説明

画像撮像機器及び画像撮像システム

【課題】 画像撮像機器において、予め指定された撮影ポイントを撮影する際、該当するポイントを適正に撮影可能とし、撮影を誤らないようにし、また、撮影ポイントを、ビル内の特定の箇所のように、より細かいレベルで対応し得るようにすることで多様な用途に応える。
【解決手段】 デジタルカメラ101は、PDA102からBluetooth(登録商標)通信手段を介し取得した情報を用いて撮影実行の可否を含む撮影条件を設定し、設定した条件に従い、撮影動作を行う。PDAは、撮影ポイントに設置したRF IDタグ104の記録媒体に記された撮影ポイントの識別情報をデジタルカメラに伝える。デジタルカメラ側は、撮影対象とするポイント情報を予め定めたリストを持ち、タグからの情報をこのリストによりチェックし、照合できた場合のみ撮影を実行する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体像を画像データとして出力する画像撮像機器に関し、より詳細には、撮影動作条件を設定するためのデータを外部機器から通信手段を介して取得することを可能にした画像撮像機器及び該画像撮像機器、外部機器を要素として構成する画像撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被写体像を画像データとして、記録媒体(記憶メディア)に保存するデジタルカメラ等の画像撮像機器は、様々な用途に利用され、業務においてもデジタルカメラを必要とする機会も多くなっている。
例えば、公共事業、不動産、建築、医療、ビルメンテナンス等、時々の現場の状況を捉えておくことが求められる様々な業種で使われている。デジタルカメラをこのような目的で使用するときの問題として、記録メディアに保存した多数の撮影画像の整理に手間が掛かる、という点がある。
この問題点を解決するために、デジタルカメラが撮影時に自動的に撮影画像のヘッダ部分に撮影位置情報やその他の撮影に係る情報を付加し、その後これらの付加情報によってPC(Personal Computer)上で撮り貯めた画像データの整理を容易に行えるようにする等の方法を用いている。
【0003】
この方法を提案した従来例として、下記特許文献1(特開2004−357343号公報)を挙げることができる。
特許文献1に記載された電子カメラは、撮影時にGPS(Global Positioning System)等の位置検出手段によって検出された位置情報から地名辞書を引き、得た撮影ポイントの地名を撮影日時とともに撮影画像データの保存の際にヘッダ部に記録することが示されている。ヘッダ部に記録された地名・撮影日時により検索すると、同一地名の画像をまとめて撮影順に取り出す等の処理により、整理された形でデータを利用することを可能にする。
【特許文献1】特開2004−367343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮影時に自動的に撮影画像のヘッダ部分に撮影位置情報を付加する上記した従来の方法は、撮影後に画像を整理するときに便利であるが、上記したように、時々の現場の状況の変化を捉えておくためにデジタルカメラを利用する際に生じる次に示すような問題に対し、有効な機能を提供するものではない。
ビルメンテナンス作業に利用する場合を例にとると、この作業の場合、定期的に多数の同じ箇所を点検するときにデジタルカメラで点検箇所を撮影するという使い方をする。この際、同じ点検箇所を再度撮影すべきところ、撮影箇所を間違えてしまうこともしばしばあり、この場合には、検査員が再びその箇所へ足を運んで行き、撮影し直さなければならなかった。
【0005】
つまり、前に撮影した位置情報はあっても、この情報を利用してこれから撮影しようとしている場所が、前の撮影ポイントであるか、否かをチェックするための手段を備えていなかったために、撮影に誤りが生じた。また、上記特許文献1の撮影位置の検出は、 GPS 等によることが示されており、このような手段では、ビルメンテナンス作業の例に示すような、ビル内の特定の箇所といった撮影ポイントの位置情報を得るための手段に不向きであり、こうした利用分野に適応できない。
