説明

画像形成装置

【課題】エラーが発生した機能プログラムを速やかに実行可能な状態に戻すことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置では、主制御部110は、機能プログラムに基づいて動作している最中に、監視プログラムに基づき、機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスにエラーが発生したか否かを監視し、複数種のプロセスのうちのいずれかにエラーが発生したことを検知したとき、エラーが発生したプロセスについては復帰処理を行う一方、エラーが発生していないプロセスについては復帰処理を行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、プリント機能、コピー機能、スキャナ機能およびファックス機能などのうちの少なくとも1つの機能を有する装置が知られている。たとえば、特許文献1には、プリント機能を有する画像形成装置が開示されている。この特許文献1の画像形成装置では、装置本体にホストコンピューターが接続されている。そして、ホストコンピューターから送信された画像データに基づき、印刷を行うようになっている(プリント機能)。
【0003】
また、特許文献1の画像形成装置においては、プリント機能を実現するためのプリントプログラム(機能プログラム)が記憶部に記憶されている。そして、制御部は、プリントプログラムに基づいて動作し、プリント機能に必要な各部(たとえば、プリンタエンジンなど)の駆動を制御する。
【0004】
ここで、特許文献1の画像形成装置では、プリントプログラムの実行中にエラーが発生した場合、エラーの発生から一定時間が経過した後、装置全体の再起動を自動的に行うことによって、発生したエラーを解消するようにしている。これにより、エラーが発生した状態のままで長時間が経過するのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−183228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、装置全体を再起動するということは、プリントプログラムの実行に必要な複数種のプロセスの全てについて復帰処理を行うということなので、プリントプログラムを実行可能にするまでに時間がかかってしまう。言い換えると、エラーが発生した機能プログラムを速やかに実行可能な状態に戻すのが困難である。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、エラーが発生した機能プログラムを速やかに実行可能な状態に戻すことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、その画像形成装置が有する機能を実現するための機能プログラム、および、機能プログラムのエラー発生状況を監視するための監視プログラム、を記憶する記憶部と、機能プログラムおよび監視プログラムに基づいて動作する制御部と、を備えている。そして、制御部は、機能プログラムに基づいて動作している最中に、監視プログラムに基づき、機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスにエラーが発生したか否かを監視し、複数種のプロセスのうちのいずれかにエラーが発生したことを検知したとき、エラーが発生したプロセスについては復帰処理を行う一方、エラーが発生していないプロセスについては復帰処理を行わない。なお、画像形成装置が有する機能としては、たとえば、プリント機能、コピー機能、スキャナ機能およびファックス機能などがある。
【0009】
本発明の構成によると、制御部は、機能プログラムに基づいて動作している最中に、監視プログラムに基づき、機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスにエラーが発生したか否かを監視し、複数種のプロセスのうちのいずれかにエラーが発生したことを検知したとき、エラーが発生したプロセスについては復帰処理を行う一方、エラーが発生していないプロセス(復帰処理を行う必要のない正常なプロセス)については復帰処理を行わない。このようになっていれば、実行中の機能プログラムにエラーが発生したときに、その機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスの全てについて復帰処理を行う場合に比べて、復帰処理を行うプロセスが少なくなるので、復帰処理にかかる時間を短縮することができる。その結果、エラーが発生した機能プログラムを速やかに実行可能な状態に戻すことが可能となる。
【0010】
上記した構成において、より好ましくは、画像形成装置が複数の機能を有しているとともに、複数の機能をそれぞれ実現するための複数の機能プログラムを記憶部が記憶しており、制御部は、複数の機能プログラムのうちのいずれかにエラーが発生したことを検知したとき、エラーが発生した機能プログラム以外の機能プログラムについては実行可能に保持する。このようにすれば、エラーが発生した機能プログラムの復帰処理を行っている期間に、エラーが発生した機能プログラムに対応する機能についてはユーザーに使用させることができないが、その他の機能プログラムに対応する機能についてはユーザーに使用させることができる。このため、ユーザーからすると、利便性が良い。
