説明

画像表示装置および画像処理装置

【課題】シネマ映像により構成されたオリジナル映像における動画像をより忠実に再現することが可能な画像表示装置を提供する。
【解決手段】倍速処理部22およびフレームメモリ23において、オリジナル映像信号Dorgに対してテレシネ変換が施された入力映像信号(具体的には、入力映像信号Dinに対するIP変換後の映像信号D1)に対し、2倍速処理を行う。また、この2倍速処理後の映像信号D2において、映像「A」から映像「B」へ切り替わった直後の1フレーム分の映像(映像「B11」)を、映像「A3」へと置き換える。これにより、置き換え処理後の映像信号D3において、映像「A」と映像「B」との時間の比率が、互いに等しくなる(オリジナル映像信号Dorgにおける時間の比率(映像「A」:映像「B」=1:1)と同一となる)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶プロジェクタ等に適用される画像表示装置および画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空間光変調素子に印加する電気信号に従い、空間光変調素子への入射光を空間変調して出射し、出射光を集めて投影することで映像表示を行う投射型表示装置(例えば、液晶プロジェクタなど)が普及している。そうした投射型表示装置は、一般的に、光源としてランプと集光鏡とを有すると共に、それらから発せられた光を集光して空間光変調素子に入射させる照明光学系を備えており、空間光変調素子からの光を投影レンズによってスクリーンなどに投影するようになっている。このような投射型表示装置は、例えばシネマ映像等を表示するのに用いられている。
【0003】
ここで、映画ソースであるシネマ映像は、通常、フレームレートが24Hzで記録されている。一方、テレビ装置(TV装置)等においては、フレームレートが24Hzでは低過ぎるため、そのままでは表示することができない。そのため、DVD(Digital Versatile Disk)等の記録メディアでは、オリジナル映像における24Hzの2コマ(24×2Hz)に対してテレシネ変換が施された後の、60Hzの(2コマ+3コマ)(60×5Hz)の映像が記録されている。このようなテレシネ変換を施した後の映像を利用することにより、そのフレームレートが60Hzとなるため、TV装置等においても映画を視聴することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−23673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、テレシネ変換を施した後の映像では、上記のように、オリジナル映像の2コマのうち、前半のコマが2回表示される一方、後半のコマが3回表示されるようになっている。したがって、前半のコマと後半のコマとの表示時間が互いに異なることとなる(表示時間の比が2:3となる)ため、動画像においてオリジナル映像(シネマ映像)の滑らかさが失われてしまい、動画像を忠実に再現するのが困難であり改善の余地があった。
【0006】
なお、このような問題は、投射型の表示装置には限られず、直視型の表示装置(例えば、液晶テレビなど)の場合においても同様に生じるものである。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、シネマ映像により構成されたオリジナル映像における動画像をより忠実に再現することが可能な画像表示装置および画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像表示装置は、時間軸に沿って連続する2フレーム分のシネマ映像である第1および第2の映像を単位構成とするオリジナル映像に対してテレシネ変換が施された入力映像に基づく画像表示を行うものであって、入力映像のフレームレートを2n(n:自然数)倍にする2n倍速処理を行う倍速処理手段と、置き換え手段と、この置き換え手段による置き換え処理後の映像を表示する表示手段とを備えたものである。ここで、上記置き換え手段は、倍速処理手段による2n倍速処理後の映像において、第1の映像から第2の映像へ切り替わった直後のnフレーム分の映像を第1の映像へと置き換える置き換え処理を行うものである。
【0009】
本発明の画像処理装置は、上記入力映像に対して画像処理を行うものであって、上記倍速処理手段と、上記置き換え手段とを備えたものである。
【0010】
本発明の画像表示装置および画像処理装置では、オリジナル映像に対してテレシネ変換が施された入力映像に対し、そのフレームレートが2n(n:自然数)倍となる2n倍速処理がなされた後、この2n倍速処理後の映像において、第1の映像から第2の映像へ切り替わった直後のnフレーム分の映像が、第1の映像へ置き換えられる(置き換え処理がなされる)。これにより、置き換え処理後の映像において、第1の映像と第2の映像との時間の比率が、互いに等しくなる(オリジナル映像における時間の比率と同一となる)。
【0011】
