説明

画像形成装置

【課題】コストダウン及び低消費電力化対応が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】実施形態において、ポリゴンを中心に、両側に2色分のレーザー走査系を位置するレーザー露光装置を含む画像形成装置は、ビーム検出手段と、露光手段と、を具備する。ビーム検出手段は、2色分のレーザー走査系のそれぞれにおいて、レーザー光の入射を検出する。露光手段は、前記ビーム検出手段が検出するビーム検出信号を、画像処理回路の主走査基準信号となる第一のビーム検出信号よりもタイミング的に先行する第二のビーム検出信号を基準として、レーザー光を画像信号で強度変調する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー光学系を用いる電子写真プロセスによる画像形成装置においては、LSU(Laser Scanning Unit/レーザスキャンユニット/露光装置)により、Y(イエロ/黄)、M(マゼンタ/鮮赤)、C(シアン/青紫)、K(ブラック/黒)の4色の画像データに対応する画像光を、ポリゴンにより走査し、走査方向と直交する方向に複数ライン分の走査を繰り返して、所定の大きさの画像を形成する。
【0003】
LSUを小型化するため、ポリゴンを中心として点対称となる位置に、2色ごとに区分した2つのレンズ系を用いるLSU(両振りLSU)が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−83485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のLSUが走査する1ラインあたりの画素数は、例えばA4サイズ長辺方向で、7500画素程度であり、1画素あたり8bitの濃度データをもつ場合は、1色につき、7500byte/ライン×3倍のメモリ容量が必要となる。
【0006】
一方、近年、コストダウンおよび低消費電力化対応が益々重要となっており、ASIC(Application Specific IC/特定用途向け集積回路)に搭載するメモリ容量を削減することが不可欠である。
【0007】
本発明の目的は、コストダウン及び低消費電力化対応が可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態において、ポリゴンを中心に、両側に2色分のレーザー走査系を位置するレーザー露光装置を含む画像形成装置は、ビーム検出手段と、露光手段と、を具備する。ビーム検出手段は、2色分のレーザー走査系のそれぞれにおいて、レーザー光の入射を検出する。露光手段は、前記ビーム検出手段が検出するビーム検出信号を、画像処理回路の主走査基準信号となる第一のビーム検出信号よりもタイミング的に先行する第二のビーム検出信号を基準として、レーザー光を画像信号で強度変調する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態の画像形成装置の一例を示す。
【図2】実施形態の画像形成装置が含む露光装置の一例を示す。
【図3】実施形態の画像形成装置における露光順とメモリ使用の一例を示す。
【図4】実施形態の画像形成装置における露光順とメモリ使用の一例を示す。
【図5】実施形態の画像形成装置における画像露光装置(レーザ露光回路)の一例を示す。
【図6】実施形態の画像形成装置における画像露光(露光タイミング)の一例を示す。
【図7】実施形態の画像形成装置における画像露光タイミング(制御信号)の一例を示す。
【図8】実施形態の画像形成装置における画像露光タイミング(制御信号)の一例を示す。
【図9】実施形態の画像形成装置における画像露光タイミング(制御信号)の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示す画像形成装置(MFP、Multi-Functional Peripheral,マルチファンクショナルプリフェラル)101は、出力すべき画像情報に対応する、例えば“プリントアウト”と称される印刷出力を出力する画像形成部本体1を含む。
【0012】
