画像形成装置
【課題】現像カートリッジが着脱自在に装着されるタンデム型感光体ユニットが画像形成装置本体に対して引出可能な構成において、使い勝手の向上を図っても装置本体が大型化しない画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本体ケーシング2は、第1摺接面48Dを含む第1摺接部48を有している。現像カートリッジ5は、タンデム型感光体ユニット4が本体ケーシング2に装着される途中で、感光ドラム12の回転軸線方向において第1摺接面48Dと対向する第2摺接面33Eを含む第2摺接部33を有している。タンデム型感光体ユニット4が本体ケーシング2に装着されるときに、離脱位置にある現像カートリッジ5は、第1摺接部48の第1摺接面48Dが第2摺接部33の第2摺接面33Eに摺接することにより、押圧位置に回動する。
【解決手段】本体ケーシング2は、第1摺接面48Dを含む第1摺接部48を有している。現像カートリッジ5は、タンデム型感光体ユニット4が本体ケーシング2に装着される途中で、感光ドラム12の回転軸線方向において第1摺接面48Dと対向する第2摺接面33Eを含む第2摺接部33を有している。タンデム型感光体ユニット4が本体ケーシング2に装着されるときに、離脱位置にある現像カートリッジ5は、第1摺接部48の第1摺接面48Dが第2摺接部33の第2摺接面33Eに摺接することにより、押圧位置に回動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のカラープリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、所定方向に並列配置された複数の感光体を一体的に保持するタンデム型感光体ユニットと、対応する感光体に現像剤を供給する現像剤担持体を有する複数の現像カートリッジとを備える、カラーレーザプリンタが知られている。タンデム型感光体ユニットは、画像形成装置本体に対して引出位置と装着位置とにスライド移動可能である。各現像カートリッジは、タンデム型感光体ユニットが引出位置にあるときに、タンデム型感光体ユニットに対して着脱することができる。
【0003】
特許文献1には、各現像カートリッジがタンデム型感光体ユニットに完全に装着されているかをユーザが注意しなくてもよい、使い勝手のよいカラーレーザプリンタが提案されている。すなわち、各現像カートリッジは、タンデム型感光体ユニットに装着された状態で、タンデム型感光体ユニットに設けられた押圧部に押圧される第1姿勢と、押圧部の押圧が解除されてタンデム型感光体ユニットからの離脱が可能な第2姿勢とに回動して姿勢を変えることができる。そして、画像形成装置本体にタンデム型感光体ユニットが装着されるときに、第2姿勢にある現像カートリッジが画像形成装置本体に設けられた当接部に当接することによってこのカートリッジの姿勢を第1姿勢に変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−128336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の当接部は、タンデム型感光体ユニットの装着方向と直交する面において現像カートリッジと当接する。従って、タンデム型感光体ユニットの装着時において第2姿勢から第1姿勢に姿勢変更された現像カートリッジが、当接部の下を通過するように、第2姿勢と第1姿勢との回動距離を大きくする必要がある。この場合、装着方向および上下方向の距離を大きくする必要があるので、装置が大型化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、現像カートリッジが着脱自在に装着されるタンデム型感光体ユニットが画像形成装置本体に対して引出可能な構成において、使い勝手の向上を図っても装置本体が大型化しない画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、第1壁と第2壁とを有する本体ケーシングと、前記本体ケーシングに対して所定方向に引出可能に構成されたタンデム型感光体ユニットと、前記タンデム型感光体ユニットに対して着脱自在である複数の現像カートリッジと、を備え、前記本体ケーシングは、第1摺接面を含む第1摺接部を有し、前記タンデム型感光体ユニットは、前記所定方向に並列配置された複数の感光体と、複数の押圧部材と、を有し、各前記現像カートリッジは、対応する前記感光体に供給する現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体が対応する前記感光体に向かうように、対応する前記押圧部材に押圧される被押圧部と、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングに装着される途中で、前記感光体の回転軸線方向において前記第1摺接面と対向する第2摺接面を含む第2摺接部と、を有し、前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットにおいて、前記被押圧部が前記押圧部に係合することにより前記押圧部に押圧される押圧位置と、前記被押圧部が前記押圧部から外れることにより前記被押圧部に対する前記押圧部の押圧が解除されて前記タンデム型感光体ユニットからの離脱が可能な離脱位置と、の間を回動可能であり、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングに装着されるときに前記離脱位置にある前記現像カートリッジは、前記第1摺接部の前記第1摺接面が前記第2摺接部の第2摺接面に摺接することにより、前記押圧位置に回動することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の画像形成装置の前記第1摺接面は、前記第1摺接部において前記第1壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第1摺接面の上流端から当該第1摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側に近づき、
前記第2摺接面は、前記第2摺接部において前記第2壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第2摺接面の上流端から当該第2摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側に近づくことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の画像形成装置の前記第1摺接部は、第3摺接面を有し、前記第2摺接部は、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングから引き出される途中で、前記感光体の回転軸線方向において前記第3摺接面と対向する第4摺接面を有し、前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングから引き出されるときに、前記第3摺接面と前記第4摺接面が摺接することにより、前記押圧位置から前記離脱位置に回動することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の画像形成装置の第3摺接面は、前記第1摺接部において前記第1壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第3摺接面の上流端から当該第3摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側から遠ざかり、前記第4摺接面は、前記第2摺接部において前記第2壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第4摺接面の上流端から当該第4摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側から遠ざかることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の画像形成装置の前記第1摺接面の下流端は、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、前記第3摺接面の上流端と一致し、前記第2摺接面の上流端は、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、前記第4摺接面の下流端と一致することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の画像形成装置の前記本体ケーシングは、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向上流側に設けられ、前記本体ケーシングに対して前記タンデム型感光体ユニットを前記第1壁から前記第2摺壁へ向かう方向に片寄せする第1片寄部材を有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の画像形成装置では、前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットに対して前記現像カートリッジを前記第1壁から前記第2壁に向かう方向に片寄せする第2片寄部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の画像形成装置では、タンデム型感光体ユニットが本体ケーシングに装着されるときに離脱位置にある現像カートリッジは、本体ケーシングに設けられた第1摺接部と現像カートリッジに設けられた第2摺接部との摺接により、押圧位置に回動する。そのため、ユーザが現像カートリッジをタンデム型感光体ユニットに装着したときに、現像カートリッジを離脱位置から押圧位置に回動することを忘れても、タンデム型感光体ユニットの本体ケーシングに対する装着動作によって、現像カートリッジが押圧位置に変わるので、タンデム型感光体ユニットの全ての現像カートリッジが押圧位置にある状態での画像形成が確実に可能となる。この結果、現像カートリッジが着脱自在に装着されるタンデム型感光体ユニットが本体ケーシングに対して移動可能な構成において、使い勝手の向上を図ることができる。
【0015】
また、本体ケーシングに設けた第1摺接部の第1摺接面と、現像カートリッジに設けた第2摺接部の第2摺接面が感光体の回転軸線方向において対向している。そのため、離脱位置にある現像カートリッジがタンデム型感光体ユニットの装着動作時に押圧位置に回動しても、現像カートリッジの第2摺接部が本体ケーシングの第1摺接部の側方を通過可能である。この結果、押圧位置と離脱位置との回動距離を小さくすることができるため、画像形成装置におけるタンデム型感光体ユニットの装着方向の寸法を小さくすることができる。
【0016】
請求項2記載の画像形成装置では、対向している第1摺接面および第2摺接面が装着方向に対して傾斜している。これにより、タンデム型感光体ユニットを装着するときに、感光体ドラムの回転軸線方向における現像カートリッジの位置決めが正確でなくても、第1摺接面と第2摺接面を摺接させることができる幅をもたせることが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の画像形成装置では、本体ケーシングの第1摺接部に第3摺接面が設けられ、現像カートリッジの第2摺接部に第4摺接面が設けられている。この第3摺接面と第4摺接面は、タンデム型感光体ユニットが本体ケーシングから引き出されるときに対向する位置に配置されている。そのため、タンデム型感光体ユニットが本体ケーシングから引き出されるときに押圧位置にある現像カートリッジは、第3摺接面と第4摺接面との摺接により、離脱位置に回動する。すなわち、現像カートリッジを交換する際に、ユーザが現像カートリッジを押圧位置から離脱位置に回動させる必要がない。この結果、現像カートリッジがタンデム型感光体ユニットに対して押圧位置と離脱位置で回動可能な構成において、使い勝手の向上を図ることができる。
【0018】
請求項4記載の画像形成装置では、対向している第3摺接面および第4摺接面が装着方向に対して傾斜している。これにより、タンデム型感光体ユニットを引き出すときに、第3摺接面と第4摺接面を確実に摺接させることができ、押圧位置にある現像カートリッジを確実に離脱位置に移動させることができる。
