説明

画像形成装置

【課題】第1現像装置100で現像した黒トナー像の転写チリの発生や、第2現像装置150で現像した赤トナー像の転写不良の発生を抑える。
【解決手段】感光体12を帯電させる第1帯電装置13と、帯電後の感光体12に黒用静電潜像を書き込む第1光書込ユニット11と、黒用静電潜像を現像して黒トナー像を得る第1現像装置100と、第1現像装置100との対向位置を通過した後の感光体12を帯電させる第2帯電装置14と、帯電後の感光体12に赤用静電潜像を書き込む第2光書込ユニット15と、赤用静電潜像を現像して赤トナー像を得る第2現像装置150と、転写搬送ユニット16とを有する複写機において、第2現像装置100との対向位置を通過した後、転写搬送ユニット16との対向位置に進入する前の感光体12上の第2トナー像に帯電処理を施す転写前トナー帯電器190を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像担持体の表面に第1トナー像と第2トナー像とを順次形成した後、それらトナー像を潜像担持体から転写体に転写する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、回転駆動するドラム状の感光体の周囲に、光書込装置、第1帯電器、第1現像ユニット、第2帯電器、第2現像ユニット、及び転写装置を有している。潜像担持体としての感光体は、第1帯電器との対向位置でトナーの正規帯電極性と同極性に一様に帯電せしめられた後、光書込装置による光走査を受けて第1静電潜像を担持する。この第1静電潜像は、黒トナーを用いる第1現像ユニットによって現像されて黒トナー像になる。このようにしてKトナー像が形成された感光体の表面は、第2帯電器との対向位置でKトナー像とともに再び一様に帯電せしめられた後、光書込装置による光走査を受けて第2静電潜像を担持する。この第2静電潜像は、赤トナーを用いる第2現像ユニットによって現像された赤トナー像になる。感光体の表面上に形成された黒トナー像及び赤トナー像は、感光体の回転に伴って転写装置との対向位置に進入すると、記録紙の表面に転写される。このようにして、回転駆動によって1周する過程の感光体の表面に対して、黒トナー像及び赤トナー像を形成しながらそれらトナー像の転写処理を施す。かかる構成においては、1周目の感光体表面に形成した黒トナー像を中間転写体に転写した後、2周目の感光体表面に形成した赤トナー像を中間転写体上の赤トナー像の上に重ね合わせて転写する構成に比べて、少ない周回で2色のトナー像を形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、この画像形成装置においては、次に説明する理由により、第1トナー像としての黒トナー像の転写不良や、第2トナー像としての赤トナー像の転写チリを発生させ易くなるという問題があった。即ち、第2帯電器によって感光体の表面を帯電させるときには、感光体の表面に加えて、その表面上の黒トナー像も一緒に帯電させてしまう。このため、黒トナー像は、現像された直後の状態よりも帯電量を増加させる。これに対し、赤トナー像は、黒トナー像とは異なり、第2現像ユニットによって非接触現像で現像されることから、現像直後における帯電量が現像直後の黒トナー像よりも低く、且つ、現像後に帯電器によって帯電せしめられることがない。このため、黒トナー像よりも帯電量が少ない状態になっている。黒トナー像の転写に適した強度の転写電界では、帯電量の少ない赤トナー像を十分な静電力で記録紙の正規の位置に拘束することができずに、赤トナー像の一部の赤トナーを周囲に飛散させて転写チリを引き起こしてしまうことがある。また、かかる転写チリの発生を抑えるために、転写電界の強度を強くすると、黒トナー像の転写効率を低下させて黒トナー像の転写不良を引き起こし易くなってしまうのである。
【0004】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1トナー像の転写不良の発生や、第2トナー像の転写チリの発生を抑えることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像担持体と、前記潜像担持体の移動する表面を帯電させる第1帯電手段と、前記第1帯電手段によって帯電せしめられた前記表面に第1潜像を書き込む第1書込手段と、前記第1潜像を現像して第1トナー像を得る第1現像手段と、第1現像手段との対向位置を通過した後の前記表面を帯電させる第2帯電手段と、前記第2帯電手段によって帯電せしめられた前記表面に第2潜像を書き込む第2書込手段と、前記第2潜像を現像して第2トナー像を得る第2現像手段と、前記表面上の前記第1トナー像及び前記第2トナー像を転写電界の作用によって転写体に転写する転写手段とを備える画像形成装置において、前記第2現像手段との対向位置を通過した後、前記転写手段との対向位置に進入する前の前記潜像担持体の表面上の前記第1トナー像及び第2トナー像に対して帯電量の均一化処理を施す帯電量均一化手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、前記潜像担持体の表面上の前記第1トナー像及び前記第2トナー像に対して帯電量の均一化処理を施すための均一化処理実行位置と、前記均一化処理実行位置よりも前記潜像担持体から遠ざかって待避するための均一化処理待機位置との間で、前記帯電量均一化手段を移動させる移動手段と、前記潜像担持体の表面に対して前記第1トナー像だけを形成する場合に、前記移動手段の駆動を制御して前記帯電量均一化手段を前記均一化処理待機位置に移動させる制御手段とを