説明

画像形成装置

【課題】本発明は、ユーザが排紙トレイに排紙された被記録媒体を取り除きたいと判断するときは、排紙トレイを変更せずに被記録媒体が排紙されている排紙トレイから、ユーザが印刷物を取り除きやすくすることができる技術を提供する。
【解決手段】CPU50は、低排紙処理を実行中であるか判断し(S102)、低排紙処理実行中でないと判断した場合(S102:NO)、続いて、キー36が押下されたか判断する(S103)。キー36が押下された場合には(S103:YES)、低排紙処理を実行する(S104)。低排紙処理としては,排紙ペースを下げる処理であればよく,例えば,用紙搬送速度を落とす処理と,用紙搬送を停止する処理と,用紙の搬送間隔を広げる処理と,の少なくとも1つを行う処理が該当する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ,コピー機,FAX装置等の印刷機能を有する印刷装置では、印刷速度の向上が著しい。この印刷速度の高速化に伴って、連続印刷中に排紙先のトレイから印刷物を取り除き難い傾向にある。そこで、連続印刷中に、印刷物を取り除く機会を与える機会付与機能に関する技術が提案されている。
この機会付与機能に関する技術としては、例えば特許文献1に開示された印刷装置がある。この印刷装置には、排紙先のトレイを切り換える切換スイッチがあり、ユーザが切換スイッチを操作して排紙先を変更することで、ユーザに印刷物を取り除く機会を与えている。また,特許文献1では、一時停止スイッチによって装置を停止させる技術についても言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−059258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、ボタン操作によって排紙先の変更や装置の一時停止を行うことで、印刷物の取り除き易さは向上するものの、ボタン押下で排紙先の排紙トレイを変更できない場合に対応できなかった。
そこで、本発明は、ユーザが排紙トレイに排紙された被記録媒体を取り除きたいと判断するときは、排紙トレイを変更せずに被記録媒体が排紙されている排紙トレイから、ユーザが印刷物を取り除きやすくすることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、排紙部から被記録媒体が除去する機会を付与する機会付与条件を満たすか判断する判断部と、判断部が機会付与条件を満たすと判断すると、被記録媒体を排紙部に排紙する速度を遅くすること、及び、排紙部に先に排紙される被記録媒体と、排紙部に後に排紙される被記録媒体との間隔を広げることの少なくとも一方による低排紙処理を実行する実行部と、を備えることを特徴とするものである。
【0006】
また、実行部は、判断部が機会付与条件を満たすことを判断してから一定時間経過すると、低排紙処理の実行を取り消すようにしてもよい。
【0007】
また、実行部は、排紙部に未排紙の被記録媒体の量が所定未排紙量以下であると、低排紙処理の実行を取り消すようにしてもよい。
【0008】
また、実行部は、排紙部に排紙された被記録媒体が取り除かれると、低排紙処理の実行を取り消すようにしてもよい。
【0009】
また、判断部は、排紙部に排紙された被記録媒体の量が所定積載量以上であること、及び、入力部から入力されることのうち少なくとも一方を満たすか判断するようにしてもよい。
【0010】
また、判断部は、前記低排紙処理実行中に、入力部から機会付与条件を満たす入力がされるか判断し、実行部は、判断部が機会付与条件を満たすことを判断すると、低排紙処理を実行する時間を延長する延長処理を実行するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、機会付与条件を満たすと、排紙部に被記録媒体を排紙する速度が遅くなるか、または、先に排紙される被記録媒体と後に被記録媒体との排紙される間隔が広くなるので、ユーザは被記録媒体が排紙されている排紙部から、排紙された被記録媒体を取り除きやすくなり、ユーザの利便性が増す。
【0012】
また、機会付与条件を満たしてから一定時間経過したら、低排紙処理の実行を取り消すようにした場合、低排紙処理が実行され続けることを防ぐこととなり、ユーザの利便性が増す。
【0013】
また、排紙部に未排紙の被記録媒体の量が所定未排紙量以下であるときは低排紙処理の実行を取り消すようにした場合、早く排紙部への被記録媒体の排紙を完了されることとなり、ユーザの利便性が増す。
【0014】
