説明

画像形成装置

【課題】中間転写体上のトナーを帯電する帯電部材の作用に起因する画像不具合を抑制することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体1と、中間転写体10と、1次転写部材6と、2次転写部材8と、中間転写体10に接触し、中間転写体10上のトナーを帯電するブラシ形状の帯電ブラシ9と、帯電ブラシ9に電圧を印加する電源90と、を有し、中間転写体10の移動方向において、帯電ブラシ9は2次転写部材8の下流側で1次転写部材6の上流側に配置され、電源90は中間転写体10上のトナーを帯電するための帯電電圧を出力する画像形成装置100は、直後に1次転写が行われる中間転写体10上の領域の全てが帯電ブラシ9と接触する領域を通過する間中、帯電ブラシ9には上記帯電電圧と同じ極性の電圧が印加されるように制御する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式或いは静電記録方式を用いて像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に1次転写した後に転写材に2次転写する中間転写方式を採用した、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やレーザービームプリンタなどの画像形成装置として、中間転写体を使用する中間転写方式の画像形成装置が知られている。中間転写方式の画像形成装置は、先ず、1次転写工程として、第1の像担持体としての感光体の表面に形成された可転写画像であるトナー像を、第2の像担持体としての中間転写体に転写する。この1次転写工程を、複数色のトナー像に関して繰り返し実行することにより、中間転写体の表面に複数色のトナー像を形成する。その後、2次転写工程として、これらの中間転写体の表面に形成された複数色のトナー像を、紙などの転写材の表面に一括して転写する。転写材に一括して転写された複数色のトナー像は、その後、定着手段により溶融混合されると共に転写材に定着され、これにより、転写材に記録画像としての例えばフルカラー画像が形成される。
【0003】
又、2次転写工程後に中間転写体上に残留したトナー(2次転写残トナー)を回収する方法として、該残トナーを帯電部材により正規の帯電極性とは逆極性に帯電し、1次転写工程において感光体に逆転写して回収する方法が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
中間転写体上の2次転写残トナーを帯電させる帯電部材としては、コスト面などで優れるブラシ(帯電ブラシ)を好適に用いることができる。又、帯電ブラシなどのトナーを溜め込みやすい形状の帯電部材を用いる場合、2次転写残トナーの帯電を繰り返すことで、帯電部材にトナーが蓄積される。そのため、帯電部材のクリーニング工程を、非画像形成時の所定のタイミングとして、後回転動作時などに行うことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−284186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように帯電ブラシを用いた画像形成装置では、帯電ブラシに蓄積されたトナーのクリーニングを行う場合であっても、印字シーケンスを行うたびに完全なクリーニングを行おうとすると、その度に非常に長い時間を要することがある。そのため、画像出力ができない時間(ダウンタイム)が長くなることがある。
【0007】
従って、2次転写残トナーを帯電するために帯電ブラシを用いる場合、実質的には、トナーを溜め込み難いローラなどのように、1回の印字シーケンス内で十分にクリーニングすることが困難であることがある。そのため、中間転写体を回転させるだけで中間転写体上に吐き出される現象が発生する場合がある。そして、この現象が発生すると、中間転写体上に吐き出されたトナー上に、次ページ以降の画像が1次転写され、出力画像に悪影響を及ぼすことがある。
【0008】
即ち、中間転写体の回転中における帯電ブラシからの望まないトナー吐き出しを抑制することが課題の1つとして挙げられる。
【0009】
従って、本発明の目的は、中間転写体上のトナーを帯電する帯電部材の作用に起因する画像不具合を抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、移動可能な中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を中間転写体上に1次転写する1次転写部材と、前記中間転写体上のトナー像を転写する2次転写部材と、前記中間転写体に接触し、前記中間転写体上のトナーを帯電するブラシ形状の帯電ブラシと、前記帯電ブラシに電圧を印加する電源と、を有し、前記中間転写体の移動方向において、前記帯電ブラシは前記2次転写部材の下流側で前記1次転写部材の上流側に配置され、前記電源は前記中間転写体上のトナーを帯電するための帯電電圧を出力する画像形成装置において、直後に前記1次転写が行われる前記中間転写体上の領域の全てが前記帯電ブラシと接触する領域を通過する間中、前記帯電ブラシには前記帯電電圧と同じ極性の電圧が印加されるように制御することを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
