説明

画像形成装置

【課題】画像形成部の少なくとも一部を、互いに対向する側から一対の樹脂フレームで支持した画像形成装置において、その樹脂フレームを含むフレーム全体の剛性を、金属製の部材の使用量を極力抑制しつつ確保すること。
【解決手段】プロセス部等を支持する樹脂フレーム110L,110Rの上面には金属製の上面補強部材130L,130Rがネジ固定され、その上面補強部材130L,130Rは金属製のフロントビーム140,リアビーム150とネジ固定されてロの字形の開口部を構成する。このため、樹脂フレーム110L,110Rに対するフロントビーム140,リアビーム150の架設箇所間の剛性は、上面補強部材130L,130Rによって確保され、一対の樹脂フレーム110L,110Rを含むフレーム100全体の剛性を良好に確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関し、詳しくは、被記録媒体に画像を形成する画像形成部の少なくとも一部を、一対の樹脂フレームによって互いに対向する側から支持した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式等によって被記録媒体に画像を形成する画像形成装置では、被記録媒体に画像を形成する画像形成部を、鋼板等によって構成された一対の金属製フレームによって互いに対向する側(以下、左右ともいう)から支持することが考えられている。しかしながら、金属製フレームを使用した場合、装置の製造コストが上昇する上に装置の重量も増加してしまう。一方、前記画像形成部を一対の樹脂フレームによって支持することも考えられるが、その場合、フレームの剛性が低下してしまう。
【0003】
そこで、画像形成部の一部としての印写装置を左右から支持する一対の樹脂フレームの間に、薄板鋼板からなる3つの連結部を架設して剛性を高めることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−65122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂フレームの間に金属製の部材を架設しただけでは、その架設箇所の間の樹脂フレームにおける歪みは十分に抑制することができず、全体として十分な剛性が得られない。また、樹脂フレームの全面に鋼板を貼り付けるなどすれば、剛性は確保することができるが、その場合、フレーム全体を鋼板で構成した場合に比べて製造コスト,重量共に十分に低減することができない。
【0006】
そこで、本発明は、画像形成部の少なくとも一部を、互いに対向する側から一対の樹脂フレームで支持した画像形成装置において、その樹脂フレームを含むフレーム全体の剛性を、金属製の部材の使用量を極力抑制しつつ確保することを目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達するためになされた本発明の画像形成装置は、被記録媒体に画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の少なくとも一部を、互いに対向する側から支持する一対の樹脂フレームと、該各樹脂フレームの上面に沿ってそれぞれ設けられた一対の金属製の上面補強部材と、該各上面補強部材の間で2箇所にそれぞれ架設され、前記各上面補強部材と協働してロの字形の開口部を構成する一対の第1金属ビームと、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0008】
このように構成された本発明の画像形成装置では、画像形成部の少なくとも一部を互いに対向する側から支持する一対の樹脂フレームには、その上面に沿って金属製の上面補強部材がそれぞれ設けられている。そして、各上面補強部材の間には、2箇所に一対の第1金属ビームがそれぞれ架設され、前記各上面補強部材と協働してロの字形の開口部を構成する。このため、第1金属ビームの架設箇所間の剛性は上面補強部材によって確保され、前記一対の樹脂フレームを含むフレーム全体の剛性を良好に確保することができる。また、本発明では、樹脂フレームに取り付ける金属製の部材の使用量を良好に抑制することができ、画像形成装置の製造コスト及び重量を良好に低減することができる。
【0009】
なお、前記第1金属ビームの少なくとも何れか一方は、前記架設方向に垂直な断面形状がL字形であってもよい。その場合、当該第1金属ビームは、軽量であって良好な剛性を有するので、画像形成装置の軽量化及びフレーム全体の剛性の確保を一層良好に達成することができる。
