説明

画像形成装置

【課題】通常速度と高速度の異なる印字速度モードのいずれのモードで印字しても安定した濃度での印字が可能な二成分現像剤方式の画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1の攪拌搬送部材16は現像槽57a内の現像剤を螺旋状フィン63で攪拌しながら矢印h、i、jで示す左側へ搬送して現像ローラ15に供給する。現像ローラ15で感光体ドラム10を現像したのち槽内に戻されたキャリアは現像剤に混合され、第1の循環口74から現像槽57bに送り戻され、補給口75からトナーを補給される。現像槽57b内の第2の攪拌搬送部材17は槽内の現像剤を螺旋状フィン65で攪拌しながら矢印m、n、oで示す右側へ搬送して第2の循環口79から現像槽57aに送り出す。第1の循環口74は通常印字モードのとき可動内壁72と共に第1及び第2の現像槽57a及び57bを狭める方向に移動し、高速印字モードのとき可動内壁72と共に第1及び第2の現像槽57a及び57bを広める方向に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常速度と高速度の異なる印字速度モードのいずれのモードで印字しても安定した濃度での印字が可能な二成分現像剤方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置がある。この画像形成装置は、一般に感光体ドラムを一様に帯電させて初期化し、この感光体ドラムに光書込みによって静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー像化して、そのトナー像を直接または間接に用紙等の転写材に転写して定着器で定着させる。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成装置には、トナーのみから成る一成分現像剤を用いるものと、トナーとキャリアから成る二成分現像剤を用いるものとがある。近年、要望が強い印字(以下、印刷ともいう)処理の高速化に対処するには二成分現像剤を用いる方式の方がよく対応できる。
【0004】
上記の二成分現像剤のキャリアは、現像器内でトナーと混合撹拌されてトナーに所定の電荷を与える。電荷を与えられたトナーはキャリアの表面に一時的に付着してキャリアの表面を被覆する。
【0005】
磁性体の現像ローラに付着したキャリアは電荷を帯びたトナーを感光体上に運び、感光体上の静電潜像にトナーを転移させて静電潜像上にトナー像を現像させる。
【0006】
表面のトナーを放出したキャリアは現像ローラ上に残り、再び現像器内に戻って現像器に補給される新たなトナーと再び混合撹拌され、トナーに電荷を与え、そのトナーを感光体上に運ぶ、というように繰り返し使用される。
【0007】
現像器へのトナーの補給はトナー供給装置から行われる。トナー供給装置から現像器へのトナーの補給路には、コイルスクリューを内蔵したパイプやトナーの重力による自然落下経路が用いられる。
【0008】
そして現像器にはトナー混合撹拌機構が内蔵されている。トナー混合撹拌機構は2つあり、1つはトナー供給装置から供給(補給)されたトナーを、トナー濃度の低下した二成分現像剤(以下、単に現像剤という)と混合撹拌しながら搬送する循環搬送スクリューである。
【0009】
2つ目は、循環搬送スクリューで送り込まれた現像剤を攪拌搬送しながら磁性体の現像ローラに供給して、残余の現像剤を循環搬送スクリューに送り戻す供給搬送スクリューである。
【0010】
ここで、現像器の現像剤中のトナー濃度が高すぎると地汚れ等が発生する。逆にトナー濃度が低すぎると高濃度な画像が得られない。したがって高画質な画像を得るためには、現像器内の現像剤のトナー濃度を一定範囲内に制御することが必要である。
【0011】
そこで、このような現像剤を使って画像形成を行う電子写真方式の画像形成装置の現像器では、印字して消費したトナー量を測定するためのトナー濃度センサが設けられている。そしてトナー濃度が所定以下に低いことが検知されると現像器にトナーを補給するようにしている。
【0012】
一般に、トナー濃度センサには透磁率を検知するセンサが使用される。この透磁率の検知には、コイルのインダクタンス成分を利用するものや、周波数型、磁気ブリッジ型など、いくつかの方式がある。
【0013】
いずれにしても、トナー濃度センサとしては、現像器の内壁面の一部に検知面を露出させ、この検知面周辺の現像剤中のキャリアからの透磁率の変化を検知する。すなわち、トナー濃度が高いと透磁率が下りセンサ出力は弱くなる。トナー濃度が低いと透磁率が上がりセンサ出力は強くなる。
【0014】