本発明の他の態様によると、トナー像を担持する像担持体と、移動可能な中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を中間転写体上に1次転写する1次転写部材と、前記中間転写体上のトナー像を転写する2次転写部材と、前記中間転写体に接触する帯電部材と、前記帯電部材に電圧を印加する電源と、を有し、前記中間転写体の移動方向において、前記帯電部材は前記2次転写部材の下流側で前記1次転写部材の上流側に配置され、前記電源は前記中間転写体上のトナーを帯電するための帯電電圧を出力する画像形成装置において、前記1次転写が行われる直前に、前記帯電電圧と同じ極性の電圧が前記帯電部材に印加されている間に前記帯電部材と接触する領域以外の前記中間転写体上の領域には、前記1次転写を行うことを禁止するよう制御することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、中間転写体上のトナーを帯電する帯電部材の作用に起因する画像不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用し得る画像形成装置の一例の概略構成図である。
【図2】印字時におけるインピーダンス検知制御を示すフローの一例を示す図。
【図3】従来の2次転写残トナーの除去工程と1次転写制御工程とでの各バイアスの印加タイミングの一例を示すシーケンスチャート図である。
【図4】帯電ブラシクリーニング工程での各バイアスの印加タイミングの一例を示すシーケンスチャート図である。
【図5】実施例1における2次転写残トナーの除去工程と1次転写制御工程とでの各バイアスの印加タイミングを示すシーケンスチャート図である。
【図6】実施例2における2次転写残トナーの除去工程と1次転写制御工程とでの各バイアスの印加タイミングを示すシーケンスチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0015】
実施例1
[画像形成装置の全体構成及び動作]
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例である電子写真方式を用いた中間転写方式のカラー画像形成装置の一例の概略構成図である。
【0016】
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成するための4個の画像形成部(ステーション)、即ち、第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。尚、本実施例の画像形成装置100では、各画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、それぞれが形成するトナー像の色を除いて実質的に共通である部分が多い。従って、以下の説明において、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを示すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して総括的に説明する。
【0017】
画像形成部Sは、像担持体(静電潜像担持体)としてのドラム型の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、アルミなどから成る芯金の外周面に有機感光体(OPC)又はA−Si(アモルファスシリコン)、CdS、Se等から成る光導電体を塗布して構成される。本実施例では、有機感光体を用いた。各画像形成部Sの感光ドラム1は、後述する中間転写体としての中間転写ベルト10に沿って順次配置されている。そして、感光ドラム1は、図示しないモーター等の駆動手段により、所定の外周速度(プロセス速度)で図示矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。
【0018】
画像形成部Sは、感光ドラム1の周囲に、1次帯電手段としての帯電ローラ2、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ)3、現像手段としての現像装置4を有する。更に、画像形成部Sは、感光ドラム1の周囲に、1次転写手段を構成する1次転写部材(回転部材)としての1次転写ローラ6、クリーニング手段としてのクリーナ5を有する。クリーナ5は、クリーニング部材として感光ドラム1の表面のトナーを掻き取って除去するクリーニングブレード51と、クリーニングブレード51によって除去されたトナーを回収する廃トナー容器52と、を有する。
【0019】
感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びクリーナ5とは、一体的にカートリッジ化されて、画像形成装置本体(装置本体)に着脱可能なプロセスカートリッジを構成していてよい。これにより、プロセスカートリッジを交換することによって、残余トナーなどが回収された廃トナー容器52を一緒に交換することができる。尚、プロセスカートリッジとは、電子写真感光体と、電子写真感光体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくとも1つと、を一体的にカートリッジ化して画像形成装置の本体に対して着脱可能としたものである。
【0020】
各画像形成部Sの感光ドラム1に対向するように、中間転写体としての無端ベルト状に形成された中間転写ベルト(Intermediate Tranfer Belt:ITB)が配置されている。中間転写ベルト10の材料としては、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン)、NBR(ニトリル・ブタジエンゴム)、ウレタン、シリコーンゴムなどのゴムを好適に用いることができる。又は、中間転写ベルト10の材料としては、次のような樹脂を好適に用いることができる。PI(ポリイミド)、PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC/PET、ETFE/PCなどである。本実施例では、中間転写ベルト10は、電気抵抗値(体積抵抗率)が1011Ω・cmに調整された、PVDFで形成された無端ベルト状のフィルムを用いた。中間転写ベルト10は、複数の支持部材としての駆動ローラ11a、2次転写対向ローラ11b、テンションローラ11cの3本のローラ(支持ローラ)に張架されている。そして、中間転写ベルト10は、駆動ローラ11aが図示しないモーター等の駆動手段により回転駆動されることにより、図示矢印R2方向(時計回り)に所定の外周速度(プロセス速度)で周回移動する。