【0010】
また、前記第1金属ビームの少なくとも何れか一方には、少なくとも何れか一方の前記樹脂フレームの外周縁を補強する金属製の周辺補強部材が、一体に連接されてもよく、その場合、フレーム全体の剛性を一層良好に確保することができる。
【0011】
そして、その場合、前記周辺補強部材は、前記樹脂フレームの外周縁のうち、前記上面に隣接する他の面に沿って設けられてもよい。すなわち、前記周辺補強部材は、上面補強部材に重なって、若しくは隣接して樹脂フレームの上面に沿って設けられてもよいが、このように前記上面に隣接する他の面に沿って設けられた場合、樹脂フレームの角部の変形を良好に抑制することができる。
【0012】
また、前記周辺補強部材が設けられた前記一方の樹脂フレームには、前記画像形成部を駆動する駆動部が設けられてもよい。画像形成装置を構成する一方の樹脂フレームに画像形成部を駆動する駆動部を設けることは、従来からなされている。そのように駆動部が設けられた側の樹脂フレームには、他方の樹脂フレームよりも大きな荷重が加わるが、その樹脂フレームに前記周辺補強部材を設けた場合、フレーム全体の剛性を一層良好に確保することができる。
【0013】
また、前記一対の樹脂フレームの対向面の間に架設されたパイプ状の第2金属ビームを、更に備えてもよい。その場合、一対の樹脂フレーム間の間隔をパイプ状の第2金属ビームによって一層良好に規定することができ、フレーム全体の剛性を一層良好に確保することができる。
【0014】
また、前記画像形成部は、感光体を備え、該感光体に形成された静電潜像に対応する現像剤像を被記録媒体に形成するプロセス部と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光部とを備え、前記プロセス部の少なくとも一部は、前記開口部を通って着脱可能に設けられているものであってもよい。
【0015】
プロセス部の少なくとも一部を画像形成装置の天面側(上面側)から着脱可能として、現像剤の補給やプロセス部の交換を容易に行うことができるようにしたタイプの画像形成装置がある。この種の画像形成装置では、画像形成装置の天面側(上面側)に開口部を設ける必要がある。そこで、このように、一対の上面補強部材と一対の第1金属ビームとによって構成された前記開口部を通ってプロセス部の少なくとも一部を着脱する場合、前記開口部が一層有効に利用されて本発明の効果が一層顕著に表れる。
【0016】
また、前記露光部が、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光ヘッドを備え、その露光ヘッドを感光体に近接させてその感光体に静電潜像を形成可能にする近接位置と、前記露光ヘッドを前記感光体から離間させてプロセス部の少なくとも一部を着脱可能とする離間位置との間を移動可能なタイプの画像形成装置がある。この種の画像形成装置では、プロセス部の上方にスキャナユニットを備えたタイプの画像形成装置と異なり、プロセス部の上方に露光部を移動させるための開口部を設ける必要がある。そこで、このように、一対の上面補強部材と一対の第1金属ビームとによって構成された前記開口部を通って前記露光ヘッドが移動する場合、前記開口部が一層有効に利用されて本発明の効果が一層顕著に表れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の概略構成を示す側断面図である。
【図2】その画像形成装置のフレームを前方から表す斜視図である。
【図3】そのフレームを前方から表す分解斜視図である。
【図4】そのフレームを後方から表す分解斜視図である。
【図5】そのフレームの固定状態を表す平面図及びそのA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明が適用された画像形成装置1の概略構成を示す側断面図である。なお、以下の説明においては、図1における左側を前方とし、図1における手前側を右とする。
【0019】
(画像形成装置の全体構成)