【0011】
上記した構成において、好ましくは、装置状態を表示する表示部をさらに備え、制御部は、機能プログラムにエラーが発生したことを検知したとき、機能プログラムにエラーが発生したことを示すエラー情報を表示部に表示させる。このようにすれば、容易に、実行中の機能プログラムにエラーが発生したときに、そのエラーが発生した機能プログラムに対応する機能が使用不可能状態になっていることをユーザーに認識させることができる。
【0012】
上記した構成において、好ましくは、複数の機能プログラムが並行して実行され、1つの機能プログラムのエラーが他の機能プログラムにまで波及するとき、制御部は、複数の機能プログラムの全ての再起動を自動的に行う。このようにすれば、エラーが発生したままで長時間が経過することはない。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、エラーが発生した機能プログラムを速やかに実行可能な状態に戻すことが可能な画像形成装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像形成装置(複合機)の概略図
【図2】本発明の画像形成装置(複合機)の操作パネル(表示部)を示した平面図
【図3】本発明の画像形成装置(複合機)の画像形成部を示した概略図
【図4】本発明の画像形成装置(複合機)のハードウェア構成を示したブロック図
【図5】本発明の画像形成装置(複合機)の記憶部に格納された機能プログラムの種類を説明するための図
【図6】本発明の画像形成装置(複合機)の動作(複数の機能プログラムのうちのいずれかの機能プログラムの実行中にエラーが発生したときの動作)を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による画像形成装置としての複合機100の全体構成について説明する。
【0016】
本実施形態の画像形成装置としての複合機100は、たとえば、タンデム方式のカラー複合機であり、プリント機能、コピー機能、スキャナ機能およびファックス機能などの複数の機能を有する。そして、これら複数の機能を実行するため、複合機100は、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部(給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108)などを備える。
【0017】
操作パネル101は、たとえば、図1中の破線で示された箇所に配置される。また、操作パネル101は、図2に示すように、液晶表示部11を有する。この液晶表示部11には、各種設定などを行うためのメニューおよびキーが表示されるとともに、装置状態などを示すメッセージも表示される。そして、ユーザーは、液晶表示部11に表示されたキーを押下することで、各種設定などを行うことができる。なお、液晶表示部11には、液晶表示部11に表示されたキーがユーザーによって押下されたときに、その押下位置の座標を検出するためのタッチパネルが設けられている。
【0018】
また、操作パネル101には、テンキー12やスタートキー13などのハードキーが設けられている。テンキー12は、ユーザーが数字入力を行うためのハードキーである。スタートキー13は、各種機能の実行指示をユーザーから受け付けるためのハードキーである。
【0019】
さらに、操作パネル101には、コピーキー14、送信キー15およびボックスキー16などのハードキーも設けられている。そして、コピーキー14がユーザーによって押下されると、コピー機能を利用する上で必要なキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。送信キー15がユーザーによって押下されると、スキャナ機能やファックス機能を利用する上で必要なキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。ボックスキー16がユーザーによって押下されると、ボックス機能を利用する上で必要なキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。なお、ボックス機能とは、ボックスと呼ばれる所定の保存領域(たとえば、後述する記憶部113に設けられたフォルダ)に画像データなどを保存しておく機能である。
【0020】
図1に戻って、画像読取部102は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。画像読取部102には、図示しないが、露光ランプ、ミラー、レンズおよびイメージセンサーなどの光学系部材が設けられている。この画像読取部102は、載置読取用コンタクトガラス21に載置される原稿にビームを照射し、その原稿の反射ビームを受けたイメージセンサーの各画素の出力値をA/D変換することにより、画像データを生成する。これにより、複合機100は、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データに基づき、印刷を行うことができる(コピー機能)。なお、画像読取部102による原稿の読み取り時には、載置用コンタクトガラス21に載置された原稿を原稿カバー22で押えるようになっている。