【0021】
中間転写ベルト10を挟んで感光ドラム1と対向する位置に、1次転写ローラ6が配置されている。1次転写ローラ6は、軸上に導電性スポンジ層を設けて構成されている。又、1次転写ローラ6は、中間転写ベルト10を介して感光ドラム1に接している。即ち、1次転写ローラ6は、中間転写ベルト10の内周面側において中間転写ベルト10を感光ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト10と感光ドラム1とが接触する1次転写部(1次転写ニップ部)N1を形成する。
【0022】
又、中間転写ベルト10を挟んで2次転写対向ローラ11bと対向する位置には、2次転写手段を構成する2次転写部材(回転部材)としての2次転写ローラ8が配置されている。2次転写ローラ8は、中間転写ベルト10に当接して2次転写部(2次転写ニップ部)N2を形成する。
【0023】
次に、フルカラーの画像形成工程について説明する。感光ドラム1は図示しない駆動手段によって図示矢印R1方向に回転駆動され、帯電ローラ2により所定の電位に均一に帯電される。次いで、露光装置3により露光が開始され、各画像形成部Sに対応する各色の画像模様を示す信号に従った光が、表面を均一に帯電された感光ドラム1上に走査されて、感光ドラム1上に静電像(潜像)が形成される。この時、中間転写ベルト10上の画像を転写させたい位置(以下、「中間転写体上画像部」という)に画像が転写されるように、中間転写体上画像部の先端が各画像形成部Sの1次転写部N1に進入するタイミングと同期をとって、露光が開始される。尚、潜像形成タイミングと中間転写体上画像部の先端が各画像形成部Sの1次転写部N1に進入するタイミングとの同期は、TOPセンサ(図示せず)が中間転写ベルト10上に設けたTOPシール(図示せず)を検知するタイミングを監視することによって行う。
【0024】
潜像形成開始後、更に感光ドラム1が図示矢印R1方向に回転すると、現像装置4によって現像が行われる。現像装置4は、感光ドラム1との対向部に、現像剤担持体としての所定の回転速度で回転する現像ローラを有する。そして、現像装置4の内部で常に供給され続けることにより現像ローラの表面に担持された、負極性(本実施例におけるトナーの正規の帯電極性)に帯電したトナーによって、感光ドラム1上の潜像は可視化される。この時、現像装置4の現像ローラと感光ドラム1との間の電位差、即ち、現像バイアスによって、感光ドラム1上の非潜像形成部では、負極性のトナーは現像装置4から感光ドラム1に転移しない。これに対し、感光ドラム1上の潜像を形成した部分のみ電位差が変化し、トナーが感光ドラム1に転移する。そのため、感光ドラム1の表面の潜像形成部のみがトナーによって可視化される。尚、通常、現像バイアスは現像電圧印加手段としての現像バイアス電源(高圧電源)によって現像ローラに印加される。
【0025】
尚、本実施例では、現像装置4は、反転現像方式により静電像を現像する。即ち、現像装置4は、感光ドラム1の帯電極性と同極性である正規の極性に帯電したトナーを、帯電処理された後に露光によって電荷が減衰した感光ドラム1上の部分(明部)に付着させて、感光ドラム1上にトナー像を形成する。現像装置4は、これに限定されるものではないが、現像剤として、例えば、非磁性1成分現像剤、即ち、トナーを好適に用いることができる。
【0026】
感光ドラム1上に現像されたトナー像は、更に感光ドラム1が図示矢印R1方向に回転し、1次転写部N1に来た時に、中間転写ベルト10に転写(1次転写)される。この時、1次転写ローラ6には、感光ドラム1の芯金を対向電極として、1次転写電圧印加手段としての1次転写バイアス電源(高圧電源)7から、正極性(本実施例のトナーの正規の帯電極性とは逆極性)の1次転写バイアスが印加される。これによって、前述の方法で同期をとって1次転写部N1に進入する中間転写体上画像部に、感光ドラム1からトナー像が1次転写される。1次転写バイアスによって、1次転写部N1には、正規の帯電極性に帯電したトナーを感光ドラム1から中間転写ベルト10へ向かわせる方向(極性)の電界が形成される。
【0027】
フルカラー画像形成時には、上述の帯電、露光、現像、1次転写の各工程が、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて行われ、4色の画像は全て中間転写体上画像部に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト10上で4色のトナー像の位置は一致している。
【0028】
1次転写工程後に感光ドラム1上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、クリーニングブレード51を感光ドラム1に当接させて掻き取るクリーナ5によりクリーニングされる。
【0029】
