い込み、掃き寄せ、がさつき等は、電極10を用いたトナー再配置により修復することができる。
【0051】
次に、トナー再配置による画像修復について説明する。
【0052】
電極10と感光体1との間に交番電界を形成することにより、トナー像が電極10と感光体1との間を通過する際にトナーが電極10と感光体1との間で往復運動する。この往復運動により、面画像を形成しているトナーの分布が均されて均一化する。その結果、先端欠け、吸い込み、掃き寄せ、がさつき等が修復されて高画質の画像が形成される。このように、感光体1と電極10との間でトナーを往復運動させて画像を修復することをトナー再配置と呼ぶ。トナー再配置では、電極10に少なくとも交番電圧が印加されるが該交番電圧に直流電圧を重畳してもよい。
【0053】
前記に説明したトナー再配置においては、電極10の電極条件が適正であることが必要であり、該電極条件が適正でないと良好な画像修復は行われない。
【0054】
電極10には、電源10A、10Bにより直流電圧に交番電圧が重畳された電圧が印加されるが、適正な電極条件となるような電極条件の調整は、前記交番電圧のピーク値及び前記交番電圧の周波数の少なくともいずれか一つを調整することにより行われる。
【0055】
電極条件が適正でないと電極10にトナーが付着する。電極10に付着したトナーはトナー像を形成していたトナーであり、トナー再配置においてトナー像からトナーが奪われることになって画質を低下させる。したがって、トナー再配置では電極10にトナーを付着させないことが必要である。
【0056】
電極条件の調整はこのような条件を満たすように行われる。即ち、電極10の電極条件の調整では、トナー再配置において電極10にトナーが付着しない電極条件が設定される。
【0057】
このために基準パターンのトナー像を形成し、形成されたトナー像に対してトナー再配置が実行される。さらに、トナー再配置における電極10へのトナー付着の有無が検知され、トナー付着の有無の検知結果を電極10の電極条件の設定にフィードバックすることにより、電極10へのトナー付着を起こさない電極条件が設定される。具体的には、電極10へのトナー付着が検知された時には、電源10Aの出力のピーク電圧を低くする又は電源10Aの出力の周波数を高くする、という方向での調整が行われる。ピーク電圧を低くする又は、周波数を高くする調整は、トナー再配置において、トナーの往復運動を小さくする方向での調整である。
【0058】
次に、電極10の電極条件を調整する調整制御について、図3、4を用いて説明する。
【0059】
図3は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御系のブロック図である。
【0060】
図3において、制御部CSは画像形成や次に説明する電極条件の調整において画像形成装置の各部を制御する。制御部CSにはトナー付着検知部CSAと電極条件を制御する電源制御部CSBとが設けられる。トナー付着検知部CSAは電極10へのトナー付着の有無を検知し、電源制御部CSBはトナー付着検知部CSAの検知結果に基づいて電源10Aを制御する。電源10Aの制御により電極10の電極条件が調整される。EFは図1における帯電装置2と露光装置3とからなる潜像形成装置である。MTは図1における現像ローラ4Aを回転駆動するモータである。
【0061】
図4は基準パターンのトナー像を用いて電極10へのトナー付着の有無を検知する制御のフローチャートである。
【0062】
ステップST1において、感光体1上に基準パターンのトナー像が形成される。図5に基準パターンの一例を示す。図5において、PT1、PT2は基準パターンのトナー像であり、例えば、サイズ:5mm×5mm、均一な中間濃度の画像からなる。感光体1上には基準パターンのトナー像PT1と基準パターンのトナー像PT2が形成されるトナー像PT1と、トナー像PT2とは同一濃度であり、感光体の移動方向に並んで配置される。
【0063】
ステップST2において、トナー再配置が行われる。ST2では、電源10Aが所定の交番電圧を出力し、電源10Bが所定の直流電圧を出力する。前記所定の交番電圧と前記所定の直流電圧は初期値として電極10に印加される。なお、ST2では、基準パターンのトナー像PT1が電極10の位置を通過する際には、電極10には電圧が印加されず、トナー像PT2が通過する際に前記所定の交番電圧及び前記所定の直流電圧が電極10に印加される。