【0019】
請求項5に記載の画像形成装置では、タンデム型感光体ユニットの装着方向において、第1摺接面の下流端と第3摺接面の上流端が一致し、第2摺接面の下流端と第4摺接面の上流端が一致するようにしている。これにより、第1摺接部および第2摺接部のタンデム型感光体ユニットの装着方向における長さを小さくすることができ、第1摺接部および第2摺接部の配置箇所の制限が少なくなり、設計の自由度が増す。
【0020】
請求項6に記載の画像形成装置では、本体ケーシングに対してタンデム型感光体ユニットを感光体の回転軸線方向における一方から他方へ向かう方向に片寄せする第1片寄部材を備える。これにより、確実に第2摺接面が第1摺接面に押し当てられるので、確実に現像カートリッジを離脱位置から押圧位置に回動させることができる。
【0021】
請求項7に記載の画像形成装置では、タンデム型感光体ユニットに対して現像カートリッジを感光体の回転軸線方向における一方から他方へ向かう方向に片寄せする第2片寄部材を備える。これにより、確実に第2摺接面が第1摺接面に押し当てられるので、確実に現像カートリッジを離脱位置から押圧位置に回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】プリンタの一実施形態を示す側断面図である。
【図2】プロセスユニットの斜視図である。
【図3】プロセスユニットの平面図である。
【図4】プロセスユニットのうち、フロントビームを取り外したものである。
【図5】本体ケーシングの斜視図である。
【図6】プロセスユニットが本体ケーシングに対して引出位置に位置する図である。
【図7】プロセスユニットが本体ケーシングに対して装着位置に位置する図である。
【図8(a)】プロセスユニットを本体ケーシングに装着する途中を示す図である。
【図8(b)】プロセスユニットを本体ケーシングに装着する途中を示す図である。
【図9】第1片寄部材がプロセスユニットを押圧している状態を示す図である。
【図10】プロセスユニットを本体ケーシングに装着する途中を示す図である(変形例)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.プリンタの全体構成
図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタ1の一実施形態を示す側断面図である。尚、紙面左側をプリンタ1における前側、紙面右側をプリンタ1における後側として、プリンタ1を前側から見たときをプリンタ1における左右の基準とする。各図には、前後上下左右の各方向を示す矢印が記載されている。
【0024】
プリンタ1は、タンデム型のカラープリンタである。本体ケーシング2内には、プロセスユニット3が収容されている。プロセスユニット3は、本体ケーシング2に対して画像形成可能に装着される装着位置と、本体ケーシング2から引き出された引出位置とにスライド可能である。
【0025】
プロセスユニット3は、タンデム型感光体ユニット4と、このタンデム型感光体ユニット4に着脱可能に装着される複数の現像カートリッジ5とを備えている。
【0026】
タンデム型感光体ユニット4は、感光体の一例としての感光ドラム12と、スコロトロン型帯電器13と、ドラムクリーニングローラ14と、感光体フレーム15とを備えている。感光ドラム12は、左右方向に沿うように、前後方向に間隔を隔てて、4つ並列配置されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラック感光ドラム12K、イエロー感光ドラム12Y、マゼンタ感光ドラム12Mおよびシアン感光ドラム12Cが、順次配置されている。スコロトロン型帯電器13は、感光ドラム12の斜め後側上側に、感光ドラム12と間隔を隔てて対向配置されている。ドラムクリーニングローラ14は、感光ドラム12の後側において、感光ドラム12と対向して接触するようにそれぞれ配置されている。感光体フレーム15は、感光ドラム12、スコロトロン帯電器13およびドラムクリーニングローラ14を保持している。
【0027】
現像カートリッジ5は、現像フレーム16と、現像ローラ17と、供給ローラ18と、層厚規制ブレード19とを備える。各現像カートリッジ5は、各感光ドラム12に対応するように、それぞれ感光ドラム12の上側において、感光体フレーム15に着脱自在に支持されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラック現像カートリッジ5K、イエロー現像カートリッジ5Y、マゼンタ現像カートリッジ5Mおよびシアン現像カートリッジ5Cが、順次支持されている。
【0028】
感光ドラム12の表面は、スコロトロン型帯電器13によって一様に帯電された後、スキャナユニット6から出射されたレーザビームによって選択的に露光される。これにより、各感光ドラム12の表面に、画像データに基づく静電潜像が形成される。各静電潜像は、現像ローラ17に担持されるトナーによって可視像化され、感光ドラム12の表面上に、トナー像が形成される。
【0029】
用紙Pは、本体ケーシング2の底部に配置された給紙カセット7に収容されている。
給紙カセット7に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト8上に搬送される。搬送ベルト8は、4つの感光ドラム12に下方から対向して配置されている。搬送ベルト8上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト8の走行により、搬送ベルト8と各感光ドラム12との間を順次に通過する。そして、感光ドラム12の表面上のトナー像は、用紙Pと対向したときに、転写ローラ9に印加された転写バイアスによって、用紙P上に転写される。転写ローラ9は、各感光ドラム12に対して搬送ベルト8を挟んで対向配置されている。
【0030】
トナー像が転写された用紙Pは、定着部10に搬送される。用紙P上に転写されたトナー像は、定着部10で熱定着される。その後、用紙Pは、各種ローラにより、排紙トレイ11に排出される。
【0031】
2.プロセスユニットの詳細
図2は、プロセスユニット3の斜視図である。図3は、プロセスユニット3の平面図である。図4は、フロントビーム20を取り外したプロセスユニット3を前側から見た図である。尚、図3の矢印は、プロセスユニット3の本体ケーシング2への装着方向を示している。
【0032】
プロセスユニット3は、前述したように、タンデム型感光体ユニット4と、現像カートリッジ5とを備えている。プロセスユニット3は、本体ケーシング2に対して略水平方向(前後方向)に沿ってスライド移動可能である。尚、スライド移動についての詳細な説明は、後述する。
【0033】
(1)タンデム型感光体ユニット
タンデム型感光体ユニット4の感光体フレーム15は、前後方向に長手の平面視略矩形枠形状に形成されており、フロントビーム20と、リヤビーム21と、左右1対の側板22とを一体的に有している。
【0034】
フロントビーム20は、両側板22の前端間に架設されている。また、フロントビーム20の前面の左右方向中央には、前ハンドル23が設けられている。フロントビーム20は、左右方向に延びる位置決め軸24が挿通されており、位置決め軸24の左右方向両端部は、両側板22の前端部を貫通して左右方向外側へ突出されている。リヤビーム21は、両側板22の後端間に架設されている。リヤビーム21の上端の左右方向中央には、前上側へ傾斜して延びる後ハンドル25が設けられている。両側板22は、互いに左右方向において間隔を隔てて対向配置されている。両側板22は、略垂直に延び、前後方向に長手の略矩形状に形成されている。
【0035】
タンデム型感光体ユニット4は、両側板22の上方に設けられ、現像ローラ17が感光ドラム12に向かう方向に各現像カートリッジ5を押圧する押圧部材の一例としての押圧カム26とを備えている。
【0036】
押圧カム26は、各現像カートリッジ5の左右方向両端部と一致する位置に設けられており、左右方向から見て、略扇形状をなしている(図8(a)参照)。押圧カム26は、後上側へ向かって互いの間隔が広くなる上下1対の平面部分28と、両平面部分28の後側上端をつなぎ、後上側へ略円弧状に膨出する曲面部分29とを一体的に有している。押圧カム26は、両平面部分28の前側下端同士の連結部分の近傍に、左右方向外側に延びる回動軸30を有している。回動軸30は、対応する側板22の左右方向内側面に支持されている。これにより、押圧カム26は、回動軸30を中心として回動自在である。
【0037】
押圧カム26は、図示しない付勢部材によって、常に、右側面視時計回りに付勢されている。これにより、押圧カム26は、常に、図示しない付勢部材の付勢力によって後側に傾倒されており、図示しない付勢部材の付勢力に抗して回動されることによって起立されて、移動する。
【0038】
(2)現像カートリッジ
現像カートリッジ5は、上述したように現像ローラ17、供給ローラ18および層厚規制ブレード19を内部に保持した現像フレーム16を備えている。
【0039】
現像フレーム16は、左右方向に長手の略ボックス形状に形成されている。現像フレーム16は、現像ローラ17の左右方向両端部を回転可能に支持している。現像フレーム16は、被押圧部の一例としての左右1対のボス31と、取っ手32と、第2摺接部33と、第2片寄部材34を備えている。ボス31は、現像フレーム16の左右両端面の前側上端部において、左右方向外側へ向かって突出する略円筒形状に形成されている。取っ手32は、現像フレーム16の前側上端部の左右方向中央部において、左右方向に延びるように形成されている。
【0040】
第2摺接部33は、ポリスチレンより形成されている。第2摺接部33は、現像フレーム16の上端部の左右方向左側において、現像フレーム16の上端部から上方向に向かって延びている。第2摺接部33の上端部は、現像カートリッジ5が押圧位置および離脱位置のいずれにあるときも、本体ケーシング2の後述する上壁42と接触しない位置であり、後述する第1摺接部48の下端部の位置よりも高い位置にある。
【0041】
第2摺接部33は、上下方向における断面が略五角形であり、前平面33Aと、後平面33Bと、側面33Cと、第4摺接面33Dと、第2摺接面33Eと、を一体的に有している。前平面33Aと後平面33Bは、互いが略平行になるように左右方向に直線状に延びている。側面33Cは、前平面33Aと後平面33Bの右端をつなぎ、前後方向へ直線状に延びている。
【0042】
第4摺接面33Dは、前平面33Aの左端と第2摺接面33Eの前端とをつなぎ、略前後方向へ直線状に延び、その前端から後端に向かうにつれて徐々に現像フレーム16の左端面に近づくように形成されている。
【0043】
第2摺接面33Eは、後平面33Bの左端と第4摺接面33Dの後端とをつなぎ、略前後方向へ直線状に延び、その前端から後端に向かうにつれて徐々に現像フレーム16の右側面に近づくように形成されている。
【0044】
第2片寄部材34は、現像ローラ17の軸を覆っているカラー部材34Aと、現像ローラ17にバイアスを印加するための電極34Bとから構成されている。カラー部材34Aは、現像ローラ17の軸を覆うとともに樹脂で形成された被覆部34A1と、現像ローラ17軸に挿通され、被覆部34A1と現像フレーム16の右側面との間に設けられたコイルバネ34A2とを有する。電極34Bは、現像カートリッジ5の右側面に設けられ、板バネで構成されている。カラー部材34Aのコイルバネ34A2および電極34Bの板バネは、現像カートリッジ5がタンデム型感光体ユニット4から取り出されたとき、自然長である。現像カートリッジ5をタンデム型感光体ユニット4に装着すると、カラー部材34Aのコイルバネ34A2および電極34Bの板バネがタンデム型感光体ユニット4の側板22と接触し、圧縮する。その際、カラー部材34Aおよび電極34Bが、タンデム型感光体ユニット4の側板22から左側への反力を受け、現像カートリッジ5の現像フレーム16を左側へと押圧している。
【0045】
3.本体ケーシングの詳細
図5は、本体ケーシング2の斜視図であり、フロントカバー47を開放している図である。
【0046】
本体ケーシング2は、側面視略矩形状のボックス状に形成されている。本体ケーシング2は、プロセスユニット3が収容される収容部50を有し、収容部50を囲むように形成された前壁40、後壁41、上壁42、底壁43、第1壁の一例としての右側壁44および第2壁の一例としての左側壁45を備える。
