説明

画像形成装置

【課題】画像形成モードの変更等により中間転写ベルトの張力が変化しても、クリーニング不良を生じさせず良好な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】制御手段が、調整機構に対して、中間転写ベルトの張力に基づいて、クリーニング部材と中間転写ベルトとの当接条件を記録材料のクリーニングに適した条件となるように調整させるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の1次転写部においてそれぞれ画像を中間転写体上に1次転写し、さらに2次転写部において中間転写体上の画像を転写材に2次転写する際に、転写材に2次転写されずに中間転写体に残存した記録材料を除去するクリーニング部を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の1次転写部において、所望の画像が色分解されたそれぞれ異なる色のトナー画像を重ね合わせるように中間転写体に1次転写し、1次転写された重ね合わせトナー画像を転写材に2次転写することで転写材にフルカラーのトナー画像を形成することが可能な画像形成装置が知られている。
【0003】
上記のような画像形成装置においては、図11(a)に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像が形成される感光体ドラム41Y〜41Kと、感光体ドラム上のトナー画像を中間転写ベルト31に転写させるための1次転写ローラ46Y〜46Kとを、中間転写ベルトを介してそれぞれ互いに圧接させ、1次転写ローラ46Y〜46Kにそれぞれ適正な電圧を印加することで、感光体ドラムから中間転写ベルト31へトナー画像を静電的に転写させることが行われている。
さらに、このような画像形成装置においては、トナー画像の1次転写を行う場合に互いに圧接させていた感光体ドラムと1次転写ローラとを、対応する色の画像の1次転写を行わない場合には互いに離間させておく構成を採ることが多い。
【0004】
例えば、モノクロ画像を形成する際には、黒色のトナー画像のみ1次転写が行われるため、図11(b)に示すように、黒色に対応する感光体ドラム41Kと1次転写ローラ46Kとは互いに圧接状態にあるのに対して、黒色以外の色に対応する感光体ドラムと1次転写ローラとは全て互いに離間した状態となっている。
中間転写ベルト31上に1次転写された画像は、2次転写部において、搬送されてきた転写材に2次転写される。ここで、2次転写部において転写材に転写され切れずに中間転写ベルト上に残存した記録材料は、2次転写部よりも中間転写ベルトの進行方向下流側に設けられたクリーニング部により除去される。
【0005】
このクリーニング部の構成としては、図11に示すように、ブレード状のクリーニング部材35aを中間転写ベルト31に当接させることで、中間転写ベルト31に付着したトナーを削ぎ落とす構成が広く知られている。上記クリーニング部材35aは、トナーのクリーニングに適した所定の圧力及び角度で中間転写ベルト31に当接されている。
また、上記クリーニング部材35aは、クリーニング性能をより向上させるために、中間転写ベルト31を回動可能に支持しているローラに対向しない位置に設けられていることが好ましい。
これは、クリーニング部材35aがローラに対向する位置に設けられていると、例えばローラに何かしらの異物が付着した場合に、ローラの回転とともにクリーニング部材35aがその異物に追従して浮き上がる様な挙動をする恐れがあるためである。クリーニング部材35aがこのような挙動をすると、クリーニング部材35aと中間転写ベルト31との間に隙間ができ、その隙間をトナーがすり抜けてしまうことでクリーニング性能が低下するという問題が生じることになり好ましくない。
【0006】
特許文献1には、中間転写体の移動経路が変化しても、中間転写体とクリーニングユニットとの相対的な位置関係を一定に保つことで良好なクリーニングを行うことが可能な画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−72254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1に記載の画像形成装置においては、画像形成のモードの変化によって、中間転写ベルトの張力に変化が生じ、それによりクリーニング部材と中間転写ベルトとの当接関係が変化し、クリーニング性能が低下して後続の画像形成に影響が生じる場合がある。
具体的には、図11(a)に示すように、カラー画像を形成する際には、各色に対応する感光体ドラム41Y〜41Kと1次転写ローラ46Y〜46Kとが全て互いに圧接された状態となっているため、中間転写ベルト31が感光体ドラム方向(図の右方向)に押し出される。これにより、中間転写ベルト31の張力は大きくなり、クリーニング部材35aにより良好なクリーニングが行われることとなる。
一方、同様の画像形成装置によってモノクロの画像を形成する際には、図11(b)に示すように、黒色以外の色に対応する感光体ドラムと1次転写ローラとは全て互いに離間した状態となっているため、カラー画像を形成する場合と比較して中間転写ベルト31が感光体ドラム方向に押し出される力が小さくなる。よって、中間転写ベルト31の張力は、カラー画像を形成する場合と比較して小さくなる。
中間転写ベルトの張力が小さくなると、クリーニング部材が中間転写ベルトを支持するローラに対向しない位置に設けられている場合には、中間転写ベルトのたるみにより記録材料がクリーニング部材をすり抜ける現象が起こり易くなり、後続の画像形成に影響を与えることになってしまうという課題があった。
【0009】