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決するもので、その目的は、被写体像を画像データとして出力する画像撮像機器において、前に撮影した位置と同じ箇所を撮影したいといった場合のように、予め指定された撮影ポイントを撮影する際に、該当する撮影ポイントを適正に撮影できるようにする機能を備えるようにし、撮影に誤りが生じないようにすることにある。また、撮影ポイントを、例えばビル内の特定の箇所のように、より細かいレベルで対応し得るようにすることで、多様な用途に応えることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、被写体を撮影し、画像データを出力する撮像手段と、前記撮像手段から出力される画像データを記録媒体に記録する記録手段と、外部機器と通信するための通信手段と、前記通信手段を介して外部機器から取得した情報を用いて撮影動作条件を設定し、設定した条件に従い、撮影動作を制御する撮影制御手段と、を備えたことを特徴とする画像撮像機器である。
請求項2の発明は、請求項1に記載された画像撮像機器において、前記撮影制御手段は、前記撮影動作条件として、撮影実行の可否を設定するものであることを特徴とする。
請求項3の発明は、撮影動作条件設定用のデータベースを有する請求項2に記載された画像撮像機器において、前記撮影制御手段は、予め前記データベースに用意された撮影実行の可否を設定するためのデータにより前記通信手段を用いて外部機器から取得した情報をチェックし、その結果に従い、撮影実行の可否を設定するものであることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載された画像撮像機器において、前記通信手段は、低消費電力の近距離無線通信機能を備えたものであることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載された画像撮像機器に前記通信手段を介してRF IDリーダ機能を備えた前記外部機器を接続することにより、RF IDリーダが読み込んだ情報から撮影動作条件設定用の情報を取得可能とした画像撮像システムである。
請求項6の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載された画像撮像機器に前記通信手段を介してバーコードスキャナ機能を備えた前記外部機器を接続することにより、バーコードスキャナが読み込んだ情報から撮影動作条件設定用の情報を取得可能とした画像撮像システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、撮影ポイントで外部機器から通信手段を介して取得した撮影ポイント情報(ポイント識別情報等)を用いて撮影実行の可否を含む撮影動作条件を設定し、設定した条件に従い、撮影動作を行うようにしたので、撮影ポイントを誤る等、撮影条件を誤って撮影が行われることを防止することが可能になる。
また、撮影条件設定用のデータベースを有し、外部機器から取得した情報をチェックすることによって、撮影条件を設定するようにしたので、機器ごとに、延いてはユーザごとに適合する動作を行わせることが可能になる。
また、外部機器としてRF IDリーダ機能或いはバーコードスキャナ機能を備えたものを用いることにより、撮影ポイントの情報を記したRF IDタグ或いはバーコードを所定の場所に埋め込むことにより、局在する撮影ポイントに応じた、より細かいレベルの条件設定により撮影を実行することが可能になるので、多様な用途に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の画像撮像機器及び画像撮像システムに係わる実施形態を示す。
以下には、デジタルカメラを本発明に係わる画像撮像機器の実施装置とする実施形態を示す。この実施形態に係わるデジタルカメラは、通信手段を備える。この通信手段は、デジタルカメラをRF ID(Radio Frequency Identification)リーダ機能或いはバーコードスキャナ機能を備えた外部機器に接続し、本発明に係わる画像撮像システムの実施システムを構成する。
【0010】
デジタルカメラと外部機器を結ぶ通信には、低消費電力の近距離無線通信手段を使用する。ここでは、この通信手段としてBluetooth(登録商標)規格に準拠した通信手段(以下、「Bluetooth(登録商標)通信手段」という)を用いる。なお、この規格の通信手段の伝送範囲は、通常10m以内で、増幅器を使うことで100mまで延ばすことが可能である。
なお、本実施形態の画像撮像システムにおいて採用する外部機器は、ユーザが撮影ポイントに手軽に持ち運べるようなものであり、撮影ポイントにおいてローカルに設置される記録媒体に記された情報を読取り、画像撮像機器に伝えることを条件に考えているので、RF IDリーダ、バーコードスキャナを好適な実施例として示すが、これら以外にも同条件を備える手段によって、実施をすることが可能である。