尚、1次転写工程が常に高転写効率、低再転写率などの条件を満たし、良好に行うためには、1次転写バイアス電源7から1次転写ローラ6に印加する正極性の1次転写バイアスを、環境やパーツの特性などを考慮した最適な値に常に保つことが望まれる。本実施例の画像形成装置100は、1色目の1次転写部N1Yにおける転写電流を検知する転写電流検知装置(図示せず)を有する。又、本実施例の画像形成装置100は、該転写電流検知装置からの検知結果を参照して、各1次転写バイアス電源7に所定電圧を印加させることができる、1次転写バイアス制御手段14を有する。転写電流検知装置は、第1の画像形成部SYの1次転写バイアス電源7に内蔵されるか又は接続された電流検知回路として構成することができる。又、本実施例では、画像形成装置100の動作を統括的に制御する制御部のコントローラ14が、上記1次転写バイアス制御手段の機能を備えている。
【0030】
尚、インピーダンス検知は、本実施例のように所定電圧印加時の電流検知結果を用いて行うことに限定されるものではなく、所定電流を流した時の電圧検知結果を用いて行ってもよい。この場合、上記電流検知装置の代わりに電圧検知装置(電圧検知回路)を設ければよい。
【0031】
次に、上記転写電流検知装置、1次転写バイアス制御手段14を用いて1次転写時に最適な1次転写バイアスを印加するための1次転写制御工程について説明する。
【0032】
1次転写制御工程は、画像印字の前に1色目の1次転写部のインピーダンスを検知する制御(以下、「インピーダンス検知制御」という)と、該制御によるインピーダンス検知結果を用いて最適な1次転写バイアスを計算して1次転写時に印加する制御とから成る。インピーダンス検知制御は、より具体的には、次に示す方法で行う。
【0033】
図2はインピーダンス検知制御を示すフロー図である。インピーダンス検知制御は、粗調制御と微調制御とから成り、目標電流Iを実現する電圧Vaを導出してインピーダンスを求める。先ず、粗調制御では、電圧初期値V0を印加し、電流検知結果I1と目標電流Iとを比較し、その差の絶対値がIs1以上であれば、電流検知結果I1を目標電流Iに近づける方向に電圧出力をV1シフトさせる。以下同様に繰り返し、電流検知結果I1と目標電流Iとの差の絶対値がIs1未満になったら粗調制御を終える。次に、微調制御に移行し、粗調制御終了時の電圧を印加して、電流検知結果I2と目標電流Iとを比較し、その差の絶対値がIs2以上であれば、電流検知結果I2を目標電流Iに近づける方向に電圧出力をV2シフトさせる。以下同様に繰り返し、電流検知結果I2と目標電流Iとの差の絶対値がIs2未満になった時、その電圧を目標電流実現電圧Vaとし、インピーダンスをVa/Iと決定することで微調制御を終える。
【0034】
そして、インピーダンス検知結果を参照して、1次転写バイアス制御手段14は、1次転写時に所望の電流が流れるような値の電圧を印加する。以上が1次転写制御工程である。
【0035】
4色のトナー像が中間転写ベルト10上に1次転写されると、中間転写ベルト10の回転と同期を取って、転写材搬送手段としてのレジストローラ12から2次転写部N2へと転写材Pが搬送される。2次転写部N2では、1次転写ローラ6と同様の構成の2次転写ローラ8が転写材Pを介して中間転写ベルト10に当接する。そして、2次転写対向ローラ11bを対向電極として、図示しない2次転写電圧印加手段としての2次転写バイアス電源(高圧電源)から、2次転写ローラ8に、正極性(本実施例のトナーの正規の帯電極性とは逆極性)の2次転写バイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト10上の4色のトナー像は、一括して転写材P上に転写(2次転写)される。2次転写バイアスによって、2次転写部N1には、正規の帯電極性に帯電したトナーを中間転写ベルト10から転写材Pへ向かわせる方向(極性)の電界が形成される。
【0036】
4色のトナー像が2次転写された転写材Pは、定着手段としての定着装置13によって加熱、加圧されて、その上のトナー像が溶融固着される。これにより、記録画像としてのカラー画像が得られる。
【0037】
又、画像形成装置100は、中間転写ベルト10に接触し、中間転写ベルト10上のトナーを帯電する帯電手段を構成するブラシ形状の帯電部材である帯電ブラシ9を有する。更に、画像形成装置100は、帯電ブラシに電圧を印加する帯電電圧出力手段としての帯電バイアス電源(高圧電源)90を有する。帯電ブラシ9は、中間転写ベルト10の移動方向において2次転写ローラ8(2次転写部)よりも下流側且つ複数の画像形成部Sのうち最上流の画像形成部SY(その1次転写部)よりも上流側において中間転写ベルト10上のトナーに電荷を付与する。より詳しくは、本実施例では、帯電ブラシ9は、駆動ローラ11aに対向する位置で中間転写ベルト10に接触して帯電部(接触部)N3を形成している。
【0038】
そして、2次転写工程後に中間転写ベルト10上に残留したトナー(2次転写残トナー)には、帯電ブラシ9により、正極性(本実施例のトナーの正規の帯電極性とは逆極性)の電荷が均一に付与される。この時、帯電ブラシ9には、帯電バイアス電源90より正極性の電圧が印加される。続いて、2次転写残トナーは、1色目の1次転写部N1Yへ進む。ここで、2次転写残トナーは、次のページ以降の1次転写のために正極性(本実施例のトナーの正規の帯電極性とは逆極性)の1次転写バイアスが印加された1次転写ローラ6Yによって感光ドラム1Yへ静電的に転写され、中間転写ベルト10より除去される。即ち、帯電ブラシ9によって帯電されたトナーが、中間転写ベルト10から感光ドラム1上に1次転写と同時に転写される。2次転写残トナーの除去工程では、1次転写部N1Yには、正規の帯電極性とは逆極性に帯電したトナーを中間転写ベルト10から感光ドラム1Yへ向かわせる方向(極性)の電界が形成される。そして、この感光ドラム1Yへ転写された2次転写残トナーは、クリーナ5Yに回収され、中間転写ベルト10上の2次転写残トナーの除去は完了する。
【0039】
帯電ブラシ9は、本実施例では、より具体的には、基体に導電性繊維を植毛した構成を有し、導電性繊維を中間転写ベルト10の長手方向全体にわたって万遍なく接触させ、これに高圧を印加することによりトナーの帯電を行う。