本発明は上記課題を鑑みてなされたもので、画像形成モードの変更等により中間転写ベルトの張力が変化しても、クリーニング不良を生じさせず良好な画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の解決のために、請求項1に記載の画像形成装置は、記録材料によって画像がそれぞれ形成される複数の像担持体と、前記複数の像担持体に形成された画像が転写される中間転写体と、前記複数の像担持体に形成された画像をそれぞれ前記中間転写体へ転写させる複数の転写部材と、前記中間転写体を支持する支持部材と、前記中間転写体に転写された画像をさらに転写材に転写する2次転写部と、前記支持部材との対向位置以外の位置において、前記中間転写体の基準の張力に基づいた所定の条件で前記中間転写体に当接し、前記2次転写部において転写材に転写されずに前記中間転写体に残存した記録材料を除去するクリーニング部材と、前記クリーニング部材と前記中間転写体との当接条件の調整が可能な調整機構と、前記中間転写体の張力が、前記中間転写体の基準の張力から変化する場合に、前記クリーニング部材と前記中間転写体との当接条件を、前記クリーニング部材による前記記録材料の除去に適した条件となるように調整するよう前記調整機構を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記複数の転写部材をそれぞれ前記複数の像担持体に対して圧接及び離間させる圧接離間機構を有し、前記制御手段は、画像が形成されない前記像担持体と前記転写部材とを離間させておくよう前記圧接離間機構を制御する画像形成装置であって、前記制御手段は、1以上の前記像担持体と前記転写部材とが離間している場合に、前記当接条件の調整を行うよう前記調整機構を制御することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、互いに異なる色の前記記録材料によって、前記複数の像担持体にそれぞれ互いに異なる色の画像を形成し、当該互いに異なる色の画像を重ね合わせることでカラー画像を形成するカラーモードと、単一の色の前記記録材料によって、前記複数の像担持体のうち何れか1つに前記単一の色で構成される画像であるモノクロ画像を形成するモノクロモードと、前記複数の転写部材をそれぞれ前記複数の像担持体に対して圧接及び離間させる圧接離間機構と、を有し、前記制御手段は、画像が形成されない前記像担持体と前記転写部材とを離間させておくよう前記圧接離間機構を制御する画像形成装置であって、前記制御手段は、前記モノクロモードを実行する場合に、前記当接条件の調整を行うよう前記調整機構を制御することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置であって、前記単一の色は、黒色であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、前記中間転写体の張力を検知する検知手段を有し、前記制御手段は、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記当接条件の調整を行うよう前記調整機構を制御することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置であって、前記調整機構は、前記中間転写体の張力を変化させることで前記当接条件の調整を行うものであって、前記制御手段は、前記当接条件の調整を行う場合に、前記中間転写体の張力が概略一定となるように前記調整機構を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の画像形成装置であって、前記調整機構は、前記クリーニング部材の前記中間転写体に対する当接圧力を変化させることで前記当接条件の調整を行うものであって、前記制御手段は、前記当接条件の調整を行う場合に、前記当接圧力を大きくするように前記調整機構を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の画像形成装置であって、前記調整機構は、前記クリーニング部材の前記中間転写体に対する当接角度を変化させることで前記当接条件の調整を行うものであって、前記制御手段は、前記当接条件の調整を行う場合に、前記当接角度を大きくするように前記調整機構を制御することを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の何れか一項に記載の画像形成装置であって、前記2次転写部より前記中間転写体の走行方向下流側且つ前記クリーニング部材より前記中間転写体の走行方向上流側に、前記中間転写体に残存した記録材料を除去するクリーニング手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る画像形成装置によれば、中間転写ベルトの張力が変化しても、その張力の変化に応じてクリーニング部材を適切な条件で中間転写ベルトに当接させることができるので、クリーニング不良を生じさせることなく常に良好な画像形成を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における中間転写ベルトクリーニング部付近の構成を示す図である。
【図4】カラー画像及びモノクロ画像を形成する場合の中間転写ベルト周辺の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるCPU50による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】中間転写ベルトを支持するローラ付近の構成を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における中間転写ベルトクリーニング部付近の構成を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるCPU50による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態における中間転写ベルトクリーニング部付近の構成を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態におけるCPU50による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】カラー画像が形成可能な画像形成装置における中間転写ベルト周辺の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置全体の構成を示す断面図である。図1に示す画像形成装置20は、フルカラーの画像を形成可能なタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。
【0022】
画像形成装置20は、スキャナ部22、プリンタ部24、給紙部32、操作表示部23等から構成されている。