本発明の画像表示装置では、上記オリジナル映像に対してテレシネ変換が施された後の映像に対してIP(Interlace Progressive)変換を行うと共にこのIP変換後の映像を上記入力映像として倍速処理手段へと供給するIP変換手段を設け、上記置き換え手段が、このIP変換手段によるIP変換の際に用いられたフイルム検出同期信号を利用して置き換え処理を行うようにするのが好ましい。このように構成した場合、IP変換の際に用いられたフイルム検出同期信号を利用することにより、置き換え処理が容易となると共に、置き換え処理手段の構成が簡素化される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像表示装置または画像処理装置によれば、オリジナル映像に対してテレシネ変換が施された入力映像に対して2n倍速処理を行うと共に、この2n倍速処理後の映像において、第1の映像から第2の映像へ切り替わった直後のnフレーム分の映像を第1の映像へと置き換える(置き換え処理を行う)ようにしたので、置き換え処理後の映像において、第1の映像と第2の映像との時間の比率を互いに等しくする(オリジナル映像における時間の比率と同一とする)ことができる。よって、シネマ映像により構成されたオリジナル映像における動画像を、より忠実に再現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像表示装置(液晶プロジェクタ1)の全体構成を表したものである。この液晶プロジェクタ1は、外部から供給される入力映像信号Dinに基づいて映像表示を行うものであり、光源部11と、ダイクロイックミラー121,122と、反射ミラー131,132,133と、光変調器14と、ダイクロイックプリズム15と、投射レンズ16と、スクリーン17と、入力映像信号Dinに基づいて光変調器14の制御を行う制御部2とから構成されている。なお、入力映像信号Dinは、シネマ映像により構成されたオリジナル映像Dorg(図示せず;24Hzの映像信号)に対してテレシネ変換が施された映像に対応するもの(例えば、DVD等の記録メディアに記録された映像信号)であり、フレームレートが60Hzのインターレース信号である。
【0015】
光源11は、カラー画像表示に必要とされる、赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lbの各原色光を含んだ白色光(照射光L0)を発するものであり、例えばハロゲンランプ、メタルハライドランプまたはキセノンランプなどにより構成されている。
【0016】
ダイクロイックミラー121は、光源11から発せられた照射光L0のうち、赤色光Lrおよび緑色光Lgを透過させる一方、青色光Lbを反射させることにより、赤色光Lrおよび緑色光Lgと青色光Lbとを互いに分離して進行させるものである。また、ダイクロイックミラー122は、ダイクロイックミラー121を透過した赤色光Lrおよび緑色光Lgのうち、赤色光Lrを透過させる一方、緑色光Lgを反射させることにより、赤色光Lrと緑色光Lgとを互いに分離して進行させるものである。なお、このダイクロイックミラー122により反射された緑色光Lgは、光変調器14の方向へと進行するようになっている。
【0017】
反射ミラー131は、ダイクロイックミラー121により反射された青色光Lbを、光変調器14の方向へと反射させるものである。反射ミラー132,133は、ダイクロイックミラー122により反射された赤色光Lrを、光変調器14の方向へと反射させるものである。
【0018】
光変調器14は、赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lbの各原色光に対応する3つの液晶素子14R,14G,14Bを含んで構成されており、光源11から発せられた照射光L0を、各原色光(赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lb)ごとに、制御部2から供給される各色用の映像信号に基づいてそれぞれ変調するものである。
【0019】
具体的には、液晶素子14Rは、反射ミラー133とダイクロイックプリズム15との間に配置されており、入射した赤色光Lrを、制御部2から供給される赤色用の映像信号に基づいて変調するものである。また、液晶素子14Gは、ダイクロイックミラー122とダイクロイックプリズム15との間に配置されており、入射した緑色光Lgを、制御部2から供給される緑色用の映像信号に基づいて変調するものである。また、液晶素子14Bは、反射ミラー131とダイクロイックプリズム15との間に配置されており、入射した青色光Lbを、制御部2から供給される青色用の映像信号に基づいて変調するものである。これら液晶素子14R,14G,14Bはそれぞれ、例えば、映像信号に基づく駆動電圧が印加される一対の基板間に液晶分子を含む液晶層が挟まれた構造となっている。
【0020】
ダイクロイックプリズム15は、液晶素子14R,14G,14Bによりそれぞれ変調された赤色光Lr、緑色光Lgおよび青色光Lbを混合して混合光(表示光)Loutとすると共に、この表示光Loutを一の光路上(投射レンズ16へと向かう光路上)へと進行させるものである。