このようなトナー濃度センサでは、その検知面に現像剤が滞留すると正確なトナー濃度を検知することができなくなる。正確なトナー濃度を検知できないと、トナー補給量の制御に誤作動を招くことになる。
【0015】
そこで、現像器内の現像剤を撹拌しながら循環搬送する循環搬送スクリューの軸部のトナー濃度センサの検知面と対向する位置に、弾性体シート材を軸部に対して平行になるように固定してトナー濃度センサの検知面をクリーニングするようにしたものが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平05−150650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、近年のように全てにわたって処理の速度が速まってくると、通常速度のプリンタ、複写機、FAX等の画像形成装置を使用しているときに、多枚数の印字が必要になったとき、印字速度を上げたいという要望が強くなってくる。
【0018】
ところが、画像形成装置の高速専用機は高価で大型で且つ広い設置場所が必要である。常日頃は安価で小型で小さな設置場所で使用できる通常速度の画像形成装置で十分間に合うのに、一時的に発生する多枚数の印字のために高速専用機を設置することは不経済であって採用できない。
【0019】
そうすると、通常速度の画像形成装置に特別に、印字速度が通常速度と高速度の2通りに変化する印字モードを設けて、一時的に高速度の印字処理をさせることが考えられる。この場合、高速度の印字処理では、現像器の循環搬送スクリュー、供給搬送スクリュー、磁性体現像ローラ等の回転速度も高速回転に変化させる必要がある。
【0020】
そうすると、通常速度の印字に適するように設計されている現像器内で、循環搬送スクリューや供給搬送部スクリューが高速に回転する分だけ、現像器内を循環する現像剤の総量が不十分になる。
【0021】
現像器内を循環する現像剤量が不十分であると、トナー濃度センサで検出するトナー濃度値が低く測定されてしまう問題が発生する。実際のトナー濃度は適正であるのに、検出されるトナー濃度値が低いと、現像器にトナーが補給されるから、現像剤中のトナー濃度が高くなって地汚れ等の不具合が発生する。
【0022】
これでは、せっかくトナー濃度センサの検知面をクリーニングして適正なトナー濃度を検知しようとしても、印字速度を高速に切り替えた際に、トナー濃度センサが適正なトナー濃度を検知できなくなって、形成される画像の品質が低下する。
【0023】
したがって、通常速度の印字を行う画像形成装置に一時的であるにせよ高速度の印字処理をさせることはできないということになる。つまり通常速度の画像形成装置を使用しているときに、多枚数の印字が必要になったとき、印字速度を上げたいという要望に対処できないという課題があった。
【0024】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、通常速度と高速度の異なる印字速度モードのいずれのモードで印字しても安定した濃度での印字が可能な二成分現像剤方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、二成分から成る現像剤を用い、基準処理速度で印字する通常印字モードと該通常印字モードよりも高速な処理速度で印字する高速印字モードとを備えた画像形成装置に配設され上記現像剤を攪拌搬送する第1及び第2の現像槽を備える現像器であり、上記第1の現像槽に配置され、感光体ドラムに上記現像剤のトナーを供給する現像ローラと、該現像ローラと共に上記第1の現像槽に配置され、上記現像剤を攪拌搬送しながら該現像剤を上記現像ローラに供給する第1の攪拌搬送部材と、上記第2の現像槽に配置され、上記第1の攪拌搬送部材から上記現像ローラに供給した残余の上記現像剤を第1の循環口から送り戻され、送り戻された上記現像剤を、トナー濃度が正常なときはそのまま、トナー濃度が低いときはトナー補給口から補給されたトナーと混合撹拌しながら搬送して第2の循環口から上記第1の攪拌搬送部材に向けて送り出す第2の攪拌搬送部材と、を備え、上記第1の循環口は、上記通常印字モードのときは可動内壁と共に上記第1及び第2の現像槽を狭める方向に移動し、上記高速印字モードのときには上記可動内壁と共に上記第1及び第2の現像槽を広める方向に移動するように構成される。
【0026】
この画像形成装置におおいて、例えば、上記第2の循環口は、上記第1の循環口に連動して上記通常印字モードのときは半開し上記高速印字モードのときには全開するシャッタを備えるように構成される。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、通常速度と高速度の異なる印字速度モードのいずれのモードで印字しても安定した濃度での印字が可能な二成分現像剤方式の画像形成装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】実施例1に係るプリンタの制御装置を含む回路ブロック図である。