前壁40は、開口46を有している。開口46は、プロセスユニット3を装着位置から引出位置に移動させて、タンデム型感光体ユニット4に装着された現像カートリッジ5を交換するために形成されている。開口46は、フロントカバー47によって被覆される。フロントカバー47は、本体ケーシング2に対して下端部を支点として揺動自在に設けられており、前側に傾倒されることにより、開口46を露出させる。
【0047】
本体ケーシング2は、右側壁44の前端部に設けられた第1片寄部材49と、上壁42の前端部に設けられた第1摺接部48とを備えている。
【0048】
第1片寄部材49は、バネで形成されている。プロセスユニット3が、引出位置にあるときには、バネは自然長である。プロセスユニット3(タンデム型感光体ユニット4)の引出位置から装着位置への移動に伴い、第1片寄部材49がプロセスユニット3の側面22と接触すると、バネは圧縮し、プロセスユニット3を左側へ向けて押圧する。
【0049】
第1摺接部48は、ポリスチレンより形成されている。第1摺接部48は、上壁42から下方向へ突出しており、プロセスユニット3を装着するときに現像カートリッジ5の第2摺接部33と摺接する。第1摺接部48は、タンデム型感光体ユニット4が引出位置から装着位置に移動するときに、第2摺接部33よりも左右方向左側に位置する(図3参照)。第1摺接部48の下端部は、現像カートリッジ5が押圧位置および離脱位置のいずれにあるときも、第2摺接部33の上端部よりも低い位置にある。第1摺接部48は、上下方向における断面が略五角形であり、前平面48Aと、後平面48Bと、側面48Cと、第1摺接面48Dと、第3摺接面48Eとを一体的に有している(図3参照)。
【0050】
前平面48Aと後平面48Bは、互いが略平行になるように左右方向に直線状に延びている。側面48Cは、前平面48Aと後平面48Bの左端をつなぎ、前後方向へ延びている。第1摺接面48Dは、前平面48Aの右端と第3摺接面48Eの前端とをつなぎ、略前後方向へ直線状に延び、その前端から後端に向かうにつれて徐々に現像フレーム16の右側面に近づくように形成されている。尚、第1摺接面48Dは、第2摺接面33Eと略平行となるように形成されている。
【0051】
第3摺接面48Eは、後平面48Bの右端と第1摺接面48Dの後端とをつなぎ、略前後方向へ直線状に延び、その前端から後端に向かうにつれて徐々に現像フレーム16の左側面に近づくように形成されている。尚、第3摺接面48Eは、第4摺接面33Dと略平行となるように形成されている。
【0052】
4.本体ケーシングに対する現像カートリッジの着脱動作
図6は、プロセスユニット3が本体ケーシング2に対して引出位置に位置する図である。図7は、プロセスユニット3が本体ケーシング2に対して装着位置に位置する図である。図8(a)および図8(b)は、プロセスユニット3を本体ケーシング2に装着する途中を示す図である。図9は、第1片寄部材49がプロセスユニット3を押圧している状態を示す図である。尚、図8(a)および図8(b)の矢印は、プロセスユニット3の本体ケーシング2への装着方向を示している。
【0053】
(1)感光体フレームに対する現像カートリッジの着脱
本体ケーシング2に現像カートリッジ5を装着するには、まず、タンデム型感光体ユニット4の感光体フレーム15に現像カートリッジ5を装着する。
感光体フレーム15に現像カートリッジ5を装着するには、まず、フロントカバー47を前側に揺動させて、開口46を露出させた後、タンデム型感光体ユニット4を本体ケーシング2から前側に引出位置まで引き出す。
次いで、現像カートリッジ5を、対応する感光ドラム12と前後方向で一致する位置で感光体フレーム15内に挿入すると、現像カートリッジ5は離脱位置に配置される(図8(a)参照)。このとき、ボス31は、押圧カム26の曲面部分29と接触している。すなわち、ボス31は、押圧カム26から外れており、ボス31に対する押圧カム26の押圧は、解除されている。よって、現像カートリッジ5は、離脱位置に配置されているときには、感光体フレーム15から離脱可能である。
【0054】
次いで、現像カートリッジ5が離脱位置にある状態で、現像カートリッジ5を前側へ回動させる。すると、現像カートリッジ5が、現像ローラ17を中心として、前側へ回動し、押圧位置に配置される(図8(b)の現像カートリッジ5Cを参照)。このとき、ボス31は、押圧カム26の曲面部分29の下端部を前上側へ押圧する。すると、押圧カム26は、前上側へ回動し、移動する。このとき、ボス31は押圧カム26の平面部分28と接触する。
【0055】
これにより、現像カートリッジ5は、離脱位置から押圧位置へ移動されて、押圧カム26に押圧されることにより、感光体フレーム15に対して完全に装着される。
なお、現像カートリッジ5を感光体フレーム15から離脱させる場合には、現像カートリッジ5を感光体フレーム15に装着したときと逆の手順で操作する。
【0056】
(2)本体ケーシングに対するプロセスユニットの装着
次いで、本体ケーシング2にプロセスユニット3(すべての現像カートリッジ5が装着されたタンデム型感光体ユニット4)を装着する。本体ケーシング2に対してプロセスユニット3を引出位置から装着位置にスライドさせるには、プロセスユニット3を、本体ケーシング2内に後側に向かって挿入する。
【0057】
そして、プロセスユニット3を後側へ押し込むと、プロセスユニット3は、搬送ベルト8に接触しないように、略水平方向に後側へ向かい、本体ケーシング2内に挿入される。
【0058】
このとき、現像カートリッジ5が押圧位置に配置されておらず、現像カートリッジ5が離脱位置に配置されている場合がある。
【0059】
この場合には、プロセスユニット3を本体ケーシング2内に挿入するときに、現像カートリッジ5の第2摺接部33が本体ケーシング2の第1摺接部48に当接することにより、現像カートリッジ5は、前側に向かって回動されて、離脱位置から押圧位置へ移動される。
【0060】
具体的には、まず、現像カートリッジ5の第2摺接部33の第2摺接面33Eが、本体ケーシング2の第1摺接部48の第1摺接面48Dに前側から摺接する(図3参照)。第2摺接面33Eと第1摺接面48Dは、前側から後側へ向けて徐々に右側壁44へ近づくように略平行に延びている。従って、公差による現像カートリッジ5の左右方向の寸法のばらつきがあっても、プロセスユニット3をスライド移動させると、第1摺接面48Dと第2摺接面33Eとが摺接するようになっている。第1摺接面48Dと第2摺接面33Eが摺接することで、プロセスユニット3の装着方向と反対方向に向いた摩擦力が発生する。その摩擦力が、現像カートリッジ5の離脱位置から押圧位置へ回動する際に必要な回転力以上になったときに、現像カートリッジ5が前側に向かって回動されて、離脱位置から押圧位置へ移動する(図8(b)の現像カートリッジ5Cを参照)。
【0061】
このようにして、すべての現像カートリッジ5の第2摺接部33が、本体ケーシング2の第1摺接部48と摺接すると、すべての現像カートリッジ5が押圧位置に位置し、画像形成が可能となる。
【0062】
また、現像カートリッジ5をタンデム型感光体ユニット4に装着したときに、第2片寄部材34が現像カートリッジ5を左側へと押圧するようになっている。さらに、プロセスユニット3を本体ケーシング2に装着するときに、本体ケーシング2の第1片寄部材49がタンデム型感光対ユニット4を左側へと押圧するようになっている。
【0063】
このようにして、プロセスユニット3が装着位置へスライドされ、プロセスユニット3の本体ケーシング2への装着が完了する。
【0064】
(3)本体ケーシングからのプロセスユニットの引き出し
本体ケーシング2に装着されたプロセスユニット3を、本体ケーシング2に対して引出位置にスライドさせる場合には、フロントカバー47を前側に揺動させ、開口46を露出させてから、プロセスユニット3を前側へ引き出す。
プロセスユニット3を本体ケーシング2外に出すときには、現像カートリッジ5の第2摺接部33が本体ケーシング2の第1摺接部48に摺接する。これにより、現像カートリッジ5は、後側に向かって回動されて、押圧位置から離脱位置へ移動する。
【0065】
具体的には、まず、現像カートリッジ5の第2摺接部33の第4摺接面33Dが、第1摺接部48の第3摺接面48Eに後側から摺接する(図3参照)。第3摺接面48Eと第4摺接面33Dは、前側から後側へ向けて徐々に右側壁44から遠ざかるように、言い換えれば、後側から前側へ向けて徐々に右側壁44に近づくように略平行に延びている。従って、公差による現像カートリッジ5の左右方向の寸法のばらつきがあっても、プロセスユニット3をスライド移動させると、第3摺接面48Eと第4摺接面33Dとが摺接するようになっている。第3摺接面48Eと第4摺接面33Dが摺接することで、プロセスユニット3の引出方向と反対方向に向いた摩擦力が発生する。その摩擦力が、現像カートリッジ5の押圧位置から離脱位置へ回動する際に必要な回転力以上になったときに、現像カートリッジ5が後側に向かって回動されて、押圧位置から離脱位置へ移動する(図8(a)の現像カートリッジ5Cを参照)。
【0066】
このようにして、すべての現像カートリッジ5の第2摺接部33が、本体ケーシング2の第1摺接部48と当接し、プロセスユニット3が本体ケーシング2から完全に引き出されると、すべての現像カートリッジ5が離脱位置に位置し、プロセスユニット3は本体ケーシング2に対して引出位置に配置される。
以上のように、第1摺接部48が、第1摺接面48Dと第3摺接面48Eとを備え、第2摺接部33が、第2擦接面33Eと第4摺接面33Dとを備えることで、第1摺接部48と第2摺接部33だけで、現像カートリッジ5を離脱位置と押圧位置との両方向に移動させることができる。
【0067】
5.作用効果
(1)以上のように、このプリンタ1は、図6および図7に示すように、本体ケーシング2に対して前後方向に沿ってスライド移動可能なプロセスユニット3を備えている。
プロセスユニット3は、タンデム型感光体ユニット4と、タンデム型感光体ユニット4に対して着脱自在な現像カートリッジ5とを備えている。
そして、現像カートリッジ5は、タンデム型感光体ユニット4において、押圧カム26の平面部分28に押圧される押圧位置と、平面部分28の押圧が解除されてタンデム型感光体ユニット4からの離脱が可能な離脱位置とに回動することができる(図8の現像カートリッジ5Cを参照)。現像カートリッジ5が押圧位置にあるとき、現像ローラ17は、対応する感光ドラム12に圧接することができるので、感光ドラム12にトナーを円滑に供給して感光ドラム12の静電潜像を現像し、良好な画像形成を達成することができる。
【0068】
現像カートリッジ5がタンデム型感光体ユニット4に装着される場合、現像カートリッジ5は、まず、離脱位置にあり、その後、押圧位置に回動することによって、タンデム型感光体ユニット4に完全に装着される。現像カートリッジ5が離脱位置のままでは、現像カートリッジ5は、タンデム型感光体ユニット4に完全に装着されておらず、現像ローラ17は、感光ドラム12に円滑にトナーを供給できず、良好な画像形成は困難である。
【0069】
そのため、図1に示すように、プロセスユニット3が本体ケーシング2に装着された
状態において全ての現像カートリッジ5が押圧位置にあることが必要である。しかし、ユーザに対して、タンデム型感光体ユニット4に現像カートリッジ5を装着する際に、
現像カートリッジ5が押圧位置にあるかどうかを確認させるようにしては使い勝手が悪い。すなわち、現像カートリッジ5が離脱位置にあるときには現像カートリッジ5を押圧位置に変える操作をユーザに必ず求めるのであれば、ユーザがこの操作を忘れてしまうと、現像カートリッジ5が離脱位置にある状態でプロセスユニット3が本体ケーシング2に装着されることがある。
【0070】
そこで、図1に示すように、本体ケーシング2には、第1摺接面48Dを有する第1摺接部48が設けられ、現像カートリッジ5には、第2摺接面33Eを有する第2摺接部33が設けられている。第1摺接面48Dは、本体ケーシング2にプロセスユニット3が装着されるときに、離脱位置にある現像カートリッジ5の第2摺接面33Eに摺接することによってこの現像カートリッジ5を押圧位置に変える。そのため、ユーザに上述した操作を求めなくても、本体ケーシング2にプロセスユニット3を装着するときに、プロセスユニット3において離脱位置にあった現像カートリッジ5が自動的に押圧位置に変わるので、プロセスユニット3の全ての現像カートリッジ5が押圧位置にある状態での画像形成が確実に可能となる。