【0040】
このように、本実施例では、画像形成装置100は、2次転写位置N2より下流且つ1次転写位置N1Yより上流に帯電ブラシ9を有し、2次転写の後に中間転写ベルト10上に残ったトナーを所定の極性に帯電する2次転写残トナー帯電工程を有する。
【0041】
ここで、図3は、後述する本発明に従う本実施例の制御との対比の目的で、従来の2次転写残トナーの除去工程と1次転写制御工程とを示すシーケンスチャート図である。図中、インピーダンス検知制御を「Imp」、1次転写バイアス印加を「Tr1」、2次転写バイアス印加を「Tr2」で示した。又、図中、帯電ブラシ9のバイアス印加による2次転写残トナーの帯電を「Ch2」、1次転写バイアス印加による、2次転写残トナーの1次転写部における回収を「RET」で示した。更に、図中、中間転写ベルト10上の帯電ブラシ9の接触部N3から1色目の1次転写部N1Yまでの移動時間(回転時間)を「TC1」で示した。
【0042】
画像を形成するための一連の動作、即ち、印字シーケンスは、次のような前回転工程と、連続画像形成工程と、後回転工程とから成る。前回転工程は、インピーダンス検知制御などを行う。連続画像形成工程は、画像形成工程、2次転写残トナー除去工程の繰り返しによって画像形成工程を繰り返して行う。後回転工程は、該連続画像形成工程の後に、第2の像担持体のクリーニングを行う。
【0043】
又、帯電ブラシ9は、2次転写残トナーの帯電を繰り返すことで、ブラシの隙間にトナーが蓄積されるため、帯電ブラシ9をクリーニングする帯電ブラシクリーニング工程を行うことが望ましい。
【0044】
図4は帯電ブラシクリーニング工程を示すタイミングチャート図である。図中、「ChPC」は帯電ブラシ9への正極性バイアス印加を、「ChNC」は帯電ブラシ9への負極性バイアス印加を、「ChCRET」は1次転写ローラ6への負極性バイアスの印加を示す。「TC1」は図3と同様である。
【0045】
更に説明すると、「ChPC」、「ChNC」は、中間転写ベルト10の駆動時間帯で、帯電ブラシ9に正極性、負極性のバイアスを交互に印加することを示している。このバイアス印加によって、2次転写残トナーの帯電時に正極性に帯電しきれず帯電ブラシ9に蓄積した負極性のトナーが、中間転写ベルト10上に吐き出される。このトナーは、「ChCRET」で示す、1色目の1次転写部N1Yの1次転写ローラ1Yに対する負極性(本実施例のトナーの正規の帯電極性と同極性)のバイアスの印加によって、感光ドラム1Yへ静電的に転写され、中間転写ベルト10より除去される。帯電ブラシクリーニング工程では、1次転写部N1Yには、正規の帯電極性に帯電したトナーを中間転写ベルト10から感光ドラム1Yへ向かわせる方向(極性)の電界が形成される。そして、感光ドラム1Yへ転写された、帯電ブラシ9から吐き出されたトナーは、クリーナ5Yに回収され、帯電ブラシクリーニング工程は完了する。尚、通常、帯電ブラシクリーニング工程は印字シーケンスの後回転工程などで行う。
【0046】
具体的には、一例としてフルカラー普通紙印字モードの1次転写制御工程は、次の設定で実行することができる。即ち、1ページ目の1色目の1次転写の前の時間帯で、電圧初期値V0を300V、目標電流Iを5μA、Is1を0.5μA、V1を20V、Is2を0.1μAを、V2を5Vとしてインピーダンス検知制御を行う。そして、1次転写時には、転写電流が1色目で4μA、2〜4色目で5μAとなるよう、それぞれ電圧を計算して印加する。電圧印加は1ページ目の1次転写以降、シーケンス終了まで行う。
【0047】
又、図3に示す2次転写残トナーの除去工程は、具体的には、例えば次の設定で実行することができる。即ち、帯電ブラシ9に対する1.2kVの帯電バイアスの印加を、2次転写残トナーの帯電時にのみ行う。1次転写部N1では、中間転写ベルト10への画像の1次転写と、感光ドラム1へのトナーの回収とが行われる。
【0048】
更に、図4に示す帯電ブラシクリーニング工程は、具体的には、例えば次の設定で実行することができる。即ち、帯電ブラシ9に+300V、−300Vの電圧を200msずつ交互に3回ずつ印加して、蓄積したトナーを中間転写ベルト10に吐き出す。そして、1次転写部N1で−500Vの電圧を印加することで、中間転写ベルト10上のトナーを感光ドラム1に回収する。
【0049】
[帯電ブラシに対する電圧印加]
上述のように、中間転写ベルト10上のトナーを帯電する部材としてコスト面などで優れるブラシを用いることができる。そして、このような画像形成装置100において、印字1ページ毎に2次転写残トナー回収工程を行うことによって、2次転写残トナーが次のページ以降の印字画像のトナーと中間転写ベルト10上で重なって画像不良を発生させることを抑制することができる。又、このような画像形成装置100において、中間転写ベルト10のインピーダンスを考慮した適当な1次転写バイアスを印加することで、高画質な画像を提供することができる。
【0050】
しかしながら、前述したように、帯電ブラシ9などのトナーを溜め込みやすい形状の帯電部材を用いる場合、帯電ブラシクリーニング工程を実行しても、1回の印字シーケンス内で良好にクリーニングすることが困難である場合がある。そのため、中間転写ベルト10の回転中の帯電ブラシ9からの望まないトナー、主に帯電ブラシ9に蓄積した負極性のトナーの吐き出しに起因する画像不具合が発生する場合がある。
【0051】
本実施例の主要な目的は、中間転写体上の残留トナーを帯電する帯電部材の作用に起因する画像不具合を抑制することである。本実施例のより詳細な目的の1つは、中間転写体の回転中の帯電部材からの望まないトナー吐き出しに起因する画像不良を、1回の印字シーケンス内で抑制することである。
