説明

画像形成装置

【課題】曲がり易く剛度の低い用紙を印刷する場合であっても、新たな検出部材を導入することなく、安価に用紙の分離性を高めて紙詰まりなどのジャム発生を抑制する。
【解決手段】画像形成装置において、レジストローラに用紙を突き当てた後、再搬送開始と同時に時間の計測を開始し(S12)、トナー像転写後の用紙先端が用紙通過検出センサにより検出されると時間の計測を終了し(S13)、計測した時間が所定時間内に収まっていない場合(S14のNo方向)、分離性に問題のある用紙と判断し、基準制御パラメータを分離性がより高くなる制御パラメータに変更するようにした(S16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタル複合機、デジタル複写機、ファクシミリ(FAX)装置、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、曲がり易く剛度の低い用紙に印刷する需要が増えている。
例えば、オフィスなどで需要のあるコピー用紙では、コストを抑えるために厚く剛度の高い用紙よりも薄く剛度の低い用紙を用いて印刷を行うことが増えている。
また、印刷会社が扱うようなハイエンド機(いわゆるプロダクトプリンティング)でも、一般のコピー紙よりも剛度が低いチラシなどの用途に用いる薄紙を用いて印刷することが多い。
【0003】
ところで、このような剛度の低い用紙を印刷する場合に、中間転写ベルトや感光体ドラムなどの像担持体上のトナーを用紙に転写する際の転写バイアスが大きかったりすると、用紙が静電吸着により像担持体に電気的に貼り付いてしまい、ジャムが発生してしまうということがあった。
そこで、この電気的な貼り付きを防止するための対策として、薄紙印刷時に、例えば転写バイアスを下げたり、トナーを用紙に転写した後に用紙と像担持体との間の静電吸着を減衰させるための分離バイアスを上げたりすることが一般的に行われてきた。
【0004】
しかしながら、用紙と像担持体との分離性は、使用環境や用紙の調湿状態で大きく変化するため、予め設定しておいた剛度の低い薄紙用のバイアス値では分離できない場合があった。
そこで、特許文献1には、転写後の用紙を像担持体(感光体ドラム)から適切に分離させるために、用紙の浮きを検知する紙浮き検出手段を設けて、この紙浮き検出手段により転写後の用紙の浮き上がりが検出された場合に、この浮き上がりを低減するようにバイアス値を変化させることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法では、紙浮き検出手段を別途設ける必要があるためその分コスト高となり、浮いている用紙は位置が安定しないため検知する上記検出手段も検出範囲の広い高価なものが必要になるという問題があった。
【0006】
この発明は、このような問題を解決し、曲がり易く剛度の低い用紙を印刷する場合であっても、新たな検出部材を導入することなく、安価に用紙の分離性を高めて紙詰まりなどのジャム発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明による画像形成装置は、像担持体上に担持されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、その転写手段により上記記録媒体上に転写された上記トナー像を上記記録媒体上に定着させる定着手段と、上記転写手段と上記定着手段との間で上記記録媒体の通過を検出する通過検出手段と、その通過検出手段による上記記録媒体の先端又は後端の通過検出タイミングが所定時間遅れた場合に、上記転写手段によるトナー転写後の記録媒体と上記像担持体との間の分離性が上記所定時間の遅れが生じなかった場合の分離性よりも高まるように上記転写手段及び/又は上記定着手段の制御パラメータを所定の基準制御パラメータから変更する制御手段とを備えたものである。
【0008】
このような画像形成装置において、上記制御手段が、上記通過検出手段による通過検出タイミングの遅れを上記記録媒体の第1面の画像形成時に検出した場合に、上記所定の基準制御パラメータの変更を記録媒体の第1面及び第2面それぞれの画像形成時に行うように制御し、上記通過検出タイミングの遅れを上記記録媒体の第2面の画像形成時に検出した場合に、上記所定の基準制御パラメータの変更を記録媒体の第2面の画像形成時にのみ行うように制御するようにするとよい。
また、上記制御手段が、上記通過検出手段による通過検出タイミングの遅れを上記記録媒体の第1面の画像形成時に検出した場合に、上記所定の基準制御パラメータを記録媒体の第1面の画像形成時よりも第2面の画像形成時の方が分離性が高まるように変更するようにするとよい。
【0009】
また、上記画像形成装置において、上記転写手段と上記定着手段との間に上記記録媒体を搬送するための搬送手段をさらに備え、上記通過検出手段を、上記搬送手段に配置するようにするとよい。
また、上記画像形成装置において、上記制御手段が、上記記録媒体の坪量が所定の閾値以上か又は剛度が所定の閾値以上の場合には、上記所定の基準制御パラメータの変更を行わずに、その基準制御パラメータにより記録媒体の画像形成を行うようにするとよい。
【0010】
また、上記画像形成装置において、上記制御手段が行う上記所定の基準制御パラメータの変更は、上記転写手段によるトナー転写時の転写電流値を上記所定の基準制御パラメータとして設定してある転写電流値よりも低い転写電流値に変更するものであるとよい。
そして、上記転写電流値を低く変更する制御は、上記記録媒体の先端部分が通過するときに行うようにするとよい。
【0011】