この画像形成装置1は、直接転写タンデム方式のカラープリンタであって、図1に示すように、略箱型の筐体2を備えている。筐体2は、前面に前面カバー3を備えている。また、筐体2は、上面に、画像形成後の被記録媒体としての用紙4が積載される排紙トレイ5Aが形成され、その排紙トレイ5Aが一体に設けられて画像形成装置1を上方から覆うトップカバー5を備えている。このトップカバー5は、画像形成装置1の後方上端に設けられた軸5Bを中心に開閉可能に設けられ、このトップカバー5を開放することにより、後述のプロセス部30とベルトユニット20とを筐体2の内部から上方へ引き出すことが可能となる。
【0020】
筐体2の下部には、画像を形成するための用紙4が収容される給紙トレイ7が前方へ引き出し可能に装着されている。給紙トレイ7内には、用紙4を積載して支持し、その用紙4の前端側を持ち上げるように傾動可能な図示省略した圧板が設けられている。また、給紙トレイ7の前端上方位置には、用紙4を搬送する給紙ローラ11が設けられ、その給紙ローラ11による用紙搬送方向下流側には、給紙ローラ11にて搬送される用紙4を1枚毎に分離する分離ローラ12と分離パッド13とが設けられている。
【0021】
給紙トレイ7の最上位の用紙4は、分離ローラ12によって1枚毎に分離された後、更に、紙粉取りローラ14と対向ローラ15とに挟まれて搬送され、一対のレジストローラ16,17の間へ送られる。レジストローラ16,17は、その用紙4を所定のタイミングで、後方のベルトユニット20上へ送り出す。
【0022】
ベルトユニット20は、筐体2に対して着脱可能とされており、前後に離間して配置されたベルト駆動ローラ21,テンションローラ22の間に水平に架設される搬送ベルト23(いわゆる転写搬送ベルト)を備えている。搬送ベルト23は、ポリカーボネート等の樹脂材からなる無端状のベルトであり、後側のベルト駆動ローラ21が回転駆動されることにより図1の時計方向に循環移動して、その上面に載せた用紙4を後方へ搬送する。
【0023】
(画像形成部の構成)
搬送ベルト23の内側には、後述するプロセス部30が有する各感光体ドラム31(感光体の一例)と対向配置される4つの転写ローラ24が前後方向に一定間隔で並んで設けられ、各感光体ドラム31と対応する転写ローラ24との間に搬送ベルト23を挟んだ状態となっている。後述のトナー像の転写時には、この転写ローラ24と感光体ドラム31との間に転写バイアスが印加され、所定量の転写電流が通電される。
【0024】
プロセス部30は、露光部の一例としてのLEDユニット40と対をなして前からブラック,イエロー,マゼンタ,シアンの各色に対応して4つ設けられ、それらプロセス部30,LEDユニット40は、用紙4の搬送方向に沿って直列に配設されている。各LEDユニット40の下端には、LED(図示省略)が用紙幅方向(左右方向)に一列に配設された露光ヘッド41が、設けられている。また、各プロセス部30は、感光体ドラム31、トナー収容室33、及び、現像ローラ35等を備えて構成されている。感光体ドラム31は、接地された金属製のドラム本体を備え、その表層を正帯電性の感光層で被覆することにより構成されている。この感光体ドラム31の表面は、その回転時、図示省略した帯電ワイヤにより一様に正帯電された後、LEDユニット40の露光ヘッド41により露光されて、用紙4に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0025】
トナー収容室33には、ブラック、イエロー、マゼンタ、またはシアンの各色の正帯電性非磁性1成分トナー(図示省略)がそれぞれ収容されている。トナー収容室33に収容されたトナーは、現像ローラ35の回転等によって正に摩擦帯電され、一定厚さの薄層として現像ローラ35上に担持される。次いで、現像ローラ35の回転により、現像ローラ35上に担持され正帯電されているトナーが、感光体ドラム31に対向して接触するときに、感光体ドラム31の表面上に形成されている前記静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム31の静電潜像は、可視像化され、感光体ドラム31の表面には、露光部分にのみトナーが付着したトナー像が担持される。
【0026】
その後、各感光体ドラム31の表面上に担持されたトナー像は、搬送ベルト23によって搬送される用紙4が感光体ドラム31と転写ローラ24との間を通る際に、前記転写電流によって、用紙4に順次転写される。こうして各色のトナー像が重ねて転写された用紙4は、次いで定着器50に搬送される。
【0027】