また、排紙部に排紙された被記録媒体が取り除かれると、低排紙処理の実行を取り消すようにした場合、排紙部に排紙された被記録媒体が取り除かれた後、排紙部に排紙された被記録媒体の排紙の完了までにかかる時間が抑制されることとなり、ユーザの利便性が増す。
【0015】
また、排紙部に排紙された被記録媒体の積載量が所定積載量以上であるときは、間もなく排紙トレイが被記録媒体でいっぱいになる場合、低排紙処理が実行されることとなり、ユーザが排紙部から被記録媒体を取り除くタイミングであることが把握しやすくなる。
また、確実に低排紙処理を実行するので、ユーザの意図するタイミングで、ユーザが排紙部から被記録媒体を取り除きやすくできることとなり、ユーザの利便性が増す。
【0016】
また、前記低排紙処理実行中に機会付与条件を満たすと、低排紙処理を実行する時間を延長するようにした場合、ユーザが急いで排紙部から被記録媒体を取り除く必要がなくなり、ユーザが排紙部から被記録媒体を取り除きやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る複合電子写真装置の概略構成を示す図面である。
【図2】その複合電子写真装置の通常状態での正面図である。
【図3】その複合電子写真装置の電気的な構成を表すブロック図の図面である。
【図4】第1の実施形態における排紙制御処理の流れを示したフローチャートの図面である。
【図5】第2の実施形態における排紙制御処理の流れを示したフローチャートの図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
この複合電子写真装置100は、画像形成部1と、その画像形成部1の上方に設けられた画像読取部2とから主に構成される。
【0019】
画像形成部1は、下部に記録用紙Sを収納した給紙トレイ5が着脱可能に設置されている。この給紙トレイ5の上方には、給紙トレイ5から記録用紙Sを搬送するための給紙ローラ4、ベルト状感光体6と、そのベルト状感光体6を懸架して回転駆動する複数の懸架ローラ7と、1つの懸架ローラ7と対向して設けられた帯電器とが一体になった感光体ユニット9が着脱可能に設置されている。本実施形態では帯電器8が感光体ユニット9と一体になっているが、帯電器8を感光体9と別体にすることもできる。
【0020】
帯電器8の近傍でベルト状感光体7と対向する位置に、レーザ光源(図示せず)などを内蔵した光学ユニット10が設けられている。この光学ユニット10の上方でベルト状感光体6の垂直部分と対向する位置に、例えば黒用トナーを内蔵した現像器11、イエロー用トナーを内蔵した現像器12、マゼンタ用トナーを内蔵した現像器13、シアン用トナーを内蔵した現像器14が積層状に配置されている。
【0021】
ベルト状感光体6と近接して中間転写ベルト15が設けられ、中間転写ベルト15は転写器16と対向している。転写器16の上方には定着器17が配置され、定着器17の斜め上方に排紙ローラ18が設けられ、排紙ローラ18の下方には画像を形成した記録用紙Sを排紙してストックする排紙トレイ19が設けられている。この排紙トレイ19は画像形成部1のケーシングの一部で構成されている。
【0022】
画像形成部1は前述のような構成になっており、画像読取部2で光学的に読み取られた画像信号もしくはPC等の外部装置から取り込んだ電子データに基づいて、周知の帯電―露光―現像―転写―定着の電子写真プロセスによって記録用紙S上に画像が形成される。
【0023】
画像形成部1の上部で排紙トレイ19から離れた位置に、画像読取部2を開閉可能に支持する開閉支持部20が設けられている。この開閉支持部20は支持軸と軸受けとからなり、この開閉支持部20を中心にして画像読取部2は画像形成部1に対して矢印A方向(図1参照)に開閉する。
【0024】
また画像形成部1の上部にはアーム支持部21が設けられ、アーム支持部21にはアーム22の基端部が回動可能に支持されている。
【0025】
一方、画像読取部2の下面には、直線状に延びた溝を有するガイド部材25が取り付けられ、そのガイド部材25の溝内にアーム22の先端部に設けられた円柱部24がスライド可能に挿入されている。アーム22とガイド部材25の対は、画像形成部1の両側に設置されており、アーム22とガイド部材25の共働により、画像読取部2を完全に開いた状態(開成位置)で保持される。
【0026】
画像読取部2上に載置されて原稿を1枚ずつ画像読取部2側に送る自動原稿送り部3には図2に示すように、原稿を載置する原稿トレイ28が設けられている。
【0027】
本実施形態に係る電子写真装置は複写機能とファクシミリ機能とが複合されており、図2に示されているように画像読取部2の操作面35(本発明の入力部)に、送信先の電話番号や部数、画像形成の一時停止や低排紙処理を実行する専用ボタンなどを入力するキー36ならびに液晶表示面37などが設置されている。