図1に示すMFP101は、画像形成部本体1に対して画像出力に用いられる任意サイズのシートを供給する用紙供給部3、画像形成部本体1において画像形成される対象である画像情報を、画像情報を保持した読み取り対象物(以下原稿と称する)から画像データとして取り込む画像読取部(スキャナ)5を含む。なお、画像読取部5には、自動原稿搬送装置(ADF)7が付属してもよい。また、画像読取部5は、画像形成装置101と、直接接続されてもよいし、LAN(Local Area Network)等の通信網を介して接続されてもよい。なお、画像形成部本体1への画像形成の開始の指示、画像読取部5による原稿画像の読取開始の指示等を与える制御パネル9が、画像形成部本体1に固定された柱とスイングアームにより、画像読取部5の左側または右側の後方に位置する。また、用紙供給部3は、2以上のシート保持機構すなわちカセット31を含む。
【0013】
画像形成部本体1は、潜像を保持する第1〜第4の感光体ドラム11a〜11d、感光体ドラム11a〜11dが保持する潜像に現像剤、すなわちトナーを供給して現像する現像装置13a〜13d、感光体ドラム11a〜11dが保持するトナーの像を順に保持する転写ベルト15、感光体ドラム11a〜11dに残るトナーを個々の感光体ドラム11a〜11dから取り除く第1〜第4のクリーナー17a〜17d、転写ベルト15が保持するトナー像を普通紙あるいはOHPシートのような透明な樹脂シートであるシートに転写する転写ローラ19、転写ローラ19がシートに転写したトナー像をシートに定着する定着装置21、及び感光体ドラム11a〜11dに潜像を形成する露光装置23、等を含む。
【0014】
画像形成装置101はまた、画像形成部本体1の動作及び各ステーションにおける画像出力のための画像処理、あるいは操作パネル9からの操作入力の受けつけ等の制御を受け持つ制御ブロック111を有する。
【0015】
なお、制御ブロック111は、主制御装置であるCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Main Processing Unit)及び主記憶装置(メインメモリまたはワークメモリ、記憶部(storage section))を、一体に(ファームウエアとして)あるいは外部ユニットとして、有する。また、例えば主記憶装置は、印刷出力のための画像データをRIP処理(Raster Image Processに従うページ単位の画像信号に展開)し、画像形成部本体1の各ステーションに、色成分毎の画像信号として出力する。
【0016】
制御ブロック111はまた、操作部9と接続し、ユーザからの操作入力を受けつけ、入力に対応する制御コマンドを(制御ブロックに)出力するとともに、操作部9が含む表示部に、ユーザに対する案内やエラーメッセージ等を表示する。
【0017】
図1に示す画像形成装置101においては、第1〜第4の現像装置13a〜13dは、減法混色によりカラー画像を得るために用いるY(イエロ/黄)、M(マゼンタ/鮮赤)、C(シアン/青紫)およびK(ブラック/黒K)の任意の色のトナーを収容し、感光体ドラム11a〜11dのそれぞれが保持する潜像を、Y、M、CおよびKのいずれかの色で可視化する。各色の順は、画像形成プロセスや、とトナーの特性に応じて、所定の順に決定する。
【0018】
転写ベルト15は、第1〜第4の感光体ドラム11a〜11dおよび対応する現像装置13a〜13dが形成した各色のトナー像を、トナー像の形成の順に保持する。
【0019】
用紙供給部3は、トナー像が移動するためのシートを、所定のタイミングで転写ローラ19に供給する。
【0020】
個々のカセットスロットに位置するカセット31は、任意のサイズのシートを収容し、画像形成部本体1における画像形成動作に応じ、ピックアップローラ33が対応するカセットからシートを取り出す。シートのサイズは、画像形成に際して要求のある倍率および画像形成部本体1が形成するトナー像の大きさに対応する。
【0021】
分離機構35は、ピックアップローラ33がカセットから取り出すシートが2枚以上になることを阻止する。
【0022】