【図3】(a),(b)は実施例1に係るプリンタの現像器を感光体ドラムと共に示す拡大断面図である。
【図4】(a),(b)は実施例1に係るプリンタの現像器を図3(b)の矢印gで示す方向に切断して内部構成と現像剤の還流経路とを示す断面図である。
【図5】(a),(b)は図4(a),(b)に示す現像器の内部構成と現像剤の還流経路における他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の実施例では、トナーとキャリアから成る二成分現像剤が使用されるが、以下の説明では二成分現像剤を単に現像剤という。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0031】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、で構成されている。
【0032】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の転写ベルト8の下部走行部表面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9y、9m、9c、9k)を多段式に並設した構成からなる。この画像形成部2は、図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0033】
上記4個の現像装置9のうち下流側(図の右側)の3個の現像装置9y、9m及び9cは、それぞれ減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0034】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)のトナー用の現像装置9kを例にしてその構成を説明する。
【0035】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0036】
現像器14は、現像ローラ15の下方に位置する2つの現像槽内に、第1の攪拌搬送部材16、及び第2の攪拌搬送部材17を備えている。第1及び第2の攪拌搬送部材16及び17については詳しくは後述する。
【0037】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印a及びbで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ18と従動ローラ19を備えている。
【0038】
上記の転写ベルト8は、下方を循環移動するベルト表面に、ユニットと一体に組み込まれて転写ベルト8を介して感光体ドラム10に圧接する一次転写ローラ21によりトナー像を直接転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への二次転写部23まで搬送する。
【0039】
この転写ベルトユニット3には、駆動ローラ18に掛け渡されている表面に、ベルトクリーナ24のクリーニングブレード25が当接して配置されている。ベルトクリーナ24の下方には廃トナー回収容器26が着脱自在に配置されている。
【0040】
ベルトクリーナ24は、クリーニングブレード25が転写ベルト8の表面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、その廃トナーを搬送部材により下方の廃トナー回収容器26に送り込んでいる。
【0041】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行部の上方に配置されている4個のトナーホッパー27(27y、27m、27c、27k)で構成される。4個のトナーホッパー27y、27m、27c、27kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを収容している。
【0042】
トナー供給部4は、同図にY、M、C、K(以下、関連する記載を「YMCK」として表わす)で示すようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれかのトナーを、不図示のトナー供給路を介して現像装置9の現像器14に供給する。
【0043】
給紙部5は、1個の給紙カセット29を備えている。給紙カセット29の給紙口(図の右方)近傍には、用紙取出ローラ31、給送ローラ32、捌きローラ33、待機搬送ローラ対34が配置されている。