【0064】
ステップST3において、基準パターンのトナー像を形成しているトナーの検知が行われる。このトナー検知は、基準パターンのトナー像PT1、PT2を形成しているトナーの量をトナーセンサ20で検知することにより行われる。ST3では、トナー再配置が行われないトナー像PT1のトナーと、トナー再配置が行われたトナー像PT1のトナーとが検知される。
【0065】
図6はトナーセンサ20の一例の構成を示す。図6に示すように、トナーセンサ20はLEDからなる発光素子20Aとホトトランジスタからなる受光素子20Bとを有する。発光素子20Aから光の反射光を受光素子20Bにより受光して、感光体1上のトナーの濃度が検知される。トナーの量はトナーの濃度に比例するので、トナーセンサ20のトナー濃度の検知により、感光体1上のトナーの量が検知される。
【0066】
トナーセンサ20は図7に示す電圧を出力するが、図示のように、出力電圧がトナー量に反比例する範囲がトナー再配置作用の検知に用いられる。即ち、トナーセンサ20の出力がトナー量に反比例するように、基準パターン用の画像データの値が設定される。なお、図7(a)はイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーに対する検知出力であり、図7(b)は黒トナーに対する検知出力である。カラー画像形成においては、各色のトナー像について、トナー像PT1、PT2を形成し、トナー像PT1、PT2を形成しているトナーの量が検知される。
【0067】
図7において、t1はトナー再配置を受けていない基準パターンのトナー像PT1のトナー量であり、t2はトナー再配置を受けている基準パターンのトナー像PT2のトナー量である。
【0068】
ステップST4において、電極10へのトナー付着がされる。t1に対応するセンサ出力v1とt2に対応するセンサ出力v2との差v2−v1が、感光体1から電極10に移ったトナーの量を表している。図3におけるトナー付着検知部CSAは差v2−v1を計算する。差v2−v1は感光体1から電極10に移ったトナーの量を表すので、差v2−v1の計算により電極10へのトナー付着が検知される。
【0069】
図8は電極条件を適正化する制御が組み込まれた画像形成工程のフローチャートである。なお、以下の制御は図3の制御部CSにより行われるが、この制御のうちの電源10A、10Bの制御は電源制御部CSBにより行われる。
【0070】
ステップST11において、最高濃度補正が行われる。最高濃度補正は、例えば、図1における現像ローラ4Aの回転速度を調整することにより行われ、所定の最高濃度を出すように現像ローラ4Aの回転速度が調整される。この回転速度の調整はモータMTを制御することにより行われる。
【0071】
ステップST12において、電源10Bの出力Vdce、即ち、電極10に印加される直流電圧が設定される。出力Vdceは現像ローラ4Aのバイアスの直流成分Vdcを基準として設定される。例えば、現像ローラ4Aに印加されるバイアスの直流成分Vdcに所定値を加えた電圧が電源10Bの出力Vdceとして設定される。
【0072】
ステップST13において、電源10Aの出力のピーク電圧Vace、即ち、電極10に印加される交番電圧のピーク値が設定される。ピーク電圧Vaceとしては、図8の制御の開始時における現状ピーク電圧が用いられる。
【0073】
ステップST14において、電極10へのトナー付着が検知される。トナー付着の検知は図4に示し前記に説明したトナー付着検知、即ち、基準パターンのトナー像PT1、PT2の形成とトナーセンサ20により感光体1上のトナー検知とトナー像PT1、PT2に対するトナーセンサ20の出力の差の計算とを行うステップである。
【0074】
ステップST15において、トナー付着の有無が判断される。この判断では、トナーセンサ20の出力の差v2−v1が所定値以上か否かを見ることにより行われる。電圧差v2−v1が所定値以上であれば、トナー付着有り、所定値未満で有ればトナー付着無しと判断される。
【0075】
トナー付着無しと判断された場合には(ST15のNo)、ステップST18のプリント、即ち、画像形成が行われる。画像形成においては、ST12において設定された出力Vdce及びST13において設定されたピーク電圧Vaceからなる電極条件でトナー再配置が行われる。なお、図8の例では、トナー再配置における電極条件のうちの交番電圧の周波数及び直流電圧は一定である。