複数の搬送ローラ37は、分離機構35が1枚に分離したシートをアライニングローラ39に向けて送る。
【0023】
アライニングローラ39は、転写ローラ19が転写ベルト15からトナー像を転写するタイミングに合わせて、シートを転写ローラ19と転写ベルト15が接する転写位置に送る。
【0024】
定着装置21は、ヒータ129からの熱により発熱する第一ローラ121、第一ローラ121から熱を受け取り、第二ローラ123と第一ローラ121とに掛け渡され、第一ローラ121の熱を第二ローラ123側へ移動するベルト127、ベルト127と接してベルト127との間を移動するシートに所定の圧力を提供する第三ローラ125を含む。
【0025】
ベルト127の任意の一部と第三ローラ125の外周は、第二ローラ123と第三ローラ125とに印加される圧力により、ニップを形成する。これにより、ニップを通過するシートに、シートが保持するトナー(トナー像)を固定可能に、所定の圧力及びトナーを溶融することのできる温度(定着温度)が印加される。
【0026】
定着装置21は、トナー像をシートに定着し、画像出力(ハードコピー、またはプリントアウト)として、画像読取部5と画像形成部本体1との間の空間に位置するストック部47に送る。
【0027】
定着装置21は、ストック部47に画像出力を移動する動作と独立に、画像情報に対応するトナー像を保持したシートの表裏を反転する自動多重ユニット(ADU,Automatic Duplex Unit)41の反転パス43に移動する反転ローラ49を含む。
【0028】
ADU41は、画像形成部本体1において、最終(転写ローラ19寄り)の搬送ローラ37とアライニングローラ39との間あるいはアライニングローラ39と定着装置21あるいは転写ローラ19と定着装置21との間に、シートが詰まった場合(ジャムしたとき)、側方(右側)へ移動する。ADU41は、転写ローラ19をクリーニングするクリーナー43を一体に有する。
【0029】
露光装置23は、図2に平面図を併記するが、1つのポリゴン23−1、Y、M、C及びKの画像データに対応して強度変調され、対応する感光体ドラム11a〜11dのそれぞれに、Y、M、C及びKのそれぞれの像を形成するためのレーザー光を出力する第1〜第4のレーザー素子23Y、23M、23C及び23K、ポリゴン23−1を中心として点対称に位置する(それぞれ2個の)第1及び第2のfθレンズ23−2、23−3、同第1及び第2のミラー23−4、23−5、ポリゴン23−1の回転方向に対して相対的に同じ位置に位置するBD(Beam Detect)センサー23−7L、23−7R及びポリゴン23−1が走査するレーザー光をBDセンサー23−7L、23−7Rに向けて反射するミラー23−6を含む。なお、図2において明らかであるが、例えばL側のBD検出はBDセンサー23−7LによりM色レーザー光で、R側のBD検出はBDセンサー23−7RによりC色レーザー光で、それぞれ検出するものとする。
【0030】
図2が示す通り、ポリゴン23−1が、例えばCCW(Counter Clock Wise)の向きに回転する場合、図2に示すレーザー素子の配列においては、レーザー素子23Yと23Mが出力する画像光(レーザー光)は、矢印Lの方向へ移動する。また、レーザー素子23Cと23Kが出力する画像光(レーザー光)は、矢印Rの方向へ移動する。すなわち、2群(2つ)のレーザー光は、互いに逆向きに移動する(2群(2つ)のレーザー光は、ポリゴン23−1の回転に起因して、逆向きに走査される)。
【0031】
なお、図2に示す例では、2つのBDセンサー23−7Lと23−7Rは、それぞれ2群(2つ)のレーザー光が移動する際の移動開始位置側に位置する。このとき、図6に一例ように、レーザー素子23Yと23Mからのレーザー光(LY/LM)がBDセンサー23−7Lに入射するタイミング及び主走査カウンタの出力タイミングと、レーザー素子23Cと23Kからのレーザー光(LC/LK)がBDセンサー23−7Rに入射するタイミング及び主走査カウンタの出力タイミングとは、それぞれのレーザー光が移動する向き(レーザー走査方向)を考慮しても、一致しない。
【0032】