【0044】
待機搬送ローラ対34の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト8を介して従動ローラ19に圧接する二次転写ローラ35が配設されて、前述した用紙への二次転写部23を形成している。
【0045】
この二次転写部23と最下流の現像装置9mとの略中間位置で、転写ベルト8の下部走行部表面8aに近接して、拡散反射型濃度センサ36が配設されている。また、二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。
【0046】
ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する不図示の搬出ローラ対及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する不図示の排紙ローラ対が配設されている。排紙トレー37より右方に位置する本体上面端部はやや傾斜して操作パネル部38が配置されている。
【0047】
図2は、上記のプリンタ1の制御装置を含む回路ブロック図である。図2に示すように回路ブロックは、CPU(central processing unit)42を中心にして、このCPU42に、それぞれデータバスを介してインターフェイスコントローラ(I/F_CONT)43及びプリンタコントローラ(PR_CONT)44が接続されている。PR_CONT44にはプリンタ印字部45が接続されている。
【0048】
また、CPU42には、ROM(read only memory)46、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)47、本体操作部の操作パネル38、各部に配置されたセンサからの出力が入力されるセンサ部49が接続されている。
【0049】
ROM46には、システムプログラムが記憶され、CPU42は、このシステムプログラムに従って各部を制御して処理を行う。
【0050】
すなわち、各部において、先ず、I/F_CONT43は、例えばパーソナルコンピュータ等のホスト機器から供給される印字データをビットマップデータに変換し、フレームメモリ51に展開する。フレームメモリ51は、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)ごとに記憶エリアが設定されており、各色のデータが対応するエリアに展開される。
【0051】
フレームメモリ51に展開されたデータはPR_CONT44に出力され、PR_CONT44からプリンタ印字部45に出力される。
【0052】
プリンタ印字部45は、エンジン部であり、PR_CONT44からの制御の下で、図1に示した感光体ドラム10、一次転写ローラ21等を含む不図示の回転駆動系、帯電ローラ12、光書込ヘッド13等の被駆動部を有する画像形成部、転写ベルトユニット3の上下移動や転写ベルト8の回転を駆動する不図示の駆動部を備えている。
【0053】
更に、プリンタ印字部45は、ベルト式定着ユニット6のベルト駆動を行うベルト駆動部52や、現像器14のモータ等を駆動するトナー供給部モータ駆動部53や、後述する可動内壁を移動させる可動内壁駆動部51、シャッタ部材を開閉駆動するシャッタ開閉駆動部54を備えている。
【0054】
更に、プリンタ印字部45は、用紙取出ローラ22〜排紙ローラ対31等の回転駆動される各部からなる搬送機構、発熱駆動及び回転駆動されるベルト式定着ユニット6などのプロセス負荷への駆動出力を制御する。
【0055】
そして、PR_CONT44から出力されたブラック(K)、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色のデータは、プリンタ印字部45からそれぞれ対応する図1に示した光書込ヘッド13に供給される。
【0056】
図3(a),(b)は、上記現像器14を感光体ドラム10と共に示す拡大断面図である。図3(a)に示すように、現像器14は、外壁フレーム55と内部隔壁56とで仕切られる2つの現像槽57(57a、57b)を備えている。
【0057】
上方の第1の現像槽57aには、前述した現像ローラ15と第1の攪拌搬送部材16が配置されている。現像ローラ15には、ドクターブレード58が当接している。下方の第2の現像槽57bには前述した第2の攪拌搬送部材17が配置されている。この現像槽57bにはトナー濃度センサ59がその検知面61を槽内に露出して配置されている。
【0058】