また、上記画像形成装置において、上記制御手段が行う上記所定の基準制御パラメータの変更は、上記記録媒体に加える分離バイアス値を上記所定の基準制御パラメータとして設定してある分離バイアス値よりも大きい分離バイアス値に変更するものであるとよい。
あるいは、上記制御手段が行う上記所定の基準制御パラメータの変更は、上記定着手段による定着温度を上記所定の基準制御パラメータとして設定してある定着温度よりも高い定着温度に変更するものであるとよい。
【発明の効果】
【0012】
以上のようなこの発明による画像形成装置によれば、曲がり易く剛度の低い用紙を印刷する場合であっても、新たな検出部材を導入することなく、安価に用紙の分離性を高めて紙詰まりなどのジャム発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施形態である画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置のハードウェア構成のブロック図である。
【図3】図1に示した画像形成装置が備える搬送ベルトユニットの詳細な構成を示す拡大図である。
【図4】図1に示した画像形成装置が備える搬送ベルトユニットに厚紙が搬送された場合と薄紙が搬送された場合の例をそれぞれ示す図である。
【図5】ユーザが操作部より片面印刷の開始を指示した際に、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】制御部が行う別の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の実施形態である画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。
この画像形成装置は、タンデム型の中間転写方式の画像形成装置であって、画像形成装置本体100(以下、「本体100」という)と給紙部200とを備えている。
【0015】
そして、本体100は、本体給紙路101、手差しトレイ102、手差し給紙ローラ103、手差し搬送路104、レジストローラ105、中間転写ベルト106、2次転写ローラ107、2次転写対向ローラ108、クリーニングユニット109、支持ローラ110、1次転写ローラ111Y〜K、駆動ローラ112、画像形成部120Y〜K、露光部130、搬送ベルトユニット140、定着部150、排出ローラ160、排紙トレイ161及び用紙反転部170を備えている。
【0016】
また、給紙部200は、本体100を載せるとともに本体100に用紙を給紙するためのものであって、ペーパーバンク201に2段の給紙カセット202、給紙ローラ203、分離ローラ204、搬送ローラ205及び給紙路206を備えている。
なお、1次転写ローラ111Y〜K及び画像形成部120Y〜Kの符号の後の添え字Y〜Kはそれぞれ、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(ブラック)を示しており、特段各色を識別する必要がない場合は、便宜上添え字を省略して説明する。また、図中破線で示す部分は、用紙の通る搬送路であって、一点鎖線で示す部分は、光路である。
【0017】
このうち、本体100の本体給紙路101は、給紙部200から給紙された用紙をレジストローラ105まで導くための複数のローラ及びガイド板からなる搬送路である。
手差しトレイ102は、給紙カセット202に収容できない用紙(例えばラベル用紙、OHPフィルムなど)をセットして給紙するためのものである。
手差し給紙ローラ103は、手差しトレイ102にセットされた用紙を手差し搬送路104へ給紙するためのものである。
手差し搬送路104は、手差し給紙ローラ103から給紙された用紙を本体給紙路101に導くためのものである。
【0018】
レジストローラ105は、本体給紙路101により導かれた用紙をいったん突き当てて止めることによりスキュー補正を行うとともに、スキュー補正後の用紙を、2次転写ローラ107と2次転写対向ローラ108との間のニップ部に対して中間転写ベルト106上の合成されたトナー像がくるタイミングに合わせて送り込むためのものである。
中間転写ベルト106は、本体100の中央付近において、複数のローラ(2次転写対向ローラ108、支持ローラ110、駆動ローラ112)により掛け回され、時計回りに回転可能な無端ベルトであって、画像形成部120により1次転写されたトナー像を担持して搬送する像担持体である。
【0019】
2次転写ローラ107は、レジストローラ105より送り込まれた用紙に対して2次転写対向ローラ108とのニップ部分で用紙を押し当てるとともに転写バイアスを印加することで中間転写ベルト106上のトナー像を用紙に転写するためのものである。
2次転写対向ローラ108は、2次転写ローラ107とともにニップ部分で用紙を押し当てて中間転写ベルト106上のトナー像を用紙に転写するためのものである。
なお、この実施例においては、2次転写ローラ107と2次転写対向ローラ108の外径は、ともにφ25mmであるものとする。
クリーニングユニット109は、トナー像転写後の中間転写ベルト106上に残留する残留トナーを除去するためのものである。
【0020】
支持ローラ110は、小径のローラと大径のローラとからなり、駆動ローラ112の回転により従動回転して中間転写ベルト106を時計方向に搬送させるためのものである。
また、この支持ローラ110の小径及び大径のローラは、いずれも上下に移動可能な構成になっており、ブラック単色のトナー像を中間転写ベルト106上に形成するような場合には、支持ローラ110の小径及び大径のローラを下に移動させて、画像形成部120のうちイエロー、マゼンタ及びシアンの画像形成部Y、M、Cを中間転写ベルト106から離間させることができる。
