説明

画像形成装置

【課題】ジャム処理を容易に行うことが可能、かつ記録シートを冷却することにより、両面に高画質の画像を形成することが可能な画像形成装置提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置1は、装置本体2内に配置され、画像を熱によって記録シート上に定着させる定着処理を行う定着部97と、記録シートを、画像形成部93および定着部97を経由して搬送するための第1搬送路28,961と、記録シートの両面に画像形成処理を行う場合に、定着処理が施された記録シートを、画像形成部93の上流側に搬送するための第2搬送路29と、装置本体2に開閉可能に取り付けられた第1カバー30と、第2搬送路29を覆う第2カバー50であって、装置本体2に開閉可能に取り付けられていると共に、第1カバー30が開状態のときに開閉することが可能な第2カバー50と、第2カバー50に設けられ、第2搬送路29に空気流を供給するファン523とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートの両面に画像が形成される際に記録シートが搬送される両面印刷用搬送路を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター等の画像形成装置は、記録シート上に画像を形成する画像形成処理を行う画像形成部と、画像を熱によって記録シート上に定着させる定着処理を行う定着部と、記録シートを、画像形成部および定着部を経由して搬送するためのシート搬送路と、記録シートの両面に画像が形成される場合に、定着処理された記録シートを、シート搬送路における画像形成部の上流側に搬送するための両面印刷用搬送路、所謂反転搬送路とを含む。シート搬送路は、排出トレイに連通されている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の画像形成装置では、シート搬送路において発生し得るジャムを処理し易くする目的で、シート搬送路および反転搬送路を構成すると共に、シート搬送路を開閉する搬送ユニットは、水平方向にスライド移動可能なように3本のスライドガイドによって支持されている。1本目のスライドガイドは、搬送ユニットにおけるジャム処理アクセス側の下端部に設けられ、2本目および3本目のスライドガイドは、搬送ユニットにおけるジャム処理アクセス反対側の上下両端部に設けられている。したがって、搬送ユニットにおけるジャム処理アクセス側の上端部は、開放されている。これにより、開放側からジャム処理を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−226081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、搬送ユニットを上記のように構成することで、ジャム処理の作業性を向上させている。しかしながら、近年の画像形成装置では、ジャム処理の作業性を向上させることに加え、記録シートが搬送ユニットによって反転搬送路を通る際に十分に冷却されることが求められている。一方の面上の画像に対して定着処理が施された記録シートは高温となっている。そのため、記録シートを冷却することなく、両面印刷のために他方の面にも画像を形成すると、画像が熱によって滲みやすくなる。画像が滲むと、高画質の画像が得られない。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、ジャム処理を容易に行うことが可能、かつ記録シートを冷却することにより、両面に高画質の画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体内に配置され、記録シート上に画像を形成する画像形成処理を行う画像形成部と、前記装置本体内に配置され、前記画像を熱によって前記記録シート上に定着させる定着処理を行う定着部と、前記記録シートを、前記画像形成部および前記定着部を経由して搬送するための第1搬送路と、前記記録シートの両面に前記画像形成処理を行う場合に、前記定着処理が施された前記記録シートを、前記画像形成部の上流側に搬送するための第2搬送路と、前記装置本体に開閉可能に取り付けられた第1カバーと、前記第2搬送路を覆う第2カバーであって、前記装置本体に開閉可能に取り付けられていると共に、前記第1カバーが開状態のときに開閉することが可能な第2カバーと、前記第2カバーに設けられ、前記第2搬送路に空気流を供給するファンとを含む。
【0008】
本発明に係る画像形成装置によれば、第2搬送路を覆うカバーには、該第2搬送路に空気流を供給するファンが設けられている。第2搬送路を通る記録シートは、定着処理が施されているため、高温となっているが、ファンによる空気流によって冷却される。これにより、記録シートの残りの片面に画像形成処理が施されるときに画像が熱によって滲んでしまうことが抑制される。その結果、高画質の画像を確保することができる。
【0009】
しかも、本発明に係る画像形成装置では、第1カバーを開け、第2搬送路を覆う第2カバーを開けるという簡単な動作により、第2搬送路が外部に露出されるので、ユーザーは、第2搬送路においてジャムした記録シートを容易に取り除くことができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、前記第1カバーは、前記ファンに対向する位置に通気孔を有する。