第1の攪拌搬送部材16は、回転軸62とこの回転軸62に螺旋状に固設された螺旋状フィン63とで構成されている。第2の攪拌搬送部材17は、回転軸64とこの回転軸64に螺旋状に固設された螺旋状フィン65とで構成されている。
【0059】
もし、現像剤のトナー濃度が規定以下に薄くなっていれば、トナー濃度センサ59がトナー濃度低下を検出する。トナー濃度低下が検出されると、トナー供給部4の当該現像器14に対応するトナーホッパー27から後述する補給口を介してトナーが補給される。
【0060】
上記のトナー濃度センサ59の検知面61は槽内に露出して配置されているので、現像剤が検知面61に滞留しやすい。現像剤が検知面61に滞留するとトナー濃度センサ59の検知精度が低下する。
【0061】
このトナー濃度センサ59の検知精度の低下を防止するために、現像槽57b内の第2の攪拌搬送部材17の回転軸64には、トナー濃度センサ59の検知面61に対向して回転する位置に、ブレード保持部66とこのブレード保持部66に保持された弾性体シート(ブレード)67から成るクリーニングブレード68が固設されている。
【0062】
クリーニングブレード68は、攪拌搬送部材17の回転軸64と共に回転し、図3(b)に示すように、トナー濃度センサ59の検知面61を弾性体シート67により摺擦して、検知面61に滞留しようとする現像剤を払い飛ばして、直後に搬送されてくる現像剤と入替える。これにより、トナー濃度センサ59の検知面61に現像剤が滞留することによって生じる虞のあるトナー濃度の誤検知を防止している。
【0063】
図4(a),(b)は、上記の現像器14を図3(b)の矢印gで示す方向に切断して内部構成と現像剤の還流経路とを示す断面図である。図4(a),(b)には、図3(a),(b)に示した構成と同一の構成部分には図3(a),(b)と同一の番号を付与して示している。また、図4(a),(b)ではクリーニングブレード68の図示は省略している。
【0064】
図4(a)に示すように、現像ローラ15の両端部は、回転軸69を介し現像器14の外壁フレーム55の現像ローラ支持部55a、55bにより回転可能に支持されている。回転軸69の一方(図4(a),(b)で左方)の端部は、現像ローラ支持部55bよりも更に延び出して形成され、先端部にギア71を備えている。
【0065】
現像器14の外壁フレーム55は、現像ローラ15の回転軸69が現像ローラ支持部55bよりも更に延び出して形成されているのと同様に左方に延び出して、延出外壁フレーム55cを形成している。
【0066】
延出外壁フレーム55cで形成されるフレーム内部には、可動内壁72が配設されている。可動内壁72は、図4(a)に示すように第1の現像槽57a及び第2の現像槽57bを狭める位置(通常処理位置)と、図4(b)に示すように第1の現像槽57a及び第2の現像槽57bを広める位置(高速処理位置)とに移動可能に構成されている。
【0067】
この可動内壁72は、内部隔壁56の内部に後端部を滑動自在に挿入されているシャッタ部材73と連結されている。シャッタ部材73の可動内壁72との連結部には第1の循環口74が形成されている。
【0068】
現像槽57bの第1の循環口74の下方には補給口75が連結されている。トナー濃度センサ59によりトナー濃度の低下が検出されると、この現像器14に対応するトナー供給部4のトナーホッパー27から補給口75を介してトナーが補給される。
【0069】
上記第1の攪拌搬送部材16の回転軸62は、一方の端部を、現像ローラ支持部55aと同じ側の外壁フレーム55に回転可能に支持され、他方の端部を延出外壁フレーム55cと可動内壁72によって回転可能に支持されている。
【0070】
第1の攪拌搬送部材16の回転軸62の延出外壁フレーム55cよりも外に出る外端部62aには駆動中継ギア76が固設されている。また、第2の攪拌搬送部材17の回転軸64の延出外壁フレーム55cよりも外に出る外部軸64aには、外部係合ギア77と駆動伝達ギア78が固設されている。
【0071】
外部係合ギア77は、プリンタ1本体装置側の不図示の駆動系に係合して回転し、第2の攪拌搬送部材17を回転させると共に駆動伝達ギア78を回転させる。駆動伝達ギア78は第1の攪拌搬送部材16の回転軸62の駆動中継ギア76に噛合して、駆動中継ギア76に回転駆動を伝達する。
【0072】
駆動中継ギア76は、第1の攪拌搬送部材16を回転させると共に、駆動伝達ギア78からの回転駆動をギア71に中継する。ギア71は現像ローラ15を回転させる。
【0073】
図3(a)及び図4(a)において、第1の攪拌搬送部材16は、図3(a)の矢印cで示すように図3(a)の反時計回り方向に回転し、現像槽57a内の現像剤を螺旋状フィン63で攪拌しながら図3(a)の矢印eで示すように図の紙面奥行き方向手前から向こう側(図4(a)では矢印h、i、jで示す左側)へ搬送し、その現像剤を現像ローラ15に供給する。