例えば、BDセンサー23−7Lへのレーザー光LY(LM)が入射するタイミングとBDセンサー23−7Rへのレーザー光LC(LK)が入射するタイミングは、図6において[A]で示す時間だけ、ずれる。
【0033】
なお、図6において[B]で示す時間は、BDセンサー23−7Rへレーザー光LC(LK)が入射する時点(時刻)と画像域(シートの幅)との間の時間を示す。また、図6において[D]で示す時間は、BDセンサー23−7Rへレーザー光LC(LK)が入射する時点(時刻)とBDセンサー23−7Lへレーザー光LY(LM)が入射する時点(時刻)との間の時間を示す。
【0034】
ここで、それぞれの時間[A]、[B]、[D]は、図7及び図8による本実施形態において説明する時間要素、[A]、[B]、[D]と一致するものとする。
【0035】
図5に、本実施形態が適用可能な画像処理回路の一例を示す。
【0036】
図5に示す画像処理回路(ASIC(Application Specific IC/特定用途向け集積回路))131は、制御ブロック111が含む画像形成装置101側のCPU119と接続するCPU133を含む。
【0037】
ASIC131は、各回路用(例えば、画像処理A回路ブロック139A、画像処理B回路ブロック139B、画像処理C回路ブロック139C、画像処理D回路ブロック139D)のレジスタを持ち、CPU133により、それらのレジスタが読み書きできる。
【0038】
ASIC131は、例えば、
1)CPU I/Fブロック、画像形成装置101側の画像生成画像処理回路121や、前処理用画像処理ASIC等から画像データを受け取り、さらに必要となる様々な画像処理を行う
2)画像処理(A、B、C、D)回路ブロック139(A−D)、画像処理(A、B、C、D)回路ブロック139(A−D)等の動作に用いるクロックCLK(MCLK)を生成する
3)PLL部137、画像処理(A、B、C、D)回路ブロック139(A−D)から画像データを受け取り、レーザードライバー151(A−D)へ出力するために、クロックCLK.Mをレーザードライバー151(A−D)側からのクロックPCLKと乗せ換え処理を行う周波数変換機能、画像データの打ち出し(レーザー素子が出力するレーザー光を画像情報に従い、強度変調する際の変調開始)位置や、余白量等を調整する機能、さらには、主走査基準信号であるBD(Beam Detect)信号生成用信号や、レーザードライバー151(A−D)のキャリブレーション用信号を生成する機能を持つ
4)レーザー制御処理部(A、B、C、D)141(A−D)、レーザー制御用のPCLKを生成するPLL機能および、レーザー制御処理部から受け取った多値の画像データを、パルス幅変調したシリアルデータに変換する機能、BD信号基準に同期させてシリアル画像データを出力する機能、BD信号生成用信号がアクティブ期間にレーザーを発光させるために、シリアル画像データ出力をレーザー発光側論理(H)にする機能、等を有する
5)PLL/PWM部(A、B、C、D)147(A−D)、PLL/PWM部147(A−D)が受け取ったBD信号を基準に、主走査基準タイミングとして、PLL/PWM部から出力されるHSYNC信号(A、B、C、D)から1つを選択し、MCLK信号タイミングに乗せ換える機能を有する
6)制御信号選択部145
を含む。
【0039】
なお、ASIC131においては、制御信号選択回路145と、レーザー制御処部(A、B、C、D)141(A−D)が含む、周波数変換部/ラインメモリ切替信号選択回路(A、B、C、D)143(A−D)が、図3に示したように、1色当たり<A>、<B>2ライン分のメモリを有する。すなわち、図5に示す画像処理回路(ASIC)131は、1色当たりに必要なラインメモリを<A>、<B>2ライン分のみ有し、図4に示すような標準的な画像データ関連の制御に用いる3ライン分のメモリに比較して、低消費電力化を実現できるメモリ容量の削減を実現している。
【0040】
図7に、本実施形態における画像データ関連の制御に関連する信号の概要を示す。
【0041】