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、前記第2潜像に対して現像処理を施すための現像処理実行位置と、前記現像処理実行位置よりも前記潜像担持体から遠ざかって待避する現像処理待機位置との間で、前記第2現像手段を移動させる移動手段を設けるとともに、前記潜像担持体の表面に対して前記第1トナー像だけを形成する場合に、前記移動手段の駆動を制御して前記第2現像手段を前記現像処理待機位置に移動させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、前記帯電量均一化手段を移動させる移動手段と、前記第2現像手段を移動させる移動手段とを同一の駆動源によって駆動させるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2乃至4の何れかの画像形成装置において、前記均一化処理待機位置で前記帯電量均一化手段を覆って保護する保護部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2乃至5の何れかの画像形成装置において、前記均一化処理実行位置と前記均一化処理待機位置との間を移動している前記帯電量均一化手段に接触して清掃処理を施す清掃手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項2乃至6の何れかの画像形成装置において、前記帯電量均一化手段として、前記第1トナー像と前記第2トナー像とのうち、少なくとも前記第2トナー像の帯電を促して電荷量の均一化を図るものを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
これらの発明においては、潜像担持体の表面上の第1トナー像及び第2トナー像を転写手段による転写工程に送る前に、帯電量均一化手段による帯電量の均一化処理により、それらトナー像の帯電量を均一化させる。これにより、転写手段による転写工程において、第1トナー像及び第2トナー像の両方に対して適切な強さの転写電界を作用させることが可能になるので、第1トナー像の転写不良の発生や、第2トナー像の転写チリの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機における第1現像装置を感光体の一部とともに示す拡大構成図。
【図3】同複写機における第2現像装置を転写前トナー帯電器や感光体とともに示す拡大構成図。
【図4】同複写機における転写前トナー帯電器の電極部材を示す拡大平面図。
【図5】同第2現像装置及び同電極部材を待避させた状態の同複写機の要部を示す拡大構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した一実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。同図において、この複写機は、原稿読取部1と、プリンタ部3と、図示しない給紙部とを備えている。
【0009】
原稿読取部1は、図示しない原稿の画像を読み取るためのものである。ユーザーの手作業により、原稿読取部1の上部に固設されたコンタクトガラス5上に原稿が置かれた状態で図示しないスタートスイッチが操作されると、原稿読取部1による原稿読取が直ちに開始される。原稿読取開始により、コンタクトガラス5上に置かれた原稿は周知の技術によって光走査され、原稿面上で得られた反射光像が、イメージセンサーによって読み取られる。なお、実施形態に係る複写機では、このとき、画像情報を2色の色分解像に分けて読み取ってそれぞれの色分解画像情報を構築する。以下、黒色分解像と、赤色分解像とを読み取る態様を例にして、実施形態に係る複写機を説明する。
【0010】
プリンタ部3は、記録シートに可視像としてのトナー像を形成するためのものであり、第1光書込ユニット11や感光体12などを備えている。また、潜像担持体たる感光体12の周囲に、第1帯電装置13、第1現像装置100、第2帯電装置14、第2光書込ユニット15、第2現像装置150、転写前トナー帯電器190、転写搬送ユニット16、ドラムクリーニング装置17、除電器18などを備えている。また、転写搬送ユニット14の側方には、定着装置26やレジストローラ対25などを備えている。
【0011】
上記スタートスイッチが操作されると、図示しない駆動手段による感光体12の回転駆動が開始される。スコロトロン帯電器からなる第1帯電装置13は、周知の技術により、回転駆動される感光体12の表面をトナーの正規帯電極性と同極性に一様に帯電させる。一様帯電後の感光体12の表面電位は、約−900[V]である。
【0012】
第1光書込ユニット11は、原稿読取部1における原稿読取で得られた黒分解画像信号に基づいてレーザー光Lを光変調して、第1帯電装置13によって一様帯電せしめられた感光体12の表面を露光走査する。具体的には、レーザダイオードからレーザー光からなる書込光を発する。この書込光は、ポリゴンモータによって回転駆動される回転多面鏡11a上で主走査方向(感光体12の軸線方向)に偏向せしめられながら、fθレンズなどからなる走査結像用のレンズ系を通る。そして、反射ミラーを経て、回転駆動されている感光体12の表面上に到達する。感光体12の表面のうち、書込光が照射された箇所は、電位を約−100[V]まで減衰させて第1潜像たる黒用静電潜像になる。
【0013】
第1光書込ユニットによる露光走査で感光体12の表面に書き込まれた黒用静電潜像は、第1現像装置100によって現像されて黒トナー像になる。
【0014】
図2は、第1現像装置100を感光体12の一部とともに示す拡大構成図である。同図において、感光体12の側方に配設され第1現像装置100は、現像器101と、これに着脱可能なトナー補給器102とを有している。