定着器50は、筐体2内における搬送ベルト23の後方に配置されている。この定着器50は、ハロゲンランプ等の熱源を備えて回転駆動される加熱ローラ51と、加熱ローラ51の下方において、加熱ローラ51を押圧するように対向配置され従動回転される加圧ローラ52とを備えている。この定着器50では、各色のトナー像が転写された用紙4を、加熱ローラ51と加圧ローラ52とによって狭持搬送しながら加熱することにより、トナー像を用紙4に定着させる。そして、トナー像が定着された用紙4は、定着器50の斜め後上方に配置された搬送ローラ53により更に搬送され、筐体2の上部に設けられた排紙ローラ54により、前述の排紙トレイ5A上に排出される。すなわち、LEDユニット40とプロセス部30とが画像形成部に相当する。
【0028】
また、ベルト駆動ローラ21とテンションローラ22との間に架設された搬送ベルト23の下面には、その搬送ベルト23の表面を清掃する周知のベルトクリーナ99が当接している。
【0029】
また、前述のように、トップカバー5は軸5Bを中心に回動し、そのトップカバー5の下面には、前記4つのLEDユニット40が図示省略した接続リンクを介して揺動可能に接続されている。このため、そのトップカバー5を開放することにより、各LEDユニット40を感光体ドラム31から離間することができ、トップカバー5を閉じることにより、図1に示すように各LEDユニット40を感光体ドラム31との対向位置に配設することができる。
【0030】
(画像形成装置のフレーム構造)
次に、筐体2の内部には、前述の給紙トレイ7、ベルトユニット20、プロセス部30、及び、定着器50を左右から支持するフレーム100が設けられている。図2は、そのフレーム100を前方から表す斜視図であり、図3は、そのフレーム100を前方から表す分解斜視図であり、図4は、そのフレーム100を後方から表す分解斜視図である。すなわち、筐体2の内部には、図2〜図4に示すように、プロセス部30を装着できる間隔を隔てて一対の樹脂フレーム110が配置されている。なお、以下の説明において、樹脂フレーム110は必要に応じて左側を110L,右側を110Rと区別する。
【0031】
樹脂フレーム110L,110Rは、内側面に、給紙トレイ7,ベルトユニット20,プロセス部30を支持する周知の支持機構を有している。また、樹脂フレーム110Lの外側面には、図4に示すよう凹部112が形成され、その凹部112に、前述の感光体ドラム31等を駆動するための駆動部200が取り付けられる。なお、駆動部200は、図示省略したモータ及びギヤ列を備えた周知のものである。
【0032】
また、樹脂フレーム110L,110Rは、いずれも側面視略長方形に構成されており、その上面に沿って、略平板状の板金からなる上面補強部材130L,130Rがネジ固定されている。なお、ネジ固定の方法の詳細については、後述する。更に、樹脂フレーム110L,110Rの間には、上面前端にフロントビーム140が、上面後端にリアビーム150が、下面に前後一対のアンダービーム161,162が、対向面の間に一対の金属パイプ163,164が、それぞれ架設されている。なお、フロントビーム140(後述の周辺補強部材142,143を除く部分)とリアビーム150とが第1金属ビームの一例に、金属パイプ163,164が第2金属ビームの一例に、それぞれ相当し、いずれも金属製である。
【0033】
円筒状の金属パイプ163の両端には一対のフランジ165が、金属パイプ164の両端には一対のフランジ166が、それぞれ設けられ、そのフランジ165,166は樹脂フレーム110L,110Rの対向面にネジ固定されている。アンダービーム161は、前後端縁が折り曲げられた長尺状に板金にて構成され、樹脂フレーム110L,110Rの前部下面にネジ固定されている。アンダービーム162は、垂直断面が円弧状に折り曲げられた長尺状に板金にて構成され、樹脂フレーム110L,110Rの後部下面及び後部背面にそれぞれネジ固定されている。
【0034】
リアビーム150は、長手方向(左右方向)に直交する断面がL字形で、樹脂フレーム110L,110Rの上面に上面補強部材130L,130Rを挟んで重畳する部分151、及び、樹脂フレーム110L,11Rの後面に重畳する部分152は、広幅に構成されている。
【0035】