【0071】
この結果、現像カートリッジ5が着脱自在に装着されるプロセスユニット3が本体ケーシング2に対してスライド移動可能な構成において、使い勝手の向上を図ることができる。
【0072】
また、図3に示すように、第1摺接面48Dと第2摺接面33Eは、感光ドラム12の回転軸線方向である左右方向において対向している。そのため、第2摺接部33の最上端の位置は、図8に示すように、第1摺接部48の最下端よりも高い位置に配置することができる。そして、第2摺接部33は、本体ケーシング2にプロセスユニット3を装着するときに、第1摺接部48の右横を通過することができる。
【0073】
この結果、現像カートリッジ5における押圧位置と離脱位置との回動距離を小さくすることができるため、プロセスユニット3の装着方向におけるプリンタ1の寸法を小さくすることができる。
【0074】
(2)第1摺接面48Dは、第1摺接部48において右側に設けられ、前端から後端に向かうにつれて、徐々に右側壁44に近づくように前後方向に対して傾斜している。第2摺接面33Eは、第2摺接部33において左側に設けられ、前端から後端に向かうにつれて、徐々に右側壁44に近づくように前後方向に対して傾斜している(図3参照)。すなわち、左右方向において第1摺接面48Dと第2摺接面33Eが干渉する幅が設けられている。
【0075】
そのため、プロセスユニット3を本体ケーシング2に装着するときに、第2摺接面33Eを第1摺接面48Dに確実に摺接させることができ、離脱位置にある現像カートリッジ5を確実に押圧位置に移動させることができる。
【0076】
(3)第1摺接部48には第3摺接面48Eを、第2摺接部33には第4摺接面33Dを設けている。第3摺接面48Eは、本体ケーシング2からプロセスユニット3を引き出すときに、第4摺接面33Dに摺接する(図3参照)。また、第2摺接部33の最上端の位置は、第1摺接部48の最下端よりも高い位置に配置されている(図8参照)。すると、押圧位置にある現像カートリッジ5は、離脱位置に移動する。そのため、ユーザが、現像カートリッジ5を押圧位置から離脱位置に回動させる必要がない。
【0077】
この結果、現像カートリッジ5がタンデム型感光体ユニット4に対して押圧位置と離脱位置で回動可能な構成において、使い勝手の向上を図ることができる。
【0078】
(4)第3摺接面48Eは、第1摺接部48において右側に設けられ、前端から後端に向かうにつれて、徐々に右側壁44から遠ざかるように前後方向に対して傾斜している。第4摺接面33Dは、第2摺接部33において左側に設けられ、前端から後端に向かうにつれて、徐々に右側壁44から遠ざかるように前後方向に対して傾斜している(図3参照)。すなわち、左右方向において第3摺接面48Eと第4摺接面33Dが干渉する幅が設けられている。
【0079】
そのため、プロセスユニット3を本体ケーシング2から引き出すときに、第4摺接面33Dを第3摺接面48Eに確実に摺接させることができ、押圧位置にある現像カートリッジ5を確実に離脱位置に移動させることができる。
【0080】
(5)第1摺接面48Dの後端は、第3摺接面48Eの前端と一致し、第2摺接面33Eの後端は、第4摺接面33Dの前端と一致している。(図3参照)
そのため、プロセスユニット3の装着方向における第1摺接部48および第2摺接部33の長さを短くすることができ、第1摺接部48および第2摺接部33の設置箇所および形状の自由度が増す。
【0081】
(6)本体ケーシング2の右側壁44には、第1片寄部材49が設けられている(図9参照)。第1片寄部材49は、右側壁44の前端部に設けられている。この第1片寄部材49は、バネで形成され、プロセスユニット3の引出位置から装着位置への移動に伴い、タンデム型感光体ユニット4を左側へと押圧する。
【0082】
そのため、左側を向く第2摺接面33Eを、右側を向く第1摺接面48Dに確実に押し当てることができ、プロセスユニット3の装着時において離脱位置にある現像カートリッジ5を確実に押圧位置に回動させることができる。
【0083】
(7)現像カートリッジ5は、カラー部材34Aと、電極34Bとからなる第2片寄部材34を備えている(図4参照)。カラー部材34Aと電極34Bは、現像カートリッジ5を右から左に向かう方向に押圧している。
【0084】
そのため、左側を向く第2摺接面33Eを、右側を向く第1摺接面48Dに確実に押し当てることができ、プロセスユニット3の装着時において離脱位置にある現像カートリッジ5を確実に押圧位置に回動させることができる。
【0085】
また、現像カートリッジ5およびタンデム型感光体ユニット4を、左側に片寄せすることにより、第1摺接面48Dと第2摺接面33Eの前後方向に対する傾斜角度を小さくすることができる。傾斜角度が小さくても、確実に第1摺接面48Dと第2摺接面33Eが確実に摺接するからである。さらに、プロセスユニット3の装着途中の現像カートリッジ5およびタンデム型感光体ユニット4の左右方向の位置決めを確実に行えば、第1摺接面48Dと第2摺接面33Eの前後方向に対する傾斜角度をゼロにしてもよい。第1摺接面48Dと第2摺接面33Eの前後方向に対する傾斜角度が小さいと、現像カートリッジ5が離脱位置から押圧位置へ移動する際に必要とする左右方向の移動量を小さくすることができる。
【0086】
6.その他の実施形態
本実施形態では、第1摺接部48の下端部が、現像カートリッジ5が押圧位置および離脱位置のいずれにあるときも、第2摺接部33の上端部よりも低い位置にあり、現像カートリッジ5が押圧位置にあっても、第1摺接部48と第2摺接部33が摺接する。これに対し、図10に示すように、第1摺接部48の下端部が、現像カートリッジ5が離脱位置にある第2摺接部33の上端部よりも低い位置で、かつ、現像カートリッジ5が押圧位置にある第2摺接部33の上端部よりも高い位置にあるようにしてもよい。
【0087】
この場合は、タンデム型感光体ユニット4を装着位置から引出位置に移動させる際、第1摺接部48と第2摺接部33が当接しないので、現像カートリッジ5は離脱位置へと移動しない。すべての現像カートリッジ5が押圧位置にあるタンデム型感光体ユニット4を引出位置から装着位置に移動させるときと、タンデム型感光体ユニット4を装着位置から引出位置に移動させるときに、ユーザが不要な力を掛けることがない。
【0088】
また、第1摺接面48D、第2摺接面33E、第3摺接面48Eおよび第4摺接面33Dに摩擦係数の大きいコルクやフェルトを貼付してもよい。なお、コルクやフェルトに限らず、現像カートリッジ5を回転させるための回転力より大きい摩擦力を発生できる材料であればよい。また、第1摺接部48および第2摺接部33をコルクで形成してもよい。
第1片寄部材49および第2片寄部材34は、バネで形成したが、スポンジやゴムでもよい。また、第2片寄部材34は、タンデム型感光体ユニット4に設けてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 プリンタ
2 本体ケーシング
3 プロセスユニット
4 タンデム型感光体ユニット
5 現像カートリッジ
15 感光体フレーム
16 現像フレーム
26 押圧カム
33 第2摺接部
33D 第4摺接面
33E 第2摺接面
34 第2片寄部材
48 第1摺接部
48D 第1摺接面
48E 第3摺接面
49 第1片寄部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のカラープリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、所定方向に並列配置された複数の感光体を一体的に保持するタンデム型感光体ユニットと、対応する感光体に現像剤を供給する現像剤担持体を有する複数の現像カートリッジとを備える、カラーレーザプリンタが知られている。タンデム型感光体ユニットは、画像形成装置本体に対して引出位置と装着位置とにスライド移動可能である。各現像カートリッジは、タンデム型感光体ユニットが引出位置にあるときに、タンデム型感光体ユニットに対して着脱することができる。
【0003】
特許文献1には、各現像カートリッジがタンデム型感光体ユニットに完全に装着されているかをユーザが注意しなくてもよい、使い勝手のよいカラーレーザプリンタが提案されている。すなわち、各現像カートリッジは、タンデム型感光体ユニットに装着された状態で、タンデム型感光体ユニットに設けられた押圧部に押圧される第1姿勢と、押圧部の押圧が解除されてタンデム型感光体ユニットからの離脱が可能な第2姿勢とに回動して姿勢を変えることができる。そして、画像形成装置本体にタンデム型感光体ユニットが装着されるときに、第2姿勢にある現像カートリッジが画像形成装置本体に設けられた当接部に当接することによってこのカートリッジの姿勢を第1姿勢に変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−128336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の当接部は、タンデム型感光体ユニットの装着方向と直交する面において現像カートリッジと当接する。従って、タンデム型感光体ユニットの装着時において第2姿勢から第1姿勢に姿勢変更された現像カートリッジが、当接部の下を通過するように、第2姿勢と第1姿勢との回動距離を大きくする必要がある。この場合、装着方向および上下方向の距離を大きくする必要があるので、装置が大型化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、現像カートリッジが着脱自在に装着されるタンデム型感光体ユニットが画像形成装置本体に対して引出可能な構成において、使い勝手の向上を図っても装置本体が大型化しない画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、第1壁と第2壁とを有する本体ケーシングと、前記本体ケーシングに対して所定方向に引出可能に構成されたタンデム型感光体ユニットと、前記タンデム型感光体ユニットに対して着脱自在である複数の現像カートリッジと、を備え、前記本体ケーシングは、第1摺接面を含む第1摺接部を有し、前記タンデム型感光体ユニットは、前記所定方向に並列配置された複数の感光体と、複数の押圧部材と、を有し、各前記現像カートリッジは、対応する前記感光体に供給する現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体が対応する前記感光体に向かうように、対応する前記押圧部材に押圧される被押圧部と、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングに装着される途中で、前記感光体の回転軸線方向において前記第1摺接面と対向する第2摺接面を含む第2摺接部と、を有し、前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットにおいて、前記被押圧部が前記押圧部に係合することにより前記押圧部に押圧される押圧位置と、前記被押圧部が前記押圧部から外れることにより前記被押圧部に対する前記押圧部の押圧が解除されて前記タンデム型感光体ユニットからの離脱が可能な離脱位置と、の間を回動可能であり、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングに装着されるときに前記離脱位置にある前記現像カートリッジは、前記第1摺接部の前記第1摺接面が前記第2摺接部の第2摺接面に摺接することにより、前記押圧位置に回動することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の画像形成装置の前記第1摺接面は、前記第1摺接部において前記第1壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第1摺接面の上流端から当該第1摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側に近づき、