【0021】
投射レンズ16は、ダイクロイックプリズム15とスクリーン17との間に配置されており、ダイクロイックプリズム15により生成された表示光Loutをスクリーン17上へ投射させるためのレンズである。スクリーン17は、液晶素子14R,14G,14Bによりそれぞれ変調されて投射レンズ16により投射された光(表示光Lout)が投射される部分である。
【0022】
制御部2は、IP変換部21と、倍速処理部22と、フレームメモリ23と、映像信号処理部24と、レジストレーション調整部25と、液晶素子駆動部26とを有している。
【0023】
IP変換部21は、フレームレートが60Hzのインターレース信号である入力映像信号Dinを、フイルム検出およびフイルム変換を経てフレームレートが60Hzのノンインターレース信号(プログレッシブ信号)に変換するIP変換を行うことにより、IP変換後のプログレッシブ信号である映像信号D1を生成すると共に、この映像信号D1を倍速処理部22へと供給するものである。また、このIP変換部21によるIP変換の際に用いられたフイルム検出同期信号Syncも、倍速処理部22へと供給されるようになっている。
【0024】
倍速処理部22は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)等により構成されるフレームメモリ23を利用して、IP変換後の映像信号D1に対し、そのフレームレートを2倍にする2倍速処理を行う(60Hzのフレームレートを120Hzのフレームレートにする)ものである。また、同じくフレームメモリ23を利用することにより、この2倍速処理後の映像信号D2(図1上に図示せず)において、後述する置き換え処理を行うようになっている。なお、倍速処理部22における2倍速処理および置き換え処理の詳細については、後述する。
【0025】
映像信号処理部24は、倍速処理部22から供給される2倍速処理および置き換え処理後の映像信号D3に対し、映像信号の色温度を調整するホワイトバランス調整といわゆるガンマ補正とを施すことにより、映像信号D4を生成する機能を有している。これにより、表示映像の画質が向上するような調整がなされるようになっている。
【0026】
レジストレーション調整部25は、スクリーン17上に投射された各原色光Lr,Lg,Lb間で位置ずれが生じた場合に、ユーザにより入力された調整値(補正値)に応じて、そのような位置ずれが低減されるように各原色光Lr,Lg,Lbに対応する各色用の映像信号D4の補正を行い(レジストレーション調整を行い)、調整後の各色用の映像信号D5を液晶素子駆動部26へ供給するものである。
【0027】
液晶素子駆動部26は、レジストレーション調整部25から供給される映像信号D5に基づいて、液晶素子14R,14B,14Gをそれぞれ駆動するものである。
【0028】
ここで、液晶素子14R,14B,14Gが本発明における「空間光変調素子」の一具体例に対応し、投射レンズ16が本発明における「投射手段」の一具体例に対応する。また、倍速処理部22およびフレームメモリ23が、本発明における「倍速処理手段」および「置き換え手段」の一具体例、ならびに本発明における「画像処理装置」の一具体例に対応する。
【0029】
次に、図1〜図3を参照して、本実施の形態の液晶プロジェクタ1の動作について詳細に説明する。ここで、図2は、倍速処理部22による画像処理(2倍速処理および置き換え処理)の一例をタイミング図で表したものであり、図2(A)はオリジナル映像信号Dorgを、図2(B)はIP変換後の映像信号D1を、図2(C)は2倍速処理後の映像信号D2を、図2(D)は置き換え処理後の映像信号D3を、それぞれ示している。また、図3は、倍速処理部22による置き換え処理の一例を流れ図で表したものである。
【0030】
この液晶プロジェクタ1では、図1に示したように、光源11から発せられた照射光L0が、ダイクロイックミラー121によって赤色光Lrおよび緑色光Lgと青色光Lbとに分離され、さらにダイクロイックミラー122によって、赤色光Lrと緑色光Lgとが分離される。分離された赤色光Lrは、反射ミラー132,133を介して液晶素子14Rへ入射し、分離された緑色光Lgは、そのまま液晶素子14Gへ入射し、分離された青色光Lbは、反射ミラー131を介して液晶素子14Bへ入射する。これら各原色光Lr,Lg,青色光Lbはそれぞれ、液晶素子14R,14G,14Bにおいて、制御部2から供給される各色用の映像信号に基づいて変調される。そして変調された各原色光Lr,Lg,青色光Lbはダイクロイックプリズム15により混合された表示光Loutとなり、この表示光Loutが投射レンズ16によってスクリーン17上に投射されることにより、入力映像信号Dinに基づく映像表示がなされる。
【0031】
ここで、制御部2では、まず、IP変換部21において、フレームレートが60Hzのインターレース信号である入力映像信号Dinに対し、フイルム検出同期信号Syncを用いて、IP変換がなされる。これにより、フレームレートが60Hzのノンインターレース信号(プログレッシブ信号)である映像信号D1が生成され、倍速処理部22へ供給される。