【0015】
トナー補給器102は、図中反時計回り方向に回転駆動されるアジテータ111、歯車状のトナー補給ローラ112、補給規制板113等を具備しており、内部に収容しているトナーをアジテータ111の回転駆動によってほぐしながら、トナー補給ローラ112に送る。送られたトナーは、図示しない駆動系によって回転せしめられるトナー補給ローラ112に連れ回りながら補給規制板113によってローラ上での厚みが規制された後、現像器101内に補給される。
【0016】
現像器101は、トナー(黒)と磁性キャリアとを含有する現像剤を収容している。そして、第1現像スリーブ103、第2現像スリーブ104、撹拌パドル105、多重円盤部材106、規制ブレード107、搬送スクリュウ108、トナー濃度センサ109等を具備している。また、第1現像スリーブ103の側方に配設されたセパレータ110も具備している。
【0017】
現像器101内には、トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤が収容されている。トナー補給器102から現像器101内に補給されたトナーは、図示しない駆動系によって回転駆動される多重円盤部材106上に落下する。多重円盤部材106は、落下してくるトナーを現像器101内の現像剤と混合攪拌しながら、撹拌パドル105に向けて送る。この際、新たに補給されたトナーが磁性キャリアや多重円盤部材106などとの摺擦によって摩擦帯電せしめられる。
【0018】
図示しない駆動系によって図中反時計回り方向に回転駆動される撹拌パドル105は、器内の現像剤を攪拌しながら、第1現像スリーブスリーブや第2現像スリーブ104に向けて搬送する。筒状の第1現像スリーブ103は、図示しない駆動系によって図中反時計回り方向に回転駆動される。この第1現像スリーブ103の内部には、図示しないマグネットローラが、図示しない保持手段によって回転不能に保持されている。また、筒状の第2現像スリーブ104は、第1現像スリーブ103の直下であって、且つ第1現像スリーブ103に対して感光体12回転方向の下流側の位置に配設された状態で、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される。この第2現像スリーブ104の内部にも、図示しないマグネットローラが、図示しない保持手段によって回転不能に保持されている。
【0019】
第1現像スリーブ103は、撹拌パドル105から送られてくる現像剤を、内部のマグネットローラの発する磁力によって自らの表面に担持する。担持された現像剤は、第1現像スリーブ103に連れ回る過程で、第1現像スリーブ103と所定の間隙を保持するように配設された規制ブレード107との対向位置を通過する際に、スリーブ上での層厚が規制される。そして、規制に伴って内部のトナーの摩擦帯電が助長された後、感光体12に対向する第1現像領域まで搬送される。非磁性で且つ導電性の材料(例えばアルミ)からなる第1現像スリーブ103には、図示しない電源により、トナーの正規帯電極性と同極性である−550[V]負極性の第1現像バイアスが印加されている。この印加により、第1現像領域では、−550[V]の現像スリーブ103と、感光体12上の黒用静電潜像(−100V)との間において、トナーをスリーブ側から黒用静電潜像側に静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、−550[V]の現像スリーブ103、と感光体12の非画像部(−900V)との間において、トナーを感光体側からスリーブ側に静電移動させる非現像ポテンシャルが作用する。よって、第1現像領域まで搬送された現像剤は、トナーを感光体12の静電潜像だけに転移させて、黒用静電潜像を黒トナー像に現像する。第1現像スリーブ103との連れ回りに伴って第1現像領域を通過した現像剤は、第2現像スリーブ104に受け渡された後、第2現像スリーブ104との連れ回りにより、第2現像スリーブ104と感光体12とが対向する第2現像領域に進入する。この第2現像スリーブ104にも、−550[V]の現像バイアスが印加されている。このため、感光体12上の黒トナー像は、第2現像領域で更に確実にトナーが付着せしめられて、現像不良が軽減される。第2現像領域を通過した現像剤は、第2現像スリーブ104上から離脱して現像器101内に回収される。
【0020】
上述したように、第1現像スリーブ103上に担持された現像剤は、規制ブレード107によってスリーブ上での層厚が規制される。この規制により、規制ブレード107よりもスリーブ回転方向上流側には、現像スリーブ103との連れ回りを阻止された現像剤が滞留する。そして、後続の現像剤に押されることで、第1現像スリーブ103の側方に配設されたセパレータ110の上に溢れる。溢れた現像剤は、セパレータ110上面の傾斜に沿って移動することで、搬送スクリュウ108に向けて案内される。搬送スクリュウ108は、案内されてくる現像剤をその軸線方向(図中奥行き方向)に向けて攪拌搬送する。これにより、現像剤のいわゆる横搬送が行われる。この横攪拌に対し、撹拌パドル105は、現像剤をその回転周方向に搬送しながらかき回すいわゆる縦搬送を行う。なお、搬送スクリュウ108は、現像剤を横攪拌しながら、多重円盤部材106上に落下させる。この落下により、現像器内における現像剤の縦循環が実現している。
【0021】