【0011】
図1は、外部機器にRF IDリーダ機能を備えた実施形態に係る画像撮像システムの概略構成を示す。
図1に示すように、本実施形態の画像撮像システムは、デジタルカメラ101と、外部機器として、RF IDタグ104を読取るRF IDリーダ103を備えたPDA(Personal Digital Assistants:携帯情報端末)102をシステム要素として有し、デジタルカメラ101とPDA102の間をBluetooth(登録商標)通信手段111で結んで、システムを構成する。なお、デジタルカメラ101とPDA102を結ぶ無線通信手段111としては、上記以外に、赤外線、無線LANを媒体とする通信手段を用いることができる。また、ここでは、外部機器として、本実施形態の目的以外の情報も処理・交信が可能なPDAを採用しているが、デジタルカメラ101との間で無線通信ができ、携帯可能な手段であれば、これに限らない。
【0012】
PDA102の備えるRF IDリーダ103は、PDA内蔵としても良いし、RF IDコンパクトフラッシュ(登録商標)カードやRF ID-SD(Secure Digital)IOカード等をPDAのスロットに挿すなど外付けの方式で機能を搭載しても良い。
RF IDタグ104は、ICチップとアンテナからなり、ICタグと呼ばれるものの1つであり、無線でICチップ内に記憶された情報をタグリーダから読取ることができるもので、RF IDタグ104の読取りは、RF IDリーダ103がRF ID無線通信手段112を介して行う。
【0013】
上記RF IDタグ104は、撮影ポイントに設置され、各々のタグ内には、当該撮影ポイントに応じた情報が記憶される。例えば、ビルメンテナンスシステム(上記[発明が解決しようとする課題]の項の記載、参照)に利用する場合は、ビル内のあちこちの壁にRF IDタグ104を埋め込み、各撮影ポイントが識別でき、当該ポイントの階数や方位等の情報をタグから読取ることができるようにする。
PDA102の備えるタグリーダとICタグの間を結ぶ無線通信手段111としては、上記RF IDの通信手段を用いる以外に、例えば赤外線,無線LANを媒体とする通信手段を用いることができる。
【0014】
図2は、外部機器にバーコードスキャナ機能を備えた実施形態に係る画像撮像システムの概略構成を示す。
図2に示す画像撮像システムは、外部機器との無線通信手段を備えたデジタルカメラ101と、外部機器として、バーコード106を読取るバーコードスキャナ105をシステム要素として有し、デジタルカメラ101とバーコードスキャナ105の間をBluetooth(登録商標)通信手段111で結んで、システムを構成する。
【0015】
バーコードスキャナ105は、バーコード106のコードパターンを走査方式で光学的に読取る。この読取り方式で携帯可能な手段を構成するものとして、CCD(Charge Coupled Device)によって、バーコード106を近接位置或いは少し離れた位置から検出し、検出したデータを無線で送る既存のシステムがあり、この方式にBluetooth(登録商標)通信手段111を適用することにより実施が可能である。また、Bluetooth(登録商標)通信手段を有するPDAが開発されているので、こうしたPDAにCCDを用いるバーコードスキャナ機能を搭載させることにより実施するようにしてもよい。
【0016】
なお、デジタルカメラ101とバーコードスキャナ105を結ぶ無線通信手段111としては、上記Bluetooth(登録商標)規格以外に、赤外線、無線LANを媒体とする通信手段を用いることができる。
バーコードスキャナ105は、バーコード106をスキャンし、バーコードで表現した撮影動作条件を設定するために用いるデータを読取り、Bluetooth(登録商標)通信手段111を介してデジタルカメラ101へこのデータを送信する。
【0017】
このバーコード106は、撮影ポイントに設置され、当該撮影ポイントに応じた情報が各々のバーコード情報によって表わされる。例えば、ビルメンテナンスシステム(上記[発明が解決しようとする課題]の項の記載、参照)に利用する場合は、ビル内のあちこちの撮影ポイントにバーコード106を貼付等によって設置し、各撮影ポイントが識別でき、当該ポイントの階数や方位等の情報をバーコードから読取ることができるようにする。
【0018】