【0028】
(複合機の電気的構成)
図3は、本実施形態に係る複合電子写真装置100の電気的構成を表すブロック図である。複合電子写真装置100は、CPU50(本発明の判断部、実行部の一例)、各種メモリ領域を備えるRAM51、各種プログラムを記憶するROM52、通信ネットワークに接続されて外部装置との間でデータの送受信をする通信インタフェース(通信I/F)55、FAX部56、有無検出センサ57、枚数検出センサ58、画像形成部1、画像読取部2、操作面35を備えて構成される。
【0029】
RAM51は、画像読取部2により読み取られた画像データ、機会付与フラグ、排紙済み枚数L、指定枚数M、排紙枚数N、タイマカウンタ等を記憶する。また、FAX部56は、公衆電話回線を通じて画像データを送受信する。
【0030】
(低排紙処理)
排紙処理には、通常の排紙処理と、通常の排紙処理の排紙能力を低下させた低排紙処理の2種類のモードがあり、CPU50は、排紙モードを判別するための機会付与フラグをRAM51に記憶している。例えば、CPU50は、通常の排紙処理を実行するときは、RAM51の機会付与フラグに「0」を記憶し、低排紙処理を実行するときは、RAM51の機会付与フラグに「1」を記憶する。
【0031】
低排紙処理は、CPU50がRAM51の機会付与フラグに「1」が記憶されていることを検知することにより実行される。具体的には、2つの方法があり、1つ目の方法として、CPU50は、排紙ローラを回転させる駆動モータ(不図示)の回転速度を低下させ、排紙トレイ19に記録用紙Sが排紙される速度を落とすことで、排紙トレイ19に記録用紙Sを排紙する能力を低下させる。
【0032】
尚、排紙トレイ19に記録用紙Sが排紙される速度を落とすときは、画像形成部1において記録用紙Sに画像を形成する速度も同様に落とすとよい。これにより、転写器16と排紙ローラ18との間において、排紙トレイ19に記録用紙Sが排紙される速度と、画像形成部1において記録用紙Sに画像を形成する速度とが異なることによるジャムを防止することができる。
【0033】
また、2つ目の方法として、CPU50は、給紙トレイ5の上方に位置する給紙ローラ4が記録用紙Sを給紙トレイ5から搬送する時間の間隔を長くすることにより、排紙トレイ19に先に排紙される記録用紙Sと後に排紙される記録用紙Sとの距離間隔を広げ、排紙トレイ19に記録用紙Sを排紙する能力を低下させる。尚、1つ目の方法と2つ目の方法とを別個に実行する低排紙処理でも、1つ目の方法と2つ目の方法とを同時に実行する低排紙処理であってもよい。
【0034】
(排紙制御処理)
図4は本発明の排紙制御処理の流れを示したフローチャートである。本発明の排紙制御処理について図4を参照しながら説明する。尚、CPU50は、操作面35等から入力される印刷指令を受信することを契機に、ROM52に記憶されている排紙制御処理のプログラムを実行する。
【0035】
まず、CPU50は、データ処理を実行する(S101)。具体的には、排紙トレイ19に排紙済みの記録用紙Sの枚数を取得し、排紙済み枚数Lとして、RAM51に記憶する。また、受信した印刷指令から排紙トレイ19に排紙される記録用紙Sの枚数を、指定枚数MとしてRAM51に記憶する。また、CPU50は、RAM51に記憶されている排紙モードを判別するための機会付与フラグに「0」を記憶させ、機会付与フラグを初期化する。
【0036】
次に、CPU50は、低排紙処理を実行中であるか判断し(S102)、低排紙処理実行中でないと判断した場合(S102:NO)、続いて、操作面35にあるキー36が押下されたか(本発明の機会付与条件の一例)判断する(S103)。キー36が押下された場合には(S103:YES)、低排紙処理を実行し(S104)、RAM51に記憶されているタイマカウンタを用いてタイマー計測を開始する(S105)。一方、キー36が押下されていない場合には(S103:NO)、S111に進む。
【0037】
例えば、S103において、操作面35にあるキー36が押下されることにより排紙トレイ19から記録用紙Sを取り除く旨が入力された場合、CPU50は、機会付与フラグを「0」から「1」に書き換え、RAM51に記憶する。続いて、機会付与フラグに「0」が記憶されている場合、機会付与条件を満たしていないと判断し(S102:NO)、機会付与フラグに「1」が記憶されている場合、機会付与条件を満たしたと判断する(S102:YES)。
【0038】