このようにすることで、黒単色のトナー像を用紙に転写することができ、モノクロ印刷を行うことができる。
【0021】
1次転写ローラ111は、各色の画像形成部120の転写位置と対向する位置に中間転写ベルト106を挟んで設けられており、画像形成部120の感光体ドラム121との間にできたニップ部分で中間転写ベルト106を押圧することにより、感光体ドラム121上のトナー像を順次中間転写ベルト106上に転写するためのものである。
駆動ローラ112は、図示しない駆動モータにより回転駆動することで他のローラ(2次転写対向ローラ108、支持ローラ110、1次転写ローラ111)を従動回転させて中間転写ベルト106を回転搬送させるためのものである。
【0022】
画像形成部120は、感光体ドラム121、この感光体ドラム121表面を所定の電位に帯電するためのチャージャ、露光部130により形成された静電潜像に対してトナー像を現像させるための現像部などを一体として備えたものである。
そして、この画像形成部120は、支持ローラ110と駆動ローラ112間に張り渡した中間転写ベルト106上に、その搬送方向に沿って色毎に4つ横に並べて配置されており、これら4つの画像形成部120によりタンデム型の画像形成ユニットとして機能しており、中間転写ベルト106上に順次トナー像を転写していき合成されたカラーのトナー像を形成することができる。
【0023】
露光部130は、画像形成部120Y〜Kのうち、イエロー及びマゼンタ用に1つとシアン及びブラック用に1つ設けられており、画像情報に応じてレーザ光を、帯電した感光体ドラム121表面に照射して露光し、これによって感光体ドラム121表面に静電潜像を形成するためのものである。
搬送ベルトユニット140は、トナー像転写後の用紙を定着部150に搬送するためのものである。なお、この搬送ベルトユニット140の構成については後述する。
【0024】
定着部150は、無端ベルトである定着ベルト151に加圧ローラ152を押し当てて構成されたものであって、搬送ベルトユニット140により搬送された用紙を加熱加圧することにより用紙上のトナーを定着させるためのものである。
排出ローラ160は、定着後の用紙を排紙トレイ161に排紙するためのものである。
排紙トレイ161は、排紙された用紙を積載保持するためのものである。
用紙反転部170は、用紙の表裏に画像形成を行う場合に用紙を反転させるためのものである。
【0025】
一方、給紙部200のペーパーバンク201は、給紙カセット202を多段に固定して備えるためのものである。
給紙カセット202は、A4やA3などの定型サイズの様々な紙厚の用紙(厚口、薄口、厚紙、薄紙など)を載置して収容しておくためのものである。なお、図示の例では、上下2段構成であるが多段構成にしても構わない。また、収容する用紙は、定型サイズのものに限らず例えば定型サイズではない用紙(例えばハガキなど)などを収容しても構わないし、サイズの大小に関わらず給紙路で搬送できる範囲内の紙厚であれば収容して構わない。
【0026】
給紙ローラ203は、給紙カセット202の数に対応してそれぞれ設けられており、いずれか1つを図示しない給紙モータで反時計回りに回転させて、積載された上段又は下段の給紙カセット202の用紙のうち最も上の用紙を繰り出すためのものである。
このうち、上段の給紙カセット202から繰り出された用紙は、本体給紙路101に導かれ、下段の給紙カセット202から繰り出された用紙は、給紙部200側の給紙路206を介して本体給紙路101に導かれる。
【0027】
分離ローラ204は、給紙カセット202の数に対応してそれぞれ設けられており、給紙ローラ203と同じ反時計回りに回転して、複数枚繰り出された用紙を1枚ずつ分離して給紙路206に導くためのものである。
搬送ローラ205は、給紙された用紙を本体側の本体給紙路101に向けて搬送するためのものである。
給紙路206は、給紙された用紙を本体側の本体給紙路101に導くためのガイド板などからなる搬送路である。
【0028】
次に、図2に、図1に示した画像形成装置のハードウェア構成のブロック図を示す。
図2に示すように、画像形成装置は、制御部300、操作部310、用紙通過検出センサ320、モータ群330、記憶部340及び通信I/F350を備えている。
このうち制御部300は、CPUを中核として、図1に示した画像形成装置が備える各種部材及びモータ群330を制御して、用紙の給紙、搬送、転写、定着、排紙などの一連の処理を実行するためのものである。この制御部300は、以上の処理を実行するためのプログラムを記憶したROMと、そのプログラムを展開して実行するためのワークエリアとなるRAMも備える。
【0029】
操作部310は、液晶ディスプレイ等による表示部と、タッチパネルあるいはボタン等とを備えるものであり、画像形成装置の状態をユーザに画面表示で通知したり、ユーザからの片面印刷や両面印刷の指示を受け付けたりするものである。
用紙通過検出センサ320は、画像形成装置に一般的に使用されるセンサであって、搬送ベルトユニット140に配置され、トナー転写後の用紙の先端又は後端が通過するタイミングを検出するためのものである。
モータ群330は、図示しない駆動モータや給紙モータを含んでおり、これらモータと対応する駆動ローラ112や給紙ローラ203を回転させるための動力源である。
【0030】
記憶部340は、2次転写ローラ107の転写バイアス値や定着部150における定着温度など印刷出力までに必要な各種制御パラメータを記憶する不揮発性メモリである。
また、この記憶部340は、制御パラメータとしてトナー転写後の用紙と中間転写ベルト106との間の静電吸着を減衰させるための分離バイアス値も記憶しているものとする。