多重円盤部材106の下側には、トナー濃度センサ109が配設されており、多重円盤部材106によって攪拌搬送される現像剤の透磁率に応じた信号を図示しない制御部に出力する。現像剤のトナー濃度は、透磁率と相関するため、トナー濃度センサ109は現像剤のトナー濃度を検知していることになる。図示しない制御部は、トナー濃度センサ109からの出力信号を、所定の目標値に近づけるようにトナー補給器102を適宜動作させることで、現像に伴ってトナー濃度を低下させた現像剤のトナー濃度を回復させる。
【0022】
先に示した図1において、感光体12の回転駆動により、第1現像装置100との対向位置を通過した感光体12表面は、スコロトロン帯電器からなる第2帯電装置14によって再び一様帯電せしめられる。一様帯電後の感光体12の表面電位は、約−900[V]である。
【0023】
第2光書込ユニット15は、LEDアレイを具備しており、原稿読取部1における原稿読取で得られた赤分解画像信号に基づいてLEDアレイから発した書込光により、第2帯電装置14によって一様帯電せしめられた感光体12の表面に第2潜像たる赤用静電潜像を書き込む。この赤用静電潜像は、電位が約−100[V]まで減衰せしめられた状態で、第2現像装置150によって現像されて赤トナー像になる。
【0024】
図3は、第2現像装置150を転写前トナー帯電器190や感光体12とともに示す拡大構成図である。第2現像装置150は、原稿に記入された赤色の押印や、原稿中の画像情報に対して赤色で記入された付加的なマークなどを、赤色で再現するものである。第2現像装置150のケース151内には、非磁性の赤色のトナーのみ、又は、これに補助剤を外添した1成分系トナーを収容するためのトナー収容部152が形成されている。トナー収容部152内に収容されているトナーは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される第1アジテータ153によってケース後端側から先端側に向けて搬送される。第1アジテータ153の側方には、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される第2アジテータ154が配設されており、第1アジテータ153から送られてくるトナーを受け取りながら、更にケース先端側に向けて搬送する。
【0025】
トナー収容部152よりもケース先端側には、トナー供給ローラ156、現像ローラ157、トナー規制ブレード158などを具備する現像部155が形成されている。上述した第2アジテータ154によって搬送されるトナーは、トナー収容部152から現像部155内に移行する。
【0026】
現像部155のトナー供給ローラ156は、回転軸部材と、これの周面に被覆されたスポンジ等の多孔質材料からなるローラ部とを具備している。そして、トナー収容部152から現像部155内に送り込まれてくるトナーをローラ部の表面の多孔に取り込みながら、現像ローラ157に摺擦することで、現像ローラ157表面にトナーを供給する。現像ローラ157に供給されたトナーは、現像ローラ157の表面に釣れ回る過程で、現像ローラ157に当接しているトナー規制ブレード158によって薄層化された後、現像ローラ157と感光体12とが対向する赤用現像領域に進入する。この赤用現像領域では、感光体12と現像ローラ157とが微少な現像ギャップ(0.1[mm]程度)を介して対向している。
【0027】
赤用現像領域においては、−750[V]の現像バイアスが印加される現像ローラ157と、感光体12上の赤用静電潜像(−100V)との間に、トナーをローラ側から潜像側に静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、−750の現像ローラ157と、感光体12の非画像部(−900V)との間に、トナーを非画像部側からローラ側に静電移動させる非現像ポテンシャルが作用する。感光体12の表面上には、黒トナー像が担持されており、この黒トナー像は、赤用静電潜像上に位置している箇所である赤重ね合わせ箇所と、非画像部上に位置している箇所である非重ね合わせ箇所とに分けられる。現像ローラ157上のトナーは、現像ポテンシャルの作用により、現像ローラ157上から感光体12の赤用静電潜像上に転移する。これにより、感光体12上の赤用静電潜像が現像されて赤トナー像になる。
【0028】
赤用現像領域において、感光体12上の黒トナー像における非重ね合わせ箇所には、その直下に位置している感光体非画像部の電位(−900V)によって非現像ポテンシャルが作用するため、非重ね合わせ箇所に存在している黒トナーは、現像ローラ157に転移することなく、非重ね合わせ箇所に留まる。また、感光体12上の黒トナー像における赤重ね合わせ箇所には、その直下に位置している赤用静電潜像の電位(−100V)によって現像ポテンシャルが作用するため、赤重ね合わせ箇所に存在している黒トナーは、現像ローラ157に転移することなく、赤重ね合わせ箇所に留まる。また、この赤重ね合わせ箇所に対しては、赤トナー像の一部が重ね合わせて現像される。なお、転写前トナー帯電器190の役割については後述する。
【0029】
先に示した図1において、転写搬送ユニット16は、無端状の転写搬送ベルト16aを複数の張架ローラによってテンション張架しながら無端移動せしめながら、感光体12の周面に当接させて転写ニップを形成している。また、転写ニップにおける転写搬送ベルト裏面(ループ内周面)に、転写ローラ16bを当接させている。この転写ローラには図示しない電源によって転写バイアスが印加されている。これにより、転写ニップにおいては、感光体12上の黒トナー像や赤トナー像を感光体12側から転写搬送ベルト16a側に静電移動させる転写電界が形成される。
【0030】