図3は、上記した画像撮像システム(図1,2)におけるデジタルカメラ101の制御部に係る構成をブロック図にて示す。
図3において、CPU(Central Processing Unit)201は、デジタルカメラ全体を制御する主制御部として機能する。この主制御部は、ユーザの指示に従い、デジタルカメラ101の動作部を制御し、被写体を撮影する動作を行わせ、撮影した画像データを処理し、保存する操作を行う。また、上記撮影に係わる動作を行わせるための制御用データの処理・操作を行う。
【0019】
本実施形態のデジタルカメラ101は、上記画像撮像システム(図1,2)が有する機能、即ち、外部機器から無線通信手段によって取得する情報(以下、「外部情報」ともいう)を用いて撮影動作を制御する後記で詳述する機能を利用した動作を行うが、この動作もCPU201の制御動作の1部に含まれる。
ROM(Read Only Memory)202は、CPU201が動作に用いるプログラム等を格納するメモリである。
RAM(Random Access Memory)203は、CPU201がプログラムの動作時にワークメモリとして処理過程で生じるデータの保存に用い、通常、ジョブの終了や電源OFFにより、保存したデータは消えてしまう。後記で詳述する、外部機器から無線通信手段によって取得する外部情報を保存する外部情報保存部208は、ここに作られる。
【0020】
SD(Secure Digital)メモリカード204は、スロットから外付けで利用できるリムーバブルな記録メディアで、デジタルカメラ101で撮影した画像を保存する領域としての撮影画像保存部209と、その他に、ユーザがデジタルカメラの動作条件をカスタマイズする場合に外部から持ち込む各種の情報を保存する領域としての情報リスト保存部210は、ここに作られる。この実施形態では、後述する“撮影ポイント情報リスト”の保存に情報リスト保存部210を用いる。
フラッシュメモリ(不揮発性メモリ)205は、電源OFFによっても、データの消失が起きないので、このような保管の仕方をするデジタルカメラのセットアップ情報等を保存するために利用する。
Bluetooth(登録商標)回路206は、Bluetooth(登録商標)規格に準拠した通信方式で外部装置との無線送受信を行うことができるようにする回路である。本実施形態では、後記で詳述する、外部情報を用いて撮影動作を制御する機能を利用する際に、PDA102或いはバーコードスキャナ105からの情報を取得するための通信I/F(インターフェース)として使用する。
【0021】
ユーザインターフェース207は、主制御部として機能するCPU201にユーザの指示を伝え、又機器の状態をユーザに知らせるための手段であり、例えば液晶ディスプレイ,キーボタン,シャッターボタン,モードダイヤル等よりなる表示・操作部を持つ。
デジタルカメラ機能部220は、主制御部として機能するCPU201が指示する動作条件に従い、レンズを通して被写体を撮影するデジタルカメラ101の機能部である。なお、デジタルカメラ機能部220は、この実施形態において、撮影動作の制御対象になっているが、機能部内のメカニズム自体は、直接、本発明の課題と関係がなく、既存の当該機能部のメカニズムを適用することによって、実施し得る要素であるから、ここでは、詳細な説明を省く。
【0022】
上記した画像撮像システム(図1,2)におけるデジタルカメラ101の制御動作に係わる実施形態を以下に示す。
本実施形態の画像撮像システムにおいて、デジタルカメラ101は、外部機器から通信手段を介して取得した情報を用いて撮影実行の可否を含む撮影動作条件を設定し、設定した条件に従い、撮影動作を行うようにする。
外部機器は、PDA102或いはバーコードスキャナ105であり、撮影ポイントに設置したRF IDタグ104或いはバーコード106の記録媒体に記された情報を読取って、撮影ポイントの識別情報、撮影動作条件設定用の情報を得、得た情報をデジタルカメラ101に伝える。
デジタルカメラ101側では、主制御部として機能するCPU201が、取得した撮影ポイントの識別情報、撮影動作条件設定用情報をもとに、当該撮影ポイントが予め定めておいた撮影ポイントとしての条件に適うか否かを判断し、撮影実行の可否を含む撮影動作条件を設定する。
【0023】
以下、先に引用したビルメンテナンスシステムを例に、撮影ポイントの撮影実行の可否が制御可能な本実施形態の撮影動作を詳細に説明する。