フロントビーム140は、樹脂フレーム110L,110Rの前面に沿って左右方向に伸びる長尺状の板金にて構成され、上端縁が後方に折り曲げられて断面L字形に構成されている。また、フロントビーム140は、樹脂フレーム110L,110Rの上面に上面補強部材130L,130Rを挟んで重畳する部分141が広幅に構成されている。また、フロントビーム140は、樹脂フレーム110Lの前面に重畳する部分が、その前面の下端近傍(少なくとも当該前面の上下方向長さの80%以上)まで延長されて周辺補強部材142を構成している。更に、フロントビーム140は、樹脂フレーム110Rの前面に重畳する部分が、その前面の上下方向中心よりも下方まで延長されて周辺補強部材143を構成している。
【0036】
次に、図5(A)は、上面補強部材130Lの樹脂フレーム110Lに対する固定状態を表す平面図であり、図5(B)は図5(A)のA−A線断面図である。但し、図5では、説明の便宜上(A),(B)に表された同一部材を細線で連結して描いている。なお、上面補強部材130Rの樹脂フレーム110Rに対する固定状態も同様である。図5(A),(B)に示すように、樹脂フレーム110Lの上面の前後方向中心には、小さく突出したボス113が設けられ、上面補強部材130Lの前後方向中心には、そのボス113が嵌合するボス穴133(図4参照)が穿設されている。
【0037】
また、樹脂フレーム110Lの上面前端及び上面後端は、他部より少し低く構成され、その部分に円筒状のボス114及び115が突出形成されている。また、上面補強部材130Lとフロントビーム140の前記部分141とにおける、ボス114との対向位置には、タッピングネジ174(図5参照)を挿通するための丸穴134,144(図4参照)がそれぞれ穿設され、その各丸穴134,144を介して、タッピングネジ174がボス114の中心に螺合している。同様に、上面補強部材130Lとリアビーム150の前記部分151とにおける、ボス115との対向位置には、タッピングネジ175(図5参照)を挿通するための丸穴135,155(図4参照)がそれぞれ穿設され、その各丸穴135,155を介して、タッピングネジ175がボス115の中心に螺合している。なお、ボス114,115は、樹脂フレーム110Lと上面補強部材130Lとの熱膨張率に違いによる変形に対応するものである。すなわち、樹脂フレーム110Lは、ボス113,ボス穴133を中心として熱膨張あるいは熱収縮することになるが、もし、上面補強部材130Lが樹脂フレーム110Lに直接螺合されていると、樹脂フレーム110Lに対する上面補強部材130Lの熱膨張率が小さいため、フレーム全体が変形をしてしまう。しかしながら、ボス114,115は、樹脂フレーム110Lに対してボス自体が変形することにより、樹脂フレーム110Lと上面補強部材130Lとの熱膨張率の違いを吸収することができる。言い換えれば、樹脂フレーム110Lと上面補強部材130Lとの熱膨張率の違いを吸収することができるように、ボス114,115の太さ及び高さが設計されている。
【0038】
上面補強部材130Lの、ボス穴133とタッピングネジ174,175(図5参照)を挿通するための丸穴134,135との間のボス穴133寄りの位置には、タッピングネジ176,177(図5参照)を挿通するための丸穴136,137(図4参照)が穿設され、その各丸穴136,137を介してタッピングネジ176,177が樹脂フレーム110Lに直接螺合している。このため、上面補強部材130Lは、ボス穴133とボス113との嵌合、及び、タッピングネジ174,175,176,177の螺合によって、樹脂フレーム110Lの上面に固定される。なお、タッピングネジ176,177は、樹脂フレーム110Lのボス穴133寄りの位置に螺合しているため、樹脂フレーム110Lがボス穴133を中心として熱膨張あるいは熱収縮しても、その螺合部分の変化量は小さい。従って、タッピングネジ176,177については、熱膨張率の違いを吸収するためのボスは必要としない。
【0039】
また、樹脂フレーム110L,110Rの前面には、図3に示すように複数のボス116が突設され、そのボス116は、周辺補強部材142,143に形成された丸穴146(図3参照)を介して図示省略したタッピングネジが螺合される。このため、フロントビーム140は、当該タッピングネジ及び前述のタッピングネジ174の螺合によって、樹脂フレーム110L,110Rに固定される。同様に、樹脂フレーム110L,110Rの後面には、図4に示すように複数のボス117が突設され、そのボス117は、リアビーム150の前記部分152に形成された丸穴157介して図示省略したタッピングネジが螺合される。このため、リアビーム150は、当該タッピングネジ及び前述のタッピングネジ175の螺合によって、樹脂フレーム110L,110Rに固定される。