そして、これら制御パラメータは、制御部300が画像形成にあたって基準として設定する基準制御パラメータ以外にも用紙通過検出センサ320を通過するタイミングが所定時間遅れた場合に用いる制御パラメータを複数記憶しているものとする。
なお、この制御パラメータは、基準制御パラメータを用いて画像形成を行う場合よりも合成トナー像転写後の用紙と中間転写ベルト106との間の分離性が高まるように上記転写バイアス値、定着温度及び分離バイアス値などを定めたものである。
【0031】
通信I/F350は、画像形成装置が、他の装置やPCなどとネットワーク又はUSBケーブルなどを介して通信や画像データの送受信を行うためのインタフェースである。
なお、通信I/F350は、ネットワークの規格や使用する通信プロトコル等に応じて適切なものを用意する。また、複数の規格に対応させて複数の通信I/F350を設けることも当然可能である。
【0032】
そして、このような画像形成装置において、ユーザより通信I/F350を介して画像データが送られ、図示しないプリンタドライバ又は操作部310より印刷開始の指示を受けると、制御部300がモータ群330に含まれる図示しない駆動モータで駆動ローラ112を回転駆動して他の複数のローラ(2次転写対向ローラ108、支持ローラ110、1次転写ローラ111)を従動回転し、中間転写ベルト106を回転搬送する。
【0033】
それと同時に、個々の画像形成部120で各感光体ドラム121上にそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの単色トナー像を形成する。
そして、中間転写ベルト106の搬送とともに、それらの単色トナー像を1次転写ローラ111と感光体ドラム121とのニップ部分で順次中間転写ベルト106上に転写していき合成トナー像を形成していく。
【0034】
また、制御部300が、図示しない給紙モータを回転させて給紙部200の給紙ローラ203の1つを選択回転し、ペーパーバンク201に多段に備える給紙カセット202の1つから用紙を繰り出し、分離ローラ204で1枚ずつ分離して給紙路206に入れ、搬送ローラ205で搬送して本体100側の本体給紙路101に導き、レジストローラ105に突き当てることによりスキュー補正が行われる。
【0035】
または、制御部300が、手差し給紙ローラ103を回転させることにより手差しトレイ102上の用紙を繰り出し、手差し搬送路104に入れ、同じくレジストローラ105に突き当ててスキュー補正を行う。
そして、制御部300が、中間転写ベルト106上の合成トナー像が搬送されてくるタイミングに合わせてレジストローラ105を回転させることにより、2次転写ローラ107と2次転写対向ローラ108との間に用紙を送り込んでニップ部分で押圧するとともに、2次転写ローラ107で転写バイアスを加えて中間転写ベルト106上の合成トナー像を用紙に転写する。
【0036】
そして、合成トナー像が転写された用紙は、制御部300が制御する図示しない分離チャージャにより分離バイアスが加えられて中間転写ベルト106から引き剥がされた後、搬送ベルトユニット140により定着部150まで搬送され、定着部150により熱と圧力とを加えて合成トナー像を用紙に定着させて、排出ローラ160で機外へ排出し、排紙トレイ161上にスタックする。
【0037】
一方、両面印刷の場合は、制御部300が、定着後の用紙の搬送路を図示しない切換爪で切り換えて定着後の用紙を用紙反転部170に入れ、そこで用紙を反転させて再び2次転写ローラ107へと導き、裏面にも合成トナー像を転写させて定着させた後、排出ローラ160で排紙トレイ161上に排出する。
用紙排紙後に、中間転写ベルト106は、クリーニングユニット109で、中間転写ベルト106上に残留する残留トナーを除去し、2枚目以降の再度の画像形成に備える。
【0038】
以上図1及び図2で説明した、画像形成装置の概略構成及びハードウェア構成について特徴的な点は、搬送ベルトユニット140に配置された用紙通過検出センサ320による用紙の先端又は後端の通過検出タイミングが所定時間遅れた場合に、制御部300が、記憶部340に記憶してある基準制御パラメータを分離性の高い制御パラメータに変更する点である。
そこで、以下この点に関連して、搬送ベルトユニット140の詳細な構成及び通過検出タイミングが遅れた場合に制御部300が行う処理について図3乃至図5を参照しながら具体的に説明する。
【0039】
まず、図3を参照しながら、搬送ベルトユニット140の詳細な構成について説明する。図3は、図1に示した画像形成装置が備える搬送ベルトユニット140の詳細な構成を示す拡大図である。
図示のように、この搬送ベルトユニット140は、ベルト駆動ローラ141、ベルト従動ローラ142、搬送ベルト143、フレーム144、吸引ファン145及び用紙通過検出センサ320を備えている。なお、用紙通過検出センサ320については、図2において前述した通りなので説明を省略する。
【0040】
このうち、ベルト駆動ローラ141は、モータ群330に含まれるベルト駆動モータにより駆動され搬送ベルト143を反時計方向に回転搬送させるためのものである。
ベルト従動ローラ142は、ベルト駆動ローラ141とともに従動回転して搬送ベルト143を回動搬送させるためのものである。
【0041】
搬送ベルト143は、ベルト駆動ローラ141とベルト従動ローラ142に張架された無端ベルトであって、トナー像転写後の用紙を載せて定着部150まで搬送するためのものである。この搬送ベルト143は、2本張架されており、その間に用紙通過検出センサ320が配置されるものとする。
フレーム144は、ベルト駆動ローラ141とベルト従動ローラ142を支持するための固定部材である。