【0076】
トナー付着有りと判断された場合には(ST15のYes)、ステップST16において電極10をクリーニングするクリーニング工程であるトナー吐き出しが行われる。ST16のトナー吐き出しは次のように行われる。
【0077】
電源10Aが交番電圧を出力するとともに、電源10Bがトナーと同極性の電圧を出力する。図示の例では、電源10Bが負の電圧を出力する。このような電極条件により電極10上のトナーが感光体1に移動して電極10がクリーニングされる。
【0078】
ステップST17において、電極10に印加される交番電圧のピーク値の調整が行われる。この調整においては、電源10Aの出力のピーク電圧Vaceが初期値より所定値だけ、例えば、50V低い値に調整される。この調整はトナー再配置においてトナーの往復運動を小さくするものであり、電極10へのトナーの付着を抑制する方向の調整である。
【0079】
ST17において、電極条件を調整した後ST14に移行し、以後ST14〜ST17が繰り返される。
【0080】
ST17における電極条件の調整を含む工程の繰り返しにより、トナー再配置における電極10へのトナー付着を起こさない電極条件下でトナー再配置が実行され、先端欠け、吸い込み、掃き寄せ、がさつき等の画質を低下させる現象を防止した画像形成が行われる。
<本発明の他の実施の形態>
本発明を、一実施の形態を用いて説明したが、本発明の他の実施の形態を以下に説明する。
【0081】
図9は基準パターンを用いた電極10へのトナー付着検知の第2例を示す。
【0082】
図1における感光体1上に図9に示す1個の基準パターンのトナー像PTが形成される。
【0083】
基準パターンが形成された感光体1を2回転させ、1回目の回転時には、トナー再配置を実行しないで、基準パターンのトナー像TPのトナーを図1のトナーセンサ20で検知する。
【0084】
2回目の回転時に、電極10の電極条件をトナー再配置の電極条件を設定して、基準パターンのトナー像PTに対してトナー再配置を実行する。トナー再配置後の基準パターンのトナー像PTのトナーをトナーセンサ20で検知する。
【0085】
感光体1の1回目の回転時のトナーセンサ20の出力と、感光体1の1回目の回転時のトナーセンサ20の出力との差から電極10へのトナー付着を検知する。この場合、1個の基準パターンのトナー像によりトナー付着が検知されるので、検知誤差が少ない。
【0086】
図10は基準パターンを用いた電極10へのトナー付着検知の第3例を示す。
【0087】
図10において、図1と同一部品は同一符号が付されている。図10においては、電極10の上流に上流トナーセンサ201が、下流に下流トナーセンサ202がそれぞれ配置される。図10の例では、感光体1上に1個の基準パターンのトナー像が形成される。
【0088】
上流トナーセンサ201は、電極10によりトナー再配置を受けない基準パターンのトナー像のトナーを検知し、下流トナーセンサ202は、電極10によりトナー再配置を受けた基準パターンのトナー像のトナーを検知する。
【0089】
上流トナーセンサ201の出力と下流トナーセンサ202の出力との差から電極10へのトナー付着が検知される。この場合、1個の基準パターンのトナー像を用い、感光体の1回の回転でトナー付着検知を行うことができるので、処理に要する時間を短くすることができる。
【0090】
図11はトナー像の高さを検知することにより感光体上のトナーの量を検知するトナーセンサの例を示す。図11において、21aは半導体レーザからなる発光素子、21bは位置センサ(PSD)からなる受光素子、21cは発光素子21aを駆動する駆動回路、21dは増幅回路、21eは演算制御回路、21fはコリメータレンズ、22gは結像レンズである。
【0091】
発光素子21aからの光ビームを感光体1上のトナー像TZに照射し、トナー像TZの光学像を受光素子21b上に結像させる。受光素子21bはその受光面における光ビームの入射位置に応じた電圧を出力する。
【0092】
トナー像TZの高さが、h1、h2、h3のように異なる場合は、受光素子21bにおける光ビームの入射位置が変化して受光素子21bはh1、h2、h3に対応した異なる電圧を出力する。演算制御回路21eは受光素子21bを出力からトナー像TZの高さの計測値を出力する。なお、受光素子21bとしては、図示の位置センサに代えて、CCD等の撮像素子を用いることができる。
【0093】