【0011】
この構成によれば、ファンは効率的に外気を取り込むことができるので、冷却効果の向上が期待できる。
【0012】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記装置本体は、略直方体形状の筐体であり、前記第1カバーは、前記第1搬送路に搬送される記録シートが載置され、前記筐体の側面に開閉可能に取り付けられた手差しトレイである。
【0013】
この構成によれば、第1カバーは、画像形成装置に元来設けられている手差しトレイである。したがって、第2搬送路におけるジャム処理のために、まず、手差しトレイを開ける必要があるが、手差しトレイの開閉動作は簡単であるから、ユーザーに煩雑感を与える虞がない。また、手差しトレイを第1カバーとして用いることで、第1カバーと第2カバーとを筐体の別々の側面に取り付ける構成と比較して、筐体の外観構成や筐体内部の構成の設計の自由度が確保される。
【0014】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記装置本体は、固定部と、前記固定部に対して水平方向に移動可能な移動部とを含み、前記移動部に、前記第1搬送路の一部および前記第2搬送路が設けられていると共に、前記第1カバーおよび前記第2カバーが取り付けられている。
【0015】
この構成によれば、移動部を固定部に対して水平方向に移動させることで、第1搬送路においてもジャム処理を行うことができる。これにより、ジャム処理が一層容易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る画像形成装置によれば、第2カバーに設けられたファンにより、第2搬送路を通る記録シートが冷却されるので、高画質の画像を形成することが可能である。また、第1カバーを開け、第2カバーを開けるという簡単な動作で、第2搬送路において発生したジャムの処理を行うことができるので、ジャム処理が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図2】画像形成装置1の外観斜視図であり、移動部がスライド移動した状態を示す。
【図3】画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図4】反転搬送路およびその周囲の構成を示す拡大断面図である。
【図5】移動部の斜視図である。
【図6】手差しトレイが開かれた状態の移動部の斜視図である。
【図7】第2カバーが開かれた状態を示す斜視図である。
【図8】第2カバーの第1半体部の斜視図である。
【図9】第2カバーの第2半体部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図である。図2は、画像形成装置1の外観斜視図であり、移動部214がスライド移動した状態を示す。ここでは、画像形成装置1として胴内排紙型の複写機を例示しているが、画像形成装置は1、プリンター、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
【0019】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有し胴内空間(胴内排紙部24)を備えた装置本体2を含む。装置本体2は、略直方体形状の下部筐体21と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。下部筐体21には画像形成のための各種機器が収容され、上部筐体22には原稿画像を光学的に読み取るための各種機器が収容されている。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる胴内空間が、画像形成後のシートを収容可能な胴内排紙部24とされている。連結筐体23は、装置本体2の右側面の側に配置され、胴内排紙部24へシートを排出するためのシート排出路961(図3)が設けられている。
【0020】
胴内排紙部24として利用される前記胴内空間は、装置本体2の前面及び左側面において外部に開放されている。ユーザーは、これらの開放部分から手を差し入れ、胴内排紙部24から画像形成後のシートを取り出すことが可能である。前記胴内空間の底面241は、下部筐体21の上面で区画され、シート排出路961から排出されたシートが積載される排紙トレイとして用いられている。
【0021】
上部筐体22の前面には、操作パネルユニット25が突出して設けられている。操作パネルユニット25は、テンキー、スタートキーなどを含む操作キー及びLCDタッチパネルなどを備え、ユーザーからの各種の操作指示の入力を受け付ける。ユーザーは、操作パネルユニット25を通じて、印刷されるシートの枚数等を入力したり、印刷濃度等を入力したりすることができる。
【0022】