前記第2摺接面は、前記第2摺接部において前記第2壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第2摺接面の上流端から当該第2摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側に近づくことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の画像形成装置の前記第1摺接部は、第3摺接面を有し、前記第2摺接部は、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングから引き出される途中で、前記感光体の回転軸線方向において前記第3摺接面と対向する第4摺接面を有し、前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングから引き出されるときに、前記第3摺接面と前記第4摺接面が摺接することにより、前記押圧位置から前記離脱位置に回動することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の画像形成装置の第3摺接面は、前記第1摺接部において前記第1壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第3摺接面の上流端から当該第3摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側から遠ざかり、前記第4摺接面は、前記第2摺接部において前記第2壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第4摺接面の上流端から当該第4摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側から遠ざかることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の画像形成装置の前記第1摺接面の下流端は、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、前記第3摺接面の上流端と一致し、前記第2摺接面の上流端は、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、前記第4摺接面の下流端と一致することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の画像形成装置の前記本体ケーシングは、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向上流側に設けられ、前記本体ケーシングに対して前記タンデム型感光体ユニットを前記第1壁から前記第2摺壁へ向かう方向に片寄せする第1片寄部材を有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の画像形成装置では、前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットに対して前記現像カートリッジを前記第1壁から前記第2壁に向かう方向に片寄せする第2片寄部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の画像形成装置では、タンデム型感光体ユニットが本体ケーシングに装着されるときに離脱位置にある現像カートリッジは、本体ケーシングに設けられた第1摺接部と現像カートリッジに設けられた第2摺接部との摺接により、押圧位置に回動する。そのため、ユーザが現像カートリッジをタンデム型感光体ユニットに装着したときに、現像カートリッジを離脱位置から押圧位置に回動することを忘れても、タンデム型感光体ユニットの本体ケーシングに対する装着動作によって、現像カートリッジが押圧位置に変わるので、タンデム型感光体ユニットの全ての現像カートリッジが押圧位置にある状態での画像形成が確実に可能となる。この結果、現像カートリッジが着脱自在に装着されるタンデム型感光体ユニットが本体ケーシングに対して移動可能な構成において、使い勝手の向上を図ることができる。
【0015】
また、本体ケーシングに設けた第1摺接部の第1摺接面と、現像カートリッジに設けた第2摺接部の第2摺接面が感光体の回転軸線方向において対向している。そのため、離脱位置にある現像カートリッジがタンデム型感光体ユニットの装着動作時に押圧位置に回動しても、現像カートリッジの第2摺接部が本体ケーシングの第1摺接部の側方を通過可能である。この結果、押圧位置と離脱位置との回動距離を小さくすることができるため、画像形成装置におけるタンデム型感光体ユニットの装着方向の寸法を小さくすることができる。
【0016】
請求項2記載の画像形成装置では、対向している第1摺接面および第2摺接面が装着方向に対して傾斜している。これにより、タンデム型感光体ユニットを装着するときに、感光体ドラムの回転軸線方向における現像カートリッジの位置決めが正確でなくても、第1摺接面と第2摺接面を摺接させることができる幅をもたせることが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の画像形成装置では、本体ケーシングの第1摺接部に第3摺接面が設けられ、現像カートリッジの第2摺接部に第4摺接面が設けられている。この第3摺接面と第4摺接面は、タンデム型感光体ユニットが本体ケーシングから引き出されるときに対向する位置に配置されている。そのため、タンデム型感光体ユニットが本体ケーシングから引き出されるときに押圧位置にある現像カートリッジは、第3摺接面と第4摺接面との摺接により、離脱位置に回動する。すなわち、現像カートリッジを交換する際に、ユーザが現像カートリッジを押圧位置から離脱位置に回動させる必要がない。この結果、現像カートリッジがタンデム型感光体ユニットに対して押圧位置と離脱位置で回動可能な構成において、使い勝手の向上を図ることができる。
【0018】
請求項4記載の画像形成装置では、対向している第3摺接面および第4摺接面が装着方向に対して傾斜している。これにより、タンデム型感光体ユニットを引き出すときに、第3摺接面と第4摺接面を確実に摺接させることができ、押圧位置にある現像カートリッジを確実に離脱位置に移動させることができる。
【0019】
請求項5に記載の画像形成装置では、タンデム型感光体ユニットの装着方向において、第1摺接面の下流端と第3摺接面の上流端が一致し、第2摺接面の下流端と第4摺接面の上流端が一致するようにしている。これにより、第1摺接部および第2摺接部のタンデム型感光体ユニットの装着方向における長さを小さくすることができ、第1摺接部および第2摺接部の配置箇所の制限が少なくなり、設計の自由度が増す。
【0020】
請求項6に記載の画像形成装置では、本体ケーシングに対してタンデム型感光体ユニットを感光体の回転軸線方向における一方から他方へ向かう方向に片寄せする第1片寄部材を備える。これにより、確実に第2摺接面が第1摺接面に押し当てられるので、確実に現像カートリッジを離脱位置から押圧位置に回動させることができる。
【0021】
請求項7に記載の画像形成装置では、タンデム型感光体ユニットに対して現像カートリッジを感光体の回転軸線方向における一方から他方へ向かう方向に片寄せする第2片寄部材を備える。これにより、確実に第2摺接面が第1摺接面に押し当てられるので、確実に現像カートリッジを離脱位置から押圧位置に回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】プリンタの一実施形態を示す側断面図である。
【図2】プロセスユニットの斜視図である。
【図3】プロセスユニットの平面図である。
【図4】プロセスユニットのうち、フロントビームを取り外したものである。
【図5】本体ケーシングの斜視図である。
【図6】プロセスユニットが本体ケーシングに対して引出位置に位置する図である。
【図7】プロセスユニットが本体ケーシングに対して装着位置に位置する図である。
【図8(a)】プロセスユニットを本体ケーシングに装着する途中を示す図である。
【図8(b)】プロセスユニットを本体ケーシングに装着する途中を示す図である。
【図9】第1片寄部材がプロセスユニットを押圧している状態を示す図である。
【図10】プロセスユニットを本体ケーシングに装着する途中を示す図である(変形例)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.プリンタの全体構成
図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタ1の一実施形態を示す側断面図である。尚、紙面左側をプリンタ1における前側、紙面右側をプリンタ1における後側として、プリンタ1を前側から見たときをプリンタ1における左右の基準とする。各図には、前後上下左右の各方向を示す矢印が記載されている。
【0024】
プリンタ1は、タンデム型のカラープリンタである。本体ケーシング2内には、プロセスユニット3が収容されている。プロセスユニット3は、本体ケーシング2に対して画像形成可能に装着される装着位置と、本体ケーシング2から引き出された引出位置とにスライド可能である。
【0025】
プロセスユニット3は、タンデム型感光体ユニット4と、このタンデム型感光体ユニット4に着脱可能に装着される複数の現像カートリッジ5とを備えている。
【0026】
タンデム型感光体ユニット4は、感光体の一例としての感光ドラム12と、スコロトロン型帯電器13と、ドラムクリーニングローラ14と、感光体フレーム15とを備えている。感光ドラム12は、左右方向に沿うように、前後方向に間隔を隔てて、4つ並列配置されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラック感光ドラム12K、イエロー感光ドラム12Y、マゼンタ感光ドラム12Mおよびシアン感光ドラム12Cが、順次配置されている。スコロトロン型帯電器13は、感光ドラム12の斜め後側上側に、感光ドラム12と間隔を隔てて対向配置されている。ドラムクリーニングローラ14は、感光ドラム12の後側において、感光ドラム12と対向して接触するようにそれぞれ配置されている。感光体フレーム15は、感光ドラム12、スコロトロン帯電器13およびドラムクリーニングローラ14を保持している。
【0027】
現像カートリッジ5は、現像フレーム16と、現像ローラ17と、供給ローラ18と、層厚規制ブレード19とを備える。各現像カートリッジ5は、各感光ドラム12に対応するように、それぞれ感光ドラム12の上側において、感光体フレーム15に着脱自在に支持されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラック現像カートリッジ5K、イエロー現像カートリッジ5Y、マゼンタ現像カートリッジ5Mおよびシアン現像カートリッジ5Cが、順次支持されている。
【0028】
感光ドラム12の表面は、スコロトロン型帯電器13によって一様に帯電された後、スキャナユニット6から出射されたレーザビームによって選択的に露光される。これにより、各感光ドラム12の表面に、画像データに基づく静電潜像が形成される。各静電潜像は、現像ローラ17に担持されるトナーによって可視像化され、感光ドラム12の表面上に、トナー像が形成される。
【0029】
用紙Pは、本体ケーシング2の底部に配置された給紙カセット7に収容されている。
給紙カセット7に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト8上に搬送される。搬送ベルト8は、4つの感光ドラム12に下方から対向して配置されている。搬送ベルト8上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト8の走行により、搬送ベルト8と各感光ドラム12との間を順次に通過する。そして、感光ドラム12の表面上のトナー像は、用紙Pと対向したときに、転写ローラ9に印加された転写バイアスによって、用紙P上に転写される。転写ローラ9は、各感光ドラム12に対して搬送ベルト8を挟んで対向配置されている。
【0030】
トナー像が転写された用紙Pは、定着部10に搬送される。用紙P上に転写されたトナー像は、定着部10で熱定着される。その後、用紙Pは、各種ローラにより、排紙トレイ11に排出される。
【0031】
2.プロセスユニットの詳細
図2は、プロセスユニット3の斜視図である。図3は、プロセスユニット3の平面図である。図4は、フロントビーム20を取り外したプロセスユニット3を前側から見た図である。尚、図3の矢印は、プロセスユニット3の本体ケーシング2への装着方向を示している。