ビルメンテナンスシステムでは、予めメンテナンスポイント(点検箇所)となる撮影ポイントが決められ、このポイントを定期的に撮影して履歴をとることにより、メンテナンスポイントの撮影画像に発生する変化を検出できるようにする手法を用いる。ビル内の多数のポイントが、この手法によるメンテナンスの対象になった場合に、予め決められたこれらのポイントを間違いなく撮影することが求められる。
【0024】
このため、RF IDタグ104或いはバーコード106を予め決めたメンテナンスポイントの壁等に埋め込む等の方法で設置しておき、デジタルカメラ101は、メンテナンスポイントにおける撮影をする際に、RF IDタグ104或いはバーコード106に記された撮影ポイントの識別情報、撮影動作条件設定用の情報を取得し、取得した情報によりメンテナンスポイントを確認する。
メンテナンスポイントを確認するために、デジタルカメラ101側では、メンテナンスの対象になる撮影ポイント情報を予めデータベースに用意する。この撮影ポイント情報は、検査員が理解できるような表現ですべての撮影ポイントを表し、各ポイントをシステム側で理解できる形式のデータに対応付け、内部の保存場所に格納しておく。
【0025】
図5及び図6は、メンテナンスの対象になる撮影ポイント情報の具体例を示すものである。
図5は、メンテナンスの対象となるビルのレイアウト上におけるメンテナンスポイントを示すもので、この場合には、RF IDタグ104のTAG NOでそれぞれの設置場所を示している。
図6は、デジタルカメラ101で用いる撮影ポイント情報を示すものである。ここでは、図5に示された全メンテナンスポイントに設置したRF IDタグ104のTAG NOをリスト形式で表し、各TAG NOに対応したメタデータとしてカメラメモ情報を記し、データベースとする。カメラメモ情報は、検査員が理解可能な、メンテナンスの対象になる撮影ポイントの階数や方位等を示す情報で表現され、図6の例では、この撮影ポイントを“101号室・東壁”,“101号室・扉”,・・・,“103号室・窓”、と表している。
【0026】
本実施形態では、この撮影ポイント情報リストをSDメモリカード204の情報リスト保存部210に保存する。
デジタルカメラ101は、撮影の際に、この撮影ポイント情報リストに示される撮影ポイントをRF IDタグ104から取得した情報であるTAG NOにより確認する。なお、本実施形態では、RF IDタグ104にはTAG NOが情報として記録されているだけであるが、このタグ識別情報のほかに、例えば、以前にこのポイントの撮影に用いた撮影条件を撮影動作条件設定用の情報として記録し、この情報を用いるようにすることで、撮影条件が再現できる。
本実施形態では、撮影ポイント情報リストによりRF IDタグ104から取得したTAG NOをチェックし、TAG NOがリストに載っていれば、メンテナンスの点検対象となる撮影ポイントであることが確認できる。
【0027】
また、撮影ポイントの確認ができた場合のみ、撮影を実行し得るように、制御条件を設定することによって、目的の撮影制御動作を行うことが可能になる。つまり、撮影ポイントの確認が得られない場合には、撮影が実行できないように制御することで、従来起きていた撮影ポイントを誤る等、撮影の動作条件を誤って撮影が行われることを防止することができる。
また、RF IDタグ104の設置によって、対象とする撮影ポイントを、例えばビル内の特定の箇所のように、より細かいレベルで撮影ポイントを指定することができるので、多様な用途に応えることが可能になる。
【0028】
次に、上記した撮影ポイント情報リストでRF IDタグ104をチェックする方法により、予め定めた撮影ポイントのみの撮影を実行可能とする本実施形態のデジタルカメラが、撮影の際に行う制御動作に係わる実施形態を示す。
図4は、本実施形態の制御フローを示すものである。この制御フローは、デジタルカメラ101の主制御部として機能するCPU201によって実行される。
以下、図4に示す制御フローに従って、制御動作を説明する。
【0029】
ユーザ(検査員)によって、ユーザインターフェース207を介してデジタルカメラ101の電源が入れられると(ステップS101)、CPU201は、Bluetooth(登録商標)回路206を動作させ、PDA102とBluetooth(登録商標)通信手段111を介して無線接続し、PDA102からの外部情報を得るために通信を開始し(ステップS102)、送られてくる外部情報を受信できる状態を保つ。