スキャナ部22は、自動原稿給紙装置21、光学系22a、CCDイメージセンサ22b等から構成されている。
プリンタ部24は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応したトナー画像を形成する画像形成手段40Y、40M、40C、40Kと、各画像形成手段により形成されるトナー画像が転写される中間転写体としての中間転写ベルト31、中間転写ベルト31上のトナー画像を用紙に転写する2次転写部D、用紙に転写されたトナー像を定着する定着装置34等から構成されている。
給紙部32は、給紙トレイ32a〜32c等から構成されており、給紙部32より適切な用紙が適切なタイミングにて給紙される。
操作表示部23は、例えばタッチパネル方式の画面を備えており、ユーザは画面上に表示されるアイコン等に触れることで、画像形成の内容に関する設定や、画像形成開始の指示等を行うことができる。
【0023】
以上が画像形成装置20の各部の概要である。続いて、画像形成装置20によって用紙に対してフルカラーの画像を形成する場合を例にとり、その一連の動作について説明する。
【0024】
操作表示部23において画像形成開始の指示がなされると、自動原稿給紙装置21の原稿台21aに載置された原稿Jは原稿読み取り部へ搬送される。そして、図示しない光源より原稿に照射された光の反射光が、光学系22aを介してCCDイメージセンサ22bにより読み取られる。
CCDイメージセンサ22bにより読み取られた信号に対しては、各種画像処理が施される。画像処理が施された画像信号に基づいて、画像形成手段40Y〜40Kが各色のトナー画像を形成する。
【0025】
イエロー色のトナー画像を形成する画像形成手段40Yは、像担持体としての感光体ドラム41Y、帯電部42Y、露光部45Y、現像部43Y、クリーニング部44Yから構成されている。画像を形成する場合は、感光体ドラム41Yは図示しない駆動手段により図1の矢印A方向に回転され、その表面が帯電部42Yにより一様に帯電される。一様に帯電された感光体ドラム41Yに対して、露光部45Yが上記画像信号に基づいてレーザー光を照射することで、イエロー色の画像に対応した静電潜像を形成する。
【0026】
次に、現像部43Yにより感光体ドラム41Y上の静電潜像に対して、記録材料としてのイエロー色のトナーが送り込まれ、感光体ドラム41Y上にイエロー色のトナー画像が形成される。形成されたトナー画像は、図示しない電圧印加手段によって1次転写ローラ46Yに印加される転写電圧によって中間転写ベルト31に静電的に転写される。
転写部材としての1次転写ローラ46Yは、圧接離間機構47Yによって感光体ドラム41Yに圧接する位置と、離間する位置とに移動可能となるよう構成されている。イエロー色の画像を形成する際には、図1に示すように中間転写ベルト31を介して感光体ドラム41Yに圧接されている。
中間転写ベルト31に転写され切れずに感光体ドラム41Yの表面に残存したトナーは、クリーニング部44Yにより取り除かれ、次のトナー画像の形成に備える。
【0027】
マゼンタ色のトナー画像を形成する画像形成手段40M、シアン色の画像を形成する画像形成手段40C及びブラック色の画像を形成する画像形成手段40Kは、何れもイエロー色の画像を形成する画像形成手段40Yと同様の構成を有しているため、その詳細な説明は省略する。
【0028】
中間転写ベルト31は、支持部材としての複数のローラ37a〜37eに巻き回された無端状のベルトであり、回転可能に支持されている。画像形成を行う際には、中間転写ベルト31は駆動ローラ37aの回転駆動によって図1の矢印B方向に回転される。
フルカラーの画像形成を行う際には、イエロー色のトナー画像から順に、1次転写ローラ46Y、46M、46C及び46Kにおいて、適切なタイミングにてトナー画像を中間転写ベルト31にそれぞれ転写させることで、原稿画像に対応した適切なフルカラーのトナー画像が中間転写ベルト31上に形成される。
【0029】
一方、給紙トレイ32a〜32cの何れかより給紙された用紙は、搬送路33aを搬送され、レジストローラ対33cに到達する。レジストローラ対33cにより用紙の搬送方向の斜行が修正され、中間転写ベルト31上のカラートナー画像とタイミングを合わせるように用紙が2次転写部Dへと搬送される。
2次転写部Dにおいては、中間転写ベルト31上のフルカラーのトナー画像が静電的に用紙に転写される。
【0030】
フルカラーのトナー画像が転写された用紙は定着装置34に向けて搬送され、トナー画像の定着が行われる。一方、2次転写部Dにおいて用紙に転写され切れずに中間転写ベルト31上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニング部35により取り除かれる。
【0031】
中間転写ベルトクリーニング部35は、ブレード状のクリーニング部材35aと、テンション調整ローラ35b等から構成されている。クリーニング部材35aは、トナーのクリーニングに適した所定の角度及び圧力にて、中間転写ベルト31におけるローラ37a〜37eの何れのローラにも対向しない位置に当接されている。
上記所定の角度及び圧力は、全ての1次転写ローラが各感光体ドラムに圧接している状態における中間転写ベルト31の張力を基準とし、この基準の張力に基づいて、適切にクリーニングが行われるように予め決められる。
クリーニング部材35aにより、中間転写ベルト31上に付着した残存トナーが削ぎ落とされるようにして除去される。
【0032】
テンション調整ローラ35bは、中間転写ベルト31の張力を調整するためのローラである。テンション調整ローラ35bの動作の詳細については後述する。
【0033】
定着装置34は、定着ローラ34a、加圧ローラ34b等から構成されている。定着ローラ34a及び加圧ローラ34bは、それぞれ図示しない加熱手段によりその表面がトナー画像の定着に適した温度となるように加熱されている。ここで、定着ローラ34aの表面温度は、加圧ローラ34bの表面温度より高くなるよう予め設定されている。
トナー画像が転写された用紙に対して、定着ローラ34a及び加圧ローラ34bにより熱と圧力が加えられることにより、カラートナー画像が用紙に定着される。
カラートナー画像が定着された用紙は、搬送路33aを搬送され、画像形成装置20の装置外へ排出される。