【0052】
そこで、本実施例では、帯電ブラシ9に印加する電圧は、以下に詳しく説明するようにして制御する。
【0053】
図5は、本実施例の印字シーケンスにおける、望まないトナー吐き出しを抑制する手段としての、1次転写プロセス以降における各バイアスの印加タイミングを示す図である。図中、「ChB」は、「Ch2」で示す2次転写残トナーの帯電時以外の時間帯での帯電ブラシ9へのバイアス印加を示す。その他の記号は図3と同様である。
【0054】
図5に示す本実施例の印字シーケンスは、基本的には図3に示す従来のものと同様の工程を有し、帯電ブラシ9へのバイアス印加タイミングが本実施例に特有のものである。
【0055】
更に説明すると、「ChB」は、中間転写ベルト10の駆動時間帯で、且つ、「Ch2」以外の時間帯で常に、正極性バイアスを帯電ブラシ9に印加することを示している。このバイアス印加によって、帯電ブラシ9からのトナー吐き出しを常に抑制することができる。これにより、中間転写ベルト10の回転中に帯電ブラシ9から不意に吐き出されたトナーの上に画像が1次転写されることによる画像不良を抑制することができる。
【0056】
尚、1度の印字シーケンス内に限っていえば、帯電ブラシ9に対するバイアス印加(トナー吐き出し抑制制御)を常に行わなくとも、中間転写ベルト10上の画像が1次転写される領域のみについて行えばよい。但し、印字シーケンス後に、中間転写ベルト10上に帯電ブラシ9から吐き出されたトナーが残ると、長期放置した際などにトナーの極性が変化し、クリーニングが困難になる場合がある。そのため、画像不良などの問題を引き起こしやすくなると考えられる。従って、帯電ブラシ9に対するバイアス印加(トナー吐き出し抑制制御)は常に行うことが望ましい。このように、好ましくは、中間転写ベルト10の回転中は、常に、帯電ブラシ9に中間転写ベルト10上の2次転写トナーを帯電させる帯電電圧と同じ極性の所定の電圧が印加される。ここで、帯電ブラシ9に中間転写ベルト10上の2次転写残トナーを帯電させる帯電電圧と同じ極性の所定の電圧が印加されるよりも前に、中間転写ベルト10が移動を開始することを禁止するようにすることができる。これにより、より確実に、帯電ブラシ9によって所定の電圧を印加された中間転写ベルト10上の領域が1次転写部N1を通過する時間帯に1次転写工程を行うことができる。或いは、少なくとも印字シーケンス終了後に中間転写ベルト10の周上にトナーが残っていないように、中間転写ベルト10の最後の1周で、上記吐き出し抑制制御と中間転写ベルト10のクリーニング工程(2次転写残トナー除去工程)を行っても良い。
【0057】
具体的には、一例として、2次転写残トナーの帯電時(「CH2」)は、帯電ブラシ9に対して1.2kVのバイアスの印加を行う。又、中間転写ベルト10の駆動時間帯で2次転写残トナーの帯電を行わない時(「ChB」)は、帯電ブラシ9に対してトナー吐き出し抑制のために1.0kVのバイアスの印加を行う。このように、「ChB」において帯電ブラシ9に印加するバイアスは、「CH2」において帯電ブラシ9に印加するバイアスと同極性であれば、バイアス値は異なっていてもよい。
【0058】
上述のように、本実施例では、画像形成装置100は、トナー像を担持する感光ドラム1と、移動可能な中間転写ベルト10と、感光ドラム1上のトナー像を中間転写ベルト10上に1次転写する1次転写ローラ6と、を有する。又、画像形成装置100は、中間転写ベルト10上のトナー像を転写する2次転写ローラ8と、中間転写ベルト10に接触し、中間転写ベルト10上のトナーを帯電するブラシ形状の帯電ブラシ9と、帯電ブラシ9に電圧を印加する電源90と、を有する。ここで、中間転写ベルト10の移動方向において、帯電ブラシ9は2次転写ローラ8の下流側で1次転写ローラ1の上流側に配置され、電源90は中間転写ベルト10上のトナーを帯電するための帯電電圧を出力する。そして、本実施例では、直後に1次転写が行われる中間転写ベルト10上の領域の全てが帯電ブラシ9と接触する領域N3を通過する間中、帯電ブラシ9には上記帯電電圧と同じ極性の電圧が印加されるように制御する。好ましい一実施態様では、帯電ブラシ9に上記帯電電圧と同じ極性の電圧が印加されるよりも前に、中間転写ベルト10が移動を開始することを禁止する。又、換言すれば、本実施例では、1次転写が行われる直前に、上記帯電電圧と同じ極性の電圧が帯電ブラシ9に印加されている間に帯電ブラシ9と接触する領域以外の中間転写ベルト10上の領域には、1次転写を行うことを禁止するよう制御する。
【0059】
本実施例では、画像形成装置100の動作は、装置本体に設けられた制御手段としてのコントローラ14が統括的に制御する。特に、本実施例に関連して、コントローラ14は、上述のように1次転写バイアス制御手段14として機能して1次転写バイアス電源7の電圧出力の開始/停止、出力電圧値(その極性切り替えを含む)を行う。又、本実施例に関連して、コントローラ14は、帯電バイアス電源90の電圧出力の開始/停止、出力電圧値(その極性切り替えを含む)を行う。更に、コントローラ14は、上記中間転写ベルト10の駆動を禁止する制御、更には中間転写ベルト10上の帯電ブラシ9により所定の電圧が印加された領域を認識してその領域以外の領域に1次転写が行われることを禁止する制御などを実行することができる。コントローラ14は、コントローラ14に内蔵されるか又はコントローラ14に接続された記憶手段に記憶されたプログラムに従って制御を行う。
【0060】