次に、CPU50は、タイマー計測中にキー36が押下されたか判断し(S106)、タイマー計測中にキー36が押下された場合(S106:YES)、すなわち、機会付与フラグに「1」が記憶されているときにキー36が押下された場合には、所定時間に延長時間を追加する(S107)。一方、タイマー計測中にキー36が押下されなかった場合(S106:NO)、所定時間に延長時間を追加しない。
【0039】
尚、所定時間経過を検知する前に、キー36から排紙トレイ19から記録用紙Sを取り除く旨が入力された場合、ユーザが一定時間内に排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sを取り除けないために、キー36を操作した可能性が高いので、所定時間経過しても低排紙能力を保持したほうが、ユーザの利便性が増す。
【0040】
次に、タイマー計測中にキー36が押下されなかった場合(S106:NO)、所定時間に延長時間を追加した場合(S107)に続いて、排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sを取り除かれたか判断する(S108)。具体的には、排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sの有無を検出する有無検出センサ57が備えられており、有無検出センサ57が排紙トレイ19から記録用紙Sが取り除かれたことを検知した場合、CPU50は、排紙済み枚数Lに「0」を記憶させ、排紙済み枚数Lを初期化する。
【0041】
また、排紙トレイ19に有無検出センサ57が備えられていない場合には、キー36から排紙トレイ19から記録用紙Sを取り除いた旨が入力されると、同様に排紙済み枚数Lを初期化する。さらに、CPU50は、排紙済み枚数Lを初期化すると、機会付与フラグを「1」から「0」に書き換え、RAM51に記憶する。
【0042】
次に、排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sを取り除かれたと判断した場合(S108:YES)、低排紙処理の実行を解除する(S109)。また、CPU50は、排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sを取り除かれていないと判断した場合(S108:NO)、タイマー計測を開始してから所定時間を経過したか判断し(S110)、タイマー計測を開始してから所定時間を経過したと判断した場合(S110:YES)、低排紙処理の実行を解除する(S109)。
【0043】
一方、タイマー計測を開始してから所定時間を経過していないと判断した場合(S110:NO)、低排紙処理の実行を解除せずに、S111に進む。
【0044】
具体的には、CPU50は、排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sを取り除かれたと判断した場合(S108:YES)、又は、タイマー計測を開始してから所定時間を経過したと判断した場合(S110:YES)、RAM51に記憶されている機会付与フラグを「1」から「0」に書き換える。
【0045】
尚、所定時間は、ユーザインタフェースを介して、あらかじめ設定されている。また、所定時間に延長時間を追加されたときは、タイマー計測を開始してから所定時間と延長時間とを経過した場合も、同様とする。
【0046】
一方、キー36が押下されていない場合(S103:NO)、タイマー計測を開始してから所定時間を経過していないと判断した場合(S110:NO)、低排紙処理の実行を解除した場合(S109)に続いて、CPU50は、記録用紙Sが排紙トレイ19に1枚排紙されたか判断する(S111)。記録用紙Sを排紙トレイ19に1枚排紙した場合(S111:YES)、記録用紙Sを排紙トレイ19に全枚数排紙したか判断し(S112)、記録用紙Sを排紙トレイ19に全枚数排紙した場合(S112:YES)、排紙制御処理を終了する。
【0047】
具体的には、S111において、CPU50は、排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sの枚数を検出する枚数検出センサ58が、排紙トレイ19上の記録用紙Sの1枚増えたことを検知した場合、排紙枚数Nに1加算してRAM51に記憶する。また、給紙トレイ5から記録用紙Sの搬送を始めてから排紙トレイ19に排紙されるまでの所定の時間が経過した場合にも同様にする。
【0048】
また、記録用紙Sを排紙トレイ19に全枚数排紙したかの判断は(S112)、RAM51に記憶されている指定枚数Mと、排紙枚数Nとを比較して、指定枚数Mと排紙枚数Nとが一致したときに、記録用紙Sを排紙トレイ19に全枚数排紙したと判断する(S112:YES)。
【0049】
