説明

画像形成装置

【課題】安価な構成で占有面積を小さくすることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録紙に画像形成を行い、画像形成後の記録紙を装置本体2の操作側に排出する画像形成装置1において、排出された記録紙が貯容される貯容部を有する排紙部材14と、装置本体2に取り付けられ排紙部材14を支持する曲折形成された支持部材13とを有し、中サイズの記録紙が排出される際には支持部材13の一方の面を装置本体2に取り付け、大サイズの記録紙が排出される際には支持部材13の他方の面を装置本体2に取り付ける構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置の排紙トレイの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の大型の画像形成装置では、画像形成された記録紙のサイズに応じて記録紙の排出口を切り替えるものが知られている。この場合に、小サイズの記録紙は装置本体の胴内に排出し大サイズの記録紙は装置本体の後側から排出することが一般的であり、これは大サイズの記録紙では胴内に排紙するにはスペースが足りず記録紙をスタックすることができないためである。しかし、装置本体の後側に排出する場合には装置本体の後に大きなスペースが必要となり、装置占有面積が大きくなってしまうという問題点がある。そこで、小サイズから大サイズまでの記録紙を同じ胴内のスタック部にスタックすべく、モータによる駆動を用いたワイヤによってスタック部の大きさを変化させる技術が、例えば「特許文献1」に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし「特許文献1」に開示された技術では、大掛かりで複雑なスタッカ機構が必要となり装置がコストアップしてしまうという問題点がある。
本発明は上述の問題点を解決し、安価な構成で占有面積を小さくすることが可能な画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、記録紙に画像形成を行い、画像形成後の記録紙を装置本体の操作側に排出する画像形成装置において、排出された記録紙が貯容される貯容部を有する排紙部材と、前記装置本体に取り付けられ前記排紙部材を支持する曲折形成された支持部材とを有し、中サイズの記録紙が排出される際には前記支持部材の一方の面を前記装置本体に取り付け、大サイズの記録紙が排出される際には前記支持部材の他方の面を前記装置本体に取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、操作側に排出された大サイズの記録紙は支持部材に載置され、支持部材の斜面上を通り装置前面に垂れ下がるように貯容部にスタックされるので、安価な構成で画像形成装置の占有面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態を適用可能な画像形成装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いられる支持部材の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に用いられる排紙部材の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態における中サイズ記録紙の排紙態様を説明する概略図である。
【図5】本発明の一実施形態における中サイズ記録紙の排紙態様を説明する概略図である。
【図6】本発明の一実施形態における大サイズ記録紙の排紙態様を説明する概略図である。
【図7】本発明の一実施形態における大サイズ記録紙の排紙態様を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の一実施形態が適用可能な画像形成装置を示している。同図において画像形成装置1は、その装置本体2の内部に像担持体である感光体ドラム3を有しており、感光体ドラム3の周囲には感光体ドラム3の表面を除電する図示しない除電装置、感光体ドラム3の表面を一様に帯電する図示しない帯電装置、レーザ光による光書き込みを行って感光体ドラム3の帯電部分に静電潜像を形成する図示しない露光装置、形成された静電潜像を現像する現像装置4、転写後の感光体ドラム3の表面をクリーニングするクリーニング装置5が配設されている。
【0008】
感光体ドラム3の下方には感光体ドラム3上に形成されたトナー像を記録紙に転写する転写手段6が配設されており、転写手段6の右方には記録紙上に転写された転写画像を定着する定着手段7が配設されている。装置本体2の下方には、内部に記録紙ロールを収納した引き出し部としての給紙トレイ8及びこれと同様に構成された給紙トレイ9が配設されている。
【0009】
上述した構成の画像形成装置1において、図示しないスタートキーが押下されて画像形成動作が開始されると、感光体ドラム3が回転して感光体ドラム3上にトナー像が形成される。一方、給紙カセット8または給紙カセット9から記録紙が給送され、給送された記録紙はレジストローラ対10に突き当てられて一時停止される。そして、感光体ドラム3上のトナー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対10が回転し、記録紙が感光体ドラム3と転写手段6との間に送り込まれ、送り込まれた記録紙には転写手段6の作用によってトナー画像が転写される。画像転写時において記録紙は予め設定されたサイズに応じて図示しない切断手段により切断され、画像が転写され所定のサイズに切断された記録紙は定着手段7へと送られる。定着手段7へと送られた記録紙は熱と圧力との作用により転写画像を定着された後、小サイズ(例えばA3サイズまで)の記録紙は胴内排紙されて排紙トレイ11上に排出され、中サイズ(例えばA2サイズまで)や大サイズ(例えばA0サイズまで)の記録紙は装置本体2の後側に設けられた大サイズ用排紙トレイ12に排出される。
【0010】
上述の構成では、中サイズ及び大サイズの記録紙は装置本体2の後側に設けられた大サイズ用排紙トレイ12に排出されるため、装置本体2の後側に記録紙取り出し用のスペースを設ける必要が生じ、画像形成装置1の設置スペースが大きくなってしまう。そこで中サイズ及び大サイズの記録紙を胴内排紙して排紙トレイ11上に排出しようとすると、スペースが足りずに記録紙が落下してしまいスタックができないという問題点がある。本発明はこのような問題点を解決し、大サイズの記録紙を装置前面側である操作側に排出することが可能な構成を提案するものである。以下、詳細に説明する。
【0011】