【0032】
プロセスユニット3は、前述したように、タンデム型感光体ユニット4と、現像カートリッジ5とを備えている。プロセスユニット3は、本体ケーシング2に対して略水平方向(前後方向)に沿ってスライド移動可能である。尚、スライド移動についての詳細な説明は、後述する。
【0033】
(1)タンデム型感光体ユニット
タンデム型感光体ユニット4の感光体フレーム15は、前後方向に長手の平面視略矩形枠形状に形成されており、フロントビーム20と、リヤビーム21と、左右1対の側板22とを一体的に有している。
【0034】
フロントビーム20は、両側板22の前端間に架設されている。また、フロントビーム20の前面の左右方向中央には、前ハンドル23が設けられている。フロントビーム20は、左右方向に延びる位置決め軸24が挿通されており、位置決め軸24の左右方向両端部は、両側板22の前端部を貫通して左右方向外側へ突出されている。リヤビーム21は、両側板22の後端間に架設されている。リヤビーム21の上端の左右方向中央には、前上側へ傾斜して延びる後ハンドル25が設けられている。両側板22は、互いに左右方向において間隔を隔てて対向配置されている。両側板22は、略垂直に延び、前後方向に長手の略矩形状に形成されている。
【0035】
タンデム型感光体ユニット4は、両側板22の上方に設けられ、現像ローラ17が感光ドラム12に向かう方向に各現像カートリッジ5を押圧する押圧部材の一例としての押圧カム26とを備えている。
【0036】
押圧カム26は、各現像カートリッジ5の左右方向両端部と一致する位置に設けられており、左右方向から見て、略扇形状をなしている(図8(a)参照)。押圧カム26は、後上側へ向かって互いの間隔が広くなる上下1対の平面部分28と、両平面部分28の後側上端をつなぎ、後上側へ略円弧状に膨出する曲面部分29とを一体的に有している。押圧カム26は、両平面部分28の前側下端同士の連結部分の近傍に、左右方向外側に延びる回動軸30を有している。回動軸30は、対応する側板22の左右方向内側面に支持されている。これにより、押圧カム26は、回動軸30を中心として回動自在である。
【0037】
押圧カム26は、図示しない付勢部材によって、常に、右側面視時計回りに付勢されている。これにより、押圧カム26は、常に、図示しない付勢部材の付勢力によって後側に傾倒されており、図示しない付勢部材の付勢力に抗して回動されることによって起立されて、移動する。
【0038】
(2)現像カートリッジ
現像カートリッジ5は、上述したように現像ローラ17、供給ローラ18および層厚規制ブレード19を内部に保持した現像フレーム16を備えている。
【0039】
現像フレーム16は、左右方向に長手の略ボックス形状に形成されている。現像フレーム16は、現像ローラ17の左右方向両端部を回転可能に支持している。現像フレーム16は、被押圧部の一例としての左右1対のボス31と、取っ手32と、第2摺接部33と、第2片寄部材34を備えている。ボス31は、現像フレーム16の左右両端面の前側上端部において、左右方向外側へ向かって突出する略円筒形状に形成されている。取っ手32は、現像フレーム16の前側上端部の左右方向中央部において、左右方向に延びるように形成されている。
【0040】
第2摺接部33は、ポリスチレンより形成されている。第2摺接部33は、現像フレーム16の上端部の左右方向左側において、現像フレーム16の上端部から上方向に向かって延びている。第2摺接部33の上端部は、現像カートリッジ5が押圧位置および離脱位置のいずれにあるときも、本体ケーシング2の後述する上壁42と接触しない位置であり、後述する第1摺接部48の下端部の位置よりも高い位置にある。
【0041】
第2摺接部33は、上下方向における断面が略五角形であり、前平面33Aと、後平面33Bと、側面33Cと、第4摺接面33Dと、第2摺接面33Eと、を一体的に有している。前平面33Aと後平面33Bは、互いが略平行になるように左右方向に直線状に延びている。側面33Cは、前平面33Aと後平面33Bの右端をつなぎ、前後方向へ直線状に延びている。
【0042】
第4摺接面33Dは、前平面33Aの左端と第2摺接面33Eの前端とをつなぎ、略前後方向へ直線状に延び、その前端から後端に向かうにつれて徐々に現像フレーム16の左端面に近づくように形成されている。
【0043】
第2摺接面33Eは、後平面33Bの左端と第4摺接面33Dの後端とをつなぎ、略前後方向へ直線状に延び、その前端から後端に向かうにつれて徐々に現像フレーム16の右側面に近づくように形成されている。
【0044】
第2片寄部材34は、現像ローラ17の軸を覆っているカラー部材34Aと、現像ローラ17にバイアスを印加するための電極34Bとから構成されている。カラー部材34Aは、現像ローラ17の軸を覆うとともに樹脂で形成された被覆部34A1と、現像ローラ17軸に挿通され、被覆部34A1と現像フレーム16の右側面との間に設けられたコイルバネ34A2とを有する。電極34Bは、現像カートリッジ5の右側面に設けられ、板バネで構成されている。カラー部材34Aのコイルバネ34A2および電極34Bの板バネは、現像カートリッジ5がタンデム型感光体ユニット4から取り出されたとき、自然長である。現像カートリッジ5をタンデム型感光体ユニット4に装着すると、カラー部材34Aのコイルバネ34A2および電極34Bの板バネがタンデム型感光体ユニット4の側板22と接触し、圧縮する。その際、カラー部材34Aおよび電極34Bが、タンデム型感光体ユニット4の側板22から左側への反力を受け、現像カートリッジ5の現像フレーム16を左側へと押圧している。
【0045】
3.本体ケーシングの詳細
図5は、本体ケーシング2の斜視図であり、フロントカバー47を開放している図である。
【0046】
本体ケーシング2は、側面視略矩形状のボックス状に形成されている。本体ケーシング2は、プロセスユニット3が収容される収容部50を有し、収容部50を囲むように形成された前壁40、後壁41、上壁42、底壁43、第1壁の一例としての右側壁44および第2壁の一例としての左側壁45を備える。
前壁40は、開口46を有している。開口46は、プロセスユニット3を装着位置から引出位置に移動させて、タンデム型感光体ユニット4に装着された現像カートリッジ5を交換するために形成されている。開口46は、フロントカバー47によって被覆される。フロントカバー47は、本体ケーシング2に対して下端部を支点として揺動自在に設けられており、前側に傾倒されることにより、開口46を露出させる。
【0047】
本体ケーシング2は、右側壁44の前端部に設けられた第1片寄部材49と、上壁42の前端部に設けられた第1摺接部48とを備えている。
【0048】
第1片寄部材49は、バネで形成されている。プロセスユニット3が、引出位置にあるときには、バネは自然長である。プロセスユニット3(タンデム型感光体ユニット4)の引出位置から装着位置への移動に伴い、第1片寄部材49がプロセスユニット3の側面22と接触すると、バネは圧縮し、プロセスユニット3を左側へ向けて押圧する。
【0049】
第1摺接部48は、ポリスチレンより形成されている。第1摺接部48は、上壁42から下方向へ突出しており、プロセスユニット3を装着するときに現像カートリッジ5の第2摺接部33と摺接する。第1摺接部48は、タンデム型感光体ユニット4が引出位置から装着位置に移動するときに、第2摺接部33よりも左右方向左側に位置する(図3参照)。第1摺接部48の下端部は、現像カートリッジ5が押圧位置および離脱位置のいずれにあるときも、第2摺接部33の上端部よりも低い位置にある。第1摺接部48は、上下方向における断面が略五角形であり、前平面48Aと、後平面48Bと、側面48Cと、第1摺接面48Dと、第3摺接面48Eとを一体的に有している(図3参照)。
【0050】
前平面48Aと後平面48Bは、互いが略平行になるように左右方向に直線状に延びている。側面48Cは、前平面48Aと後平面48Bの左端をつなぎ、前後方向へ延びている。第1摺接面48Dは、前平面48Aの右端と第3摺接面48Eの前端とをつなぎ、略前後方向へ直線状に延び、その前端から後端に向かうにつれて徐々に現像フレーム16の右側面に近づくように形成されている。尚、第1摺接面48Dは、第2摺接面33Eと略平行となるように形成されている。
【0051】
第3摺接面48Eは、後平面48Bの右端と第1摺接面48Dの後端とをつなぎ、略前後方向へ直線状に延び、その前端から後端に向かうにつれて徐々に現像フレーム16の左側面に近づくように形成されている。尚、第3摺接面48Eは、第4摺接面33Dと略平行となるように形成されている。
【0052】
4.本体ケーシングに対する現像カートリッジの着脱動作
図6は、プロセスユニット3が本体ケーシング2に対して引出位置に位置する図である。図7は、プロセスユニット3が本体ケーシング2に対して装着位置に位置する図である。図8(a)および図8(b)は、プロセスユニット3を本体ケーシング2に装着する途中を示す図である。図9は、第1片寄部材49がプロセスユニット3を押圧している状態を示す図である。尚、図8(a)および図8(b)の矢印は、プロセスユニット3の本体ケーシング2への装着方向を示している。
【0053】
(1)感光体フレームに対する現像カートリッジの着脱
本体ケーシング2に現像カートリッジ5を装着するには、まず、タンデム型感光体ユニット4の感光体フレーム15に現像カートリッジ5を装着する。
感光体フレーム15に現像カートリッジ5を装着するには、まず、フロントカバー47を前側に揺動させて、開口46を露出させた後、タンデム型感光体ユニット4を本体ケーシング2から前側に引出位置まで引き出す。
次いで、現像カートリッジ5を、対応する感光ドラム12と前後方向で一致する位置で感光体フレーム15内に挿入すると、現像カートリッジ5は離脱位置に配置される(図8(a)参照)。このとき、ボス31は、押圧カム26の曲面部分29と接触している。すなわち、ボス31は、押圧カム26から外れており、ボス31に対する押圧カム26の押圧は、解除されている。よって、現像カートリッジ5は、離脱位置に配置されているときには、感光体フレーム15から離脱可能である。
【0054】
次いで、現像カートリッジ5が離脱位置にある状態で、現像カートリッジ5を前側へ回動させる。すると、現像カートリッジ5が、現像ローラ17を中心として、前側へ回動し、押圧位置に配置される(図8(b)の現像カートリッジ5Cを参照)。このとき、ボス31は、押圧カム26の曲面部分29の下端部を前上側へ押圧する。すると、押圧カム26は、前上側へ回動し、移動する。このとき、ボス31は押圧カム26の平面部分28と接触する。
【0055】
これにより、現像カートリッジ5は、離脱位置から押圧位置へ移動されて、押圧カム26に押圧されることにより、感光体フレーム15に対して完全に装着される。
なお、現像カートリッジ5を感光体フレーム15から離脱させる場合には、現像カートリッジ5を感光体フレーム15に装着したときと逆の手順で操作する。
【0056】
(2)本体ケーシングに対するプロセスユニットの装着
次いで、本体ケーシング2にプロセスユニット3(すべての現像カートリッジ5が装着されたタンデム型感光体ユニット4)を装着する。本体ケーシング2に対してプロセスユニット3を引出位置から装着位置にスライドさせるには、プロセスユニット3を、本体ケーシング2内に後側に向かって挿入する。
【0057】
そして、プロセスユニット3を後側へ押し込むと、プロセスユニット3は、搬送ベルト8に接触しないように、略水平方向に後側へ向かい、本体ケーシング2内に挿入される。
【0058】
このとき、現像カートリッジ5が押圧位置に配置されておらず、現像カートリッジ5が離脱位置に配置されている場合がある。
【0059】
この場合には、プロセスユニット3を本体ケーシング2内に挿入するときに、現像カートリッジ5の第2摺接部33が本体ケーシング2の第1摺接部48に当接することにより、現像カートリッジ5は、前側に向かって回動されて、離脱位置から押圧位置へ移動される。
【0060】