図7において、23−7L(BD−1(L))は、L側のBDセンサー23−7Lに入力するレーザー光LY(LM)に基づく主走査基準信号を示し、図5に説明する画像処理回路に出力する主走査基準信号(MHSYNC)の元となる信号である。同様に、23−7R(BD−1(R))は、R側のBDセンサー23−7Rに入力するレーザー光LC(LK)に基づく主走査基準信号を示す。
【0042】
メモリ切替(L/R)信号は、図3に示したメモリ切替信号に相当し、L側2色(Y,M)とR側2色(C,K)、つまり全色の周波数変換回路部のメモリ切替信号が共通信号であることを示している。
【0043】
HDEN−0(L/R)は、4色共通タイミングの図5に示す画像処理回路からの主走査方向の画像有効信号である。なお、VDEN−0(L/R)は、実際には、色ごとに出力されるタイミングは異なるが、ここでは周波数変換回路部の動作の概要を説明できればよいので、説明は省略する。
【0044】
DATA「7:0」(L)は、L側色の画像データを示し、DATA「7:0」(R)は、R側色の画像データを示す。
【0045】
OHDEN−0(L)は、周波数変換回路部から読み出したL側色の主走査画像データ有効信号で、ODATA「7:0」(L)が画像データを示す。
【0046】
OHDEN−0(R)は、周波数変換回路部から読み出したR側色の主走査画像データ有効信号で、ODATA「7:0」(R)が画像データを示す。
【0047】
OVDEN−0(L)は、L側色の副走査画像データ有効信号を示し、OVDEN−0(R)は、R側色の副走査画像データ有効信号を示す。
【0048】
図7においては、必要なメモリが2ライン分であるため、メモリ切替状態を示す数値が<1>か<2>のどちらしか無い点と、R側の画像データの読み出し完了タイミングが、メモリ切替タイミング前に来るように、光学設計している。このようなタイミングとなる両振りLSUを設計することにより、図3に示すように、両振りLSUにおいて使用するメモリを2ライン分にできる本実施形態の制御(モード)の利用が可能となる。
【0049】
すなわち、図7に示す制御を適用可能に、LSUを設計する(主として、L側のBDセンサー23−7Lへのレーザー光の入射タイミングとR側のBDセンサー23−7Rへのレーザー光の入射タイミングを実現するよう設計する)ことで、図3に示したような1色当たりに必要なラインメモリを<A>、<B>2ライン分とし、書き込みと読み出しを交互に行う動作(低消費電力化を実現できるメモリ容量の削減)を実現できる。
【0050】
図8は、図7に示すモードを使用した場合の本提案の画像データ関連の制御に関連する信号の概要を示す。
【0051】
図8に示す例と図7に示す例との違いは、図5に示す画処理基板回路側に渡す主走査基準信号に、R側BDセンサー23−7Rからの最初(1色めのレーザー光)の出力信号(先行)に続く後行(2色めのレーザー光)の出力信号を用いる点と、メモリ切替信号をL側とR側とで異ならせ、L側についてはL側BDセンサー23−7Lへのレーザー光の入力を基準とし、R側についてはR側BDセンサー23−7Rへのレーザー光の入力を基準として、切り替えている点である。
【0052】
また、画処理基板回路から転送される画像データは、後行のBDセンサー23−7Rの出力から先行のBDセンサー23−7Rの出力までの間に、出力するものとする(画像データに対応する画像信号を、2色めのレーザー光の入力を検出してから(次の)1色めのレーザー光の入力を検出するまでの間に出力する)。このような使い方ができる回路構成をもたせることで、2ライン分のメモリで、周波数変換を実現できる。
【0053】
すなわち、図7に示す制御を適用可能に、LSUを設計する(主として、L側のBDセンサー23−7Lへのレーザー光の入射タイミングとR側のBDセンサー23−7Rへのレーザー光の入射タイミングを実現するよう設計する)ことで、図3に示したような1色当たりに必要なラインメモリを<A>、<B>2ライン分とし、書き込みと読み出しを交互に行う動作(低消費電力化を実現できるメモリ容量の削減)を実現紙、さらに周波数変換を実現できる。
【0054】