デジタルカメラ101との接続を保った状態で、PDA102側では、メンテナンスポイントに設置されているRF IDタグ104に記録された情報を読み込んで、この情報をカメラ側に送信する動作を行う。このため、ユーザによって、PDAのRF IDリーダ103を、壁等に埋め込んだRF IDタグ104に向け、所定の位置にかざすことにより、読み込みを行う。デジタルカメラ101は、PDA102で読み込んだタグ情報をBluetooth(登録商標)通信手段経由で受信する(ステップS103)。
【0030】
次いで、タグ情報を受信するデジタルカメラ101は、タグ情報を正常に取得できたか、否かをチェックする(ステップS104)。
このチェックの結果、タグ情報を正常に受信できたことが確認できた場合には(ステップS104-YES)、受信したタグ情報を内蔵のRAM203の外部情報保存部208に一旦保存し、このタグ情報をSDメモリカード204における情報リスト保存部210に保存されている撮影ポイント情報リスト(図6に関する上記記載、参照)を用いて、メンテナンスの点検対象となる撮影ポイントであることをチェックする(ステップS105)。
このチェックは、外部情報保存部208に保存したタグ情報とSDメモリカード204の情報リスト保存部210に保存されている撮影ポイント情報リストに記されたタグ情報を照合し、リストに同じタグ情報が存在するか、否かを判断する。なお、ここでは、タグ情報として、それぞれのタグに付与されたTAG NOをチェックすることによる。
【0031】
この判断の結果、同じTAG NOが存在すれば(ステップS106-YES)、メンテナンスの対象になる撮影ポイントであることが確認できるので、一致した撮影ポイント情報をカメラメモ情報として設定し、撮影可能フラグを“オン”する(ステップS107)。
上記カメラメモ情報は、撮影を実行した時に、撮影画像データに付属する情報として付加する情報である。デジタルカメラにより撮影した画像をファイル保存する際のデータ形式をEXif(Exchangeable Image File Format)画像とすると、撮影画像データのヘッダ部分にカメラメモ情報を付加することができる。
【0032】
図7は、ヘッダ領域にカメラメモ情報の領域を有する撮影画像の画像データ保存形式(EXif)を示す概念図である。図7に示す画像データのヘッダ領域にカメラメモ情報等の書誌情報の格納部分を設けることができるので、ここに、撮影条件としての撮影ポイント情報を挿入する。この付加情報を挿入するための手続きとして、上記のように、ステップS107でこの設定を行う。この実施形態においては、撮影画像データは、SDメモリカード204の撮影画像保存部209に保存するので、ここに保存する際に、ステップS107の設定に従い、保存データが作成される。
【0033】
ステップS107で撮影可能フラグを“オン”した後、ユーザインターフェース207を介して、撮影可能状態になったことをユーザに通知する(ステップS108)。
この通知を受け、ユーザが撮影操作を開始するので、ユーザインターフェース207を介してユーザによって行われる撮影条件を設定するキーボタンの操作及びシャッターボタンの操作等を受け取る(ステップS109)。
撮影終了時に、次の撮影ポイントにおける撮影ルーチンに対応するために撮影可能フラグを“オフ”し(ステップS110)、ステップS103に戻し、新たにRF IDタグ情報の受信から始まる次の撮影に備える。
【0034】
他方、ステップS104で、タグ情報を正常に受信できたか、否かをチェックした結果、タグ情報を正常に取得できたことが確認できなければ(ステップS104-NO)、撮影の実行が可能であることを指示する場合に“オン”する撮影可能フラグを“オフ”する(ステップS111)。
次いで、ユーザインターフェース207を介して、撮影不可状態であることをユーザに通知するとともに、この状態を受け入れるか、否かを確認する(ステップS112)。この実施形態では、ステップS111で行ったように、タグ情報を正常に取得できなかった場合に、撮影可能フラグを“オフ”することで、撮影不可状態にするが、この状態を受け入れるか、否か、ユーザの意思を確認し、ユーザの判断で撮影ができる状態に戻すことができるようにする。
【0035】
具体的には、撮影不可状態であることをユーザに通知する表示画面で、撮影不可状態を解除し、撮影を続行する動作に変更できることを示し、入力操作を受け入れるようにする。
ここで、撮影不可状態を解除し、撮影を続けたいというユーザの意思が示された場合には(ステップS113-YES)、一旦“オフ”した撮影可能フラグを“オン”にする(ステップS114)。