【0034】
用紙の両面に画像を形成する場合は、定着装置34によって用紙の表面に対してトナー画像が定着されると、用紙は分岐手段36によって反転経路33bに向けて搬送され、搬送方向の先後端が反転される。先後端が反転された用紙は反転経路33bを通りレジストローラ対33cまで搬送され、搬送方向の斜行が修正される。
その後、2次転写部Dにおいて用紙の裏面に形成される画像に対応したカラートナー画像が上述の通り転写され、定着装置34によって裏面のカラートナー画像が定着され、画像形成装置20の装置外へ排出される。
【0035】
以上が、画像形成装置20により用紙に対してカラー画像を形成する際の一連の動作の説明である。ここでは、カラー画像を形成するカラーモードにおける例を説明したが、画像形成装置20は、単一の色で構成されるモノクロの画像を形成するモノクロモードも備えている。カラーモードを実行するかモノクロモードを実行するかは、例えば操作表示部23における操作により選択することができる。
【0036】
図2は、画像形成装置20の電気的構成を示すブロック図である。図1と同一の構成に対しては図1において付した符号と同一の符号を付している。
画像形成装置20は、スキャナ部22、プリンタ部24、給紙部32、操作表示部23、CPU50、ROM51、RAM52、HDD53等から構成されている。
【0037】
プリンタ部24は、画像形成手段40や圧接離間機構47、中間転写ベルトクリーニング部35等から構成されており、中間転写ベルトクリーニング部35には、上述したようにテンション調整ローラ35bを回転させるモータM1が含まれている。
【0038】
制御手段としてのCPU50は、操作表示部23における入力情報を受けて、スキャナ部22、プリンタ部24及び給紙部32の各部の動作を制御し、用紙に対して入力情報に応じた適切な画像を形成させる。
ROM51には、各種のプログラム或いはデータが格納されており、CPU50はROM51からプログラム或いはデータを読み出して画像形成装置20の各部を制御する。
RAM52は、CPU50が上記各部の動作を制御する際に必要なプログラム或いはデータを一時的に記憶する場所である。
HDD53は、画像データを格納する場所である。スキャナ部22によって読み取られた原稿画像のデータはHDD53に格納される。
【0039】
次に、中間転写ベルトクリーニング部35周辺の構成について図3を用いて説明する。図3(a)に示すように、テンション調整ローラ35bは、中間転写ベルト31の内周面に接するようにして設けられている。
【0040】
卵形のテンション調整ローラ35bには、モータM1が接続されており、モータM1の回転駆動によりテンション調整ローラ35bは図3(a)の時計方向に回転される。図3(a)に示す状態をテンション調整ローラ35bのホームポジションとする。
テンション調整ローラ35bが回転されると、図3(b)に示すように、テンション調整ローラ35bによって中間転写ベルト31が外側(図3(b)の左側)に押し出される。これにより、中間転写ベルト31の張力が大きくなる。
図3(a)及び(b)に示すように、モータM1を駆動し、テンション調整ローラ35bを回転させることで、中間転写ベルト31の張力を調整することが可能である。本実施の形態においては、テンション調整ローラ35b及びモータM1が本発明の調整機構となる。
【0041】
図4は、中間転写ベルト31周辺の構成を簡潔に示す図である。図4(a)は、用紙に対してカラー画像を形成するカラーモード実行時の様子、図4(b)は、用紙に対して単一の色で構成される画像であるモノクロの画像を形成するモノクロモード実行時の様子をそれぞれ示している。
カラー画像を形成する場合は、図4(a)に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する1次転写ローラ46Y〜46Kが中間転写ベルト31を介してそれぞれ感光体ドラム41Y〜41Kに圧接された状態となっている。
この場合は、4つの1次転写ローラが各感光体ドラムに圧接されることによって、中間転写ベルト31が図4(a)の右方向(感光体ドラム方向)に引っ張られる現象が生じる。この現象により、中間転写ベルト31の張力が高く保たれるため、中間転写ベルトクリーニング部35のクリーニング部材35aによって、残留トナーが適切に除去される。
【0042】
一方、図4(b)には、モノクロの画像として黒色の画像を形成する場合を示している。黒色の画像を形成する場合は、ブラックのトナー像のみを形成し中間転写ベルト31に転写するため、ブラックに対応する1次転写ローラ46Kのみが、中間転写ベルト31を介して感光体ドラム41Kに圧接された状態となっている。ブラック以外の色に対応する1次転写ローラ46Y、46M、46Cは、感光体ドラム41から離間された状態となっている。
この場合は、図4(a)に示すカラー画像を形成する場合と比較して、中間転写ベルト31が感光体ドラム側に引っ張られる力が弱くなる。従って、モノクロ画像を形成する場合はカラー画像を形成する場合と比較して中間転写ベルト31の張力が弱まってしまうことになる。
【0043】
中間転写ベルト31の張力が弱まると、クリーニング部材35aと中間転写ベルト31との当接関係が変化することで、クリーニング部材35aによる残留トナーのクリーニングが不十分となり、後続の画像形成に影響を及ぼしてしまう可能性が生じる。
そこで、本実施の形態では、用紙に対してモノクロの画像を形成する際には、テンション調整ローラ35bを回転させることで中間転写ベルト31の張力を大きくすることで概略一定に保ち、中間転写ベルトクリーニング部35において残留トナーをすり抜けさせることなく除去できるようにしている。
この場合の動作の詳細について説明する。図5はCPU50による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【0044】
まず、CPU50は、操作表示部23において画像形成開始の指示がなされたか否かを判断する(ステップS1)。画像形成指示がなされていない場合は(ステップS1:No)、CPU50は画像形成指示がなされるまで待機する。
画像形成指示がなされると(ステップS1:Yes)、形成される画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを参照する(ステップS2)。