図9に、図7(図8)により説明した本実施形態と比較のために、両振りLSUにおける標準的な画像データ関連の制御に関連する信号の概要を示す。なお、図7により説明したと同様に、23−7L(BD−1(L))は、L側のBDセンサー23−7Lに入力するレーザー光LY(LM)に基づく主走査基準信号を示し、図5に説明する画像処理回路に出力する主走査基準信号(MHSYNC)の元となる信号である。同様に、23−7R(BD−1(R))は、R側のBDセンサー23−7Rに入力するレーザー光LC(LK)に基づく主走査基準信号を示す。
【0055】
メモリ切替(L/R)信号は、図4に示したメモリ切替信号に相当し、L側2色(Y,M)とR側2色(C,K)、つまり全色の周波数変換回路部のメモリ切替信号が共通信号であることを示している。
【0056】
HDEN−0(L/R)は、4色共通タイミングの図5に示す画像処理回路基板からの主走査方向の画像有効信号である。なお、VDEN−0(L/R)は、実際には、色ごとに出力されるタイミングは異なるが、ここでは周波数変換回路部の動作の概要を説明できればよいので、説明は省略する。
【0057】
DATA「7:0」(L)は、L側色の画像データを示し、DATA「7:0」(R)は、R側色の画像データを示す。
【0058】
OHDEN−0(L)は、周波数変換回路部から読み出したL側色の主走査画像データ有効信号で、ODATA「7:0」(L)が画像データを示す。
【0059】
OHDEN−0(R)は、周波数変換回路部から読み出したR側色の主走査画像データ有効信号で、ODATA「7:0」(R)が画像データを示す。
【0060】
OVDEN−0(L)は、L側色の副走査画像データ有効信号を示し、OVDEN−0(R)は、R側色の副走査画像データ有効信号を示す。
【0061】
図9に示す標準的な画像データ関連の制御に関連する信号の概要においては、図7あるいは図8に示す本実施形態を適用しないことにより、1色当たりに必要なラインメモリは<a>、<b>、<c>3ライン分となる。すなわち、図9に示す例では、画像処理回路側の画像データは、先行するL側の23−7L(BD−1(L))信号基準で動作し、周波数変換回路部のメモリ切替タイミングが、この信号に同期している。そのため、L側の画像データ読み出しは、メモリ切替タイミングにかかわりなく実施できるが、後行の23−7R(BD−1(R))信号を基準で動作するR側の読み出しは、特別な光学設計を適用しない場合に、メモリ切替タイミングに掛かってしまうことになる。そのため、上述の通り、3ライン分のメモリが必要となる。
【0062】
このように、図5に示した画像処理回路131において、制御信号選択回路145と、レーザー制御処部(A、B、C、D)141(A−D)が含む、周波数変換部/ラインメモリ切替信号選択回路(A、B、C、D)143(A−D)を、図3に示したように、1色当たり<A>、<B>2ライン分のメモリを有する構成としたことにより、標準的な画像データ関連の制御に用いる3ライン分のメモリに比較して、低消費電力化を実現できるメモリ容量の削減を実現できる。
【0063】
すなわち、図9に示すような標準的なレーザー光学系を用いたY、M、C、Kを有するカラー画像形成装置において、LSUユニットを小型化するために、ポリゴン1つで2色ごと異なる2つのレンズ系を有するLSUを用いる場合に、L側およびR側のBD信号検出タイミングおよび各々のBD信号基準に対する画像エリア、等の主走査光学座標位置がは異なる光学設計に対し、画像データの画像処理はY、M、C、K同時タイミングで処理する必要があるため、通常1つの主走査基準信号(タイミング的に先行するBD基準)をもとに処理が行われている場合には、画像処理側CLKとレーザー制御側のCLKは、通常同一CLKではないため、画処理側CLKからレーザー制御側CLKへの変換回路(以後 周波数変換回路と呼ぶ)が必要となる。
【0064】