この後、ユーザが撮影操作を開始するので、ユーザインターフェース207を介して撮影条件を設定するユーザによって行われる撮影条件を設定するキーボタンの操作及びシャッターボタンの操作等を受け取り、また、撮影した画像データをSDメモリカード204の撮影画像保存部209に保存する(ステップS115)。
【0036】
この撮影画像データを保存する際に、撮影画像データのヘッダ部分にカメラメモ情報等の書誌情報を付加するが、この情報には、撮影ポイントのチェックを経て、所定の撮影ポイントであることが確認されているか、或いは所定の撮影ポイントであることか確認されていないが、撮影が実行された場合であるかを峻別するための情報を挿入する。
図8は、ヘッダ領域にカメラメモ情報の領域を有する、撮影画像の画像データ保存形式(EXif)を示す概念図である。図8に示す画像データのヘッダ領域にカメラメモ情報のほかに、“所定撮影ポイントor所定撮影ポイント外”の峻別を可能とする上記した情報の格納部分を設け、ここを撮影ポイントの違いを示す書誌情報を挿入する領域とする。
ステップS115では、これらの書誌情報を挿入するための手続きを経て、SD(Secure Digital)メモリカード204の撮影画像保存部209に保存するデータが作成される。
撮影終了時に、次の撮影ポイントにおける撮影ルーチンに対応するために撮影可能フラグを“オフ”し(ステップS110)、ステップS103に戻し、新たにRF IDタグ情報の受信から始まる次の撮影に備える。
【0037】
また、タグ情報と撮影ポイント情報リストに同じTAG NOが存在するか、否かを判断するステップS106で、取得したタグ情報と一致する撮影ポイント情報がなければ(ステップS106-NO)、撮影の実行が可能であることを指示する場合に“オン”する撮影可能フラグを“オフ”する(ステップS111)。
次いで、ユーザインターフェース207を介して、撮影不可状態であることをユーザに通知するとともに、この状態を受け入れるか、否かを確認する(ステップS112)。この実施形態では、ステップS111で行ったように、タグ情報から得たTAG NOが撮影ポイント情報リストに存在することが確認できなかった場合に、撮影可能フラグを“オフ”することで、撮影不可状態にするが、この状態を受け入れるか、否か、ユーザの意思を確認し、ユーザの判断で撮影ができる状態に戻すことができるようにする。
【0038】
具体的には、撮影不可状態であることをユーザに通知する表示画面で、撮影不可状態を解除し、撮影を続行する動作に変更できることを示し、入力操作を受け入れるようにする。
ここで、撮影不可状態を解除し、撮影を続けたいというユーザの意思が示された場合には(ステップS113-YES)、一旦“オフ”した撮影可能フラグを“オン”にする(ステップS114)。
この後、ユーザが撮影操作を開始するので、ユーザインターフェース207を介して撮影条件を設定するユーザによって行われる撮影条件を設定するキーボタンの操作及びシャッターボタンの操作等を受け取り、また、撮影した画像データをSDメモリカード204の撮影画像保存部209に保存する(ステップS115)。
【0039】
ステップS115で撮影画像データを保存する際に、上記したタグ情報を正常に取得できなかった場合(ステップS104-NO)におけるフローと同様に、所定の撮影ポイントであることが確認されているか、或いは所定の撮影ポイントであることか確認されていないが、撮影が実行された場合であるかを峻別するための情報を撮影画像の保存データのヘッダ領域(図8、参照)に書誌情報として挿入し、SDメモリカード204の撮影画像保存部209に保存するデータを作成する。
撮影終了時に、次の撮影ポイントにおける撮影ルーチンに対応するために撮影可能フラグを“オフ”し(ステップS110)、ステップS103に戻し、新たにRF IDタグ情報の受信から始まる次の撮影に備える。
【0040】
上記のように、この制御フローによると、デジタルカメラ101は、撮影ポイントのチェックを経て、所定の撮影ポイントであることが確認できた場合に、撮影可能フラグを“オン”にし、撮影が実行できるようにし、実行すべきポイントを誤ることなく撮影できる。
また、所定の撮影ポイントであることが確認できない場合に、撮影可能フラグを“オフ”にし、撮影不可状態として撮影を実行できないようにするが、撮影を続けたいというユーザの意思が示された場合には、撮影不可状態を解除し、撮影が行え、この経緯を撮影画像の保存データにおいて、“所定撮影ポイントor所定撮影ポイント外”の書誌情報として記録することで、利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】外部機器にRF IDリーダ機能を備えた実施形態に係わる画像撮像システムの概略構成を示す。