【0032】
すなわち、例えば図2(A)に示したような、時間軸に沿って連続する2フレーム分(24Hz×2)のシネマ映像である映像「A」(第1の映像)および映像「B」(第2の映像)等を単位構成とするオリジナル映像信号Dorg(インターレース信号)に対し、テレシネ変換およびIP変換部21によるIP変換がなされることにより、例えば図2(B)に示した映像信号D1のように、時間軸に沿って連続する2フレーム分(60Hz×2)の映像「A」(具体的には、タイミングt0〜t4における映像「A1」,「A2」)と、時間軸に沿って連続する3フレーム分(60Hz×3)の映像「B」(具体的には、タイミングt4〜t10における映像「B1」,「B2」,「B3」)とが生成される。
【0033】
次に、倍速処理部22およびフレームメモリ23では、まず、図2(B)に示した映像信号D1に対し、そのフレームレートを2倍にする2倍速処理がなされることにより、例えば図2(C)に示した映像信号D2のように、フレームレートが60Hzから120Hzになる。具体的には、時間軸に沿って連続する4フレーム分(120Hz×4)の映像「A」(具体的には、タイミングt0〜t4における映像「A11」,「A12」,「A21」,「A22」)と、時間軸に沿って連続する6フレーム分(120Hz×6)の映像「B」(具体的には、タイミングt4〜t10における映像「B11」,「B12」,「B21」,「B22」,「B31」,「B32」)とが生成される。
【0034】
そして倍速処理部22およびフレームメモリ23では、次に、例えば図2(C),(D)および図2中の矢印P1で示したような置き換え処理がなされることにより、映像信号D3が生成される。具体的には、時間軸に沿って連続する5フレーム分(120Hz×5)の映像「A」(具体的には、タイミングt0〜t5における映像「A11」,「A12」,「A21」,「A22」,「A3」)と、時間軸に沿って連続する5フレーム分(120Hz×5)の映像「B」(具体的には、タイミングt5〜t10における映像「B12」,「B21」,「B22」,「B31」,「B32」)とが生成される。
【0035】
ここで、図3を参照して、このような置き換え処理の一例について詳細に説明する。この置き換え処理では、まず、映像「A」(具体的には、映像「A11」)および映像「B」(具体的には、映像「B11」)をそれぞれ、フレームメモリ23へ記憶させる(図3のステップS101)。次に、図2中の矢印P21,P22で示したように、フイルム検出同期信号SyncがON状態となっているか(トリガがON状態となっているか)どうかを判断する(ステップS102)。トリガがON状態となっていない場合には(ステップS102:N)、次に、フレームメモリ23から映像「A」,[B]を順に出力して映像信号D3の生成作業を行う(ステップS103)と共に、置き換え処理の全体(全体処理)を終了させるかどうかを判断する(ステップS104)。終了させない場合には(ステップS104:N)、再びステップS102へと戻ることになり、終了させる場合には(ステップS104:Y)、全体処理が終了となる。一方、トリガがON状態となったときには(ステップS102:Y)、次に、倍速処理部22内に設けられているカウンタ(図示せず)をリセットする(カウント値N=1とする)(ステップS105)と共に、カウンタのカウント値がN=5であるかを判断する(ステップS106)。N=5でない場合(ステップS106:N)には、フレームメモリ23から映像「A」を出力して映像信号D3の生成作業を行う(ステップS107)と共に、カウント値Nに1を加算し(N=N+1とし)(ステップS108)、再びステップS106へと戻る。一方、ステップS106においてN=5であると判断された場合(ステップS106:Y)には、フレームメモリ23から映像「A」を出力することにより、図2中の矢印P1で示したように、映像「B」(具体的には、映像「B11」)を映像「A」(具体的には、映像「A3」)に置き換える(ステップS109)。次に、再びフイルム検出同期信号SyncがON状態となっているか(トリガがON状態となっているか)どうかを判断する(ステップS110)。トリガがON状態となっていない場合には(ステップS110:N)、フレームメモリ23から順に映像「B」を出力して映像信号D3の生成作業を行う(ステップS111)。一方、トリガがON状態となったときには(ステップS110:Y)、次に、全体処理を終了させるかどうかを判断する(ステップS112)。終了させない場合には(ステップS112:N)、再びステップS105へと戻ることになり、終了させる場合には(ステップS112:Y)、全体処理が終了となる。
【0036】
このようにして、倍速処理部22では、まず、オリジナル映像信号Dorgに対してテレシネ変換が施された入力映像信号Dinに対するIP変換後の映像信号D1に対し、2倍速処理がなされる。そしてこの2倍速処理後の映像信号D2において、映像「A」(第1の映像)から映像「B」(第2の映像)へ切り替わった直後の1フレーム分の映像(映像「B11」)が、映像「A3」(第1の映像)へ置き換えられる(置き換え処理がなされる)。これにより、例えば図2(A),(D)に示したように、置き換え処理後の映像信号D3において、映像「A」と映像「B」との時間の比率が、互いに等しくなる(オリジナル映像信号Dorgにおける時間の比率(映像「A」:映像「B」=1:1)と同一となる)。
