説明

画像形成装置

【課題】画像の色ずれを抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、現像剤像が形成される4つの感光体ドラム41と、各感光体ドラム41から転写された現像剤像を用紙に転写する中間転写ドラム45と、複数のレーザ光を出射し、各レーザ光が対応する1つの感光体ドラム41の表面を露光する露光装置5とを備える。露光装置5には、各レーザ光が通過する複数の開口50Aが設けられている。複数の感光体ドラム41は、中間転写ドラム45の回転軸45Cを通る基準面PLを基準として対称となるように中間転写ドラム45の周面に沿って並んで配置されている。基準面PLを基準として対称に配置された2つの感光体ドラム412,413(または411,414)の表面から当該感光体ドラム41を露光するレーザ光L2,L3(またはL1,L4)が通過する開口50Aまでのレーザ光の光路は、基準面PLを基準として対称である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写ドラムを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、その周面上に複数の感光体ドラムが配置され、各感光体ドラムから転写された現像剤像を用紙に転写する1つのドラム状の中間転写体を備えた画像形成装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された画像形成装置は、レーザスキャナユニットから出力されたレーザ光により感光体ドラムの表面を露光することで、感光体ドラム上に静電潜像を形成し、この静電潜像に現像カートリッジから現像剤を供給することで、感光体ドラム上に現像剤像を形成している。そして、各感光体ドラム上の現像剤像を中間転写体を介して用紙に転写することで、用紙に画像を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−250346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の画像形成装置は、レーザスキャナユニット(露光手段)の各レーザ光の出射口から、対応する感光体ドラムの表面までの距離が異なっていた。そのため、例えば、露光手段のケーシングなどが温度変化などにより歪んだ場合、レンズやミラーなどの位置のずれの影響が感光体ドラムによって異なることになるので、用紙に形成された画像に色ずれが生じやすくなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、画像の色ずれを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、現像剤像が形成される4つ以上の偶数個の感光体ドラムと、各感光体ドラムから転写された現像剤像を記録シートに転写する中間転写ドラムと、複数のレーザ光を出射し、各レーザ光が対応する1つの感光体ドラムの表面を露光する露光手段とを備えている。
露光手段には、各レーザ光が通過する複数の開口が設けられている。
複数の感光体ドラムは、中間転写ドラムの回転軸を通る基準面を基準として対称となるように中間転写ドラムの周面に沿って並んで配置されている。
画像形成装置は、基準面を基準として対称に配置された2つの感光体ドラムの表面から当該感光体ドラムを露光するレーザ光が通過する開口までのレーザ光の光路が、基準面を基準として対称である。
【0008】
このような構成によれば、基準面を基準として露光手段を対称に形成、配置することが可能となるので、露光手段のケーシングなどが温度変化などにより歪んだ場合であっても、レンズやミラーなどの位置のずれの影響を各感光体ドラムの間で均一化することができる。これにより、記録シートに形成される画像の色ずれを抑制することができる。
【0009】
前記した画像形成装置は、基準面から遠くに配置された感光体ドラムに対応する光路ほど光路長が長い構成とすることができる。
【0010】
前記した各画像形成装置において、露光手段は、レーザ光を出射する複数の光源と、光源から出射されたレーザ光を反射して偏向する1つの偏向器と、偏向器を駆動させる1つのモータとを有する構成とすることができる。
この場合、モータの回転軸は、基準面上に配置されていることが好ましい。
【0011】