形成される画像がカラー画像である場合は(ステップS2:カラー)、1次転写ローラ46Y〜46Kをそれぞれ感光体ドラム41Y〜41Kに圧接させるよう圧接離間機構47Y〜47Kをそれぞれ制御する。また、CPU50は、テンション調整ローラ35bを図3(a)に示すホームポジションに回転移動させるようモータM1を駆動させる(ステップS3)。このとき、テンション調整ローラ35bが始めからホームポジションに位置している場合は、モータM1は駆動させない。
一方、用紙に形成される画像がモノクロ画像である場合は(ステップS2:モノクロ)、ブラックに対応する1次転写ローラ46Kのみを、感光体ドラム41Kに圧接させるよう圧接離間機構47Y〜47Kを制御する。また、CPU50は、上述のように中間転写ベルト31の張力を大きくするために、モータM1を所定時間動作させることにより、テンション調整ローラ35bを図3(b)に示す位置まで回転させ、中間転写ベルト31を外側へ押し出させるようにして中間転写ベルト31の張力を大きくするようにする(ステップS4)。
【0045】
1次転写ローラの感光体ドラムへの圧接(及びモータM1の駆動)が完了すると、CPU50は、画像形成手段によってカラー又はモノクロのトナー画像を形成させ、形成されたトナー画像を中間転写ベルト31に1次転写させ、さらに2次転写部Dにおいてトナー画像を用紙に転写させるようプリンタ部24を制御する。さらに、トナー画像が転写された用紙を定着装置34に向けて搬送させ、トナー画像を定着させる(ステップS5)。
また、2次転写部Dにおいて用紙に転写され切れずに中間転写ベルト31上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニング部35において除去される。このとき、カラー画像を形成する場合であってもモノクロ画像を形成する場合であっても、中間転写ベルト31の張力が概略一定に保たれているので、中間転写ベルト31上の残存トナーはすり抜けることなく除去される。
【0046】
以上が、本発明の第1の実施の形態についての説明である。本実施の形態によれば、モノクロ画像を形成する場合にはテンション調整ローラ35bを回転させて中間転写ベルト31の張力を大きくするようにすることで、中間転写ベルト31の張力を概略一定に保ち、以て中間転写ベルト31上の残留トナーを常に除去し切ることが可能である。
【0047】
本実施の形態においては、モノクロ画像を形成する場合にテンション調整ローラ35bを回転させることで中間転写ベルト31の張力を大きくし、中間転写ベルト31の張力を概略一定に保っていた。しかしながら、中間転写ベルト31の張力を保つための構成はこれに限られるものではない。
例えば、図6に示すように、中間転写ベルト31を支持する複数のローラ37a〜37eのうち何れか(図6ではローラ37e)の位置を可動となるように構成し、さらに当該ローラの位置を移動させるためのバネS1等の調整部材を設け、モノクロ画像を形成する場合には、バネS1の所定の力F1を掛けることで、当該ローラの位置を中間転写ベルト31の張力を大きくする方向に移動させるようにすることでも、本発明は実現可能である。
このときの力F1は、例えば予めカラー画像及びモノクロ画像を形成する場合における中間転写ベルト31の張力をそれぞれ測定しておき、それらを基にモノクロ画像を形成する場合に中間転写ベルト31の張力を、カラー画像を形成する場合の張力と等しくするために加えるべき力F1を算出して、ROM51に記憶させて上記制御の際に読み出すようにすれば良い。
【0048】
また、本実施の形態においては、クリーニング部材35aは全ての1次転写ローラが感光体ドラムに圧接した状態における中間転写ベルト31の張力を基準として、それに基づき適切にクリーニングが行われるような角度及び圧力で中間転写ベルト31に当接されている。
そのため、中間転写ベルト31の張力が低下した場合は、その張力を大きくすることで中間転写ベルト31の張力を概略一定に保つようにしていた。
【0049】
しかしながら、上記基準となる中間転写ベルト31の張力は、全ての1次転写ローラが感光体ドラムに圧接した状態における張力に限られることはない。
例えば、モノクロモード実行時のように1色に対応する1次転写ローラと感光体ドラムとが圧接されている状態における中間転写ベルト31の張力を基準の張力として、その基準の張力の場合に適切にクリーニングが行われるような角度及び圧力にてクリーニング部材35aを中間転写ベルト31に当接させるように構成しても良い。
この場合は、モノクロモード実行時はクリーニング部材35aの当接条件の調整を行わなくて良いが、カラーモード実行時はモノクロモード実行時よりも中間転写ベルト31の張力が大きくなるため、上記当接条件の調整を行って中間転写ベルト31の張力を概略一定に保つ必要がある。
この場合は、カラーモード実行時には中間転写ベルト31の張力を小さくするよう調整することで、中間転写ベルト31の張力を概略一定に保つことができるので、常に適切にクリーニングが行われ、良好な画像が形成される。
【0050】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、本発明の第1の実施の形態と重複する内容については、詳細な説明を省略する。
本発明の第2の実施の形態における画像形成装置では、モノクロ画像を形成する場合には、クリーニング部材35aが中間転写ベルト31に当接する圧力を、カラー画像を形成する場合の圧力より大きくすることで、中間転写ベルト31の張力が小さくなる場合であっても、残留トナーをすり抜けさせることなく除去することが可能となっている。
本実施の形態における画像形成装置は、本発明の第1の実施の形態において説明した画像形成装置20とほぼ同等の構成を備えているため、重複する構成については説明を省略する。
【0051】
本発明の第1の実施の形態における画像形成装置20と異なる点は、図3に示すテンション調整ローラ35bや、図6に示す移動可能なローラ37e及びバネS1のような中間転写ベルト31の張力を大きくする構成の代わりに、クリーニング部材35aの中間転写ベルト31に対する当接圧力を大きくするための構成が設けられている点である。
【0052】
図7は、本実施の形態における、中間転写ベルトクリーニング部35周辺の構成を示す図である。