【0021】
給紙部103は、記録媒体としての用紙Pを収容するとともに、用紙Pを搬送路104に供給する。この給紙部103には、収容された用紙Pを引き出すピックアップローラー31や、用紙Pの重送を抑制するための分離ローラー32などが設けられている。
【0022】
搬送路104は、複合機100の内部において用紙Pを搬送するものである。具体的に言うと、給紙部103から供給された用紙Pは、搬送路104によって、中間転写部106および定着部107をこの順番で通過して排出トレイ109に導かれる。この搬送路104には、用紙Pを中間転写部106の手前で待機させ、タイミングを合わせて中間転写部106に送り出すレジストローラー41などが設けられている。
【0023】
画像形成部105は、画像データに基づいてトナー像を形成するものであって、4色分の画像形成部50(ブラックのトナー像を形成する画像形成部50Bk、イエローのトナー像を形成する画像形成部50Y、シアンのトナー像を形成する画像形成部50C、および、マゼンダのトナー像を形成する画像形成部50M)と、露光装置5とを備えている。なお、画像形成部50Bk、50Y、50Cおよび50Mは、互いに異なる色のトナー像を形成するが、いずれも基本的に同様の構成である。したがって、以下の説明では、各色を表す符号(Bk、Y、CおよびM)を省略する。
【0024】
各画像形成部50のそれぞれは、図3に示すように、感光体ドラム1、帯電装置2、現像装置3および清掃装置4を含んでいる。
【0025】
各感光体ドラム1は、外周面にトナー像を担持するものであって、外周面に感光層を有するとともに、周方向に回転可能に支持されている。各帯電装置2は、対応する感光体ドラム1を一定の電位で帯電させる。各現像装置3は、対応する色の現像剤を収容し、対応する感光体ドラム1にトナーを供給する。各清掃装置4は、対応する感光体ドラム1の清掃を行う。そして、各感光体ドラム1の外周面は、露光装置5によって露光される。これにより、各感光体ドラム1の外周面に静電潜像が形成される。
【0026】
露光装置5は、図示しないが、半導体レーザー素子、ポリゴンミラー、ポリゴンモーター、Fθレンズおよび反射ミラーなどを含む。そして、これら露光装置5の構成部材は、各色の画像形成部50に対して1セットずつ設けられていてもよい。あるいは、半導体レーザー素子、Fθレンズおよび反射ミラーのみを各色の画像形成部50に対して1セットずつ設け、ポリゴンミラーおよびポリゴンモーターについては2色分(または、4色分)の画像形成部50で共用してもよい。
【0027】
図1に戻って、中間転写部106は、画像形成部105からトナー像の1次転写を受けた後、用紙Pに2次転写を行う。中間転写部106は、中間転写ベルト61と、各画像形成部50にそれぞれ割り当てられた1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mとを少なくとも含んでいる。1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mは、対応する画像形成部50(具体的には、感光体ドラム1)との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0028】
また、中間転写部106は、駆動ローラー63および従動ローラー64も含んでいる。そして、駆動ローラー63および従動ローラー64は、1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mと共に、中間転写ベルト61を張架している。このため、駆動ローラー63が回転駆動すると、中間転写ベルト61が循環移動する。
【0029】
さらに、中間転写部106は、2次転写ローラー65も含んでいる。この2次転写ローラー65は、駆動ローラー63との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0030】
そして、各画像形成部50で形成されたトナー像は、転写用電圧が印加された1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mにより、順次、ずれなく重畳して中間転写ベルト61に1次転写される。すなわち、中間転写ベルト61にフルカラートナー像が転写される。その後、中間転写ベルト61に1次転写されたトナー像は、転写用電圧が印加された2次転写ローラー65により、用紙Pに2次転写される。
【0031】
また、中間転写部106は、ベルト清掃装置66も含んでいる。そして、このベルト清掃装置66によって、中間転写ベルト61から用紙Pへのトナー像の2次転写の後、中間転写ベルト61の清掃が行われる。
【0032】
定着部107は、用紙Pに2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させるものである。この定着部107は、発熱源を内蔵する定着ローラー71と、定着ローラー71に圧接される加圧ローラー72とを含んでいる。そして、トナー像が2次転写された用紙Pは、定着ローラー71と加圧ローラー72との間を通過することで、加熱・加圧される。これにより、用紙Pにトナー像が定着される。