吸引ファン145は、回転するファンの吸引力によりフレーム144のスリットと搬送ベルト143の吸引孔を通じて用紙を搬送ベルト143に吸引するためのものである。
【0042】
そして、このような搬送ベルトユニット140に、トナー像転写後の用紙(例えば厚紙P1と薄紙P2)が搬送される場合の例を図4に示す。図4は、図1に示した画像形成装置が備える搬送ベルトユニット140に厚紙P1が搬送された場合(a)と薄紙P2が搬送された場合(b)の例をそれぞれ示す図である。なお、厚紙P1は、曲がりにくく剛度の高い用紙であって、薄紙P2は、曲がり易く剛度の低い用紙であるものとする。
【0043】
この図4(a)において、厚紙P1は剛度の高く曲がりにくい用紙であることから、トナー像転写後に中間転写ベルト106に電気的に貼り付くことはなく、そのままの用紙の形態を保った状態で搬送ベルトユニット140上の用紙通過検出センサ320を通過する。
【0044】
一方、図4(b)において、薄紙P2は剛度の低く曲がり易い用紙であることから、トナー像転写後に中間転写ベルト106に用紙先端が電気的に貼り付いてしまい、分離が遅れるとともに、貼り付いた際に用紙先端が曲がってしまい先端が浮いた状態で搬送ベルトユニット140上の用紙通過検出センサ320を通過する。
このため、厚紙P1の場合と比べると、用紙通過検出センサ320の通過検出タイミングが遅くなる。
【0045】
次に、この通過検出タイミングが遅れた場合に、制御部300が行う処理について図5を参照しながら具体的に説明する。図5は、ユーザが操作部310より片面印刷の開始を指示した際に、制御部300が行う処理の流れを示すフローチャートである。
なお、図5のフローチャートは、用紙の給紙、搬送、転写、定着、排紙などの一連の処理のうち、この発明の特徴部分の処理に係るものを中心に示したものであり、上記一連の処理についての詳細な説明は、便宜上省略して説明する。
【0046】
画像形成装置の給紙カセット202に用紙がセットされている状態において、ユーザが操作部310の図示しないタッチパネル等により片面印刷の開始を指示すると、制御部300は、図5に示すような処理を順に行う。
【0047】
まず、制御部300が、モータ群330を適宜制御することにより、用紙の搬送を開始する(S11)。そして、レジストローラ105に用紙を突き当てた後、再搬送開始と同時に時間の計測を開始する(S12)。
なお、この再搬送を開始するタイミングは、中間転写ベルト106に合成トナー像が形成され、この形成された合成トナー像が2次転写位置にくるタイミングに合わせて再搬送を開始するものであって、この再搬送開始と同時に時間の計測を開始するようにする。
【0048】
これは、給紙カセット202からの給紙開始と同時に時間計測を開始すると、レジストローラ105にて用紙が止まっている時間は、中間転写ベルト106上に形成される合成トナー像の位置、大きさ、範囲によって様々な待機時間となるため、用紙通過検出センサ320に到達する時間がずれてしまうからである。
このため、再搬送開始と同時に時間計測を開始することで、用紙の時間計測の始期を合わせることができ、より正確にセンサまでの到達時間を計測することができる。
【0049】
次に、制御部300は、トナー像転写後の用紙先端が用紙通過検出センサ320により、検出されると時間の計測を終了し(S13)、その計測した時間が所定時間内に収まっているか否か判断する(S14)。
ここで、この所定時間は、画像形成装置の線速及び分離性に問題がない用紙の先端が用紙通過検出センサ320を通過するタイミングのばらつきを考慮して定めるものとする。
例えば、線速440mm/secの画像形成装置では、厚紙P1などの分離性に問題のない用紙の先端が用紙通過検出センサ320を通過するタイミングは、通常30msec程度のばらつきがある。このため、このばらつきを考慮して、所定時間は例えば40msecに設定しておく。
【0050】
そして、計測した時間が所定時間内に収まっている場合は(S14のYes方向)、制御部300が、トナー転写後の用紙と中間転写ベルト106との間の分離性に問題のない用紙と判断し、基準制御パラメータの変更を行わずに(S15)、処理を終了する。
一方、計測した時間が所定時間内に収まっていない場合は(S14のNo方向)、制御部300が、分離性に問題のある用紙と判断し、基準制御パラメータを分離性がより高くなる制御パラメータに変更して(S16)、処理を終了する。
【0051】
例えば上述の例のように設定しておいた所定時間が40msecの場合において、用紙先端が再搬送開始から用紙通過検出センサ320へ到達するのに40msec以上遅れた場合は(S14のNo方向)、制御部300が、分離性に問題のある(分離余裕度の低い)薄紙P2のような用紙と判断し、基準制御パラメータを分離性が高い制御パラメータに変更する。(S16)。一方で所定時間の40msecに収まるような場合には、分離性に問題のない厚紙P1のような用紙と判断して、基準制御パラメータを変更せずにそのままにしておく(S15)。
【0052】
なお、その後の処理については示していないが、この処理においては、ユーザから片面印刷の指示がでているので、そのまま排紙処理を行い次の印刷に備える。この際、ステップS16において制御パラメータを変更している場合は、変更した制御パラメータを用いて次回からの印刷を行うようにする。
【0053】
このように、以上の処理においては、用紙の再搬送を開始してから用紙先端がセンサに検出されるまでの時間が所定時間内に収まっていないと、制御部300が分離性に問題のある用紙と判断して、基準制御パラメータを変更し、トナー転写後の用紙と中間転写ベルト106との間の分離性が高まるように制御することができる。