図7(a)に示すように、クリーニング部材35aは、バネS2によって、カラー画像を形成する場合の中間転写ベルト31の張力に基づいて適切にクリーニングを行うことができるような所定の圧力及び所定の角度αにて中間転写ベルト31に当接されている。
本実施の形態では、モノクロ画像を形成する場合に、図7(b)に示すように、バネS2に所定の力F2をさらに加えることで、クリーニング部材35aの中間転写ベルト31に対する当接圧力を、カラー画像を形成する場合より大きくするようにしている。
このようにすることで、モノクロ画像を形成する場合のように中間転写ベルト31の張力が小さくなる場合であっても、中間転写ベルト31上の残留トナーをすり抜けさせることなく除去することが可能となる。
【0053】
本実施の形態においては、バネS2が本発明の調整機構となる。
本実施の形態における画像形成装置20の動作の詳細について説明する。図8はCPU50による制御手順の一例を示すフローチャートである。
まず、CPU50は、操作表示部23において画像形成開始の指示がなされたか否かを判断する(ステップS11)。画像形成指示がなされていない場合は(ステップS11:No)、CPU50は画像形成指示がなされるまで待機する。
操作表示部23において画像形成開始の指示がなされると(ステップS11:Yes)、CPU50は形成される画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを参照する(ステップS12)。
【0054】
形成される画像がカラー画像である場合は(ステップS12:カラー)、1次転写ローラ46Y〜46Kをそれぞれ感光体ドラム41Y〜41Kに圧接させるよう圧接離間機構47Y〜47Kを制御する。また、CPU50は、クリーニング部材35aが中間転写ベルト31に当接する圧力を予め決められた所定値とするようにする(ステップS13)。
一方、用紙に形成される画像がモノクロ画像である場合は(ステップS12:モノクロ)、ブラックに対応する1次転写ローラ46Kのみを、感光体ドラム41Kに圧接させるよう圧接離間機構47Y〜47Kを制御する。また、CPU50は、上述したようにクリーニング部材35aが中間転写ベルト31に当接する圧力を大きくするために、バネS2にさらに力F2を加えるようにする(ステップS14)。
このときの力F2は、例えば予めカラー画像及びモノクロ画像を形成する場合における中間転写ベルト31の張力をそれぞれ測定しておき、それらを基に、モノクロ画像を形成する場合にクリーニング部材35aによって適切にクリーニングを行うことを可能とするためにバネS2に加えるべき力F2を算出して、ROM51に記憶させておき本制御の際に読み出すようにすれば良い。
【0055】
1次転写ローラの感光体ドラムへの圧接(及びバネS2の付勢力の増大)が完了すると、画像形成手段によってトナー画像を形成させ、形成されたトナー画像を中間転写ベルト31に1次転写させ、さらに2次転写部Dにおいてトナー画像を用紙に転写させるようプリンタ部24を制御する。さらに、トナー画像が転写された用紙を定着装置34に向けて搬送させ、トナー画像を定着させる(ステップS15)。
また、2次転写部Dにおいて用紙に転写され切れずに中間転写ベルト31上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニング部35において除去される。このとき、モノクロ画像を形成する場合であってもクリーニング部材35aの当接圧力が大きくなっているので、中間転写ベルト31上の残存トナーはすり抜けることなく除去される。
以上が本発明の第2の実施の形態についての説明である。
【0056】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、本発明の第1及び第2の実施の形態と重複する内容については、詳細な説明を省略する。
本発明の第3の実施の形態における画像形成装置では、モノクロ画像を形成する場合には、クリーニング部材35aの中間転写ベルト31に対する当接角度を、カラー画像を形成する場合の角度から変化させることで、中間転写ベルト31の張力が小さくなる場合であっても、残留トナーをすり抜けさせることなく除去することが可能となっている。
本実施の形態における画像形成装置は、本発明の第1及び第2の実施の形態において説明した画像形成装置20とほぼ同等の構成を備えているため、重複する構成については説明を省略する。
【0057】
本発明の第1及び第2の実施の形態における画像形成装置20と異なる点は、第1の実施の形態における中間転写ベルト31の張力を大きくする構成や、第2の実施の形態におけるクリーニング部材35aの当接圧力を大きくする構成の代わりに、クリーニング部材35aの中間転写ベルト31に対する当接角度を大きくするための構成が設けられている点である。
【0058】
図9は、本実施の形態における、中間転写ベルトクリーニング部35周辺の構成を示す図である。
図9(a)に示すように、クリーニング部材35aは、カラー画像を形成する場合の中間転写ベルト31の張力に基づいて適切にクリーニングを行うことができるような所定の圧力及び所定の角度αにて中間転写ベルト31に当接されている。
クリーニング部材35aは、軸Xにより図9(a)の矢印方向に回転可能に支持されている。軸XにはモータM2が接続されており、モータM2を駆動させることで、軸Xとともにクリーニング部材35aが矢印方向に回転されるようになっている。本実施の形態においては、モータM2が本発明の調整機構となる。
【0059】
本実施の形態では、モノクロ画像を形成する場合に、図9(b)に示すように、クリーニング部材35aと中間転写ベルト31とのなす角度がβ(α<β)となるように、モータM2を所定時間駆動させてクリーニング部材35aを回転させるようにしている。
このようにすることで、モノクロ画像を形成する場合のように中間転写ベルト31の張力が小さくなる場合であっても、中間転写ベルト31上の残留トナーをすり抜けさせることなく除去することが可能となる。
【0060】
本実施の形態における画像形成装置20の動作の詳細について説明する。図10はCPU50による制御手順の一例を示すフローチャートである。