偏向器を駆動させるモータは、その駆動により熱が発生するため露光手段のケーシングなどの歪みの原因となる可能性がある。そこで、モータの回転軸を基準面上に配置することで、基準面を基準として露光手段を対称に形成、配置しやすくできるので、歪みの影響をより均一化することが可能となる。これにより、画像の色ずれをより抑制することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置において、露光手段は、レーザ光を出射する少なくとも2つの第1光源と、レーザ光を出射する少なくとも2つの第2光源と、第1光源から出射されたレーザ光を反射して偏向する第1偏向器と、第2光源から出射されたレーザ光を反射して偏向する第2偏向器と、第1偏向器を駆動させる第1モータと、第2偏向器を駆動させる第2モータとを有する構成とすることができる。
この場合、第1モータの回転軸と第2モータの回転軸は、基準面を基準として対称に配置されていることが好ましい。
【0013】
このような構成によっても、基準面を基準として露光手段を対称に形成、配置しやすくできるので、歪みの影響をより均一化することが可能となり、画像の色ずれをより抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、露光手段を基準面を基準として対称に形成、配置することが可能となるので、露光手段の温度変化などによる歪みの影響を均一化することができ、記録シートに形成される画像の色ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る画像形成部の拡大図である。
【図3】露光装置の平面図である。
【図4】第2実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図5】第2実施形態に係る画像形成部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の概略構成を簡単に説明し、その後、本発明の特徴部分に係るカラープリンタ1(画像形成部4)の詳細な構成について説明する。
【0017】
また、以下の説明において、方向は、カラープリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0018】
<カラープリンタの概略構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体筐体2と、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、供給された用紙Sに画像を形成する画像形成部4とを主に備えている。
【0019】
給紙部3は、用紙Sが載置される給紙トレイ31と、用紙Sを給紙トレイ31から画像形成部4に供給する給紙機構32とを主に備えている。給紙トレイ31は、下端部を中心として本体筐体2に対して揺動可能に支持されており、使用しないときには収納位置(鎖線参照)に収納可能に構成されている。給紙トレイ31に載置された用紙Sは、給紙機構32によって1枚ずつ分離されて画像形成部4(中間転写ドラム45と転写ローラ46の間)に供給される。
【0020】
画像形成部4は、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色に対応した4つの感光体ドラム41、帯電ユニット42および現像ユニット44と、露光手段の一例としての露光装置5と、中間転写ドラム45と、転写ローラ46と、定着ユニット47とを主に備えて構成されている。
【0021】
感光体ドラム41は、帯電ユニット42による帯電の後、露光装置5によって露光されることで表面に静電潜像が形成されるドラム状の感光体であり、中間転写ドラム45の上部で中間転写ドラム45の周面に沿って並んで配置されている。
【0022】
帯電ユニット42は、感光体ドラム41の表面を一様に帯電させる帯電ローラ(符号省略)を有しており、各感光体ドラム41に対応して1つずつ設けられ、対応する感光体ドラム41の前斜め上方に配置されている。なお、本発明において、帯電ユニット42は、帯電ローラを有する構成に限定されず、例えば、スコロトロン型帯電器やコロトロン型帯電器、鋸歯帯電器などを有する構成であってもよい。
【0023】
露光装置5は、破線で示す画像データに基づく複数のレーザ光を出射し、各レーザ光が対応する1つの感光体ドラム41の表面を高速走査することで、帯電後の感光体ドラム41の表面を露光する装置であり、本体筐体2内の上部(感光体ドラム41の上方)に1つ設けられている。露光装置5の詳細な構成や配置については後述する。
【0024】
現像ユニット44は、感光体ドラム41上の静電潜像に現像剤としてのトナーを供給することで感光体ドラム41上にトナー像(現像剤像)を形成するユニットであり、各感光体ドラム41に対応して1つずつ設けられ、対応する感光体ドラム41の後斜め上方に配置されている。各現像ユニット44は、それぞれ、符号を省略して示す現像ローラや、図示しない供給ローラ、層厚規制ブレード、そして、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのいずれかのトナーが収容されるトナー収容部などを備えている。