【0040】
更に、フロントビーム140の前記部分141の後端には、ネジ178(図5参照)を挿通するための丸穴148が形成され、上面補強部材130Lの前記丸穴148と対向する部分にはいわゆるバーリング加工によって補強されたネジ穴138が形成され、樹脂フレーム110Lの前記丸穴148と対向する部分には凹部118(図5参照)が形成されている。同様に、リアビーム150の前記部分151の前端には、ネジ179(図5参照)を挿通するための丸穴159が形成され、上面補強部材130Lの前記丸穴159と対向する部分にはいわゆるバーリング加工によって補強されたネジ穴139が形成され、樹脂フレーム110Lの前記ネジ穴159と対向する部分には凹部119(図5参照)が成されている。
【0041】
図5に示すように、ネジ穴138には丸穴148を介してネジ178が螺合するが、凹部118が形成されていることによりこのネジ178は樹脂フレーム110Lに固定されず、樹脂フレーム110Lに対して移動可能にフロントビーム140と上面補強部材130Lとを結合する。同様に、ネジ穴139には丸穴159を介してネジ179が螺合するが、凹部119が形成されていることによりこのネジ179は樹脂フレーム110Lに固定されず、樹脂フレーム110Lに対して移動可能にリアビーム150と上面補強部材130Lとを結合する。従って、この固定形態は、前述のボス114,115の変形と相乗効果を発揮して、樹脂フレーム110L,上面補強部材130Lの熱膨張率の相違に対応してネジ178,179が移動することで樹脂フレーム110Lに応力が加わるのを抑制している。
【0042】
(本実施の形態の効果及びその変形例)
このように、フレーム100では、フロントビーム140と一対の上面補強部材130L,130Rとは、ネジ174,178によって固定される。また、リアビーム150と一対の上面補強部材130L,130Rとは、ネジ175,179によって固定される。このため、一対の上面補強部材130L,130Rとフロントビーム140とリアビーム150とがロの字形の開口部を構成する。このため、樹脂フレーム110L,110Rに対するフロントビーム140,リアビーム150の架設箇所間の剛性は、上面補強部材130L,130Rによって確保され、一対の樹脂フレーム110L,110Rを含むフレーム100全体の剛性を良好に確保することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、樹脂フレーム110L,110Rの全面に板金フレームを固定する必要がないので、金属製の部材の使用量を良好に抑制することができ、画像形成装置1の製造コスト及び重量を良好に低減することができる。しかも、フロントビーム140,リアビーム150は前記架設方向に垂直な断面形状がL字形(特にリアビーム150)であるため、軽量であって良好な剛性を有する。従って、画像形成装置1の軽量化及びフレーム100全体の剛性の確保を一層良好に達成することができる。
【0044】
更に、フロントビーム140には、樹脂フレーム110L,110Rの前面を補強する金属製の周辺補強部材142,143が一体に連接されている。このため、フレーム100全体の剛性を一層良好に確保することができ、特に樹脂フレーム110L,110Rの前方上端角部の変形を良好に抑制することができる。しかも、駆動部200が設けられた側の樹脂フレーム110Lには、樹脂フレーム110Rよりも大きな荷重が加わるが、その樹脂フレーム110Lの側の周辺補強部材142を大きくしているので、フレーム100全体の剛性を一層良好に確保することができる。更に、フレーム100では、一対の樹脂フレーム110L,110Rの間にアンダービーム161,162と金属パイプ163,164とを更に架設しているので、フレーム100全体の剛性を一層良好に確保することができる。
【0045】
また、本実施の形態の画像形成装置1では、前述のようにトップカバー5を開放することにより、LEDユニット40が感光体ドラム31から離間し、プロセス部30とベルトユニット20とを筐体2の内部から上方へ引き出すことが可能となる。このような、プロセス部30等の着脱やLEDユニット40の移動は、前述のように上面補強部材130L,130Rとフロントビーム140とリアビーム150とで構成された開口部を通ってなされる。従って、本実施の形態では、前記開口部が一層有効に利用されて本発明の効果が一層顕著に表れる。