まず、CPU50は、操作表示部23において画像形成開始の指示がなされたか否かを判断する(ステップS21)。画像形成指示がなされていない場合は(ステップS21:No)、CPU50は画像形成指示がなされるまで待機する。
操作表示部23において画像形成開始の指示がなされると(ステップS21:Yes)、CPU50は、形成される画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを参照する(ステップS22)。
【0061】
形成される画像がカラー画像である場合は(ステップS22:カラー)、1次転写ローラ46Y〜46Kをそれぞれ感光体ドラム41Y〜41Kに圧接させるよう圧接離間機構47Y〜47Kを制御する。また、クリーニング部材35aが、中間転写ベルト31に対する当接角度が予め決められた角度αとなるホームポジションに位置するようにモータM2を駆動させる(ステップS23)。このとき、クリーニング部材35aが始めからホームポジションに位置している場合は、モータM2は駆動させない。
一方、用紙に形成される画像がモノクロ画像である場合は(ステップS22:モノクロ)、ブラックに対応する1次転写ローラ46Kのみを、感光体ドラム41Kに圧接させるよう圧接離間機構47Y〜47Kを制御する。また、上述したようにクリーニング部材35aの中間転写ベルト31に対する当接角度を、カラー画像を形成する場合の角度から変化させ、クリーニング部材35aと中間転写ベルト31とのなす角度がβとなるようにモータM2を駆動させる(ステップS24)。
このときの角度βは、例えば予めカラー画像及びモノクロ画像を形成する場合における中間転写ベルト31の張力をそれぞれ測定しておき、それらを基に、モノクロ画像を形成する場合にクリーニング部材35aによって適切にクリーニングを行うことが可能となるクリーニング部材35aの当接角度βを算出して、ROM51に記憶させておき本制御の際に読み出すようにすれば良い。
【0062】
1次転写ローラの感光体ドラムへの圧接(及びクリーニング部材35aの当接角度の変化)が完了すると、CPU50は、画像形成手段によってトナー画像を形成させ、形成されたトナー画像を中間転写ベルト31に1次転写させ、さらに2次転写部Dにおいてトナー画像を用紙に転写させるようプリンタ部24を制御する。さらに、トナー画像が転写された用紙を定着装置34に向けて搬送させ、トナー画像を定着させる(ステップS25)。
また、2次転写部Dにおいて用紙に転写され切れずに中間転写ベルト31上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニング部35において除去される。このとき、モノクロ画像を形成する場合であっても、クリーニング部材35aと中間転写ベルト31とのなす角度が大きくなっているので、中間転写ベルト31上の残存トナーはすり抜けることなく除去される。
以上が本発明の第3の実施の形態についての説明である。
【0063】
上記で説明した通り、本発明の第1〜第3の実施の形態においては、モノクロ画像を形成する場合に、中間転写ベルト31の張力、クリーニング部材35aの当接圧力或いはクリーニング部材35aの当接角度の調整をそれぞれ予め決められた値をもとに行うようにしていた。
しかしながら、モノクロ画像を形成する場合の中間転写ベルト31の張力は、様々な部材の経時変化等の要因から、常に一定となるとは限らない。また、同様の理由により、カラー画像を形成する場合であっても、中間転写ベルト31の張力が変化する場合がある。
これらの場合は、上記のように予め決められた調整量に基づく調整ではなく、中間転写ベルト31の実際の張力に基づいてクリーニング部材35a或いは中間転写ベルト31の調整を行うことが好ましい。
【0064】
本発明は、例えば中間転写ベルト31の張力を検知する検知手段としてのセンサを設け、当該センサにより検知された張力に基づいて、中間転写ベルト31の張力、クリーニング部材35aの当接圧力或いはクリーニング部材35aの当接角度を調整することによっても実現可能である。
このように実際の中間転写ベルト31の張力に基づいて調整を行うことで、上述した経時変化等による中間転写ベルト31の張力の変化等にも対応することができ、より確実に、良好な画像形成を行うことが可能となる。
【0065】
また、例えば画像形成装置20によって形成された画像をユーザが目視で確認し、画質の低下が認められた場合等に、操作表示部23等を操作することにより適宜上記調整をすることが可能となるように構成しても良い。
【0066】
また、上記各実施の形態においては、単一の色で構成される画像を形成するモノクロモード実行時の例として、黒色の画像を形成する場合を例に説明したが、黒色以外の他の色のみで構成される画像を形成する場合であっても本発明を適用することが可能であることは言うまでもない。
【0067】
また、本実施の形態においては、カラーモードを実行する場合であるか、モノクロモードを実行する場合であるかを基準とし、中間転写ベルト31とクリーニング部材35aとの当接条件を調整する例を説明したが、感光体ドラムと離間する1次転写ローラの個数に応じて、CPU50が上記当接条件の調整を行うか否かを判断しても良い。
具体的には、1種類以上の色に対応する1次転写ローラと感光体ドラムとが離間している場合は、中間転写ベルト31の張力が低下してしまうので、CPU50が中間転写ベルト31とクリーニング部材35aとの当接条件を調整するよう制御するようにすれば良い。
【0068】
さらに、感光体ドラムと離間する1次転写ローラの個数に応じて、CPU50が上記当接条件の調整の内容を決定するようにしても良い。
具体的には、例えば2種類の色で構成される画像を形成する場合は、当該2種類の色に対応する1次転写ローラと感光体ドラムとが圧接され、他の2種類の色に対応する1次転写ローラと感光体ドラムとは離間した状態となる。
この場合は、上述してきたモノクロモード実行時と比べると中間転写ベルト31の張力の低下分は小さくなる。よって、第1の実施の形態を例にすると、中間転写ベルト31の張力を概略一定にするために必要な張力の増大分も同様に小さくなる。
同様に、3種類の色で構成される画像を形成する場合は、1種類の色に対応する1次転写ローラと感光体ドラムとのみが離間した状態となっているため、中間転写ベルト31の張力を概略一定にするために必要な張力の増大分はさらに小さくなる。