【0025】
中間転写ドラム45は、各感光体ドラム41からトナー像が転写されるドラム状の中間転写体である。
転写ローラ46は、転写バイアスが印加されることで中間転写ドラム45上のトナー像を引き寄せ、中間転写ドラム45との間を搬送される用紙Sに転写するローラであり、中間転写ドラム45の後斜め下方に配置されている。
【0026】
定着ユニット47は、用紙S上に転写されたトナー像を用紙Sに熱定着するためのユニットであり、符号を省略して示す、加熱ローラと、加熱ローラと対向配置されて加熱ローラを押圧する加圧ローラとを主に備えている。
【0027】
以上のように構成された画像形成部4では、感光体ドラム41の表面が、帯電ユニット42により一様に帯電された後、露光装置5からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム41上に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体ドラム41の表面に現像ユニット44からトナーが供給されることで、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム41上にトナー像が形成される。
【0028】
各感光体ドラム41上に形成された各色のトナー像は、中間転写ドラム45上に順次重ね合わせて転写される。そして、給紙部3から搬送された用紙Sが、中間転写ドラム45と転写ローラ46との間を搬送されることで、中間転写ドラム45上のトナー像が用紙Sに転写される。トナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラと加圧ローラの間を搬送されることでトナー像が熱定着される。
【0029】
トナー像が熱定着された用紙Sは、本体筐体2内に設けられた搬送ローラ23および排出ローラ24によって本体筐体2内から外部に排出され、排紙トレイ22上に載置される。
【0030】
<カラープリンタの詳細構成>
カラープリンタ1は、本発明に特に関連する構成として、図2に示すように、4つの感光体ドラム41と、中間転写ドラム45と、露光装置5とを備えている。
【0031】
感光体ドラム41(411〜414)は、本体筐体2内において、中間転写ドラム45の回転軸45Cを通る基準面PLを挟んで前後に2つずつ配置されている。さらに、基準面PLに近い2つの感光体ドラム412,413は、基準面PLを基準として対称となるように配置され、基準面PLから遠い2つの感光体ドラム411,414は、基準面PLを基準として対称となるように配置されている。
【0032】
図2,3に示すように、露光装置5は、ケーシング50と、複数の光源の一例としての4つの半導体レーザ51と、コリメートレンズ52と、反射鏡53,57と、シリンドリカルレンズ54,58と、偏向器の一例としてのポリゴンミラー55と、fθレンズ56とを主に有して構成されている。
【0033】
図3に示すように、半導体レーザ51(511〜514)は、レーザ光L1〜L4を出射する公知の素子である。半導体レーザ512,513は、左右方向においてポリゴンミラー55と対向して配置されており、半導体レーザ511,514は、前後方向において互いに向かい合った状態で、出射するレーザ光L1,L4が、レーザ光L2,L3に対して略直交するように配置されている。
【0034】
コリメートレンズ52は、半導体レーザ51からのレーザ光L1〜L4を集光して光束に変換するレンズであり、各半導体レーザ51に対応してレーザ光L1〜L4の進行方向下流側に1つずつ設けられている。なお、本発明において、コリメートレンズ52によって変換されて得られた光束は、平行光、収束光および発散光のいずれであってもよい。
【0035】
反射鏡53は、レーザ光L1,L4をポリゴンミラー55に向けて反射するミラーであり、半導体レーザ511,514の間に配置されている。なお、レーザ光L2,L3は、それぞれ、反射鏡53の上を通過してポリゴンミラー55に入射される。
【0036】
シリンドリカルレンズ54は、ポリゴンミラー55の面倒れを補正するため、レーザ光L1〜L4を屈折させて副走査方向に収束し、ポリゴンミラー55の反射面上で主走査方向に長い線状に結像させるレンズである。このシリンドリカルレンズ54は、半導体レーザ512,513とポリゴンミラー55との間に配置されている。
【0037】
ポリゴンミラー55は、回転軸55Aから等距離に設けられた6つの反射面を有しており、ポリゴンモータ55M(図2参照)により反射面が回転軸55Aを中心に一定速度で回転駆動することで、半導体レーザ51から出射されたレーザ光L1〜L4を反射して主走査方向に偏向する。このポリゴンミラー55は、ケーシング50の前後方向における中央付近に配置されている。