具体的には、まず、現像カートリッジ5の第2摺接部33の第2摺接面33Eが、本体ケーシング2の第1摺接部48の第1摺接面48Dに前側から摺接する(図3参照)。第2摺接面33Eと第1摺接面48Dは、前側から後側へ向けて徐々に右側壁44へ近づくように略平行に延びている。従って、公差による現像カートリッジ5の左右方向の寸法のばらつきがあっても、プロセスユニット3をスライド移動させると、第1摺接面48Dと第2摺接面33Eとが摺接するようになっている。第1摺接面48Dと第2摺接面33Eが摺接することで、プロセスユニット3の装着方向と反対方向に向いた摩擦力が発生する。その摩擦力が、現像カートリッジ5の離脱位置から押圧位置へ回動する際に必要な回転力以上になったときに、現像カートリッジ5が前側に向かって回動されて、離脱位置から押圧位置へ移動する(図8(b)の現像カートリッジ5Cを参照)。
【0061】
このようにして、すべての現像カートリッジ5の第2摺接部33が、本体ケーシング2の第1摺接部48と摺接すると、すべての現像カートリッジ5が押圧位置に位置し、画像形成が可能となる。
【0062】
また、現像カートリッジ5をタンデム型感光体ユニット4に装着したときに、第2片寄部材34が現像カートリッジ5を左側へと押圧するようになっている。さらに、プロセスユニット3を本体ケーシング2に装着するときに、本体ケーシング2の第1片寄部材49がタンデム型感光対ユニット4を左側へと押圧するようになっている。
【0063】
このようにして、プロセスユニット3が装着位置へスライドされ、プロセスユニット3の本体ケーシング2への装着が完了する。
【0064】
(3)本体ケーシングからのプロセスユニットの引き出し
本体ケーシング2に装着されたプロセスユニット3を、本体ケーシング2に対して引出位置にスライドさせる場合には、フロントカバー47を前側に揺動させ、開口46を露出させてから、プロセスユニット3を前側へ引き出す。
プロセスユニット3を本体ケーシング2外に出すときには、現像カートリッジ5の第2摺接部33が本体ケーシング2の第1摺接部48に摺接する。これにより、現像カートリッジ5は、後側に向かって回動されて、押圧位置から離脱位置へ移動する。
【0065】
具体的には、まず、現像カートリッジ5の第2摺接部33の第4摺接面33Dが、第1摺接部48の第3摺接面48Eに後側から摺接する(図3参照)。第3摺接面48Eと第4摺接面33Dは、前側から後側へ向けて徐々に右側壁44から遠ざかるように、言い換えれば、後側から前側へ向けて徐々に右側壁44に近づくように略平行に延びている。従って、公差による現像カートリッジ5の左右方向の寸法のばらつきがあっても、プロセスユニット3をスライド移動させると、第3摺接面48Eと第4摺接面33Dとが摺接するようになっている。第3摺接面48Eと第4摺接面33Dが摺接することで、プロセスユニット3の引出方向と反対方向に向いた摩擦力が発生する。その摩擦力が、現像カートリッジ5の押圧位置から離脱位置へ回動する際に必要な回転力以上になったときに、現像カートリッジ5が後側に向かって回動されて、押圧位置から離脱位置へ移動する(図8(a)の現像カートリッジ5Cを参照)。
【0066】
このようにして、すべての現像カートリッジ5の第2摺接部33が、本体ケーシング2の第1摺接部48と当接し、プロセスユニット3が本体ケーシング2から完全に引き出されると、すべての現像カートリッジ5が離脱位置に位置し、プロセスユニット3は本体ケーシング2に対して引出位置に配置される。
以上のように、第1摺接部48が、第1摺接面48Dと第3摺接面48Eとを備え、第2摺接部33が、第2擦接面33Eと第4摺接面33Dとを備えることで、第1摺接部48と第2摺接部33だけで、現像カートリッジ5を離脱位置と押圧位置との両方向に移動させることができる。
【0067】
5.作用効果
(1)以上のように、このプリンタ1は、図6および図7に示すように、本体ケーシング2に対して前後方向に沿ってスライド移動可能なプロセスユニット3を備えている。
プロセスユニット3は、タンデム型感光体ユニット4と、タンデム型感光体ユニット4に対して着脱自在な現像カートリッジ5とを備えている。
そして、現像カートリッジ5は、タンデム型感光体ユニット4において、押圧カム26の平面部分28に押圧される押圧位置と、平面部分28の押圧が解除されてタンデム型感光体ユニット4からの離脱が可能な離脱位置とに回動することができる(図8の現像カートリッジ5Cを参照)。現像カートリッジ5が押圧位置にあるとき、現像ローラ17は、対応する感光ドラム12に圧接することができるので、感光ドラム12にトナーを円滑に供給して感光ドラム12の静電潜像を現像し、良好な画像形成を達成することができる。
【0068】
現像カートリッジ5がタンデム型感光体ユニット4に装着される場合、現像カートリッジ5は、まず、離脱位置にあり、その後、押圧位置に回動することによって、タンデム型感光体ユニット4に完全に装着される。現像カートリッジ5が離脱位置のままでは、現像カートリッジ5は、タンデム型感光体ユニット4に完全に装着されておらず、現像ローラ17は、感光ドラム12に円滑にトナーを供給できず、良好な画像形成は困難である。
【0069】
そのため、図1に示すように、プロセスユニット3が本体ケーシング2に装着された
状態において全ての現像カートリッジ5が押圧位置にあることが必要である。しかし、ユーザに対して、タンデム型感光体ユニット4に現像カートリッジ5を装着する際に、
現像カートリッジ5が押圧位置にあるかどうかを確認させるようにしては使い勝手が悪い。すなわち、現像カートリッジ5が離脱位置にあるときには現像カートリッジ5を押圧位置に変える操作をユーザに必ず求めるのであれば、ユーザがこの操作を忘れてしまうと、現像カートリッジ5が離脱位置にある状態でプロセスユニット3が本体ケーシング2に装着されることがある。
【0070】
そこで、図1に示すように、本体ケーシング2には、第1摺接面48Dを有する第1摺接部48が設けられ、現像カートリッジ5には、第2摺接面33Eを有する第2摺接部33が設けられている。第1摺接面48Dは、本体ケーシング2にプロセスユニット3が装着されるときに、離脱位置にある現像カートリッジ5の第2摺接面33Eに摺接することによってこの現像カートリッジ5を押圧位置に変える。そのため、ユーザに上述した操作を求めなくても、本体ケーシング2にプロセスユニット3を装着するときに、プロセスユニット3において離脱位置にあった現像カートリッジ5が自動的に押圧位置に変わるので、プロセスユニット3の全ての現像カートリッジ5が押圧位置にある状態での画像形成が確実に可能となる。
【0071】
この結果、現像カートリッジ5が着脱自在に装着されるプロセスユニット3が本体ケーシング2に対してスライド移動可能な構成において、使い勝手の向上を図ることができる。
【0072】
また、図3に示すように、第1摺接面48Dと第2摺接面33Eは、感光ドラム12の回転軸線方向である左右方向において対向している。そのため、第2摺接部33の最上端の位置は、図8に示すように、第1摺接部48の最下端よりも高い位置に配置することができる。そして、第2摺接部33は、本体ケーシング2にプロセスユニット3を装着するときに、第1摺接部48の右横を通過することができる。
【0073】
この結果、現像カートリッジ5における押圧位置と離脱位置との回動距離を小さくすることができるため、プロセスユニット3の装着方向におけるプリンタ1の寸法を小さくすることができる。
【0074】
(2)第1摺接面48Dは、第1摺接部48において右側に設けられ、前端から後端に向かうにつれて、徐々に右側壁44に近づくように前後方向に対して傾斜している。第2摺接面33Eは、第2摺接部33において左側に設けられ、前端から後端に向かうにつれて、徐々に右側壁44に近づくように前後方向に対して傾斜している(図3参照)。すなわち、左右方向において第1摺接面48Dと第2摺接面33Eが干渉する幅が設けられている。
【0075】
そのため、プロセスユニット3を本体ケーシング2に装着するときに、第2摺接面33Eを第1摺接面48Dに確実に摺接させることができ、離脱位置にある現像カートリッジ5を確実に押圧位置に移動させることができる。
【0076】
(3)第1摺接部48には第3摺接面48Eを、第2摺接部33には第4摺接面33Dを設けている。第3摺接面48Eは、本体ケーシング2からプロセスユニット3を引き出すときに、第4摺接面33Dに摺接する(図3参照)。また、第2摺接部33の最上端の位置は、第1摺接部48の最下端よりも高い位置に配置されている(図8参照)。すると、押圧位置にある現像カートリッジ5は、離脱位置に移動する。そのため、ユーザが、現像カートリッジ5を押圧位置から離脱位置に回動させる必要がない。
【0077】
この結果、現像カートリッジ5がタンデム型感光体ユニット4に対して押圧位置と離脱位置で回動可能な構成において、使い勝手の向上を図ることができる。
【0078】
(4)第3摺接面48Eは、第1摺接部48において右側に設けられ、前端から後端に向かうにつれて、徐々に右側壁44から遠ざかるように前後方向に対して傾斜している。第4摺接面33Dは、第2摺接部33において左側に設けられ、前端から後端に向かうにつれて、徐々に右側壁44から遠ざかるように前後方向に対して傾斜している(図3参照)。すなわち、左右方向において第3摺接面48Eと第4摺接面33Dが干渉する幅が設けられている。
【0079】
そのため、プロセスユニット3を本体ケーシング2から引き出すときに、第4摺接面33Dを第3摺接面48Eに確実に摺接させることができ、押圧位置にある現像カートリッジ5を確実に離脱位置に移動させることができる。
【0080】
(5)第1摺接面48Dの後端は、第3摺接面48Eの前端と一致し、第2摺接面33Eの後端は、第4摺接面33Dの前端と一致している。(図3参照)
そのため、プロセスユニット3の装着方向における第1摺接部48および第2摺接部33の長さを短くすることができ、第1摺接部48および第2摺接部33の設置箇所および形状の自由度が増す。
【0081】
(6)本体ケーシング2の右側壁44には、第1片寄部材49が設けられている(図9参照)。第1片寄部材49は、右側壁44の前端部に設けられている。この第1片寄部材49は、バネで形成され、プロセスユニット3の引出位置から装着位置への移動に伴い、タンデム型感光体ユニット4を左側へと押圧する。
【0082】
そのため、左側を向く第2摺接面33Eを、右側を向く第1摺接面48Dに確実に押し当てることができ、プロセスユニット3の装着時において離脱位置にある現像カートリッジ5を確実に押圧位置に回動させることができる。
【0083】
(7)現像カートリッジ5は、カラー部材34Aと、電極34Bとからなる第2片寄部材34を備えている(図4参照)。カラー部材34Aと電極34Bは、現像カートリッジ5を右から左に向かう方向に押圧している。
【0084】
そのため、左側を向く第2摺接面33Eを、右側を向く第1摺接面48Dに確実に押し当てることができ、プロセスユニット3の装着時において離脱位置にある現像カートリッジ5を確実に押圧位置に回動させることができる。
【0085】
また、現像カートリッジ5およびタンデム型感光体ユニット4を、左側に片寄せすることにより、第1摺接面48Dと第2摺接面33Eの前後方向に対する傾斜角度を小さくすることができる。傾斜角度が小さくても、確実に第1摺接面48Dと第2摺接面33Eが確実に摺接するからである。さらに、プロセスユニット3の装着途中の現像カートリッジ5およびタンデム型感光体ユニット4の左右方向の位置決めを確実に行えば、第1摺接面48Dと第2摺接面33Eの前後方向に対する傾斜角度をゼロにしてもよい。第1摺接面48Dと第2摺接面33Eの前後方向に対する傾斜角度が小さいと、現像カートリッジ5が離脱位置から押圧位置へ移動する際に必要とする左右方向の移動量を小さくすることができる。
【0086】
6.その他の実施形態
本実施形態では、第1摺接部48の下端部が、現像カートリッジ5が押圧位置および離脱位置のいずれにあるときも、第2摺接部33の上端部よりも低い位置にあり、現像カートリッジ5が押圧位置にあっても、第1摺接部48と第2摺接部33が摺接する。これに対し、図10に示すように、第1摺接部48の下端部が、現像カートリッジ5が離脱位置にある第2摺接部33の上端部よりも低い位置で、かつ、現像カートリッジ5が押圧位置にある第2摺接部33の上端部よりも高い位置にあるようにしてもよい。
【0087】
この場合は、タンデム型感光体ユニット4を装着位置から引出位置に移動させる際、第1摺接部48と第2摺接部33が当接しないので、現像カートリッジ5は離脱位置へと移動しない。すべての現像カートリッジ5が押圧位置にあるタンデム型感光体ユニット4を引出位置から装着位置に移動させるときと、タンデム型感光体ユニット4を装着位置から引出位置に移動させるときに、ユーザが不要な力を掛けることがない。