図2は本発明の一実施形態に用いられる支持部材を示しており、図3は本発明の一実施形態に用いられる排紙部材を示している。図2において支持部材13は曲折された板状を呈しており、装置本体2に取り付けられる取付部13aと排紙部材14を支持する支持部13bとを有している。取付部13aには、装置本体2に取り付けられる図示しない段付ねじの頭部が貫通可能な穴部と頭部が貫通不可であり首部が通過可能な溝部とを有する一対の取付穴13cと、取付穴13cとは穴部及び溝部の向きが逆に形成された取付穴13dとが設けられており、支持部13bには排紙部材14を支持するための支持穴13eが4箇所設けられている。排紙部材14は、記録紙が貯容される貯容部14a、貯容部14aの両端部から延出した一対の棒状部材からなる延出部14b、各延出部14bの先端を曲折することにより形成された係止部14cを有している。
【0012】
上述した支持部材13の取付部13aを、曲折された支持部13bが装置本体2側に向く態様となるように、図2において裏面側である一方の面を装置本体2の前面側板に段付ねじによって固定し(図4参照)、支持穴13eの何れかの1対に係止部14cを係合させて図5に示す状態とする。この構成により、胴内排紙され操作側の排紙トレイ11上に排出された中サイズの記録紙は、排紙トレイ11上を滑走して支持部材13に載置され、支持部材13の斜面上を通り装置前面に垂れ下がるように貯容部14aにスタックされるので、大サイズ用排紙トレイ12を使用することがなく装置本体2の後側にスペースを必要とせず、安価な構成で画像形成装置1の占有面積を小さくすることができる。また、係止部14cを係合させる支持穴13eの位置を変更することにより、小範囲のサイズ変更にも対応することができる。
【0013】
さらに上述の構成でも対応できない(スタックできない)大サイズの記録紙の場合には、取付部13aの図2において表面側である他方の面を装置本体2の前面側板に支持部13bが下向きとなる態様で段付ねじによって固定し(図6参照)、支持穴13eの何れかの1対に係止部14cを係合させて図7に示す状態とする。この構成により、胴内排紙され操作側の排紙トレイ11上に排出された大サイズの記録紙は、排紙トレイ11上を滑走して支持部材13に落下し、支持部材13の斜面上を通り装置前面に垂れ下がるように貯容部14aにスタックされるので、安価な構成で画像形成装置1の占有面積を小さくすることができる。また、係止部14cを係合させる支持穴13eの位置を変更することにより、小範囲のサイズ変更にも対応することができる。
【0014】
なお上述の構成では、排紙トレイ11上を滑走した記録紙の先端が排紙トレイ11の下方に設けられた手差しトレイ15上に落下して支持部材13上に落下せず、スタックできないという不具合が発生する虞がある。そこで図6に示すように、記録紙の先端が手差しトレイ15に落下することを防止するための一対のガイド板16を設けることが望ましい。これにより記録紙を良好にスタックすることができる。
【0015】
また、図4に示す状態では支持部材13が手差し給紙部である手差しトレイ15に干渉し、手差し給紙を行うことができない。この場合には、図7に示す態様で支持部材13及び排紙部材14を取り付けることにより、支持部材13が手差しトレイ15に干渉せずに手差し給紙を行うことが可能となる。また、図6に示す状態では支持部材13が給紙トレイ8に干渉し、給紙トレイ8を引き出すことができない。この場合には、図5に示す状態で支持部材13及び排紙部材14を取り付けることにより、支持部材13が給紙トレイ8に干渉せずに給紙トレイ8を引き出すことが可能となる。なおこの場合には、スタック可能な記録紙のサイズに注意が必要である。
【0016】
図4に示す構成では、支持部材13の支持部13bが手差しトレイ15上にかかり装置本体2の設置スペース内に収まるので、支持部材13が装置本体2よりはみ出さずに設置スペースの拡大が防止できる。また、上記実施形態では支持部材13を装置本体2に固定する手段として図示しない段付ねじを使用しているので、装置本体2に対する支持部材13の取り付けを容易に行うことができ、作業効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 画像形成装置
2 装置本体
8 引き出し部(給紙トレイ)
13 支持部材
14 排紙部材
14a 貯容部
15 手差し給紙部(手差しトレイ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2006−36368号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に画像形成を行い、画像形成後の記録紙を装置本体の操作側に排出する画像形成装置において、
排出された記録紙が貯容される貯容部を有する排紙部材と、前記装置本体に取り付けられ前記排紙部材を支持する曲折形成された支持部材とを有し、中サイズの記録紙が排出される際には前記支持部材の一方の面を前記装置本体に取り付け、大サイズの記録紙が排出される際には前記支持部材の他方の面を前記装置本体に取り付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
手差し給紙部を有し、前記支持部材の何れか一面を前記装置本体に取り付けた際に前記手差し給紙部と前記支持部材とが干渉せず、前記手差し給紙部からの給紙が可能となることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記装置本体より引き出し可能な引き出し部を有し、前記支持部材の何れか一面を前記装置本体に取り付けた際に前記引き出し部と前記支持部材とが干渉せず、前記装置本体からの前記引き出し部の引き出しが可能となることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記支持部材の何れか一面を前記装置本体に取り付けた際に前記支持部材が前記装置本体の設置スペース内に収まることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記支持部材は前記排紙部材を支持する部位を複数有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記支持部材は段付ねじによって前記排紙部材を支持することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−109100(P2013−109100A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252992(P2011−252992)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】