このようにして、トナーセンサ21はトナー像の高さを検知する。トナー像の高さは感光体上のトナーの量に比例するので、図11に示すトナーセンサ21により、トナーの量が検知される。トナーセンサ21は感光体1上のトナーの量を高い精度で検知することができる。
【0094】
図12は図9のトナーセンサ21の出力を示す。図12において、縦軸はトナーセンサ21により検知されたトナー像の高さであり、横軸はトナー量である。また、h1はトナー再配置を受けていないトナー像の高さであり、h2はトナー再配置を受けたトナー像の高さである。図12におけるトナー像の高さの差h1−h2からトナー再配置における電極10へのトナー付着が検知される。
【0095】
図13、14は電位センサからなるトナーセンサを用いた例を示す。
【0096】
22は感光体1の表面の電位を検知する電位センサである。図14は感光体1上のトナーの量と電位センサ22の出力との関係を示しており、u1はトナー再配置を受けていないトナー像の電位であり、u2はトナー再配置を受けたトナー像の電位である。図14に示す電位センサ22の出力の差u1−u2から電極10へとトナー付着が検知される。
【0097】
図15は電極10をクリーニングする電極クリーニング部材を有する画像形成装置の例を示す。
【0098】
図15において、23はスポンジ、不織布又はブラシからなる電極クリーニング部材であり、電極10は実線で示す作動位置から点線で示すクリーニング位置へと移動可能である。電極10を電極クリーニング部材23に接触させ、移動させることにより、電極10がクリーニングされ、電極10に付着したトナーが除去される。図8のステップST16において、電極10に付着しているトナーを除去するトナー吐き出しが行われるが、このトナー吐き出しに代えて、或いは、図8のトナー吐き出しと併せて図15において電極10を実線の位置から点線の位置に移動させてクリーニングを行い電極10に付着しているトナーを除去することができる。
【実施例】
【0099】
実施例では図1に示す画像形成装置が下記の条件で用いられた。
共通条件:
・環境: NN
・感光体直径: 60mm
・現像ローラ直径: 25mm
・現像ローラ表面速度: 720mm(逆転現像)
・現像ローラ〜感光体隙間: 0.30mm
・現像ローラ上現像剤搬送量: 220g/m
・画像形成装置: モノクロ80ppm機(プロセス速度400mm/s)
・トナー径: 6.5μm
・キャリア径: 33μm
・トナー濃度: 7質量%
・現像器中現像剤量: 1000g
・テストスタート時 電極条件: 直流電圧dce −600V、交番電圧ピーク値Vace 2.5kV 周波数=9kHz gap(感光体1と電極10間の間隔)=0.3mm
・がさつき、掃き寄せ評価パターン
・書き込みdpi=600で200lpiのラインスクリーン、濃度data=180/255、の基準パターンのトナー像を形成し、形成されたトナー像の画質を評価した。
比較例:電極の汚れ検知、検知結果に基づく電極条件の制御ともに無し
実施例:1000p印字毎に、電極汚れを検知し、電極に印加される交番電圧のピーク値を調整する電極条件の調整にフィードバックする図8に示す制御を行った。図8のST17における調整量を−50Vとした。
【0100】
なお、トナー付着検知は、図9に示す基準パターンを用いて行った。
【0101】
評価結果を表1に示す。表1に示すように比較例では電極にトナー堆積が発生し、電極に付着したトナーにより、カバレッジ30%という高印字率画像のプリントにおいて、掃き寄せ、がさつきが発生した。これに対して、実施例においては、高印字率プリントにおいても、掃き寄せ、がさつきが発生せず、5000プリントを通じて高い画質の画像が形成された。
【0102】
【表1】

【符号の説明】
【0103】
1 感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
10 電極
4C、10A、10B 電源
CS 制御部
CSA トナー付着検知部
CSB 電源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
該像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
該像担持体に担持されている静電潜像を現像して、前記像担持体上にトナー像を形成する現像装置と、
該現像装置に対して、前記像担持体の移動方向下流側に位置し、前記像担持体に対向して配置された電極と、