【0037】
なお、次に映像信号処理部21では、倍速処理部22から供給される2倍速処理および置き換え処理後の映像信号D3に対し、ホワイトバランス調整やガンマ補正が施されることにより、映像信号D4が生成される。レジストレーション調整部22では、この映像信号D4に対し、ユーザから入力される調整値に応じて補正(レジストレーション調整)がなされ、調整後の映像信号D5が液晶素子駆動部23へ供給される。そして液晶素子駆動部23では、この映像信号D5に基づいて液晶素子14R,14G,14Bの駆動がなされ、各原色光Lr,Lg,青色光Lbがそれぞれ変調される。
【0038】
以上のように本実施の形態では、オリジナル映像信号Dorgに対してテレシネ変換が施された入力映像信号(具体的には、入力映像信号Dinに対するIP変換後の映像信号D1)に対して2倍速処理を行うと共に、この2倍速処理後の映像信号D2において、映像「A」(第1の映像)から映像「B」(第2の映像)へ切り替わった直後の1フレーム分の映像(映像「B11」)を、映像「A3」(第1の映像)へと置き換える(置き換え処理を行う)ようにしたので、置き換え処理後の映像信号D3において、映像「A」と映像「B」との時間の比率を互いに等しくする(オリジナル映像信号Dorgにおける時間の比率(映像「A」:映像「B」=1:1)と同一とする)ことができる。よって、シネマ映像により構成されたオリジナル映像信号Dorgにおける動画像を、従来と比べてより忠実に再現することが可能となる。
【0039】
また、オリジナル映像信号Dorgに対してテレシネ変換が施された後の映像信号(入力映像信号Din)に対してIP変換を行うと共にこのIP変換後の映像信号D1を倍速処理部22へと供給するIP変換部21を設け、このIP変換部21によるIP変換の際に用いられたフイルム検出同期信号Syncを利用して置き換え処理を行うようにしたので、倍速処理部22およびフレームメモリ23による置き換え処理を容易とすると共に、これら倍速処理部22およびフレームメモリ23の構成を簡素化することが可能となる。
【0040】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0041】
例えば、上記実施の形態では、倍速処理部22が映像信号D1のフレームレートを2倍にする2倍速処理を行うものであると共に、映像「A」(第1の映像)から映像「B」(第2の映像)へ切り替わった直後の1フレーム分の映像に対して置き換え処理を行うようにした場合について説明したが、本発明はこのような2倍速処理の場合には限られず、一般的には、倍速処理部22が映像信号D1のフレームレートを2n(n:自然数)倍にする2n倍速処理を行うものであると共に、映像「A」(第1の映像)から映像「B」(第2の映像)へ切り替わった直後のnフレーム分の映像に対して置き換え処理を行うようにすればよい。具体的には、例えば図4(A)〜図4(D)および図4中の矢印P31,P32に示したように、倍速処理部22が映像信号D1のフレームレートを4倍にする4倍速処理を行うものであると共に、映像「A」(第1の映像)から映像「B」(第2の映像)へ切り替わった直後の2フレーム分の映像(映像「B11」,「B12」)を映像「A3」(第1の映像)へと置き換える置き換え処理を行うようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、倍速処理部22において、IP変換部21により供給されるIP変換の際のフイルム検出同期信号Syncを利用して置き換え処理を行う場合について説明したが、このようなフイルム検出同期信号Syncを利用するのではなく、フレームメモリ23内に例えば10フレーム分のフレームメモリを設けると共に、フレームメモリ23内の各フレームの映像信号D2を調査して映像「A」と映像「B」との切替ポイントを探すことにより、置き換え処理を行うようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施の形態では、いわゆる三板式の投射型表示装置(プロジェクタ)について説明したが、本発明は、他の方式の投射型表示装置にも適用することが可能である。
【0044】
また、上記実施の形態では、空間光変調素子(液晶素子14R,14G,14B)により変調された光をスクリーン17に投射する投射手段(投射レンズ16)を備え、投射型表示装置(液晶プロジェクタ1)として構成されている場合について説明したが、本発明は、直視型の表示装置(例えば、TV装置)などにも適用することが可能である。
【0045】
また、上記実施の形態では、いわゆる透過型の空間光変調素子(液晶素子14R,14G,14B)を用いた透過型の液晶表示装置(液晶プロジェクタ1)について説明したが、本発明は、いわゆる反射型の空間光変調素子(液晶素子など)を用いた反射型の液晶表示装置(液晶プロジェクタなど)にも適用することが可能である。