また、上部筐体22の上面には、図略の自動原稿給紙装置(ADF)を設けることができる。自動原稿給紙装置は、上部筐体22における所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス222が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給紙する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス223の配置位置)に載置する場合は、自動原稿給紙装置上方に開けられる。
【0023】
下部筐体21には、画像形成処理が施される記録シートを収容する給紙カセット211,212が装着されている。給紙カセット211、212は、自動給紙用に設けられたカセットであり、大量の記録シートをサイズ別に収容することができる。給紙カセット211,212は、下部筐体21の前面から手前方向に引出可能である。
【0024】
装置本体2は、右側面において、移動部214を有する。移動部214は、下部筐体21の右側面の上部分の外観と、連結筐体23の右側面の外観とを構成している。移動部214の下方位置の下側側壁215は、下部筐体21の右側面の下部分の外観を構成している。また、移動部214および下側側壁215は、装置本体2の右側壁を構成している。
【0025】
移動部214は、装置本体2の筐体構造を構成するフレーム(固定部)に対して左右方向にかつ水平方向にスライド移動自在に構成されている。移動部214は、装置本体2内に設けられた一対のガイドレール216によってスライド移動可能に支持されている。移動部214を、図1に示す状態から右方に引き出すと、移動部214は、図2に示すように右方にスライド移動する。移動部214のスライド移動により、装置本体2の内部空間が現れると共に、移動部214が装置本体2から離間する。これにより、後述する画像形成ユニット93、定着ユニット97等のメンテナンスを行うことができる。また、移動部214の裏面、つまり、移動部214における装置本体2の前記内部空間に対向する面には、後述する反転ユニット31等が設けられている。
【0026】
さらに、移動部214には、外部に対向する表面において、ユーザーに手差し給紙を行わせるための手差しトレイ30が装着されている。手差しトレイ30は、その下端部において移動部214に対して開閉自在に取り付けられており、不使用時は閉状態とされる。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、手差しトレイ30を開き、その上に記録シートを載置する。図1および図2は、手差しトレイ30の開状態を示す。
【0027】
図3は、画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。上部筐体22の上面には、第1コンタクトガラス222と第2コンタクトガラス223とが嵌め込まれている(図1参照)。上部筐体22の内部には、図略の読取装置が収容されている。読取装置は、自動原稿給紙装置によって第1コンタクトガラス222へ送られた原稿シートの原稿情報と、第2コンタクトガラス223上に載置された原稿シートの原稿情報とを光学的に読み取る。読み取られた画像情報は、画像データとして、後述する露光ユニット94へ送られる。
【0028】
下部筐体21の内部には、中間転写ユニット92、画像形成ユニット93、露光ユニット94、給紙カセット211および定着ユニット97(定着部)が収容されている。なお、図3では、給紙カセット212を省略している。本実施形態では、中間転写ユニット92、画像形成ユニット93および露光ユニット94が、フルカラーのトナー像(画像)を記録シート上に形成する画像形成処理を行う画像形成部を構成している。
【0029】
画像形成ユニット93は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各トナー像を形成する4つの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kを含む。各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光体ドラム11と、感光体ドラム11の周囲に配置された、帯電器12、現像装置13、一次転写ローラー14及びクリーニング装置15とを含む。
【0030】
感光体ドラム11は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。帯電器12は、感光体ドラム11の表面を均一に帯電する。露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kの各々に設けられた感光体ドラム11の周面に、原稿シートの原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0031】
現像装置13は、感光体ドラム11の周面にトナーを供給して、感光体ドラム11上に形成された静電潜像を現像する。これにより、感光体ドラム11の周面上にトナー像が形成される。各現像装置13は、図略のトナーコンテナからトナーの供給を受ける。
【0032】