以上の考えに基づいて、感光体ドラムと離間する1次転写ローラの個数に応じて、それぞれ適切な当接条件となるように調整量を決定するようCPU50が制御すれば、常にクリ―ニング部材35aによって良好なクリーニングが行われることになりより好ましい。
【0069】
また、2次転写部Dより中間転写ベルト31の走行方向下流側且つクリーニング部材35aより中間転写ベルト31の走行方向上流側に、クリーニング部材35aとは別に、中間転写ベルト31に残存したトナーを除去するクリーニング手段を設けても良い。これにより、中間転写ベルト31のクリーニング性能の更なる向上が見込まれる。
その他、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない限りにおいて異なる実施形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0070】
20 画像形成装置
22 スキャナ部
23 操作表示部
24 プリンタ部
32 給紙部
40Y 画像形成手段(イエロー)
40M 画像形成手段(マゼンタ)
40C 画像形成手段(シアン)
40K 画像形成手段(ブラック)
31 中間転写ベルト
35 中間転写ベルトクリーニング部
35a クリーニング部材
35b テンション調整ローラ
37a〜e ローラ
41Y〜K 感光体ドラム
46Y〜K 1次転写ローラ
D 2次転写部
50 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材料によって画像がそれぞれ形成される複数の像担持体と、
前記複数の像担持体に形成された画像が転写される中間転写体と、
前記複数の像担持体に形成された画像をそれぞれ前記中間転写体へ転写させる複数の転写部材と、
前記中間転写体を支持する支持部材と、
前記中間転写体に転写された画像をさらに転写材に転写する2次転写部と、
前記支持部材との対向位置以外の位置において、前記中間転写体の基準の張力に基づいた所定の条件で前記中間転写体に当接し、前記2次転写部において転写材に転写されずに前記中間転写体に残存した記録材料を除去するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材と前記中間転写体との当接条件の調整が可能な調整機構と、
前記中間転写体の張力が、前記中間転写体の基準の張力から変化する場合に、前記クリーニング部材と前記中間転写体との当接条件を、前記クリーニング部材による前記記録材料の除去に適した条件となるように調整するよう前記調整機構を制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の転写部材をそれぞれ前記複数の像担持体に対して圧接及び離間させる圧接離間機構を有し、
前記制御手段は、画像が形成されない前記像担持体と前記転写部材とを離間させておくよう前記圧接離間機構を制御する画像形成装置であって、
前記制御手段は、1以上の前記像担持体と前記転写部材とが離間している場合に、前記当接条件の調整を行うよう前記調整機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
互いに異なる色の前記記録材料によって、前記複数の像担持体にそれぞれ互いに異なる色の画像を形成し、当該互いに異なる色の画像を重ね合わせることでカラー画像を形成するカラーモードと、
単一の色の前記記録材料によって、前記複数の像担持体のうち何れか1つに前記単一の色で構成される画像であるモノクロ画像を形成するモノクロモードと、
前記複数の転写部材をそれぞれ前記複数の像担持体に対して圧接及び離間させる圧接離間機構と、を有し、
前記制御手段は、画像が形成されない前記像担持体と前記転写部材とを離間させておくよう前記圧接離間機構を制御する画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記モノクロモードを実行する場合に、前記当接条件の調整を行うよう前記調整機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記単一の色は、黒色であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中間転写体の張力を検知する検知手段を有し、
前記制御手段は、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記当接条件の調整を行うよう前記調整機構を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記調整機構は、前記中間転写体の張力を変化させることで前記当接条件の調整を行うものであって、
前記制御手段は、前記当接条件の調整を行う場合に、前記中間転写体の張力が概略一定となるように前記調整機構を制御することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記調整機構は、前記クリーニング部材の前記中間転写体に対する当接圧力を変化させることで前記当接条件の調整を行うものであって、
前記制御手段は、前記当接条件の調整を行う場合に、前記当接圧力を大きくするように前記調整機構を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記調整機構は、前記クリーニング部材の前記中間転写体に対する当接角度を変化させることで前記当接条件の調整を行うものであって、
前記制御手段は、前記当接条件の調整を行う場合に、前記当接角度を大きくするように前記調整機構を制御することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記2次転写部より前記中間転写体の走行方向下流側且つ前記クリーニング部材より前記中間転写体の走行方向上流側に、前記中間転写体に残存した記録材料を除去するクリーニング手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−83676(P2013−83676A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221505(P2011−221505)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】