【0033】
そして、用紙Pは、定着部107を通過した後、排出トレイ109に排出される。これによって、画像形成処理が完了する。
【0034】
また、両面搬送路108は、両面印刷を可能とするものである。この両面搬送路108は、定着部107の下流側おいて搬送路104と分岐し、レジストローラー41の上流側において搬送路104と合流している。そして、両面搬送路108には、搬送路104との分岐点に配置された切替爪81、排出トレイ109に繋がる排出口109aに配置されているとともに正逆回転の切り換えが可能な排出ローラー82、および、用紙Pを搬送する搬送ローラー83などが設けられている。
【0035】
両面印刷を行う場合、切替爪81は、両面搬送路108を閉じるポジションとなり、定着部107から送られた用紙Pを排出トレイ109に導く。また、排出ローラー82は、ひとまず、正回転して用紙Pを排出トレイ109に排出する。この後、排出ローラー82は、用紙Pが排出ローラー82を通過しきる前に逆回転する。このとき、切替爪81は、両面搬送路108を開く方向に回動する。これにより、片面印刷された用紙Pは、両面搬送路108に導かれる。
【0036】
両面搬送路108に導かれた用紙Pは、搬送ローラー83により搬送され、レジストローラー41の上流側に至る。そして、再び、中間転写部106から定着部107へと送られる。このときには、用紙Pの表裏が逆転しているので、用紙Pの裏面(未印刷面)に対して、2次転写処理および定着処理がなされる。そして、両面印刷が終わった用紙Pは、排出トレイ109に排出される。
【0037】
次に、図4を参照して、複合機100のハードウェア構成について説明する。
【0038】
画像形成装置100は、主制御部110を有する。この主制御部110は、中央演算処理装置であるCPU111や画像処理部112などを含む。また、主制御部110は、操作パネル101、画像読取部102、給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108などと接続されており、後述する記憶部113に記憶されたプログラムやデータに基づいて各部の制御や演算を行う。なお、主制御部110は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、画像形成や各種回転体を回転させるモーターのオン/オフを制御するエンジン制御部とに分割されていてもよい。
【0039】
主制御部110に接続される操作パネル101は、表示制御部17を有する。この表示制御部17は、CPUやICなどからなり、液晶表示部11の表示を制御する。また、表示制御部17は、液晶表示部11(タッチパネル)に表示されたキーがユーザーによって押下されると、タッチパネルの出力を受けて押下位置の座標を特定する。これにより、液晶表示部11に対してユーザーが押下した位置(選択したキー)が特定される。なお、タッチパネルの出力と押下位置の座標との対応を示すテーブルなどのデータは、たとえば、メモリ18に記憶される。また、このメモリ18に、コピー機能、スキャナ機能、ファックス機能およびボックス機能などの各機能を利用する上で必要なキーやメッセージなどを液晶表示部11に表示するためのデータが記憶されていてもよい。
【0040】
また、主制御部110は、通信部114と接続される。通信部114は、たとえば、外部のコンピューター200とネットワーク(あるいは、ケーブル)を介して通信を行うための通信インターフェイスである。これにより、複合機100は、コンピューター200から送信された画像データに基づき、印刷を行うことができる(プリント機能)。また、複合機100は、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データをコンピューター200に送信することもできる(スキャナ機能)。さらに、たとえば、通信部114にモデムなどを内蔵してもよく、この場合、複合機100は、電話回線などのネットワークを介して、外部のファックス装置300とファックス通信を行うことができる(ファックス機能)。
【0041】
また、主制御部110は、記憶部113と接続される。記憶部113は、ROM113a、RAM113bおよびHDD113cなどの揮発性の記憶装置と不揮発性の記憶装置とを含む。そして、記憶部113には各種のプログラムやデータなどが記憶される。たとえば、各種のプログラムやデータは、ROM113aに記憶され、RAM113bに展開される。
【0042】
記憶部113には、図5に示すように、複合機100が有する複数の機能を実現するための機能プログラムが記憶されている。機能プログラムとしては、一例を挙げると、ネットワークプログラムP1、プリントプログラムP2、スキャナプログラムP3およびボックスプログラムP4などである。
【0043】
たとえば、ネットワークプログラムP1は、通信部114の制御を主制御部110に行わせ、外部機器との間の通信を実現するためのプログラムである。すなわち、外部機器との間の通信を伴う機能の実現に際して、主制御部110および通信部114は、ネットワークプログラムP1に基づき、ネットワークプログラムP1の実行に必要な複数種のプロセスを実行する。なお、ネットワークプログラムP1の実行に必要な複数種のプロセスとは、たとえば、初期化処理、プロセス立ち上げ処理および通信確立処理などである。