【0054】
そして、このことにより、薄紙P2のような曲がり易く剛度の低い用紙を印刷する場合であっても、用紙通過検出センサ320による用紙先端の通過検出タイミングが所定時間遅れたような場合は、制御部300が、基準制御パラメータを分離性のより高い制御パラメータに変更することができるので、それ以降の用紙を印刷する際の分離性を高めることができる。
また、用紙通過検出センサ320は、一般的な画像形成装置で使用されているセンサであるため、新たな検出部材を導入することなく、安価に用紙の分離性を高めることができる。
【0055】
また、用紙通過検出センサ320は、上述した搬送ベルト143や吸引ファン145などを備えた搬送ベルトユニット140に配置されるため、搬送ベルト143上で搬送されてくる安定した用紙を検出することができる。
すなわちこれは、例えば搬送ベルト143上にない姿勢が安定しない状態で搬送されてくる用紙に対して用紙通過検出センサ320を用いて先端検出を行おうとすると、先端が中間転写ベルト106に貼り付いてセンサ到達が遅れるという理由以外の理由で遅れて到達した用紙を誤って検出してしまう可能性がある。
このため、搬送ベルトユニット140に用紙通過検出センサ320を配置することで、誤った検出による不必要なパラメータ変更を抑えることができ、より正確な検出を行うことができる。
【0056】
なお、上述した所定時間の40msecは一例であって、所定時間の値は、線速とばらつきに応じて予め適切な時間を設定するものとする。また、用紙先端が例えば100msec以上かかっても用紙通過検出センサ320に到達しないような場合には、ジャムが発生したものと判断するようにするとよい。このことにより、紙詰まりなどのジャム発生を未然に防止することができ、ジャムの発生を抑制することができる。
また、ステップS13においては、用紙先端が用紙通過検出センサ320により検出されると時間の計測を終了するようにしているが、用紙後端が抜けたタイミングで(センサが後端通過を検出したタイミングで)、時間の計測を終了するようにしてもよい。
【0057】
また、ステップS16における基準制御パラメータを分離性がより高くなる制御パラメータに変更するとは、例えば、2次転写ローラ107によるトナー転写時の転写バイアス値(転写電流値)を基準制御パラメータとして設定してある転写電流値よりも低い転写電流値に変更することが考えられる。このことにより、転写時における用紙と中間転写ベルト106との電気的な密着力が低下して、分離性を向上させることができる。
【0058】
そして、転写電流値を通常よりも低い値にて転写するのは、用紙の先端部分が2次転写ローラ107と2次転写対向ローラ108のニップ部分における転写位置を通過するときに行うようにするとよい。
このことにより、用紙の先端部分に対してのみ転写電流値を下げることができ、転写後の用紙が中間転写ベルト106から分離するきっかけを作ることができるとともに、画像部分を含めて用紙全体の転写電流値を低くする場合と比べて、画像への影響も抑えることができる。
【0059】
また、ステップS16における基準制御パラメータを変更する別の例としては、転写後の用紙に対して、中間転写ベルト106との間の静電吸着を減衰させるために図示しない分離チャージャで加える分離バイアス値を基準制御パラメータとして設定してある分離バイアス値よりも大きい分離バイアス値に変更することが考えられる。
このことにより、転写後の用紙と中間転写ベルト106との間の除電効果を高めることができ、分離性を向上させることができる。なお、分離バイアスにはACとDCがあるが、一般的にACバイアスの方が分離効果が高いのでACバイアス値を上げるようにするとよい。
【0060】
さらに、別の基準制御パラメータの変更例としては、定着部150における定着温度を基準制御パラメータとして設定してある定着温度よりも高い定着温度に変更することが考えられる。
このことにより、両面印刷時においては、定着部150通過後の用紙を上向きにカールさせることができ、裏面印刷時には下向きにカールした状態で2次転写位置のニップ部分を通過するため、分離性を向上させることができる。なお、この効果は、両面印刷を行う場合にのみ得られる。
なお、上述した基準制御パラメータの変更例はいずれかを選択的に実施しても構わないし、両面印刷時においては全てを同時に実施しても構わない。
【0061】
また、図5に示した処理は、片面印刷の場合を例にとって説明したが、ユーザより両面印刷が指示されている場合は、おもて面(第1面)及び裏面(第2面)いずれも時間計測を行うようにするとよい。
この場合、一般的に両面印刷においては、おもて面画像形成時に用紙の帯電、カール、用紙の水分減少による抵抗上昇などが起きるため、裏面画像形成時の方が、分離性が低下しやすい。
【0062】
そこで、おもて面にて通過検出タイミングが所定時間の遅れた場合は、裏面の分離性も低いものと考えられるので、その用紙の裏面転写時から基準制御パラメータを変更して転写を行うとともに、それ以降に給紙される用紙のおもて面及び裏面いずれにも基準制御パラメータを変更した状態において転写を行うようにする。
このことにより、両面印刷時において表裏の分離性を高めることができる。
【0063】
一方、おもて面では所定時間内にセンサに到達したものの、裏面にて初めて通過検出タイミングが所定時間遅れたような場合は、それ以降に給紙される用紙の裏面のみに基準制御パラメータを変更して転写を行うようにするとよい。
このことにより、分離性に問題のないおもて面に対してまで制御パラメータを変更して転写を行うことを避けることができる。
【0064】