一次転写ローラー14は、中間転写ユニット92の中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム11と一次転写ニップ部T1を形成し、感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置15は、トナー像転写後の感光体ドラム11の周面を清掃する。
【0033】
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラー922及び従動ローラー923を含む。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム11からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。駆動ローラー922は二次転写ローラー98と対向配置されている。二次転写ローラー98は、駆動ローラー922との間で中間転写ベルト921を挟んでおり、二次転写ローラー98と中間転写ベルト921との間には、二次転写ニップ部T2が形成されている。一次転写されたトナー像は、給紙カセット211から供給される記録シートに、二次転写ニップ部T2において二次転写される。
【0034】
給紙カセット211は、複数の記録シートが積層されてなるシート束を収納する。給紙カセット211の右端側の上部には、ピックアップローラー281が配置されている。ピックアップローラー281は、給紙カセット211内のシート束の最上位の記録シートを取り出す。記録シートの取り出し方向におけるピックアップローラー281よりも下流側には、一対の給紙ローラー282およびリタードローラー283が配置されている。記録シートは、給紙ローラー282によってシート搬送路28へ搬入される。リタードローラー283は記録シートの重送を防止する。
【0035】
シート搬送路28は、給紙ローラー282から、二次転写ニップ部T2(つまり、画像形成ユニット93)を経由して定着装置97まで延びている。シート搬送路28における二次転写ニップ部T2よりも上流側には、レジストローラー対27が配設されている。レジストローラー対27は、記録シートの斜め姿勢を矯正すると共に、所定のタイミングで二次転写ニップ部T2に送り出す。シート搬送路28における給紙ローラー282とレジストローラー対27との間には、搬送ローラー対284が配設されている。
【0036】
一方、手差しトレイ30上に載置された記録シートは、手差しシート用の搬入路288を通ってシート搬送路28に搬送される。手差しトレイ30の最下端部の上方位置には、手差しトレイ30上の記録シートを1枚ずつ取り出すピックアップローラー285が配設されている。搬入路288は、シート搬送路28における搬送ローラー対284の直上流側部分においてシート搬送路28に合流している。搬入路288には、一対の給紙ローラー286およびリタードローラー287が配設されている。記録シートは、給紙ローラー286によって搬入路288へ搬入される。リタードローラー287は記録シートの重送を防止する。
【0037】
定着ユニット97は、二次転写されたトナー像を記録シート上に定着させる定着処理を行うものであって、加熱ローラー971と、定着ローラー972と、加熱ローラー971および定着ローラー972間に巻回された定着ベルト973と、定着ベルト973を挟んで定着ローラー972に対向配置された加圧ローラー974とを有する。トナー像が二次転写された記録シートは、定着ベルト973および加圧ローラー974間の定着ニップ部を通過するときに加熱および加圧される。これにより、トナー像が記録シート上に定着される。加熱ローラー971、定着ローラー972および加圧ローラー974は、それぞれ回転可能にハウジング975内に収容されている。
【0038】
連結筐体23内には、シート排出部96が設けられている。排紙部96は、定着ユニット97から排紙トレイ241に向かって延びるシート排出路961と、シート排出路961に配設された排出ローラー対962とを有する。定着処理された記録シートは、シート排出路961を通り、排出ローラー対962によって排紙トレイ241上に排紙される。本実施形態では、シート搬送路28およびシート排出路961が本発明の第1搬送路を構成している。
【0039】
装置本体2内には、シート搬送路28およびシート排出路961に加え、反転搬送路29が設けられている。反転搬送路29について、図3に加え、図4を参照しながら説明する。図4は、反転搬送路29およびその周囲の構成を示す拡大断面図である。反転搬送路29は、本発明の第2搬送路を構成しており、記録シートの両面に画像形成処理が行われる場合に通紙される搬送路である。反転搬送路29は、シート排出路961から分岐して、連結筐体23から下部筐体21に向かって上下方向に延び、シート搬送路28におけるレジストローラー対27の直上流側の位置でシート搬送路28に合流している。
【0040】
反転搬送路29は、移動部214の裏面と、シート排出部96における移動部214側の右側面、定着ユニット97のハウジング975における移動部214側の右壁面および反転ユニット31の移動部214側の右側面310との間で画定されている。反転搬送路29には、3つの搬送ローラー対292が上下方向に配設されている。最も上側の搬送路ローラー対292は、移動部214の裏面とシート排出部96との間に配設されている。下側の2つの搬送ローラー対292は、移動部214の裏面と反転ユニット31の右側面310との間に配設されている。