【0044】
プリントプログラムP2は、画像形成部105を含むエンジン部の制御を主制御部110に行わせ、印刷を伴う機能を実現するためのプログラムである。すなわち、印刷を伴う機能の実現に際して、主制御部110およびエンジン部は、プリントプログラムP2に基づき、プリントプログラムP2の実行に必要な複数種のプロセスを実行する。
【0045】
スキャナプログラムP3は、画像読取部102の制御を主制御部110に行わせ、原稿の読み取りを伴う機能を実現するためのプログラムである。すなわち、原稿の読み取りを伴う機能の実現に際して、主制御部110および画像読取部102は、スキャナプログラムP3に基づき、スキャナプログラムP3の実行に必要な複数種のプロセスを実行する。
【0046】
ボックスプログラムP4は、通信部114による受信動作や画像読取部102による原稿の読み取り動作などによって得られた画像データを記憶部113の所定の保存領域(ボックス)に記憶させるプログラムである。
【0047】
なお、上記した各種機能を実現する上で、画像データに対する画像処理が必要であるため、画像処理部112に画像処理を行わせるための画像処理プログラムP5が機能プログラムとして記憶部113に記憶されていてもよい。
【0048】
たとえば、コピー機能は、スキャナプログラムP3およびプリントプログラムP2との組み合わせで実現される。プリント機能は、ネットワークプログラムP1とプリントプログラムP2との組み合わせで実現される。スキャナ機能は、スキャンにより得られた画像データを外部機器に送信する場合には、スキャナプログラムP3およびネットワークプログラムP1との組み合わせで実現され、スキャンにより得られた画像データを蓄積する場合には、スキャナプログラムP3およびボックスプログラムP4との組み合わせで実現される。ファックス機能は、ネットワークプログラムP1に、必要に応じて、スキャナプログラムP3やボックスプログラムP4を組み合わせて実現される。
【0049】
上記のような構成において、実行中の機能プログラムにエラーが発生した場合、エラーが発生した機能プログラムを正常に戻すには、複合機100そのものを再起動させるのが一般的である。また、別の方法として、複合機100そのものを再起動させるのではなくて、エラーが発生した機能プログラムのみを再起動させる(エラーが発生した機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスの全てについて復帰処理する)ことも考えられる。ただし、これら2つの方法では、以下のような不都合が生じる。
【0050】
たとえば、ネットワークプログラムP1の実行中にエラーが発生したとする。この場合には、外部機器との間の通信を伴う機能(たとえば、ファックス機能)は使用できなくなるが、少なくともコピー機能は使用可能である。しかし、上記した前者の方法、すなわち、複合機100そのものを再起動させるという方法を採用すると、コピー機能は使用可能であったにもかかわらず、複合機100の再起動が完了するまでコピー機能が使用できなくなってしまう。すなわち、機能の一部は問題がないのに、機能の全部について再起動がなされる。
【0051】
また、上記した後者の方法、すなわち、ネットワークプログラムP1のみを再起動するという方法を採用すると、複合機100そのものを再起動させるわけではないので、少なくともコピー機能は使用可能のまま保持される。しかし、外部機器との間の通信を伴う機能(たとえば、ファックス機能)については、ネットワークプログラムP1の実行に必要な複数種のプロセスの全てを復帰処理しなければならないので、使用可能になるまでに時間がかかってしまう。
【0052】
そこで、本実施形態では、実行中の機能プログラム(複数種のプロセス)を監視するための監視プログラムP5を記憶部113に格納している。そして、主制御部110は、所定の機能プログラムに基づいて動作している最中に、監視プログラムP5に基づき、所定の機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスを監視している。具体的には、主制御部110は、監視プログラムP5に基づき、所定の機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスにエラーが発生したか否かを監視し、複数種のプロセスのうちのいずれかにエラーが発生したことを検知したとき、エラーが発生したプロセスについては復帰処理を行う一方、エラーが発生していないプロセスについては復帰処理を行わない。
【0053】
すなわち、本実施形態では、所定の機能プログラムの実行時にエラーが発生したとき、複合機100そのものの再起動はせず、所定の機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスのうちのエラーが発生したプロセスについてのみ復帰処理を行う。したがって、所定の機能プログラムに対応した機能以外の機能については使用可能のまま保持される。これに加えて、所定の機能プログラムに対応する機能については、所定の機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスの全てを復帰処理する場合に比べて、使用可能になるまでにかかる時間が短縮される。