また、上述したように一般的におもて面よりも裏面の方が分離性が低いものとなるため、両面印刷時のおもて面にて通過検出タイミングが所定時間遅れた場合は、おもて面より裏面の方が分離性がより高くなるように基準制御パラメータを変更するようにするとよい。
例えば、制御部300が基準制御パラメータとして設定してある分離バイアス値を変更する場合、おもて面は基準の分離バイアス値よりも30%高い分離バイアス値に変更して、裏面は基準の分離バイアス値よりも50%高い分離バイアス値に変更するようにする。
このことにより、裏面の制御パラメータをより分離性が高いものにできるので、用紙裏面に対してトナー像転写後により確実に中間転写ベルト106から分離させることができる。
【0065】
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、画像形成装置の具体的な構成や制御部300が行う処理が、上述した実施形態の内容に限られないことはもちろんである。
例えば、坪量又は剛度が大きい用紙は、吸引ファン145で吸引しても搬送ベルト143と密着しない場合があり、分離性に問題がある訳ではないのに用紙通過検出センサ320への到達タイミングが遅れてしまうような事態が生じる場合がある。
【0066】
そこで、このような事態を回避するために、制御部300が行う処理を図6のようにすることが考えられる。この図6は、制御部300が行う別の処理の流れを示すフローチャートであり、図5の処理において新たにステップS10とS11′が加わった点のみが異なるので、この異なる点を中心に説明する。
【0067】
まず、用紙搬送を開始する前に、制御部300が、給紙する用紙の坪量が所定の閾値以上か、又は剛度が所定の閾値以上かを判断する(S10)。ここで、このステップS10における所定の閾値としては、分離性が十分に高い用紙とそうでない用紙とを選別する閾値である必要がある。
【0068】
この実施形態における画像形成装置では、2次転写ローラ107と2次転写対向ローラ108の外径はともにφ25mmであり、この場合において、剛度測定の際に一般的に用いられるクラーク測定法を用いて用紙を測定した際のクラーク剛度が35であれば分離性に問題がない。そこで、クラーク剛度35をステップS10における剛度の閾値として設定する。
また、坪量とクラーク剛度との間に絶対的な相関はないものの、坪量が100gsm以上の用紙でクラーク剛度35を下回るものはほとんどない。そこで、ステップS10における坪量の閾値は、100gsmを設定する。
【0069】
そして、ステップS10において、坪量と剛度のうち何れか一方でも所定の閾値以上となるような場合は(S10のYes方向)、用紙搬送を開始して(S11′)、トナー転写後の用紙と中間転写ベルト106との間の分離性に問題のない用紙と判断し、基準制御パラメータの変更を行わずに(S15)、処理を終了する。なお、この際も転写、定着、排紙の一連の処理は行っているものとする。
【0070】
一方、坪量と剛度のうち何れも所定の閾値を超えないような場合は(S10のNo方向)、用紙搬送を開始して(S11)、時間計測を行い(S12及びS13)、計測した時間が所定時間内に収まっているか判断する(S14)。このステップS11以降の一連の処理は、図5と同様の処理であるため説明を省略する。
【0071】
以上のような処理においては、用紙搬送を開始する前の段階で制御部300が、給紙する用紙の坪量又は剛度が所定の閾値以上の場合は分離性に問題がない用紙と判断して、時間計測を行う対象から除外し、基準制御パラメータの変更を行わないようにすることできる。
そしてこのため、分離性の問題を懸念する必要がない坪量又は剛度が大きい用紙に対して、誤って基準制御パラメータの変更を行ってしまうといった事態を防止することでき、より精度の高い分離制御を行うことができる。
【0072】
なお、上述したステップS10においては、制御部300が給紙する用紙の坪量又は剛度を所定の閾値と比較しなければならないが、この給紙対象の用紙の坪量又は剛度は公知の方法により検知するものとする。
例えば、この坪量の検知方法としては、給紙カセット202に重量検知センサ及びサイズ検知センサを設けて、サイズと重さから坪量を測定するか、あるいはユーザにより印刷開始を指示する前に操作部310の図示しないタッチパネル等から入力してもらい、これらの値を用いて比較するようにする。
【0073】
なお、ユーザによっては、坪量を関知していない場合も考えられるので、サイズと用紙の種類(例えば普通紙、厚紙、薄紙など)を入力してもらい、入力してもらった用紙の種類と対応する坪量(例えばA4普通紙なら64gsm、A4厚紙なら128gsmなど)を求めて比較するようにしてもよい。
【0074】
一方、剛度の検知方法としては、画像形成装置内で用紙を曲げる機構を設けて、腰の強さを測定して剛度を求めるか、あるいは用紙の剛性は紙厚と相関があるので紙厚検出センサを設けて剛度を推定するようにしてもよい。
または、坪量測定と同様にユーザにより直接入力してもらった値又はサイズや用紙種類などから剛度を換算するようにしてもよい。
このような方法で坪量と剛度を求めて所定の閾値と比較するようにする。
【0075】
また、上述の実施形態では、中間転写ベルト106を用いたタンデム型の画像形成装置を例にとって説明したが、中間転写ベルト106を用いずに1つの感光体ドラム上に合成トナー像を形成して転写を行うタイプの画像形成装置にこの発明を適用しても構わない。
この際には、制御部300は、像担持体である感光体ドラムと用紙との間の分離性が高まるように制御することになる。
また、上述の実施形態では、用紙を搬送する場合を例にとって説明したが、用紙に限らず、他の記録媒体を用いてもよいことはもちろんである。
【0076】