【0041】
また、シート排出路961と反転搬送路29との間の分岐点には、切替え爪963が配設されている。切替え爪963は、回動動作により、原稿シートの搬送経路を、シート排出路961と反転搬送路29との間で切り替える。原稿シートの両面に画像形成処理が行われるとき、切替え爪963は、図3に示す位置から、シート排出路961を塞ぐように回動して、反転搬送路29を開放する。これにより、シート排出路961を通る原稿シートは、反転搬送路29にガイドされる。なお、図3では、切替え爪963は反転搬送路29を塞いで原稿シートの搬送経路をシート排出路961に切り替えている。
【0042】
原稿シートの両面に画像形成処理が行われる場合、原稿シートは、一方の面に二次転写されたトナー像が定着ユニット97によって定着処理された後、切替え爪963によって反転搬送路29にガイドされる。反転搬送路29にガイドされた原稿シートは、反転搬送路29に配設された搬送ローラー対292により、シート搬送路28との合流位置まで搬送される。合流位置に到達した原稿シートは、レジストローラー対27によって所定のタイミングで二次転写ニップ部T2に搬送される。原稿シートは、二次転写ニップ部T2において、他方の面にもトナー像が二次転写される。そして、原稿シートは、定着ユニット97に搬送され、前記他方の面に二次転写されたトナー像が定着処理される。このとき、切替え爪963は、図略の制御部により、反転搬送路29を塞いでシート排出路961を開放するように制御されている。上述のように両面にトナー像が形成された原稿シートは、シート排出路961を通って排紙トレイ241上に排紙される。
【0043】
なお、反転ユニット31における右側面310とは反対側の左側面311と、下部筐体21に形成された所定の内壁210(図3参照)との間に、シート搬送路28の一部が画定されている。また、シート排出部96の一部、反転ユニット31、手差しされた記録シートを搬送するためのローラー群285,286,287、一方のレジストローラー27、二次転写ローラー98、および一方の搬送ローラー284は、移動部214の裏面側に支持されている。したがって、図2に示すように、移動部214が引き出されると、それらの部材が外部に露出される、つまり、シート搬送路28およびシート排出路961が外部に露出される。
【0044】
次に、図5および図6を参照して、移動部214の構成について詳述する。図5は、移動部214の斜視図である。図6は、手差しトレイ30が開かれた状態の移動部214の斜視図である。移動部214は、手差しトレイ30の上方位置に、外気を装置本体2内に取り込むためのルーバー217を有する。また、移動部214は、図6に示すように、その表面側において、手差しトレイ30を収容するための凹部Sが形成されている。凹部Sの形状は、手差しトレイ30の外郭形状に対応している。
【0045】
手差しトレイ30は、トレイ本体部301と、トレイ延長部302とを有する2段構成のものである。トレイ本体部301は、外部に面する第1トレイ面301aと、第1トレイ面301aとは反対側に位置し、閉状態では装置本体2側に向く第2トレイ面301bとを有する。第2トレイ面301b上に、記録シートがユーザーによって載置される。トレイ本体部301は、第2トレイ面301bに載置される記録シートの幅方向を長手方向(図6では装置本体2の前後方向)としている。第2トレイ面301bには、記録シートを幅方向において揃える一対のカーソル303が配設されている。
【0046】
トレイ延長部302は、第1トレイ面301aと第2トレイ面301bとの間の空間に対して出し入れ自在に取り付けられている。トレイ延長部302を引き出すことで、記録シートを、手差しトレイ30上に安定した状態で載置することができる。第2トレイ面301b上に載置された記録シートは、ローラー群286,287,288(図3参照)により、記録シートの幅方向と略直交する方向(つまり、装置本体2の左右方向)に第2トレイ面301bから搬入路288に搬入される。本実施形態では、手差しトレイ30は、本発明の第1カバーを構成する。
【0047】
移動部214には、手差しトレイ30に加え、ジャム処理用のカバー50(以下、第2カバーという)が取り付けられている。第2カバー50は、反転搬送路29において記録シートがジャムした場合に開閉される。第2カバー50は、その下端部において移動部214に軸支されており、手差しトレイ30が開かれた状態のときのみ開閉動作を行うことができる。第2カバー50は、手差しトレイ30が閉ざされた状態では、トレイ本体部301の第2トレイ面301bと対向するように、かつ第2トレイ面301bに対して平行に延びるように配置されている。したがって、第2カバー50は、手差しトレイ30が収容される凹部Sの底部を画定している。
【0048】