ここで、本実施例では、帯電バイアス電源90は、電圧出力部として正極性電圧出力部91と負極性電圧出力部92とを有する。本実施例では、正極性電圧出力部91が、中間転写ベルト10上の2次転写残トナーを帯電するための帯電電圧を出力する。又、本実施例では、負極性電圧出力部92が、帯電ブラシクリーニング工程で帯電ブラシ9からトナーを中間転写ベルト10へ吐き出すための電圧を出力する。又、帯電バイアス電源90は、電圧出力部から出力する電圧の極性を切り替える切り替え手段93を有する。
【0061】
又、本実施例では、少なくとも第1の画像形成部SYの2次転写バイアス電源7Yは、電圧出力部として正極性電圧出力部71と負極性電圧出力部72とを有する。本実施例では、正極性電圧出力部71が、感光ドラム1Yから中間転写ベルト10へのトナー像の1次転写、及び中間転写ベルト10から感光ドラム1への2次転写残トナーの逆転写のための電圧を出力する。又、本実施例では、負極性電圧出力部72が、帯電ブラシクリーニング工程で帯電ブラシ9から吐き出されたトナーを中間転写ベルト10から感光ドラム1Yへ逆転写するための電圧を出力する。又、2次転写バイアス電源7Yは、電圧出力部から出力する電圧の極性を切り替える切り替え手段73を有する。
【0062】
尚、本実施例では、中間転写ベルト10からのトナーを回収する画像形成部は、2次転写残トナー除去工程及び帯電ブラシクリーニング工程のいずれにおいても、中間転写ベルト10の移動方向において最上流の第1の画像形成部Sであるものとした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、帯電ブラシクリーニング工程において帯電ブラシ9から吐き出されたトナーを、第1の画像形成部以外の画像形成部で回収することができる。この場合、図1に示すように、第1の画像形成部以外の画像形成部(全て又は一部)の1次転写バイアス電源7を、上記本実施例における第1の画像形成部の1次転写バイアス電源と同様の構成とすることができる。
【0063】
以上説明したように、本実施例によれば、不意に帯電ブラシ9からトナーが吐き出されることによって中間転写ベルト10が汚れること、又その面を画像形成に使用することで画像不良が発生することを抑制して、良好な画質を得ることができる。特に、2次転写残トナーを帯電する部材としてブラシなどのトナーを溜め込みやすい形状のものを用いた場合に非常に有効である。
【0064】
即ち、本実施例によれば、中間転写体の回転中の帯電部材からの望まないトナー吐き出しに起因する画像不良を、1回の印字シーケンス内で抑制することができる。従って、本実施例によれば、中間転写体上の残留トナーを帯電する帯電部材の作用に起因する画像不具合を抑制することができる。
【0065】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0066】
例えば電気抵抗値(体積抵抗率)が1010〜1013Ω・cmの高抵抗の中間転写ベルト10を用いる場合、帯電ブラシ9で帯電を行うと、中間転写ベルト10がチャージアップし、帯電前に比べ中間転写ベルト10の表面の電位が変化する。そして、実施例1で説明したようなインピーダンス検知制御において、中間転写ベルト10のチャージアップした領域が1次転写部N1に進入した場合と、そうでない領域が1次転写部N1に進入した場合とでは、同じ電圧を印加しても検知電流が異なる。
【0067】
連続印字中は、1次転写工程の時間帯にチャージアップした中間転写ベルト10の領域が1次転写部N1に進入する。従って、上記の如きチャージアップによる検知電流の違いを考慮すると、インピーダンス検知時に、中間転写ベルト10上のチャージアップした領域が1次転写部N1を通過するようにすることが望ましい。これにより、印字時と同条件にし、適切なインピーダンス検知を行うことができる。しかし、従来は、チャージアップしていない領域が1次転写部N1を通過している時にインピーダンス検知を行っているため(図3参照)、連続印字中の1次転写バイアスが不適当になり、転写不良などの不具合が発生する場合があった。
【0068】
即ち、1次転写時とインピーダンス検知時とにおける、1次転写部N1に進入する中間転写ベルト10の表面電位の差をなくすことが課題の1つとして挙げられる。
【0069】
図6は、本実施例の印字シーケンスにおける1次転写プロセス以降における各バイアスの印加タイミングを示す図である。図中、「ChImp」、「ChT」は、帯電ブラシ9へのバイアス印加を示す。その他の記号は図3と同様である。
【0070】
尚、本実施例では、画像形成装置100は、高抵抗の中間転写ベルト10を用いている。
【0071】
図6に示す本実施例における印字シーケンスは、基本的には図3に示す従来のものと同様の工程を有し、帯電ブラシ9へのバイアス印加タイミングが本実施例に特有のものである。
【0072】
更に説明すると、「ChImp」、「ChT」はそれぞれ、1次転写部N1で「Imp」、「Tr1」におけるバイアスが印加される中間転写ベルト10上の部分に、予め帯電ブラシ9でバイアスを印加することを示している。「ChImp」、「ChT」の両バイアス値を同じバイアス値にすることによって、1次転写部で「Imp」、「Tr1」のバイアスが印加される中間転写ベルトの部分を、中間転写ベルトの抵抗値に関わらず常に同じチャージアップ状態に保つことができる。こうすることで、インピーダンス検知制御(「Imp」)において1次転写部N1に進入する中間転写ベルト10の表面電位を、印字時(「Tr1」)と一致させることができる。従って、そのインピーダンス検知制御における検知結果を反映して決定した1次転写バイアスは、印字に適した値となり、良好な画像を得ることができる。
【0073】
具体的には、一例として中間転写ベルト10の電気抵抗値(体積抵抗率)が1012Ω・cmである場合に、帯電ブラシ9に対して、「ChImp」と各ページの「ChT」、「Ch2」の全てで1.2kVのバイアスの印加を行う。
【0074】