【0038】
fθレンズ56は、ポリゴンミラー55によって等角速度で走査されたレーザ光L1〜L4を感光体ドラム41の表面で主走査方向に等速度で走査するように変換するレンズであり、ポリゴンミラー55の前後に1つずつ設けられている。
【0039】
図2に示すように、反射鏡57は、fθレンズ56を通過したレーザ光L1〜L4を感光体ドラム41に向けて反射するミラーであり、ケーシング50内の適宜な位置にそれぞれ配置されている。
【0040】
シリンドリカルレンズ58は、ポリゴンミラー55の面倒れを補正するため、レーザ光L1〜L4を屈折させて副走査方向に収束し、感光体ドラム41の表面上に結像させるレンズである。このシリンドリカルレンズ58は、レーザ光L1〜L4の進行方向におけるfθレンズ56の下流側で、4つの感光体ドラム41に対応して1つずつ設けられている。
【0041】
ケーシング50は、半導体レーザ51やポリゴンミラー55などを支持する略箱状の部材である。このケーシング50の底壁には、感光体ドラム41に向かう各レーザ光L1〜L4が通過する左右方向に長い略矩形状の4つの開口50Aが設けられている。
【0042】
以上のように構成された露光装置5では、図3に示すように、半導体レーザ51から出射されたレーザ光L1,L4は、コリメートレンズ52を通過し、反射鏡53で反射されて進路をポリゴンミラー55に向けた後、シリンドリカルレンズ54を通過して、ポリゴンミラー55で主走査方向に偏向される。また、レーザ光L2,L3は、コリメートレンズ52およびシリンドリカルレンズ54を通過して、ポリゴンミラー55で主走査方向に偏向される。
【0043】
そして、図2に示すように、ポリゴンミラー55で偏向されたレーザ光L1〜L4は、fθレンズ56を通過した後、反射鏡57で反射されたり、シリンドリカルレンズ58を通過したりした後、開口50Aを通過して感光体ドラム41の表面で高速走査される。これにより、感光体ドラム41の表面が露光され、感光体ドラム41の表面に静電潜像が形成されることとなる。
【0044】
このような露光装置5は、本体筐体2内において、ポリゴンモータ55Mの回転軸55Aが、基準面PL上に配置されている。
【0045】
そして、基準面PLを基準として対称に配置された2つの感光体ドラム412,413の表面から、感光体ドラム412,413を露光するレーザ光L2,L3が通過する開口50Aの下縁部までのレーザ光L2,L3の光路は、基準面PLを基準として対称となっている。同様に、基準面PLを基準として対称に配置された2つの感光体ドラム411,414の表面から、レーザ光L1,L4が通過する開口50Aの下縁部までのレーザ光L1,L4の光路は、基準面PLを基準として対称となっている。
【0046】
さらに述べると、本実施形態においては、基準面PLから遠くに配置された感光体ドラム411,414に対応する光路の開口50Aの下縁部から各感光体ドラム411,414の表面までの光路長は、基準面PLの近くに配置された感光体ドラム412,413に対応する光路の開口50Aの下縁部から各感光体ドラム412,413の表面までの光路長よりも長くなっている。
【0047】
なお、本実施形態において、露光装置5は、各光学部品が、ポリゴンモータ55Mの回転軸55Aを通る面、すなわち、基準面PLを基準として、図2の前後方向において互いに対称となるようにそれぞれ配置されている。具体的には、例えば、半導体レーザ511と半導体レーザ514とが基準面PLを基準として対称に配置され、前後のfθレンズ56が基準面PLを基準として対称に配置され、レーザ光L1,L2を反射する反射鏡57の群とレーザ光L3,L4を反射する反射鏡57の群とが基準面PLを基準として対称に配置されている。ちなみに、ケーシング50についても基準面PLを基準として対称に形成されることが望ましく、露光装置5が基準面PLを基準として対称に形成されることがさらに望ましい。
【0048】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
各開口50Aの下縁部から対称に配置された感光体ドラム412,413(または411,414)の表面までのレーザ光L2,L3(またはL1,L4)の光路が基準面PLを基準として対称であるので、基準面PLを基準として露光装置5を対称に形成、配置することが可能となる。これにより、例えば、ケーシング50などが温度変化などにより歪んだ場合であっても、各レンズ54,56などや反射鏡53,57などの位置のずれの影響を各感光体ドラム41の間で均一化することができるので、用紙Sに形成される画像の色ずれを抑制することができる。
【0049】