また、第2カバー50は、閉状態のとき、一方の面において手差しトレイ30の第2トレイ面301bに対向するだけでなく、他方の面において反転ユニット31の右側面310と対向している。したがって、第2カバー50は、反転搬送路29の一部を覆うと共に、反転ユニット31の右側面310との間で反転搬送路29の一部を構成している。反転搬送路29における反転ユニット31の右側面310と第2カバー50との間の搬送路部分において記録シートのジャムが発生した場合、まず、手差しトレイ30が開けられ、次に、第2カバー50が開けられる。これにより、図7に示すように、反転搬送路29の前記搬送路部分が外部に露出される。ユーザーは、露出した反転搬送路29に手を入れて、ジャムした記録シートを除去する。第2カバー50は、反転搬送路29を通る記録シートの幅方向を長手方向としており、第2カバー50の長手方向寸法は、前記記録シートの幅方向寸法と略等しくまたはそれよりも大きく設定されている。そのため、ユーザーは、ジャムした記録シートを反転搬送路29から容易に取り除くことができる。なお、反転ユニット31の右側面310には、記録シートの搬送を円滑に行うためのガイドリブ312が形成されている。
【0049】
次に、図8および図9を参照して、第2カバー50の構造について説明する。図8は、第2カバー50の第1半体部510の斜視図である。図9は、第2カバー50の第2半体部520の斜視図である。第2カバー50は、第1半体部510と、第2半体部520とを有する。第1半体部510は、手差しトレイ30に対向する部分であり、第2半体部520は、反転ユニット31の右側面310に対向する部分である。
【0050】
第1半体部510は、平板状の部材であって、長手方向の中間部を挟んだその両側において(図8では長手方向中間部を挟んだ前後方向において)、表面511から裏面512にかけて一対の開口が貫設されている。各開口に、複数のルーバーからなる第1ルーバー部513が設けられている。なお、図8に示すルーバーの形状と図6に示すルーバーの形状とは異なっているが、ルーバーの形状は特に限定されない。
【0051】
また、第1半体部510における長手方向中間部の下縁の近傍部分には、締結部材、例えばビス514が挿通されるビス孔515が形成されている。
【0052】
第2半体部520は、第1半体部510に対向する第1面521と、第1面521とは反対側に位置し、反転ユニット31の右側面310に対向する第2面522と、該第2半体部520の外周縁から第1半体部510に向かって(つまり、第1面521側に)立設された壁部527と、該第2半体部520を構造的に補強するための複数の補強リブ528とを有する。
【0053】
第1面521には、第2半体部520の長手方向中間部を挟んだその両側において(図9では長手方向中間部を挟んだ前後方向において)、一対のファン523が設けられている。ファン523は、図略の駆動源によって回転される。そして、第2半体部520には、一対のファン523に対応する位置において第1面521から第2面522にかけて一対の開口が貫設されており、各開口に、複数のルーバーからなる第2ルーバー部524が設けられている。第2ルーバー部524は第2面522側に設けられている。また、第1半体部510の第1ルーバー部513の位置は、ファン523および第2ルーバー部524に対応して設定されている。
【0054】
手差しトレイ30は、閉じられた状態において第2カバー50の第1ルーバー部513、第2ルーバー部524およびファン523に対向する位置にトレイ側ルーバー部(通気孔)を有する。具体的には、トレイ本体部301は、一対の第1トレイ側ルーバー部304を有し、トレイ延長部302は、一対の第2トレイ側ルーバー部305を有する。第1ルーバー部513、第2ルーバー部524、ファン523、第1トレイ側ルーバー部304および第2トレイ側ルーバー部305は、同一線上に位置するように設定されている。
【0055】
ファン523は、回転により、第1トレイ側ルーバー部304、第2トレイ側ルーバー部305および第1ルーバー部513から外気を取り込んで、空気流を、第2ルーバー部524を介して反転搬送路29に供給する。これにより、反転搬送路29を通る記録シートが冷却される。
【0056】
第2半体部520の長手方向両端部のそれぞれには、互いに反対方向に突出する軸部526が形成されている。そして、移動部214には、軸部526を回転可能に支持する軸支部218(図6参照)が形成されている。これにより、第2カバー50は開閉可能となっている。
【0057】
第2半体部520における長手方向中間部の下縁の近傍部分には、ビス514が挿通されるビス孔525が形成されている。また、第2半体部520の上縁には、3つの係止片529が長手方向に所定の間隔で形成されている。第1半体部510には、第2半体部520の係止片529に係止される図略の係止部が形成されている。したがって、第1半体部510の前記係止部を第2半体部520の係止片529に係止させて、第1半体部510と第2半体部520とを重ね合わせ、ビス514を第1半体部510のビス孔515、第2半体部520のビス孔525の順にねじ込むことで、第1半体部510と第2半体部520とが互いに組み付けられる。
【0058】
第2面522には、図7に示すように、記録シートの搬送を円滑に行うための複数のガイドリブ522aが形成されている。
【0059】