感光体12の回転駆動に伴って第2現像装置150との対向位置を通過した黒トナー像や赤トナー像は、転写ニップに進入する。一方、転写ニップの手前に配設されたレジストローラ対25は、上記スタートスイッチの操作に基づいて図示しない給紙部から送られてくる記録シートを自らの2つのローラの当接によって形成しているレジストニップに挟み込む。そして、記録シートを感光体12上の黒トナー像や赤トナー像に重ね合わせ得るタイミングで転写ニップに向けて送り出す。この送り出しにより、転写ニップでは感光体12上の黒トナー像や赤トナー像が記録シートに密着せしめられる。そして、転写電界やニップ圧の影響を受けて、感光体12表面から記録シート表面に転写される。
【0031】
転写ニップを通過した記録シートは、転写搬送ユニット16の転写搬送ベルト16aによって定着装置26内に送られる。定着装置26は、送られてきた記録シートを定着ローラと加圧ローラとの当接による定着ニップに挟み込む。そして、定着ニップ内で記録シートを加熱及び加圧して、シートにトナー像を定着せしめる。定着装置126を通過した記録シートは、排紙路を経由して機外へと排出される。
【0032】
転写ニップを通過した後の感光体12の表面には、転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニング装置17のクリーニングブレードやクリーニングブラシローラによって掻き取られる。そして、回収スクリュウによってドラムクリーニング装置17の側面に向けて搬送された後、ドラムクリーニング装置外部の図示しない廃トナータンクに回収される。
【0033】
このようにして転写残トナーがクリーニングされた感光体12の表面は、除電器18によって除電された後、第1帯電装置13によって一様帯電せしめられて次の画像形成に備えられる。
【0034】
記録シートを定着装置26に受け渡した後の転写搬送ベルト16aの表面に対しては、ベルトクリーニング装置16cによってトナーなどの異物を除去するためのクリーニング処理が施される。
【0035】
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
第1現像装置100によって現像された黒トナー像は、感光体12の回転駆動に伴って第2帯電装置14との対向位置を通過する際にトナーの帯電が助長されることから、単位重量あたりの帯電量を増加させる。その帯電量は、約−30[μC/g]だる。これに対し、第2現像装置150による現像工程で感光体12の表面上に形成された赤トナー像は、黒トナー像よりも単位重量あたりの帯電量が低い状態になっている。その帯電量は約−10[μC/g]である。転写チリを発生させることなく、帯電量の低い赤トナー像を記録シートに転写するためには、転写ローラ16bに対して比較的高い値の転写バイアスを印加する必要がある。より詳しくは、転写バイアスについては、定電流制御を行っているので、定電流制御における出力電流目標値をより大きくする必要がある。しかし、かかる転写バイアスでは、黒トナー像の転写効率を低下させてしまうことから、黒トナー像の転写不良を発生させ易くなる。この逆に、黒トナー像の転写不良の発生を抑えるために、定電流制御における出力電流目標値を通常の値に設定すると、帯電量の低い赤トナー像を構成する赤トナーの一部を記録紙の正規位置に良好に拘束することができずに、赤トナー像の転写チリを引き起こしてしまう。
【0036】
そこで、本複写機においては、先に図3に示したように、第2現像装置150との対向位置を通過した後、転写ニップに進入する前の感光体12の表面に対向する位置に、転写前トナー帯電器190を配設している。この転写前トナー帯電器190は、片持ち支持された状態で自由端を感光体12の表面に対して所定の間隙を介して対向させている電極部材191と、電極部材191を片持ち支持する絶縁性材料からなる支持部材192と、電極部材191に印加するトナー帯電バイアスを出力する帯電バイアス電源193とを有している。
【0037】
電極部材191は、図4に示すように、先端側が鋸歯状に加工されていることで複数の細先端部を具備している。電極部材191の感光体軸線方向の長さは、感光体(12)の軸線方向長さとほぼ同じになっているため、電極部材191は、感光体に対してその軸線方向におけるほぼ全域に対向しながら、感光体表面上の赤トナー像に対して後述するトナー帯電処理を施す。なお、図示のような鋸歯状の電極部材191に代えて、複数の導電性起毛からなるブラシ状電極部材を用いてもよい。
【0038】
図3において、転写前トナー帯電器190の帯電バイアス電源193は、出力電流を所定の目標値にするように出力電圧を制御するいわゆる定電流制御を行うように構成されている。出力電流の目標値は、−10〜−50[μA]の範囲内で設定されている。
【0039】
感光体12と電極部材191との対向位置において、電荷量の少ない赤トナー像が通過する際には、赤トナー像を介して感光体12と電極部材191との間で放電が発生する。これにより、赤トナー像に電荷が注入されて赤トナー像の電荷量が黒トナー像と同じ約−30[μC/g]まで増加する。また、何らかの理由により、黒トナー像の全体又は一部の電荷量が本来よりも少ない場合には、その全体又は一部を介して感光体12と電極部材191との放電が発生して、その全体又は一部の電荷量が−30[μC/g]まで増加する。このように、転写前トナー帯電器190は、第2現像装置150との対向位置を通過した後、転写装置との対向位置である転写ニップに進入する前の感光体12上の黒トナー像及び赤トナー像に対して帯電量の均一化処理を施す帯電量均一化手段として機能している。
【0040】