一方、CPU50は、記録用紙Sが排紙トレイ19に1枚排紙されていない場合(S111:NO)、指定枚数Mと排紙枚数Nとが一致せず、記録用紙Sが排紙トレイ19に全枚数排紙されていないと判断した場合(S112:NO)、S102に戻る。
【0050】
(第1の実施形態の効果)
CPU50は、機会付与条件を満たすと判断すると、排紙トレイ19に記録用紙Sを排紙する速度を遅するか、または、先に排紙される記録用紙Sと後に記録用紙Sとの排紙される間隔を広くするので、ユーザは記録用紙Sが排紙されている排紙トレイ19から、排紙された記録用紙Sを取り除きやすくなり、ユーザの利便性が増す。
【0051】
また、CPU50は、機会付与条件を満たすことを判断してから一定時間経過したら、低排紙処理の実行を取り消すので、低排紙処理が実行され続けることを防ぐこととなり、ユーザの利便性が増す。
【0052】
また、CPU50は、確実に低排紙処理を実行するので、ユーザの意図するタイミングで、ユーザが排紙トレイ19から記録用紙Sを取り除きやすくなり、ユーザの利便性が増す。
【0053】
また、CPU50は、前記低排紙処理実行中に再度キー36が押下された場合に、低排紙処理を実行する時間を延長するので、ユーザが急いで排紙トレイ19から記録用紙Sを取り除く必要がなくなり、ユーザが排紙トレイ19から記録用紙Sを取り除きやすくなる。
【0054】
(第2の実施形態)
図5は第2の実施形態における排紙制御処理の流れを示したフローチャートである。第2の実施形態における排紙制御処理について図5を参照しながら説明する。尚、第1の実施形態と同様の箇所については、適宜省略しながら説明する。
【0055】
まず、S102において、低排紙処理実行中でないと判断した場合(S102:NO)、CPU50は、排紙済み枚数Lが排紙トレイ19における記録用紙Sが所定枚数以上であるか(本発明の機会付与条件の一例)判断する(S201)。排紙トレイ19における記録用紙Sが所定枚数以上である場合(S201:YES)、低排紙処理を実行する(S104)。一方、排紙済み枚数Lが排紙トレイ19における記録用紙Sが所定枚数以上でない場合(S201:YES)、S111に進む。
【0056】
具体的には、CPU50は、排紙済み枚数Lが、排紙トレイ19における記録用紙Sの最大積載枚数に近い枚数、例えば最大積載枚数の9割に当たる枚数である場合(本発明の機会付与条件の一例)、機会付与フラグを「0」から「1」に書き換え、RAM51に記憶する。
【0057】
次に、CPU50は、排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sを取り除かれていないと判断した場合(S108:NO)、未排紙の記録用紙Sの枚数と排紙済み枚数Lとの和が最大積載枚数を超えず、未排紙の排紙枚数が所定枚数以下(本発明の解除指令の一例)か判断する(S202)。未排紙の排紙枚数が所定枚数以下である場合(S202:YES)、低排紙処理の実行を解除し(S109)、未排紙の排紙枚数が所定枚数以下でない場合(S202:YES)、S111に進む。
【0058】
S202において、例えば、排紙トレイ19の最大積載量を超えずに、あと5枚で排紙トレイ19への記録用紙Sの排紙が終わるときは、CPU50がRAM51に記憶されている機会付与フラグに「0」を記憶させる。尚、記録用紙Sの未排紙の排紙枚数は、指定枚数Mから排紙枚数Nの差を取ったもので、これから排紙トレイ19に排紙される記録用紙Sの枚数を表している。
【0059】
(第2の実施形態の効果)
CPU50は、排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sの積載量が所定積載量以上であるときは、間もなく排紙トレイ19が記録用紙Sでいっぱいになるため、低排紙処理を実行するので、ユーザが排紙トレイ19から記録用紙Sを取り除く可能性が高くなり、ユーザの利便性が増す。
【0060】
また、CPU50は、排紙トレイ19に未排紙の記録用紙Sの量が所定未排紙量以下であるときは低排紙処理の実行を取り消すので、早く排紙トレイ19への記録用紙Sの排紙を完了されることとなり、ユーザの利便性が増す。
【0061】
また、CPU50は、排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sが取り除かれると、低排紙処理の実行を取り消すので、排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sが取り除かれた後、排紙トレイ19に排紙された記録用紙Sの排紙の完了までにかかる時間が抑制されることとなり、ユーザの利便性が増す。