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置1では、反転搬送路29の一部を覆う第2カバー50には、反転搬送路29に空気流を供給するファン523が設けられている。反転搬送路29を通る記録シートは、定着処理が施されているため、高温となっているが、ファン523による空気流によって冷却される。これにより、記録シートの残りの片面に画像形成処理が施されるときにトナー像が熱によって滲んでしまうことが抑制される。その結果、高画質のトナー像を確保することができる。
【0060】
しかも、本実施形態に係る画像形成装置1では、手差しトレイ30を開け、第2カバー50を開けるという簡単な動作により、反転搬送路29が外部に露出されるので、ユーザーは、反転搬送路29においてジャムした記録シートを容易に取り除くことができる。手差しトレイ30は、画像形成装置1に元来設けられている部材であり、手差しトレイ30の開閉動作は簡単である。したがって、ジャム処理のために、手差しトレイ30を開けるという構成を採用している場合であっても、ユーザーに煩雑感を与える虞がない。また、手差しトレイ30と第2カバー50とを装置本体2の同一の側面側に設ける(つまり、手差しトレイ30が開状態のときのみ第2カバー50を開閉することができる構成)ことで、手差しトレイ30と第2カバー50とを装置本体2の別々の側面に取り付ける構成と比較して、装置本体2の外観構成や装置本体2内部の構成の設計の自由度が確保される。
【0061】
また、本実施形態に係る画像形成装置1では、手差しトレイ30は、第2カバー50に設けられたファン523に対向する位置に、第1トレイ側ルーバー部304および第2トレイ側ルーバー部305を有している。これにより、ファン523は効率的に外気を取り込むことができるので、冷却効果の向上が期待できる。
【0062】
さらに、本実施形態に係る画像形成装置1では、手差しトレイ30および第2カバー50が取り付けられた移動部214はスライド移動可能に構成されているので、移動部214を図2に示すようにスライド移動させると、装置本体2の内部空間が現れる。これにより、画像形成ユニット93や定着ユニット97等のメンテナンスを行うことができる。また、移動部214のスライド移動により、シート搬送路28やシート排出路961が外部に露出されるので、シート搬送路28やシート排出路961においてジャムした記録シートを取り除くことができる。これにより、ジャム処理が一層容易となる。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
2 装置本体
28 シート搬送路(第1搬送路)
29 反転搬送路(第2搬送路)
30 手差しトレイ(第1カバー)
304 第1トレイ側ルーバー部(通気孔)
305 第2トレイ側ルーバー部(通気孔)
31 反転ユニット
50 第2カバー
510 第1半体部
513 第1ルーバー部
520 第2半体部
523 ファン
524 第2ルーバー部
93 画像形成ユニット
97 定着ユニット(定着部)
214 移動部
961 シート排出路(第1搬送路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体内に配置され、記録シート上に画像を形成する画像形成処理を行う画像形成部と、
前記装置本体内に配置され、前記画像を熱によって前記記録シート上に定着させる定着処理を行う定着部と、
前記記録シートを、前記画像形成部および前記定着部を経由して搬送するための第1搬送路と、
前記記録シートの両面に前記画像形成処理を行う場合に、前記定着処理が施された前記記録シートを、前記画像形成部の上流側に搬送するための第2搬送路と、
前記装置本体に開閉可能に取り付けられた第1カバーと、
前記第2搬送路を覆う第2カバーであって、前記装置本体に開閉可能に取り付けられていると共に、前記第1カバーが開状態のときに開閉することが可能な第2カバーと、
前記第2カバーに設けられ、前記第2搬送路に空気流を供給するファンと、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第1カバーは、前記ファンに対向する位置に通気孔を有する画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記装置本体は、略直方体形状の筐体であり、
前記第1カバーは、前記第1搬送路に搬送される記録シートが載置され、前記筐体の側面に開閉可能に取り付けられた手差しトレイである画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記装置本体は、固定部と、前記固定部に対して水平方向に移動可能な移動部とを含み、
前記移動部に、前記第1搬送路の一部および前記第2搬送路が設けられていると共に、前記第1カバーおよび前記第2カバーが取り付けられている画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−173305(P2012−173305A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31739(P2011−31739)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】