【図2】外部機器にバーコードスキャナ機能を備えた実施形態に係わる画像撮像システムの概略構成を示す。
【図3】画像撮像システム(図1,2)におけるデジタルカメラの制御部に係わる構成をブロック図にて示す。
【図4】予め定めた撮影ポイントのみの撮影を実行可能とする撮影時の制御フローを示す。
【図5】ビルのレイアウト上におけるメンテナンスポイントに設置するRF IDタグの設置場所を示す。
【図6】デジタルカメラで用いる撮影ポイント情報リストを示す。
【図7】カメラメモ情報領域を有する撮影画像の画像データ保存形式を概念図にて示す。
【図8】“所定撮影ポイントor所定撮影ポイント外”の情報領域を有する撮影画像の画像データ保存形式を概念図にて示す。
【符号の説明】
【0042】
101・・デジタルカメラ、102・・PDA(Personal Digital Assistants:携帯情報端末)、103・・RF ID(Radio Frequency Identification)リーダ、104・・RF IDタグ、105・・バーコードスキャナ、106・・バーコード、111・・Bluetooth(登録商標)通信手段、112・・RF ID通信手段、201・・CPU(Central Processing Unit)、202・・ROM(Read Only Memory)、203・・RAM(Random Access Memory)、204・・SD(Secure Digital)メモリカード、205・・フラッシュメモリ、206・・ Bluetooth(登録商標)回路、207・・ユーザインターフェース、208・・外部情報保存部、209・・撮影画像保存部、220・・デジタルカメラ機能部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影し、画像データを出力する撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像データを記録媒体に記録する記録手段と、
外部機器と通信するための通信手段と、
前記通信手段を介して外部機器から取得した情報を用いて撮影動作条件を設定し、設定した条件に従い、撮影動作を制御する撮影制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像撮像機器。
【請求項2】
請求項1に記載された画像撮像機器において、
前記撮影制御手段は、前記撮影動作条件として、撮影実行の可否を設定するものであることを特徴とする画像撮像機器。
【請求項3】
撮影動作条件設定用のデータベースを有する請求項2に記載された画像撮像機器において、
前記撮影制御手段は、予め前記データベースに用意された撮影実行の可否を設定するためのデータにより前記通信手段を用いて外部機器から取得した情報をチェックし、その結果に従い、撮影実行の可否を設定するものであることを特徴とする画像撮像機器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された画像撮像機器において、
前記通信手段は、低消費電力の近距離無線通信機能を備えたものであることを特徴とする画像撮像機器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された画像撮像機器に前記通信手段を介してRF IDリーダ機能を備えた前記外部機器を接続することにより、RF IDリーダが読み込んだ情報から撮影動作条件設定用の情報を取得可能とした画像撮像システム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載された画像撮像機器に前記通信手段を介してバーコードスキャナ機能を備えた前記外部機器を接続することにより、バーコードスキャナが読み込んだ情報から撮影動作条件設定用の情報を取得可能とした画像撮像システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−104155(P2008−104155A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198021(P2007−198021)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】