該電極に少なくとも交番電圧を印加する電源と、
を備え、
前記潜像形成装置により前記像担持体上に静電潜像を形成し、前記現像装置で現像することにより前記像担持体上にトナー像を形成し、前記電源により前記電極に少なくとも交番電圧を印加して、前記像担持体と前記電極との間でトナーを往復運動させるトナー再配置をトナー像に対して行って画像を形成する画像形成装置であって、
前記像担持体上に形成された基準パターンのトナー像のトナーを検知するトナーセンサと、
該トナーセンサの検知結果に基づいて、前記電極へのトナー付着を検知するトナー付着検知部と、
前記トナー付着検知部による前記電極へのトナー付着の検知結果に基づいて前記電源を制御する電源制御部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像装置は磁気ブラシ現像を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電源制御部は、前記トナー付着検知部によりトナー付着が検知された場合に、トナーの往復運動を小さくする制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電源制御部は、前記交番電圧のピーク電圧又は前記交番電圧の周波数を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナーセンサは、トナーの反射光強度を検知することによりトナーを検知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナーセンサは、トナー像の高さを検知することによりトナーを検知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナーセンサは、トナーを担持している前記像担持体の表面電位を検知する電位センサからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記基準パターンのトナー像が2個形成され、前記トナー付着検知部は、前記トナー再配置を受けた1個の前記基準パターンのトナー像のトナーを検知した前記トナーセンサの出力力と、前記トナー再配置を受けない他の1個の前記基準パターンのトナー像のトナーを検知した前記トナーセンサの出力との差に基づいて、前記電極へのトナー付着を検知することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体の1回目の移動時に、前記トナー再配置を受けない前記基準パターンのトナー像のトナーを前記トナーセンサにより検知し、
前記像担持体の2回目の移動時に、前記トナー再配置を受けた前記基準パターンのトナー像のトナーを前記トナーセンサにより検知し、
前記トナー付着検知部は、前記像担持体の1回目の移動時の検知結果と、前記像担持体の2回目の移動時の検知結果とに基づいて、前記電極へのトナー付着を検知することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記トナーセンサは、前記像担持体の移動方向に関して前記電極の上流に配置された上流トナーセンサと、前記像担持体の移動方向に関して前記電極の下流に配置された下流トナーセンサとを有し、
前記トナー付着検知部は、前記トナー再配置を受けない前記基準パターンのトナー像のトナーを検知した前記上流トナーセンサの出力と、
前記トナー再配置を受けた前記基準パターンのトナー像のトナーを検知した前記下流トナーセンサの出力とに基づいて、前記電極へのトナー付着を検知することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記電極に付着したトナーをクリーニングするクリーニング工程を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記電極に付着したトナーをクリーニングする電極クリーニング部材を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−48049(P2011−48049A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195201(P2009−195201)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】