この場合、CLK変換回路としては、1ライン分のラインメモリを複数ライン分持ち、そのラインメモリへ画処理CLKで書き込み、書き込み済みの画像データを別のラインメモリからレーザー制御CLKで読み出すといった回路が用いられているため、ここで必要となるラインメモリ容量は、画処理CLKでの書き込みタイミングは、4色で同一であるに対し、読み出しはタイミングが異なる2つのBD基準信号で各々読み出す必要があるため、どのようなタイミングでも成り立つようにするために、1色あたり3ライン分のメモリ容量が必要とされているが、本実施形態により、1色あたり2ライン分のメモリ容量に、メモリ容量を削減することができる。
【0065】
すなわち、1つのポリゴンを中心に、点対称に、4色のレーザー光の走査系を2色ずつポリゴンの両側に位置する露光装置において、
ア)画処理側回路の主走査基準信号(MHSYNC)を、2つ以上あるBD信号のどの信号を元に生成するか、選択できる回路を有する
イ)周波数変換回路/ラインメモリの切替タイミングを、各色用のBD基準信号か、4色共通のMHSYNC信号かを、色毎に独立して選択できる回路を有する
構成とし、
LSU(レーザー露光装置)の光学設計における座標情報に応じ、画処理側回路の主走査基準信号(MHSYNC(上記ア))とラインメモリ切替信号を、上記イ)に従い、切替可能とすることにより、周波数変換動作も可能に、組み合わせて使用することができる。
【0066】
これにより、コストダウン及び低消費電力化対応が可能な画像形成装置及び露光装置の制御方法が実現できる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1…画像形成部本体、23…露光装置、23−7L、23−7R…ビーム検出装置、101…画像形成装置、111…制御ブロック、131…画像処理回路(ASIC)、133…制御装置(CPU)、139…画像処理(A,B,C、D)回路、141…レーザー制御処理(A,B,C、D)回路、143…周波数変換/ラインメモリ(A,B,C、D)、145…制御信号選択、151…レーザードライバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリゴンを中心に、両側に2色分のレーザー走査系を位置するレーザー露光装置を含む画像形成装置において、
2色分のレーザー走査系のそれぞれにおいて、レーザー光の入射を検出するビーム検出手段と、
前記ビーム検出手段が検出するビーム検出信号を、画像処理回路の主走査基準信号となる第一のビーム検出信号よりもタイミング的に先行する第二のビーム検出信号を基準として、レーザー光を画像信号で強度変調する露光手段と、
を具備する画像形成装置。
【請求項2】
ポリゴンを中心に、両側に2色分のレーザー走査系を位置するレーザー露光装置を含む画像形成装置において、
2色分のレーザー走査系のそれぞれにおいて、レーザー光の入射を検出するビーム検出手段と、
画像処理装置側の動作クロック(CLK.M)とレーザー光を画像信号で強度変調する露光手段側の動作クロック(PCLK)との間の周波数の違いを、2ライン分のメモリにて変換し、または吸収するレーザー処理回路と、
を具備する画像形成装置。
【請求項3】
前記ビーム検出手段が出力する前記ビーム検出信号のうち、基準とするビーム検出信号を出力する2色分のレーザー走査系を、前記ポリゴンを中心として選択可能である請求項1または2の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光手段または前記レーザー処理回路が含む前記メモリの切替タイミングを、任意のレーザー光による前記ビーム検出信号を基準とする基準信号、または各レーザー光に共通な主走査同期信号のいずれかを、各色について、独立に選択できる請求項1〜3のいずれかの画像形成装置。
【請求項5】
前記露光手段は、先行する主走査基準信号の1周期の範囲内で、後行する主査基準信号による画像読み出し動作が終了する請求項1または2の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−71460(P2013−71460A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−215011(P2012−215011)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】