【0074】
現像ローラ15は、現像剤のトナーのみを図1及び図3(a),(b)に示す感光体ドラム10に供給して、感光体ドラム10周面上の静電潜像をトナー像化(現像)する。トナーのみを感光体ドラム10に引き取られた現像ローラ15上の現像剤のキャリアは、現像槽57a内の現像剤に混合される。
【0075】
現像剤は、図3(a),(b)の紙面奥行き方向向こう側(図4(a)では左側)の第1の循環口74から矢印kで示すように現像槽57bに送り戻される。
【0076】
この現像槽57b内の第2の攪拌搬送部材17は、図3(a)の矢印dで示すように図3(a)の反時計回り方向に回転し、現像槽57b内の現像剤を螺旋状フィン65で攪拌しながら矢印fで示すように図3(a)の紙面奥行き方向向こう側から手前側(図4(a)では矢印m、n、oで示す右側)へ搬送する。
【0077】
第2の攪拌搬送部材17は、現像剤を攪拌搬送しながら、図3(a),(b)の紙面奥行き方向手前側(図4(a),(b)では右側)の第2の循環口79から、矢印pで示すように現像剤を現像槽57aに送り出す。このように、現像剤の還流とトナーの補給が繰り返されて、トナーによる現像が逐次進行する。
【0078】
ところで、本例のプリンタ1が二成分現像剤を用いて印字処理をすることは前述した。更に本例のプリンタ1は、二成分現像剤を用いて印字処理をするに際し、基準処理速度で印字処理する通常印字モードと通常印字モードよりも高速な処理速度で印字処理する高速印字モードとを備えている。
【0079】
第1の循環口74は、通常印字モードのときは、図4(a)に示すように、可動内壁72と共に第1及び第2の現像槽57a及び57bを狭める方向に移動する。また、第1の循環口74は、高速印字モードのときには、図4(b)に示すように、可動内壁72と共に第1及び第2の現像槽57a及び57bを広める方向に異動する。
【0080】
このように、本例のプリンタ1は、高速印字モードにおいては、通常印字モードのときよりも、現像器14の現像槽(第1及び第2の現像槽57a及び57b)の容積が増加する。
【0081】
現像器14の現像槽の容積が増加すると、現像槽内の現像剤の総量が増加する。現像剤の総量が増加すると、同一のトナー濃度においても、現像槽内を循環する単位時間当たりのトナー量が増加する。
【0082】
単位時間当たりのトナー量が増加すれば、高速印字モードで現像ローラから感光体ドラムに高速でトナーを供給しても、現像槽内を高速循環する現像剤の単位時間当たりの循環トナー量が増加しているから、現像用トナーに不足を来たすことはない。
【0083】
また、第1の循環口74は可動内壁72と共に第1及び第2の現像槽57a及び57bを広める方向、つまり循環路を長くする方向に移動するため、高速搬送しても補給口75から補給されるトナーをトナー濃度センサ59の位置まで攪拌搬送する距離が長くなるので、現像剤を十分に攪拌して適正なトナー濃度の現像剤とすることができる。
【0084】
これにより、高速印字モードにおいても現像槽内を高速循環する現像剤が常に適正なトナー濃度で循環するので、トナー濃度センサ59がトナー濃度を誤検知する可能性が解消される。
【0085】
したがって、高速印字モードであっても、通常印字モードのときと同様の駆動条件でトナー濃度センサを駆動でき、且つトナー濃度を誤検知することがないので、常に適正な濃度のトナー像を現像して、常に適正な階調の画像を形成することができる。
<変形例>
【0086】
図5(a),(b)は、図4(a),(b)に示す現像器の内部構成と現像剤の還流経路における他の例を示す図である。なお、図5(a),(b)に示す構成は、一部を除いて図4(a),(b)に示す構成と同一であるので、説明に必要な部分にのみ図4(a),(b)と同一の番号、又は新たな番号を付与して示している。
【0087】
図5(a),(b)において、シャッタ部材73は、内部隔壁56の内部を第2の循環口79まで付き抜いて設けられている。第2の循環口79まで付き抜いたシャッタ部材73の端部は、通常印字モードでは図5(a)に示すように、第2の循環口79の約1/2を閉じるシャッタ74aを形成する。つまり、第2の循環口79は通常印字モードでは半開している。
【0088】
そして、図5(b)に示す高速印字モードでは、シャッタ部材73が可動内壁72と共に延出外壁フレーム55cの端面まで、つまり第2の循環口79から最も遠退く位置まで移動するので、その移動に伴われてシャッタ部材73のシャッタ74aは内部隔壁56の内部に引き込まれる。これにより、第2の循環口79は高速印字モードでは全開する。