特に、本実施形態では、ケーシング50の歪みの原因となりうる熱が発生するポリゴンモータ55Mの回転軸55Aを基準面PL上に配置しているので、基準面PLを基準として露光装置5を対称に形成、配置しやすくすることができる。これにより、歪みの影響をより均一化することが可能となるので、画像の色ずれをより抑制することができる。
【0050】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態では、前記した第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0051】
図4に示すように、本実施形態のカラープリンタ1’は、本体筐体2と、給紙部3と、画像形成部4とを主に備えている。そして、画像形成部4は、4つの感光体ドラム41、帯電ユニット42および現像ユニット44と、露光手段の他の例としての2つの露光装置5’と、中間転写ドラム45と、転写ローラ46と、定着ユニット47とを主に備えて構成されている。
【0052】
図5に示すように、本実施形態においても、基準面PLに近い2つの感光体ドラム412,413は、基準面PLを基準として対称となるように配置され、基準面PLから遠い2つの感光体ドラム411,414は、基準面PLを基準として対称となるように配置されている。
【0053】
図5および図3を参考にして説明すると、各露光装置5’は、それぞれ、ケーシング50’と、複数の第1光源(第2光源)の一例としての2つの半導体レーザ51(512,513)と、2つのコリメートレンズ52と、シリンドリカルレンズ54,58と、第1偏向器(第2偏向器)の一例としてのポリゴンミラー55と、fθレンズ56と、反射鏡57とを主に有して構成されている。
【0054】
言い換えると、各露光装置5’は、図3に示す、半導体レーザ511,514と、半導体レーザ511,514に対応する2つのコリメートレンズ52と、反射鏡53を備えないような構成となっている。
【0055】
図5に示すように、各露光装置5’のケーシング50’の底壁には、それぞれ、感光体ドラム41に向かう各レーザ光L1〜L4が通過する左右方向に長い略矩形状の開口50Aが2つずつ設けられている。
【0056】
このような2つの露光装置5’は、本体筐体2内において、一方のポリゴンモータ55M(第1モータ)の回転軸55Aと、他方のポリゴンモータ55M(第2モータ)の回転軸55Aが、基準面PLを基準として対称に配置されている。
【0057】
そして、前記第1実施形態と同様に、2つの感光体ドラム412,413の表面からレーザ光L2,L3が通過する開口50Aの下縁部までのレーザ光L2,L3の光路は、基準面PLを基準として対称となっており、2つの感光体ドラム411,414の表面から、レーザ光L1,L4が通過する開口50Aの下縁部までのレーザ光L1,L4の光路は、基準面PLを基準として対称となっている。
【0058】
また、本実施形態においても、基準面PLから遠くに配置された感光体ドラム411,414に対応する光路の開口50Aの下縁部から各感光体ドラム411,414の表面までの光路長は、基準面PLの近くに配置された感光体ドラム412,413に対応する光路の開口50Aの下縁部から各感光体ドラム412,413の表面までの光路長よりも長くなっている。
【0059】
なお、本実施形態において、2つの露光装置5’は、それぞれに設けられた各光学部品が、基準面PLを基準として、前後方向において互いに対称となるように配置されている。具体的には、例えば、前側の露光装置5’のfθレンズ56と後側の露光装置5’のfθレンズ56とが、基準面PLを基準として対称に配置されている。なお、2つの露光装置5’は、同一構造のものであることが望ましい。
【0060】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
基準面PLを基準として2つの露光装置5’を対称に形成、配置することが可能となるので、ケーシング50’などが温度変化などにより歪んだ場合であっても、各レンズ54,56などや反射鏡53,57などの位置のずれの影響を各感光体ドラム41の間で均一化することができる。これにより、用紙Sに形成される画像の色ずれを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、熱源となる2つのポリゴンモータ55Mの回転軸55Aを基準面PLを基準として対称に配置しているので、基準面PLを基準として2つの露光装置5’を対称に形成、配置しやすくすることができる。これにより、各ケーシング50’の歪みの影響を互いにより均一化することが可能となるので、画像の色ずれをより抑制することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0063】