【0088】
また、第1摺接面48D、第2摺接面33E、第3摺接面48Eおよび第4摺接面33Dに摩擦係数の大きいコルクやフェルトを貼付してもよい。なお、コルクやフェルトに限らず、現像カートリッジ5を回転させるための回転力より大きい摩擦力を発生できる材料であればよい。また、第1摺接部48および第2摺接部33をコルクで形成してもよい。
第1片寄部材49および第2片寄部材34は、バネで形成したが、スポンジやゴムでもよい。また、第2片寄部材34は、タンデム型感光体ユニット4に設けてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 プリンタ
2 本体ケーシング
3 プロセスユニット
4 タンデム型感光体ユニット
5 現像カートリッジ
15 感光体フレーム
16 現像フレーム
26 押圧カム
33 第2摺接部
33D 第4摺接面
33E 第2摺接面
34 第2片寄部材
48 第1摺接部
48D 第1摺接面
48E 第3摺接面
49 第1片寄部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1壁と第2壁とを有する本体ケーシングと、前記本体ケーシングに対して所定方向に引出可能に構成されたタンデム型感光体ユニットと、前記タンデム型感光体ユニットに対して着脱自在である複数の現像カートリッジと、を備え、
前記本体ケーシングは、
第1摺接面を含む第1摺接部を有し、
前記タンデム型感光体ユニットは、
前記所定方向に並列配置された複数の感光体と、
複数の押圧部材と、を有し、
各前記現像カートリッジは、
対応する前記感光体に供給する現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体が対応する前記感光体に向かうように、対応する前記押圧部材に押圧される被押圧部と、
前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングに装着される途中で、前記感光体の回転軸線方向において前記第1摺接面と対向する第2摺接面を含む第2摺接部と、を有し、
前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットにおいて、前記被押圧部が前記押圧部に係合することにより前記押圧部に押圧される押圧位置と、前記被押圧部が前記押圧部から外れることにより前記被押圧部に対する前記押圧部の押圧が解除されて前記タンデム型感光体ユニットからの離脱が可能な離脱位置と、の間を回動可能であり、
前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングに装着されるときに前記離脱位置にある前記現像カートリッジは、前記第1摺接部の前記第1摺接面が前記第2摺接部の第2摺接面に摺接することにより、前記押圧位置に回動することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1摺接面は、前記第1摺接部において前記第1壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第1摺接面の上流端から当該第1摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側に近づき、
前記第2摺接面は、前記第2摺接部において前記第2壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第2摺接面の上流端から当該第2摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側に近づくことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1摺接部は、第3摺接面を有し、
前記第2摺接部は、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングから引き出される途中で、前記感光体の回転軸線方向において前記第3摺接面と対向する第4摺接面を有し、
前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングから引き出されるときに、前記第3摺接面と前記第4摺接面が摺接することにより、前記押圧位置から前記離脱位置に回動することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第3摺接面は、前記第1摺接部において前記第1壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第3摺接面の上流端から当該第3摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側から遠ざかり、
前記第4摺接面は、前記第2摺接部において第2壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第4摺接面の上流端から当該第4摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側から遠ざかることを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1摺接面の下流端は、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、前記第3摺接面の上流端と一致し、
前記第2摺接面の上流端は、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、前記第4摺接面の下流端と一致することを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記本体ケーシングは、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向上流側に設けられ、前記本体ケーシングに対して前記タンデム型感光体ユニットを前記第1壁から前記第2壁へ向かう方向に片寄せする第1片寄部材を有することを特徴とする、請求項2、4および5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットに対して前記現像カートリッジを前記第1壁から前記第2壁に向かう方向に片寄せする第2片寄部材を有することを特徴とする、請求項2、4および5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
第1壁と第2壁とを有する本体ケーシングと、前記本体ケーシングに対して所定方向に引出可能に構成されたタンデム型感光体ユニットと、前記タンデム型感光体ユニットに対して着脱自在である複数の現像カートリッジと、を備え、
前記本体ケーシングは、
第1摺接面を含む第1摺接部を有し、
前記タンデム型感光体ユニットは、
前記所定方向に並列配置された複数の感光体と、
複数の押圧部材と、を有し、
各前記現像カートリッジは、
対応する前記感光体に供給する現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体が対応する前記感光体に向かうように、対応する前記押圧部材に押圧される被押圧部と、
前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングに装着される途中で、前記感光体の回転軸線方向において前記第1摺接面と対向する第2摺接面を含む第2摺接部と、を有し、
前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットにおいて、前記被押圧部が前記押圧部に係合することにより前記押圧部に押圧される押圧位置と、前記被押圧部が前記押圧部から外れることにより前記被押圧部に対する前記押圧部の押圧が解除されて前記タンデム型感光体ユニットからの離脱が可能な離脱位置と、の間を回動可能であり、
前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングに装着されるときに前記離脱位置にある前記現像カートリッジは、前記第1摺接部の前記第1摺接面が前記第2摺接部の第2摺接面に摺接することにより、前記押圧位置に回動することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1摺接面は、前記第1摺接部において前記第1壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第1摺接面の上流端から当該第1摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側に近づき、
前記第2摺接面は、前記第2摺接部において前記第2壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第2摺接面の上流端から当該第2摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側に近づくことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1摺接部は、第3摺接面を有し、
前記第2摺接部は、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングから引き出される途中で、前記感光体の回転軸線方向において前記第3摺接面と対向する第4摺接面を有し、
前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体ケーシングから引き出されるときに、前記第3摺接面と前記第4摺接面が摺接することにより、前記押圧位置から前記離脱位置に回動することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第3摺接面は、前記第1摺接部において前記第1壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第3摺接面の上流端から当該第3摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側から遠ざかり、
前記第4摺接面は、前記第2摺接部において第2壁側に設けられ、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、当該第4摺接面の上流端から当該第4摺接面の下流端に向かうにつれて、徐々に前記第1壁側から遠ざかることを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1摺接面の下流端は、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、前記第3摺接面の上流端と一致し、
前記第2摺接面の上流端は、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向において、前記第4摺接面の下流端と一致することを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記本体ケーシングは、前記タンデム型感光体ユニットの装着方向上流側に設けられ、前記本体ケーシングに対して前記タンデム型感光体ユニットを前記第1壁から前記第2壁へ向かう方向に片寄せする第1片寄部材を有することを特徴とする、請求項2、4および5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像カートリッジは、前記タンデム型感光体ユニットに対して前記現像カートリッジを前記第1壁から前記第2壁に向かう方向に片寄せする第2片寄部材を有することを特徴とする、請求項2、4および5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−155166(P2012−155166A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14820(P2011−14820)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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