【0046】
なお、本発明は前記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、フロントビーム140またはリアビーム150に連接される周辺補強部材は、上面補強部材130に重なって、若しくは隣接して樹脂フレーム110の上面に沿って設けられてもよい。また、パイプ状の第2金属ビームは、角筒状であってもよく、一部が開放したC字形の円筒状または角筒状であってもよく、更には断面コの字形であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…画像形成装置 2…筐体 4…用紙
5…トップカバー 5B…軸 20…ベルトユニット
30…プロセス部 31…感光体ドラム 40…LEDユニット
41…露光ヘッド 100…フレーム 110L,110R…樹脂フレーム
112,118,119…凹部 113,114,115,116,117…ボス
130L,130R…上面補強部材 133…ボス穴
134,135,136,137,144,146,148,155,157,159…丸穴
138,139…ネジ穴 140…フロントビーム
142,143…周辺補強部材 150…リアビーム
161,162…アンダービーム 163,164…金属パイプ
174,175,176,177…タッピングネジ 178,179…ネジ
200…駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
該画像形成部の少なくとも一部を、互いに対向する側から支持する一対の樹脂フレームと、
該各樹脂フレームの上面に沿ってそれぞれ設けられた一対の金属製の上面補強部材と、
該各上面補強部材の間で2箇所にそれぞれ架設され、前記各上面補強部材と協働してロの字形の開口部を構成する一対の第1金属ビームと、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1金属ビームの少なくとも何れか一方は、前記架設方向に垂直な断面形状がL字形であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1金属ビームの少なくとも何れか一方には、少なくとも何れか一方の前記樹脂フレームの外周縁を補強する金属製の周辺補強部材が、一体に連接されたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記周辺補強部材は、前記樹脂フレームの外周縁のうち、前記上面に隣接する他の面に沿って設けられたことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記一方の樹脂フレームには、前記画像形成部を駆動する駆動部が設けられたことを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記一対の樹脂フレームの対向面の間に架設されたパイプ状の第2金属ビームを、
更に備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、
感光体を備え、該感光体に形成された静電潜像に対応する現像剤像を被記録媒体に形成するプロセス部と、
前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光部と、
を備え、
前記プロセス部の少なくとも一部は、前記開口部を通って着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記露光部は、
前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光ヘッドを備え、
当該露光ヘッドは、前記感光体に近接して該感光体に静電潜像を形成可能にする近接位置と、前記感光体から離間して前記プロセス部の少なくとも一部を着脱可能とする離間位置との間を、前記開口部を通って移動可能に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−73089(P2013−73089A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212988(P2011−212988)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】