前記実施形態では、4つの感光体ドラム41を備えるカラープリンタ1(画像形成装置)を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。言い換えると、本発明は、中間転写ドラムの周面に沿って並んで配置される4つ以上、偶数個の感光体ドラムを備える画像形成装置に適用することができる。従って、感光体ドラムは、例えば、6つであってもよいし、8つであってもよい。
【0064】
なお、例えば、感光体ドラムを6つ備えたときに前記第2実施形態の構成を採用した場合には、各露光装置5’は、それぞれ、半導体レーザ51を3つずつ有することになるし、感光体ドラムを8つ備えたときに前記第2実施形態の構成を採用した場合には、各露光装置5’は、それぞれ、半導体レーザ51を4つずつ有することになる。
【0065】
前記実施形態では、光源として、単一のレーザ光を出射する半導体レーザ51を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複数の発光点を有し、複数のレーザ光を出射する光源であってもよい。
【0066】
前記実施形態では、偏向器としてのポリゴンミラー55が6つの反射面を有していたが、本発明はこれに限定されず、例えば、反射面は4つであってもよい。また、前記実施形態では、偏向器として、回転駆動することでレーザ光を偏向するポリゴンミラー55を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、揺動駆動することでレーザ光を偏向する振動ミラーなどであってもよい。
【0067】
前記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ1(プリンタ)を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
【0068】
前記実施形態では、記録シートとして、いわゆる普通紙などの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 カラープリンタ
5 露光装置
41 感光体ドラム
45 中間転写ドラム
45C 回転軸
50 ケーシング
50A 開口
51 半導体レーザ
55 ポリゴンミラー
55A 回転軸
55M ポリゴンモータ
PL 基準面
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像が形成される4つ以上の偶数個の感光体ドラムと、
前記各感光体ドラムから転写された現像剤像を記録シートに転写する中間転写ドラムと、
複数のレーザ光を出射し、各レーザ光が対応する1つの前記感光体ドラムの表面を露光する露光手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記露光手段には、各レーザ光が通過する複数の開口が設けられており、
複数の前記感光体ドラムは、前記中間転写ドラムの回転軸を通る基準面を基準として対称となるように前記中間転写ドラムの周面に沿って並んで配置され、
前記基準面を基準として対称に配置された2つの感光体ドラムの表面から当該感光体ドラムを露光するレーザ光が通過する前記開口までのレーザ光の光路は、前記基準面を基準として対称であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記基準面から遠くに配置された感光体ドラムに対応する前記光路ほど光路長が長いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記露光手段は、レーザ光を出射する複数の光源と、前記光源から出射されたレーザ光を反射して偏向する1つの偏向器と、前記偏向器を駆動させる1つのモータと、を有し、
前記モータの回転軸は、前記基準面上に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光手段は、レーザ光を出射する少なくとも2つの第1光源と、レーザ光を出射する少なくとも2つの第2光源と、前記第1光源から出射されたレーザ光を反射して偏向する第1偏向器と、前記第2光源から出射されたレーザ光を反射して偏向する第2偏向器と、前記第1偏向器を駆動させる第1モータと、前記第2偏向器を駆動させる第2モータと、を有し、
前記第1モータの回転軸と前記第2モータの回転軸は、前記基準面を基準として対称に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−45049(P2013−45049A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184538(P2011−184538)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】