このように、例えば中間転写ベルト10の体積抵抗率が1010〜1013Ω・cmであり、1次転写部N1に設けられた電流検知回路を用いて1次転写部N1のインピーダンスを検知する工程を有する場合に、本実施例は非常に有効である。即ち、本実施例によれば、上記インピーダンスを検知する工程と、1次転写工程との両方を、帯電ブラシ9によって所定の電圧を印加された中間転写ベルト10上の領域が、1次転写部N1を通過する時間帯に行うことができる。
【0075】
以上説明したように、本実施例によれば、インピーダンス検知制御と1次転写とのそれぞれの時間帯に1次転写部N1を通過する中間転写ベルト10上の領域を、予め同じ値のバイアスを帯電ブラシ9に印加することよって帯電させる。これにより、インピーダンス検知制御時において1次転写部N1に進入する中間転写ベルト10の表面電位を、印字時と一致させることができ、中間転写ベルト10の抵抗によらず良好な1次転写性を実現することができる。
【0076】
即ち、本実施例によれば、比較的高抵抗な中間転写ベルト10を用いた場合に、中間転写ベルト10の抵抗に起因して1次転写制御工程が不正確になり、画像不良が発生する虞を低減することができる。
【0077】
又、中間転写ベルト10上の画像が1次転写される領域については、帯電ブラシ9により帯電されて、帯電ブラシ9からの望まないトナー吐き出しの抑制も行われている。従って、実施例1にて説明したのと同様のメカニズムで、1度の印字シーケンス内であれば、不意に帯電ブラシ9から吐き出されたトナー上に画像が1次転写されることによる画像不良を抑制することができる。又、実施例1にて説明したように常時帯電ブラシ9にバイアスを印加すれば、常に帯電ブラシ9からの望まないトナー吐き出しを抑制することもできる。
【0078】
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の各実施例の態様に限定されるものではない。例えば、本発明は、トナーを溜め込みやすいスポンジローラなどを採用した場合にも同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0079】
1 感光ドラム
6 1次転写ローラ
7 1次転写バイアス電源
8 2次転写ローラ
9 帯電ブラシ
90 帯電バイアス電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、移動可能な中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を中間転写体上に1次転写する1次転写部材と、前記中間転写体上のトナー像を転写する2次転写部材と、前記中間転写体に接触し、前記中間転写体上のトナーを帯電するブラシ形状の帯電ブラシと、前記帯電ブラシに電圧を印加する電源と、を有し、前記中間転写体の移動方向において、前記帯電ブラシは前記2次転写部材の下流側で前記1次転写部材の上流側に配置され、前記電源は前記中間転写体上のトナーを帯電するための帯電電圧を出力する画像形成装置において、
直後に前記1次転写が行われる前記中間転写体上の領域の全てが前記帯電ブラシと接触する領域を通過する間中、前記帯電ブラシには前記帯電電圧と同じ極性の電圧が印加されるように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記帯電ブラシに前記帯電電圧と同じ極性の電圧が印加されるよりも前に、前記中間転写体が移動を開始することを禁止することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電ブラシによって帯電されたトナーが、前記中間転写体から前記像担持体上に前記1次転写と同時に転写されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナー像を担持する像担持体と、移動可能な中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を中間転写体上に1次転写する1次転写部材と、前記中間転写体上のトナー像を転写する2次転写部材と、前記中間転写体に接触する帯電部材と、前記帯電部材に電圧を印加する電源と、を有し、前記中間転写体の移動方向において、前記帯電部材は前記2次転写部材の下流側で前記1次転写部材の上流側に配置され、前記電源は前記中間転写体上のトナーを帯電するための帯電電圧を出力する画像形成装置において、
前記1次転写が行われる直前に、前記帯電電圧と同じ極性の電圧が前記帯電部材に印加されている間に前記帯電部材と接触する領域以外の前記中間転写体上の領域には、前記1次転写を行うことを禁止するよう制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電部材に前記帯電電圧と同じ極性の電圧が印加されるよりも前に前記中間転写体が移動を開始することを禁止することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電部材によって帯電されたトナーが、前記中間転写体から前記像担持体上に前記1次転写と同時に転写されることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−80253(P2013−80253A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−283715(P2012−283715)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2007−106478(P2007−106478)の分割
【原出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】