また、この画像形成装置は、デジタル複合機、デジタル複写機、ファクシミリ(FAX)装置、プリンタ等として構成することができる。
また、以上説明してきた実施形態及び変形例の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明してきたように、この発明の画像形成装置によれば、曲がり易く剛度の低い用紙を印刷する場合であっても、新たな検出部材を導入することなく、用紙の分離性を高めることができる。
従って、この発明を適用することにより、コストを抑えてジャム発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0078】
100:画像形成装置本体 101:本体給紙路 102:手差しトレイ
103:手差し給紙ローラ 104:手差し搬送路 105:レジストローラ
106:中間転写ベルト 107:2次転写ローラ 108:2次転写対向ローラ
109:クリーニングユニット 110:支持ローラ
111Y〜K:1次転写ローラ 112:駆動ローラ
120Y〜K:画像形成部 130:露光部 140:搬送ベルトユニット
141:ベルト駆動ローラ 142:ベルト従動ローラ
143:搬送ベルト 144:フレーム 145:吸引ファン
150:定着部 160:排出ローラ 161:排紙トレイ
170:用紙反転部 200:給紙部 201:ペーパーバンク
202:給紙カセット 203:給紙ローラ 204:分離ローラ
205:搬送ローラ 206:給紙路 300:制御部 310:操作部
320:用紙通過検出センサ 330:モータ群 340記憶部
350:通信I/F
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開平11−190943号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に担持されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
該転写手段により前記記録媒体上に転写された前記トナー像を前記記録媒体上に定着させる定着手段と、
前記転写手段と前記定着手段との間で前記記録媒体の通過を検出する通過検出手段と、
該通過検出手段による前記記録媒体の先端又は後端の通過検出タイミングが所定時間遅れた場合に、前記転写手段によるトナー転写後の記録媒体と前記像担持体との間の分離性が前記所定時間の遅れが生じなかった場合の分離性よりも高まるように前記転写手段及び/又は前記定着手段の制御パラメータを所定の基準制御パラメータから変更する制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記制御手段が、前記通過検出手段による通過検出タイミングの遅れを前記記録媒体の第1面の画像形成時に検出した場合に、前記所定の基準制御パラメータの変更を記録媒体の第1面及び第2面それぞれの画像形成時に行うように制御し、前記通過検出タイミングの遅れを前記記録媒体の第2面の画像形成時に検出した場合に、前記所定の基準制御パラメータの変更を記録媒体の第2面の画像形成時にのみ行うように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置において、
前記制御手段が、前記通過検出手段による通過検出タイミングの遅れを前記記録媒体の第1面の画像形成時に検出した場合に、前記所定の基準制御パラメータを記録媒体の第1面の画像形成時よりも第2面の画像形成時の方が分離性が高まるように変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記転写手段と前記定着手段との間に前記記録媒体を搬送するための搬送手段をさらに備え、
前記通過検出手段が、前記搬送手段に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御手段が、前記記録媒体の坪量が所定の閾値以上か又は剛度が所定の閾値以上の場合には、前記所定の基準制御パラメータの変更を行わずに、該基準制御パラメータにより記録媒体の画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御手段が行う前記所定の基準制御パラメータの変更は、前記転写手段によるトナー転写時の転写電流値を前記所定の基準制御パラメータとして設定してある転写電流値よりも低い転写電流値に変更することであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記転写電流値を低く変更する制御は、前記記録媒体の先端部分が通過するときに行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御手段が行う前記所定の基準制御パラメータの変更は、前記記録媒体に加える分離バイアス値を前記所定の基準制御パラメータとして設定してある分離バイアス値よりも大きい分離バイアス値に変更することであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御手段が行う前記所定の基準制御パラメータの変更は、前記定着手段による定着温度を前記所定の基準制御パラメータとして設定してある定着温度よりも高い定着温度に変更することであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−194428(P2012−194428A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59123(P2011−59123)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】