【0054】
次に、図6のフローチャートを参照して、複数の機能プログラムのうちのいずれかの機能プログラムの実行中にエラーが発生したときの動作について説明する。
【0055】
まず、複数の機能プログラムのうちのいずれかの機能プログラムの実行中において、実行中の機能プログラムにエラーが発生することによってその機能プログラムが停止し、エラーの発生を監視プログラムP5に基づいて動作する主制御部110が検知したとき、図6のフローがスタートする。
【0056】
具体的には、コンピューター200から画像データを送信して印刷する処理(プリント機能)、画像読取部102で読み取った原稿に基づいた画像データを印刷する処理(コピー機能)、画像読取部102で読み取った原稿に基づいた画像データをコンピューター200に送信したり記憶部113に蓄積したりする処理(スキャナ機能)、または、コンピューター200やファックス装置300との間で画像データなどを送受信する処理(ファックス機能などの外部機器との間の通信を伴う機能)などを行っている最中に、実行中の機能プログラムにエラーが発生することによってその機能プログラムが停止し、エラーの発生を監視プログラムP5に基づいて動作する主制御部110が検知したとき、図6のフローがスタートする。
【0057】
なお、実行中の機能プログラムにエラーが発生しなければ、図6のフローはスタートせず、実行中の機能プログラムに応じた処理が中断なく行われる。
【0058】
監視プログラムP5に基づいて動作する主制御部110が実行中の機能プログラムにエラーが発生した(実行中の機能プログラムが停止した)ことを検知すると、ステップS1において、主制御部110は、操作パネル101に対して、実行中の機能プログラムにエラーが発生したことを示すエラー情報を表示させる。たとえば、操作パネル101は、「実行中の機能プログラムにエラーが発生しています」といったようなメッセージを表示する。すなわち、ここでは、ユーザーが使用している機能にエラーが発生したことをユーザーに対して認識させる。
【0059】
ステップS2において、主制御部110は、監視プログラムP5に基づき、停止した機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスのうちのエラーが発生したプロセスの復帰処理を行う。このとき、エラーが発生していないプロセスについては、復帰処理を行わない。すなわち、停止した機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスの全てについて復帰処理を行うわけではない。したがって、エラーが発生していないプロセスは、実行可能なまま保持される。なお、1つのプロセスに発生したエラーに起因して複数のプロセスにエラーが発生したとき、主制御部110は、エラーが発生した全てのプロセスについて復帰処理を行う。
【0060】
さらに、このとき、主制御部110は、停止した機能プログラム以外の機能プログラムを実行可能に保持する。すなわち、仮に、停止した機能プログラムの復帰処理中に、停止した機能プログラム以外の所定の機能プログラムの実行指示を主制御部110が受け付けると、主制御部110は、所定の機能プログラムに基づいて動作する。たとえば、ネットワークプログラムP1の実行中にエラーが発生し、ネットワークプログラムP1について復帰処理がなされている最中に、コピー機能を実現する機能プログラム(スキャナプログラムP3およびプリントプログラムP2)の実行指示を主制御部110が受け付けたとする。この場合、主制御部110は、スキャナプログラムP3およびプリントプログラムP2に基づき、画像読取部102やエンジン部にコピー動作を行わせる。
【0061】
ステップS3において、主制御部110は、監視プログラムP5に基づき、発生したエラーが解消したか否かを判断する。そして、発生したエラーが解消し、停止した機能プログラムが復帰して実行可能な状態に戻れば、ステップS4に移行する。ステップS4に移行すると、操作パネル101は、エラー情報の表示を停止する。
【0062】
一方で、たとえば、複数の機能プログラムを並行して実行しているとき(たとえば、プリント機能の実現に際して、ネットワークプログラムP1とプリントプログラムP2とを並行して実行しているとき)などでは、1つの機能プログラムのエラーが他の機能プログラムにまで波及する(たとえば、画像データの受信時のエラーが画像形成に及ぶ)場合がある。このような場合には、システム全体にエラーが発生した状態となり、特定のプロセスについて復帰処理を行ったとしても、エラーが解消されないことがある。したがって、このときには、ステップS5に移行する。
【0063】
ステップS5に移行すると、主制御部110は、システム全体の再起動を自動的に行うことによって、エラーを解消する。すなわち、複数の機能プログラムが並行して実行され、1つの機能プログラムが他の機能プログラムにまで波及するとき、主制御部110は、複数の機能プログラムの全ての再起動を自動的に行う。あるいは、システム全体の再起動をユーザーに対して促す情報を操作パネル101に表示し、ユーザーの操作に基づいてシステム全体の再起動が行われてもよい。