かかる構成においては、感光体12上の黒トナー像及び赤トナー像を転写ニップに送る前に、転写前トナー帯電器190による帯電量の均一化処理により、それらトナー像の帯電量を均一化させる。これにより、転写ローラ16bに対して、黒トナー像及び赤トナー像の両方に適した値の転写バイアスを印加することが可能になるので、黒トナー像の転写不良の発生や、赤トナー像の転写チリの発生を抑えることができる。
【0041】
転写前トナー帯電器190の電極部材191の先端部は、感光体12に対して非接触ではあるものの、非常に接近していることから、トナー像中に微量に含まれる逆帯電トナーが付着し易い。電極部材191の先端部に多量のトナーが付着してしまうと、電極部材191と感光体12との間で異常放電が発生し易くなる。そして、異常放電が発生すると、感光体12上のトナー像を乱してしまう。
【0042】
一方、転写前トナー帯電器190は、既に説明したように、黒トナー像と赤トナー像とで帯電量の均一化を図るためのものである。感光体12の表面上に、黒トナー像と赤トナー像との両方を形成する場合には、帯電量の均一化処理を実施する必要があるが、モノクロプリントモードによって黒トナー像だけを形成する場合、帯電量の均一化処理を実施する必要はない。にもかかわらず、転写前トナー帯電器190の電極部材191を、感光体12に近づけたままにしていると、電極部材191をトナー付着によって不要に汚してしまうおそれがある。
【0043】
そこで、本複写機においては、第2現像装置150の近傍に、現像保持部材201、回動軸202、現像装置受け部203、帯電器受け板204などを具備するユニット移動機構200を配設している。このユニット移動機構200は、放電によって感光体12の表面上の黒トナー像及び赤トナー像に対して帯電量の均一化処理を施すことが可能な均一化処理実行位置と、均一化処理実行位置よりも感光体から遠ざかって待避するための均一化処理待機位置との間で、電極部材191を移動させることができる。また、感光体12の表面上の赤用静電潜像に対して現像処理を施すための現像処理実行位置と、この現像処理実行位置よりも感光体12から遠ざかって待避する現像処理待機位置との間で、第2現像装置150を移動させることもできる。電極部材191の均一化処理実行位置から均一化処理待機位置への移動と、第2現像装置150の現像処理実行位置から現像処理待機位置への移動とは、同時に行われる。また、電極部材191の均一化処理待機位置から均一化処理実行位置への移動と、第2現像装置150の現像処理待機位置から現像処理実行位置への移動とは、同時に行われる。
【0044】
ユニット移動機構200の現像保持部材201は、第2現像装置150を感光体軸線方向の一端側で保持している。一方、現像装置受け部203は、回動軸202を中心にして回動可能に構成され、回動軸202とは反対側の端部で第2現像装置150を下方から受け止めている。この現像装置受け部203の同端部には、転写前トナー帯電器190を受けるための帯電器受け板204が連結されている。
【0045】
現像保持部材201の下辺の一部領域は、水平方向から傾いた姿勢になっている(以下、この領域を「底板テーパー部」という)。現像保持部材201の下方には、後述する電極保護カバー210が配設されており、この電極保護カバー210は、現像保持部材201の「底板テーパー部」の傾斜に沿って延在する姿勢で配設されている。
【0046】
現像装置受け部203が回動軸202とともに図示しない駆動手段によって図示の状態から少しだけ図中反時計回り方向に回転すると、現像保持部材201がその回転に追従して、電極保護カバー210の表面上をその傾斜に沿って滑り落ちながら、現像装置受け部203に受け止められる。これにより、図3のように現像処理実行位置にあった第2現像装置150が、図5に示されるように、感光体12の表面からより遠ざかる現像処理待機位置に移動する。このとき、同時に、帯電器受け板204が現像装置受け部203とともに回転することで、転写前トナー帯電器190の電極部材191を、図3のように感光体12に接近した均一化処理実行位置から、図5に示される均一化処理待機位置に移動させる。
【0047】
また、図5の状態において、現像装置受け部203が回転軸202とともに図示しない駆動手段によって図示の状態から少しだけ図中時計回り方向に回転すると、現像保持部材201が現像装置受け部203によって感光体12に向けて押される。そして、電極保護カバー210の表面上を傾斜に沿って登っていきながら、感光体12に近づく。これにより、図5のように現像処理待機位置にあった第2現像装置150が、図3のように感光体12により近づく現像処理実行位置に移動する。このとき、同時に、帯電器受け板204が現像装置受け部203とともに回転することで、転写前トナー帯電器190の電極部材191を、図5のように感光体12から遠ざかった均一化処理待機位置から、図3に示される均一化処理実行位置に移動する。
【0048】
回動軸202の正転駆動(回動軸202を図中反時計回り方向に回転させる駆動)や逆転駆動(回動軸202を図中時計回り方向に回転させる駆動)は、図示しないユニット移動モータの正転駆動や逆転駆動によって行われる。そして、ユニット移動モータの正転駆動や逆転駆動のオンオフは、CPU(Central Processing Unit)、データ記憶手段たるRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される図示しない制御部によって行われる。
【0049】