【0089】
このように構成しても、現像剤が高速循環するときの現像剤の循環量を増やすことができるので、上述したと同一の原理で、高速印字モードにおいて、トナー濃度センサがトナー濃度を低く測定してしまう誤検知を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、二成分現像剤を使用する電子写真方式の複写機、ワードプロセッサ、ファクシミリ、レーザービームプリンタ、LEDプリンタ等に利用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 フルカラー画像形成装置(プリンタ)
2 画像形成部
3 転写ベルトユニット
4 トナー供給部
5 給紙部
6 ベルト式定着ユニット
8 転写ベルト
8a 下部走行部表面
9(9m、9c、9y、9k) 現像装置
10 感光体ドラム
11 クリーナ
12 帯電ローラ
13 光書込ヘッド
14 現像器
15 現像ローラ
16 第1の攪拌搬送部材
17 第2の攪拌搬送部材
18 駆動ローラ
19 従動ローラ
21 一次転写ローラ
23 二次転写部
24 ベルトクリーナ
25 クリーニングブレード
26 廃トナー回収容器
27(27m、27c、27y、27k) トナーホッパー
29 給紙カセット
31 用紙取出ローラ
32 給送ローラ
33 捌きローラ
34 待機搬送ローラ対
35 二次転写ローラ
36 拡散反射型濃度センサ
37 排紙トレー
38 操作パネル部
42 CPU(central processing unit)
43 インターフェイスコントローラ(I/F_CONT)
44 プリンタコントローラ(PR_CONT)
45 プリンタ印字部
46 ROM(read only memory)
47 EEPROM(electrically erasable programmable ROM)
48 センサ部
49 フレームメモリ
51 可動内壁駆動部
52 ベルト駆動部
53 トナー供給部モータ駆動部
54 シャッタ開閉駆動部
55 外壁フレーム
55a、55b 現像ローラ支持部
55c 延出外壁フレーム
56 内部隔壁
57 現像槽
57a 第1の現像槽
57b 第2の現像槽
58 ドクターブレード
59 トナー濃度センサ
61 検知面
62 回転軸
62a 外端部
63 螺旋状フィン
64 回転軸
65 螺旋状フィン
66 ブレード保持部
67 弾性体シート(ブレード)
68 クリーニングブレード
69 回転軸
71 ギア
72 可動内壁
73 シャッタ部材
73a シャッタ
74 第1の循環口
75 補給口
76 駆動中継ギア
77 外部係合ギア
78 駆動伝達ギア
79 第2の循環口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分から成る現像剤を用い、基準処理速度で印字する通常印字モードと該通常印字モードよりも高速な処理速度で印字する高速印字モードとを備えた画像形成装置に配設され前記現像剤を攪拌搬送する第1及び第2の現像槽を備える現像器であり、
前記第1の現像槽に配置され、感光体ドラムに前記現像剤のトナーを供給する現像ローラと、
該現像ローラと共に前記第1の現像槽に配置され、前記現像剤を攪拌搬送しながら該現像剤を前記現像ローラに供給する第1の攪拌搬送部材と、
前記第2の現像槽に配置され、前記第1の攪拌搬送部材から前記現像ローラに供給した残余の前記現像剤を第1の循環口から送り戻され、この送り戻された前記現像剤を、トナー濃度が正常なときはそのまま、トナー濃度が低いときはトナー補給口から補給されたトナーと混合撹拌しながら搬送して第2の循環口から前記第1の攪拌搬送部材に向けて送り出す第2の攪拌搬送部材と、
を備え、
前記第1の循環口は、前記通常印字モードのときは可動内壁と共に前記第1及び第2の現像槽を狭める方向に移動し、前記高速印字モードのときには可動内壁と共に前記第1及び第2の現像槽を広める方向に移動する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の循環口は、前記第1の循環口に連動して前記通常印字モードのときは半開し前記高速印字モードのときには全開するシャッタを備える、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−103559(P2012−103559A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253048(P2010−253048)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】