【0062】
(その他の実施形態)
(1)第1の実施形態では、レーザプリンタと読取装置とが複合された複合電子写真装置の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、インクジェットプリンタ、LEDプリンタ、ファクシミリ装置、印刷機あるいは他の機能を複合した複合機などの各種の画像形成装置に適用することが可能である。
(2)第1の実施形態では、キー36が押下されることにより、タイマー計測を開始し、タイマー計測中に、機会付与を再度検知した場合には、所定時間に延長時間を追加していたが、キー36が複数回押下されることにより、低排紙処理の排紙能力をさらに低下させてもよい。これにより、ユーザのキー36の押下回数のより段階的に、ユーザが排紙能力を調節できるので、ユーザの利便性が増す。
(3)第2の実施形態では、CPU50は、排紙済み枚数Lが、排紙トレイ19における記録用紙Sの最大積載枚数に近い枚数である場合、低排紙処理を実行していたが、未排紙の記録用紙Sの枚数と排紙済み枚数Lとの和が最大積載枚数を超えるという条件も満たしたときに、低排紙処理を実行してもよい。排紙トレイ19の最大積載枚数を超える枚数が排紙トレイ19に排紙されるときに低排紙処理を実行されるので、排紙トレイ19が最大積載枚数に達する時間が長くなり、排紙トレイ19の記録用紙Sが最大積載枚数に達するまでに、ユーザが記録用紙Sを取り除く可能性が大きくなる。
(4)第1の実施形態では、キー36が押下された場合には(S103:YES)、低排紙処理を実行し(S104)、また第2の実施形態では、排紙トレイ19における記録用紙Sが所定枚数以上である場合(S201:YES)、低排紙処理を実行する(S104)実施形態であった。しかし、排紙トレイ19における記録用紙Sが所定枚数以上である場合(S201:YES)に、キー36が押下されると(S103:YES)、低排紙処理を実行する(S104)実施形態であってもよい。これにより、低排紙処理の実行をする必要がない時期にキー36が押下されても低排紙処理が実行されなくなり、ユーザの利便性が増す。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成部
4 給紙ローラ
18 排紙ローラ
19 排紙トレイ
35 操作面
100 複合電子写真装置
S 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排紙部から被記録媒体を除去する機会を付与する条件である機会付与条件を満たすか判断する判断部と、
前記判断部が前記機会付与条件を満たすと判断すると、被記録媒体を前記排紙部に排紙する速度を遅くすること、及び、前記排紙部に先に排紙される被記録媒体と、前記排紙部に後に排紙される被記録媒体との間隔を広げることの少なくとも一方による低排紙処理を実行する実行部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記実行部は、前記判断部が前記機会付与条件を満たすことを判断してから一定時間経過すると、前記低排紙処理の実行を取り消すことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記実行部は、前記排紙部に未排紙の被記録媒体の量が所定未排紙量以下であると、前記低排紙処理の実行を取り消すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記実行部は、前記排紙部に排紙された被記録媒体が取り除かれると、前記低排紙処理の実行を取り消すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判断は、前記排紙部に排紙された被記録媒体の量が所定積載量以上であること、及び、入力部から入力されることのうち少なくとも一方を満たすか判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記低排紙処理実行中に、入力部から前記機会付与条件を満たす入力がされるか判断し、
前記実行部は、前記判断部が前記機会付与条件を満たすと判断すると、前記低排紙処理を実行する時間を延長する延長処理を実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−48012(P2012−48012A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190626(P2010−190626)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】