【0064】
本実施形態では、上記のように、主制御部110(制御部)は、機能プログラムに基づいて動作している最中に、監視プログラムに基づき、機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスにエラーが発生したか否かを監視し、複数種のプロセスのうちのいずれかにエラーが発生したことを検知したとき、エラーが発生したプロセスについては復帰処理を行う一方、エラーが発生していないプロセス(復帰処理を行う必要のない正常なプロセス)については復帰処理を行わない。このようになっていれば、実行中の機能プログラムにエラーが発生したときに、その機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスの全てについて復帰処理を行う場合に比べて、復帰処理を行うプロセスが少なくなるので、復帰処理にかかる時間を短縮することができる。その結果、エラーが発生した機能プログラムを速やかに実行可能な状態に戻すことが可能となる。
【0065】
また、本実施形態では、主制御部110は、複数の機能プログラムのうちのいずれかにエラーが発生していることを検知したとき、エラーが発生した機能プログラム以外の機能プログラムを実行可能に保持する。このようにすれば、エラーが発生した機能プログラムの復帰処理を行っている期間に、エラーが発生した機能プログラムに対応する機能についてはユーザーに使用させることができないが、その他の機能プログラムに対応する機能についてはユーザーに使用させることができる。このため、ユーザーからすると、利便性が良い。
【0066】
また、本実施形態では、主制御部110は、機能プログラムにエラーが発生していることを検知したとき、機能プログラムにエラーが発生していることを示すエラー情報を操作パネル101(表示部)に表示させる。このようにすれば、容易に、実行中の機能プログラムにエラーが発生したときに、そのエラーが発生した機能プログラムに対応する機能が使用不可能状態になっていることをユーザーに認識させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、複数の機能プログラムが並行して実行され、1つの機能プログラムのエラーが他の機能プログラムにまで波及するとき、主制御部110は、複数の機能プログラムの全ての再起動を自動的に行う。このようにすれば、エラーが発生したままで長時間が経過することはない。
【0068】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0069】
100 複合機(画像形成装置)
101 操作パネル(表示部)
110 主制御部(制御部)
113 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置が有する機能を実現するための機能プログラム、および、前記機能プログラムのエラー発生状況を監視するための監視プログラム、を記憶する記憶部と、
前記機能プログラムおよび前記監視プログラムに基づいて動作する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記機能プログラムに基づいて動作している最中に、前記監視プログラムに基づき、前記機能プログラムの実行に必要な複数種のプロセスにエラーが発生したか否かを監視し、前記複数種のプロセスのうちのいずれかにエラーが発生したことを検知したとき、エラーが発生したプロセスについては復帰処理を行う一方、エラーが発生していないプロセスについては復帰処理を行わないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置が複数の機能を有しているとともに、前記複数の機能をそれぞれ実現するための複数の機能プログラムを前記記憶部が記憶しており、
前記制御部は、前記複数の機能プログラムのうちのいずれかにエラーが発生したことを検知したとき、エラーが発生した機能プログラム以外の機能プログラムについては実行可能に保持することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置状態を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記機能プログラムにエラーが発生したことを検知したとき、前記機能プログラムにエラーが発生したことを示すエラー情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の前記機能プログラムが並行して実行され、1つの機能プログラムのエラーが他の機能プログラムにまで波及するとき、前記制御部は、前記複数の機能プログラムの全ての再起動を自動的に行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−11677(P2013−11677A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143142(P2011−143142)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】