【0046】
また、上記実施の形態では、空間光変調素子が液晶素子(液晶素子14R,14G,14B)であり、液晶表示装置(液晶プロジェクタ1)として構成されている場合について説明したが、他の空間光変調素子として、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)素子を用いるようにしてもよい。
【0047】
さらに、上記実施の形態では、画像表示装置の一例として、光源11と液晶素子14R,14G,14Bとを備えた液晶表示装置(液晶プロジェクタ1)について説明したが、本発明は、他の画像表示装置、すなわち、例えばプラズマ表示装置(PDP:Plasma Display Panel)やEL(ElectroLuminescence)表示装置にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像表示装置の構成を表すブロック図である。
【図2】倍速処理部における画像処理の一例について説明するためタイミング図である。
【図3】倍速処理部における画像処理の一例について説明するための流れ図である。
【図4】本発明の変形例に係る画像処理の一例について説明するためタイミング図である。
【符号の説明】
【0049】
1…液晶プロジェクタ、11…光源、121,122…ダイクロイックミラー、131,132,133…反射ミラー、14…光変調器、14R,14G,14B…液晶素子、15…ダイクロイックプリズム、16…投影レンズ、17…スクリーン、2…制御部、21…IP変換部、22…倍速処理部、23…フレームメモリ、24…映像信号処理部、25…レジストレーション調整部、26…液晶素子駆動部、Dorg…オリジナル映像信号、Din…入力映像信号、D1〜D5…映像信号、Sync…フイルム検出同期信号、L0…光源からの射出光(照射光)、Lr…赤色光、Lg…緑色光、Lb…青色光、Lout…混合光(表示光)、t0〜10,t20〜t27…タイミング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間軸に沿って連続する2フレーム分のシネマ映像である第1および第2の映像を単位構成とするオリジナル映像に対してテレシネ変換が施された入力映像に基づく画像表示を行う装置であって、
前記入力映像のフレームレートを2n(n:自然数)倍にする2n倍速処理を行う倍速処理手段と、
前記倍速処理手段による2n倍速処理後の映像において、前記第1の映像から前記第2の映像へ切り替わった直後のnフレーム分の映像を、第1の映像へと置き換える置き換え処理を行う置き換え手段と、
前記置き換え手段による置き換え処理後の映像を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記オリジナル映像に対してテレシネ変換が施された後の映像に対してIP変換を行うと共に、このIP変換後の映像を前記入力映像として前記倍速処理手段へと供給するIP変換手段を備え、
前記置き換え手段は、前記IP変換手段によるIP変換の際に用いられたフイルム検出同期信号を利用して、前記置き換え処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記倍速処理手段が、前記入力映像のフレームレートを2倍にする2倍速処理を行うものであり、
前記置き換え手段は、前記第1の映像から前記第2の映像へ切り替わった直後の1フレーム分の映像に対し、前記置き換え処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、
光源と、
前記光源から発せられた光を、前記置き換え処理後の映像に対応する映像信号に基づいて変調する液晶素子と
を有し、
液晶表示装置として構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記表示手段が、前記液晶素子により変調された光をスクリーンに投射する投射手段を有し、液晶プロジェクタとして構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
時間軸に沿って連続する2フレーム分のシネマ映像である第1および第2の映像を単位構成とするオリジナル映像に対してテレシネ変換が施された入力映像に対して画像処理を行う装置であって、
前記入力映像のフレームレートを2n(n:自然数)倍にする2n倍速処理を行う倍速処理手段と、
前記倍速処理手段による2n倍速処理後の映像において、前記第1の映像から前記第2の映像へ切り替わった直後のnフレーム分の映像を、第1の映像へと置き換える置き換え処理を行う置き換え手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−60401(P2009−60401A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226321(P2007−226321)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】