上記制御部は、感光体12の表面に対して黒トナー像だけを形成する場合、即ち、モノクロプリントモードにおいては、ユニット移動モータを所定時間だけ正転駆動して、第2現像装置150を現像処理実行位置から現像処理待機位置に移動させる。同時に、転写前トナー帯電器190の電極部材191を均一化処理実行位置から均一化処理待機位置に移動させる。このように、モノクロプリントモードにおいて、第2現像装置150を現像処理待機位置に移動させることで、感光体12の表面上に存在する逆帯電黒トナーを不必要に第2現像装置150の現像ローラ157に転移させてしまうことを回避する。これにより、第2現像装置150内への黒トナーの混色の発生を抑えることができる。また、モノクロプリントモードにおいて、転写前トナー帯電器190の電極部材191を均一化処理待機位置に移動させることで、感光体12の表面上に存在する逆帯電黒トナーを不必要に電極部材191に付着させてしまうことを回避する。これにより、電極部材191への黒トナーの付着を抑えることで、電極部材191からの異常放電に起因するトナー像の乱れの発生を抑えることができる。
【0050】
なお、上記制御部は、2色プリントモードの開始時において、第2現像装置150や電極部材191を待避位置に存在させている場合には、ユニット移動モータを所定時間だけ逆転駆動して、第2現像装置150を現像処理待機位置から現像処理実行位置に移動させる。同時に、転写前トナー帯電器190の電極部材191を均一化処理待機位置から均一化処理実行位置に移動させる。
【0051】
上述した電極保護カバー210は、現像保持部材201の「底板テーパー部」を重力方向下方から受ける上板と、これに対して下方から所定の間隙を介して対向している下板とを有している。そして、転写前トナー帯電器190の支持部材192や、電極部材191における少なくとも固定端側の箇所を、前述の間隙の中に位置させている。転写前トナー帯電器190の電極部材191は、均一化処理待機位置まで移動すると、その先端部が前述の間隙の中に完全に入る。これにより、電極保護カバー210に覆われて保護されることで、トナーなどの異物が付着するのを防止される。このように、電極部材191を均一化処理待機位置で保護部材としての電極保護カバー210で保護することで、電極部材191への汚れの付着を抑えて、電極部材191からの異常放電に起因するトナー像の乱れの発生を更に抑えることができる。
【0052】
電極保護カバー210の上板の先端部には、清掃部材としての清掃ブラシ215が固定されている。この清掃ブラシ215は、ユニット移動機構210によって移動せしめられる電極部材191の先端部に摺擦することで、先端部に対して、電極部材191の先端部に付着したトナーや異物を除去する清掃処理を施す。この清掃処理は、ユニット移動機構210によって電極部材191が移動される度に行われる。このように、電極部材191に対して清掃処理を定期的に施すことで、電極部材191からの異常放電に起因するトナー像の乱れの発生を更に抑えることができる。
【0053】
なお、帯電量均一化手段としては、転写前トナー帯電器190のように赤トナー像を帯電させることで黒トナー像と赤トナー像とで電荷量の均一化を図るものの他、少なくとも黒トナー像を除電することで黒トナー像と赤トナー像とで電荷量の均一化を図るものを用いることも可能である。但し、赤トナー像を帯電させるものを用いる方が、次の点で有利である。即ち、除電方式では、モノクロプリントモードで黒トナー像を除電しないときと、2色プリントモードで黒トナー像を除電するときとで、黒トナー像の帯電量が異なることから、転写バイアスの値を変更する必要がある。これに対し、帯電方式では、モノクロプリントモードと2色プリントモードとで、黒トナー像の帯電量がほぼ同じになることから、転写バイアスを変更する必要がない。
【0054】
以上、実施形態に係る複写機においては、感光体12の表面上の黒トナー像(第1トナー像)及び赤トナー像(第2トナー像)に対して帯電量の均一化処理を施すための均一化処理実行位置と、均一化処理実行位置よりも感光体12から遠ざかって待避するための均一化処理待機位置との間で、帯電量均一化手段を移動させる第1移動手段たる現像装置受け部203を設けている。そして、感光体12の表面に対して黒トナー像だけを形成するモノクロモードの実行時に、現像装置受け部203の駆動を制御して電極部材191を均一化処理待機位置に移動させる処理を実施するように、制御手段たる制御部を構成している。かかる構成では、既に説明したように、感光体12から電極部材191に対して黒トナーを不必要に付着させてしまうことを回避することで、電極部材191からの異常放電に起因するトナー像の乱れの発生を抑えることができる。
【0055】
また、実施形態に係る複写機においては、第2潜像たる赤用静電潜像に対して現像処理を施すための現像処理実行位置と、現像処理実行位置よりも感光体12から遠ざかって待避する現像処理待機位置との間で、第2現像装置150を移動させる第2移動手段たる帯電器受け板204を設けている。そして、感光体12の表面に対して黒トナー像だけを形成するモノクロプリントモードの実行時に、帯電器受け板204の駆動を制御して第2現像装置150を現像処理待機位置に移動させる処理を実施するように、制御部を構成している。かかる構成では、既に説明したように、モノクロプリントモードにおいて、感光体12の表面上に存在する逆帯電黒トナーを不必要に第2現像装置150の現像ローラ157に転移させてしまうことを回避することで、第2現像装置150内への黒トナーの混色の発生を抑えることができる。
【0056】
また、実施形態に係る複写機においては、現像装置受け部203と帯電器受け板204とを同一の駆動源たるユニット移動モータによって駆動させるようにしているので、別々の駆動源によって駆動させる場合に比べて、装置の小型化を図ることができる。
【0057】
また、実施形態に係る複写機においては、均一化処理待機位置で電極部材191を覆って保護する保護部材たる電極保護カバー210を設けている。かかる構成では、電極部材191を均一化処理待機位置で電極保護カバー210で保護することで、電極部材191への汚れの付着を抑えて、電極部材191からの異常放電に起因するトナー像の乱れの発生を更に抑えることができる。
【0058】
また、実施形態に係る複写機においては、均一化処理実行位置と均一化処理待機位置との間を移動している電極部材191に接触して清掃処理を施す清掃手段たる清掃ブラシ215を設けている。かかる構成では、電極部材191に対して清掃ブラシ215による清掃処理を定期的に施すことで、電極部材191からの異常放電に起因するトナー像の乱れの発生を更に抑えることができる。
【0059】
また、実施形態に係る複写機においては、帯電量均一化手段として、黒トナー像と赤トナー像とのうち、少なくとも赤トナー像の帯電を促して電荷量の均一化を図る転写前トナー帯電器190を用いている。かかる構成では、上述した除電方式の帯電量均一化手段とは異なり、モノクロプリントモードと2色プリントモードとで、黒トナー像の帯電量がほぼ同じになることから、転写バイアスを変更する手間を省略することができる。
【符号の説明】
【0060】
11:第1光書込ユニット(第1書込手段)
12:感光体(潜像担持体)
13:第1帯電装置(第1帯電手段)
14:第2帯電装置(第2帯電手段)
15:第2光書込ユニット(第2書込手段)
16:転写搬送ユニット(転写手段)
100:第1現像装置(第1現像手段)
150:第2現像装置(第2現像手段)
190:転写前トナー帯電器(帯電量均一化手段)
200:ユニット移動機構
203:現像装置受け部(第2移動手段)
204:帯電器受け板(第1移動手段)
210:保護カバー(保護部材)
215:清掃ブラシ(清掃部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2000−89542号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、前記潜像担持体の移動する表面を帯電させる第1帯電手段と、前記第1帯電手段によって帯電せしめられた前記表面に第1潜像を書き込む第1書込手段と、前記第1潜像を現像して第1トナー像を得る第1現像手段と、第1現像手段との対向位置を通過した後の前記表面を帯電させる第2帯電手段と、前記第2帯電手段によって帯電せしめられた前記表面に第2潜像を書き込む第2書込手段と、前記第2潜像を現像して第2トナー像を得る第2現像手段と、前記表面上の前記第1トナー像及び前記第2トナー像を転写電界の作用によって転写体に転写する転写手段とを備える画像形成装置において、
前記第2現像手段との対向位置を通過した後、前記転写手段との対向位置に進入する前の前記潜像担持体の表面上の前記第1トナー像及び第2トナー像に対して帯電量の均一化処理を施す帯電量均一化手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記潜像担持体の表面上の前記第1トナー像及び前記第2トナー像に対して帯電量の均一化処理を施すための均一化処理実行位置と、前記均一化処理実行位置よりも前記潜像担持体から遠ざかって待避するための均一化処理待機位置との間で、前記帯電量均一化手段を移動させる移動手段と、
前記潜像担持体の表面に対して前記第1トナー像だけを形成する場合に、前記移動手段の駆動を制御して前記帯電量均一化手段を前記均一化処理待機位置に移動させる制御手段とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
前記第2潜像に対して現像処理を施すための現像処理実行位置と、前記現像処理実行位置よりも前記潜像担持体から遠ざかって待避する現像処理待機位置との間で、前記第2現像手段を移動させる移動手段を設けるとともに、
前記潜像担持体の表面に対して前記第1トナー像だけを形成する場合に、前記移動手段の駆動を制御して前記第2現像手段を前記現像処理待機位置に移動させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
前記帯電量均一化手段を移動させる移動手段と、前記第2現像手段を移動させる移動手段とを同一の駆動源によって駆動させるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れかの画像形成装置において、
前記均一化処理待機位置で前記帯電量均一化手段を覆って保護する保護部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れかの画像形成装置において、
前記均一化処理実行位置と前記均一化処理待機位置との間を移動している前記帯電量均一化手段に接触して清掃処理を施す清掃手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れかの画像形成装置において、
前記帯電量均一化手段として、前記第1トナー像と前記第2トナー像とのうち、少なくとも前記第2トナー像の帯電を促して電荷量の均一化を図るものを用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−198485(P2012−198485A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87113(P2011−87113)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】